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日本の地域メディアにおける地域情報形成過程に関する考察 : CATV自主制作番組制作責任者意識調査を媒介にして

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CATV 自主制作番組制作責任者意識調査を媒介にして

牛 山 佳 菜 代

英 美

川 又

目 次 はじめに 1. 本研究の背景及び目的 2. 調査概要及び回答局の特性 3. CATV 自主制作番組の制作環境 4. CATV における住民参加の現状および課題 5. CATV におけるジャーナリズム おわりに はじめに 本研究は,日本の CATV 局 の制作動向を把握する目的で実施した制作者意識調査の成 果をまとめ,制作者の立場を踏まえて,地域情報の生成過程の一端を明らかにしたものであ る。これまでも CATV 局に対する調査は多く行われているが,自主制作番組の制作動向及 び制作者の制作に対する意識まで踏み込んで実施した全数調査は初めてであり,現在大きな 変動の時を迎えている CATV 局の自主制作の状況を明らかにし,今後の方向性を検討する 点において,非常に有効な結果が得られたと考えている。 1. 本研究の背景及び目的 今日,CATV は,大きな変動の時を迎えている。フルサービス化,光化・広帯域化,デジ タル化が進められており ,技術的な進展が著しい。その一方で,CATV の主要な機能とし てこれまで考えられてきた地域情報の提供が不可欠なものとして位置づけられなくなってき た。これまでは,制作条件が整わない中でも CATV と地域情報は切り離せないものであり, 各局が独自性を活かした番組づくりを進めてきたが,今日の状況を見ると,大規模化が進ん

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でいる中で,自主制作の圧縮・休止を行う局も珍しくなくなってきた。とはいえ,非常に少 人数で運営されている CATV 局においても,様々な工夫をこらして,積極的に取り組んで いる局もある。そのような状況を踏まえると,まさに,今,CATV の自主制作番組の意義が 問われているといえよう。 CATV における地域情報は,非常に貴重なものであり,CATV 局自身がこれから生き残 っていく上でも非常に大きな役割になるはずである。地域コミュニケーションの観点から言 えば,CATV の自主制作番組はマスメディアでは果たすことができない「不断の生活情報の 提供による環境監視とその確認 」が映像情報として可能であるため,地域にとって欠かせ ないものであるはずである。では,なぜ上記のように自主制作番組の縮小が進んでいるのか。 その要因のひとつとして,CATV 局自身が自分達の制作している地域情報の意義について 意識していないのではないか,ということが考えられる。とはいえ,これまでの論考を見る と,CATV については,経営状況の調査,視聴者側からは加入要因の調査等が多く実施され てきているものの,制作者の意識から制作状況の現状の抽出は事例調査にとどまるものが多 く ,全体的な傾向は明らかになっていない状況にある。 そこで,本調査においては,全体的な動向及び制作者の意識を明らかにすることを目的に, 日本の CATV 局の全社を対象としてアンケート調査を実施した。本稿においては,この調 査結果を中心に,CATV における地域情報の生成過程の一端を明らかにし,CATV におけ る地域情報の意義について示していくこととしたい。 2. 調査概要及び回答局の特性 2―1 調査概要 本調査は,2004年 7月から 8月にかけて,日本全国のケーブルテレビ局を対象として,ア ンケート調査形式で実施した。全国の CATV 局全局を対象とした理由は,各局の取組みは 差異が大きいと考えられるが,これまで全局を対象とした調査が実施されてこなかったため, 全体的な動向をまず把握し,今後の調査資料として役立てたいと考えたことによる。 対象は,日本ケーブルテレビ連盟及び有線テレビジョン協議会の双方,またはどちらかに 加入している局を対象とした 。都市型から農協,有線組合までが含まれるため,ほぼ全体を 包含できたと思われる。なお,回収率は,有効発送数 585通のうち,247社より回答があった ため,42.2% となった 。 次に,本調査の質問項目については,大きく 3つの視点から構成した。CATV 自主制作番 組の制作環境,住民参加,地域ジャーナリズムである。すなわち,制作環境の現状を把握し た上で,これまで CATV における重要な機能として考えられてきた“住民参加”の現状およ び可能性,CATV において語られることの少なかった“ジャーナリズム”機能の現状および

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可能性を探っていこうという趣旨である。 2―2 回答局の概要 次に,本調査の回答局の特性について述べる。回答局を形態別に見ると,都市型が約 4割, 経営形態では,第 3セクターが 5割弱である。したがって,大部分の CATV において,自治 体が経営に関与している状況である。また,自主制作番組の放送を開始した年代を見ると, 91年から 95年の間が最大となっており,10年前後経過している局が多い。自主制作番組の 制作において,ある程度のノウハウが蓄積されている局が多い状況となっている。 2―3 制作責任者の特性 次に回答者の特性を見ていく。本調査対象は「制作責任者」に限定しているため,①回答 局における自主制作番組の制作状況をトータルに把握,②回答局を代表する者の回答により, 今後の方向性を把握,③自主制作番組の制作がどのような地位の人物によって決定されてい るかを把握可能である。したがって,本調査の回答者の特性を明らかにすることは,CATV 局の自主制作がどのような出自の人物に担われているか,という点を明らかにしたものでも あるともいえる。 特徴としては,男性が中心であること(約 9 割),30代から 40代が多く,比 的若い層が 中心となっていること等が挙げられる。また,大きな特徴としては,放送エリア内及び同都 道府県内の出身者が約 7割強となっており,多くの局の制作が,地元出身者の手で作られて いるということが挙げられる。したがって,地元を良く知っている者が地元密着型情報を形 成するという,マスメディアにはない優位性が生じていると言えよう。 また,制作責任者の経験職種を見ると,新卒入社による現職は約 1割強であり,自治体直 営における自治体職員,運送業,金融業,保育関連などの多様な業種の経験者が含まれてい ることから,他業種から参入しやすい傾向がうかがえる。また,民放局,制作会社など,制 作経験を有する者が転身している割合も高いことも特徴の一つとなっている。 (牛山 佳菜代) 3. CATV 自主制作番組の制作環境 3―1 はじめに 全国の各 CATV 局は,NHK や民放局に比べ小規模経営であり,自主制作番組 を担当す る制作スタッフも少数である。そして撮影から編集,原稿など,番組送出過程までの全てが 一人のスタッフによって担われていると言っても過言ではない状況である。ここでは, CATV 局における実際の制作環境を把握するため,どのくらいの制作スタッフが,各地域の

