系統農協 の農村管理体制への発展 (5)
― 1 9 7 0 年 代 の 日 本 の 農 業 問 題 ( 6 ) ―
目 次 Ⅰ 序説 農協の理論的解明の課題 ⅠⅠ 農村 の変貌 と農協組織 ⅠⅠⅠ 農村経済の変化 と農協運営Ⅰ
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流通機構 としての系統農協 (1) 農村経済 と流通問題 (以上,前号 まで連載) (2) 系統農協 と農村流通 (以上,本号掲載)(
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)
農 協連合会 Ⅴ 農村管理体制への発展 以上Ⅰ
Ⅴ
流通機構 としての系統農協
(2) 系 統 農協 と農村 流通 系統農協 の社会的流通機能 農協を基礎 とす る 3段階の系統農協 は,二重の相互に矛盾 した流通 機能を遂行す る流通機構である。す なわち,系統 農協は一面 において,農家の私的利益 に立脚 した, 農家の農業生産資材や生活資材の購入,農産物販 売 とい う流通機能を遂行す る。その限 りにおいて 系統農協は農家の私的な排他的利益 を反映 した経 済組織であ る。 その反面,系統農協は農家を主たる相手,顧客 として,農業生産資材,農家生活資材を供給 し, 農産物の買付けをお こな う商企業であ り, 3段階 にわた って系列化 された商企業系統である。その 場合,連合会 (全農,経済連)は商企業 としては 他の商人系企業 と競争関係にあ り,企業利益 に立 脚 して事業 を推進す る。そ してその企業利益 は他 の一般の商企業 と同様に,社会的流通諸機能を遂 行す ることによって取得 されるのである。 系統農協 が他の一般の商企業 と同様に遂行す る菅
沼
正
久
社会的流通機能 とは,競争を通 じて取引価格を形 成 し,その価格にもとづいて商品流通 を促進す る ことである。 また流通に必要 な商品の規格化,集 荷,保管および輸送な どの機能を遂行す ることで ある。 この社会的流通機能の遂行は,農家の私的 利益 に由来す る要求 と必 らず Lもつねに一致す る ものではない。 例 えば農産物の販売価格は必 らず Lも農家の必 要 とす る費用価格の水準以上で形成 され るもので はな く,農家購入の工業品の購入価格は,必 らず Lも農家の支払可能な価格の水準以下で形成 され るものではない。系統農協の農産物販売,農家購 入品購買の事業は,一面では農家の私的利益の実 現をはか り,反面では社会的な流通機能を遂行す るとい う,相互 に対立す る二つの側面を もってい る。 この二側面の うち,農家の私的利益を実現す るには,何 よ りもまず系統農家が社会的に要求 さ れ る流通焼能を遂行す る必要があるか ら,後者, つ ま り社会的流通機能が主要 な側面 をなす。 系統農協の流通機能の二側面の うち,いずれが 主要 な側面をなすかは,社会経済制度によって規 定 され る。 まず,農産物流通 は現在,政府の全面 的管理(米穀,葉たば こ),法律および行政指導 に もとづ く農協 な どの生産 者 団体に よる管理 (坐 乳,重要野菜,蚕繭),大小の農産物加工企業の原 料農産物集荷流通 (生乳,畜 肉,鶏卵,みかん) お よび生鮮食品卸売市場 の集荷流通 に分れて い る。 そのいずれ も農家 と比べてはるかに強大 な行 政機関や経済企業が支配力を もった流通である。 したが って この流通諸過程は,単なる二側面を も つ関係に とどまらず,農家の私的利益の追求が行 政機関や経済企業の流通支配 と対抗す る過程であ る。系統農協は しば しば行政的な流通管理の機構 に転化 した り,経済企業の集荷流通 の機構 に転化 す る環境 に位置す るが,その場合,対抗は系統農 協の事業方針 -政策の選択上 の対抗 として表現するか,あるいは系統農協の段階問の,つ ま り連合 会 と農協の対抗 として表現す るか,あるいは系統 農協 と農家の対抗 として表現す ることになる。 系統農協 の流通機能の二側面の問題は,農家購 入の工業品 も同 じ事情 にある。 これ らの工業品は 程度の差はあるが,それぞれの産業の分野で独 占 が成立 している。例 えば化学肥料生産の上位
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社 の占有率は高度化成52%,普通化成42%,硫安64 %,尿素81%,過石49%,熔燐83%である。農薬 (製剤)は60%,配合飼料61%である。農業機械 は上位4社 の生産集中度は, トラクター76%,耕 うん機 とテイ ラー45%, 田植機93%, コンバ イン 97%,バインダー96%である(いずれ も1981年度)0 いずれの産業分野 も独 占もしくは大企業の生産集 中度が高 く,それぞれの分野の中小企業 にたいす る独 占的 もしくは大企業の支配の関係が成立 して いる。 これ と比べて,例 えは農協生活購買事業量 (栄 を除 く)の39% (1980年度)を しめて,筆頭品 目 の地位にあ る食料品の生産事情 はちが う。1978年 工業統計によると,食品製造業は事業所5.3万(製 造業全事業所の12%),従業員109万人 (製造業全 従業員の11%), 出荷額19兆円(製造業の全出荷額 の12%)を占めている。 しか し,その平均規模は 1事業所当 り従業員20人,出荷額3.6億円 とい う零 細性の状態 にあ る。 しか し,食品製造業は大部分 の都道府県 において出荷額が上位を占め る主要産 業の地位 にあ って,広範な地域に地場産業 として 分布 している。 農 家購入 の工 業 品 とくに農 業生産 資材 におい て,系統農協 は大規模に集積 された生産に対す る 分荷流通の役割,あるいは独 占体の商品配給機構 の役割をはたす地位 にある。 この客観的に定め ら れた地位の もとで,反面,系統農協 は農家の私的 利益 の追求を要請 され るものである。云い換 える と,系統農協 の事業運営の過程 は,主 として大企 業 もしくは独 占の商品配給放能をはたすか,農家 の共 同購入 の機能 をはたす かの対抗 の過程 であ る。 農家購入の生活資材の分野ではやや様相がちが う。系統農協 は この分野では相当の程度において, 流通過程における集荷,品揃 えの機能 と分荷流通 の扱能をはたす。多 くの場合,連合会が集荷,品 揃 えの機能を,農協が分荷流通枚能をはたす.逮 合会の集荷流通機能は,食品製造業の例にみるよ うに,生活資材産業が各県 に分散的に分布す る零 細性ゆえに,県経済連が主 な集荷流通機能の担 い 手 として現われ,集荷流通塩能に関す る限 り,全 農が機能す る余地は少ない。 このはあい,社会的 流通税能 と農家の私的利益 の追求 との対抗は,系 統農協の事業運営にも表現 されるが,多 くの場合, 農協 と農家の問,つま り農家の農協利用の選択 の 場面で表現 され るとみる ことがで きる。 系統農協の流通機能は農産物の販売 と農家購入 の工業品 とでは事情が異 な るが,一般的には農協, 県経済連,全農 の3
