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香川県のヒシ属の調査報告 第2報-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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香川生物(ぬgawa Seibutsu)錮:35−39,1983・

香川県のヒシ属の調査報告第2報

坂 口 清 一 干760 高松市番町3丁目19−4

ARepor・t on the GenusThpain Kagawa Pr・fectur・e,Japan(2)

SeiichiSAKAGUCIII,3−19−4,Bα花Ch5,TbkαmatSu 760,Japan 後突起(下位角)に長いものを生じ,7サ叩αは雑種 をよく作ると報じた。さらにヒシと変異型Cの 混生泡に1mm∼10mmと大差のある前後突起を生 じた。ヒシとオエビシの混生他のヒシの前後突 起の長さの変化は少ない。変異型Aとオニビシ の混生他のものは変異型Aの前後突起の長さに は殆ど差はなく1mm内外である。 香川県内の7サ叩α属植物は開花期近い頃まで 伸び,以後20cm位増水し水を被ぶる白が続くと 伸びず枯死する。例として源氏池のヒシ,高柳 他のオエビシとヒシがある。 香川県内7サ叩α属植物の1日の日照時間と成 長関係をみると,ヒシと変異型Aは9月初め頃 (1日の日照時間12時間50分)より,10月末(1 日の日照時間10時間50分)まで完全に開花結実 する。ただし10月下旬頃のものは突入悪く水に 浮くものが多い。山等のため1日の日照時間が 短いと,開花結実期もおくれ10月上旬頃(1日 の日照時間11時35分)より葉が落ち始め,10月 下旬にはなくなる。例として前者では池坊他の ヒシとハミ 他の変異塾Aであり,後者としては コモ他の変異型B,前他のヒシである。 オ・エビシと変異型Cは9月中旬より10月中旬 (1日の日照時間11時間15分)までが完全な開 花結実期である。 県下全域にわたり,ジュンサイハムシ鎚針 m¢βヱgα花物poケ乙e耽β宜βの食害を大小の差はあ るが受けている。 (2)香川県産乃・叩α属植物の葉・茎・花の形態 的特徴。 乃●叩α属植物は同1種でも菓の形・着生毛は 多葉である。生態の日照関係で記したように, 同じ池の同1種でも,幼葉一閃花期菓(節間が まえがき 1982年5月1日より11月17日まで,ヒシ属 γ7●叩αの生えている香川県内69のため池におい て,ヒシ属の形態・生態の調査をおこなった。 この年の降雨期は例年と異なり,例年であれば 6月よりため池の水が減水するが,1982年の調 査時には6月には増水がみられた。また例年で あれば,9月l頁よりほとんどため池の水がなく なるが,1982年の調査では9月に増水したりし て,ヒシ属が全滅したこともあった。 今回は,ヒシ属乃●叩αブ叩0鵬cαFler・0Vと, 大、形の変異型Aおよび変異型B(坂口,1982に おける仮称“サヌキビシ’’)と,オ・ニビシア.

natans L.var.japonica Nakanoと小型な 変異型Cの調査をおこなったので,第2報とし て報告す−る。 稿を始めるに当たり御懇切に多種の植物につ いて御指導下さった京大村田源先生,水草研究 会長大滝末男先生,調査に何かと御協力された 中舞京氏,≡瀕傭氏,谷本省≡氏に深謝申し上 げる。 調査方法と調査地点 調査方法は第1報(坂口,1982)と同様であ る。調査地点は囲1に示す。 調査結果と考察 (1)香川県産7サαpα属植物の生態と分布(図1)。 前記のヒシ属植物は各々単生する外,ヒシと オニビシ,ヒシと変異型C,変異型Aとオエビシ の混生池があったが,変異型Aと変異C・オ・ニ ビシと変異型Cの混生池はない。そして第1報 (坂口,1982)で単生地より混生他のヒシの果実の前 ー35−

(2)

