鳥大農研報 (Buュ1.Fac.Agric.,TottOri Un
.)29 18∼
28(1977)立木資産 の物価変動会計 に関す る研究
― 一 実体基 準法 の検討 ――
栗村 哲象
*昭和51年8月31日受付
Studies On Tree Asset AccOunting in Price Level Changes
―――― Investigation of Substancials Basis Method ――――TetsuzO KuRIMURA*
The ma,Or purpose of this reserch was designed tO prOvide a theoretical and practical method Of forest management accOunting in price level changes. By means of the investigation of the substantials… basis―methOd that is One of the methOds of material capital accOunting and has been suggested as a methOd of accOunting of tree assets in general and individual price level changes, the results obtained are as follows:
(1)The substantials_basis_method intrOduced the methOd OF calculating the appreciation of tree growth by subtracting the cOst Of growing the tree from the amount of the tree assets. This subtractOn― method has brOught about some theoretical contradictiOns and practical cOmplexities in the accOunting system
of tree assets.
(2)Because the substantials_basis― method is equal to a sOrt of productivity
―basis―method, it must be a methOd based On the mainten` , Of substantial capital, so this very maintenance, not the maintenance ofと ヽsing_power ―capital, must be attempted with respect to the costs of trel vth,
(3)The matters mentioned abOve suggest he basis for a method to accOunt for the amount of tree assets and the cOsts of tree grOwth separately and
independently,
(4)A more theoretical mOreover practical and useful method than the sub_ stantials―basis_method is presented as a prOposal from this investigation.
緒
言 一般物価並びに個別物価の変動
,特
に騰貴のいちじる しい場合は,長
い生産期間を要する立木資産について貨 幣価値安定の仮定のもとに取得原価主義によって経理 さ れると資本維持が不可能 となるのは明らかである。ここ に立木資産 に関する物価変動会計の理論およびその具体 的実際的方法 を確立する必要性があるのである。 一般の会計においても物価変動会計の必要性が強調さ れ近年その研究の成果も多く見 られる1∼° に至 ると共に 立木資産 についての物価変動会計の理論的実際的研究も 行われている:∼° 本稿では立木資産 に関する物価変動会計の諸論の うち 最新にして代表的なものと見 られつつある「実体基準法 孝′島取大学農学部林学科林政学研究室 DθP,Tιη ?″ ιO′ Fο T9sιTJ, Fcc,′ιy οF A=T√c″ ′ι,T9, TοιιοT,1/2Jυ9Ts,″立木資産の物価変動会計に関する研究 電について詳細 なる検討 を加 え,そ の妥当性の如何 を考 察す ることにより
,立
木資産 についてのより合理的且つ 実際的な,そ して同法の意図を反映 し得 るよ うな物価変 動会計の方法を探 ることを目的としている。 考察の対象と方法 立木資産の物価変動会計のより合理的な方法 を求める ため,こ こに考察の対象とする「実体基準法」 について まず その概要 を述べる。 新たに提案 されている「実体基準法」 は,立
木資産の 実体価値の増減 を価値二元性の原理 に基いて客観的に把 握 し,生産給付能力を継続的発展的に維持す るため,新
たに実体基準一生産力基準を設定 し,これを媒体 として 新規 に開発 された方法であるとされている。 この方法の特徴 とされているところは次の通 りである。 ①伝統的な財務会計を継承しつつ,こ れと対照的な管 理会計との統合的な体系を目指し多元的な会計情報機構 を設定 しようとする。すなわち,立
木資産 に関 し購買価 格基準 と販売価格基準を立木の生長段階 に応 じて統一的 且つ二元的に適用評価することによって,立木生産の成 果測定に対 して有効 な情報 を与 えようとする。 ② 生長増殖資産 としての立木資産は植栽時 よ り販売価 値発生時 までの実体価値の発生段階では育林投資価値 は 再取得 (再調達)価
格で評価 され,実
体価値の形成段階 では育林投資価値は再取得価格で評価 されると共 に,そ れを超 える立本の価値 は販売時価で評価 されるのである。 このような育林投資額は立木育成勘定で捕捉 され,そ の額 を超 える立木資産の販売価値額は立木増価勘定で捕 捉 される。 ③立木育成原価 (再調達原価)に
しろ立木増価 にしろ 何れも時価に関する。その時価の変動要因は貨幣価値変 動,個別物価変動,自然成長 (も しくは育成投資増)に
かかわる変動 (増加)で