段階, もしくは農協 と県経済 連の2
段階の系統機構に よって遂行 される。農協, 県経済連お よび全農は,それぞれ独立 した商企業 体であ るが, これを2段階 もしくは 3段階の系統 流通機構 とい う統一性を付与す るものは, まず第1
に事業上のいわゆる系統利用関係である。 この 系統利用関係を基礎づけるのは組織上の会員,逮 合会の関係である。第2は集荷,保管,分荷な ど の相異なる流通諸機能を各段階にわた る継起的に 遂行す ることであ り, これによって事業上の系統 関係が成 り立つ。第3
は各段階にわた る仕入れ, 仲継 ぎ,販売な どの取引価格の形成である。 この 諸契塩 によって 「系統農協 の統一性」が形づ くら れ る。 系統農協の農産物流通機能 農協の農産物流通 における基礎的 な琉能は, まず販売農産物を集積 して,商業上の取引単位 を形成す ることである。 一般的に個別農家の販売量 は小規模であって,敬 引単位 に満たないので,取 引単位の形成は農協 の はたす役割 となる。 また取 引単位の質的要件は一 定 の品質,規格であるか ら,その保証 も農協が関 与す るところであって,農協 は営農指導や央同選 別,包装によって,その条件 を満たす。 また,農協の集積 した農 産物が実際に単一の取 引単位を形式す るには,そのすべてについて農協 が販売条件 (販売先,時期,数量,価格な ど)の 決定権を,農家か ら委譲 され な くてほならない。 こ うしては じめて単一の商 品量 -取引単位が形成 され る。 ここで単一の商品量 とは単一の価格で実 現 され ることである。農協 は普通, さまざまの価格で販売 された農産物について,事後的 に販売先, 時期,数量,価格,出荷経費にわたる共同計算 を お こない,計算上の単一価格を形成す る。 ところで流通単位量,例えば輸送上の積載単位, 市場上場単位 な どと取引単位 とは,一般的に一致 しない。特定の農産物について,一定 の出荷期問 の継続的な出荷が必要 とな り,継続的 な出荷を可 能 とす る数量が取引単位であるとす るならば, さ らにその取 引単位を実現す るまで集積 しな くては ならない. その集環が個別農協の限度 を超 えてい る場合は,集積は県そ して全国の範囲,規模の連 合会に及ぶ。 系統農協 の農産物流通機能の骨子は,おおむね 以上 の如 くであ って,基本型 とみ ることがで きる。 この基本型 は行政の介入や独 占体の操作が少 ない 卸売市場向けの,青果物や畜産物の流通 にみ るこ とがで きる。 この場合,卸売市場のセ リ取引にお いては,-定限度を超えた農産物の集積量や出荷 占 有率が,単純は販売上の優位を もた らす ものではな い。農産物 出荷数量が県経済連の段階 まで集積 さ れ,全農の段階 にまで至 らないのは, こ うした卸 売市場の取 引方法に由来す る。 全農の卸売市場における役割は,第一は産地 出 荷団体 としての投割である。 これは県経済連 と同 質の役割であるO第
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は直営の卸売会社,集配 セ ンターなどの,都市卸売商業企業 としての役割で あ り,郡市流通での第一次分荷の機能をはたす。 第3は農協,県経済連 に対す る市場情報伝達 の機 能であるO その代表がいわゆる 「全農建値」であ って,肉畜,弟卵および食鳥 について,主要市場 における過去数 日間の実績価格を参考 にした価格 観測であ る。 これは市場価格の波動を避 け,安定 化をはかろ うとす るものである。 第 4は県経済連 な どの出荷団体間の出荷調整 を はか ることである。主 として野菜の出荷調整であ るが,各品 目ごとに出荷開始前に各産地の作柄, 見込 出荷量 な ど産地情報の交換をもとめ, 出荷 の 競合 を回避す るために,出荷の時期 と数量,出荷 市場 を調整す るものである。 もちろん出荷調整 は 各市場の需要,入荷容量を前提 とし,その枠内で 供給量を調整 しよ うとす るものであるか ら,結果 的には需給調整の摸能をはたす ことにな り,消費 需要 に対 して安定 した供給 と価格を保障す るとい う利益を もた らす。 この意味では単純 に農家の私 的利益 を追求する ものでな く,社会的 な機能 をは たす もの と云 うべ きであろ う。 系統農協は農産物流通において,上述の如 き社 会的流通機能を遂行 し,その限 りにおいて農家の 私的利益 を実現す るものである。 この場合,農協 と連合会は協同組.合形態の商業企業 の本質を有す るものであるか ら,企業利益の要求 とい う別の準 則 に従 う。機能の面か らみると,農協 と県経済連 は産地 における農産物集荷の商業企業 である。全 農は同 じ性格を有す るが,主 としては直営の卸売 会社,流通センターとともに都市の卸売商業企業 である。 全農の新事業分野進出を象徴す る牛乳直販,鷲 肉販売,鶏卵販売の直営協同会社は,青果物卸売 会社,流通 センターとともに,全農の都市卸売商 業企業への傾斜を しめす ものであ る。農村の農産 物集荷か ら都市卸売への進出は,経済連 の場合 も 同様であ って,大型精米工場の開設 を媒介 とした, 白米の都市卸売企業化は注 目すべ き傾 向である。 これは農村における農家の兼業化 -農産物の消費 世帯化,農家 と非農家の在住状態の拡大による, 農協 の米小売事業の発展 に対応す る一面 もあ る が,都市卸売企業化は系統農協の変身 を意味する ものと云 うべ きである。 系統農協の農家購入品流通機能 連合会の都市 卸売商業への進 出,都市卸売商業企業化の傾向は, 事業量伸 び率追求の所産である。 ところで連合会 の都市卸売商業企業 としての性格は,農産物販売 事業 と比べて,農家購入の工業品の購買事業にお いてよ り鮮明である。その工業品の大部分は産業 独占の大量生産 によるもので,流通は もはや集積 を要 しない,二義的な分野流通である。例 えば化 学肥料,農薬,農業機械な どの産業独 占が生産 し 供給す る工業品の場合,全農 は全国範囲の卸売商 業企業 として,元卸段階の分荷流通を担 当す る位 置 にあ るo また,産業独占の元卸売会め ミ,全農 の東認を受けた 「指定業者」 として,名 目上は全 農 の卸売業務 として,直技に県経済連 に対 して卸 売 りをお こな う。全農が元卸売商業企業,県経済 連が地元卸売企業であ るとすれば,農協 は末端市 場の小売商業企業である。