NII-Electronic Library Service 【論 文】 UDC :624
.
072 :624.
04 :681.
5 日本建築 学会構造系論文 報 告集 第401 号・
1989 年7 月降伏 耐
力
の
ば ら
つき
を
考 慮
し た
全 体
崩
壊
メ
カ
ニズ
ム
骨
組
の
設
計
正 会 員 正 会 員 正 会 員村
木
藤
々 桑
佐
加
道
仁
*夫
* *勉
* * *1.
序 梁 降 伏 先 行 型 全 体 崩 壊メ カニ ズムと な る よ う な多層 骨 組は合理的な耐 震 構 造と さ れ て い る。
こ の骨 組は,
全体 崩壊に至るまでに系全体として大 き な 塑 性 変 形 能 力 を発 揮す るの で,
大き な地 震エ ネルギー
吸 収が可 能と な る か らであ る。
換 言 すれ ば,
同 じ地 震エ ネル ギー
入 力に対し て個々の部 材の被る損 傷が, 局 所 的な崩 壊 を生じる場 合 に比べ て遙かに小さいか らである1 )−
3 ] 。 鉄 筋コ ンク リー
ト構 造 物に お い て は,
軸 力の作 用す る柱は梁に比べ て塑 性 変 形 能 力 を 保 有さ せ る こと が困難で あ る た め,
梁 降 伏 先 行 型 骨 組の設 計 思 想が普 及して いる4 )−
7〕 。 とこ ろが,
こ の梁 降伏 先 行 型 全 体 崩 壊メカニ ズム の実 現 を阻 害 する様々 な要 因が あ り,
この メ カニ ズム の実現 を困難な もの と して いる。 例えば,
構 造 物が2
方 向か ら 地 震を受け た と きの水 平構 面の梁 部 材 耐 力が柱に比べて 高く な ること や,
コ ンク リー
ト床ス ラ ブの協力による梁 の 曲 げ 耐 力が 上昇す ること な ど が指摘さ れ ているS)・
S)。
また,
動 的に作 用す る地震 力の高さ方 向分布が 必ずしも 設 計 時の静 的 なせ ん 断 力 分 布 と一
致せず,
設計通りの全 体 崩 壊メ カニ ズムが生じ ない可 能 性 もあ る。 そこで,
動 的 応 答 時に骨 組が梁 降 伏 型 性 状を示すための 条件に 関 す る多 数の研 究が行わ れ,
柱の 降伏 耐 力を梁よ り も高く し て お く必 要性が説か れて いるS)’
13 〕 。 さ らに,
上 記 以 外に も全 体 崩 壊メ カニ ズム の実 現を阻 害す る重 要な要因 と して 降 伏 耐 力の ぱ らつ きが あ る14〕−
IT)。
降 伏 耐 力にばらつ きが ある場 合,
柱と梁の耐 力バ ラン スが逆 転して柱に塑 性ヒ ンジ が生 じる危 険性が あると 同時に, 構 造 物の降 伏 層せ ん断 力分 布がいわ ゆ る 最 適 分 布よ りかけ離れ る ことに より,
地 震エ ネルギー
が 特定 層に集中し て局 所 的な柱 崩 壊 を誘 発 する とい う問 題 が生じ る。 そこで, 本稿で は, 降伏 耐 力の ば らっ きおよ び副 次 的 な要因 とし て地 震 力の ばらつ きおよ び質 量の高さ方 向 分 布のばらっ き な どの確 率 統 計 的な意 昧で の不 確 定 要 因が 本 稿は文 献 14 )−
17)を と りま と めたもので あ る。
* 新日本 製 鐵〔株 } Ph、
D.
* * 新 日本 製 鐵 (株 )工修 * # 東 京大学 教授・
工博 {198S 年工0月19日原 稿 受 理,
1989 年 3 月 27 日採用決定1 多層 骨組の静 的お よび 動 的 挙 動に及 ぼ す影 響に関する検 討 を 行い,
部 材 降 伏 耐 力の ば らつ き が骨 組の崩 壊メカニ ズム に及 ぼ す影 響が極めて大きい こ とを示す もの であ る。
さ らに, 全 体 崩 壊メ カニ ズム骨 組 を実 現す る た め に 重要な役 割 を果た す柱 梁 耐 力 比の所 要 値にっ い て確 率統 計的 な 観点か ら検 討を行う もの である。
2.
統 計 解 析の前 提 条 件 2.
1 解 析 手・
法 本 検 討で用 い た統 計 解 析 手法は モ ン テ カ ル ロ 法であ り,
乱 数 発 生と骨 組 解 析を多数 回 実 行し,
多 数の標 本 骨 組の応 答 特 性 値を統 計 的に調べ る方 法で あ る 。 骨 組 解 析 は P一
δ効 果お よ び軸力の 変化に伴う部 材 降 伏 耐力の変 動を考 慮し た塑 性ヒンジ 法であ る。 部 材の材 端に設け ら れ た仮想 ば ね は完全 剛 塑性と し,2
次勾配 は ゼロと し た。 た だし,
静的荷重 下に お け る崩 壊メ カニ ズム の 検討にお い て は,
文 献15)に紹 介され てい る簡 易 解 析 法を用い た箇 所が あ る。 こ れ は 塑性 解 析に お け る 上界定理に基づ く もの であり,
P一
δ効 果お よ び水平 力に起因 する軸 力 変 動に よる全 塑 性モー
メ ン トの変 化は無 視 されて い る。
2,
2 降 伏 耐 力の ば らつ き 部 材の 降 伏 耐 力は全塑性モr メ ン ト (Mρ)で表さ れ,
そ の ばらつ き は変 動 係 数でCOV
[M
ρ]= 2,
5%,
5%,
10% の3
ケー
ス を本 検討で 用 い る。
な お,Mp
の 平 均 値は設 計 値に等 しい とする。
Mp(=
・
Zp・
av) を構 成す る 塑 性 断 面 係 数 Z。の ば らつ き は素 材 降 伏 点 ay の ば ら つ きに 比 べ て 十 分 小 さい の で]8]・
19 ],
COV [Mp
]=
(coy
[σyコ) 2 +(COV
[Z
,]) t の関 係か ら,
COV
[M
ρ]は coy [σy]に ほ ぼ等 し い と言え る。’
現 状の一
般 構 造 用 鋼 材の降 伏 点の変 動 係 数はIO%程 度で.
あ る と考え られ るの でz°),
上 記の検 討 ケー
ス中coy
[Mp]=
10% は, 現状の部 材 降伏 耐 力の ば らつ き を代 表し て い る。
COV [Mp
]が5
%, 2.
5% と 小さ く な るにつ れ て, よ り優れ た 品質 管理の も とで材 料が製 造されて いる こ と を示して い る。
本 検 討で実 施する統 計 的シ ミュ レー
シ ョン に お いて, 部 材に割り当て る降 伏 耐 力は対 数正規 分 布に従 う擬 似 乱 数を用い る。
COI / 匚M ρ]=
2.
