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宇宙線のまとめ 3 x 10 10 cm 3 惑星間空間の粒子密度は1 cm 3 数密度 星間空間のいたるところに存在し 地球に飛来する宇宙線はほぼ等方的である GeV 109 ev にピーク 太陽からくる高エネルギー粒子 が存在する 地上付近では宇宙線は大気と衝突するため 宇宙空間から直接来る一次

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Academic year: 2021

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第二土曜会・講演 2016年1月9日(土)

宇宙物理の未解決問題

〜銀河宇宙線の話題を中心に〜

オーストリア宇宙科学研究所 太陽圏プラズマ部門

成田康人

宇宙空間は地上では実現不可能な低密度・高エネルギーの物理の実験の場を提供し、宇宙空間の現象を調べるこ とは物理学に大きく発展してきた。宇宙物理は現代物理学の基盤となる相対性理論と量子力学のうち、相対性理論 が大きく活躍する分野でもある。かつては神話ととらえられていた天体の運行も万有引力や一般相対性理論の構築 により物理としての記述が可能になり、また宇宙項と暗黒物質の存在を認める現代宇宙論(ラムダCDM理論)では1 2個のパラメータを上手に選択することにより、宇宙背景放射と銀河の空間分布の観測を理論計算から再現できるよ うになった(なお、統計的な分布やスペクトルが精密検証可能であるのであって、どこの方角のどの距離に背景放射 の量がどれくらいでどのような銀河や星が存在するという予言ができることを意味しない)。現代宇宙論は1990年代 のCOBE衛星や2000年代のWMAP衛星の宇宙背景放射の観測、銀河の大規模構造探査、Ia 型超新星爆発の遠 方観測などに基いており、それまでの定性的な議論ではなく精密な定量検証が可能になったことは驚くべきことであ る。興味深いことに、素粒子の標準模型に登場する26個のパラメータと宇宙論のパラメータの整合性はない。 宇宙空間をさまざまな空間スケールで眺めてみると、高エネルギーの宇宙線とよばれる粒子が至る所で登場する。お よそ100年前に宇宙空間から降ってくる高エネルギー粒子として認識され、かつて1940年代は新粒子を発見するた めの素粒子物理学の実験場であった。高エネルギー粒子を詳細に研究することにより、太陽系の中、星間空間、銀河 の様子が少しずつ見えてくる。粒子加速器のエネルギー限界に至った今日でもさらに超高エネルギーの天体素粒子 として我々に遠方の銀河、銀河団の情報を与え続けてくれる。 本稿では、銀河宇宙線の話題を中心に、宇宙物理の未解決問題をいくつか紹介したい。宇宙線物理の歴史的な背景 と現在の観測結果から始め、地球近傍の高エネルギー粒子の振る舞い、太陽系の宇宙線問題、星間空間と超新星爆 発、銀河から銀河団そして宇宙論の空間およびエネルギーの尺度を徐々に大きくとって眺めていく。具体的な構成は [1] 宇宙線のまとめ、[2]地球近傍・太陽系のプラズマ、[3]星間空間と粒子加速・散乱、[4]系外銀河から銀河団、宇 宙論、[5]未発見粒子の順である。 宇宙物理学は、自然科学のほんの一部でしかない。しかしながら、観測ができる範囲で、我々が住む周りの空間の物 理状態を知ることは知的好奇心に応えてくれるのみならず、宇宙開発の技術を促進し、また我々の生活を安全・豊か にしてくれる。地球近傍のプラズマ・電磁場環境は今日では宇宙天気として認識されている。第二土曜会の話題は多 岐にわたり、素粒子・高エネルギー物理学、非線形物理学、脳神経学、心理学、生理学、芸術論を包括する。宇宙物理 学の視点の議論から、第二土曜会の主題とする人間と自然界の本質を理解する手助けになれば幸いである。