系統3段階を通ず る農家購入工業品は,全農, 県経済連が卸売枚能を,農協が小売機能を遂行す る点では,商人系統の卸小売の流通機能 と異なる ものでな く,産業独占の大量生産工業品の分荷流 通である。しか し,この社会的な分荷流通機能は, 系統農協において特殊な形式で遂行 され る。それ は農協を起点 とした予約の全農に向けての集積 と い う形式である。全農は集積 された予約を基礎 に して一元的に購入 し,逆 に農協に向けて分荷をす る。例 えは化学肥料の場合,1981年度か ら予約体 制の強化,価格交渉力の強化,年間安定価格の実 現を骨子 とす る 「面積予約協同購入」を実施 して いる。 化学肥料は昭和初期の 「肥料配給助成」事業以 来,農協購買事業の主力商品であ り,1981肥料年 度において,その市場 占有率は全農72%,農協92 % とい う高率であ り,化学肥料流通において独 占 的地位を保 っている。逆説 と聞えるか も知れない が,全農が流通独 占の地位を占めていることが, 予約方式を必要 とし, また可能 としていると云 う べ きであろ う。 提起 された予約体制の強化は,農協の経済連 に 対す る面積予約 を基礎 として,農協 と連合会の間 で年間契約を締結 し,契約にもとづ く予約品の責 任引取 を強化す るものである。価格交渉力の強化 は
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「肥料価格安定等臨時措置法」 にもとづいて, 全農が独占的な価格交渉力を保障 されていること が基礎である。全農が化学肥料資本の代表を相手 に価格を交渉す る基礎は引取責任を伴なった占有 率72%の数量であ って,化学肥料資本の側はその 数量に見合 って節約 された販売費用を差引いた価 格水準 まで譲歩す ることが可能である。他方,全 農はそ うした価格水準を原価 とした供給価格を以 て,予約に報い ることができる。 予約取引は一般 の商取引慣行の契約売買にぞ く す るか ら,それ 自体 としては特殊ではないが,系 統農協の購買事業 においては,農家の施肥面積に もとず く購買需要 を,全農が代表 して購入す ると い う形式を意味す る点で特殊である。 この形式 に もかかわ らず,やは り全農は一方では流通独占体 として肥料産業独 占に対 し,他方では農協に対 し ては独 占的な都市卸売商業企業の位置にある。 配合飼料は全農購買事業において22%を占め, 事業量6,327億 円は化学肥料の2倍強である(1980 年度)。全農 は配合飼料生産の業界筆頭企業,生産 占有率40%を占め る産業独占で もあ る。年産884万 トンで,2位の 日本農産147万 トンの6倍の生産量 である。配合飼料産業はその原料の90%弱を輸入 に依存す るが,全農 も例外ではない。全農は何 よ りもまず飼料原料穀物の大手の輸入商社であ り, アメ リカに同国籍の会社を設置す る多国籍企業で もある。 全農は全国に11カ所の輸入基地を設け,全農 出 資のサイロ業務の協同会社を配 し, うち8カ所に 同 じく全農 出資の配合飼料製造の協 同会社を配 し ている。 また全農は各県経済連 と共同出資の配合 飼料製造の協同会社を内陸部にも設立 している。 その工場数は上記のサイ ロに併設 した臨海工場を 含めて56工場 に達す る。その生産能力は年間848万 トンで,全国の生産能力1,759万 トンの48%を占め ている。全農は輸入商社 として輸入 した飼料原料 を配合飼料工場 に供給 して製造 に当 らせ,製品で ある配合飼料を一手に買い上げ,各県経済連 を経 由 して農協 に供給す る。 つ ま り,全農は直接に, また協同会社を通 じて 間接的に,海外における原料買付け と保管,輸入, 海上輸送の事業を営 なむO国内では輸入港 におけ る集積保管,各県工場-の搬入,協同会社工場で の加工製造,製品の元卸売,配送の事業を営 なむ。 経済連 と農協は全農配合飼料供給網の地方,農村 末端市場 における分荷流通の単位である。 化学肥料 と配合飼料が全農を起点 とす る,ほぼ 一元的な商品配給網をな しているのに対 し,農家 生産資材は全 く様相を異に している。生活資材の 供給量は農家の兼業化 と生活様式の変化 につれて 増加 し,農協1兆4,979億円,経済連1兆0491億円, 全農2,147億 円に達 し(1980年度),農協 と経済連 では年商合計1兆円規模 となった。 しか し,農家 の生活資材推定購入額8兆1,768倍に対 し,農協15 %,経済連7.5%,全農2.7%と,その取扱高の比 重は低い。農家の農協利用率15%,農協の経済連 利用率65%,経済連 の全農利用率45%である。 これを云い換 えると,農協 と経済連は生活資材 事業, とくに米を除 く品 目において,必 らず Lも 系統利用に依存せず,農村市場 と地方市場 におい てそれぞれ複雑な仕入れをお こなっている。 したが って,全農 は経済連に対 し,経済連 は農協 に対 し,それぞれの市場段階 において,商人系統,也 方 メーカー ときびしい競争関係にある。 これは生 活資材の分野では,生産が地方的に分散 した中小 企業,零細企業 によってお こなわれていることを 反映 してい る。 生産資材 の分野では,農協,経済連 は全農供給 品の分荷流通の単位であ るが,生活資材において はそれぞれ独 自な仕入れ,つ ま り独 自な集積機能 もしくは品揃 え捺能 をはた しているとみ ることが で きる。 特殊な流 通機構 としての系統農協 まず,農産 物流通にお ける系統関係。主品 目の米穀は1982年
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月施行の改正食管法の もとでは,政府米, 自主 流通米 ともに政府管理米 として流通す る。農協 は 一次指定集荷業者,県経済連 は二次指定集荷業者 であ り,全農は事実上の政府指定の全国集荷団体 (政府米) もしくは指定法人 (自主米) として, 政府 に代 って米穀の集荷流通を担当す る。 また, 政府米の販売分荷の面では,県経済連 (42県連) が卸売業者 の資格,農協(2,821組合)が小売業者 資格を承認 されて,政府管理下で米穀の卸売,小 売の流通機能 をはた している. なお, 自主米を県経済連がその県内需要者 に売 渡すはあいは,指定法人である全農の米穀駐在員 の資格で集荷販売をお こな う。 したが って,系統 農協の米穀取扱業務は,集荷,検査,規格化,保 管,搬送,精 白,卸売,小売のすべての業務 につ いて,政府業務の代行である。取引価格は,集荷 -生産者価格,卸小売 -消費者価格は政府決定の価 格を順守 し,各段階の差益利潤 も政府決定の取扱 手数料 として取得す る。集荷か ら政府-の売渡 し に至 る産地流通,卸売か ら小売に至 る消費地流通, そ こでの社会的流通諸機能は商的流通か ら分離 し た物的流通 の機能 として遂行 され るが,すべて政 府の代行で ある。 