5%,
5%,
10% の 3槿 類につ いて発 生さ せ たM
。の 乱 数値 各 3600個を平 均 値一
151
一
N工 工一
Eleotronio Libraryで規 準 化し たもの の度 数 分 布 を
Fig.
1に示す。
ま た部 材 降 伏 耐 力間の相関係 数は ρ≡
0.
0,
0.
7,
0.
9の 3種 類’
を考える。 た だし,
この相 関は柱と柱お よ び梁と梁に対 するもの で あ り,
柱と梁は お 互い に独立 (ρ・
=O.O
)と す る。 な お,
同じ断面を 有 す る 部 材には,
同 じ乱 数 を 割 り当てる もの と する。2.
3
解 析 対 象骨組 本 稿 で検討 す る 骨 組 はFig.
2に示す 6層 3ス パ ン柱 脚 固定剛節平面骨組で ある。
本槁で は, 崩 壊メ カニ ズム に及ぼ す部 材 降 伏 耐 力の ば らつ きの影 響 を検 討する こと が主目的であ るので,
1方 向入力 を受ける平 面 骨 組 を解 析 対象と し た。
こ の例題 骨組は, 次の条 件に基づい て設 計さ れ てい る。
1) 降伏層 せ ん 断 力 係 数 分布は新 耐震 設計 法の A,分 布と相似であ る。
2
)屋根レベ ルを除き,
すべ ての床レベルの柱梁耐 力 比 (Fig.
3a)の値は等 しい。
3) 屋根 レベ ル を 除き, すべ て の節 点の柱 梁 耐 力 比 (Fig.
3b )の値は 1.
0より大 きい。 こ れ らの条 件 を満 足す る骨 組は,
付 録で証 明さ れて い る よ うに,
A,分 布に従う水 平力に対し て梁 降 伏 先 行型 2000 1800壼
¶鰤薑
14°° 畳¶20。ξ
1。。。鼕
・・。 二 600 400 200 0 O.
80 0.
駈 O.
90 0.
95 1.
OO 1,
05 1、
10 1.
15 1.
20 1.
25 1.
30 NOrmall2edY[eld
Strength
Fig
.
1 Distributlon of Normalized Yie[d StrengthBl Bl B1 8
,
0006 ρ008,
000 Sectlon No.
6B5TBT BT BT54
4・
3 32一
2B−
ITFig
.
2 Rigid Frame Examined in Thls Study一 152一
全 体 崩 壊メカニ ズム の荷 重 係 数が最 小と な る。 し た がっ て, こ の骨組は, 様々 のばらつ き要 因を無 視す れ ば,
確 定 論 的に は全 体 崩 壊とな る骨 組で あ る。 全 体 崩 壊メ カニ ズム時の降 伏べ一
ス シア係 数はO.
3
と し た。 なぢ,
床レ ベ ル の 重量は,
屋 根 レ ベ ル で 】OO
tonf,
その 他の床は 各々 75 tonf で あ る 。 各 部 材の 曲げ 剛性 E∬ と軸剛性EA
は,
全 塑 性モー
メ ン トM
。の設 計 値Mp
。に応じ て,
梁の 場 合はEi
;
2100 (M
. ) 4 !3,
EA =
850 (Mpo)2 /3,
柱 の場 合はE
∬=
690 (M
.) a〆3 , EA=
1200 (Mρo) 2/3の 関 係 式 に よっ て設 定し た。
単 位は tonf,
cm であるc、
な お,
EI
とEA
は 確定量 と し て扱っ た。
上 記の条件によ る設計の手 順は, 付録に詳 述さ れ て い る よ う に,
まず,
条件1
)に し た がっ て各 層の降 伏せ ん 断 力を 適 宜設 定し,
柱の 降伏モー
メ ン トを仮設計する。
次に,
条 件 2)と 3)に し た がっ て,
柱の降伏モー
メ ン トをCOF
で除し た値を梁に付与す る。
次に,
こ の柱 と 梁の降 伏モー
メ ン トの仮 設 計 値 を 用い て全 体 崩 壊メ カニ ズム時のべ一
ス シ ア係 数を計算し, これ が要 求 値に一
致 す る よ う に柱と梁の降 伏モー
メ ン トを 比 例 的に補正 する とい う簡 単な手 順で ある。
本稿に お ける柱 梁 耐 力 比 (Column Overdesign Fac
−
tor:以 下
COF
と略す)は,
Fig.
3a に示す よ うに床レ ベ ル で定 義され る量である。
つ まり,
各床レベル に集結 するすべ て の部 材 端につ い て,
梁崩 壊 形 式にか か わ る 部 材 端ヒ ンジの全 塑 性モー
メ ン トの和に対す る そ れ以外の 部 材 端の全 塑 性モー
メ ン トの和の比と し て定 義さ れる。
た だ し, こ の よ うに定 義され る床レベ ルCOF
が同一
で あっ ても,
各床レベルで柱 と梁が接 合 する節 点が複 数 個 存在 す るの で,
各 節点へ の柱耐 力と梁 耐 力の配 分の仕 方 CMl BM 1CM2 BM2 CM4CM5
Column
MC6 Σ 明=
FOC3MC CM6 (a)Floor −
Cl
⊃F
Beam F』
M1 +C性
BM1 + BM2MB2
Σ;
2
‘b
)Jolnt −COF
NII-Electronic Library Service
Tablel
Members’Plastic
Moments of the Six・
Story Framewhen COF
=
1.
1ColumnBeom Numbgr Mp {tonf
・
mlN 凵mber Mpltomf・
mlN 臨mb 巳r Mplton 卜m ) C119.
6C7 39,
281432 C228.
0C8 55.
9B243.
2 03 ;4.
4C9 68.
8B356.
6 C439.
5CIO79.
0B467,
1 C542.
7C1185.
4B574.
7 C645.
3C1290.
6B679.
9 Table2 Load Factor犀λ紀 of the Frame w 卜enCOF =
1.
1k 見 1 2 3 4 5 6 11
.
08321.
08321.
08321.
08321.
08321,
0832 21.
03401.
03401.
03401.
03401.
0340一
31.
01721.
01731.
01741.
0174一
一
41.
00871.
00891.
0090一
一
一
51.
00351・
ooq7一
一
一
一
61.
0000一
一
一
一
一
Table3 Earthquake Motions Used for Simulatio旧 n ThisStudy
Enr出ruakoCo 而po冂εntOrigin
日
lP巳akA 【日81}
Multi
.
pli。a 電ionofALengD
巳
儲電hls
1Pre 己omin 跏t P8riod 〔5e
。
} 日Ce麗m194015 ’18 SOOEsgow341.
,
721011,
.
9522510.
.
0150o.
,
55055 鴇嬲i尹13 NO4wN86E161、
.
627464.
.
0237215.
