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[卒業研究要旨]日本・中国・韓国における若者の恋愛に対する意識に関する研究

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Academic year: 2021

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生活環境学研究 No.8 2020

日本・中国・韓国における若者の恋愛に対する意識に関する研究

キーワード:国際,恋愛,友情,文化,日中韓

田原 日花里

[指導教員:武庫川女子大学准教授 三宅 正弘]

1. 研究の背景  筆者は,2017年3月よりおよそ1年間,韓国に交換留学と して語学勉強をしていた。その1年間の生活の中で外国人と 交流したことで,日本でしか生活をしたことがなく,海外に 興味もなかった筆者が,他国の文化の素晴らしさに気付き, 他国から学ぶことがたくさんあると考えた。他国の良い文化 を取り入れ,自国の良い文化をもっと強調していくことに よって,自分たちの生活がよりよい生活になり,生活の質が あがるのではないかと考えた。  現代の日本はグローバル化によって日本と外国の繋がりや 接点が増えていき,観光目的の外国人の増加だけでなく, 外国人留学生の増加にも伴い,お互いが生活しやすい環境を 考える必要があると思う。また,生活の中で衣食住の次に大 切なことは対人関係だと考える。その中でも“恋愛”と“友 情”について明らかにしようと思う。  その中でも隣国の日中韓の若者はどんな考えを持っている のかを研究したいと思う。筆者は語学に興味があり,韓国語 と中国語を勉強しつづけておりそれぞれの国の人々と交流を することができるためより生の声を聞くことができると思う。 2. 本研究の目的  生まれた国や話す言語は違っても,思考や価値観は似てい るのではないかと考える。しかし思いつかないような考えが この世にはたくさんある。その国によって「普通」は違う。 現代では,国際化が進み,日本でも外国人を目にすることが 増えてきた。外国人とのトラブルや嫌悪感を抱いたことをあ る人もいるだろう。それはなぜだろうか。そんなところにも 目を当ててみようと思う。それらを研究し,国別に特徴を捉 え,互いの国の文化を理解し,友好を目指すことを本研究の 目的とする。 3. 研究方法 3-1 調査対象 (1)日本人,中国人,韓国人におけるアンケート調査 20代の日本人110名,20代の韓国人117名, 20代の中国人150名の計373名(客観的調査) (2)筆者が実際に交際関係を持った日本人,中国人,韓国人 日本人1名,韓国人1名,中国人2名の計4名 (主観的調査) 3-2 調査方法 (1)日本人と韓国人にはグーグルフォーム(Web質問紙)を 用いた。また,中国ではグーグルを使用できないため,「 卷网(wen juan wang)」というWeb質問紙を用いた。韓国 語版,中国語版の実施手続きは以下のとおりである。  韓国語版:①調査実施者(韓国の韓南大学へ1年間の語学 留学経験あり)が日本語版の内容を全て韓国語に翻訳した。  ②上記①を韓国人の友人2名に,正しい翻訳がなされてい るかチェックを受けた。指摘された点があれば修正を加え, 修正内容について再度チェックを受けたうえで,それを完成 版とした。③韓南大学在学の韓国人の友人や,会社員の友人 (20代)が拠点となってデータ収集を行った。その友人が カカオトーク(無料通信アプリ)を用いて知り合いに調査を 依頼し,同意がもらえた人にグーグルフォームを送信して回 答を求めた。  中国語版:①調査実施者(2年ほど独学で中国語を勉強し ている)が日本語版の内容を全て中国語に翻訳した。  ②上記①を中国人の友人2名に,正しい翻訳がなされている かチェックを受けた。指摘された点があれば修正を加え,修 正内容について再度チェックを受けたうえで,それを完成と した。③韓南大学在学中に知り合った中国人の友人や,ゲー ムで知り合った友人,日本に留学している中国人留学生が拠 点となってデータ収集を行った。その友人がWeChat(無料 通話アプリ)を用いて知り合いに調査を依頼し,同意がもら えた人にアンケートフォームを送信して回答を求めた。 (2)筆者が実際に日本人,韓国人,中国人と交際を経てそれ ぞれ,交際前,交際中,別れ,の順にまとめる。筆者は, 2017年2月から毎日,日記を書いていたため,それに基づい て分析をする。 4. 結果および考察 4-1 日中韓のアンケート調査の結果  恋愛傾向はどの国も特徴がある。日本は恋人との間で「信 頼関係」「相手のことを思いやる」ということが重要視さ れ,相手の立場になり,相手が窮屈を感じないように束縛を しない恋愛傾向にあることがわかった。また,自分の時間も 必要だと考える人が多く,四六時中連絡をしたいというよう な傾向はない。韓国は,他の2カ国に比べると「男女の間に 友情はない」という意見が多く,恋人と異性の友人の関わり ははっきりと区別し,「恋人が第一だ」という考えの恋愛傾 向であることがわかった。また,お酒をよく飲む文化である ため,お酒があると男女との間に何があるかわからないた め,異性の友人との食事も制限する人が多く見られる。恋人 に最も尽くす国は韓国であるといえる。中国では,主に「男 女間の友情関係は複雑ではない」ため,恋人との信頼関係な 卒 業 研 究 要 旨 ( 論 文 ) 04_卒業研究要旨.indd 42 04_卒業研究要旨.indd 42 2020/12/07 11:462020/12/07 11:46

