東南・南西アジア短信 : 2020年 第43回
2020年9月25日 小島正憲《新型肺炎関連情報》
◎タイ 1.若者の賭博、コロナ禍で増加=青少年機構 タイ青少年機構(TYI)は、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、タイ政府が実施した自宅待機の奨励 期間に賭博に手を出す若者が増えたとの調査結果を明らかにした。ゲーム感覚で利用者を取り込むケースが増 えており、政府に対策を求めている。調査は3月1日~5月 31 日に 15~25 歳のタイ人を対象に実施した。回答者 は 1,089 人。賭博のウェブサイトはコロナ流行前の 240 件から 558 件に増加。賭博の広告を見かけた人は全体の 70.6%で、年齢別では 15~19 歳が 47.4%を占めた。媒体別(複数回答)ではフェイスブックが 76.5%、ウェブサイ トが 70.6%、LINEが 32.5%、インスタグラムが 25.6%。端末(複数回答)はスマートフォンが 97.0%、ノートパソコ ンが 21.8%で、「IT機器の利用時間が6時間以上」と回答した人はコロナ流行前の 32.1%から 48.2%に増加した。 TYIは、賭博サイトの広告を目にする機会が増え、経済状況の悪化などで賭博をする人が増加していると指摘。 賭博サイトの取引規模は 100 億バーツ(約 336 億円)と推算した。若者に人気の賭博は「フィッシング」が 31.7%、 「ロト(くじ)」が 19.8%、「スロット」が 17.8%、「バカラ」が 15.8%、「スポーツの結果予想」が 14.9%。ゲームを標ぼう した賭博が増え、知らないうちに賭博に興じる例が増加しているため、海外のこうしたサイトへのアクセスを制限す るなどの対策を取るよう政府に要請した。 ◎ベトナム 1.タイ路線も承認、国際定期便が続々再開 ベトナム政府は 21 日、タイとの国際定期航空路線の再開承認を盛り込んだ首相府通知 337 号(337/TB―V PCP)を発した。政府が正式に認めた7カ国・地域目となった。航空各社はベトナムから各国への路線再開を進 めている。337 号では、タイ路線の再開に合意するとともに、専門家や投資家、熟練労働者のベトナム入国に向け た調整を運輸省に命じた。具体的な日程を決める権限は、副首相2人が持つ。各便には、新型コロナウイルス感 染症の国内流行を防ぐための計画を求める。15 日発出の首相府通知 330 号(330/TB-VPCP)では、日本・東 京、中国・広東省広州市、台湾・台北、韓国・ソウル、カンボジア・プノンペン、ラオス・ビエンチャンとの国際線再 開が認められていた。地場系の航空会社では、ベトナム航空のVN310 便が 19 日午前6時 25 分にハノイを出発 し、午後1時過ぎに成田に到着した。離陸は前日夜を予定していたが、6時間以上遅れた。乗客数は約 60 人。日 本への留学・就労目的のベトナム人が中心だった。同社は今月、ハノイ発成田行きを 25 日と 30 日に、ホーチミン 市発成田行きを 30 日に、計3便運航する予定だ。韓国、中国、台湾、ラオス、カンボジア路線の再開に向けても 調整している。格安航空会社(LCC)ベトジェット航空は今月 29 日に一部の国際線を再開する。ホーチミン市― 成田、ホーチミン市―韓国・ソウル、ハノイ―台北の3路線を予定している。バンブー航空は、ハノイ―台北を9月 29 日に、ハノイ―ソウルを 10 月7日に再会する予定だ。それぞれ週1便を運航。ホーチミン市―成田線は 11 月1 日、ハノイ―羽田線は 12 月中を予定している。国内線は正常化に向かっており、ベトナム航空の 21 日の発表に よると、同社の国内線の旅客数は1日当たり約4万人で前年同期からプラス成長となっている。国内 40 路線以上 を運航しており、1日の便数は約 200 便。このほど中部ダナン市と二大都市(ハノイ、ホーチミン市)をつなぐ路線 など8路線を増便した。2.