』015 030,
3 Tnft1952 /7’21 N21巳 S59E152.
.
717594,
.
6741970.
』010 0.
40.
4鴇 潴
d SO4ESB6W134219437.
.
7310195.
.
01000.
.
25025 ParkfioldNo
,
2N55E4 ア9.
61.
5510.
O0.
62 P臼戯fieldNO.
5 195516〆27 NO5wN 眄 巨 347、
,
8425 フ 326z,
7715、
.
OT5oo.
.
404 PacoimaPam1971 ’2’9 S16Es74w1148
、
、
1105490,
.
8809115 ↑5.
,
00o.
.
404 Haじhlnohe ↑968’5116 EW 204、
11,
6520,
0o.
9 Mexi60SCT19 巳5/9!19 EW 15巳
’
1.
630.
02.
0 に より,
骨 組の性 能は変化す る と考え られる。 そこ で,
以 下で は,
全 節 点でのCOF
が等しい場合の検 討を中心 に 行い,
二 次 的 検 討 と して 内柱で の 節 点COF
を 1.
0と して外 柱で節 点COF
に高い値を与え る場合も検 討す る。 ここで,
節点COF
はFig.
3b
で定 義さ れ るもので あ る。 節 点 COF がすべ て 1.
ユ の場 合の 部 材 降 伏 耐 力 (自重 と積 載 荷 重によ る軸力 を考慮し た 全塑性モー
メ ン ト)をTable
lに示す。
こ の骨 組の すべ て の可 能な崩 壊メカニ ズム の荷 重 係 数 をTable2
に 示す。 こ こ で,
t入κは,
骨 組の第k
層か ら第 {k
十1
一 亅)層 まで の ‘層 が 同 時 崩 壊 す ると きの荷重係 数であ る。
全体 崩壊メ カニ ズムの荷重 係 数 5λL が最 小と な る。
な お, こ の表に示す荷 重 係 数の 計 算は通 常の塑 性 解 析に よる もの でありP 一
δ効 果など の 二 次 的 効 果は含ま れ て い ない。
な お, こ の骨 組の 1次 固 有 周 期は 1.
0秒であ り, 応 答 解 析に用い る減 衰 定数 は 1次お よび2次モー
ドが2% とな る レー
リー
型と し た。
2.
4 荷 重 条件 骨組の静 的 解 析に用い る地 震 荷 重は,A
,分布に従う 水 平 力とし た。
勤 的 解 析に は,Table
3に示す実 地 震 波 に後 述の ように等 価 速 度 応 答ス ペ ク トル値が等 し く な る よ うに倍 率 を乗じて使 用し た。3.
降 伏 耐 力のばらつ き が静 的 挙 動に与 える影 響 3.
1 崩 壊 メカニ ズム と 塑 性 率の関係 降 伏 耐 力の ばらつ き を考 慮し た静 的 弾 塑 性 解 析に よ? て得ら れ た結 果のうち,
興 型 的な崩 壊メカニ ズムと荷 重一
変 形 関 係をFig.
4 に示す 。 荷 重は荷 重 係 数 λ で表さ れ,
λ=
1.
0がせ ん断 力 係 数で O.
3に対 応し て い る。
変 位は建 物 頂 部の水 平 変 位で表 されてい る。
ここ に示す荷 重一
変形 曲 線は, 耐 力が最 大 耐 力か ら 10%低下 し た と ころまでを 示して い る。 Type lが単 層 局 部 崩 壊.
Type
2が 3層 崩 壊,
Type 3が 全体 崩 壊メカニ ズム で ある。
崩 壊 層 数が多い ほど,
換 言す れ ば,
崩 壊メカニ ズム時の 塑 性ヒンジ数が多い ほ ど,
降伏 後の変 形 量が大き く地 震 エ ネルギー
の吸収能力に富むこと が わ か る。
全体崩壊メ カニ ズム (Type
3)が 最 も 粘 り強い 挙 動 を 示 して いる。
3.
2 相関が無い場合 部材間の相関 が無く節 点COF
をすべて 1.
2と し た 場 合の 標本数200個の 静 的弾塑 性 解 析 結果 を 以 下 に述べ る。
Fig.
5
に崩 壊 層数の度数 分布を 示す。
こ の 骨組は,
2.
3
項に 述べ た よ うに 6層 全 体 崩 壊 と な る よ うに設 計 さ れ た骨 組であ る が,
降 伏 耐力の ば らつ きに よっ て 6層 未 満の局所崩 壊メ カニ ズムが頻 出す ること が わ か る。
ま た,
降伏耐力の 変動 係 数COV
[M
。]が 2.
5
% か ら10 %へ と 大 きくなる につれ, 崩 壊層数の頻度分布は局 所的崩 壊 Loed Fecterλ 1.
0 o.
5 O.
0 Type1 Tvps 2Ty 卩e 3
踊 駈 璢
Type3 Type l Ty卩02 50 100 Top Disptac8ment δtcm}
Fig
.
4
Typical Load・
Displacement Relations with the Associ−
ated Failure Mechanisms一
153
一
100 旨 o
’
轟 80 里§
608 ち40
お程
20
コ ZO
1
2 3 4 5 6Number of
Failure
Stories
{N}Fig
.
5 Histograrn of Number ofFailure
Stories
under StaticLoading when p
=
0,
0and COF=
j.
2 120§
1001 、。1
・・貔
0 0,
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0 3.
5 4.
0 4.
5 5,
0 5,
5 Sys宦em DUCti1ity〔μレFig
.
6 Histogra皿 Qf System Ductility under Static Loadingwhen 尸 0
.
Oand COF=
1.
2(
Fig.
5
横 軸の左 側 〉ヘ シ フ トし, ぱ らつ きも大き く な る。
これは,
柱の降伏 耐 力を 梁の降 伏 耐 力よ り も高くし て お くこ とに よっ て梁に ヒ ン ジ を形 成させ全 体 崩 壊が生 じ る よ う に設計さ れ てい て も,
降伏 耐 力の ぱ らつ きが大 き く な る と その関係 が 逆 転 し,
柱に塑 性ヒ ンジが形 成さ れて局 部 崩 壊が生 じや す く な るか らである。
Fig.6
に.
構 造 塑 性 率の度 数 分 布 を示す。
こ こ で定 義 す るく構 造 塑 性 率〉とは, 最 大 耐 力に達 し た の ち 5% の耐 力 減と な っ た時の建 物 頂 部に お け る水 平 変 位を,
最 大 耐 力まで構 造 物が弾 性 挙 動す る と仮定し た場合の頂部 変 位で除し た値で ある。
本 構 造 物の設計時の塑性率は 4.
4で あるが,
そ れ以 下の塑性率 が頻出 す るこ と が 分か る。 ま た,
部 材の 降 伏 耐 力の ば らつ き がcoy
[M
。]=
10%か ら 2.