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生活環境学研究 No.8 2020 どは深く気にするような傾向は見られない。恋人に対しての 束縛はたびたびあるが信じられないから束縛をするというよ りは,「自分が嫌なことははっきり相手に伝える」という傾 向にある。また,お互いに束縛をしあっても,嫌な気持ちは ないようである。あまり深く追求せず,理由などは考えもせ ず「自分がしたいようにする」という恋愛傾向にある。 4-2 日中韓の交際時の比較に基づいた考察  筆者と交際をした日本人との恋愛は,積極性ではなく,知 り合ってから交際前の期間が少し長いことが特徴的である。 なにごとも慎重で,お互いのことをよく知ってから交際に発 展する傾向にある。気遣いもあるが「荷物を持とうか?」と いう声かけがあることなどから,許可を得てから行動にでる ことが多く,相手との距離を考えて行動する。愛情表現の仕 方もあまり大胆ではない。スキンシップも一般的には,度を 超えたスキンシップをするカップルは少ない。相手を思いや るが上に,相手任せになることもあり,自己主張がない者同 士で付き合うとよくないということがわかる。  筆者と交際をした韓国人との恋愛は,突拍子なことが多 く,許可を得るという行為はあまりないため,考える余地も ないことが特徴的だ。即行動し,率直であるため,愛情表現 はとてもわかりやすい。連絡の頻度もスキンシップも多く, 他人の目はあまり気にしない傾向にある。自国の文化をよく 理解しているため,韓国の文化をよく学ぶことができる。気 遣いも,ぎこちなさを感じさせることなく,気づいたら気遣 いをされているという状態である。一緒に行動することも多 く,嫉妬深く,嫉妬していることも隠さずに表現するため, 嫉妬を隠して不満が募るというような心配はない。また,甘 えた調子で素直に嫉妬したと伝える傾向にあるため,彼女も 嫌な気持ちにはならない。  筆者と交際をした中国人との恋愛は,何事も直接的で,告 白の速度が速い。また,告白の仕方も率直である。拒否をさ れたらどうしようという思考には到らずに言いたいから言う 傾向にある。また,一般的に自分に自信がある人が多い。自 信があるからこそできる行為なのではないかと考える。日本 人は冗談でしか使わないような発言もまじめに言う。文化の 違いなど気にせずに自分の文化を突き通す。また,ペアルッ クも好きな傾向にあり,SNSのアイコンや携帯カバー,靴 など恋人間でペアルックをすることは普通だ。日本では,特 別なときにはペアルックをするが,付き合ってすぐにはなか なかペアルックをしない。食事の際も,肉を切ってくれたり 自分の食べているものを分けてくれたりなどという気遣いが できる。また,恥ずかしがらずに,素直に「好きだ」と言っ てくれることが多い。親しい友達間でもそうだが,中国人 にありがとうと言うと,言わなくていいと指摘されることが 多々ある。日本では親しき中にも礼儀ありというように,あ りがとうという言葉は必要であるが,中国では違う。これは 恋人間でも同じである。中国男性にとって,ご飯をおごるこ とは当たり前だという意見が多い。