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コミュニティ番組の制作に携わっているか,その人数を把握し,実際の番組数,内容につい て検討し,また他メディアとの協力関係の現状を把握していくことにする。 3―2 制作スタッフの構成 アンケートの有効回答が得られた 244(100%)局の制作スタッフ人数を単純に合計すると その総数は,1,573.5人となった。ただし各局で人数が違い,1局あたりの最小スタッフ総数 は山口県 K 施設の 1人,また反対に最大スタッフ総数は岡山県 K 局の 32人である。また総 数の 1施設あたりの平 人数は,6.8人となる 。都市型ケーブルテレビが普及した当時, CATV 局は 4∼5人と少人数で運営していた。あれから 15年,CATV の制作スタッフの人 数に関する現状は今日でも,さほど変化がないことがわかる。 次に男女比の構成をみてみると,男性 923人,女性 589 人となり,6割以上が男性スタッフ という現状が浮き彫りになった。これは,番組制作スタッフという職業柄,取材時でのカメ ラや三脚などの収録機材を持参しないといけない,また長時間取材,収録など体力勝負とい う現状を考慮すれば,男性が多くなるのかもしれない。しかし女性が 4割近くいるというこ とは,制作現場でも女性が活躍している現状を見過ごしてはならない (図表 1参照)。 一方,制作スタッフの構成を社員か,あるいはアルバイト,契約,派遣社員を含む非社員 か,またはボランティアかで分類してみた。なぜなら制作決定権があるのは,多くの場合, その局の組織に属している社員に委ねられているからである。 その内訳は,社員 1,106(70%)人,非社員は 392(25%)人,またボランティアに至って は,47(3%)人,その他 28.5(2%)人という結果になった。制作スタッフの 7割が正社員 であるということは,自主制作番組の放送において,制作責任者は誰なのか,その責任所在 を社員に委ねることは,地域に根ざしたサービス,あるいは安心感を視聴者に明示すること からも,社員が多くなるのは必然的かもしれない 。一方で千葉県の C 局のように,制作ス タッフ全員が 28人のボランティアで構成されている局もある (図表 2参照)。そして実際 の制作スタッフ人数構成をみてみると,5人以下が 124局(50.8%)と半数以上であることが 図表 1 制作スタッフの男女比 (N=1,512人) 図表 2 制作スタッフの人数 構成(N=244局) 図表 3 制作スタッフの内訳 (N=1,573.5人)

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わかった。また 6人以上 10人以下では,72局(29.5%)となり,10人以上のスタッフで構成 されている局が少ない(図表 3参照)。 3―3 自主制作番組の制作量,内容 そこで,各局の自主制作番組では実際にどのくらいの量の番組が制作されており,どのよ うな内容が放送されているのか,各局の制作量と内容を分析してみる。 自主制作を自社で制作しているか」の問いに対する回答は,有効回答 244局中 231局(94. 7%)で実際に番組が制作されている。また,文字情報のみが 1局(0.4%)であり,反対に自 主制作番組を制作していないが,12局(4.9%)となる(図表 4参照) 。ほとんどの局で,自 主制作番組を自社で制作していることがわかる。 次に,自主制作番組のひと月当たりの制作量について,通常番組と特別番組に分けて本数 を尋ねた。その結果,通常番組の場合,月に 20本以下が 156局(67.5%)と多数を占める。 そのうち 49 局(21%)で 1∼5本と最も多く,続いて 6∼ 10本の 46局(20%)と続く。一 方特別番組は月平 2.9 本となった(図表 5参照)。 ひと月あたりの自主制作番組数が,5本以下の局が一番多いことからも,少人数のスタッ フで,週に一本のペースで番組を制作している現状が浮き彫りになっているといえよう。 また,自主制作番組の主要な 3番組を挙げてもらい,番組タイトル,番組内容,更新頻度, 放送形態として生放送か録画か,そして番組時間数についてそれぞれ回答を求めた。 番組内容については,「ニュース」,「生活情報」,「特別番組」からの分類を選択してもら い,「その他」の場合は記述式で回答を求めた。番組内容によっては,一つの番組でニュース や生活情報あるいは特別番組など,番組内容をはっきり分類することが難しいものもあり, 実際の回答合計は 782番組となった。その結果,393番組(50.2%)である半数以上の番組 が,「ニュース」と「生活情報」である。また「その他」が 211番組(26.9%)となり,その 内容は,議会中継や講演会,行政番組,インタビューなど様々である(図表 6参照)。 番組更新頻度は,「毎週更新」が 254番組(36.5%)と最も多く,「その他」の 170番組(24. 図表 4 自主制作番組の制作状況(N=244局)