5% へ 小さ くな るにつ れて,
構 造 塑 性 率の 頻 度 分 布は高い方ヘ シフ トす る と と もに ばらつ き も小さ くなり,
崩 壊 層 数の頻 度 分 布と同 様の傾 向と な る。 これ は,Fig.
7に示す よ うに骨 組の崩 壊 層 数と構造塑性 率の 間に強い正の相関関 係がある か ら である。
本ケー
ス では,
両者の相閧 係 数はD.
88
で あっ た。
これ は,
構 造 物の塑 性変形 能 力お よび D。
値は構 造 系 全 体の崩 壊メ カニ ズム に基づ い て決 定さ れ な け れ ばな ら な いこ と を 示 してお り, 現 行 耐 震 設 計における各 層ご との保 有 耐 力 設計で は 不 十 分である こ とを示 唆し て い る。 Fig.
8に,
最 大 耐力の度数 分 布 を 示 す。
この構 造 物の一
154
一
5
.
5
5
、
o
4.
5
4
.
0
3
.
5
3
。
O
2
。
5
2
.
0
1
.
5
S
》Stem
Ductlgity
l
μ}
12
.
5
3
4
56
開umber oぜ
F
訓 ureStories
(
勵Fig
.
7 Number of Failure Stories vs、
System Ductihty whenCOγ
=
0.
10,
ρ=
0.
O and COF己
1.
2 1402120 ε 塁100 § δ 8D薈
60BE 40i 20 Fig.
8 0 0,
85 0.
9D O、
95 1.
OD II,
05 UltimatθStrength 〔λlHistogram of Uhimate Strength under Sta巨o Loading
when ρ
=
0,
0 and COF罵
1.
2設 計 最 大 耐力 ば荷重係 数で 1
.
oo
で あ る が. それ以下の 耐 力 値が頻 出 すること が わ か る。 ま た、
降 伏耐’
力の変動 係 数coy
[Mρ]が 10%か ら 2.
5% へ 小さ くな る につ れ て, 最 大 耐 力の頻 度 分 布は高い方ヘ シ フ トし,
ばらつ き も小さ く な る。
3.
3 相関が有る場合 3.
2項で は降 伏 耐 力がすべ て互い に独 立な確率 変量 と し た時の結 果 を示し た。 そ こ で本 項では部 材 閲に相 関が ある場 合につ い て述べ る。 ただ し,
こ こ でば崩壊メ カニ ズ ム の み を検討 対 象 と す るの で,
文 献 15)に紹介されNII-Electronic Library Service Fraction
Defective〔% ) 10090807060504030201D 1
.
1 1.
2 1.
3 1.
4 1.
5 1.
6 1,
7 1.
8 1.
9 2.
O COFCa 〕 ρ=O.
0 FraCt[On D巳feCtFve〔%[ 100go8070605040302010 跚弊
… 〔b) ρ冨o.
7 Fr日囗tignDafoctlり臼1%1 100goBe706050403e 昭 榊 隠 需 ” 鳩 四 加 … 20 10 0 併 C 〔c〕 ρ=
0.
9Fig
,
g Fraction Defective under Static Loadingてい る簡 易 解 析 手 法 を用い た
。
つ ま り,
可 能な すべ て の 崩壊メ カニ ズム の う ち最 小の荷 重 係 数 を与え る もの を見 いだ し,
それを真の崩 壊メカニ ズムと するもの である。
標 本 数は,
各ケー
ス につ き1000個とし た.
全 体 崩 壊とな ら な い確 率を不 良 率 (Fraction
Defec.
tive :FD ) と 定 義 し,
部 材 降 伏 耐 力 問の相 関 係 数 ρが・
0,
0,
0.
7,
0.
9の場 合につ い て,
こ の不 良 率に及ぼ す節 点COF
お よ び 部 材 降 伏 耐 力の変動係 数coy
[Mp]の 影 響をFig.9
a,b
, c に示す。 こ れに よ り,
部 材 間の相 関が ρ=O.O
か ら0.
9へ と大き く な るにつ れ,
不 良率は 小さ く なる傾 向のあ ること が わ か るS
これ は,
降 伏 耐力 にばらつ き が あっ て も部材間 (柱と柱, 梁と梁)の相 関 が高ければ,
崩 壊メ カニ ズム を決 定づ け る柱 梁 耐 力 比が 全 節 点で一
様 化し,
崩 壊モー
ドの ば らつ きが生じ難く な る からである。例え ば, すべ て の柱 が 互い に完 全 相 関で, かつ すべ て の梁が互い に完 全 相 関であれ ば,
崩 壊メ カニ ズム を支 配する耐 力 (確 率 変 量 )は 2個に減っ て し まう の で,
崩 壊メカニ ズム は相 関が無い場 合に比べて確 率 的 に制 御しや す くなる。 極 端な場 合 とし て,
柱と梁の間も 含め梁 柱 全 部 材が完 全 相関 (p; 1.
0)の場 合に は,
当 初 設計時の全体崩壊メ カニ ズム しか生じ ない。Fig.
9a,
b,
c の各 図よ り,
部 材 降 伏 耐 力の変動係数 が 小さい ほど不 良 率が小さくな り,COF
が 大 きい ほ ど 不 良 率が小さく な る こと がわ か る。
これは,3.
2
項に お ける 相 関の 無い 場 合 の精 解 析 結 果 と 同 様で ある。
Fig.
10 a,
b に,
許 容 不 良 率を各々 5% と1% に し た 場 合のCOF
の要 求 値を示 す1
通 常の設 計で は,
COF
の値は ユ,
1− 1.
3
程 度の値が採 用さ れて い る と考え られ る が,
こ の 範囲で不良率を 5%以下にするに は降 伏 耐 力の変動 係 数を相当 低く押さ えてお く必 要がある。
言 う までも な く,
部 材 降 伏 耐 力の ば らつ き が小さければ,
同 じ不 良率の 値に対するCOF
の 要 求 値は低 く設 定で き R閃 凵1陀dCOF 2.
12 ρ 1,
9Is1.
71.
61.
5 ¶.
41.
31.
21,
11.
025 % 5.
0覧 10 ρ覧 COV [Mp聾 RequibedCOF2.
12,
01.
91.
e1,
71.
61.
fi1.
41,
31.
21.
11.
02.
5% 5,
叫 τ0.
慨 COV [Mp] 匸a⊃ 5:−
br日ction O●fectivo 〔b, 1髦一
Fraction Def巳ctiv 臼 Fig.
10 Required COFる
。
っ まり,
信頼 性設計の原理に基づけば,
部 材 降 伏 耐 力の ば らつ きの小さい材 料 を用い る ことに よ り,
経 済 設 計 (こ の場 合にはCOF
の低 減に伴 う柱の軽 量 化 )が’
町 能で ある。 3.
