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「結果」の文法化 : 接続助詞的用法を中心に

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Academic year: 2021

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─研究論文─

「結果」の文法化 ─接続助詞的用法を中心に─

東條 和子 要 旨  本稿では、「結果」という実質名詞の文法化について接続助詞的用法を中心に、『現代日 本語書き言葉均衡コーパス』と、現代から約100年の開きがある『太陽コーパス』、『青空 文庫』、『明治の文豪CD-ROM』(1872年〜1925年の作品)からの資料を、調査・比較した。 その結果、以下の二つの変化が明らかになった。1)連体動詞句に後接する「結果は」に関 して、①名詞本来の機能である格成分の主題化を表す用法が減っている。②後に続く述部 の枠組みを表す用法が減り、反対に接続助詞的用法が増えている。これは、枠組み的用法 の助詞「ハ」が脱落し、接続助詞的用法に移行したものと考えられる。 2)「結果」に前接す る連体動詞句は、未実現が表す事態が減り、既実現が表す事態が増えている。すなわち、 連体動詞句がテンス性をおびることにより、動詞句が独立した文に近くなる。そして、「結 果」は形式名詞化し、むすびつけの働きをする機能語へと変化する。以上、1)と2)の変化 により、接続助詞的用法が広まったことは、「結果」の文法化への筋道の一つであると考え られる。  【キーワード】 「結果」、連体動詞句、接続助詞、機能語、文法化 Ⅰ はじめに  ともに実質語であり、対義語でもある「原因」と「結果」の振る舞いの相違を、以前調 査、比較したことがある。その中で特に目立つ相違の一つは、「結果」にのみ(1)のよう な接続助詞的用法(高橋1979)が見られたことである。国立国語研究所『現代日本語書き 言葉均衡コーパス』(以下コトノハ)をデータとして用い、集計した結果、「結果」が単純 語で出現するデータの総数10720件中、(1)のような接続助詞的用法が1351件見られた。   (1)  家庭にもオフィスにもIT関連機器が普及し、手に入れられる情報量が増えた結果、 使用される紙の量も増え、デスクのまわりはいつも資料だらけです。(スピード整 理術)    「結果」の接続助詞的用法は「結果」が実質語として語彙的意味を残しつつ機能語に移 行したもの、つまり、「結果」が文法化の途上にあるものと考えられる。「結果」の機能語 化に関しては、高橋(1979)が「むすびつけというのは、動詞句と、名詞のあとにつづく ものをむすびつけるはたらきをするということである。ここから、接続助詞のようなはた らきをする補助的な単語へのみちがひらかれる。」(p.402)と述べている。このような「結