ある。貨幣価値変動分について は立木資産全体の貨幣価値変動分から立木育成勘定の貨 幣価値変動分 を控除 した差額 が立木増価勘定の貨幣価値 変動分として配賦 されることになり,個
別物価変動につ いては,立
木資産全体の個別物価変動分から立木育成勘 定の個別物価変動分を控除 した差額が立木増価勘定の個 別物価変動分 として配賦 されるとしている。 ただ し,立
木育成勘定の貨幣価値変動分 と個別物価変 動分 とを合わせて再生産維持積立金勘 定で処理 される。 同法 を具体的且つ一貫的に要約すると次のような方法とすることが出来よう
亀
D (ただ し,ここで は見易 い金額 を仮定。単位 万円) ① 開始貸借対照表 ② 期中の取引 育林 (地袴 え,植
栽,下
刈,枝
打等々)の
ために現 金支出 (50)す る場合。資産勘定 としての立木育成勘定 を設け計上する。 (借方)立木育成勘定50(貸
方)現金勘定50
立木の時価評価により立木育成勘定 を超過する立木 増価 (1001の発生する場合。その場合立木価格70%,一
般物価働蜘腕
60%騰貴せるもの とする。判舞
露
誓
立木育成勘定の額 を時価 に再評価す る場合,評
価修 正額(13)(物
価上昇の場合は次のよ うに仕訳 ける。た だ し物価下落の場合は逆 となる) (借方)立木育成勘定13(貸
方)憂Υ 華範V宅
13 その場合,立木増価が計上 されてあれば,上
記評価修 正額 と同額 を次のように振 り替 える。 (借方)立木未実現増幅勘定13(貸
方)立本増価勘定13
立木販売の場合,現
存立木の孝 を現金販売 (1001 (借方)現金勘定1∞
(貸方)立木販売高勘定1∞ 販売立木について立木育成原価 (41),立木増価 (59) を調査。 (借方)立木販売原価勘定llXl(貸方)│と 案冠籍獣電:と 立木増価 (59)の 内訳 を見 ると立本未実現増価 (12), 貨幣価値変動積立金 (40),立木価格変動積立金 (7)。 (倍方
)立ホ
米
実
現
増
幅
働
定
12(貸
方
)立木販売益勘定
12借方
)葵Ψ与
紹研宅
40償
方
)霙柳齋変智述宅
40船方
)葵智寄
鴇船計宅7(貸 方
)妥剤野変暫辻宅
7 なお,立
木販売の場合,再
生産維持積立金の実現可能 額は実現額 として振替えられる。 (借方
)憂∵華能呼宅
8 (貸
方
)憂生Υ彬立宅
8 ③ 決算貸借対照表と損益計算書 再生産維持積立金 (霙現
可
箋
∞ 25 52 林地 立 木 育 成 決算貸借対照表
栗村哲象 275 以上の具体的経理方法 か らす ぐ分 るよ うに,「実体基準 法」 においては収益 と しての立木販売高 に対 しては,同 額の立本販売原価 が費用 と して対応 す るので,そこで は 利益の発生 は見 られず,いわば既 に積立て られた立木未 実現増価額 をとりくず し,その額 に見合 う額 のみ を利益 (一分配可能利益)とす るもので ある。 なる
,諸
積立金 につ いては,販
売以前 にかかわるものは大 々につ き実現 可能勘定 に計上 され販売 にともない順次夫 々実現勘 定 に 振 り替 えることと して いる。 以上 のよ うな「 実体基準 法」 を対象 と してここで は理 論的方法 によって考察検討 を加 え,立木資産 に関す るよ り合理的 な物価 変動会計の方法 を見出 そ うとす るもので ある。 考察 「実体基準法」 と言われる方法について説明 されている ところを見るに,その基本的考 え方はED聰酌
S&B詔
あ 所論 に大 きく影響 されていることは明 らかで あるが,「実 体基準法」 における所論 はその理論構造 を必ず しも充分 明 らかに していない。 しか し一般の貨幣価値 変動会計 に比べ,「実体基準 法」 が最 も異 にす る点 は,前
者 が固定資産で あれ棚卸資産で あれ,その評価 基準 は一般 に取替原価 をもって され販 売 価額 (純実現可能額)によらないの1こ対 し,後者 は立木資 産 につ いては販売価額 (純実現可能額)に
よる点で あろ う。 また前者で は言 うまで もな く固定資産 と棚卸資産 と は別個 の存 在で あ りそれ故別個 に評T面され取扱 われ るが, 後者では既 に見たよ うに固定資産 に相当す る立木育成原 価 と棚卸資産 に相当す る立木資産額 とを複 合的 に評価 し 取扱 うと表現 し得 よ う。 これは立木 が成長資産 で あ り特 殊 な資産 とみて即物 的 に把 えることに因 ると言 える。 この よ うな「実体基準法」 の本質 を更 に明 らかにす る ため検討 されるべ き問題は次のよ うに凡そ3点に しば ら れると考 えられる。 第 1は,立
木増価額,貨
幣価値変動積立額,立
木価格 変動積立額,立木未実現増価額の相互関係 をもっと明確 にす ることである。「実体基準法」 にあっては,単
に立 本価格 が一般物価以上に騰貴する場合についてのみ,そ して立木未実現増価額は立木増加額より貨幣価値変動積 立額 と立木価格変動積立額 を控除せる差額 (残額)と し て把握 されいわば控除法 に興 っているが,価格の上昇の みで なく下落の場合 などすべての場合について立木未実 現増価額 は,果
してそのようなものとして理解 されるべ きものであるかが検討 されなければならない。 立木未実現増価額が単 に差額 として把握 されるべ きも の,即
ち単 なる差額概念 にもとず く控除法によって把握 されるべ きものであるとすると,たとえば計算機構上 に も問題 力法 ることが考 えられるからである。 第 2は,「実体基準法」 にあっては育林投資額 を意味す る立木育成額の時価評価 による評価修正額は再生産維持 積立金実現可能勘定で捕捉 されるとされてお り,更
に同 勘定は詳 しくは個別物価変動積立金勘定と貨幣価値変動 積立金勘定 とに分けられるとされ,個別物価変動 につい ては立木資産全体の個別物価変動分から立木育成勘定の 個別物価変動分 を控除 した差額が立木増価勘定の個別物価変動分として配賦されることになが
!としており
,こ こで も差額概 念 が導入 され控除法 が とられている。 これ は果 して是認 され得 るものかど うか,この両個別物価 変 動積立金 の相互関係 につ いて検討 を要す るで あろ う。 第3は,「実体基準 為 による立木資産の販売実現時 に おける計算機構 の検討 を要 す るで あろ う。同法 によれば, た とえば聞伐 の場合,「間伐 による収穫=立