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4%),「毎月更新」の 118番組(16.9%)と続き,「毎日更新」は 80番組(11.5%)となる(図 表 7参照)。 そして番組の放送形態については,「録画放送」が 542番組(78.2%)であり「生放送」の 80番組(8.7%)を大きく引き離し,多くの番組では「録画放送」の形態を取って番組が送出 されている現状が浮き彫りになった(図表 8参照)。これは,スタッフが少人数であること, 生放送では中継用の機材の必要性や制作費がかかること,また生放送では間違った報道が出 来ず,万が一思わぬ事態でも早急に対処するスタッフの力量が必要であることなどから,リ スクの伴う「生放送」よりは,編集が出来る「録画放送」の番組が多くなるのではないだろ うか。 以上の点から自主制作番組の制作量及び内容について,番組更新頻度は週替わりであり, 図表 5 ひと月あたりの自主制作番組本数(N=231局) 図表 6 番組内容(N=782番組) 図表 7 番組更新頻度 (N=695番組)

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放送形態は録画方式で送出されるニュースや生活情報といった番組が多く制作されている傾 向がある。また,一局の自主制作番組本数も,毎週 1本ないし 2本制作されている現状がわ かる。 3―4 他メディアとの連携 他の CATV 局との連携について連携を取っているかどうか,連携があるのであれば,「番 組の共同制作」,「コンテンツの共有」,「機材の貸借」「共同取材」「その他」以上の点から制 作協力について複数回答で尋ねた。その結果,「番組コンテンツの共有」が(48.1%),「番組 の共同制作」が(43.3%)と続く。半数近くの CATV 局では何らかの形で他の局との連携を 図っている現状がある。 一方,CATV 局以外の他メディアとの制作協力についてどうか。「コミュニティ FM」や 「フリーペーパー」,「地上ローカル放送」など選択肢を挙げ,複数回答で答えてもらったが, 半数以上の局では「特に連携をはかっていない」(53.7%)と最も多く,続いて,NHK との 連携が 30.7% と続く。これは,NHK ローカル局への番組提供や制作協力,また中継協力な どといった内容の回答が目立ち,実際に NHK の番組に CATV 制作スタッフが協力してい 図表 9 他局との連携(N=231局) 図表 8 放送形態(N=693番組)

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る現状が伺える。また NHK だけではなく,コミュニティ FM,地上ローカル放送,地方紙 など地元と密着しているメディアと複数連携を取っている傾向もある(図表 10参照)。 3―5 まとめ 以上の結果から自主制作番組について CATV 局は,ニュースや生活情報のほか,様々な ことを放送し情報を提供しているが,番組の放送形態は依然として録画放送が多く,番組更 新も週替わりで行っているケースが多いことがわかる。スタッフの平 人数が 6.8人,局の 多くが 5人以下という現状では,番組を毎日更新したり,生放送を実施するには,スタッフ に負担がかかり,実施したくても人数的にもできない現状が浮き彫りにされているのではな いか。 また自主制作番組において,オリジナルに特化されたものを自由回答で明記してもらった。 その回答を見ると,局独自のキャラクターを登場させ,CATV 局のサービスアピールを兼ね た番組,また視聴者参加型番組や市民レポーター,地域の文化伝統の紹介など,視聴者参加 型番組や地域性に特化した,オリジナル れる知恵を絞った番組作りが多く見受けられる 。 (川又 実) 4. CATV における住民参加の現状および課題 4―1 コミュニティ・チャンネルと自主制作番組の発達経緯と現状 以下,住民参加の現状および分析をするにあたって,その根幹となる CATV 自主制作番 組の発達過程及び自主制作番組の現状について詳述する。 日本の CATV は 1955年,群馬県伊香保における地上波テレビ放送の難視聴対策から始ま ったが自主制作まではもう少し時間がかかった。1963年より,自主放送を開始した「郡上 幡テレビ」をはじめに,空きチャンネルを利用して自主制作番組を放送する施設が登場する。 その後も事業基盤が比 的しっかりした CATV を中心に自主制作番組を放送するところが 図表 10 CATV 局以外のメディアとの制作協力(N=231局)