繊維部門へのFDI激減=需要次第で回復も ベトナム紙ベトナム・ニュース(電子版)などが伝えたところによると、ベトナム計画投資省・外国投資庁は、202 0年1~8月はベトナム繊維部門への外国直接投資(FDI)がほとんどなかったと報告書で明らかにした。これを受 け、ベトナムの繊維業界大手ビナテックスのレ・ティエン・チュオン最高経営責任者(CEO)は、「欧米など主要市 場の回復が遅く、繊維部門が大型のFDIプロジェクトを期待するのは現実的でない。市場の需要は依然低く、投 資意欲は極めて低い」と述べ、繊維部門へのFDI流入が近い将来に増加する見込みはないと語った。一方、ベト ナム繊維・縫製協会(VITAS)のブー・ドク・ザン会長は、同国の繊維部門はFDIの有力候補の一つだと指摘。 新型コロナウイルス予防ワクチンが利用可能となり、市場の需要が回復すれば、FDIが戻る可能性は高いとみて いる。専門家らによると、新型コロナウイルスの流行が抑制された際のベトナムの投資先としての見通しは明るく、 ベトナムは欧州連合・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)や米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定 「TPP11」(CPTPP)など多くの自由貿易協定を結んでいることから、自由貿易を活用したい投資家にとって依然、 魅力的な目的地だとしている。繊維製品はベトナムの主要輸出品で、FDIプロジェクトが大きく寄与している。20 19年の輸出額は390億ドルに上った ◎ミャンマー 1.21 日から、ヤンゴンで会社出勤を原則停止 ミャンマー保健・スポーツ省は 21 日から、最大都市を抱えるヤンゴン管区のほぼ全域において、金融機関や食 品・医薬品の販売事業者などを除く全業種で、社員の出勤を停止するよう通達した。新型コロナウイルスの感染 拡大を封じ込めるため。CMP(裁断・縫製・梱包)受託方式による縫製工場だけは、24 日から 10 月7日までの限 定とする。ヤンゴン管区のうち、離島のココジュン郡区(ココ諸島)を除く全域が対象。銀行、金融機関、ガソリンス タンド、食品・医療品の供給や販売、冷蔵倉庫業、飲料水の供給やパーソナルケア用品関連など、生活に必要 不可欠な事業に携わる企業は除外される。また、CMP受託方式による縫製工場については出勤禁止を 24 日か ら2週間に限定したが、その他の業種については終了期限を明らかにしていない。ミャンマーでは8月半ばから新 型コロナの感染が急拡大している。20 日午前までの累計感染者数は 5,263 人で、1カ月前の約 13 倍となった。19 日には、同日中に行われた調査から1日当たりで最多となる 642 人の新規感染が判明している。政府は、出勤を 一時止めることにより、感染拡大を抑えたい考え。ただ、企業によっては自宅勤務が難しい業種があるほか、出勤 しなければ仕事が難しい工場などでは期間中の賃金補償の問題が発生する。 2.出勤規制、長期なら経済打撃 コロナ急拡大で進出企業当惑 新型コロナウイルスの感染が急拡大しているミャンマーの最大都市ヤンゴンで 21 日から、特定業種を除く企業 の社員出勤を原則的に禁止する行動規制が敷かれた。期限は示していない。規制は前日夜に出され、各社は対 象業種の確認や勤務体制の変更など急な対応に追われた。企業関係者は、今後の経済への打撃と規制の長期 化を懸念している。ミャンマー国内では8月半ば以降、新型コロナの感染者が急速に増加。21 日午前までの累計 は1カ月前の約 14 倍に相当する 5,800 人に達し、その7割がヤンゴンの在住者だ。保健・スポーツ省は今月初旬、 特に感染者が多いヤンゴン管区の 28 郡区で買い物や病院に行く以外の外出自粛を要請。20 日夜に出した通達 では、同措置を離島のココジュン郡区(ココ諸島)を除く 44 郡区に広げた上で、民間企業の出勤を原則的に禁止 した。守らない場合は既存の自然災害管理法などに基づく罰則対象にするとしている。行動規制対象から除外さ れたのは、銀行をはじめとする金融機関、ガソリンスタンド、食品・医療品の供給や販売、冷蔵倉庫業、飲料水の 供給やパーソナルケア用品関連など、生活に必要不可欠な事業に携わる企業。その他、携帯電話などの通信サ ービスも含まれた。