木販売高 が実 現 してい るので,これを収益 と して計上 し, これ に対応 す る費用 として間伐 率 に応 じた販売原価分 を計上 しな く ては な らない。 なお当該分 は販 売実現時 に立木資産勘 定 か ら立木販売原価 に振 り替 えられ,また間伐 木 にかかわ る立木未実現増価勘定 は,販
売実現時 に実現利益 に振 り替えられる
電 とされているが
,果
してその通りであるか
検討 を要す るで あろ う。 (1)立木増価額,貨
幣価値 変動・立木価格変動積立額, 立木未 実現増価額 の相 互関係 「実体基準為 におけるこの関係 を一般的 に把握す る ため に,立
木育成原価 は一定不変 と し,一
般物価騰貴 率 をs,立
木価格騰貴率 をsA,基準年の立木単価 をa,基
準年 よ り ,年 経過 した林分材積 をV`とすれば,
テ年 にお ける1年間の立木増価額,貨
幣価値 変動積立額,立
木価 立木未実現増価75
貨幣価値変動積立金 (憂現
可
箋
ヱ
I立
木
価
格
変
動
積
立
金
(養現
可
箋
,
(不」 2と) 12 100 12立木資産の物価変動価格に関する研究
格変動積立額
,立
木未実現増価額 は同法 の説明Dによる とそれぞれ次の よ うになると解 され る。立 木 増 価 額=V!!a・(1+s01-VIJ a・ Q+sA):l…① 貨幣価値変動積立額=Vl l a ll+sA)と・ ・S………
② 立ホ価格変動積立金=VどJ・a(1+sA)と 1°(sA S)…………③ ∴ 立木未実現増価額=①―②―③=(V`―Vι J)・a。(1+s,と④ すなわち
,式
④から明 らかなように立木未実現増価は, J年 の立木増価額 から貨幣価値変動積立額 と立木価格変 動積立額 とを控除 した差額 として把握出来 るのであるが, それはまた, 1年間の材積成長量 (Vj―Vιl)に
J年の 単価a(1+sAア
を乗 じた額 に等 しいことが式の上から 明らかである。 (このことは従来は説明 されていなかっ たことがらで あるが重要 な点で ある。) このことを具体的に見 るために,20年 生 (基準年)林
分における材積250ば,立
本の単価0.1万円(従って立木 資産額は25万円で あり,これはここでは同時 に立木育成 額 に等 しく,これは常に一定の額 と仮定 しておく)が
, 第 1表 の如 く30年生の370ば,単
価0.259(-0.lXl.110) 万円まで10年間年々12ば の材積成長をし,年
々10%づつ 価格騰貴する場合 を想定 してみよう。 (第1表 参照) 第1表 立オ価格10%騰 貴,一般物価8%騰
貴の場合 年 年 立 木 資 産 生 次 材積 単価 金額 ∫ 万円 万円 1) J Vι ″ι Vど・″ι 立 木 貨幣価 立木価 立 木 値変動 格変動 未実現 増価額 積立額 積立額 増加額 2) 3) 41 5) ① ② ③ ④ 250 0,10 25,0 -262 0.11 28 8 3.82 274 0.12 33.2 4.33 286 0.13 38 1 4,91 298 0.15 43 6 5.56 310 0.16 49 9 6.28 322 0,18 57.1 7.15 334 0,20 65.1 8,04 346 0.21 74.2 9.08 358 0 24 84.4 10.24 370 0,26 96.0 11 56 まず21年生 についてみると立 木増価額 (28.82万円― 25.00万円)を算出 し,ついで一般物価騰貴率8%に
対 する貨幣価値変動積立 額 (25,00×0.08-2.00万 円)と その騰貴率 を上廻 る立 木価格 の変動 に対 す る積立額 (%.00× (0.1-0.08)=0.50万 円)を算出 してそれより 控除 し,そ して立木未実現増価額 (■32万円)を算出す ることが出来 る。 一方 においてこの立木未実現増価額 (1.32万円)は
ま た年間の材積成長量 似62-250=12ば)に
その年の騰貴 せ る立木価格0.11(=0.1× 1,1)万円を乗 じた価額 とし て計算出来 ることを知 るべ きである。 ここで注 目すべ き ことは,立
木未実現増価額は独立的に二重に把握出来 る と言 うことで ある (このことは,検
算 に役立 ち得ること を意味する)。 以上の関係 は各年生 についても同様であり,従
ってま た30年生 までの10年間の各合計額の間においても同 じ関 係がある。すなわち,10年 間の立木増価 累計額 (70,98 万円)よ
り貨幣価値変動積立累 計額 (39.94万円)と立 木価格変動積立累計額 (9.94万円)を 控除 した残額が立 木未実現増価額 の累 計額 (21.10万円)で
あるが同時 に, その立木未実現増価額 (累計額)は ,年
々の材積成長量 に年々の騰貴せ る立木価格 を乗 じた額の累計額 に等 しい ことが明らかである。 このことを図示すると第 1図 のようになる。 ちなみに この図示法 は会計学的にも有効であつて,左
側 (立木増 価,立
木育成 など)は
貸借対照表の借方勘定 とその額 を 20 0 21 1 22 2 23 3 24 4 25 5 26 6 27 7 28 8 29 9 30 10 2.00 0.50 2 31 0.58 2.65 0 66 3.05 0 76 3.49 0.87 3 99 1.00 4.56 1,14 5.21 1.30 5.93 1 48 6,75 1.691.44
胃
1.66 175 8」 1 92 2.16 2.34 60 2.57 2.83 3 12 40 立本増価 70 98 70,98 39,94 9.94 21.10 (註)1)″ヶ―″。(1+sA)ι =0・1(1+0.10)' ただ しSA… 立木価格騰貴率 か ①=Vι・″ι Vι l,″ι l 3)② 三V,1"`:Xs一
Vサ :・″ι‐XO.08 ただしs・……一般物価騰貴率 4)③―Vι l・″ι l× (SA S) Vιれ,″ど1(0・10-0.08) 働 ④一①―②一③Or(Vι―Vし 1)・″ι o 10 20 第1図 立 木価格10%, 30 4F 一般物 価8%騰
貴 の場 合栗村 哲象 表わ し
,右
側 (貨幣価値変動積立金,立
木未実現増価, 資本金など)は
その貸方勘定 とその額 を表わ している。 この場合 (10年間につ いてまとめて仕訳する場合)の
仕訳 を示す と次の如 くである。働蜘 脚鋤
(単位万円)睡難対