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現れてくるが,そこでは,採算性より CATV 事業者の地域社会に対する思い入れが強く現 れていた。ただ,こういった初期の段階から自主制作番組に取り組んだ CATV のうち,長期 的に続いてきたところは,静岡県の「下田有線テレビ」など,ごく一部に過ぎなかった。 1960年代後半に入ると,アメリカやカナダなどでの CATV ブームに呼応する形で,日本 においても第 1次 CATV ブームが到来する。それは,80年代に入って,郵政省の政策に伴 うニュー・メディア・ブームと連動した第 2次 CATV ブームとともに,CATV の制作基盤 を整え,地域メディアとしての定着を促す大きな背景となる。つまり,日本の CATV の発展 は,その最大の強みである地域密着性を浮き出させることと,そのために自主制作番組を強 化する体制づくりとの関連性の中に置かれていたと言えよう。 実際,早い時期から住民らを巻き込んで自主制作を行っていた「郡上 幡テレビ」,市民運 動の時代的背景から生まれた「下田ケーブルテレビ」の自主制作番組は今でも大いに語られ ており,さらに,1992年より,市民制作の「パブリック・アクセス・チャンネル」を含め 4 つのチャンネルを自主制作番組放送に用いた鳥取県米子の「中海テレビ放送」はいまだ研究 者のターゲットになっている。 近年は,NPO法人になった「むさしのみたか市民テレビ局」での市民活動,「熊本ケーブ ルネットワーク」の住民ディレクターなど,工夫をこらした様々な自主制作番組を作ってい る CATV 局が目立ってきている。 こうした大きい流れの中で,今は殆どの CATV 局が自主制作番組に地域情報を大いに取 り入れている。また,地域住民を巻き込んだ自主制作番組を実際に制作しているところも多 くなってきている。その中では経営上の理由や自局だけのオリジナリティーを求める意図も 読み取れるが,やはり,一番大きいきっかけとは,CATV に―地域メディアとしての地域性 ―が求められているからと言えよう。 また,「ケーブル新時代(NHK ソフトウェア発行)」に連載されている,各局の自主制作番 組が紹介される わがコミチャン>を見ても,各々の CATV 局が自主制作番組の素材として 地域を取り上げているのは共通しているものの,その表現形式には様々なものがあらわれて いる。他局の自主制作番組の紹介や,メディアミックス方式を取り入れている局も目立つよ うになっている。 こういった動きは,CATV というメディアがその地域によって,多様なかたちの物語を持 つ―これはまさに地域の生き物であるために当然なことなのだが―反面,CATV が当面し ている急変する外的環境の中で,自主制作番組も一つの過渡期を経験しているからではない かと考えられる。 また,今後の CATV の大きな課題としては,地上波のデジタルの開始につれて,自主制作 番組のデジタル化への対応が挙げられる。流動的で,変化が速い CATV 業界において,広帯 域,双方向ネットワークによる事業者間のサービス連携,また自主制作番組コンテンツ共同

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利用や,住民参加型番組の充実など様々な挑戦と,新たなる可能性が広がっているとも言え よう。 4―2 CATV における住民参加の現状および課題 1―住民参加への取り組み 今回の調査では,地域情報への取り組みと地域密着度といった CATV の地域メディアと しての機能を念頭において,自主制作番組における「地域住民参加」の現状を把握し,その 役割を明らかにするために,いくつか質問を設けた。近年,CATV における住民参加の意義 が再三浮かび上がっている中,制作現場の意識と現状を直視し,そこから,CATV 自主制作 番組の今後の方向性を見出そうという狙いでもある。 自主制作を行っていると回答した 231局の中,59.3%,137局が何らかの形で「現在,地域 住民参加番組に取り組んでいる」とこたえている。「今は,取り組んでいないが近い将来に実 施する予定である」局 14.3%(33局)も含めば,73.6% とかなり多くの局が住民参加番組に 前向きであると考えられる。 しかし,地域住民参加番組を「過去にやっていたが今はやめた」とこたえた局も 12.6% で あることは興味深い。 こういった「やめた」と,全体の 1割を占めている「取り組んだことはないしこれから行 う予定もない」理由に関しては,自由にこたえてもらったところ,その理由は大きく 3つに まとめられる。 第 1は,人手と財政の厳しさで,近年,CATV 局の経営状況は改善されつつあると言われ ていても,まだまだ,公共チャンネルや事業を拡張できるような状況ではないことを物語っ ていると思える。第 2に,住民の反応が薄いことである。参加する住民らがまだまだ能動的 ではなく,局側の呼び掛けに受動的に応じる形が多い中,住民側全般の番組に参加する意識 的な面がまだ整っていないことが大きい理由としてあげられる。第 3に,制作側の意識の希 薄ということである。意味がない,意義が見出せないという意見から CATV 制作側の意識 の断面を見ることができよう。 図表 11 CATV 自主制作番組における地域住民参加の現状(N=231局)

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その他,放送素材・企画の不足,撮影・編集など放送技術の質が落ちる,といった制作の 外的条件に関する指摘も目立つ。また,CATV 局自体第 3セクター形式が多い中,市民の意 見を取り込むのに消極的で,地元の業務内容,案内放送などを伝える,どうしても堅い内容 になっている傾向があることがあげられた。だが,今後,CATV の経営面でも,自治体資本 が少なくなり,民間資本が入ることが予想される業界で,将来的には地域住民参加を考えて 行きたいという前向きな答えも目を引くものである。 さらに,市町村合併やデジタル化など,今現在,CATV を取り巻く激しい変化の中,社の 方向性が確立していないため,実行できないという答えも,近い将来に何らかの変化を見出 すものと考えられる。 自由回答の内容を全体的に見ると,CATV における住民参加の範囲には局によっては少 し違いが見られる。 住民からの情報提供,住民の希望や取材依頼を番組化する広義の住民参加と,住民らが直 接番組の企画,制作,編集に参加する積極的参加が混在しているが,どちらにしても,制作 者側では真剣に考えられているように思われる。 住民参加内容(複数回答)としては,「地域住民が自主制作番組に出演している」が最も多 く 74.5% を占めており,次に「投稿ビデオを放送している」が 49.6%,「市民レポーターとし て活動している」が 24.1%,「スタッフとして参加している」,「企画に参加している」がそれ ぞれ 16.1%,18.2% となっている。最も主体的参加の形態と思われる「住民が自主制作番組 そのものを制作している」と答えた局は 11.7%(16局)にとどまり,まだ,参加のかたちは 局主導の消極的形態が多いと考えられる。 自主制作番組の制作において,今後力を入れていきたいと考えている部分を聞いたところ, 「地域情報内容の充実」がもっともあげられ,次は「地域情報提供」,続いては「地域住民の 参加」という答えが多く,地域住民参加も CATV の重要な事案として考えられていると思 われる。 しかし,地域情報の内容と量を優先に強化し,その上で,住民参加を誘導しようという姿 勢が見出される。 また,「過去にやっていたが今はやめた」,「今後も予定がない」と答えた局の中でも,「今 図表 12 地域住民参加内容(N=231局)