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果」の接続助詞的用法は歴史的変化によって出来たものと推測される。そこで、本稿では、 「結果」の文法化に関して、コトノハと、現代から約100年の開きがある『太陽コーパス』1) (以下『太陽』)、『青空文庫』、『明治の文豪CD-ROM』(以下『青空文庫・明治の文豪』2))を 用い、接続助詞的用法の通時的調査・考察をおこない、「結果」の歴史的変化の可能性の 一端を示すことを目的としたい3)  Ⅱ章において、次のような手順で調査・考察を行っていく。まず、名詞から機能語への 変化についての先行研究と、「結果」の接続助詞的用法についての先行研究を考察する。 次に、「結果」の辞典・辞書類への出現時期を調査する。最後に、「結果」を主題とする用 法と接続助詞的用法に関する通時的調査を、1)上代から近世(江戸時代)後期まで、2) 1800年代末期〜1900年代初期と、1900年代末期〜2000年代初期、の二つの時期に分けて 調査する。さらに、「結果」に前接する連体動詞句の調査・分類を行い、最後に全体のま とめをする。 Ⅱ 調査・考察 1.名詞から機能語への変化についての先行研究 1.1 「『はずだ』の成立」 山口(2002):  山口は、推定の助動詞に相当する現代語の「はずだ」の「はず」の出自を、弦をかける弓 の部位の名称とした。そして、「はず」が、約束の意義から、物事の筋道・道理などの意義 を派生させたのは、連体修飾語との相関で、その連体修飾語のほうが事柄の具体的な側面 の表示を引き受けたので、「はず」はその意義をより抽象化することができたとしている。 1.2 「名詞の機能語化─形式名詞を中心に─」 青木(2010):  青木は、歴史的変化によって述部と接続部で名詞が機能語化し、これらの機能語化する 名詞は、その多くが形式名詞を出自とするとしている。そして、「形式名詞が機能語化し、 助動詞や接続助詞へ変化するということは、同時に形式名詞を修飾する連体節の性格が変 化しているということでもある。」(p.41)と述べている。  先行研究を見る限り、述部と接続部において、歴史的変化による名詞の機能語化が起こ る。また、連体修飾語の変化により、被修飾名詞も変化することがわかった。 2.「結果」の接続助詞的用法についての先行研究 1) 対象雑誌 :『太陽』(博文館刊)の、1895(明治28)年、1901(明治34)年、1909(明治42)年、1917(大正 6)年、1925(大正14)年の、通常号の全文。 2) 福沢諭吉、中江兆民、坪内逍遥、二葉亭四迷、尾崎紅葉、山田美妙、幸田露伴、森鴎外、北村透谷、樋 口一葉、泉鏡花、国木田独歩、徳富蘆花、島崎藤村、田山花袋、徳田秋声、夏目漱石の1872年から1925 年に初版が出された全697作品。今回取り上げた『青空文庫』からの作品と、『明治の文豪』に納められ ている作品は重なっているものが多かったので『青空文庫・明治の文豪』という名称を使用した。 3) 資料、及び調査の手法は、新屋(2008)を参考にした。

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2.1 高橋(1979):  高橋は、「動詞句をうける名詞は、その通達的な内容のおおくを動詞句のほうにうばわ れると、形式化して、形式名詞になる。(中略)形式名詞への移行のみちすじには、ア. カテゴリゼーション、イ. むすびつけ、ウ. たいどづけ、エ. その他、がある。」(p.401)と 述べている。「結果」は上記4分類の中の、むすびつけに分類されるとしている。そのむ すびつけに関して、「むすびつけというのは、名詞に実質性があれば、その名詞のしめす ものが動詞句に対してどんな関係をもつかがしめされるのであるが、名詞が実質性をうし なうことによって、そのあとにつづく単語や節が、動詞句に対してどんな関係があるかを しめすはたらきに移行する。」(p.402)と述べている。つまり、動詞句がより多くの伝達内 容を引き受けると、被修飾名詞である「結果」は形式名詞化する。そして、動詞句と、「結 果」の後に続く単語や節をむすびつけるはたらきをするようになるということである。   2.2 池上(2010):  池上は、「結果」が前件と後件を接続助詞的につなぐ用法は、必然的な因果関係と契機 的な因果関係4)の両方を表しうるとしている。ただし、池上によると、「結果」は既に発生 した事象に用いられるのが基本であるとしているが、この点は、後に述べる未実現(「〜す る結果」)も現れるとする管見と意見が分かれるところである。 3.「結果」の辞典・辞書類への出現時期  『学研国語大辞典第二版』(1988)、『角川国語大辞典』(1983)、『日本国語大辞典』(2000)、 『日本語大辞典』(1989)、『日本大辞典』(1989新装版〔1929初版〕)、『日本大辞書』(1979復刻 版〔1893初版〕)で、「結果」について調べたところ、刊行年が一番古い『日本大辞書』(1893) に、「けつ・くわ 名詞 (結果) 漢語 事ノ出来バヘ。─成リ上ッタ終リノ様子。= ナレ ノハテ。─ 「其けつくわ如何?」」と記されていた。一方、上代から近世末期までの語が収 められている古語辞典類には、「結果」は見受けられなかった。つまり、筆者が目にした 一番古い記述は上記のものであった。 4.「結果」を主題とする用法、及び接続助詞的用法に関する通時的調査 4.1. 上代から近世(江戸時代)後期:  国文学研究資料館のデータベースを利用し、岩波書店刊行の旧版『日本古典文学大系』 と東京堂出版刊行の『噺本大系』における、「結果」の出現を調べたところ、「結果」という 4) 池上(2010)は、「必然的な因果関係とは、「PならばQ」という前提が話し手にあり、現実にP(または PとQ)が成立した時、その前提に基づいて考えればQという事態が結果として生じる(または生じた) のは自然なことだという意識の下に使われる。その意味で原因・理由と結果の結びつきには必然性があ る。契機的な因果関係とは、前件と後件の関係は偶発的なものであって、話し手が論理的に条件付けら れる関係でない。前件は、後件の出来事発生の、いわば「契機」、「きっかけ」、「引き金」とでも言うべ きものである。「PならばQ」という前提が考えにくく、原因・理由と結果との結びつきに必然性が薄い。 (p.112)」と述べている。

