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<論説>地方公共団体における情報公開二十年の歩み

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Academic year: 2021

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(1)地方公共団体における情報公開二十年 の歩み. 石. 地 方 公 共 団 体 にお け る情 報 公 開 二十 年 の歩 み. はじ め に. 三. 二. 情 報 公 開 法 と 条 例 と の整 合 性 に伴 う若 干 の問 題 点. 市 区 町 村 の状 況 と 問 題 点. 都 道 府 県 の状 況 と 問 題 点. 一 情 報 公 開 へ向 け た自 治 体 の これ ま で の動 き (﹁金 山 町 公 文 書 公 開 条 例 ﹂ 以 来 二 十 年 の歩 み ). 四 お わり に. は じ め に. 田. 榮 仁 郎. ﹁情 報 公 開 ﹂ と い う 言 葉 が わ が 国 の マ ス コミ 等 に頻 繁 に登 場 し 、 各 界 で そ の論 議 が 盛 ん に行 わ れ る よ う にな った の. は 、 一九 七 〇 年 代 に 入 ってか ら であ る と 思 わ れ る 。 と く に 、 そ の 口火 を 切 った の が 一九 七 二 ( 昭 和 四十 七 ) 年 の外 務. 省機 密 文書 ( 沖 縄 密 約 ) 漏 洩 事 件 であ る。 そ の後 七 六 ( 昭 和 五 十 一) 年 の ロ ッキ ー ド事 件 に続 き 七 九 ( 昭 和五 十 四). 年 の ダ グ ラ ス ・グ ラ マ ン事 件 と 一連 の航 空 機 疑 惑 事 件 が 起 こ る に い た り 、 情 報 公 開 が 政 治 や 行 政 の密 室 性 の打 破 、 い.

(2) わ ゆ る 開 か れ た 政 治 ・行 政 の実 現 のた め 、 ま た 政 治 腐 敗 の防 止 策 と し て、 いわ ば 民 主 主 義 の キ ー ワ ー ド と し て各 界 で. 本 格 的 な 議 論 の対 象 と な った 。 情 報 公 開 は 七 〇 年 代 総 選 挙 に お け る各 党 の重 要 な 政 策 課 題 の 一つと し て掲 げ ら れ、 ま. た 政 府 部 内 でも 各 省 庁 の文 書 課 長 か ら な る ﹁情 報 公 開 問 題 に 関 す る 連 絡 会 議 ﹂ を 設 置 し て、 情 報 公 開 の検 討 を 開 始 し た。.  九 八 〇 ( 昭 和 五 十 五 ) 年 一月 の内 閣 総 理 大 臣 の施 政 方 針 演 説 で、 当 時 の大 平 首 相 が 情 報 公 開 の必 要 性 を 認 め 、 所. 要 の改 善 措 置 を 講 ず る こと を 表 明 し た に も か か わ ら ず 、 大 平 首 相 の急 逝 も あ っ てか 、 政 府 部 内 の動 き は 、 そ の後 暫 く. 少 な く と も 八 〇 年 代 は緩 や か 且 つ慎 重 と な って い た 。 八 〇 年 代 の動 き と し て は 、 各 党 ( 野 党 ) が情 報 公 開 ( 公 文書 公. 最 終答 申 1. の中 で、 情報 公 開 の充 実 の必 要性 を 訴 え た のを受 け、 翌年 の八 四 ( 昭和 五十 九) 年 に総務 庁. 開 ) に関 す る 法 案 を 国 会 に提 出 し た ほ か 、 臨 時 行 政 調 査 会 が 一九 八 三 ( 昭 和 五 十 八 ) 年 三月 行 政 改 革 に関 す る 第 五 次. 答申 i. に ﹁情 報 公 開 問 題 研 究 会 ﹂ が 設 置 さ れ た く ら い で、 こ れ と い った大 き な 動 き は み ら れ な か った。. 一九 八 〇 年 代 初 頭 、 情 報 公 開 を め ぐ り 政 府 レ ベ ル で は 慎 重 論 や 時 期 尚 早 論 が 台 頭 し つ つあ った の に対 し 、 地 方 レベ. カネヤ マ. ル で は、 情 報 公 開 を 検 討 す る 自 治 体 が 増 加 し は じ め た 。 一九 八 二 (昭 和 五 十 七 ) 年 三 月 に、 全 国 の自 治 体 の ト ップ を モ ガ ミ. き っ て、 山 形 県 最 上 郡 金 山 町 が ﹁金 山 町 公 文 書 公 開 条 例 ﹂ を 町 議 会 で成 立 さ せ 、 ﹁小 さ な 町 の大 き な 実 験 ﹂ と し て全. ハラ. カンバ ラ. 国 を 驚 か せ た こ と は 記 憶 に新 し い。 さ ら に、 同 年 中 に、 都 道 府 県 レベ ル では 、 神 奈 川 県 と 埼 玉 県 が 、 ま た市 町 村 レ ベ イ. ル で も 、 静 岡 県 庵 原 郡 蒲 原 町 と 大 分 県 大 野 郡 緒 方 町 が そ れ ぞ れ情 報 公 開 の制 度 化 に踏 み 切 った 。 こ の傾 向 は 一九 八 〇. 年 代 を 通 じ て拡 大 し 、 八 〇 年 代 前 半 に は 東 京 都 や 大 阪 府 と い った 大 都 府 県 を は じ め 、 情 報 公 開 の制 度 化 を 行 う 自 治 体 が ど ん ど ん 増 え てき た 。. 一2一. 第50巻 第2・3号 近 畿大 学法 学.