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後,力を入れていきたい部分」3位には地域住民参加の項目を各 24.1% と 21.7% が取り上げ ており,その可能性をまったく排除できないことと考えられる。 2―住民参加の促進要因と障害要因 以下では,CATV における住民参加を促進する要因と,反対に,障害要因と思われる部分 について,今回の調査結果を基に見ていきたいと思う。 局の放送開始年と地域住民参加の関係では,局が古いほど,「現在,地域住民参加を取り組 んでいる」ところが多く,1990年代以降にできたわりと新しい局では「今後の予定としてい る」ところが多く見られるため,ある程度 CATV 局の制作環境が整った上での住民参加が 現実的には可能であることがわかる。 地域住民参加状況と局の形態の関係では,「現在地域住民参加を取り組んでいる」ところは 局の形態別にはさほど差が見られないが,「近い将来実施予定」と答えた局は「第 3セクター 方式」の農村型が 23.5% と,一番多く,「過去にやっていたが今はやめた」局は第 3セクター 方式の都市型が 20.4% で一番大きく占めている。 また,スタッフ総数と地域住民参加の関係では,「住民参加番組をやっていない」および, 「過去に取り組んでいたが,今はやめた」と答えた多くの局が,自由回答で,「人手の不足」 を理由に取り上げたが,実際,住民参加番組を取り組んでいる局ではスタッフの人数によっ てはそれほど大きな差は見当たらなかった。 制作本数と地域住民参加の関連では,制作番組の本数が多いほど住民制作番組に取り組ん でいる局が少々多い傾向はあるが,さほど大きい影響はないように思われる。 制作者の最終学歴との関連でも,学歴が高いほど住民参加番組に取り組んでいるところが 多く見られるが,大学卒が一番多く,これが CATV 産業全体の追勢であり,大きく影響を与 えているとはいい難い。 図表 13 今後,力を入れていきたい部分 3位(N=244局)

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3―住民参加は CATV の地域メディアとしての機能を果す鍵になりうるのか 今回の調査結果を全体的に見ると,CATV において住民参加の試みは,制作側の意識もか なり高く,意欲も多くの局で見られ,CATV 局の地域メディアとしての位置づけのために今 後大いに試みられることが予想される。また,その形態も多様かつ地域の特性によって様々 であるため,より,積極的で,より多様な方法への変化も期待できよう。さらに,すでに, 実行されている,なおかつ自主番組を真正面に出している局も多いことから,他メディア・ 他局との連帯を図ることによって,制作側内部からの意識の高揚を図っていくことが望まし い。 CATV 業界誌「CATVnow」(2000年 2月号)によれば,コミュニティ番組が加入促進に 効果がある,と考えている局は 86% にまで上っている。その中で,マス・メディアや他メデ ィアとの差別性を俯角させるためにいろんな工夫を行っている。それこそ地域メディアとし 図表 14 放送開始年×地域住民参加(N=222局) 図表 15 業態×地域住民参加(N=232局)

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ての CATV の懸命な動きでもあろう。その中に住民参加の試みが位置づけられているとい えよう。 最後に,「住民参加番組の有無」と「自主制作番組の先行きに関する考え」を関連してみる ことで,今後,CATV の地域メディアとしての機能を発揮させていく上で,地域住民参加の 役割をどう位置づけていくのかと言う問いに一つ,手がかりとしたい。 回答者の 66.2% が自主制作番組の先行きについて「発展する」と前向きに答えていること を勘案しても,現在,地域住民参加番組に取り組んでいる局で自主制作番組の先行きに関し て「発展する」と答えている局は 37.3% と多い。今は地域住民参加番組を取り組んでいない が,近い将来に実施する予定であると答えた局とあわせると 48%(117局)が自主制作番組 の先行きを明るく見ている。 今まで,CATV における住民参加に関する調査は,ほとんどが参加する住民側を中心とし 図表 16 スタッフ総数と住民参加番組への取り組みの関係(N=229 局) 図表 17 市民参加番組と自主制作番組の先行きのクロス