4 層 数が増えた場 合 骨 組の層 数が多い ほど確 率 論 的に全 体 崩 壊メカ; ズム を 実 現する ことが困 難に な る と予想され る。
そこ で,
構 造 物の層 数が崩 壊メ カニ ズム に与え る影 響につ いて3.
3
項と同じ く簡 易 解 析 法を用い て若 干の検 討 を 加えた。
骨 組は すべ て 3スパ ン の柱 脚固定 骨 組で あり,
付 録に示し た全 体 崩 壊メ カニ ズムと な る条 件で設 計さ れて い る。Fig.
11
に, 全 体 崩 壊と な ら ない確率 (不良率 )に 及ぼ す構 造 物の層 数お よびCOF
の影 響 を降伏耐 力の変 動係 数が 2.
5%,
相 関係数が 0.
0の場合につ い て示 す。 標 本 数は各ケー
ス につ き500
個で あ る。
これ よ り, 構 造 物の 層数が多く な るに つ れて不 良 率が高く な るこ と がわ か一
155
一
N工 工一
Eleotronio LibraryFraction
Defective
{%)100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
345678910
Number
ofStories
Fig
.
11 Fraction Defective vs.
Number of Storles when COV[Mρ]
;
2,
5% 600 霊§
50°嚢
、oo δ…
3°°塁
2。。 暑 100 0 1 2 3 4 5 6 Failure StoriesFig
.
12 Histograms of Number of Falure Stories for the Casesof Uuiform
JQint
−
COF and DualJoiPt
・
COF圖 D岶 IJoint
・
COF口 Uniform Joint
.
COFFIODr
・
COF =12Total Numbor
置
1000 foreochcaseる
。
つ ま り,
高 層 建 築で はか なり高いCOF
を設 定し な けれ ば全体崩 壊メカニ ズムが実 現し ない こと が わ か る。
3.
5 節 点COF
が一
様でない場 合 節 点 COF が一
様でない全体崩壊骨組につ いて,
降伏 耐 力の ばらつ き が静 的 崩壊メカニズム に 与 え る 影 響 を 簡 易 解 析 法 を用い て調 査し た。 こ こ で は,
6層 骨 組の床レ ベ ルCOF
はすべ て 1.
2
と す る が,
柱 耐力の分配 を内柱 と外柱で極端に不 均 等に し,
内柱の節 点COF
は 1.
0,
外柱の節点COF
は1.6
とした。 つ ま り,
内柱には塑 性一
156
一
ヒ ンジが形 成さ れ ること を許 容し,
その分の余耐 力を外 柱に付 与す る設 計 思想であ る。
Fig.
L2 に崩壊 層 数の度 数 分 布 を節 点COF
が一
様な 場合と比 較して示す。
各々 の標 本 数は1000
個で あ る。
これ よ り,
床 レベ ルCOF
が同一
であっ て も,
節点COF
を 不 均一
に し,
特 別に強 い柱 を設 けた ほ う が崩 壊 層 数の分布が 高い方に シ フ ト し,
全 体 崩 壊メ カニ ズムが実現さ れ や すい こと が 分か る。
4.
降 伏 耐 力のばらつ き が動的挙 動に与 える影 響 4.
1 節 点COF
が一
様の場 合部 材 降 伏 耐 力の ばらつ き が構 造 物の動 的 崩 壊メ カニ ズ ム に与え る影響につ い て謂 査 し た
。
入力地 震 波はエ ル セ ン トロ,NS
成 分にTable
3に示す倍 率を乗 じ た もの と し,
骨 組はFig.
2
に示す6
層 3ス パ ン骨 組で あり,
標 本 数は 200個 と し た。
な お,
部 材 間の相 関は無い もの と し た。 動的に 全体崩 壊とな る要 件は,
柱の累 積塑性変形 倍 率のみを考慮し て判 定した。 つ まり,
全 体 崩 壊メ カニ ズム時に塑性化が進 行する 6層 柱 頭 部お よび1層柱 脚 部 を除く任意の層の柱 頭 部また は柱 脚 部 4ケ 所の累積 塑 性 変形 倍 率 η の総 和 Σηが 8以 上の時は,
全 体 崩壊で は ない と判定し た。
こ れ は,
中 間 層に.
お け る柱の塑性化を 平 均 的な意 味で η= 2まで許 容する こと を意 味す る。
Fig.
13
の実 線は,
不 良 率つ まり全 体 崩 壊にな ら ない 確 率に及ぼ す降 伏 耐力Mp
の ば らつ きの影 響 を 示す。
こ れを静 的な場 合 (Fig.
9a )と比較する と, 不 良 率の定 FractionDefective
{%}30
20
1
0
12
1.
3
1.
4
COF
Fig
.
13 Fraction Defecしive Due to Randomn Yield Strengths(El Ce皿trQ)
,
Random Earthquake Motions and Ran・
dom Mass・
Disし曲 utionsNII-Electronic Library Service Probabitity Distributien 1
.
O o.
8o.
6o.
40.
2PrObabilitV @Distrib凵tio
1
0
. DB .6
.4
.2Probabiliry Distribu en .0
.8
.5
.4
.zO
.00.D
O . O O510152025
051D 152025 05101 025 ma罵 { Σ ηl mex 【E η , ma
o
Σηレ
(a 】
,
COF=
1
,
2
〔b }
COF
=
1
.