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宇宙線のまとめ

• 数密度 3 x 10−10 cm−3 (惑星間空間の粒子密度は1 cm−3)。 • 星間空間のいたるところに存在し、地球に飛来する宇宙線はほぼ等方的である。 • GeV(109eV)にピーク(太陽からくる高エネルギー粒子)が存在する。 • 地上付近では宇宙線は大気と衝突するため、宇宙空間から直接来る一次粒子ではなく、パイ中間子、ミュー オンなどの二次粒子がなだれ状(カスケード、滝の意)に発生する空気シャワー現象として観測される。 • べき則のスペクトル(図1): ◦ 1014eVまでの粒子エネルギースペクトルはE-2.7 ◦ 1014eV付近で折れ曲がり(「ひざ」 knee と呼ばれる) ◦ それ以上のエネルギーでは粒子エネルギースペクトル E-3 • 1014eV付近までの宇宙線は、銀河磁場による粒子運動の閉じ込めのために、銀河内起源。 • それ以上の高エネルギー宇宙線は銀河外(別の銀河、銀河団など)起源。 • 1990年代までは1019eV 以上の宇宙線は地球に飛来できないであろうと考えられていた (GZK限界、Greisen-Zatsepin-Kuzmin、宇宙背景放射の光子と衝突するため)。 • ところが近年、GZK限界を超えるの超高エネルギー宇宙線観測事例が報告され、もう一つの折れ曲がり (足首、ankle)として認識されるに至る。 • 宇宙線の核種構成は、陽子が90%以上、ヘリウム原子核のアルファ粒子が数%、重い原子核が数%、電子 が1%程度。 図1: 宇宙線のエネルギースペクトル 宇宙線エネルギー(eV/particle) 飛 来 量 E 2 d N /d E ( G eV c m -2 s r -1 s -1 ) 1019 1021 100 10-2 10-4 10-10 陽子 全ての粒子 1017 1015 1013 1011 109 10-8 10-6 電子 陽電子 折れ曲がり 折れ曲がり

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宇宙線エネルギーと粒子加速器 • 超高エネルギー宇宙線のエネルギーは現在のところ1020eV(1011GeV)。 • LHC(陽子両向きに加速させ正面衝突させる実験)は14 TeV(104GeV)。 表1: 素粒子のエネルギー尺度の目安 原子の結合エネルギー 10 eV から1 keV 電子の質量 511 keV 原子核の結合エネルギー 1 MeV ミュー粒子 106 MeV パイ中間子 135 MeV (π0)140 MeV(π+π-) 陽子の質量 938 MeV 電弱相互作用統一スケール 100 GeV 大統一スケール 1015 GeV プランクエネルギー 1019 GeV

2 地球近傍・太陽系のプラズマ

惑星間空間 • 地球近傍の宇宙空間や惑星間空間では、電離気体(プラズマ)と磁場が大きなエネルギー密度を占める。 • 太陽コロナから吹き出すプラズマと太陽の自転により、太陽の磁場はアルキメデス螺旋(らせん)を形成しな がら星間空間へと運ばれる。 • 地球周辺では前面で磁場が圧縮され、後面で彗星のように尾部を形成する。 図2: 惑星間空間と地球磁気圏の磁力線の概念図

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宇宙線遮蔽 • 銀河から飛来する宇宙線は惑星間空間磁場により軌道を曲げられ、宇宙線を追い払う仕組みとして働いて いる。 • 地球磁場もまた宇宙線を遮蔽する効果をもつ。 • 地球に飛来する銀河宇宙線の量は太陽の黒点頻度と反相関することが知られている。 • 宇宙線の線量のピークには2種類あり、平らなものと尖ったものがある。11年ごとにピークの種類が入れ替わ る。 • つまり周期は22年で、11年ごとに太陽磁場の極性が反転するため、銀河宇宙線の散乱と太陽磁場がつなが りをもつ証拠と考えられている。 • ボイジャー (Voyager)衛星は太陽圏(太陽のプラズマ・磁場が届く領域)を出て星間空間を観測中であり、 星間空間では宇宙線の量が増えていることが確認されている。

3 星間空間と粒子加速・散乱

フェルミ加速機構 • プラズマや磁場が動く中で粒子が選択的に加速されるという機構。粒子加速の効率がプラズマ流速(光速 に対し)の一次のオーダーと効率が高い機構と、二次のオーダーの効率が低い機構の二種類が提唱されて いる。 図3: 中性子モニターで計測した宇宙線飛来量(上図)と太陽黒点数(下図)。 Narita, Plasma Turbulence in the Solar System (Springer, 2012)より抜粋。

The neutron monitor data are provided by the University of New Hampshire. National Science Foundation Grant ATM-0339527 is acknowledged. The sunspot number data are provided by World Data Service for the Sunspot index, SIDC, Royal Observatory of Belgium, online catalog of the sunspot index: http://www.sidc.be/sunspot-data/