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て行われて来た傾向がある 。住民参加は,かつて市民運動の脈絡から,近年の FM ラジオ 放送やインターネットなどの新しいメディアを通じてまで着々とその根を下ろしてきた。今 回の調査では,あえて,CATV という地域メディアの制作側を中心にした住民参加状況の調 査を行い,住民参加の状況を CATV のメディア的特徴に照らしあて,入体的に把握しよう という狙いも潜んでいる。今後,こういった変化の観察,地域による形態と特徴の把握など, さらに多元的な角度からの研究が必要でなかろうか。なにより,住民参加番組では CATV 局はともかく,参加する住民側の意識などの条件も非常に大きく作用するのはもちろんであ るため,両方の調査,分析が望ましいことを念じたい。 (姜 英美) 5. CATV におけるジャーナリズム 5―1 なぜ,CATV のジャーナリズムが重要なのか CATV において,“ジャーナリズム機能”が語られる機会はこれまで非常に少なかった。 住民運動との関連で,地域紙における地域ジャーナリズム活動が取り上げられてきたことを 考えると,さらに小さいコミュニティのメディアにおいてジャーナリズム機能を発揮できる ならば,日本の地域ジャーナリズムの可能性を広げることにもつながる。そこで,本項にお いては,CATV におけるジャーナリズム機能を位置づけていくことを試みる。この検討にあ たっては,次の 2つの点を考慮して検討することとしたい。 第一に,CATV を取り巻く地域構造の変化である。特に今日の状況に即して言えば,市町 村合併の影響が挙げられる。局の立場に立ってみると,市町村合併により,これまでの放送 エリアと行政区域の乖離や放送エリアの拡大等が生じる可能性がある上,住民から地域情報 のニーズが高まることが予想される。改めて地域情報の役割が問われていくと考えられる。 第二に,CATV 局の技術的革新が進んでいることが挙げられる。特にデジタル化について見 ると,地上波テレビに引き続き,CATV 局においても 2010年までにデジタル波への変更の 方針が決定しており,今後,設備投資の必要性が生じていく。 上記の状況を踏まえると,現在,もっともお金がかかると言われる自主制作番組の縮小が 更に進むのか,または地域に立脚するメディアの特性を生かして,地域に付加価値を与えて いくためのものとして自主制作が位置づけられていくのか,という過渡期にあると考えられ る。もちろん,後者においても様々なパターンがあると思われるが,ここでは,地域に付加 価値を与える一つの方策として,CATV におけるジャーナリズム機能の可能性を検討して いくものである。 なお,研究対象として CATV のジャーナリズム機能を検討することは,地域における他 のメディアとの関連においても非常に重要なテーマとなる。これまで地域のメディアにおけ

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るジャーナリズム機能は,先に述べてきたような地域紙レベルの調査,その折々の事象に合 わせた地域紙の動きの分析が中心となってきたが ,中でも,CATV におけるジャーナリズ ムは,疎外視されてきたといってもよい。その状況において,制作者の意識調査をもとに CATV のジャーナリズム機能を考察することは,地域メディア全体のジャーナリズム機能 の停滞要因の一端を解明することであり,今後の可能性を検討してくための示唆を与えるも のであると言えよう。 5―2 CATV におけるジャーナリズム機能の位置付け 早川は,「日本全国に発信するマスメディアに対抗出来るメディアとして,地方=地域の CATV のコミュニケーション機能には注目しなければならない 」とその重要性を認めた 上で,ジャーナリズムについて「人類的価値と歴史認識に裏打ちされた普遍性に富む理念を 基盤とした,事実・事態の精密な『記録』とそれに基づく積極的な『言論と報道』の表現活 動=形式を指すもの 」と広く捉えている。様々な捉え方はあるが,本稿においては,「ジャ ーナリズム」について上記と同意義で用いることとしたい。 それを踏まえて,CATV で提供されている地域情報にジャーナリズム機能の位置付けを 試みることとする。まず CATV において提供されている地域コンテンツの種類だが,総務 省調査によれば,CATV における地域コンテンツは,①地域の行事・イベント,②地域の話 題・出来事,③公共施設の催事案内,④行政広報,⑤住民団体による地域活動,の順に取り 組んでいる割合が高く,①と②については各々9 割以上の局が取り組んでいる 。ジャーナ リズム機能は,主に②地域の話題・出来事に包含されよう。なぜならば,船津は,CATV の 地域情報の重要な機能として,「コミュニティの形成 」を挙げており,地域で問題となって いる事柄を示し,そこから住民の討論を活発にするという視点で見れば,ジャーナリズム機 能を地域情報のひとつとして位置づけることも可能であると考えられる。 しかしながら,資金不足,人手不足といった CATV の地域情報制作全体にかかる要因の 他,ジャーナリズム機能の充実における特殊要因として,制作者の意識や記者クラブ・地元 との関係等によって,全体としてジャーナリズム機能の充実化が図られていないのが現状で ある。そこで,CATV のジャーナリズム機能の現状及び課題をより正確に析出するため,次 に意識調査結果を見ていくこととする。 5―3 CATV におけるジャーナリズム機能の可能性 まず CATV において地域ジャーナリズムに対する取組みの状況だが,地域の争点となり うる問題についてのスタンスという観点で見ると,地域争点についてスタッフによる論評を 加えているのは全体の 5.6% にとどまっている。「事実のみの報道」が 59% ともっとも多く なっており,「言論と報道の表現活動」には至らないものの,「記録」という点で見れば,半

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数以上が何らかの形で地域の争点形成に関わっていることがうかがえる。なお,ここで留意 しておきたいのは,局の形態における差異であり,民間型の方がより積極的に扱っている傾 向がある。一方で,扱っていない局の理由を見ると,「行政との関係」「体制の不備」「社の方 針」が主として挙げられており,ジャーナリズム活動の差異を生み出す要因のひとつとして, 局の形態,すなわち「地元行政」との関係があることがうかがえる。(図表 18参照) なお,地域争点として扱っている問題については,市町村合併,環境,政治が中心となっ ており,自分達の生活に直接関わる問題が主に取り上げられている。 また,放送開始後長期間経っている局の方が積極的に扱う傾向があり,ノウハウの蓄積も ポイントのひとつとなっていると言える。なお,CATV がジャーナリズム機能を発揮できな い一つの要因として,地元の政治や経済の情報が記者クラブ加入局に限定されており, CATV においては情報が入手しにくいと考えられてきたが ,今回の回答局のうち 14.3% の局はすでに加入しており,情報の入手は比 的容易になっていることがうかがえる。実際 に,加入している局のうち,18% が積極的に地域争点を扱っているのに対して,未加入局は 7% にとどまっていることから,記者クラブの存在が何らかの要因を与えていることがうか がえる。 なお,ジャーナリズム機能を充実させるにあたっては,CATV の制作者自身がジャーナリ ストとしての自覚を持っているかどうかも重要であると考えられる。そこで,制作者のジャ ーナリズムについての考えを見ると,条件付も含めると,肯定的な回答が 7割であり,多く の局が「地域ジャーナリズム」について真剣に考えている 。それをさらに細かく見てみる と,①業態,②規模,③地域性がキーワードになっている。①業態については,自治体直営 の局の場合は,「立場上,コメントを出せない」「コミュニティ情報が自分達の役割」と言っ 図表 18 地域争点の扱い方