3.スー・チー氏、国民に「忍耐」呼び掛け スー・チー国家顧問兼外相は 21 日、テレビや政府の公式フェイスブックを通じて国民向けの演説を行い、最大 都市ヤンゴンを中心とする新型コロナウイルス感染の「第2波」克服へ向け、国民に政府の予防策を守り、耐え忍 ぶよう呼び掛けた。ヤンゴンでは同日、民間企業の出勤を原則停止する厳しい行動制限が始まった。スー・チー 氏は「ヤンゴンでの感染拡大は収まっていない」と述べ、拡大の背景に4~5月にかけての第1波到来時に比べ、 政府の規制が守られなかったことがあると指摘。「国民は疲れているだろうが、厳しい戦いの後、(新型コロナの制 圧に)成功できるだろう」と強調した。同氏は、医療従事者やボランティアが、感染者の急増で疲弊していることに 触れ、「大量の感染者出現に直面しており、満足のいかない対応が時にあっても我慢してほしい」と理解を求めた。 また、「表現の自由は阻まないが、責任を持った発言をしてほしい」とも述べ、国の新型コロナ政策に関する悲観 的な意見の発信にくぎを刺した。 4.瑞麗の都市封鎖解除、ムセで国境貿易が再開 ミャンマー北東部シャン州ムセと国境を接する中国・雲南省瑞麗市での都市封鎖が 22 日に解除され、ムセ経 由の国境貿易が再開されたようだ。瑞麗市では、市内で新型コロナウイルスの感染者が出たことを受け、14 日か ら都市封鎖が始まり、国境が封鎖された。15 日からは税関も閉鎖されていた。ムセのコメ輸出拠点(デポ)のミン・ テイン副所長は「中国が 22 日に税関を再開したため、コメや砂糖、タマネギなどの輸出を開始した」と話した。貨 物トラックのミャンマー人運転手は、引き続き中国への入国が認められず、国境の手前で中国人の運転手と交代 しなければならない。瑞麗市は、26 日に新型コロナ患者や接触者に2回目の検査を実施し、陽性が確認されなけ れば全ての規制を解除する方針を示しているという。 ◎シンガポール 1.海外資金流入額が3割増加 香港から移転、金融ハブ地位向上 シンガポールで海外からの資金流入が続いている。金融当局によると、今年に入り、海外居住者の預金残高 は前年から約3割増加。中国政府による香港国家安全維持法の施行などで、香港から海外に資産を移転する人 が増えていることが背景にあるようだ。新型コロナウイルスの影響でシンガポール経済は低迷しているが、資金流 入増はアジアの金融ハブとしての地位向上につながりそうだ。シンガポール金融管理庁(MAS、中央銀行に相 当)の統計では、海外居住者がシンガポールの金融機関に預けた預金残高は、今年に入り、単月ベースで前年 同月比2~4割台の伸びを示している。昨年は1割台以下で推移していた。7月時点では 603 億Sドル(約4兆 6,400 億円)となり、前年同月を約3割上回った。国内の外貨建て預金残高も増加基調にある。7月時点では前年 同月から2倍超の 244 億Sドル。年初以来、単月ベースで約2~4倍で推移している。昨年上半期(1~6月)は毎 月、前年同月を下回る水準が続いていたが、同年下半期から増加基調が顕在化していた。今年の海外居住者の 預金残高、外貨建て預金残高はともに、統計がさかのぼれる 1991 年1月以来、最も高い水準で推移している。M ASは国・地域別の資金流入源を公表していない。ただ海外から資金流入が加速している背景には、香港からの 資産移転が増えたことがあるようだ。シンガポールへの資金流入の増加基調が顕著になった昨年下半期は、香 港で民主化デモの大規模化や警察とデモ隊の衝突が激化した時期と重なっている。さらに今年6月には、中国 政府が香港の民主化運動を封じ込める香港国家安全維持法を制定。「香港の中国化」が進み、政府に資産を没 収されてしまうと考えて海外に資産を移す動きが加速しているもようだ。 2.総人口 569 万人、17 年ぶり減少 外国人が流出、経済への懸念も シンガポール統計局は 24 日、2020 年6月末時点の総人口が前年同月末比 0.3%減の 568 万 5,800 人になっ たと発表した。新型コロナウイルスの流行に伴い、外国人居住者が減少したことを背景に、03 年に 1.5%減となっ