(3) 地方公共団体における情報公開二十年 の歩み. こ のよ う に、 わ が 国 に お い て は、 情 報 公 開 は 主 と し て地 方 自 治 体 レ ベ ル か ら 実 際 の動 き が な さ れ た ( す な わち、 情. 報 公 開 は ﹁地 方 発 進 ﹂ で あ った) わ け であ る。 な ぜ な ら 、 国 に比 べ て情 報 量 も そ れ ほ ど 多 く な く、 し か も 秘 匿 す べき. 情 報 に い た って は格 段 少 な い こ と な ど か ら し て、 情 報 公 開 が 地 方 か ら 発 進 し やす か った の で はな いか と 思 わ れ る。. ま た 、 こ の よ う な 当 時 の地 方 自 治 体 の情 報 公 開 の制 度 化 の状 況 を み て み る と 、 大 き く 二 つの特 徴 が み ら れ た ( な お、. これ は 、 二 一世 紀 に入 った 二 〇 〇 二年 現 在 の今 日 で も 共 通 し た特 徴 と も な って い る と 思 わ れ る )。. 第 一の特 徴 は 、 す で に み た よ う に、 都 道 府 県 先 行 型 (山 形 県 金 山 町 な ど ご く 一部 の例 外 を 除 き 、 市 町 村 後 発 型 、 追. い か け 型 ) と いう こと で あ った 。 (一九 八 二 年 一月 現 在 で、 都 道 府 県 は 一〇 〇 % 情 報 公 開 の検 討 に着 手 し て い た の に. ②. 対 し 、 市 レ ベ ル で は 、 政 令 市 を 除 く 全 国 六 五 〇 市 の う ち 検 討 団 体 は 九 〇 市 の 一四 % に す ぎ な か った と いう 。) 特 徴 の. 第 二 は 、 自 治 体 に お け る 情 報 公 開 の制 度 化 が ほ と ん ど 首 長 主 導 型 で行 わ れ て い た こと であ る 。 日本 国 憲 法 第 八 章 の条. 文 を 引 用 す る ま でも な く 、 首 長 制 を と る地 方 公 共 団 体 では 、 住 民 か ら 直 接 選 挙 で選 ば れ た 首 長 は自 ら の意 思 に よ って. 大 胆 な 政 策 を 行 う こと が か な り 許 さ れ 、 住 民 と の距 離 も 近 い こと な ど か ら 、 リ ー ダ ー シ ップ を 発 揮 し や す い環 境 に あ. る こ と は言 う ま でも な い。 も し そ の自 治 体 の首 長 が 行 政 の透 明 性 、 開 か れ た 行 政 の実 現 を 前 面 に打 ち 出 し 、 情 報 公 開. の制 度 化 を 公 約 に掲 げ た 場 合 は も ち ろ ん の こと 、 任 期 中 の政 策 課 題 と し て提 示 し た 場 合 に は 、 議 会 も 事 務 当 局 も こ れ. に敢 え て抵 抗 す る こと は 余 程 の こと が な い な い 限 り 不 可 能 に近 い状 況 にあ った と 思 わ れ る 。. そ こ で本 稿 で は 、 情 報 公 開 へ向 け て の こ れ ま で の自 治 体 の動 き 、 す な わ ち ﹁金 山 町 公 文 書 公 開 条 例 ﹂ 制 定 以 来 二 十. 年 の歩 み を ま ず な が め た 上 で、 次 に、 都 道 府 県 お よ び 市 区 町 村 の状 況 と 問 題 点 を な が め 、 最 後 に、 国 の情 報 公 開 法 と. 自 治 体 の条 例 と の整 合 性 に 伴 う 若 干 の問 題 点 を 、 す な わ ち 地 方 自 治 体 に対 し て直 接 適 用 す る こと は し な いと し た 情 報. 一3一.