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たように,「ジャーナリズム」そのものについて否定的な意見も多く,経営母体が自治体の場 合は,地域に対して別の関わり方がなされていくと思われる。また,②については,例えば, 小規模で運営されている有線テレビ組合の場合,「本当はやりたいが,資金・人材がないため 難しい」という理想と現実の差に悩む局,「環境報道には自信あり」「殺し以外はなんでも報 道する」といったように,自分達の報道を自負している局に分かれる。すなわち,規模によ る差ではなく,制作者の意識による差が大きいと考えられる。また,③地域性という点では, 地元のメディア状況(地域紙,NHK)などの存在が影響している。地域の問題を扱うマスメ ディアの充実が図られていない場合,地域の問題を扱うメディアとしての CATV の比重が 高くなる傾向が見られる。 5―4 CATV における地域ジャーナリズムの充実に向けて 以上の分析を踏まえると,論理上,CATV におけるジャーナリズム機能を位置づけること は可能である。一方で,実際問題としてみた場合,積極的に扱うことを希望している制作者 も多いが,地域に密着したメディアであるが故に,「地域行政」「記者クラブ」等との関連も 大きいことが判明した。 大石は,県紙の分析を通じて,地域ジャーナリズムの強みと弱みを検討しており,強みに ついては,多くの支社や支局を配置し,地域社会を対象にきめ細かな取材を行っていること, それに関連して,「全国的なマスメディアや世論と連動しながら地域問題を報道し,地域の世 論形成に大きく寄与し,政策過程に影響を及ぼすことがある 」としている。一方で弱みと しては,地域ジャーナリストが地域社会の一員という自覚を有しているが故に,「『地方権力』 に弱い 」ことを挙げている。この観点から見ると,CATV においては,上記の強みが発揮 されているとは言いがたいのが現状であると言える。しかしながら,制作者の意識の高さを 見ると,大きな可能性の萌芽も見えており,「地域性」の差異等を踏まえた分析方法を検討し ていく必要があると思われる。 (牛山 佳菜代) おわりに 本稿においては,制作者の意識調査を媒介にして,地域情報の生成過程について明らかに してきた。制作環境,住民参加の状況,地域ジャーナリズムの観点から考察してきたわけで あるが,CATV はデジタル化を間近に控えて切迫した環境にあるものの,我々の予想以上 に,CATV 制作スタッフ自身は業界の未来を比 的明るく見ている傾向が見られた。また, 自分達の制作内容に誇りを持ち,積極的に取り組んでいる局が多いことも判明した。実際に, 今回のアンケート調査の回収率が 40% 超ということからも,その熱心さは伝わってきた。本

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調査結果によって明らかになった,制作者たちの前向きな姿勢は,日本における今後の地域 メディアの発達可能性を秘めているとも考えられる。したがって,このような制作者の意識 を念頭に,より詳細な分析を進めていきたいと考えている。 なお,今回のような調査は,これまであまり考慮されてこなかった CATV 局の制作者の 意識を把握するもので,送り手調査の新しい領域を開くものである。そこで,制作環境に加 えて,住民参加の点では,今後の変化の観察,地域による形態と特徴の把握,また,参加す る住民側の意識などの条件も大変大きく作用するため,両方の調査および分析,また,ジャ ーナリズム機能の点においては,記者クラブ,地元の他メディア等との関連性をより詳細に 分析していきたいと考えている。 また,現在,CATV は変動期にあるため,今後,業界そのものの構造が大きく変化してい く可能性がある。そこで,本調査についても,今回 1度で終了するのではなく,ある一定の 期間毎に調査を継続していくことで,制作者の意識変化の把握にも努めたい。 注 1) CATV は,ケ ー ブ ル テ レ ビ,ケ ー ブ ル TV 等,様々な 呼 称 が あ る が,本 稿 に お い て は, CATV を統一して用いることとする。 2) 総務省「ケーブルテレビの現状」によれば,フルサービス化の主要なサービスである CATV 網 を利用したインターネット接続サービスを行う事業者数は年々増加しており,平成 15年 12月 末現在,305社にも上っている。また,光ファイバは 433施設(64%)において導入されてい る。また,デジタル化については,技術基準が策定されており,今後,さらに動きが活発化す るものと思われる。 3) 林茂樹(1996)『地域情報化過程の研究』,日本評論社,48頁。 4) 最近では,地域メディアコンテンツ研究会により地域コンテンツの制作状況について尋ねてい るが,限定された内容となっている。 5) 対象局は,CATV NOW に掲載されたオペレーター一覧を利用した。 6) 回収結果の詳細は,次の通りである。発送:587通(内,2通転居等により未達),回答:247通 (内,有効回答数 244),回収率:42.2%(247/585),回答比:98.8%(244/247) 7) 自主制作番組とは,各 CATV 局が対象としたエリアで,その地域に特化した情報を伝えてい るチャンネル「コミュニティチャンネル(以下コミチャン)」において,その局オリジナルで制 作された番組をここでは指す。またここでは,自主制作番組とコミチャンは,同義語として使 用する。 8) 『CATV 年鑑 2003』掲載データによる平 人数は,5.1人である。 9) 男性はカメラ,女性はアナウンサーなどの役割分担が依然あるにせよ,現在は技術の発達に伴 い,女性でも自ら小型カメラで撮影や取材を行い,女性が制作した番組が番組コンテストで高 く評価されるなど,活躍が目立っている。 10) 実際に取材に出るとき,制作スタッフがその取材対象者と顔見知りということが数多くある。 つまり長年同じ局で制作に携わると,多くの地域住民と知り合いになり,融通がきくこともあ る。例えば,取材依頼を地域住民から受けるとき,制作スタッフと知り合い,あるいは,以前