て以来 17 年ぶりにマイナスに転じた。エコノミストからは、経済成長への影響を懸念する声が上がっている。総人 口の内訳は、全体の3割近く(29%)を占める外国人居住者が 2.1%減の 164 万 1,600 人、永住権(PR)保持者が 0.8%減の 52 万 1,000 人となり、それぞれ前年を割り込んだ。国民は 0.6%増の 352 万 3,200 人と微増。ただ伸び 率は、前年から 0.2 ポイント低下し、17 年ぶりの低水準となった。国民・PR保持者の民族別の内訳をみると、中華 系が 74.3%、マレー系が 13.5%、インド系が 9.0%、その他が 3.2%だった。引き続き高齢化が進んでおり、国民・ PR保持者の平均年齢は 41.5 歳と前年から 0.4 歳上昇した。65 歳以上の高齢者を支える生産年齢人口(15~64 歳)の比率は、高齢者1人に対し 4.6 人。20 年前の 9.9 人から半分以下の水準に落ち込んだ。19 年の国民・PR 保持者の出生数は3万 5,330 人。1人の女性が出産する平均人数を示す合計特殊出生率は 1.14%で、前年から 横ばいだった。19 年の死亡数は前年比 0.8%増の2万 1,446 人だった。みずほ総合研究所のエコノミスト、松浦大 将氏は、外国人居住者の人口が減少したことについて「大きな要因は新型コロナを巡る入国規制とビザ発給の一 時停止にある」と分析する。シンガポール政府は4~6月にかけて経済・社会活動の制限措置を実施していた。松 浦氏は、同期間の就労ビザ発給が停滞していたこと、出国はできたが新規入国はほとんど許可されなかったこと が、6月末時点の外国人人口を押し下げたとみる。 ◎フィリピン 1.ネット賭博業者撤退で税収減、歳入庁 フィリピン内国歳入庁(BIR)によると、新型コロナウイルスの影響で中国系を中心にオンラインカジノ事業者(P OGO)の撤退や従業員の帰国が相次ぎ、税収が減少している。グバラ副長官によると、POGOによる税収減の 規模は明らかになっていない。ただ多くの中国人従業員のビザ(査証)が取り消されているほか、東南アジアで最 多の感染者になっているフィリピンから帰国している人も多いという。POGOの従業員のほか、業者も打撃を受け ている。政府は5月中旬から段階的に外出・移動制限措置を緩和しているが、BIRはPOGOに対し、滞納してい る税金の納付を操業再開の条件にした。既にPOGO数社が納税に関する問題で廃業している。フィリピン娯楽 賭博公社(PAGCOR)によると、登録事業者は年初に 60 社あったが、9月8日時点で 55 社に減少。新型コロナ による操業停止措置が終了した後、同日までに再開の許可を取得した登録事業者は 29 社にとどまっている。 出稼ぎ労働者、経済再開で再び海外に フィリピン労働雇用省は 22 日、フィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)を巡る状況が、各国の経済活動再開に伴 って改善しつつあることを明らかにした。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、OFWが失業する など苦境に陥っているが、オーストラリアやシンガポールなどでは雇用環境が改善している。在オーストラリアのフ ィリピン海外労働事務所(POLO)の報告によると、同国ではロックダウン(都市封鎖)の緩和によって大半のOF Wが再就労した。またバーレーン当局は、メイドなど家事労働者として働いていたOFWの求人を再開したと明ら かにした。POLOの大阪支所によると、勤勉性などが評価され、九州でOFWの雇用が進んでいる。在シンガポ ール大使館は、コロナ禍が続く中でも雇用が多いIT業界での就労に向けて、同国に滞在中のOFWが関連技能 を取得する動きが活発化していると報告した。 ◎インドネシア 1.建設会社の半数が倒産、工事案件停滞で インドネシア建設業協会(AKI)によると、7月時点で全国の建設会社の半数が倒産した。新型コロナウイルス 感染症の流行で、民間と公共の両部門で建設事業が延期、キャンセルされていることが影響した。AKIのアグス ティ・ミラワット会長は「地方自治体がインフラ事業の予算を新型コロナ対策に回しているため、特に地方の中小請 負業者の倒産が多い」と説明。地方自治体は、平均でインフラ予算の 40%をコロナ対策に充てているという。この