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漢字は同じで、異音異義語である「かくなわ」5)、下記(2)の一例だけが見られた。つまり、 江戸後期まで本稿の調査対象である「結果」は広まっていなかったということになる。   (2) 家司壺なる結果をとらむとする事(しみのすみか物語)   4.2 1800年代末期〜1900年代初期と、1900年代末期〜2000年代初期との調査・比較:  本稿に関係する「結果」の用法として、接続助詞的用法の他に、主題としての用法が挙 げられる。コトノハをデータとした「結果は」の出現数は 707 例であるが、 (3)のように 「結果は」が述部の枠組みを表すものが見られる6)。また、「結果」が連体動詞句に後接す る(4)a のような文においても、「結果は」は述部の枠組みを表しており、さらにこの用法 は(4)bのように、接続助詞的用法に書き換えても不自然ではない。これは、述部の枠組み を表す「結果は」が接続助詞的用法に繋がっていくことを表しているのではないかと思わ れる。   (3)  運動療法は前述の計算式にのっとって最適心拍数をはじき出し、徹底してそれに 従うように指示しました。結果は約二カ月で二〇・四キロの減量に成功しました。 (脳内革命)   (4)a 会社は少なくとも保険会社ですから、何かあったときに保険が出てくる、そのた めに契約者はずっと保険を掛けていくわけでありますが、調べた結果は、事故がた とえあったとしても保険金を支払っていない。(国会会議録)   (4)b 会社は少なくとも保険会社ですから、何かあったときに保険が出てくる、そのた めに契約者はずっと保険を掛けていくわけでありますが、調べた結果、事故がたと えあったとしても保険金を支払っていない。  そこで、コトノハと、『太陽』、『青空文庫・明治の文豪』を用い、以下三つの用法の用例 を収集した。例文(5)(6)(7)は、連体動詞句に後接する「結果は」が命題の一部となって いるもので、「結果は」が格成分の主題化を表す(格成分の主題化)用法とする。例文(8)(9) (10)は、連体動詞句に後接する「結果は」が命題外のもの、つまり、「結果は」の後に続 く部分が命題として独立できるもので、「結果は」が述部の枠組みを表す(枠組み的)用法 とする。例文(11)(12)(13)は、連体動詞句に後接する「結果」で終わる部分が従属節に なっているもので、接続助詞的用法とする。以下、文末の( )は出典を表し、断りがない 限り下線は引用者による。『青空文庫』を『青空』、『明治の文豪』を『明治』、『青空文庫』 と『明治の文豪』に共通のものを『青空・明治』、『太陽コーパス』を『太陽』、コトノハ を『現代』と略し、その後に書名を記すこととする。結果は以下【表1】【図1】の通りであ る。表の( )内の%の数字は各出典の「結果」の全出現数7)に対する割合である。図はそ 5) かくなわ「結果」:〔「かくのあわ(香菓の泡)」の転〕小麦粉を練って緒(お)を結んだ形にし、油で揚 げた菓子。かくなわ。〔和名抄〕 6) 「結果」が形式的なくくりを表し、述部全体が「結果」の現実反映的な内容を表す用法を示す。「わく ぐみ的」は高橋(1979)の「内容づけのかかわり」で被修飾名詞を「わくぐみ的な名詞」としたのに 依る。 7) 『青空文庫・明治の文豪』836 例、『太陽』3783 例、コトノハ 10720 例