3
(c ,
C = 1・4
Fig
.14 Probablhty Distributionsof
Max . Cumulative Ductiiiしy Due to Random Yieid Strengths and 口domMass・Distrib
ions
義は 両 者で 異 なっ
てはいるが ,降伏 耐力の ら つきの不 良率に 及ぼす 影響は動的な場 合の 方 が 大 いこ
とが わか
る。g れ は, 降伏耐 力 の ば ら つきが 柱 耐 力比COF
を 変 動 さ せる と同 時 に ,降伏層せん 断 係数分布を 乱す か らで あ る。す なわ ち,降伏耐力に らつ
き の ある場合 に は,相対的に 弱くな った柱 を有 る層
に地 震入力
エ ネル ギーが集中 し,その層の上 下 床レベ ル で の梁に対 する 柱 の降 伏耐 力 の比 つ まりC が 小さ くな り柱 崩 壊 メカ ニ ズムが発生し や す くな
る らで
あると 考え られる 。ま た,COF
の増大に伴 う 良 率の低下は 顕著で あり, こ れは
的な場合と
同様の傾向で
あ る。
Fig .14
a
,b
, cに 累積塑性変形 倍 率 の 最 大 値max
(Ση)の累積確 分 布 を各
COF ごとに実線で
示す 。 こ こで ,max
( η)は,6
層柱頭部 お よび1 層 柱脚 部 を除く任 意 の の 柱 頭 部 もしく は柱 脚 部4 カ所 の 累積塑 性 変形倍 の 和 Σηの中での最 大 値 で ある 。つ まり
, 標 本数2 個の 統 計 母集 団において, 各 標 本 の Ση の 最 大 値mai
Ση
〉 の累積確 率 分布 で ある。 こ れ ら の 図 よ ,降伏 耐力の ば ら つ き が小さくなるほ ど,またCO
ェ 大き
くな るほど累 積確 率 分 布 曲 線の
勾 配 が急
に な , 不良 率が下がるこ とがわかる 。 さ らに, 全 体崩 壊 カ ニズ ムを判
別する累 積 塑 性変形倍率 の制 限値(
本 稿ナ
は ,Ση=8
)にいか な る 値 を採用 しても,一般的 にOV
[Mp
] の減 少 も し く はC の増大に伴
いゴ不良 率
は 小 さく なる ことがわか る。Fig
,15
C
b
,c
に 各Section
(層の柱頭 部 ま た は 柱 部を通る 水平 断 面) に 含ま れる4本の柱の累積塑 性変形{
率の和Σ
η の平均値
つまりΣ(Ση 〉 /200
を各
COF ご に示 す 。こ こで , . 各Section の 記 号4T
,4B
など
は それ
ぞ れ 第4 層 柱 頭部 ,第4
層柱脚部な どを表 す (g
.2
参照)。こ れらの 図より ,COV
[M
ρ]の減 およ び COF の 増大に 伴い , Σ ]ηの平均 値は小 さ な る こと, 換言す ば,柱
の中間層 での塑 性化
を低く抑え る とが
でき
る
とが かる 4. @節 COェ 一 でな 場Seie6sT5B4T4B3T3B2T合 2B冒T0 .0 1 .0 2 .0 3.0 4.0 5.0 6. キn C 巳1i 田 ctitSection
B5T5B4
4B3T
82T D0 Do 〔a . F= D27 . @8.0Section6B5T5B4T4B3T3B 2T2B1
丁
2.
03
.
Q 4.@
5
.06,0
7,0
8
.OMean
o「Cum
凵lative DUCti “ty (b
, COF=
13 0 ,0 1,0 2.0 3.0 4.0
5
.0
6
,0
7
.0
8
0
Mean o蟹Cumulative Ductility ⊂c 】 COF
1
.4Fig
.15 Mean of Cumulat且ve
Ductility Due to Ra皿
m Yiel
St
節 点での
COF
が一
様でない場 合につ いて,
降伏 耐 力 のばらつ きが動 的 崩 壊メカニ ズム に与え る影 響につ い て 若 干の検 討 を加えた。 3.
5項の静 的な場 合で の検 討 骨 組 と同 様に,
床レベ ルCOF
はすべ て L2 と し,
内柱の節 点COF
は 1.
0,
外柱の節点COF
は 1.
6と した。 つ ま り.
内 柱は損 傷を受け ること を許 容し,
外柱は十 分 降 伏 耐 力を高めて弾 性範囲 に と ど ま る よ う に す る設 計で あ る。 標本 数は 200,
入力 地 震 波は4.
1 項と同じエ ル セ ン トロ波NS
成 分であ る。 こ こ で も,
部 材 間の相 関は無 い もの と し た。 動 的に全 体 崩 壊と な る要 件は,
外 柱の累 積 塑 性変形 倍 率の み を考慮し て判定し た。
つ まり,
6層 柱 頭 部および1層 柱 脚 部 を 除 く任 意の層の外 柱の柱 頭 部 ま た は柱 脚 部2カ所の累 積 塑 性 変 形 倍 率 η の和 Σηが 4以一
ヒの時は全体 崩壊で はないと判 定 し た。 こ れ は,
4.
1項と同 様 中 間 層にお け る外 柱の 塑 性 化を平 均 的な意 昧で η=2
まで許容す ること を意 味す る。 な お,
動 的 崩 壊メカニ ズム の判 定に おい て, 4.
1項のCOF
−
tu
な場 合で は内 柱と外 柱の Σηを用い, 本項の一
様で ない場 合では外 柱の み の Σηを 用い て いるが, 設 計 者が塑 性 化 を許さない ことを意 図した柱の累 積 塑 性 変 形 倍 率が 比 較的 小さ い値 (こ こ で は 2.
0 )を超え たと き損傷が生じ た と し て動 的 崩 壊メ カニ ズム の判 定 を行う とい う点で,
両 者の判 定 条 件は同じである。
この結果,COV
匚Mp
]・
.5% の場合に全 体 崩 壊と なら ない確率 (不良率)は0
%,coy
[M
。]=10
%の場 合 の不 良 率は 6 % と なっ た。
節 点COF
が すべ て 1.
2の 場 合の不 良 率 (Fig.
13 よ り, 同 じ条件下の不良率は 各々 20% と73% 〉 と 比 較す ると, 不 良 率が極め て低 くな っ て い る こ と が分か る。
し たがっ て,
床 レベ ル COF が同一
で も,
ある特 定の節 点に お けるCOF
を高 い値に設 定してお くこ と は,
全 体 崩 壊メカニ ズムを 実 現 す る う えで有効であ る と言え る。 Fig,
16a に内 柱と 外柱に お ける各々 の累 積 塑 性変形 倍 率の和の平 均 値を示す。 当 然の こ となが ら外 柱が極め て低い累 積 塑性 変形倍率を示 して い るの に対 して,
内 柱 は塑 性 化を許 容し たの で累 積 塑 性 変 形 倍 率の平均 値は高 い値を 示 し てい る。
した がっ て, こ の よ う な設計の場 合 は内柱が大き な塑 性 変 形 を被る の で,
内 柱に・
・
卜『
分 な塑 性 変形能 力を保 有させ て お く必 要が ある。Fig.
16b に内 柱に お け る累 積 塑 性 変 形 倍 率の 和の 変 動 係 数COV
[Ση] を 示す。COV
[Mρ
ユ=
=
10%の場 合で COV [Σηコ は 100%−
150% の極め て高い値を示すが, COV [Mρ] の 減 少に伴っ てcoy
[Ση]は急 激に低 下 して いる。
し た がっ て,
内 柱の損 傷が極 端に大き く ならないよ うに する ために,
降 伏 耐 力の ば らつ き を小さ く抑え る こ と が 大 切で あ る と言え る。 5,
地 震 力の ばらつ き が動的崩壊挙動に与 える影 響 い ま までの議 論で は,
地 震 力は確 定 量と して扱っ て き た。 しか し,
地 震 波の違い に よっ て構 造 物の崩壊メ カニ ズムが乱さ れ る場 合が あると考えられ る。
そこで,
地 震 力の ば らつ き が構 造 物の 動 的 崩 壊メカニズム に与え る影 響を調べ た 。 骨 組は全 節点COF
が ].
.
2
,1.
3
, 1.