この図 によって直裁 に示 されているよ うに立木価格が 年率10%騰貴 し,一
般物価が8%騰
貴す る場合,10年 後 に伐採販売出来ると仮定 して10年間に蓄積 された分配可 能利益の大 きさを示す立木未実現増価額の,全
体の増価 額に占める割合は僅 か÷未満 に過 ぎないのである。この 様 な価格騰貴が続 きそしてもし価格の循環的変動がない と,立
木増価額の大部分は常 に立木販売代金 として現金 の形で積立 られるのみで利益処分は僅 かの部分 しか行い 得ないこととなる。 それでは,立
木価格の騰貴率が一般物価騰貴率より下 廻 つた場合 には以上の関係はどの様 になるか,次
に条件 を変えて立木価格が年率6%,一
般物価が8%そ
れぞれ 騰貴する場合についてみる。 立本資産の材積 とその成長関係 は前例 と同様 とすると, 10年間の分配可能利益の大 きさを示す立木未実現増価額 (16.76万円)は,貨
幣価値変動積立額 (32.66万円)か
ら立木価格変動積立額 (8.16万円)を 控除せる額を,立
木増価額 (41.26万円)よ り控除 せ る残額である。それ は同時 に毎年の材積成長量 (年に12∬)に ,年
々の騰貴(6%に
て)せ
る立木価格 を乗 じた額の累計額でもある。 (表および図は省略) すなわち,換
言すれば, この様 に立木価格騰貴率が一 般物価騰貴率を下廻 る場合,その下廻 る率による立木価 格変動積立金の取 りくづ しが自動的に行われることによ って,立
木未実現増価額の金額が始 めて分配可能利益額 としての実質を持 ち得 る額 となると理解することが出来 る。この場合の仕訳は次の如 くである。 (単位万円)借朔
1輔
鍮積
飢 鴇
団
1饗
靴 盈静
幹
以上の関係は一般物価が騰貴するに拘 らず逆 に立木価 格 は下落すると言 う場合はどうなるかを前者が8%の
騰 貴,後
者が2%の
下落の場合についてみる。 すなわち,立
木増価額でまかないきれない貨幣価値変 動積立額 (22.10万円-5。23万円)は
立木価格 変動積立 額 を大巾に取 りくずすことによってまかなわれ (すなわ ち振替 えられ),立木未 実現増価額 (10。76万円)も更に 立木価格変動積立金がとりくず され振替 えられることに よって,始
めてそれが実質的に裏付 けられその計上が可 能 になることを示 している。 この場合の仕訳は次のようになる。 (単位万円)船翔
信
篤紬積
蛤財
鑽劾
鰈 璽亀
テ
静
糾
それ故,立木価格変動積立金がそれまでに充分計上 さ れていれば問題はないとしても, もし不充分であれば立 木未実現増価額を処分可能利益 として計上 し,そ してそ れが処分 されるとすると,資
本 (購買力資本)の
維持が 侵害 されることになる。 そこで,今
立木価格変動積立金の とりくず し可能額 を 10年間に20万円と仮定 した場合,資
本維持 をはかるため には立木未 実現増価額 は5.23万 円-22.10万 円― (― 20.00万円)=3.13万 円 となり,立
木増価額 (5.23万円) にも満たない額 とならねばならないこととなるのである。 ところでこの場合 と逆の場合,す
なわち立木価格は騰 貴(8%)す
るに反 し,一
般物価は下落 (-2%)する場 合はどうなるかを検討す ると,一
般物価の下落により貨 幣価値変動積立金はそれ相当額 (9,03万円)と りくず さ れ立木価格変動積立金 に振替 えられ,更
に,立
木価格の 騰貴 についてはその相 当額 (45,13万円-9.03万 円)が
立木増価 (馳.88万円)よ
り控除 されて立木価格変動積 立金 に振替 え計上 され積立て られる。 すなわちこの場合研士訳は次のようになる。 (単位万円) 針昔ブガ 1議1浮:角
積試 帯 色費チ→ │こと{!:蜜を3と称 襦轄 次に立木価格 も一般物価 も下落する場合, しかも一般 物価の方がより大 きく下落する場合 についてみる。今立 木価格は6%下
落するが一般物価はそれより大 きく8%
も下落する場合を仮定 しよ う。 この場合は,立木増価額はマイナスとなるに拘 らず, 一般物価の下落従って貨幣価値騰貴の故に貨幣イ両値変動 積立金は大巾に取 りくず され,立
木未実現増価額 として 振替 えられ,ま た立木価格下落 を上廻 る一般物価の下落 については,相
当額が貨幣価値変動積立金より立木価格 変動積立金 に振替 え計上 されることとなる。 従ってこの場合の仕訳は次の如 くである。 (単位万円) (催七 ')貨 幣価値変動積立金 18.32佃欝方) 立本増価5,07
立ホ価格変動積立金 458 立木未 実現増価 8.研 さらに,立木価格 も一般物価 も下落するが,立
木価格 の方が大 きく下落する場合についてみる。前者は-10%, 後者はい8%と してみると,10年 間の立木増価は-12.10万 円 となり,これは貨幣価値変動積立金 と立木価格変動積立木資産の物価変動会計 に関す る研究 立金の取 りくず しによってカバーされ
,更
に立木未実現 増価額 を立木販売益 としての処分可能利益 とす ることと なる。 この場合の仕訳は次の如 くである。 (単位万円)働
ほ
崇
:骨会
計
暑
と
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与
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側
に奈
渠
堅
現
獅≒
帯
この場合 もそれまで に貨 幣価値 変動積立金 と立木価格 変動積立金 が充分 に計上 されていなければ,その ことに 制約 されて立木未実現増価額 は処分可能利益 とはな り得 ないはずで ある。 以上,立木価格や一般物価 が種 々に変動す る主 な場合 につ いて個 々にみて来 たが,全
体 を通 して言 えることは 次の如 くで ある。 ①立木価格が相対的に下落する場合 (すなわち一般物 価騰貴率なみに騰貴 しない場合,も しくは一般物価下落 率以上 に下落する場合)に
はその相対的下落率相当の金 額が立木価格変動積立金より自動的に取 りくず される仕 組 となっている。 ②一般物価が下落する場合は,その下落率に相当する 金額が貨幣価値変動積立金より自動的に取りくずされる 仕組となっている。 ③ かくして立木価格や一般物価が騰貴する時はもちろ ん下落する時であっても,積
立金の取 りくず しによって 常にプラスの立木未実現増価額が自動的に裏付けられて 算出される計算構造となっている。 ①一般物価および立木価格が長期的にみて騰貴する場 合における立木販売において,販