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の%の数字をグラフ化したものである。  格成分の主題化用法   (5)  相手が山賊をもって自らおらん以上は予期する結果は出て来ないに極っている。 (『青空・明治』吾輩は猫である)   (6) 私の學友も隨分あつたなれど成功した人は誠に少ない、加之、辛苦艱難した結果 は何かと云へば、 不完全な學問で、今日の樣な立派なもので無い。(『太陽』維新前 後の教育概況)   (7) 三回の調査によって得られた結果は、いずれも仮説を支持するものであった。 (『現代』「心の貧しさ」 を考える)  枠組み的用法   (8) 歯に物の挟まった物の云い方を仕合った結果は、書物の古話になってしまった。 (『青空』連環記)   (9) 彼等は知識に於て中學生と匹敵し得ず、 營内に長く生活した結果は社會に於て自 由な業務に當るの材幹に乏しく、 學校に入つてたゞそこに噛り附く外には生活の 道はない。(『太陽』兵式体操と一年志願兵制度の整理)  (10) 獨り我が国はポツダム宣言受諾に伴い、一切の軍備を撤廃し、戦争遂行能力は完 全に破砕せらるることとなった結果は、侵略的の戦争のみならず、防禦的な戦争す らも事実上不可能となり、茲に嘗かつて他国に類のない絶対的の戦争抛棄を宣言するこ ととなった(『現代』「平和国家」 日本の再検討)  接続助詞的用法  (11) その頃種々な人に接触した結果、無政府主義になったのだそうだ。(『青空・明治』 食堂)  (12) 南洲の心事 西郷が征韓論で意見を異にした結果、 暫く引籠つて閑居して居つた、 或日故大久保一翁が、 向島の寓居を訪ね、 會談數刻に渉つた、(『太陽』老西郷談)  (13) すると、私のおぼろげな長期記憶から、「五月は春だ」 「楓の葉は、春と夏には緑色、 秋には赤色である」という、幼少年期にたたきこまれた〈知識〉が浮かびあがる。 そして、これらを組み合わせた結果、「今は、楓の葉は緑色である」 という〈合成知 識〉が短期記憶上に出現する。(『現代』太古と未来をつなぐ知)1はその調査結果 である。「他動詞使役形」 「他動詞受身形」というのは品詞名ではないが、別立てと した10)。図1では、用例数の少ない「主語相当句内在文」、「他動詞使役形」、「意 志自動詞」、「その他」は除かれている。 表1 「結果」の主題化と接続助詞的用法の出現数 主題(格成分) 主題(枠組み) 接続助詞的 『青空・明治』 15 (1.79%) 11 (0.95%) 73 (8.73%) 『太陽』    35 (0.93%) 36 (0.95%) 345 (9.12%) 『現代日本語』 60 (0.56%) 10 (0.09%) 1281(11.95%)

