地域社会とともに
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○東武グループにおける東日本大震災被災者の救援・支援
東武グループでは 、グループを挙げて被災された方々の救援・支援を行いました。被災地への救援・支援等のルートを確保
当社では東日本大震災翌日の 3月12日に、全線の運転を 再開(一部直通運転を除く)しました。しかし、他の首都圏と 東北地方を結ぶルートは、震災により不通となっていました。 そこでライフラインの一つとして浮かびあがったのが、東武鉄 道・野岩鉄道・会津鉄道を乗り継ぐ東京〜福島ルートでした。 東武線と野岩 鉄 道 線 および 会 津 鉄 道 線との 直 通 運 転 (浅草 ~ 会津田島間)を実施し、東京と福島を結ぶ “救援・ 支援等のルート”を3月19日から確保しました。 交通網の寸断で孤立していた会津地域の方や、福島方面 に支援物資を届ける方などにご利用いただき、また、3月22日 からは速達性の向上を図るため、特急スペーシアの運転も 一部再開しました。 計画停電への対応など長距離列車の運行には様々なハー ドルがありましたが、3 社間でダイヤの調整を行うなど関係 各社と協議を行い、直通列車の運行を確保することで、当社 の社会的役割を果たすことができました。 東日本大震災は、首都圏公共交通機関にも大きな爪痕を残 しました。携帯電話がつながらない状況が続き、夕方から深夜 にわたり帰宅できない人々、「帰宅困難者」が街に溢れ出ました。 この非常時に情報確認やトイレ利用を求め、寒さや眠気を しのぎたいと頼った一時的避難場所の一つがホテルでした。 恐怖、不安、失意、疲労困憊、空腹、渇きを抱えて多くの方々 が首都圏 7カ所(銀座、錦糸町、成田、宇都宮、高輪、渋谷、 川越)の東武ホテルを訪れ、受け入れた人数は合計で約 950 名に上りました。 そこで 暖 か い 宴 会 場 やロビーを開 放し て毛布やシーツを提 供、テレビによる情報 提供 、さらにカレーラ イスやチャーハン、お にぎりなどの炊き出し や温かい飲物・ミネラ ルウォーターの提供のほか、赤ちゃんには紙おむつやミルク の配布など、「ホテルとしてできること」に努めました。 ホテルは公共性が高く貴重な防災拠点となり得るとの認識 を高め、今後も緊急食料品や飲料水の確保を進めるとともに 災害発生に備えた訓練などの対応の強化を図り、行政機関、 警察 、消防との連携を一層深め 、ホテルマンのホスピタリ ティ向上をめざします。 被災地である仙台国際ホテル㈱においても3月11日の震災 当日は避難所として600 余名の方々を受け入れました。 しかし建物・設備の損傷により安全確保のため、宿泊部門 の営業の一時休止を余儀なくされました。被災して機能を奪 われ、ライフラインの他、食材の調達も思うようにいかない 中で、復興への挑戦が始まりました。3月19日、手を尽くして 調達した小麦粉でパンを焼いての街頭販売を実施し、29日 にはガスボンベとカセットボンベで、フランス料理・中国料理・ 日本料理の本格的料理をご提供し、「こんな時だからこそ」 と、杜の都にピアノの音色を響かせた特設レストランを開業 しました。 その後、4月11日から「美味しい本格的シェフの味をご家庭 にお届けしましょう。ガソリンが手に入らないのなら、自転車や 徒歩ででも!」と始めた、お惣菜の宅配「 お届けデリカ」等、「食」 を通じてできる限りのサービスの提供に努めました。 宇都宮東武ホテルグランデによる炊き出し ( 於:宇都宮市表参道スクエア前)震災での帰宅困難者を受け入れ ㈱東武ホテルマネジメント 仙台国際ホテル㈱
社 会 と の か か わ り
2011 TOBU Corporate Social Responsibility Report
○節電への取り組み