ほか、感染予防の設備を工事現場や作業員向けに購入するための支出が増え、負担となっている。アグスティ会 長は「公共事業・国民住宅省に、自治体が取り消した地方のインフラ事業を再開し、中小請負業者に仕事を依頼 するよう求めたい」と話した。同省の予算 34 兆 5,000 億ルピア(約 2,449 億円)は、新型コロナ対策に回されている。 中小請負業者だけでなく、大手も打撃を受けている。国営建設ウィジャヤ・カルヤ(WIKA)は8月、今年の新規受 注高目標を当初の設定額から 67%減となる 21 兆 3,700 億ルピアに下方修正した。アグン社長は「第2四半期(4 ~6月)の受注額は3兆 4,000 億ルピアだった。第3~4四半期で目標額を達成できる」と話した。 2.医療システム早晩崩壊か、病院が最大感染源 インドネシアの医療機関で新型コロナウイルスの感染症に罹患(りかん)する医療関係者が急増している。政府 の新型コロナウイルス緊急対策本部(タスクフォース)によると、病院が国内最大のクラスター(感染者集団)であり、 それに伴って看護師など医療関係者の陽性者数は増えている。タスクフォース関係者は、国民のコロナに対する 意識が弱く、現状のままでは早晩に医療システムが崩壊すると警鐘を鳴らした。タスクフォースのウィク・アディサ スミト報道官は 22 日、病院がクラスターの一つと化していると指摘した。今月 12 日時点の統計で、病院、地域社 会、オフィスがクラスターの発生源となっており、特に病院だけで2万 4,400 件の感染例が確認された。地域社会 (感染例1万 5,133 件)、オフィス(同 3,194 件)を上回っていると明らかにした。インドネシア全国看護師協会(PP NI)のハリフ・ファドヒラ会長は 22 日、ジャカルタ特別州、東ジャワ州、南スラウェシ州、バリ州の4州だけで看護師 3,000 人近くが新型コロナ陽性だと確認されたと明らかにした。うち少なくとも 85 人が死亡した。ジャカルタ・グロー ブによると、ジャカルタだけで 1,629 人の看護師がPCR検査で陽性反応を示し最多。東ジャワで 844 人、南スラウ ェシで 350 人、バリで 156 人だった。ハリフ会長は「全土の統計を取れば、その数字はさらに数千以上大きくなる」 と話した。その上で、政府がコロナ陽性者の割合が全国の3割を占めるジャカルタ首都圏で、医療機関関係者へ の無料定期検査を実施することを歓迎した上で、早急に他州へも拡大するよう求めた。インドネシア医師会による と、これまでに全国で医師 117 人が新型コロナウイルスの感染症で死亡している。 ◎インド 1.出稼ぎ労働者、1000 万人以上が徒歩で帰郷 インドで3~6月に徒歩で帰郷した出稼ぎ労働者が 1,060 万人以上に達していたことがわかった。シン閣外相 (道路交通・高速道路担当)が 22 日、下院に提出した答弁書の中で、労働・雇用省がまとめた統計を提示した。 シン氏によると、同期間の交通事故件数(国道含む)は8万 1,385 件(暫定値)で、交通事故による死亡者は2万 9,415 人だった。ただ、死亡者のうち帰郷中の出稼ぎ労働者が占める割合は不明という。シン氏は、内務省の主 導の下、帰郷する出稼ぎ労働者には全国各地で食料や医薬品、靴が支給されたほか、休憩所や移動手段の提 供などの支援が実施されたと説明した。インドでは新型コロナウイルス対策として3月下旬に全土封鎖が導入され、 6月以降段階的に封鎖の解除が進んでいる。 ◎オーストラリア 1.