米穀流通 において系統農協は圧倒的な占有率を しめ してい る。1980年度に全農は集荷面において, 政府買付米 の95%,自主流通米の94%を占有 した。 精米の卸売 において全農系は18%を占有 した。 し たが って米穀 の集荷流通 においては,系統農協 は 政府管理の ほぼ全面的な代行機関の地位 にあ る。 政府管理の米穀流通 においては,価格形威,差益 利潤な どの商的流通の諸要素は,政府が決定す る ため,流通機構 としての系統農協は単純 な物的流 通機能を遂行す るのに とどまる。 したが って,系 統農協は政府管理 の もとにおかれた政府の代行機 関 とい うことができる。農家の私的利益の追求は, すでに米穀流通 の全過程にわた るものでな く,坐 産者米価決定の局面に限定 され る。周知のよ うに 米価決定は政府の権限にぞ くし,系統農協は指導 機関である全国農協中央会の政府にたいする要請 とい う形式で,農家の私的利益 を表現す るにす ぎ ない。 生乳流通。生乳は 「加工原料乳生産者補給金等 暫定措置法」(不足私法)に もとづいて,特殊 な流 通事情にある。生乳流通を規定す る条件は1980年 度 において,第1に酪農家115千戸,搾乳牛頭数 1,075千頭,生乳6,499千 トンとい う生乳の零細生 産である。第2は生乳需要 における乳業 3社の集 乳率46% とい う独占の状態である。第 3は生乳換 算1,026千 トンの乳製品輸入 とその畜産振興事業 団に よる管理で あ る。第4
に生乳 生産量 の うち 2,311千 トンが乳製品加工原料であるが,1,930千 トンが 「不足弘法」に よって,加工原料乳の限度 数量 として認定 され,保証価格 キ ロ当 り88円87銭 と基準取引価格64円30銭の差額24円57銭の補給金 が,財政資金か ら支払われ る。 第5にこの不足払 いの実務の必要か ら, 1県1 団体の原則にもとづ き47団体 (経済連16,県酪連 など3
1)が生産者団体 として指定 されている。 こ の指定団体は各県 ごとに,全国合計でみ る飲用向 け4,488千 トン,加工原料限度数量1,930千 トン,限 度超過数量82千 トンの乳価 をブール計算 して単一 の計算価格にもとづいて酪農家に支払 う実務を担 当 している。 ちなみに系統農協は この生乳流通 のなかで,16 県経済連が指定団体 として2,868千 トンを取扱い, 他の12県経済連が435千 トソを取扱い,その合計は 3,303千 トンである。県経済連 の取扱数量 はその大 部分が,各県 ごとに乳業資本 に販売 されるもので, 全農に再委託の形式で全農取扱経由で販売 された 数量は523千 トンにす ぎない。県域を超 えた販売, つ ま り広域流通は200万 トンを上 まわ るが,その う ち約半 分が乳業 メーカーの工場間転送,残 り半分が指定 団体による県外販売であ って,県経済連の 取扱量3,303千 トソに対 して も,全農再委託の利用 は16%弱にす ぎない。 この事実 に照 らしてみて,生乳流通は指定生産 者団体を中心 とす ることが明 らかである。 これが いわゆる 「不足払い体制下の生乳流通」の特徴で ある。1980年度 において,加工原料乳キ ロ当 り24 円57銭,総額47,420百円の補給金は,すべて指定 生産者団体に支払われた。指定生産者団体 はこの 補給金を軸 にして,基準取引価格にもとづ く限度 数量分の加工原料乳価,限度超過分 (それゆえ補 給金の対象外の)加工原料乳価,一般の飲用乳価, お よび学校給食用乳価 を一本化 して ブール計算 し,各県 ごとの統一乳価を決定 している。云い換 えると,群小の酪農組合,酪農協および農協な ど の酪農家団体は,加工原料乳の補給金の支払 いを うける必要上,当該県の指定生産者団体である経 済連や県酪連 をその会員 として利用 して,生乳を 販売す る形式を とっている。 しか し生乳取引の実態は,経済連や県酪連が統 一配乳権を掌起 して,乳業 メーカーに共同販売す る状態にはない。酪農家の生乳は,集乳量の46% を占有する乳業3社,33%を占有す る中小乳業資 本,21%を占有す る農協 プラン トに向けて販売 さ れている。実情 は群小の酪農組合,酪農協,農協 (酪農部会)の個別販売であ り,流通の主導権は 乳業資本の側にあ って,群小の共販団体はむ しろ その集乳機構に化 している。集乳量の21%を占有 す る農協 プラン トは,共販団体が飲用乳処理施設 を所有す ることによって,生乳流通 において乳業 資本 と対抗することを意図 した ものである。 しか し季節的に発生す る余残乳処理の面で,乳業3社 の乳製品加工に依存せ ざるを得ない こと, また, 飲用化率の向上 をはかるあま り,過 当競争飲用乳 の安売 りに追い込 まれて,経営的に苦境に立つ例 が多い。 1980年 度 の実 績 では,農 協 の生乳取扱割合は 57%,経 済連 6%,全農9%であ る。農協 と経 済連の占有率が同率であるのは,不足払法によっ て経済連が指定団体 とな り,農協の生乳販売が名 目上は経済連利用 となるか らである。多 くの経済 連は統一的 な配乳権を もたず,生乳は実際上は酪 農組合,酪農協,農協 (酪農部会)を単位 に,一乳 業資本の集乳部門を担 当す るかたちで流通 してい る。 米穀 と生乳の流通は,国家独占資本主義 (現代 資本主義)の経済体制 の もとでの農産物流通の典 型である。その特徴は第1に法律に よって流通 お よび価格形成が定め られていることであるこ この ことと関連 して第 2に物的流通は商的流通 と分離 し,その物的流通上,系統農協 は独 占的な集荷団 体の地位が約束 されていること,第
3
に系統農協 の社会的流通機能は政府 もしくは独占体の農産物 集荷の流通機能 として実現 していること, などで ある。 そ して第4