売代金から再造林費を 除 いた部分 につ いてみ ると,「実体基準法Jによれば実際 に 配分 され得 るもの(立木未 実現増価額=立
木販売益)は少 く,大
部分 は貨幣価値 変動積立金 や立木価格 変動積立金 に計上 され ることによ り現金 (立木販 売代金)の
形で林 業経営内 に蓄積 され続 ける計算構 造 となっている。要 す るに以上の計算機構 は極めて巧妙 なもので あるけれ ども 一般物 価や立木価格 が整合的 な循 環変動 をなす場合以外 は,現
実的 にはや ヽ機能 し難い様に思 われるので ある。 (2)立木育成原価 における評価修正額 と立木増価 におけ る評価修正額の相互関係 「実体基準法」 で は①「貨幣価値変動分 につ いては立 木資産 全体の貨幣価値変動分 から立本育成勘定 の貨幣価 値 変動分 を控除 した差額 が,立
木増価勘定の貨 幣価値 変 動分 として配賦 され る」 とし,また② 「個別物 価変動 に つ いては,立
木資産全体の個別物価変動分 か ら立木育成 勘 定の個別物価変動分 を控除 した差額 が,立
木増価勘定 の個別物価変動分 と して配賦 され ることになるf)と して いるが,このことについて検討 を加 えたい。 ① の場合.一
般の物価騰貴(S%)は
存在するも,立
木価格や育成価格等の個別物価の騰貴はなく不変 と言 う 簡単 な場合 について検討するのが考察 に便である。 言 うまでもなく「実体基準法」 にあっては先ず立木資 産額 が販売時価基準によって評価 され,その額 から立木 育成原価 (再生産原価)を控除 したものが立木増価額で あるとするいわゆる控除法 にもとずいている。従って同 じ方法によって当年度の貨幣価値変動積立合計額 は立木 資産時価額のS%で
あり,その金額 から立木育成原価のS%の
金額 (立木育成原価 に対す る貨 幣価値 変動積立 額)を控除 した差額をもって立木増価の貨幣価値変動積 立額 とするのであり,そ の積立額はまた立木増価のs%
の金額でもあるから,「実体基準法」の とる控除法はここ では表面的計数的には成立するかに見 える。 しかし年 ら,ここに見逃 し得 ない問題 が存在 している と見 られる。すなわち,この設例の場合 においてみるに, 立木育成原価の個別価格水準は不変 としているのである から,再
生産の維持は当然可能でありもとより個別価格 変動積立額 をこの場合新たに計上することは無用である が,一
般物価の上昇が前提 とされていることによる貨幣 価値変動積立額はこのよ うな場合必要 かどうかその理由 は何かなど,「実体基準法」では殆んど明 らかにされてい ない。「実体基準法」 における計算例 では便宜上のこと とは思 うが,貨
幣価値変動額 を立木育成高に貨幣価値変 動率を乗 じて算出 した金額 とし,これをもって再生産維 持積立額 としているに止 る。 その計算の前提条件は全 く明 らかにされていないが, それは明 らかに立木育成価格騰貴率一一般物価騰貴率で なければならず,そ の極めて特殊 な条件の もとにおいて は,「実体基準法」の計算例では分配可能利益 としての立 木未実現増価額 は結果的 には正 しい もの となっている (しか し後 に述べることから明 らかなよ うに,貨
幣価値 変動積立金は立木育成高の0.7%だ け過 少で あり,立本 価格変動積立金は同額過大である)。 ところが設例の場合は立木育成価格騰貴率=0,一
般 物価騰貴率>0で
あり,この場合は如何 なる積立額をも 全く計上せずとも再釣轍よ可能で, 実体基準一生産力基 準 とされている°限 リー般物価騰貴率の如何は何の関係 もなく,立
木育成価格の変動のみが再生産維持や生産力 資本維持に関係があるのであって,立
木育成高 について の貨幣価値変動積立額は無用なはずである。 一方この設例の場合,立
木資産の価格変動は碁である が,棚
卸資産 (生産物)と しての本質を多分 にもつ立木栗村哲象 資産の価格が不変であっても一般物価の騰貴があると, 期首立木資産額 に一般物価騰貴率を乗 じた額だけ貨幣価 値変動積立金に計上 し,そ して取 りくずすべ き立木価格 変動積立金がない場合は立木未実現増価ない し未実現利 益 (分配可能利益
)を
その額だけ減額することによって その積立金を裏付 け,立
木資産全体 (すなわち立木育成 原価 と立木増価の合計額)に
発生 した貨幣価値低落分 を 留保 し得て購買力資本の維持力Чよかられるとすることは 「実体基準法」の最大限可能 な拡大解釈であろう。 このように見て来 ると,立木育成のための投資額 とし て立木育成額 と立木資産額 とは別個の性格 を持つ資産 と する見方 もしくは考 え方が成立するように思われる。す なわち前者は生産給付能力維持 もしくは実体資本維持の 観点に立って立木育成原価の価格変動積立金=再
生産維 持積立金が設けられることによって資本維持がはかられ 後者は擬制的ではあるが購買力資本維持の観点に立って 貨幣価値変動積立金 (および補助的役割 りを果すべ き立 木価格変動積立金)が
設 けられることによって資本維持 がはかられるべ き資産 とみることが出来 るであろう。 ここに凝制的 とする理由は一般 に購買力資本維持では 購入資産 につ き一般的な貨幣価値の変動に修正計算の根 拠が求め られ,実
体資本維持では購入資産の個別価格の 変動 に修正計算の根型 が求 められるとされていることを 想起すると,立
木資産 はあくまで購入資産ではないから に1也ならない。 かくして立木育成額 については貨幣価値変動すなわち 一般物価変動について積立金を必要 とすることはなく, 従って「実体基準法」の「貨幣価値変動分については立木資 産全体の貨幣価値変動分から立木育成勘定の貨幣価値変 動分を控除 した差額が立木増価勘定の貨幣イ面値変動分 と して配賦 される」 と言 う考え方および控除法は実体基準 が自らを規定 している生産力基準 ―→実体維持思考と言 うことと矛盾す る故に成立 し得 ないと見 るべ きである。 このことについて次に更 に詳 しく具体的に検討 してみ よう。 先ず立木育成価格(騰貴率Sc)が年々前年の10%騰貴 し 一般物価が年々前年の8%騰
貴する場合,そ して貨幣価 値変動積立金 と立木育成価格 (個別物価)変
動積立金 に 計上する場合について簡単 な設例 をしてみると,第