図1香川県内調査地.1:三豊郡高瀬町下勝間:三御上池−ヒシの単生地・2:同所:上池−ヒシの早 生池・3:同所‥コそ池−チシと変異型Cの混生池・4:同所:長池−ヒシと変異塾Cの混生池・5 :三豊郡豊中町:北池−ヒシの単生地.6:同所:普入池−ヒシの単生地.7:同所:鴻池−オニビ シと変異型Aの混生池.8:同所:蓮池−ヒシの単生地.9:観音寺市粟井町:坂瀬池−ヒシの単生 地.10:三豊郡山本町川原:川原池−ヒシの単生地。11:仲多度郡満濃町:満濃池−オニビシとヒシ の混生池.12:同所:五\毛:小池−ヒシの単生地」・13:同所五.毛‥小池−ヒシの単生地.14:同所炭 所西:金剛院谷池−オニビシの単生地ル15‥同所羽間:大隠−ヒシの単生地。1ウ‥綾歌郡綾歌町岡田 上:小池−ヒシの単生地.17:同所市地;市地池−ヒシの単生地・18:綾歌郡綾南町大原:皿池−オ■ ニビシの単生池.19:綾歌郡国分寺:赤石地−ヒシの単生地.20:高松市中山町;泥池−ヒシの単生 地.21:同所:クエ池−ヒシの単生地い22:同所;袋池−ヒシの単生地。23‥綾歌郡国分寺町下福家 :産四郎上池−オニビシの単生地.24‥同所:中池−ヒシなし.お:同所:産四郎池−ヒシの単生地 26:同所石舟:楕池−オニビシの単生地.27‥高松市一層町‥辻堂池−オニビシとヒシの混生池い28 :香川郡浅野町:小池−ヒシの単生地.29:同所:小池−ヒシの単生地。30:同所:馬浜津池−ヒシ の単生地巾31;同所:小池−ヒシの単生地…32:香川郡川東町:新地−ヒシと変異型Cの混生池・33 :高松市仏生山町:仏生山池−ヒシの単生地.34:香川郡浅野町方塚:万塚池−ヒシの単生地・35: 高松市三谷町:カラ谷前池−ヒシの単生地.36:同所通谷:小池−ヒシの単生地・37:同所:小池一 同上.38:同所:三郎地−ヒシと変異塾Cとの混生り39:同所:ナマズコン池−ヒンの単生地.40: 高松市西棟田町池田:ナマズコシ上池−ヒシの単生地..41:同所:カゴ池一同上.42:同所:下池一 同上.43:同所:上池−ヒシと変異型Cの混生.44:同所:豊年池一同上..45‥同所コそ池一変異型 Bの卑生池..46:高松市新田町:新田池−オニビシと変異型Aの混生池.47:同所:谷池−オニビシ の単生地.48:同所:ハミ池−オニビシと変異型Aの混生池.49:同所:床屋池一変異型Aの単生地 50:同所:カラ池一同上.51:高松市川島町中:ミツ池−ヒシの単生地‖52:木田郡牟礼町八乗:源 氏池一同上..53:同所;高柳池−オニビシとヒシの混生池.54:同所:川池−ヒシの単生地.55:同 所牟礼:池坊池一同上.56:大川郡志度町鴫庄:野上池一同上.57:同所尾形:上池一同上。58:同 所:下地一同上.59‥同所羽立峠‥上池一同上い60‥同所:下地一同上・61:高松市川島町竹林:石 舟池・−ヒシと変異型Cの混生池.62‥大川郡長尾町下所‥金適地一変異型Aの単生地。63:同所:青 木池−オニビシの単生地.64;大川郡津田町西滝山‥下池一変異型Cの単生地り65:同所:中池一同 上.66:同所:上池一同上.67:大川郡大川町富田中;田鍋池−ヒシと変異型Cの混生池.68:同所 松尾:宝池−ヒシの単生地.69:大川郡引田町引田:中山池−ヒシの単生地い

(3)

図2 標本の写其.1.ヒシ:1982年10月26日池坊池採集・ 2.変異塾A:1982年10月10日ハミ池採 集. 3.変異型B:1982年9月12日コモ池採集. 4.オエビシ:1982旬,0日17日青木池採集. 5.変異型C:1982年9月12日三郎池採集. 6.果実:上面と側面.淡色の部は果皮を取った所. a.変異型A,b.変異型B,C・ヒシ. 7.同上‥d。変異型C,e.オニビシ.図中のスケp ルはユ′−5は5cm,6∼7は1cmを示す。 ー37−