の特徴は,系統農協がそのよ うな集 荷流通の機能を遂行す ることは,農協がはたすべ き農家の私的利益の追求 と, きび しい対抗関係を つ くりだ さざるを得ないことである。対抗関係の 核心は農家の受け とる生産者乳価にある。1976年 か ら1981年 にいたる期間に配合飼料価格は トン当 り66,200円か ら73.000円に10.3%上昇 したが,「不 足払法」 による保証乳価はキ ロ当 り86円41銭か ら 88円87銭へ2.8%ひき上げたに とどまった。この こ とは少 な くとも現状の生乳流通機構が,生産者乳 価の抑制塩桟 として機能 した ことを物語 るOそ し て酪農家は少頭数飼育者が廃業 し,多頭飼育によ る合理化に向 ったわけである。 これはあたか も米 作農家が生産者米価抑制の機構の もとで兼業化に 向い,兼業の農外所得 によって米作を維持す る状 態にいた ったの と基調を同 じくす る推移である。 米穀 と生乳の流通にみる以上の状況は,系統農 協が法律 と行政指導に もとづいて,商的流通か ら 分離 された物的流通の諸機能を遂行す ることを し め している。 これはまた農家の私的利益の追求に 一面の基礎を もつ系統農地が,政府および独 占体 の強力な影響の もとで, よ り社会化 された流通機 能を遂行す るとい う経験を現わ している。 この経 済的事実は米穀 と生乳 に とどまらず,すでに例証 した重要野菜,化学肥料および配合飼料の流通 に も見出す ことがで きる。 これは系統農協が単 なる 農家の私的利益の追求の機構でな く, また単なる 社会的流通機能を遂行す るもので もな く,政府 と 独占体の要求に応 える とい う形式の もとで,社会 化 された流通機能を遂行す る,国家独 占資本主義 の条件の もとでの特殊 な流通機構であることを しめ している。 系統農協 の利用関係の実情 3段階制の系統農 協 の各段階間 の取引は,総体 としては4,528農協 と 48経済連お よび全農 とい う独立 した企業間の売買 関係であるが,俗に系統利用の関係 と呼んでい る。 また,連合会 の側では普通,農協に向けての事業 推進 と呼んでいる。系統利用および事業推進 とい う表現は,単 なる呼称の問題ではな く,一般的 な 企業間の取引 と比べて特殊 な事情が介在 している か らである。 この問題は後述す るとして, まず, その系統利用 の実情 を考察す る。 1980年度 の我が国農家の農産物販売総額 は9兆 3,563億,農 家の購入支出総額は12兆4,254億, ラ ち生産資材4兆2,486倍,生活資材8兆1,768億で あ った。農協 の販売事業量は5兆5,009億,購買事 業量 は4兆7,004鼠 うち生産資材3兆2,025倍, 生活資材1兆4,979億であった。したが って農家の 農協利用率 は,農産物販売58.8%,購入品35.7%, うち生産資材75.4%,生活資材15.0%である。 し たが って農協 は農産物販売 と農業生産資材購入に おいて,商 人系 と比べて優位 に立 っている。 しか し,農家生活資材購入の分野では,それが農家の 現金支出の80%を占めるにもかかわ らず,農協 の 占有率は低 く,商人系が圧倒的に優位 に立 ってい る。 この場合注意すべ きことは,上述の農協事業 量は個別農協 の事業量の総和を しめす ものであ っ て,単一に集積 された取引高ではないことであ る。 1980年度 の実績は,農家の農協利用,系統3段 階の利用関係 にい くつかの特徴のあることを しめ している。 1.農家 の農協利用では,農産物販売59%,農 家購入36%である。農村流通 において,農協 は農 産物流通で は有力であるが,工業品流通では商人 系統が圧倒 している。 しか し,生産資材では農協 が,生活資材 では商人が有力であるとい う顕著 な 傾向がある。つ 写 り,農家は農産物販売 と農業生 産資材購入 では主 として農協を利用 し,生活資材 購入では商 人を利用す るとい う具合に,その経済 活動は明瞭 に分化 している。 2.農協 と連合会の問の系統利用の点では,農 協 の県経済連利用率は一般的に高率である。 しか し,県経済連 の全農利用率は事業別,品 目別 に相 当のちがいがあ る。飼料,月巴料,農薬 をは じめ と す る農業生産資材購入お よび米穀販売 は,全農が 法律上の地位を しめ,経済上 も巨大な都市卸売企 業の地歩を得ている関係上,県経済連 の全農利用 は当然利用 とも云 うべ き関係にある。 とくに米穀 流通 と肥料,農薬流通にみる,農家か ら全農 に至 る高率の利用状況は,全農関係者が云 う 「系統農 協 の基本型」を表現 している。 3.この 「基本型」 の観点か らみ ると,生活資 材購入,青果物,畜産物販売は非 「基本型」 とも 云 える傾向を しめ している。生活資材購入では農 家の農協利用は僅かであ り,農協の比重は低 い。 しか し, このはあいで も農協は仕入れ業務の面で 経済連利用に傾斜 している。 これは農協が仕入れ 業務の弱体を,経済連供給の品 目に限定 して事業 を営なむ方法で補強 していることの反映 とみ られ るo経済連 はあ る程度の仕入れ能力を有 し, また 地方中小 メーカ-を 「指定業者」として,その 「事 業推進」に依存す ることがで きるので,全農利用 は高 くない。生活資材購入の この傾向は, 3段階 高率利用の 「基本型」の対極をなす。 4.青果物,畜産物の販売流通はいわば第3の 傾向を しめすO野菜 と果実の場合,農家の農協利 用は45-50%, しか し農協の経済連利用は約90% と全利用 に近 いoその反面,経済連 の全農利用 は 50%どま りである。 この ことは農村が青果物販売 で個人販売,出荷組合共販 を主 とす る分野 と,経 済連 による出荷販売の集荷機構 としての農協に販 売委託す る分野 とに分化 してい ることの反映 とみ られる。 この流通傾向の分化は歴史的事情 と市場立地 に 由来す ると同時に,法律,行政指導 に も由来す る。 例 えば 「野菜生産出荷安定法」(1966年成立)が定 めた産地指定,出荷団体指定の要件 は,総合農協 と経済連 の集荷力を強化 した経緯があ る。同法施 行規則は,区域内生産の措定野菜 出荷量の2分の
1
以上を指定消費地域に出荷す ることを,塵地指 定の要件 とした。 また,共 同出荷組.織 の出荷条件 として,(刀区域内の指定野菜 の共 同出荷組織によ る出荷数量が,区域内の指定野菜 の総 出荷数量 の 3分の 2を越 えること,(j)区域内の指定野菜 の出 荷が全体 として合理的,計画的 に行われ ることを 挙げている。この指定条件は野菜産地 の大型化を促進 し,そ の大消費地域卸売市場集荷 との結合を強化 した。 集荷団体 として総合農協が出荷組合に代替 し,「合 理的計画的な出荷団体 として経済連 の地位 を高め た ことは否定で きない (広瀬済 「本格的検討がせ まられて きた野菜 の需給調整
」
F農業協 同組合』
1979年4
月号)。 また, 1980年6
月通達の「重要野 菜需給調整特別事業実施要領」(農水事務次官通 逮)は,全段 に よる需給調整事業を促進す るもの であるが,事業の実施主体は県生産 出荷団体 -県 経済連を予定す る仕組みである (三島徳三 「野菜 需給調整対策の現状 と課題」
