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[講演要旨] 津波堆積物・津波計算からみた北海道東部の歴史地震

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Academic year: 2021

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歴史地震 第 19 号(2003) 172 頁

[講演要旨] 津波堆積物・津波計算からみた北海道東部の歴史地震

産業技術総合研究所 活断層研究センター 佐竹健治 産業技術総合研究所 海洋資源環境研究部門 七山 太 シーマス 山木 滋 千島海溝沿いでは,19 世紀に 1843 年(天保十四 年)十勝沖地震(M8.0),1894 年根室沖地震(M7.9) が,20 世紀には 1952 年十勝沖地震(M8.2),1973 年 根室半島沖地震(M7.4)などのプレート間地震により 津波が発生した. また最近の北海道東部における津波堆積物の調 査から,先史時代に異常な津波が発生したことが明 らかになってきた.これらの津波堆積物は 20 世紀の 津波の浸水範囲に比べてはるかに内陸(海岸から 1 ∼4km 程度)まで追跡される.また,過去 2500 年間に 5∼6 回繰り返したことから,平均間隔は約 500 年と, 典型的なプレート間地震よりも長い. 津波堆積物の分布を詳細に見ると,17 世紀の津波 堆積物(Ts3 層)とその一回前の堆積物(Ts4 層,13 世 紀頃)とでは,海岸からの最大遡上距離や層厚に地 域差がみられる.すなわち,厚岸付近を境に,東部で は Ts4 が Ts3 よりも遡上距離や層厚が大きく,西部で は Ts3 の方が遡上距離や層厚が大きかった.遡上距 離の違いは波源域の違い,すなわち,Ts3 は十勝・釧 路・根室沖全体の,Ts4 は釧路・根室沖の波源でとり あえず説明できる. 1952 年,1973 年の地震の波源域は,羽鳥(1973) によれば図の十勝沖,根室沖にそれぞれ対応する. 羽鳥(1974)は釧路沖に津波の空白域があると指摘し た.一方,Hirata et al.(2003)は,津波波形のインバ ージョンから,1952 年十勝沖地震の波源域は図の十 勝沖・釧路沖にほぼ対応し,根室沖地震との間に空 白域はないとした. 19 世紀の地震については,波高分布を使って波 源域が推定されている.羽鳥(1974)は,1894 年と 1973 年の津波波高分布を比較した.北海道での津 波の高さは 1894 年がやや上回る程度であるが,三陸 沿岸の状況はかなり異なり,鮎川の検潮記録は周 期・振幅ともに 1894 年が大きい.これらに基づき羽鳥 は,1894 年の波源は図の釧路沖と根室沖にまたがる とした.また,羽鳥(1984)は,1843 年の波高分布を 1894 年,1952 年,1973 年のものと比べた結果,厚岸 付近にピークがあることや三陸沿岸での分布が 1952 年のものと最もよく似ていることから,1843 年の波源 域は 1952 年十勝沖地震と同様,図の十勝沖である, とした. 歴史時代及び先史時代の波源域を波高分布から どの程度正確に推定できるか調べるため,津波の数 値計算を行ってみた.波源が十勝沖単独の場合と十 勝・釧路沖の場合とでは,釧路∼霧多布付近におけ る相対的な波高分布は似たものとなる.また,波源が 根室沖単独の場合と,釧路・根室沖の場合も,釧路 ∼霧多布付近での相対的な波高分布は似ている. すなわち,十勝沖の地震の場合,その東端が釧路沖 まで延びていてもいなくても,また根室沖の地震の場 合はその西端が釧路沖まで延びていてもいなくても, 釧路∼霧多布付近の相対的な波高分布は変わらな い.歴史記録に津波被害が残っている釧路∼霧多 布付近における津波波高の情報のみから千島海溝 の地震の波源域を正確に決めるのは難しそうである.

200 km

北 海 道 千島 海溝 十勝沖 根室沖 釧路沖

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