小売ハービー、コロナ需要止まらず 185%増益 オーストラリアの家電・家具販売大手ハービー・ノーマンは 21 日、2020 年7~8月の税引き前利益が1億 7,810 万豪ドル(約 134 億 4,560 万円)と、前年同期比 185.8%増加したことを明らかにした。7月1日~9月 17 日の売上 高も同 30.6%増加した。新型コロナウイルスの流行で、外食や旅行に予定されていた消費が、家電や電子機器 に向けられたことが背景にある。オーストラリアの既存店売上高は、8月6日からロックダウン(都市封鎖)でメルボ ルンの 18 店舗が閉鎖されていたにもかかわらず、7月1日~9月 17 日の 11 週間で同 34.5%増加した。またニュ ージーランドの既存店売上高は、ロックダウンの影響で5~6月は 7.8%減少したが、その後の 11 週間は 18%増
加した。同社のハービー会長は、1959 年に小売業界に参入して以来最高の売り上げ増加だとし、「消費者は自 宅での時間を充実させるために家電や電化製品を購入している」と述べた。またハービー会長は、メルボルンで のロックダウンが終了すれば、さらに国内の売り上げは増加すると予想。仮に早期に緩和されなくても、その分クリ スマスシーズンの需要につながるとした。 2.シドニーのオフィスがら空き?サブリース急増 オーストラリアのシドニー中央商業地区(CBD)で、サブリース可能なオフィス物件の総面積が、8月に 15 万 7,853 平方メートルとなり、過去5カ月で 90%増と記録的な水準に達したことが分かった。大手テナントがコスト削 減のため、在宅勤務の増加など柔軟な働き方の普及により不要となったオフィススペースを整理し、サブリースに 切り替えているという。サブリース物件の利用可能面積は、表面下の空室率と見ることができ、テナント需要の見 通しを示す先行指標と言われている。そのため、現在はテナント需要が縮小傾向ということが分かるという。米系 不動産仲介大手CBREによると、これまででシドニーのサブリース物件の利用可能面積が最大だったのは 1992 年で、11 万 9,588 平方メートルだった。メルボルンでも同様の傾向が見られ、8月の利用可能面積は8万 9,100 平 方メートルと、7年ぶりの高水準に達した。CBREの賃貸オフィス部門のディレクター、フィッシャー氏は「連邦政府 の景気刺激策は、雇用市場の縮小の食い止めに寄与しているが、テナント需要は景気低迷により今後も影響を 受ける」と説明した。 3.豪商業不動産、海外投資家からの需要急増 オーストラリアでは新型コロナウイルスの感染流行を背景に中央商業地区(CBD)でオフィス需要が低迷してお り、負債削減を進めたい不動産投資信託(REIT)などが数十億豪ドル相当の商業不動産を売りに出している。こ れらの不動産に対し、新型コロナ収束後の需要の回復を見越して海外投資家からの関心が急激に高まっている という。商業不動産を売りに出しているのは、不動産投資会社のデクサスやチャーターホール、高級百貨店デビ ッド・ジョーンズ(DJs)の親会社である南アフリカの小売り大手ウールワース・ホールディングス(WHL)などが含ま れるが、購入企業は外資系が多く、シンガポールや香港、中国、米国、日本からの関心が高いという。米系不動 産仲介大手CBREの太平洋・東南アジア部門のマッキャン国際資本部長は海外投資家からの需要が高いことに ついて、「オーストラリアを市場の玄関口と見なしている投資家が多く、投資先としてアジア太平洋地域の中でも 高く評価している」と分析。「短期的には賃貸市場で苦戦を強いられると理解した上で、(新型コロナ収束後に)国 境封鎖が解かれれば経済回復が見込めるため、中期的なオーストラリアの見通しは明るいと判断されている」と述 べた。米系不動産管理のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)が世界の投資企業 38 社を対象に行った調査では、 約半数が来年末までにオーストラリアでの投資を増やす予定と回答している。特に、物流関連不動産への関心が 高く、これらの企業の 81%が、物流関連不動産への投資増を計画していると答えた。