『農業 と経済山 983年 4月号)。 以上,農家か ら全農にいたる利用の実態 の特徴 を述べたが,総 じて農協が農村流通 に占め る地位 は量的 に考察す る限 りでは,米穀,飼料,肥料の よ うな特別 の法的措置のあるものを除 くと,けっ して強固 とは云 えない。その一般的状況の もとで, 農協の経済事業, とくに生活資材購入,青果物, 畜産物 販売 の方 面で は,地方的取 引 ない しは地 方 -県経済連 の独 自な取引が支配的である と云 え る。その基底 にあるのは,旺盛な生命力を もつ地 方流通であ って, この地方流通 に対応 して,農家 もしくは任意組合が系統農協流通の圏外で活動 し ている。 この地方流通 については,米穀,生乳のよ うに, 農協 もしくは専門農協がその系統焼構の もとでほ とん ど独 占的 な地位 を しめて い る品 目の場合 で も,流通の基本は県区域を中心 とす る地域内流通 である。 1980年度の政府管理米(自主米をふ くむ) 653万 トンの うち県問流通 にぞ くす るものは2
4
4
万 トンであった。 1981年度の生乳の県指定団体取扱 量61
2
万 トンこの うち広域流通量(乳業会社の工場 間転送 をふ くむ)は2
2
7
万 トソであ った。いずれ も 60%以上が県区域を中心 とした地方流通 にぞ くす るわけである。青果物,畜肉,鶏卵の場合,地方 流通の比重 は さらに高い。 そ こで系統農協の利用関係 とい う観点か ら考察 す ると,米穀や飼料,肥料 などの例を除 くと,農 協の経済連利用率が高 く,経済連の全農利用率が 低い とい う実情 には,二つの傾向性が存在す ると 指摘で きる。第1
に経済連が 自立 した農産物出荷 系統農協各段階の事業利用率 (1980年二度) 農協/農家 経済通/農協 全E笠/経済迎 柄 .EJJH
〔業 35.7潔 75.9潔 69.5% うち生産餌付 75.4 80.5 78.5 飼 料 52.9 89.0 91.1 肥 料 92.5 90.8 85.4 薬 農作
72.4 75.0 94.4J
l
%
機 46.9 75.4 65.1 石∼
巾
49.6 86.6 91.3 ′ト座餌付 15.0 65ー1 45.5 Rli克一
!
.
;
莱
58.7 91.5 65.2 うち 政llj米 95.4 100ー0 100.0F
r
l
i三米 93.9 100.0 99.6 野 菜 45.1 92.8 51.0 災 Ji: 50.9 89.5 49.8 生乳
57.1 95.2 19,3 鶏 卵 20.5 86.2 56.5 肉 牛 51.1 81.0 36.0 肉 Jは 38,0 88.7 35.9 (.Ji'1:_)令農給付触Ilj,・'RIF系統 総柄・3.;業 進駐続.汁1983年=一版 』 農 水'
fltFE豊実.
出家 の 社 会勘JjiIとEli家経 机 に よ る。 団体 もしくは農家用品卸売企業 として機能す るこ とは,全農利用に経済上 の合理的根拠が欠けてい ることを意味す る。青果物,畜産物の中央卸売市 堤 -セ リ取引については,このことは明 らかである。 第2
に農協が比較的高 い利用率を もって経済連 を利用す るのは,主 として県外 -大消費地域市場 向けの農産物 に限 られる。 また,経済連が全農不 利用 とい う経済性を順守す る限 りである。 この場 令,農協の経済連利用 と農家の農協利用の相関性 に留意す る必要がある。す なわち,農協が経済連 利用に深入 りし利用率が向上す るな らば,農家は 農協利用を回避 し,その利 用率は低下す るもので あろ う。農協の経済連利用率 の低下,つ ま り農協 が 自立的な出荷販売団体 として,積極的に地方流 過 (地方市場,地場流通) に進出す るな らば,農 家の利用率は高 まるであろ う。 この観測は当面, 一つの仮説 として提起 してお きたい。 系統利用関係の実質 系統農協 においてほ,例 えは販売事業における販売,購買事業 における仕 入れ,信用事業における預 金 など,すべてが系統 利用 とよはれる。その業務 の実質は農協企業 と連 合会企業のあいだの商品売買,資金預借 とい う取引関係であ るにもかかわ らず,通常,事業利用の 形式を とる。 その理由は何か。問題を簡明にす る ために,経済事業における農協 と連合会の関係に ついて考察す る。 1.まず,農協 と連合会の組織上の関係は,そ れぞれが独立企業であるが,連合会 と会員の関係 である。連合会の事業運営の方針は形式上,その 会員 -農協が参加 した総会において決定 される。 方針の決定者 は会員 -農協であ り,方針の執行者 は連合会であ る。そ して,その方針は会員 -農協 がその私的利益の集合 として決定 した ものである か ら,連合会は会員 -農協の利益 を擁護す ること を最高の原則 とした方針の執行者であ る。 この よ うに総会の議決を共通 の基底 とした相互 関係であるか ら,その売買の経済関係は一般の売 手 と買手のあいだの対立関係でな く,会員 -農協 の私的利益 を実現す るための協働関係であ る。独 立企業であ る双方がその よ うな協働関係に入 り込 む ことがで きるのは,連合会企業の資本が農協企 業 によって拠出 され,協 同資本 として形成 されて いるか らであ る。 以上 の よ うな農協 と連合会 のあいだ の組織 関 係,運営関係,資本関係は,相 当な変容を とげて いる。例 えは,運営上,連合会事業は農協事業の 単純な集積ではなく,む しろ農協は連合会の側か ら の事業推進の対象であ り,連合会が商人系 と競争 し て営業を拡大する対象である。また,連合会の資本 はますます内部留保に依存 し,農地からの出資金 も その相当部分が出資配当の振替によって占められ る 状態にな り,協同資本の実質が稀薄にな っている。
2.
農協 と連合会の事業関係は,連合会が提示 す る事業取扱要項を前提 にす るとして も,無条件 委託の関係である。農産物販売を例に とると,販 売の時期,数量,出荷先市場,販売価格 などの販 売条件について,無条件に委託す る。 これは一つ の企業体の経営権に関す る事項であるか ら,無条 件委託 とは農協が一時的にそ して部分的に経営権 を連合会に委譲す ることにはかならない。連合会 はその よ うな無条件委託を受けたのであるか ら, 取引の最終結果に対す る責任を免れている。 これ も二つの企業間の一種の売買取引関係であるが, それを敢 えて利用関係 と称す るのは,取引行為 が 特殊だか らである。 例えは取引商品の占有権が まず移動 し,事後に 価格が決定 され,占有権者によって売買が実現 し, 所有権者には最終結果が知 らされ,承認を迫 るの である。 したがって形式上は商品の最初の所有者 は, まずその占有権を移動 し, 占有権者が売買を 執行 し,所有権が最終的に移動す ることになる。 そ して中間で機能す る占有権者の取得す る商業利 潤 は売買差益の形態ではな く,取引価格 とは無関 係 に予め規定 された定率に もとづ く,手数料の形 態を とる。 しか し,手数料の実質は売買差益 とは 形式上相異す るとは云 え,その実質は ともに商業 利潤である。3.