4の 3 種 類と し,
こ こで は骨組を確 定 系と して扱っ た。
地 震 力 はTab
且e 3に 示す 15波の実 地 震 波を用い て解 析を行っ た。
こ こ で 15波の実 地 震 波に同一
の破 壊 力を持た せ る た めに, 同表に示す倍率を乗じ て い る。
こ こ で同一
の破 壊 力と は, 等 価速 度 応 答スペ ク トル (地 震 総エ ネルギー
入 力Et
の速 度 換 算 値 恥=師
,
こ こ で14
は総 質 量 ) が一
定で あ ること と定義し た。 文献 21 )によれ ば, 等 価 速 度 応 答ス ペ ク トルVE
は,
地 震動の卓 越周期T
,と 加 速 度パ ワー
1.
お よび 建 物の 固有 周 期 丁 で 表 現さ れ る。T
がTo
/L 2 よ り大きい範囲で は, 覧=陬
と な る。
加 速 度パ ワー 1
.は , 倍 率 α を乗 じた地 動 加 速 度 を ・・,
膿 繍 時 間t・ teと す れ ば,
屠∫
・随 と表され る
。
し たがっ て,
これ ら の関係 式より,
地 動 加 速 度に乗 じる係 数α は,
… 2・
VE
/ 耽・
ズ
(2)・dt
……・
・
…・
一 一
(・) とな る。
VE=
VE。 (一
定 )と し, それ ぞれ の地震波のT
。,
∬
(・)・dt
を 求・上 式・代 入側 ・属 皺 鋤 胴一
にする た めの倍 率 α が求め ら れ る。
本 稿で は.
,VE
。= SeeionNumber
Mean of Cumuletive PUCtllity
SeCtiOn6BsTsB4T4BST3B2T2
日
1TO
.
0 20 40 608D100 120 140 16e(% ) COVofCumuls 宣幽vo Duロ重itityof Irl量erior Columns〔e) Hean 〔b) COV
Fig
,
16 Mea 翼and COVol Cumulative Duct山 y of Interior and Extenor Cohmns for the Case of DualJoint
−
COFNII-Electronic Library Service 200
kine
を採用 し た。
こ の値は,
新 耐 震 第3
種 地 盤 お よ び 地 域 係 数Z =1
の保有 耐力’
設計用速度応 答スペ ク トル の上 限に対 応す る。
な お,
メキ シコSCT
波につ い て は,
ToがT
よりは るか に高 く,
し か も波 形が調 和 振 動 的な 特 異な性 質を持っ て いるの で,
上の関 係 式は成り立た な い。
そこ で,
原波の T−
1.
0 秒に お ける V,値が約 コOkine
であ るの で!z〕,
こ れ を200
klneにす る た めに倍 率 1.
8
を乗 じ ること と し た。
Fig.
ユ3に不 良 率に 及 ぼ す地 震 力の ばらつ きの影 響 を 破 線で示す。
こ こ で の不良 率は ユ5
種の 地 震 波に対 して 骨 組が全 体 崩 壊 挙 動を示さ な かっ た 地 震 波 の数の比率で ある。 標 本 数が 15個しか ないが,
地 震 力のば らつ きに よ る不 良 率は,
比 較 的 小さ な範囲にあ ること が わ か る。
降 伏 耐 力の ば らつ きに起 因す る不良率と比較す れば,
coy
[Mρ]が 2.
5% の場 合の不 良 率と5
%の 場合の 不 良 率の中聞に位置 する。
し た がっ て,
地 震 波の ば らつ き の影 響は小さい ので,
降 伏 耐 力のばらつ き を小さ く抑え て おくことが 全体崩壊メカニズム を実現す る う えで第一
義 的に有効で あると 言える。
た だ し,
高 次モー
ドの影 響 を受け や すい高層 骨組につ いて は, こ こで得られ た 6層 骨 組の結 果 と同 様な傾 向 を示すか否か は明ら か で な いの で,
今後 検 討が必 要と思わ れ る。
6.
質 量 分 布のばらつ き が 動的挙動に与える影 響 建物の高さ方 向の質 量 分 布のば らつ き が 構 造物の動 的 崩壊メカニ ズム に与え る影 響 を 調べ た。
骨組は全 節 点COF
がL2,
ユ、
3,
1.
4の 3種 類の確 定系と し,
各 床 レ ベ ル の質量 を確 率 変 量とし て扱い,
各々独 立な対 数正規 分布に従う擬似 乱 数を用い,
200 ケー
ス の骨 組 を統 計 母 集 団と し た。 こ の と き,
入力 地 震 波は4.
1
項と同 様 所 定 の倍 率を乗 じたエ ル セ ン トロ波NS
成分 とし た。
Fig.
13 に,
不 良 率に及 ぼ す質量 分布 (m )の ば らつ き の影 響 をCO
レ[m]が 10% と20
%の場 合につ い て一・
点 鎖 線で示 す 。 質 量 分 布の ば らつ きは変動係 数でCOV
[m ]=
10%程 度 以 下と考え られるの で23〕,
同 図 よ り不良率に与える影 響は,
降 伏 耐 力のば らっ き が 与 え る 影 響に比べ て 無視で き ること が わか る e これ は,
高さ方・
向の質量 分布にばらつ き が有る場 合は,
降 伏層せん 断 力 係 数が最 適分布か ら隔た るこ とに より特 定 層に地 震入力 エ ネルギー
が集 中し た と して も,COF
は不 変で ある た め その層の上 下の梁が損傷を受け,
柱の損 傷は避け ら れ る か らであ る。Fig.14a
,b
, c に,
高さ方 向の質 量 分 布にば らつ き が有る 場合に つ い て,
各Section
の 4本の柱の累 積 塑 性 変形 倍 率の和の最 大 値 max (Ση)の累 積 確 率分布を破 線で示す。 これ らの図 より,
質 量 分 布の ばらつ き が有る 場 合の累 積確率 分 布 曲 線は降 伏 耐 力の ば らつ きが有 る 場 合の累 積 確 率 分 布 曲 線より勾 配が急で あ り,
交叉 し ない こと が わ か る。
これ よ り,
全体崩壊メカニ ズム を判 別す る累積塑性変形 倍 率の 制 限 値 (本 稿で は,
Ση=8
)に い か な る値を採用して も,
高さ方 向の質 量 分 布のば らつ き が不良率に与え る影 響は相 対 的に小さい こ と が わ か る。Fig,
15a,
b,
c に質 量 分 布に ば らつ き が有る 場合に つ い て,
各 SECTION に お け る 4本の柱の 累積塑性 変 形 倍 率の和 Σηの平 均 値 を破 線で示す。COV
[m ]が10
% で あ る場 合の Σηの平 均 値は,coy
[Mρ]が2.
5 % の場 合の そ れ よ りも 小 さい こと がわ か る。
し た が っ て,
質量 分布の ば らつ き が崩 壊メカニ ズム に及ぼす影 響 は無 視で き る。
ア.