東日本大震災の影響により、 東京電力および東北電力管内の電力供給力が大幅に減少したことから、政府の「夏期の電 力需給対策」として、今夏の使用最大電力を対前年 15% 削減するという需要抑制目標の下、対策を講じることとなりました 。 鉄道事業では 、一部列車の減車や間引き運転を行ったほか 、鉄道施設の照明の一部消灯や空調設定温度の適正化 、 エスカレーターの平日12 時 ~15 時の間の運転停止(一部駅を除く)等を実施しました。また、駅ビル・賃貸ビル・ホテル・ 本社ビル等の施設においても業種や業態に応じて、照明の一部消灯や空調設定温度の適正化、エレベーター・エスカレー ターの一部運転停止等を実施しました。その結果、当社の大口契約(契約電力 500kW 以上)の全ての施設で使用最大電力 の限度を下回ることができました。 引き続き、照明の一部消灯や空調設定温度の適正化等を中心に、節電に努めます。その他
○被災者の輸送支援等を実施しました。(東武バスセントラル、東武バスウエスト、東北急行バス、関越交通) ○ 救援物資(要請に基づくレトルト食品や缶詰め等の非常食)の提供をしました。(東武宇都宮百貨店) ○ 東日本大震災により首都圏等に遠方避難中の子どもたちをはじめ、多くの子どもたちに楽しんでもらうため、春休み期間中、子ど もたちにレジャー施設を開放、小学生以下の入園料を無料としました。被災者の方々の辛さや苦しみを少しでも和らげるととも に、子どもたちの笑顔を取り戻すことのきっかけのひとつになればとの思いから実施したものです。(東武博物館、東武動物公園、 東武ワールドスクウェア)東日本大震災の影響を受けた方を対象に正社員採用
東武ステーションサービス、東武エンジニアリング、東武イン ターテック、東武バスの各社は、東日本大震災の影響を受け、 内定を取り消された学生・生徒の皆様、学校卒業3年以内の就 業困難となられた皆様を対象に正社員採用の募集をしました。 これは、震災の影響により、事業継続が難しくなる企業も あり、今春卒業予定だった学生の内定取り消しがある等の報 道や、関係省庁の意向を踏まえ、未来を担う若者が、将来へ の希望を持ち続けられるよう被災者支援の一環として、「 職 」 の確保のために正社員の募集を実施したもので、合計で 11 名の方を採用しました。 福島県双葉町のみなさん東武博物館と東京スカイツリー ® に被災された方々をご招待
4月23日・24日、埼玉県加須市に役所ごと集団避難されて いる福島県双葉町の住民の方々を、東武博物館と東京スカイ ツリー見学にご招待しました。 「笑顔を取り戻すきっかけにしてほしい」との思いで、博物 館では SLショーなどをご覧いただいたほか、東京スカイツ リーインフォプラザに駆けつけた公式キャラクターの「ソラ カラちゃん®」と記念撮影を行うなど、ご参加の方々にお楽し みいただきました。親水公園
商業施設
(東京ソラマチ)
水族館
とうきょうスカイツリー駅
(現・業平橋駅) 東武伊勢崎線○東京スカイツリータウン
R 東京スカイツリータウンとは 、「 東京スカイツリー® 」 や商業施設 、オフィス施設 、教育関連施設 、水族館 、 ドームシアターなどを含む施設全体の名称で、平成22年 12月商業施設の名称を「東京ソラマチ®」、オフィス施設 の名称を「東京スカイツリーイーストタワー ® 」に決定 しました。 この名称が広く親しまれ 、“タワーのある街”が日本の ランドマークに相応しい街になるよう、グランドオー プンに向けて 、東武グループ一丸となって取り組んで います。 東京スカイツリータウンの開業にあわせ、伊勢崎線業平橋駅 の駅名を「とうきょうスカイツリー」に改称します。日本の新 しいランドマークとなる東京スカイツリーへの玄関口として ふさわしく、わかりやすい駅名に変更するとともに、あわせて ◆ とうきょうスカイツリー駅 ◆ 東京スカイツリー 第 1 展望台 高さ 350m の第 1 展望台からは 、開放感あふれる 大パノラマが目の前に広がります。東京を見下ろす 美しい景色が楽しめるレストラン、気軽に立ち寄れる カフェやショップなどが用意されています。北十間川
交流広場
東京スカイツリー
®
商業施設
(東京ソラマチ)
ドーム
シアター