商品取引の売買の実質が,事業利用の形式 を とり,商業利潤が売買差益 の形式でな く手数料 形式を とる関係は,系統農協が行政実務の代行機 能 を遂行す るのに適 している。例 えは食料管理制 度の もとで,農協 と連合会が指定集荷業者 として 指摘 されて,米穀集荷業務を代行す る場合が適例 である。政府は指定集荷業である農協 と連合会に 対 し,予約前渡金 と生産者価格,集荷限度数量を 提示 して集荷業務を委任 し,事後的に定額の集荷 手数料 と保管料を支払 う。 この手数料 と保管料は 規定の単価 として支払われ るもので,集荷数量の 多少,つ ま り取扱価額 とは無関係であ り,あたか も支出された取扱実費の補填 にふ さわ しい形式で ある。系統農協 における売買取引ではな く事業利 用の関係,売買差益ではな く数料取得 の関係は, 系統農協が政府業務を代行す るのに最適の形式を 準備 していると云 える。 系統農協 の事業 -取引関係が,事業利用 の形式 を とる経緯 とその実質は以上のごとくであ るが, その利用形式は もともと 「協同組合 -施設」説に 根拠がある。つ ま り,協同組合は組合の拠 出 した 資金 -施設であ って,利潤を要求す るものでな く, 組合員が施設利用を通 じて利益を得 るために提供 されるとす る説である。施設説 と利用関係説は同 梶-蓮 の見解である。 「協同組合 -施設」説は協同組合の 「非営利性」
を根拠 とし,協同組合は専 ら組合員の利用に供 さ れ る施設にす ぎない とす る。農産物の集出荷施設 が通例であ って,農家はその施設を利用 して 自己 の農産物の販売を準備す る。 しか し,集出荷施設は商業資本の一部をなす固定資産である。施設の 利用,例 えば販売農産物 の施設への搬入は,農家 と協同組合企業 との取引の端緒であ り,その取引 は出荷販売,代金の回収 を以て完了す る。その取 引過程 において施設 -固定資産 をふ くむ商業資本 は,取引過程で生 じた価値損耗分 と機能 した資本 の利潤 の取得を要求す る。それは普通,手数料形 式で取得 され るが,商業利潤の実質を有す ること には変 りはない。 いわゆる系統関係の基本型 農産物 にせ よ農家 購入品にせ よ,農家 と農協の関係,系統
3
段階の 関係において,全利用を実現す ることが,系統関 係の基本型であ るとす る考 え方は今なお有力であ る。1
9
5
3
年には じま り1
9
6
1
年に完了 した連合会整 備促進事業の体制,いわゆる 「整促体制」は,系 統全利用関係を追求 し,その基礎の うえに連合会 の経営再建を達成 しよ うとした ものである。共販 3原則 (一元集荷多元販売,無条件委託,共同計 算),購買3原則 (平均購買,無条件委託,共同計 寡)は,系統全利用 と全国連を中心 とした事業体 制の運営準則 として提唱 された。 この 「整促体制」 を通 じて,今 日の全農を中心 とした系統3段階の事業体制が成立 した ことは, 大方の認めるところであろ う。 このよ うな事業体 制の典型は,米穀 と肥料であって,全農関係者 は 「系統利用の基本型」 と定義 している。 しか し,1
9
6
0
年代に入 ったのち系統経済事業が事業分野 と 取扱品 目を拡大 し, とくに購買事業では肥料に替 って配合飼料が筆頭品 目とな り,販売事業では卸 売市場 と結びつ いた青果物,畜産物 の事業量が増 大 し,比重 も高 まった。流通様式を異 にした新 し い事業,品 目の接頭 につれて,整促体制下のよ う な系統全利用は現実性を欠 くとい う認識 も明瞭に なった。その よ うな新事態の もとで,系統3段階 枚能の再編成が提唱 され, とくに単協 と連合会の 問の機能の補完関係 とい う論点が提起 された。 し か し, この新事態 の もとでの新発想が,はた して 整促体制下の系統利用観を どの程度 に克服 した も のであ るかは疑わ しい と私は考 えている。む しろ そ の新 発 想 の根 底 には ひ きつづ き, 3
段階全利 用を基本型 とみなす構想が生命力を もっているの ではないか と思 う。 現状を考察 しよ う。 3段階事業のマク ロ的な市 場 占有率は,米穀の場合, 3段階の高い系統利用 率 と併行 して,9
5
%
前後の市場 占有率を しめす。 これは食塩管理制度 と不可分 の関係 にあ る もの で,政府米, 自主米 ともに独占の地位を しめてい る。米穀の集荷流通は系統農協の集荷事業 と同義 語の関係にあ り,政府の米管理は系統農協機構を 不可欠の前提 としている。 1.米穀流通 はすでに指摘 した よ うに,米が 日 本全土で生産 され る農産物であ り, 日本人の常食 であることを反映 して,その主たる流通 は各生産 ごとの地方流通が主体をなす。県外移出量の多い 主産県 と東西2
大消費地域の問の流通を除 くと, 県間の流通調整の必要 は少ない。つ ま り,流通事 情 に関す る限 りでは,政府 もしくは全農に期待 さ れ る全国を範囲 とす る一元的な流通調整の必要は 少ない。 これを云い換 えると,政府が米穀流通 を 直接 に一元的 に管理 し, また全農が集荷,売渡 し の業務を担当す る根拠は,流通調整以外に求めな くてはな らない。 2.また,流通調整 と同 じ事情によって,単一 の生産者価格 と消費者価格が政府 によって決定 さ れ る理 由はない。特に大消費地 向け流通を除 き, 大部分が産地 県内流通 にぞ くす る事情 か らみ る と,消費者価格は流通費用を反映 した,大消費地 と産地の間の格差はあ り得て も,格差なき単一価 格の積極的な理 由はない。生産者価格 も同様であ って,消費地 との遠近,流通費用の相異を反映 し た格差はあ り待て も,単一の生産者価格を設定す る根拠 に乏 しい。したが って,現行の生産者米価, 消費者米価の全国単一価格の設定は, また流通費 用を反映 しない価格体系 も,流通経済上の合理性 以外に根拠を求めな くてはな らない。 3.政府による米穀管理 と価格原則は,米穀需 給 とい うミクロ経済に根拠はない。政府が米穀の 集荷供給 と価格形式に介入す る理 由は,その創設 期において も,現在 において もともに,米穀の不 足 とい う需給事情,あるいは国際的な食糧需給の 基礎 の不安定 とい う事情 にあ る とい うべ きであ る。 4.政府 が米穀 管理 に積極的 に介入す る根拠 が,国家 レベルの事情にあるとすれば,米穀流通 は 「は じめに政府需要あ りき」か ら始まる ことになる。