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図1 「結果」の主題化と接続助詞的用法の出現数  『太陽』と『青空文庫・明治の文豪』の傾向は似た結果になった。つまり『太陽』と『青 空文庫・明治の文豪』は、コトノハ(『現代日本語』)と比較して、接続助詞的用法が少なく、 格成分の主題化と主題の枠組み的用法が多い。一方、コトノハには、相対的に接続助詞的 用法が多く、格成分の主題化と枠組み的用法が少ない。 4.3 連体動詞句の分類  先行研究から、動詞句がより多くの伝達内容を引き受けると、被修飾名詞が形式名詞化 し、機能語化へのみちすじをたどるようになることがわかった。そこで、この節では「結 果」に前接する連体動詞句に焦点をあて、調査したところ、枠組み的用法と接続助詞的用 法において、「結果」とその連体動詞句はほとんど相対関係8)であった。また、下記の例文 (14)(15)のように「〜する結果」(未実現)9)と、上記の例文(6)〜(13)のように「〜した 結果」(既実現)の両方が現れていることがわかった。未実現は、仮定的、超時的な事柄、 或いは未来の事柄を表している。(14)の用例は、「家庭外で働く」という超時的な概念、或 いは、仮定を表している。一方、既実現は、既に起こった事柄を表している。以下の【表2】 【図2】と【表3】【図3】は未実現と既実現の出現数をまとめたものである。表の( )内の %の数字はここで取り挙げた三つの用法の各出現数の合計に対する割合である。したがっ て、「結果」の出現数に対する割合を使用している【表1】【図1】とは数字が異なっている。 図はその%の数字をグラフ化したものである。  接続助詞的用法  (14) 家庭外で働く結果、家事に割く時間とエネルギーが不足する、あるいは働いて得 た賃金が既製の衣服や食品の購入を可能にする。(『現代』日本の住まい変わる家族)  枠組み的用法  (15) 路頭に迷う結果はのたれ死にをしなければならない。(『青空・明治』吾輩は猫 である) 8) 寺村(1993)の外の関係の内容補充的修飾節における相対的補充に当たるものとする。 9) 「〜するの結果」のように「の」が入っているものも含む。 例文:・其処で自分は考えた、翻訳はこう せねば成功せまい、自分のやり方では、形に拘泥するの結果、筆力が形に縛られるから、読みづらく窮 屈になる。(『青空・明治』余が翻訳の標準) 接続助詞的 主題(枠組み) 主題(格成分) ■現代日本語 ■太陽 ■青空・明治 0.00% 2.00% 4.00% 6.00% 8.00% 10.00% 12.00% 14.00%

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表2 「結果」の主題化と接続助詞的用法の出現数 主題(格成分) 主題(枠組み) 接続助詞的 『青空・明治』 2 (2.02%) 3 (3.03%) 17 (17.17%) 『太陽』    12 (2.88%) 16 (3.85%) 101 (24.28%) 『現代日本語』 10 (0.74%) 0 (0%) 62 (4.59%) 図2 「〜する結果」(未実現)の出現数 表3 「〜した結果」(既実現)の出現数 主題(格成分) 主題(枠組み) 接続助詞的 『青空・明治』 13(13.13%) 8 (8.08%) 56 (56.57%) 『太陽』    23 (5.53%) 20 (4.81%) 244 (58.65%) 『現代日本語』 50 (3.70%) 10 (0.74%) 1219 (90.23%) 図3 「〜した結果」(既実現)の出現数  【表2】【図2】より、未実現は、接続助詞的用法で『太陽』に目立って多く出現している。 『青空文庫・明治の文豪』にもかなり多く出現しているが、コトノハ(『現代日本語』)では 多くない。そして、主題の両用法で『太陽』と『青空文庫・明治の文豪』に一定程度出現 している。一方、主題(枠組み)ではコトノハに未実現の用例は見られない。  【表3】【図3】より、既実現は、接続助詞的用法でコトノハに多く出現している。反対に、 主題(格成分)と主題(枠組み)での出現率は、『太陽』と『青空文庫・明治の文豪』での割 合が多い。すなわち、コトノハが相対的に多いのは、接続助詞的用法の既実現のみである。 接続助詞的 主題(枠組み) 主題(格成分) ■現代日本語 ■太陽 ■青空・明治 0.00% 5.00% 10.00% 15.00% 20.00% 25.00% 30.00% 接続助詞的 主題(枠組み) 主題(格成分) ■現代日本語 ■太陽 ■青空・明治 0.00% 20.00% 40.00% 60.00% 80.00% 100.00%