2表 のようになる。 この表の示す通 り,10年 間の立木育成高増分52.81万 円の うち,貨
幣価値 変動積立金 に35.22万円が計上 され, 立木育成価格 変動積 立金 に8.81万円が計上 され,残
額 8.78万円が立木育成のための新規投資であり資本金に計 第2表 立木育成価格10%騰貴,一航物価8%騰
貴の場合 年 年 立 木 育 成 高 生 次 錦 け ' Qと aι Qι・aι 貨幣価 立本育成 資本金 値変動 価格変動 (新 規育 積立金 積立金 林投資) 3) 4) 5) ②③
④ 大 主 島 △ 刀 動
立
誡
増
20 0 25.0 21 1 25.5 22 2 26 0 23 3 26 5 24 4 27 0 25 5 27 5 26 6 28.0 27 7 28.5 28 8 29.0 29 9 29 5 30 10 30.0 0.50 0.55 0.56 0 61 0.63 0,66 0 71 0,73 0.79 0.81 0.89 0 88 0.99 0,98 1.11 1,07 1.24 1.19 1.39 1.30 1,00 25 0 -一 ― 1,10 28,1 3.05 2.00 1.21 31 5 3.41 2.24 1.33 35,3 3.81 2.52 1.46 39.5 4.26 2.82 1,61 44 3 4.76 3.16 1.77 49 6 5.31 3 54 1.95 55 5 5.94 3.97 2.14 62.2 6.62 4.44 2.36 69.6 7.40 4.97 2.59 77 8 8.25 5 56 52.81 35 22 8.81 8.78 儡∋ 1)a,一aO(1+sc)と -1.00(1+0.1)ι ただしsc……立木育成価格騰貴率 2)①一Q・・aι―Qι l・aJ l 3)②一Q卜・・aι l×s=Qヶ l・aι l× 0,08 ただしs……'一般物価騰貴率 4)③=Qι l・ar J× (sc― s)一Qι l・aι :× 10.1-0,08) 働 ④=①―②―③Or(Q,一Qι.)・aι上されることとなる
p
次 に立木育成価格は僅 かに3%騰
貴,一
般物価は前例 と同 じく8%騰
貴する場合についてみると,立
木育成高 の数量関係は上例 と同様とすると,立木育成高増分15.32 万円の範囲では貨幣価値 変動積立金済.10万円の計上は 出来ず,過
去の立木育成価格 変動積立金の うち,15,68 万円 を振 り替 え取 りくずすことによって始めて貨幣価値 変動積立金%。10万円の計上 が可能 となり,残
額 は立木 育成のための新規投資であり資本金に計上 されることに なる(表は省略)。以上の 2つ の例示における計算機構 は 言 うまでもなく一般物価の変動 を中軸 とするところの購 買力資本維持計算機構である。 この場合若 し過去 に立木 育成価格変動積立金がなされていなかったら, この様 な 計算機構は機能 しないことになる。実体基準法が生産力基 準 にもとず く実体資本維持の計算機構 を目指すならば貨 幣価値・立木育成両価格変動積立金 を合わせて合計金額 を 算出 し,立木育成価格変動積立金=再
生産維持積立金 と立木資産の物 価変動会計に関す る研究 す る必要があるわけで ある。 ② の場合
.立
木価格 と育成価格 のそれぞれの個別物価 の変動は比例 的で な く,イ固別経済 レベルにおいてはそれ らは夫々別個 に独立的 に変動す ると見て対処す るべ きで ある。そ うす ると,立
木資産 の個別物価変動分 か ら立木 育成原価の個別物価変動分 を控除 した差額 が立木増価の 個別物価変動分 とす る「実体基準法」 による控除法 には 問題 があると考 え られ る。 この ことを簡単 な場 合 につ い て明 らかに しよ う。 た とえば一般物価 の騰貴 は全 くな くまた立木価格の騰 貴 も同様 にないが立木育成原価 の再調達価格 のみ騰貴す る と言 う特殊 な場 合 につ いてみ ると,控
除法 によれば立 木増価の個別物価変動積立金 はマイナスの金額 とならね ばならない。マ イナスの積立金 とは立木増価 につ いての 過去の個男〕物価変動積立金の取 りくず し額 を意味す ると しか解 しよ うがないで あろ う。過去 にお けるその積立額 が不足 も しくは無 い場 合先ず 問題 となるし, また積立金 を取 りくずす と言 うことは当然 それだ け立木の未実現利 益が増大す ることにな り,この ことは更 に問題 となるは ずで ある。 そもそも立木資産 が騰貴 す る場合,将
来下落 す る場合 もあ り得 ると してその事態 に対応 す る目的で, 立木資産の騰貴額 は個別価格変動積立金 (=立木価格変 動積立金)に
計上 し,処
分可能利益額 (も しくは立木未 実現増価額)をそれだ け低 め ることによって資本の維持 (も しくは経営の維持)を図 らん とす るもので あって, 将来 に備 える意図 によるもので あ り,将
来 に関す るもの で あると言 えよ う。 この いわば財務政策が財務会計 と し て認 め られる限 りで は問題 は ない。 ところが一方 において立木育成原価 につ いてはそれを 再生産原価 を基準 と して再評価 し,す
なわち,過
去の投 資額 たる立木育成原価 を現 在評価時点の価値 通 りに修正 し,同時 に立木育成原価 と再生産原価 (再造林原価)と の差額 に等 しい額 を個別物価 (立木育成原価)変
動積立 金=再
生産維持積立金 に計上 しその ことによって同時 に その額だ け処分可能利益額 を低 め,よって現在 における 再生産 を可能 とし資本の実体的 な維持 を図 ろ うとす るも の に外 な らず,それはいわば過去 か ら現在 に関す るもの で あると言 えよ う。 このよ うないわば異 質の もの を不離一体 の もの として 控除法 によって関連ず けることは理論上出来 ないと言 う べ きで あろ う。 す なわち立木資産全体 としてはたとえば個別物価 (立 木価格)の
騰貴 はな く,従
って立木資産全体 についてそ の積立金の計上の必要性 はな くとも,立
木育成原価 に騰 貫 があれば,それに対応 す る積立金 を計上 して処分可能 利益額 をそれだけ減額せ しめてお くことが資本維持上必 要で あるか ら,両
積立金の間には直接的関連性 はな く従 って「実体基準法」 によって控除法の採 られ得べ き理 由 は何 ら存 しないはずで ある。 (3)主間伐 が立木育成額,立