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• 一次のオーダーの加速機構の簡単な模型として、衝撃波の前後に乱流場が存在するという設定を考える。 上流側は常に流速が大きいため、粒子が上流と下流側の双方の乱流場によって跳ね返され続けると、上流 側で跳ね返されるときに粒子がプラズマ流速から得るエネルギーは下流側の散乱に伴うエネルギー損失よ り大きい。粒子の散乱が選択的に続けば高エネルギーまで粒子を加速できる、という過程である。 • フェルミ加速機構の長所は、解析的な理論から宇宙線のエネルギースペクトルに見られるべき則が再現でき ることである。衝撃波面の垂直方向がプラズマ流速に対し反平行(つまり傾斜がない)簡単な設定ではべき 則の指数が−2になり、傾斜を考慮することにより観測されるべき指数−2.7を説明できる。フェルミ加速機構 は数値実験でも確認されている。 • 超新星爆発の前面に形成される衝撃波はマッハ数が1000のオーダーになる。太陽系に現れる衝撃波の マッハ数は10前後である。 • 超新星爆発と星間乱流の粒子散乱により、宇宙線の等方的な飛来分布が説明できる。

4 系外銀河から銀河団、宇宙論まで

高エネルギー宇宙線 • 粒子エネルギーが1014 eV を超えると銀河磁場(およそ0.1nTから1nT)中の粒子の旋回半径が銀河の円 盤の厚みより大きくなり、粒子は銀河内にとどまることができない。 • このため、1014 eV を超える高エネルギー宇宙線は異なる銀河を行き来することができる。このような高エネ ルギー宇宙線は、系外銀河もしくは銀河団から来ていると考えられている。 超高エネルギー宇宙線 • 1019 eV を超えると、宇宙線は銀河間空間に存在する宇宙背景放射(光子の集団とみてよい)と衝突し、デ ルタ粒子、パイ中間子などを生成し地球に飛来する前に減衰してエネルギーを失ってしまうと考えられていた。 この機構をGZK限界といい、Greisen、Zatsepin、Kuz'min により1960年代に提唱された。 • ところが2000年あたりからGZK限界を超える超高エネルギーが実際に観測されるようになった。 • このような現象は稀で、2004年から2007年までの4年間で27例しか観測されていない。 • 超高エネルギー宇宙線を説明する機構は知られていない。 超新星爆発 乱流磁場 宇宙線加速 図4: 超新星爆発に伴う衝撃波と乱流場により粒子が加速される

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• 既存の物理過程を駆使して天体物理として説明する方法、未知の素粒子のや新しい現象を考察する方法の 両方の研究が精力的におこなわれている。

5 未発見粒子

ダークマター(暗黒物質) • 銀河(直径0.03Mpc、105光年)から銀河団(5Mpc107光年)の大きさで宇宙をみると、電磁波を発生せ ず重力相互作用をするのみの質量のある「何か」が豊富に存在していると考えられている。その理由として、 1. 銀河団のスペクトルで見られる速度分散を説明するために、観測される銀河よりもはるかに巨大な 質量が必要であること 2. 銀河の回転はケプラー運動をしておらず等速回転しており、未知の物質が銀河の質量の大半を占 めると仮定しないと説明できないこと 3. 重力レンズ効果による空間の歪みを説明するために巨大な質量が必要であること が挙げられ、未知の物質をダークマター(暗黒物質)と呼ぶ。 • 参考までに、現在知られている地球から最も天体はMACS0647-JD で、3 x 1010 光年の距離にある。おそら く宇宙初期にできた銀河であろうと考えられている。 • なぜ地球上や太陽系で見つからない? 銀河形成時に電荷をもつバリオンやレプトンが先に凝縮し、ダーク マターは銀河周辺にハロー状(球状、放射状)に分布していると考えられている。 ダークマターを構成する物質候補の例 ニュートリノ仮説 • 1980年代までは温度の高い「熱いダークマター」としてダークマターの候補であった。 • 近年の宇宙背景放射観測、ニュートリノ実験によりニュートリノの質量は1meVから1eV程度のオーダーに あることが示唆されており、現在はニュートリノではない「冷たいダークマター」が候補である。 超対称性仮説 • 素粒子の大統一理論の候補として1960年代より考えられている。 • 物質を構成するフェルミオンと力を媒介するボソンの入れ替えの対称。 • 高エネルギーで3つの相互作用の結合定数がきれいに一致する。

• 超対称粒子の中で最も質量の小さいものが候補で、LSP (lightest supersymmetric particle)と呼ばれる。

• 近年のLHC 加速器実験ですら超対称粒子を示唆する結果が得られていない。

• 素粒子の標準模型に超対称性を取り入れた最小超対称模型はLHC 実験により否定されている。

参照

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