東京スカイツリー
イーストタワー
押上駅(地下)
東武伊勢崎線 京成押上線 都営浅草線 東京メトロ半蔵門線親水公園
社 会 と の か か わ り2011 TOBU Corporate Social Responsibility Report
観光、ショッピング、毎日のお買物といった様々な人々 が楽しみ集う街「東京ソラマチ」には、様々な情報やト レンドを発信し、新しい下町の活気やにぎわいを感じ させるバラエティ豊かな全310店舗が集積しています。 ◆ 東京ソラマチ 13 階〜 29 階には総貸室面積約 7,700 坪のオフィス 空間が広がり、押上駅コンコースに直結するエレベー ターホールには、地上 12 階のスカイロビーへ向かう シャトルエレベーターを4 基用意しています。 ◆ 東京スカイツリー イーストタワー 観光機能と集客機能を兼ね備えた最新鋭の多機能型 ドームシアター ※プラネタリウム全天周映像投影イメージ 画像提供:コニカミノルタプラネタリウム㈱ ◆ コニカミノルタプラネタリウム “天空” in 東京スカイツリータウン 高さ450m の第2展望台からは関東一円を見渡す 広大なビューが楽しめます。ガラスで覆われた空中 回廊では 、まるで空中を散歩しているような体験が できます。 ◆ 東京スカイツリー 第 2 展望台・空中回廊
地域冷暖房の 1 年間の CO
2排出量
約半分
に削減 !
※ (※計画値)世界最高水準の低炭素化をめざす
CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2CO
2 【試算条件】 ・個別方式(従来の個別分散的な熱源システム)との比較 ・2010 年 9月 計画値 自立式電波塔として世界一の高さを誇る「東京スカイツ リーR 」、その足元では商業・文化・教育などさまざまな機能 を備える「タワーのある街づくり」が進められています。 地域冷暖房システムは 、たくさんの建物の冷暖房をまと めることで 、効率的に冷暖房用の熱エネルギーを製造・供給 することができるシステムです。本エリアの地域冷暖房シス テムは 、世界最高水準の高効率・省エネ性能を備えるター ボ冷凍機やヒーティングタワーヒートポンプ 、地中熱用の水 熱源ヒートポンプと大容量水蓄熱槽を組みあわせた最新 のシステムを用い 、CO2排出量の半減をめざしており、環境 面においても我が国を代表する街づくりとなります。地域冷暖房システムで国内最高水準の省エネ性能・省 CO
2化を実現
「気体は圧力がかかると温度が上がり、圧力 をゆるめると温度が下がる」という性質(ボイル・ シャルルの法則)を応用し 、機器内を循環する= 再生可能エネルギー
を利用します。 自然界に存在する空気の熱
東京スカイツリー 地域冷暖房 地下の熱供給施設 冷房用には冷たい水を送っています。 暖房用には温かい水を送っています。 大容量 水蓄熱槽 商業施設 商業施設 商業施設 高層建築暖房
冷房
冷房
暖房
冷房
暖房
冷房
暖房
ヒートポンプ ターボ冷凍機 国内の地域冷暖房としては初めて、1 年中ほとんど温度が変わらない= 再生可能エネルギー
も利用します。地 中 熱
COOLクール 地中熱用の水熱源 ヒートポンプ夏
HOTホット冬
ターボ冷凍機 +ヒートポンプ+ 蓄熱システムを メインとする地域冷暖房システム ヒートポンプ 地中熱利用社 会 と の か か わ り
2011 TOBU Corporate Social Responsibility Report
地域冷暖房以外の 4 つの省 CO
2太陽光発電
自然のエネルギーである太陽光を利用して発電します。 トイレの洗浄水、屋上緑化の水まき、太陽光パネルの冷却に利用する ことで、上水を節水し、水の浄化に要するエネルギーを削減します。雨水の多目的利用
屋上緑化により、ヒートアイランド現象の緩和と建物の 高温化を防ぐことで、空調負荷を軽減します。屋上緑化
東京スカイツリーのライトアップならびに東京スカイツリータウンの 外構照明・内部照明をLED 化することで、省エネを図ります。LED 照明