《一般情報》
《ミャンマー》 1.バングラ国境での部隊集結を釈明、外務省 ミャンマー外務省は 17 日、同国に駐在するバングラデシュのマンジュール・カリム・カーン・チョドハリー大使を 呼び、バングラデシュ国境での最近のミャンマーの治安部隊の集結について「定期的な配置転換」と説明した。 外務省戦略調査・教育局のアウン・ミン局長は、同大使に「法の支配と治安維持のためであり、西部ラカイン州の 住民の生活を守るための日常的な任務の一環」と伝えた。家族を帯同した治安部隊による移動であり、「バングラ デシュを脅かす意図はない」という。電子メディアのイラワジなどによれば、国軍は最近、ラカイン州のバングラ国境付近に治安部隊 2,500 人を追加で動員した。国軍の動きを受けてバングラ外務省は 13 日、同国に駐在するミ ャンマー大使に懸念を伝えていた。ラカイン州では、仏教徒武装勢力アラカン軍(AA)とイスラム教徒少数民族ロ ヒンギャの武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)が活動している。国軍のゾー・ミン・トゥン広報官はイラ ワジに、「ブティダウンとマウンドー郡区でAAとARSAの動きが活発化している。国軍としても警戒を強めており、 国境付近で部隊を増強している」と説明した。 《カンボジア》 1.リゾート開発の中国系企業、米国が制裁適用 米国政府は 15 日、カンボジア南西部コッコン州ダラサコルでリゾート開発を手掛ける中国系ユニオン・デベロッ プメント・グループ(UDG)に対し、制裁措置を適用すると発表した。米国は同国財務省を通し、「UDGは(実際 は中国企業であるにかかわらず)カンボジア企業であると偽ってダラサコルの用地を取得した。地元住民らは立ち 退きを余儀なくされるなど、事業は深刻な人権侵害を引き起こした」と指摘。さらに、「中国はUDGを利用して海 外での影響力を拡大しようとしている」と非難した。これに対し、在カンボジア中国大使館は 16 日、UDGへの制 裁を即刻解除するよう米国に要請。「ダラサコルはカンボジア政府の許可を受けて開発するリゾート施設であり、 同国の社会経済の開発に貢献するものだ」と反論した。一方、カンボジア政府は、投資認可当局のカンボジア開 発評議会(CDC)が「UDGは中国の天津優聯投資発展集団(優聯集団、ユニオン・グループ)が 100%出資する 現地子会社だ」と指摘。ティア・バン国防相も 19 日、UDGはカンボジアで合法的に事業を展開しており、同社に 対する制裁は米国の「地政学的な野心」に基づくものだと批判した。ダラサコル・リゾートの開発については今年2 月、事業の一環としてUDGが建設する国際空港が中国の軍事拠点として使用されるとする疑惑も浮上してい た。 《ラオス》 1.外国人のコンドミニアム所有許可、法改正へ ラオスで近く施行が予定される改正土地法で、外国人によるコンドミニアムの所有が認められることが分かった。 官報に掲載された改正土地法によると、第 132 条で外国人によるコンドミニアムの購入と所有が認められた。同法 では、外国人による土地利用権の保有も、ラオス国民または政府とのリース契約の形で期限付きで認められること になった。期限はラオス国民との契約が 30 年、政府との契約が 50 年で、いずれも更新が可能。土地法の改正に ついて、ラオス商工会議所(LNCCI)は「外国人によるコンドミニアムの所有を認めることで、不動産市場が活性 化する」として歓迎の意向を示した。地場不動産業者レンツバイ(RentsBuy)のホウムパン・サルヤラット社長は 「首都ビエンチャンと中国国境を結ぶ『ラオス・中国鉄道(中老鉄路)』の完成を控え、今後は中国人投資家の動 きが活発になるだろう」と述べた。同社にはこれまでも、コンドミニアムの所有について外国人や海外在住のラオス 人から多くの問い合わせが寄せられていたという。 《インド》 1.米GM、インド工場売却の遅れで巨額コスト発生の恐れ=関係筋 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)による中国長城汽車へのインド工場売却は、インドと中国の関係悪 化の影響で遅れており、想定外の巨額コストがGMに生じる可能性がある。複数の関係者が匿名を条件に語った。 中国関連の合意についてインド政府の承認を得るには、現時点でかなりの時間を要する。売却がいずれ実現す