木増価額 などに及ぼす影響 或 る林分 につ いて主 間伐 が行 われるときその林分の立 木育成額 や立木増価額 に起 るべ き変化 につ いて考察 す る。 た とえば間伐時 の計算 につ いての「実体基準法Jに
おけ る説明は僅 かに次のようなもので ある(これは個別物価変 動 や貨幣価値 変動の ない単純 な場合 を例 示 としてい る)。 「 第2次間伐 で は材の利用価値 は高 ま り,問伐 による 収穫一立木販売高 が実現 しているので,これ を収益 とし て計上 し, これに対応 す る費用 と して,問伐 率 に応 じた 販売原価分 を計上 しな くてはならない。 なる,当
該分 は 販売実現時 に,立
木資産勘定 か ら立木販売原価 に振 り替 えられ,また,関伐 本 にかかわる立木未実現増価勘 定は, 販売実現時 に実現利益 に振 り替 え られ るPと。 この ことを具体 的 に見 るために,間
伐前の立木資産1∞ (内訳;立木育成40,立木増価60)の林分 を間伐率20%
で間伐 す る場 合 につ いて仕訳 を示す と次の如 くなる。 (借方)現 鋭0(貸
方)立 木 販 売 高20 借 っ 立 木 販 売 原lW20鑽
翔 垂 奈 雇 籍ど (借方)立木未実現増価12(貸
方)立 木 販 売 益12 これを図示すると第2図 の如 くなる。 刑 併 〔問伐前〕 現 金 (立木 代) 立 木販 売 益 ―処 分 可能 12 利 益 資本 8 立木増価 60 立木未実 現 婚価48 立木育成 40 資本40 立 木 ¬ 成 32 第2図 間伐 の諸勘 定の変化(物価変動 の無 い場 合)栗村哲象 しか しそこには問題 が存 在す ると思 われ るかも知れな い。す なわち
,間
伐 が行 われ る度 に間伐 率 に応 じて立木 育成勘定残 高は減少 して行 く。伐期 が到来 した時 その減 少 した立木育成高を上廻 る立木資産額 は立木増価額で あ り,そ れは同時 に立木未実現増価額で あ り,立
木 が販売 され ると,それは処分可能利益 としての立木販売益 とさ れ, もしその利益が処分 され現金支 出され ると,そ して 再造林のため に留保 されるべ き資金 はその減少 した立木 育成額相 当額 とすれば,この資金では物価 の変動 がない とい う仮定の もとにあって も再造林 は出来 ない と言 う危 惧 が生ず るかも知れない。 しか し乍 らこの危惧 は無用で ある。 この場 合不足 す る と思 われ る資金 は,実は既 に間伐の都度,留
保 されて い る。す なわちた とえば第2回の間伐 につ いては上 記仕訳 か らも分 るよ うに問伐木売上額の現金20万 円か ら,立木 販売益12万円が全部利益処分 され現金支出 されるとして その残額8万円が結果 として内部留保 され,その後 問伐 の都度 この様 に して資金は自動的 に現金 の形で内部留保 されるか ら造林資金の不足額 は生 じない機構 となってい るので ある。 しかも第2図か らも分 るよ うに内部留保 さ れるべ き売上代金は利益 に相 当す るもので はないか ら資 本増 とはな らず,資本 は依然 として不変 (32万円+8万
円=40万円)で
あることは注 目に値 す るで あろ う。 以上の考察 は,間伐 につ いて,そ して一般 の物価変動 およ引 固別物価変動の ない場合 につ いてで あるが,それ らに変動の ある場合 につ いて,また主伐 につ いて も類推 し得 られるので説明および検討 を省略す る。 いず れに して も立木の販売 に関 しては立木販売益 とし て取 りくずすべ き立木未実現増価 が妥 当な限 り「実体基 準法」 に問題 はないと言 うことが出来 る。 しか しそれが 必ず しも妥当で ないことは既 に見 た通 りで ある。 結論 以上 の詳細 なる検討 によって「実体基準法」 なるもの の本質が明 らかとな り, そのす ぐれた長所 と同時 にその 方法の もつ矛盾 や問題点 も明 らかとなった と思 う。 それ をまとめてみ ると次 のよ うで ある。 ① 実体基準法 にあっては立木増価額 を把握する場合, 立木資産額から立木育成原価 を控除 した残額 をもって立 木増価 とす る控除法によっている。 ここに若子の問題がf太在す るはずである。 先ず控除法 によって立木増価額 を把握する場合
,検
算 に不利である。加算法 もとり得 ることが明 らかにされる べ きものであり,双方の算出結果の一致によって計算が 確 め られるべ きもので あるはずで ある。一法 に限 る場合 はむ しろ加算法の方 がよ り理論的で あると言 えよ う。 このことを換言すれば立木増価額 を差 引残額す なわ ち 純額 と して算出 し,これを表示す ることは純額表示 にも 通 じるところがあ り,会
計原則 た る「総額表示の原則」 に反す る点 があるとも表現 し得 よ う。 この ことによって結局次の問題 が生起 す ることになる。 す なわ ち控除法 によると立木資産額 が立木育成原価 に満 たないときは資料 として表面 に表 れて来 ない。「 実体基 準法」 の 目指 している多 くの経 営情報 を提供す る目的 を 充分果すため には,立
本資産 が如何 なる大 きさの金額の 場 合で あって も情報 と して提供 される様 なもので な くて はならないで あろ う。 そのためには,立木資産額 と立木育成原価 とが夫 々独 立 に把握 され表示 されな くては な らないことになる。 ②「実体基準為 は自らを生産力基準による方法であ り,生
産給付能力を継続的発展的に維持するための基準 による方法であると規定 している。もしそうであればそ れは少 くとも実体資本維持の観 点に立つ もの と言 えよ う。 然 らば育林投下資本 (立木育成原価)の
把握は実際原価 基準 によらず再調達 (再生産)時
価基準 によるべ きは当 然であるが,そ こでは立木育成原価の価格変動のみが関 係 し,そ の再評価修正 を必要 とす るのみであって,一
般 物価の変動 とは関係はないわけで ある。 しかるに「実体 基準れ は育林投資原価 (立本育成原価)に
ついても一 般物価の変動 (貨幣価値変動)を
関連づ けよ うとしてお り,実
体資本維持の立場 に立つ としなが ら他方 において 購買力資本維持の立場 にも立たん とす るものの如 くであ る。すなわち立木育成原価 について一般物価の騰貴時に は貨幣価値変動積立金 を計上せんとしているからである 購買力資本維持 と言 うことは言 うまで もなく,既