また,彼女に尽くす男性 も多く,彼女に嫉妬を感じさせる行動も取らない。連絡を常 にしなくても,怒らずに「君を待っていた」と心配をする。 大胆な行動が多く,先生の前や友達の前でもスキンシップを する。また,お互いにリュックを背負っている際,軽い方を 彼女に持たせ,重い方を彼氏が背負うというかなり細かい気 遣いが中国人2人ともに見られた。寒い季節に,炭酸飲料を 手で暖めて渡してくれる行為は,冷たい水よりもぬるい水や お湯を飲む中国人ならではの行為である。きちんと何が好き で,何が嫌いかをはっきり伝えてくれるため,改善点がわか りやすい。 5. 結論および今後の課題  これらの主観的観点と客観的観点を比較すると,連絡頻度 や愛情表現の仕方や恋愛への考え方など一致点が多く見られ た。相違点としては,喧嘩をした際,先に謝るのは彼氏か彼 女かどちらか,というにおいて,主観的考察では筆者が先に 謝ることがほとんどで男性側が謝ることはなかったが,客観 的考察では男性側が謝るという意見が多数であった。これら のことから,個人差があることがわかる。  日中韓の恋愛における意識は似たものもあるが,それぞれ の国の恋愛の仕方は違うということがわかった。筆者は,こ の経験を通して,言語の壁はつらいと思うことが何回もあっ たが,きちんと話して相手の話も理解しようと聞く耳をもつ と,意思疎通ができることがわかった。さらに,相手の言っ ている言葉を知りたいと思うことに繋がり,筆者は今,韓国 語と中国語を使うことができるようになった。ここまで言語 に関心を持つことができたのは,交際した彼たちや周囲の友 人,先生たちの交流があったからこそである。まだ中国語は 自信をもって話せるレベルではないため,もっと努力が必要 だ。恋愛の楽しさや,悲しさも知ったが,友情の大切さやあ りがたさも知ることができた。国際交流において,恋愛とい うものはお互いの国ことをよく知ることができるひとつの ツールともいえる。また,もっと深い関係を築きあげること ができるのではないかと考える。たかが恋愛というけれど, 恋愛を軸に,周囲の友人や,先生の存在というものが国を超 えて感じることができるため,素晴らしいものである。ま た,失恋することで知れる人の温かさも発見することができ た。周囲の友人や環境に感謝したい。  さまざまな環境や条件の元で恋愛をしてきたが,恋愛をし ているときは,友情とはまた別の幸せがあるということを 実感できた。失恋の痛みも知ることができ,周りの友達の大 切さも実感した。今後の課題としては,男女別に分けてアン ケートを取り,より細かく比較をすることである。  この研究では,比較をおこなってきたが,それぞれの国の 色がありそのままの国の色を尊重しあいながら存在するとい う点に着目してはどうだろうか。 注及び参考文献 1) 近藤 泉,中国人の恋愛意識―恋愛に対する日中比較―名古屋学 院大学研究年報,13(2008) 卒 業 研 究 要 旨 ( 論 文 ) 04_卒業研究要旨.indd 43 04_卒業研究要旨.indd 43 2020/12/07 11:462020/12/07 11:46

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