3-1公営住宅の役割
(1)新たな住宅政策の背景
これまでの住宅政策の基本的な枠組みは、政策手法の三本柱である公営住宅制度、日本住宅公団 (現在の独立行政法人都市再生機構)、住宅金融公庫(現在の独立行政法人住宅金融支援機構)を 活用し、右肩上がりの住宅需要を前提に、住宅の新規供給を中心とした住宅建設五箇年計画を推進 することにより、住宅不足の解消や居住水準の向上等が図られてきました。 しかしながら、少子高齢化の急速な進行、人口・世帯減少社会の到来に伴い、新たな制度的枠組 みとして「住生活基本法」が平成 18 年 6 月に施行され、併せて住生活基本計画として、国が全国 計画(同年 9 月)を定め、都道府県が都道府県計画を定めています。そこでは、住宅の「量の確保」 から、住宅そのものの性能のみならず、住宅地全体の安全性の確保、良好な街並みの形成、コミュ ニティの回復など地域における住環境の形成、生活・福祉・健康・文化など居住サービスの確保と いった、より広がりのある住生活の「質の向上」への転換、市場重視・ストック重視の方向への転 換が求められています。(2)住生活基本計画(全国計画)
■ 住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策についての横断的視点 基本的方向 内 容 (1)ストック重視の施 策展開 環境問題や資源・エネルギー問題が深刻化する中、これまでの「住宅を作 っては壊す」社会から、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く大 切に使う」社会へ移行することが重要である。 ・住宅ストックの質の向上と適切な維持管理によるストックの供給 ・住宅ストックが循環的に利用される環境の整備 (2)市場重視の施策展 開 多様化・高度化する国民の居住ニーズに的確に対応するため、市場におけ る適正な取引を阻害する要因を除去し、健全な住宅市場の形成を図る。 ・住情報等の提供による消費者の利益の擁護・増進 ・市場における法令遵守と市場機能の活用 (3)関連する施策分野 との連携による総合 的な施策展開 国民の住生活を豊かなものにするため、まちづくり施策、福祉施策、環境・ エネルギー施策、防災施策等の国民生活に深く関わる施策分野との密接な 連携を進め、総合的に施策を展開する。 (4)地域の実情を踏ま えたきめ細かな施策 展開 地域の自然、歴史、文化等社会経済の特性に応じた多様な居住ニーズに的 確に対応するため、地域の実情を最もよく把握している地方公共団体が主 役となって、総合的かつきめ細かな施策展開を図る。第3章 公営住宅の役割とめざす方向
■ 目標、成果指標、基本的な施策(平成 27 年指標数値目標) 目標 成果指標 基本的な施策 (1)良質な住宅ストッ クの形成及び将来世 代への継承 ①住宅の品質又は性能 の維持及び向上 ②住宅の合理的で適正 な管理等 ●ストックの新耐震基準適 合 率 90 % ( 公 営 住 宅 は 100%) ●省エネ住宅化率(40%) ●高齢者居住住宅バリアフ リー化率(75%) ●マンションの適切な維持 管理率 ●耐震改修等の推進 ●省エネ、バリアフリー化の推進 ●適切な維持管理・リフォームの促進 ●マンションの管理の適性化、建替え等の円 滑化 (2)良好な居住環境の 形成 ●密集市街地の整備率 ●大規模な火災や自然災害に対する住宅市 街地の安全性の確保 ●住宅市街地における交通事故の防止・防犯 性の向上 ●持続可能なバランスのとれたコミュニテ ィの維持・形成 ●公的賃貸住宅の計画的な建替え、ニュータ ウン再生の支援等 (3)多様な居住ニーズ が適切に実現される 住宅市場の環境整備 ●住宅性能表示の実施率 ●既存住宅の流通シェア ●住宅性能表示制度の普及促進 ●既存住宅の管理状況、不動産の取引価格等 に関する情報提供、相談体制の整備 ●定期借家制度の活用等による持家の賃貸 化等による住替え支援 (4)住宅の確保に特に 配慮を要する者の居 住の安定の確保 ●最低居住面積水準未満率 (0%) ●子育て世帯居住水準達成 率(50%) ●既存ストックを有効活用しつつ、公平・的 確な公営住宅の供給 ●公的賃貸住宅相互の連携強化や柔軟な利 活用の推進 ●高齢者や子育て世帯等のための良質な賃 貸住宅の供給、福祉施設等を併設した住宅 の供給支援 注:「公営住宅」は公営住宅法による住宅、「公共賃貸住宅」は公営住宅、都市再生機構住宅、住宅供給 公社住宅等の公的機関が整備・管理する賃貸住宅、「公的賃貸住宅」は公共賃貸住宅に加え、地域優良賃 貸住宅等の公的資金による助成を行う賃貸住宅を言う。
(3)愛知県の住生活基本計画における本市の公営住宅施策基本方向
愛知県においては住生活基本法の施行、国による住生活基本計画の策定を受け平成 19 年 2 月に愛知県住生活基本計画として「あいち住まい・まちづくりマスタープラン 2015」を策定 しています。「市場重視・ストック重視」を基本理念とする県の総合的住宅施策は次のとおり です。 本市の計画では、太文字で表示している「公営住宅ストック再生の推進」、「重層的なセーフ ティネットの確保」、「公共賃貸住宅の高齢者対応の推進」「子育て層に対する支援」を主な課 題として施策を検討していきます。 (県の住生活基本計画の施策の体系) 1 安心して住み続 けることができる 住まい・まちづくり (1)災害に強い住まい・ まちづくり ① 地震に強い住まいづくりの推進 ② 密集市街地の整備など地震に強い まちづくりの推進 ③ 水害等の災害の危険性が高い地区 における安全性の向上 (2)犯罪の被害にあいに くい住まい・まちづ くり ① 防犯上の指針に適合した住宅の整 備・普及促進 ② 地域ぐるみの安全対策実施に向け た啓発活動の実施 ① 公営住宅ストック再生の推進 ② 重層的なセーフティネットの確保 (3)セーフティネットの 確保 2 いきいきとした住 生 活 が 実 現 で き る住まい・まちづ くり (1)高齢者・障がい者に やさしい住まい・ま ちづくり ① 公共賃貸住宅の高齢者対応の推進 ② 高齢者向けの良質な民間借家の供 給と入居支援 ③ 民間住宅のバリアフリー化の推進 ④ 人にやさしい街づくりの推進 (2)家族形態や居住ニー ズの多様化への対応 ① 世帯に応じた居住水準の確保 ② 子育て層に対する支援 ③ 都心居住志向への対応 ④ 田舎暮らし志向への対応と都市農 山村交流 ① 住まいての判断材料となる的確な 情報の提供 (3)多様な住まい方が 選択できる環境の3 環 境 と 共 生 し な がら長く使い続け る住まい・まちづ くり (1)良質な住宅ストック の形成と維持管理 ① 新築住宅の質・性能の確保と良質な 住宅の普及 ② 分譲マンションの適切な管理の促 進 ③ 適切なリフォームの推進 ④ 地域住宅生産者の育成 (2)環境共生の取組の 推進 ① 環境共生住宅の建設促進 ② 環境と共生した住まい・まちづくり 活動の推進 ③ 身近な自然環境の保全・創出 4 地域特性を活か し、多様な主体が 参画する住まい・ まちづくり (1)多様な地域の特性に 応じた再生・活性化 ① まちなか居住の推進 ② 密集市街地の整備など地震に強い まちづくりの推進(再掲) ③ マンションや大規模団地の再生 ④ 中山間地域の居住の確保 (2)良好な住環境や街並 みの形成 ① 良好な住環境の形成 ② 地域特性を活かした街並み景観の 形成 ② 地域のまちづくり活動の活発化 ③ 多文化共生型居住の推進 (3)コミュニティの活 性化