結 論 多層多ス パ ン剛節平面骨組におい て,
床 レベ ル で定 義 さ れ る柱 梁 耐 力 比 〔床レベ ルCOF
)の概 念を導入 し,
すべ ての可能な崩壊メ カニ ズム の 中で梁 降 伏 先 行 型 全 体 崩 壊メ カニ ズム の荷 重 係 数を最 小にする簡 便な保 有 耐 力 設 計 法を提案し た。
この設計手法に基づい て設 計された 例 題 骨 組 を 用い て,
全 体 崩 壊メカニ ズム の実 現を 阻害す る各 種ば らつ き要 因につ い て確 率 統 計 的な検 討 を 行っ た。
その結果,
次のこ と が明ら かに なっ た。
(1) A,分布に 従 う 静 的 な 水 平 荷 重 下に おいて,
メ カニ ズム形 成 時の崩 壊 層 数と構 造 塑 性 率との間に は強い 正の相 関があOP
± 崩 壊 層 数 が 最 大と な る梁降伏先行型 全 体 崩 壊メ カニ ズム が生じ た と き の構 造 塑 性 率が最 も 高 く な る。 し たがっ て,
構 造 物の靱 性に基づい た耐 震 極限設 計におい ては,
設 計 者の意 図し た崩 壊メ カニ ズムが 保 証 さ れて いなけ れ ばな ら な い。
(2) 部 材の降 伏 耐 力のばらつ き が静 的 水平荷 重 下に おける骨 組の崩 壊メ カニ ズム お よび変 形 能 力に与える影 響は極めて大き い。
つ ま り, 部 材 降 伏 耐 力の ばらつ き が 大きい ほど, 柱と梁の耐力バ ラン スが逆転す る チャン ス が多くなる の で全 体 崩 壊と な ら ない確 率 (不良率 )が高 く な る。
こ の場 合,
不良 率を低く押さ え る ために は,
柱 梁耐 力 比COF
を高く設 定し柱の降 伏 耐 力を梁よりもか な り高く してお く 必要が あ る。 な お,
部 材 間の相 関 係 数 が高く な る と,
降 伏 耐 力の ばらつ きが崩 壊メ カニ ズム に 及 ぼ す 悪 影 響 を 軽 減 す る 効果が あ る。 例え ば,
現 状の部.
材 降 伏 耐 力の ばらつ き を変動 係 数で10
%,
相関 係 数を 0.
7とし た と き,
本 稿で検 討し た3
ス パ ン 6層骨組が 95 %以 上の確 率で全 体崩壊 と な る よ うにす るに は,
柱 梁 耐 力比 を2.
0
以 上に す る 必要が あ る が,
降 伏 耐力の変 動 係 数 を5
% に 品質 管理で き れ ば,
柱 梁 耐 力比 を 1,
4に 低 減 す るこ と がで き る。
つ まり,
信 頼 性 設 計の原理に基 づ けば,
降 伏 耐 力のば らつ きの小さい材 料 を用い る こと により経 済設計 (こ の場 合に は柱の軽 量 化 )が可 能で あ る。
(3
) 建 物の層数が多く な るにつ れて,
全 体 崩 壊メカ ニ ズムを実 現する こと が確 率 的に困難と な る。
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159
一
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Eleotronio Libraryて, 高 層 建 物を梁 降伏先行型 全 体 崩 壊メ カニ ズム に基づ い て設 計 する と き は
,
部材 降 伏 耐 力の ば らつ き を小さ く し柱 梁 耐 力 比を高く して お く等の配 慮が必 要であ る。 (4) 動 的 荷重下に おいて も, 弾 性 域に と ど ま る べ き 柱の累 積 塑 性変形倍 率が あ る限 界 値 を越え た と き,
そこ に塑 性ヒン ジ が形 成され た もの と し て動 的 崩壊メカニ ズ ムを決定す れば,
部 材 降 伏 耐 力の ぱらつ き が構 造物の動 的崩壊メ カニズム に及ぼす影 響は極め て大き く,
静 的 荷 重 時と同 様の傾向を示す。
こ れ は,
降伏 耐 力のば らつ き が大きい と, 降 伏 層せ ん断 力 係 数 分 布の最 適分布か らの ずれ や柱と梁の耐 力バ ラン ス の乱れ が発生し や す く なる の で局部崩壊が生じ や す くな るた めで あ る。
(
5
) 床 レベ ルCOF
が同一
で あっ て も, 節 点で のCOF
を 不 均一
に し,
特 別に強 度の高い柱を設け た方が 確 率 的に全体崩 壊メ カニ ズムが実 現し や すい。
この傾 向 は静的荷重下よ り も動 的 荷 重 下の ほうが顕著であ る。 た だし,
この場合に は,COF
が小さ く なっ てい る節 点に お け る柱の 損傷 (累積 塑 性 変 形 倍 率 )が 非 常に高 く な る ので, 柱に十 分な塑 性 変 形 能 力を付与して お く必要が あ る。
さ らに,
こ の柱の累 積 塑 性変形倍 率の ば らつき が非 常に大 き く,
しか も部 材 降 伏 耐 力のばらっ き に敏 感で あ るので,
部 材 降 伏 耐 力の ばらつ きを低く押さえ て お くこ と がこ の場 合に も大 切である。 (6) 梁降 伏 先 行 型 全 体 崩 壊メ カニ ズム に基づ い て設 計し た構造 物に柱 降 伏 型 局 部 崩 壊を誘 発す る要因 と し て,
部 材 降伏 耐 力の ば らつ き以 外に,
地 震 力の ば らつ き と高さ方 向の質 量 分 布の ばらつ き が考えられる。
し か し,
6層 建 物の動的解析に よる と, 後 2者の影 響は降 伏 耐 力 の ばらつ き の影 響に比べ は る か に小さい こと が明らか と な っ た。 し た がっ て,
構造 塑性 率の高い全 体 崩 壊メ カニ ズム を実 現す ることに よっ て構 造 物の耐 震 信 頼 性 を確 保 す る観 点か ら は、
降 伏 耐 力のば らつ きを 小さくする こと が 第一
義的に重 要で あ る と言え る。
付 録 以 下の 4条件 を満 足する 多層 多ス パ ン剛 節 平 面 骨 組は,
A,分 布に従 う地 震 力に対して梁降 伏 先 行 型 全体 崩壊メ カニ ズムと な る。
降 伏 層せ ん断力 係 数 分布はん 分布と根 似で あ る。
すべ て の床レ ベ ルの柱 梁耐力比 が等しし、 〔た だ し,
屋根 レ ベ ルを除く}。 節点に集ま る柱の耐 力 和は梁の耐 力 和より大きい (た だ し,
屋根レベ ルを 除く)。
第 i層の作 用せん断力Q
‘と階高 h,の積 S、ぱ,
次の不等 式 を 満 足する。
(こ の不等式は,
層 せ ん断 力 分 布 が一
般に Fig.
Al に示す よ う な 凸形の分 布にな ること,
及び実 際の建 物の階 高 がほ ぽ均 等で あること か ら導くこ と ができ るので現実的な条 件であ る と言え る。
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