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5.まとめ  4.2 の調査より、『太陽』と『青空文庫・明治の文豪』は、コトノハと比較して、枠組み 的用法が相対的に多く、接続助詞的用法が少ない。一方、コトノハは、接続助詞的用法が 相対的に多い。これは、「結果は」の「ハ」が脱落し、接続助詞的用法に変化した可能性 を示しているのではないかと思われる。また、「結果」に前接する動詞句に関して、4.3の 調査より、『太陽』と『青空文庫・明治の文豪』は、コトノハと比較して、全ての用法で 未実現が多い。また、既実現は、主題(格成分)と主題(枠組み)で『太陽』と『青空文庫・ 明治の文豪』が多く、接続助詞的用法でのみコトノハが多い。この結果から、接続助詞的 用法の広まりと、連体動詞句が未実現の事態から既実現の事態へ変化したことに相関関係 があると思われる。「〜する結果」から「〜した結果」へ、すなわち過去というテンス性 をおびることにより、動詞句が独立した文に近くなる。そして、「結果」は実質的な意味 を残しつつ、高橋(1979)が述べているように、むすびつけの働きをする機能語へと変化 する。このことは、「結果」の文法化への筋道の一つと考えられるが、今度、より緻密に 後づけをする必要があると思われる。 Ⅲ おわりに  先行研究から調査の視点・方法を学び、「結果」の文法化に関して、接続助詞的用法を 中心に見てきたが、「結果」の文法化は接続助詞的用法への変化だけではない。以下に「結 果」の文法化への全体的な変化の予測を示した。       A    B      C           C      E       文法化       D      E    A:「(動詞句)結果は」(格成分)、  B:「(動詞句)結果は」(枠組み)、    C:「(動詞句)結果、」(接続助詞)、 D:「その結果、」、  E:「結果、」(接続詞) 図4 「結果」の文法化予測  この中で、本稿では触れなかったが、E:接続詞的用法10)に関して機能語化への筋道を 今後明らかにしていきたいと考えている。また、江戸時代以前の「結果」の出現に関して は、推測のみに留めた。中国語にも「結果」があるので、中国語から入って来た時期の調 査も含めて今後の課題としたい。 10) 例文:・この街では昼間から酒を飲もうが、何をしようが他人のことを気にする人間はだれもいない。 結果、この街の三畳一間のドヤで暮らしていくしか方法はないのである。(『現代』ちかい家族とおい 家族)

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参考文献 青木博史(2010) 「名詞の機能語化 ─形式名詞を中心に─」 『日本語学』29-11 池上素子(2010) 「因果関係を表す「結果」の用法」 『日本語教育』144 日本語教育学会 新屋映子(2008) 「総合雑誌に見る名詞「状態」の用法 ─約100年を隔てた2誌を比較して─」 『日本語科学』24、55-76 高橋太郎(1979)「連体動詞句と名詞とのかかわりあいについての序説」『言語の研究』75-172むぎ書房 寺村秀夫(1993) 「連体修飾のシンタクスと意味 」『寺村秀夫論文集Ⅰ ─日本文法編─』く ろしお出版 野田尚史(1998) 「真性モダリティをもたない文」 『日本語のモダリティ』くろしお出版 山口堯二(2002) 「「はずだ」の成立」 『國語と國文学』947、東京大学国語国文学会 参考資料 『学研国語大辞典 第二版』 金田一春彦、池田弥三郎、学習研究社、1988年4月10日 『角川国語大辞典』 時枝誠記、吉田精一(編者)(所蔵版)角川書店、1983年1月25日 『言泉 日本大辞典』 落合直文(全 6 巻)、日本図書センター、1981 年 5 月 25 日(落合直文 『言泉日本大辞典』大倉書店、1929年復刻版) 『日本国語大辞典』 小学館国語辞典編集部編、小学館、2000年12月 『日本語大辞典』 梅棹忠夫、金田一春彦、阪倉篤義、日野原重明、講談社、1989年11月6日 『日本大辞書』 山田美妙、名著普及会、1979年3月10日(山田武太郎『日本大辞書』日本 大辞書発行所、1893年10月15日の復刻版) 用例出典 『青空文庫』 http://www.aozora.gr.jp/ (2013年4月24日〜6月24日に検索) 『現代日本語書き言葉均衡コーパス』 国立国語研究所(2009) 『新潮文庫 明治の文豪』 新上代から近世後期までの329作品潮社CD-ROM版 『太陽コーパス』(1895年、1901年、1909年、1917年、1925年発行分)国立国語研究所作成 CD-ROM 『日本古典文学大系』 旧版 岩波書店刊行(国文学研究資料館のデータベース 上代から近世 後期までの556作品)  『噺本大系』東京堂出版刊行(国文学研究資料館のデータベース 上代から近世後期までの 329作品)

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