大容量水蓄熱槽の採用
生活用水23
万人分 消防利用 蓄熱システムは、夜間電力を利用して冷房時は冷水、暖房 時には温水を蓄熱槽に蓄え、この蓄えた熱エネルギーを 昼間に使う経済的なシステムです。夜間に熱エネルギーを 蓄えるため、受変電設備や熱源機器の容量が小さくて済み、 熱源機器の定格運転で効率向上が図れます。さらに火災は もとより地震等大規模災害時に蓄熱槽水を消防用水 、生活 用水として提供します。25mプール
17
杯分の貯水量
※ ※25mプール(標準水量 約 400t)換算で約 17 杯分 「粋いき」 「雅みやび」 スカイツリータウン太陽光パネル 「大容量水蓄熱槽」(高さ16m、水深約 15m) 4 槽で合計保有水量約 7,000トン (ライティング予想 CG)東武野田線開通 100 周年 、東武宇都宮線開通 80 周年記念イベントを開催
当社は 2011 年 5月9日に東武野田線開通 100 周年を、また 8月11日に東武宇都宮 線開通80周年を迎えました。これを記念した夏休み企画として、さまざまなイベントを 開催しました。 野田線では 、7 月 15 日から8 月 31 日まで 、記念ヘッドマークを 3 編成に掲出して 運転しました。あわせて野田線主要の各駅にスタンプを設置して、全てのスタンプを 集めた方に記念品をお渡しし、野田線の車両で使用した方向幕などが抽選で当たる スタンプラリーを実施したほか、「野田線開通 100 周年記念入場券セット」を発売しま した。 宇都宮線では、7月30日から9月30日まで、記念ヘッドマークを2 編成に掲出して 運転しました。あわせて東武グループ施設を含む沿線の各施設(壬生町おもちゃ博物 館やバンダイミュージアムなど)を巡るスタンプラリーを実施したほか、「東武宇都宮 線開通 80 周年記念乗車券セット」を発売しました。また、東武グループ各社や沿線の 各施設においても、さまざまなイベントや特典サービスなどを実施しました。中で も宇都宮東武ホテルグランデでは 、宇都宮線各駅をイメージした「ミヤセンカクエキ カクテル」を販売したところ、大変好評で期間を延長しています。 おかげさまで野田線開通 100 周年 、宇都宮線開通 80 周年。これからも安全輸送で走り続けます。 東武野田線開通 100 周年記念 ヘッドマークをつけた 8000 系 東武宇都宮線開通 80 周年記念 東武博物館館長によるトークショーイベント「 5・5・5 日光へ GO! 」キャンペーンの実施
当社では、JR東日本および日光市と共同で、日光市へのお客様誘致を図っています。 2011 年は、日光市合併、奥日光ラムサール条約登録、JR・東武相互直通特急運行 がそれぞれ 5 周年を迎えたのを記念し、「5・5・5日光へ GO!」キャンペーンを実施して、 これまで以上に日光市へのお客様誘致に努めました。 キャンペーン内容として、JR 車両 253 系のリニューアル車両がデビューする6月4日 に東武日光駅でお出迎えイベントを開いた他、日光エリアでのハイキングを開催しま した。 関連イベントとして7月23日、24日に、東武日光駅、鬼怒川温泉駅の両駅において、 川俣地区で夏まで保存していた4トントラック4台分の雪を使って、「日光夏の雪まつり」 を開催し、お子様をはじめとして多くのお客様に喜んでいただきました。 また、7月、8月に湯ノ湖畔などを歩く「ラムサール条約登録 5 周年記念奥日光ウォー ク」を実施。3 年目となる「神職・寺僧と歩く、二社一寺世界遺産ウォーク」は従来のよ うに親子には限定せず実施し、多くのお客様に楽しんでいただきました。 当社では、これからも多くのお客様に、日光の良さを知っていただきお越しいただ けるよう、地域一体となって、さまざまな施策を実施していきます。 奥日光ウォーク 日光夏の雪まつり ~トリプル 5 周年で誘客~○鉄道事業
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