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取材協力をしていただいた方であれば,取材の申し込みも早く,協力もしてくれる傾向がある。 その点,アルバイトや派遣社員では,雇用上の問題からいつ辞められてもおかしくない。地域 密着メディアとして経営している以上,アルバイトや派遣ではその組織の信用度にも関係して くるのではないか。 11) 全てボランティアで構成されているこの局は,非常に興味深い。 12) 自主制作番組を行っていない局では,人数や資金的に無理という回答もあるが,「地上波デジ タル化に向け施設の改修後と考えていた為」や「開局準備中」「検討中」などといった回答もあ る。 13) アンケートから具体的にオリジナルに特化された番組例をあげる。 【独自のキャラクター考案,出演】 うさぎのマスコットを考案。着ぐるみも制作し,キャンペ ーンや番組内で活躍,「けーびっと体操」(オリジナル)は幼児に人気。(東京都 E 局) 【市民特派員】 地域撮影特派員による地元行事紹介 ※地域撮影特派員の選出は,一般視聴者 に募集をかけて行う。地域撮影特派員自らが撮影し,スタジオで自らが行事を紹介していく (兵庫県 K 局) 【視聴者参加型番組】 視聴者に参加して頂いていろいろな行政への要望生活上の問題などを取 り上げて討論する,これに新聞社の方にコメンテーターとして参加して頂きアドバイスしてい く番組(福井県 E 局) 14) 最近の調査では,2002年,金京煥(上智大学博士課程)が「ケーブルテレビの住民制作参加に 関する全国調査」を実施しているが,その他はほとんど見当たらない。 15) 田村は,静岡県富士市における火電設置反対運動の際の,市民運動と地域紙の動きを分析して いる。田村紀雄(1974)『コミュニティ・メディア論 改訂増補』現代ジャーナリズム出版会, 117頁―141頁。 16) 早川善治郎(2001)「ジャーナリズム・メディアとしての可能性」,林茂樹編著『日本の地方 CATV』中央大学出版部,64頁。 17) 前掲書,65頁。 18) 地域メディアコンテンツ研究会「地域における新しいデジタルコンテンツの制作,流通業に関 する取組と今後の課題について(平成 15年 8月)」。 19) 船津衛(1994)『地域情報と地域メディア』恒星社厚生閣,72頁。 20) 早川は,巻町原発事故の報道を CATV ができなかったことの理由のひとつとして,「CATV の取材記者が記者クラブに加入していないこと」を挙げている。 21) CATV は地域ジャーナリズムの担い手たりうるか」という設問においては,制作者の意識を できるだけ幅広く抽出するため,自由回答形式とした。 22) 大石裕(2003)「地域メディアと地方政治」,田村紀雄編「地域メディアを学ぶ人のために」世 界思想社,90頁―94頁。 23) 前掲書,90頁―94頁。 参 考 文 献 市川昌,今井清文(1992)「地域情報化と CATV の役割―長野県諏訪広域市町村圏における地域メ ディアの事例研究」江戸川大学紀要『情報と社会』2号

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牛山佳菜代(2003)「天井の見えない CATV の拡大」田村紀雄編『コミュニケーション学入門―進 路とキャリア設計のために』NTT 出版。 竹内郁郎・田村紀雄編著(1989)『新版・地域メディア』日本評論社。 田村紀雄,牛山佳菜代(2003)「地域メディアにおける政治情報提供の可能性―長野県地域メディア 送り手意識調査より―」『コミュニケーション科学』第 19 号。 田村紀雄(1974)『コミュニティ・メディア論 改訂増補』現代ジャーナリズム出版会。 田村紀雄(1977)『地域メディア時代―コミュニティ情報をどうとらえるか』ダイヤモンド社。 田村紀雄編著(2003)『地域メディアを学ぶ人のために』世界思想社。 地域メディアコンテンツ研究会(2003)「地域における新しいデジタルコンテンツの制作,流通業に 関する取組と今後の課題について」 津田正夫,平塚千尋編(1998)『パブリック・アクセス』リベルタ出版。 東京大学新聞研究所編(1981)『地域的情報メディアの実態』東京大学出版会。 早川善治郎(2001)「ジャーナリズム・メディアとしての可能性」,林茂樹編著『日本の地方 CATV』 中央大学出版部。 林茂樹(1996)『地域情報化過程の研究』日本評論社。 船津衛(1994)『地域情報と地域メディア』恒星社厚生閣。 村上則夫(2002)『地域社会システムと情報メディア 改訂版』税務経理協会。 平成 16年版 情報通信白書」 総務省「ケーブルテレビの現状」 電波タイムズ」(2004年 6月 23日) CATV now(現 ケーブル新時代)」(2003年 3月号) CATV 年鑑 2003」サテマガ・ビー・アイ この原稿は,猪狩誠也教授退任記念論文の入選作である。

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