るとしても、来月から操業縮小に着手するGMの計画に変更はない。GMは2億5000万~3億ドルの工場売却益 で、インド撤退で発生する負債を穴埋めする計画だった。関係者は、売却が実現していれば「利益も損失もない」 状態になっていたと指摘した。 別の関係者によると、合意が履行された場合には売却益が発生するものの、現 時点でGMは従業員の解雇手当やその他の推計数百万ドルのコストを自己資金で賄わざるを得ない。売却合意 の先行き不透明感に加えて、新型コロナウイルス禍の影響で転職が難しい状況を考慮し、従業員が手厚い支援 を求めていることから、解雇手当のコストは通常より大幅に膨らむ可能性もあるという。 《オーストラリア》 1.中国系不動産企、シドニーに超高層ビル計画 中国系不動産開発会社グレイトン・グループが、オーストラリアのシドニー中央商業地区(CBD)で、超高層ビ ル建設を計画していることが分かった。豪中関係の緊張が高まり、中国の不動産会社が次々とオーストラリアから 撤退する中、逆行した動きとなっている。グレイトンは、2018 年に取得したヘイマーケットの区画に、高さ 226 メート ルの 47 階建てで、フロア面積計4万 7,000 平方メートルの商業ビルを建設する計画だ。小売店やオフィス、ホテ ルなどが併設されるという。グレイトンはシドニーでの投資を加速しており、2月には、オーストラリアの建設大手グ ロコンから、ダーリング・ハーバーで建設中の複合施設「ザ・リボン」の開発権利を取得していた。同社のほかにも、 中国系の不動産開発会社は、オーストラリアで複数の巨大プロジェクトに参画している。建設大手アクアランドだ けでも、ノースシドニーでの 10 億豪ドル(約 762 億円)の集合住宅開発や、25 億豪ドルのセントラル・バランガル ー地区開発など大型の建設計画を進めている。また、平安不動産は、三菱地所やオーストラリアの建設大手レン ドリースと、サーキュラーキーで 20 億豪ドル規模のタワー建設を行っている。ただ中国政府は、同国不動産会社 に対し、オーストラリアでの建設計画を中止するよう指示しているとみられる。 2.シドニー主要港の労組スト、連邦政府が介入 オーストラリア連邦政府のポーター雇用関係相がこのほど、建設・林野・鉱山・エネルギー労組(CFMEU)傘 下の海運労組(MUA)がシドニーのボタニー港で計画している争議行為を中止させるため、介入する方針を明ら かにした。リセッション(景気後退)の最中、主要港でのスト実施が経済に大きな打撃を与えると懸念されるためだ。 MUAの組合員は当初、今月 18 日からボタニー港での出荷作業の停止と業務能率を低下させるサボタージュを 計画していた。同港でターミナルを運営する港湾最大手DPワールド・オーストラリアが裁判所にスト停止命令を求 めた後、MUAは出荷作業の停止を翌週に延期すると発表したが、無期限のサボタージュと4時間の作業停止は 決行するとしている。ポーター雇用関係相は 17 日に、「先週末に、自身とマコーマック副首相、バーミンガム貿易 相の3人から関係者すべてに対して問題の解決を要請したが、本日時点で解決に至っていない」と指摘。これま で同相が港のストに介入することはなかったが、介入を決めた理由として「新型コロナで経済が打撃を受ける中、 安定したサプライチェーン(調達・供給網)の確保が不可欠な状況で、今回のストは商品とサービスの流通に大き な影響を与える可能性があるため」と説明した。DPワールドによれば、ストが実施された場合の損失額は1日当た り約 6,000 万豪ドル(約 46 億円)に上り、ニューサウスウェールズ州の州総生産額の 5.4%相当が失われるという。 以上