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きく,がく片に′ヒシと変異型Aと変異型Bに長 短の差がよく見える。 (3)香川県産乃Ⅶ卵属植物の果実の形麿。 果実の左右突起刺(上位角)長・左右突起刺 の角敵 前後突起刺(下位角)長・前後突起刺 の角度,高さ,厚さの測定の平均値を図3に表 す。オニビシの果実00:ハミ池(変異型Aとの 混生)・鴻池(同上)・高柳池(ヒシとの混生) ・辻堂泡(同上)・青木池と橘池(学生)。変 異型Cの果実90:石舟池と三郎池と長池(ヒシ との混生)・雨海中泡(単生)。ヒシの果実72 :石舟池と高柳池と辻堂池(前記),池坊池(単 生):変異型Aの果実72:ハミ池と鴻池前記, 金適地と床屋池(単生)。変異型Bの果実72: コモ池(単生)。 オニビシと変異型Cの果実の比較(図2−7, 囲3)をみると]図3のように,オニビシ が変異型Cより大形である。左右突起刺間角度 の平均値のようにオニビシは水平近く∼と,変異 型Cは10dO近くに出るものが多い。頂冠は, オニビシでは上に出ず,変異型Cでは上に出る。 オニビシの左右突起は太く急に細くなり,変異 型Cでは細い。突起刺は全体比で変異型Cの方 が長い。囲に現れないが果実のちぢれ毛は早く 落ちビロ・−ド状毛だけとなり,果実の色は緑色 より変異型Cは−・般に黒味を増すだけだが,オ ニビシは紫黒くなる。オニビシの内果皮は紫味 が強い云果柄の幼生は多毛で成長と共に粗毛と なることは似ているが,オ・ニビシが太く長い。 ヒシと変異型Aの比較(図2−6,図3)を みると,図3のように変異型Aが大形である。 左右突起刺間角変値のように変異型Aは左右突 起が左右水平に,ヒシは左右が1000 近くに出 るものが多い。前後突起長は変異型Aは11mm, ヒシは0∼10mmと大差がある。頂冠は変異塾A では上に出ず,ヒシでは上に出る。左右突起は 変異型Aでは太く,ヒシは細く刺はヒシが全体 比で細長い。囲に現れないが果実のちぢれ毛は 早くおちビロード状毛だけとなる。果皮は乾燥す ると緑色よりヒシは−・般に黒味を増すだけだが, (節間短く太い茎)・枝茎葉b型菓(節間短く 細い茎)−ロゼット菓の外囲の落ちる期一枯れ る前と,葉形や着生毛が変化し,同定難の菓を 生じ,ジュ.ソサイハムシの食害でもあれば一層 向定難を生じる。 ヒシの葉(囲2−1)は第1報(坂口,1982) に記したもの以外にa型菓で長さ58c皿・幅83 cm・片側鋸歯18箇と,大形菓があり,着生毛に ついても,葉柄上部の下面と縁と葉裏脈上は多 毛で,浮のう葉柄下部へと毛が少なくなるのが 基本である。 変異型B(図2−3)ではロゼット菓は大き く左右の丸味のある菓が少ない。完全葉a型で は左右の円味を増し,片側鋸数15,浮のうの径 7Inmのものもある。 変異型A(囲2−2)では,完全菓a型はヒ シに似ているが大形で,最大菓では変わらない。 菓身左右長45・〉8c恥 長さ35∼6cmで,ヒシ より下半三角形に円味が少ない。片側鋸歯13∼ 21,葉柄長10∼20cm。浮のう径5∼10mmで,着 生宅はヒシに似て葉柄に赤味を帯びることが多 い。 オニビシの葉(図2−4)では,完全菓a型 は変異型Aに似て,葉身の左右長4∼7c皿・長 さ35・・−6c恥 片側鋸歯10∼20で,左右の丸味 が少なく,左右長:長さの此がやや大きい。着 生毛と葉柄に赤味を帯びることは変異型Aに似 る。 変異塾Cの菓(図2−5)では完全葉a塾は 前記4種より小さく葉身の左右長4∼65c叫 長さ3∼45c皿,片側銀歯10一∼20で,下単三角 に円味がなく,葉柄長8∼15c皿,浮のう径3∼ 7mmで,着生毛はヒシに似るも葉柄下半が多毛 のこともある。 茎は開花結実期になると節間がなくなり,同 一・円周上に数菓a型がつき太くなり,枝などで 細くても節問がなくなりb型菓をつける。水中 板は−・般に下部1節より板と共につけ,4節頃 より水中棍のみとなる。水中根は葉柄のつけ棍 の左右に1対出すのが基本で,時に2∼4対も

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Cm 図3 謝定した果実90薗の平均値… a:左右突起刺間長,b‥前後突起刺間長:前後突起長,C:高さ, d:厚さ,e:左右突起刺間角,f:左右突起間長,g:前後突起刺間角.1:オエビシ,2:変 異塾C,3:ヒシ,4:変異塾A,5:変異型B. Cは中野(1964)のコオニビシに似た点が多い。

引用文献

岩田重夫・1939・ひしの新品種.植物研究雑誌 15(4):245−252. 中井狼之進・1942‖ 東亜植物拾遺(其ニ寸十・). 植物研究雑誌18(8):421−437. 中野治房。1964.日本および隣接地域のヒシ属 についての追加研究.植物雑誌77:159−167。 坂口清一・.1982.香川県のヒシ属の調査.第1 報。香川生物 仕ゆ:13−17. 色が強い。果柄は幼生の多毛より粗毛となるこ とは似ているが変異型Aが長大である。

変異型Bの果実の特徴(図2−6,囲3)を

みると,ヒシに似ているが突起刺が内曲した果 実がやや大きい。前後突起の長さでヒシは0′、〕 10mm,変異型Bは:6∼10皿mで,ヒシの方は差が 大で変異型Bは:差が少なく−・定に近い。頂冠は ヒシより変異型Bが高く出て,内突起辺(肩) が下がるため−・層頂冠の高さが目立つ。 これらの形態で,変異型Aは中井(1942)の トチビシ,岩田(1939)のミヤコピシ,中野 (1964)のアカミビシに似た点があり,変異塾 −39−

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