に投下 されている資本の有 していた一般的購買力を不変のまま で資本回収せんとするものであるが,回
収 した資金の再 投資はその再生産 に当てられるのではなく,不
特定一般 的であることを意味する。 もしもその再生産力を維持 し て行 こうとすれば回収 されるべ き資本は貨幣価値変動 に よって修正 された一般的購買力によるものではなく,個
別物価 (立木育成原価)の
変動 によって修正 されたもの でなくてはならないはずで ある。 ところで「実体基準洵 はまた一方 において販売時価 基準に基づいている。すなわち立木育成原価 をその内に 含むところの立木資産 を販売時価で評価せんとするもの である。そしてその販売時価 (販売見込額)よ
り立木育 成原価の再調達時価 を控除 したものすなわち立木増価額立木資産の物価変動会計に関す る研究 よリー般物価上昇分およびそれを上廻 る立木価格上昇分 を夫々の積立金に計上する。このことから立木増価 につ いても購買力資本維持 と同時 に実体資本維持 をもはかろ うとするものと考 えられよう。 しかし
,立
木増価の実体資本維持 とは何か,と 言 うこ とが先ず検討 されねばならない。 一般に実体資本維持 とは費用の時価評価 を要求するも のに他ならず,資
産の時価評価を意味す るものではない とされている121ょぅに,立木増価 もしくは立木資産の時 価評価とそれに基づ く個別物価変動積立金の計上は実体 維持 とは関係がないと言 うことになる。 しかしその時価評価 および積立金の計上は単 に多元的 会計情報の提供を意図 しているに過 ぎないとも言い得 な い。何故なら時価評価 と積立金の計上によって立本未実 現増価,従
って分配可能利益が決定 される計算構造 とな っているからである。 このように「実体基準法」の目的 とす るところはあい まいであり,立
木資産 を立木育成原価 とそれを上廻 る立 木増価とに分離することにより,そ の方法・手続 にも混 乱や複雑 さを来た していると言 えよう。 ③「実体基準尚 において立木資産 について購買力資 本維持がはかられると見る場合問題が在る。一般物価や 立木価格 などの物価の変動が回帰的でな く,特
に一般物 価は長期的に一方的に騰貴をみる現況下 においては,立
木売上高に占める貨幣価値変動積立金 に計上 される額が 大部分であり,処
分可能利益も しくは正味の成果に相当 す る立木未実現増価額は僅 かな部分 に過 ぎない結果 とな り,現
金がますます蓄積 されねばならなくなることは明 らかである。/
しかしながら立木資産の うち販売 された立本の売上高 より再造林 に要する価額 を控除 した額は,そ の中身が価 格騰貴によるもの (貨幣価値変動積立金や立本価格変動 積立金に相当する金額)で
あれ,立木の材積・形質の成 長によるもの (立木未実現増価)で
あれ本来すべて育林 投資の成果 (=処分可能利益)と見 る見方も充分成立つ べ きものである。 立木資産 について購買力資本維持 をはかること,す
な わち貨幣価値変動積立金や立木価格変動積立金の計上は, 成果の内容 を示す情報提供の役割 りはあっても,実
際上 特に処分可能利益の決定上に機能することには問題があ る。理論的に見ても立本資産 もしくは立木増価 について の真の意味で購買力資本維持 をはかることは出来ないの ではないかと思われる。 以上の如 く検討 して来 ると「実体基準れ は理論的に も実務的にも常に必ず しも最良最適 なもの とは為 し得 な いであろう。 そこで「実 体 基 準 法 」の目指す ところを理論的にも 実際的にも充足すべ き方法 は何かが問われなければなら ないが,次
はその一つの試みである。 まずその基本的な考え方 としてはインプ ッ トとしての 生産手段 (生産設備 としての固定資産)と しての投資に よる造林資産 と,アウ トプットとしての生産物 (棚卸資 産)の
ス トックとしての立木資産は物質的には不離一体 のものではあっても会計上は概念上別種の資産 として区 別 され得 るであろうp
前者は再調達原価 (再生産原価)で
評価計測 され,実
体資本維持がはかられる。後者は販売時価で評価計測 さ れる。 前者 と後者は共 に資産であるが後者は如何 に正確 に算 出 してもあくまで未販売 (未実現)で
あるから,貸
借対 照表貸方勘定 としての立木未実現価値働定 を設定 し同額 を借方勘定の立木資産勘定 と共に対照的に同時 に計上す ることによって未実現収益の計上 を避 けつつ,資
産の状 態 を明らかにすることが出来 る。 前者 については再調達原価で再評価 される時,評
価差 額は立木育成原価変動積立金 (一再生産維持積立金)が
設けられて計上 される。 具体的に本法を極めて簡単且つ一貫的に例示す ると次 の如 くである。 某林業経営の開始貸借対照表を次の如 く仮定する。 期中の取引は次の如 くであったとす る。 育林のため現金支出(50).資産勘定 としての造林資産 働定を設け計上する。 (借方)造林資産50(貸
方)現金勘 定50
立木の販売時価評価 (1501 (借方)立木資産lrm(貸
方)立木未実現価値150 造林資産勘定の立本育成投資額 を時価 (再調達原価) で評価 し修正 (13)す る。 (借方)造林資産13(貸
方)再生産維持積立金13 立木蓄積 (面積)の
■を現金販売 (50)た だ しこの場 合,立
木価格変動積立額は立木未実現価値の取 りくず し 額のたとえば20%と する。 (借方)現 金側 (貸方)立 木 資 産50 船 方)立木未実現価Th50佼
方)綸
騒扉盈♂弼栗オ子哲象 (借方)造
林
費
21(貸
方)造 林 資 産21 (又は(借方)造 林 費21(貸
方)現金21) 決算貸借対照表 と損益計算書 は次の如 くなる。 見方 が或 はな されるか も知 れない。 しか し,たとえば固定資産 の減価償却 引当金 を計上す る場 合 につ いてみ ると,この引当金 の計上額 だ け総 資産 を大 きくしているが
,現
代会計学の一般 的立場 で あると ころの動態論的立場 か らすれば これは正 に認 め られ るべ きもの とされている°の と同様 に,本
法の場合 も正 当で あ り是認 されるべ きで あると考 える。1)新
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