国民 の各個人の需要の累積 として総需要が あるのでな く,生産者の個別の供給の集積 として 総供給があ るのではない。流通は政府需要か ら始 まる。 5.これ を系統農協の流通 についてみ ると,政 府需要 に基礎 をお く全農の集荷必要量が事業 の出 発点をなす。政府の要請に もとづ く全農の米集荷 事業 は,農協を一次指定集荷業者,経済連を二次 指定集荷業者 として,一般の商品農産物ではな く 政府米を, まず経済連の集荷業務 として,つ ぎに 農協の集荷業務 として遂行 され る。 この事業過程 は通常の農産物の共販ではな く,農家か ら委託 さ れた販売農産物の順次的な集積で もない。 また, 系統農協の各段階の特殊 な取引を表現 した 「利用 関係」 にぞ くす るもので もない。 化学肥料 の流通 も米穀 集荷事業 と類似 して い る。すでに考察 した よ うに,化学肥料の農家か ら 農協,全農 にいたる利用率は,いずれ も90%前後 とい う高率 である。それ と同時に系統農協各3段 階の事業量 の市場 占有率 も,農協92%,経済連84 %,全農72%と高い。 1.全農 の市場 占有率の高位は,すでに指摘 し た よ うに法律にもとづいて,肥料需要者を代表 し て業界代表 と,主要肥料原料の輸入業務で主導権 を握 ってい ること,若干の肥料 メーカーの株主 と して一定の発言権を もっていること,な どに由来 している。 全農は肥料原料輸入関係会社2社 を80 %,90%の持株比を以て経営 し,1980年度実績で 原料輸入を燐鉱石51%,塩化加里72%,硫酸加里 74%の高率 で占有 し,肥料 メーカーに影響力を行 使 しうる地 位 にある。 また,サ ン化学, ク ミアイ 化学,八州 化学 など8社の持株団体である。つ ま り,全農は農協に基礎を有す る点で,肥料需要者 側 に立つが,また,肥料原料の輸入供給者であ り, 肥料 メーカーの抹主団体 として肥料供給者側 に立 つ こともあ るとい う,複雑 な立場を併有 している。 2.全農 の肥料各社 との密接 な関係が,全農 に 「指定業者」 として指定 された肥料会社が,全農 の承認の も とに各県経済連 と直接に取引す る関係 を うち立て,全農がその直接取引を全農事業量 と す る「自主推進体制の弱体化
」
「事業推進の メーカ ー依存度の深 ま り」 とい う状況を生 じた。 この場 令,全農は名儀を貸与す ることによって売買差益 系統農協経済事業の市場占有率 (1980年度) 農 家 農 協 経 済通 仝 農 構 'rH
.i業 100% 35.7% 27.0形 17.5.% 内生産 餌 付 10 0 75.4 64.6 46.2 飼 料 10 0 52.9 46.4 39.6 肥 料 100 92.5 84.0 71.6 農 薬 lo o 72.4 49.2 45.0 1農 機 100 46.9 36.1 20.7 Li 油
10 0 49.6 44-.6 42.6 ' J-A_活 餌 付 10 0 15.0 7.5 2.7 販売Lj';莱 100 58.8 50.6 35.0 lJl政 ff.f 米 10 0 95.4 95.4 95.4 F'1主 米 10 0 94.4 94.4 93.9 野 菜 100 45.1 40.8 23.5 架 Lii: 10 0 50.9 28.6 18.3 肉 牛 10 0 51.5 35.0 19ー7 肉 豚 100 38.0 30.9 13.1 ll:_SL 10 0 57.1 56.0 8.9鶏
卵 10 0 20.5 27.9 24.3(
.
i
IA_)・全LI!総合企両部 F系統経済 lj.;莱)1!礎枕.汁1983年版』, 農水/JTF総 合I]空似枕..AltlJiLl に よるO ′L=.活hA'材はiu]笠 の推定伯に よる (同上P231)0 ′l
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庶酌材fl空家購Ll"t'I..':;はE等水
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F農 業,Li珪家の社会物IiiiとL]法家経済』の「Jl笠業財 貨サ ー ビス投 入研」 か らrほ細 .-粁L,ll笠業サ ー ビ スを除いた数lLli'Q農家農産物販売鰍よrF7日・_「出席物 販売朋」に よる。 (手数料)を受取 り, また供給代金の決済機構 の 役割をひき受けることになる。肥料会社 としては, 系統農協 と対抗す る商人系供給機構 も-定の程度 において必要であるが,実需を背景 とした全農が 名 目上72%とい う高い占有率を保証す ることも, けっして不利益ではない。 3.肥料業界 と緊密 な関係を もち,時 としては 利害を分ち合 う関係において,全農が独 自な地位 を保ち うるには,実需代表 の立場を名実 ともに確 立す ることである。農家の購入予約を基礎に して 農協,経済連 まで集積 された予約契約数量の全農 -の集中によって,全農の実需代表 の地位が形式 的に成立す る.1981年度には じまる 「面積予約協 同購入運動」は,全農 の肥料会社に対す る実需代 表 の地位を保証す るとともに,全農の肥料事業計 画を裏づけ, また,経済連 と農協の現物について の責任取引を保証するもので もある。 この予約集 積は全農の要請にはじま り,予約推進 自体が全農 か ら経済連,農協 に波及す るとい う順序 を追い, 現状では一般に農協 どま りであって,農家の予約
を裏づけ とす ることがで きず,農協の見込数量を 基礎にせ ざるを得 ない状況にある。 4.系統3段階がそれぞれ高い市場 占有率を保 つ状況は,以上の考察に よると,農協の強い競争 力による高い市場 占有率を基礎 として生 じた もの とは云い難 い。それ とは逆に,全農 と肥料業界 と の緊密な関係,法制上行政指導上の全段の地位に 由来す る,全農の肥料卸売企業 としての独 占的な 地位が,経済連 と農協の段階での市場 占有率の高 さを結果 した と云 える。そ して全農 と経済連の事 業量の うち相当部分が 「メーカー推進」による名 目的事業量であることも指摘 してお きたい。 米穀 と肥料は系統農協における利用関係の 「基 本型」 とよばれ る品 目である。 こ?基本型の利用 関係を,すべての購買,販売の品 目に普及す る意 味で理解す るな らば, こうした