(4) 公 開 法 が 自 治 体 に ど のよ う な 影 響 を 及 ぼ し た か 、 あ る い は自 治 体 が 法 の 趣 旨 に 沿 ってど れ く ら い第 四 一条 に いう 努 力. を し てき た か の最 近 の動 き に つい て考 察 す る こと と す る 。 な お 、 本 稿 では 、 条 例 の正 式 名 称 と し て引 用 す る場 合 を 除 き 、 ﹁公 文 書 公 開 ﹂ ﹁公 文 書 開 示 ﹂ 等 は す べ て ﹁情 報 公 開 ﹂ に統 一し た 。. 情 報 公 開 へ向 け た 自 治 体 の こ れ ま で の動 き ( ﹁金 山 町 公 文 書 公 開 条 例 ﹂ 以 来 二十 年 の歩 み ). 山 形 県 金 山 町 の ﹁金 山 町 公 文 書 公 開 条 例 ﹂ が 制 定 さ れ てか ら 今 年 で丁 度 二 十 年 が 経 過 し た 。 後 に示 す ご と く 、 二〇. ( 要 綱 等 ) を 制 定 し て お り 、 こ の 二 十 年 の う ち に、 条 例. ( 及. ( 要綱. 〇二 ( 平 成 十 四 ) 年 四 月 一日現 在 で、 都 道 府 県 と 市 区 町 村 を 合 わ せ た 地 方 公 共 団 体 全 体 ( 三、 二八八団 体 ) のうち、 実 に 二、 六 六 九 団 体 が 情 報 公 開 (公 文 書 公 開 ) 条 例. 等 ) の制 定 率 は 、 な ん と 八 一 ・二 % に及 ん で い る ( 詳 細 に つい て は後 述 )。 以 下 に、 都 道 府 県 と 市 区 町 村 の条 例. び 要 綱 ) の制 定 状 況 に つき 、 行 政 改 革 委 員 会 を 総 理 府 に 設 置 し 、 国 が 本 格 的 に動 き 出 し た 一九 九 四 (平 成 六 ) 年 か ら. 十 年 近 い動 き を 詳 細 に追 って み る。 な お 、 資 料 は す べ て自 治 省 (二 〇 〇 一年 か ら は総 務 省 ) 行 政 局 行 政 課 の 調査 結 果. ( 毎 年 六 月 か 七 月 に発 表 さ れ る 各 年 の 四月 一日 現 在 ) に基 づ く 。 ( な お 、 都 道 府 県 、 市 区 町 村 の 二 十 年 の個 別 的 歩 み に つい て は、 第 二 章 お よ び 第 三 章 参 照 の こと 。). 一九 九 四 (平 成 六 ) 年 現 在 で は 、 条 例 二 三 一団 体 、 要 綱 一五 団 体 で合 計 二 四六 団 体 、 一九 九 五 ( 平 成 七 ) 年 では 、. 条 例 二 六 五 団 体 、 要 綱 一九 団 体 で合 計 二 八 四団 体 に す ぎ ず 、 条 例 ( 要 綱 含 む) 制 定 団 体 は 一年 間 に わ ず か 三 八 団 体 し. 一4一. 第50巻 第2・3号 近 畿大 学法 学.

(5) 地方公共団体における情報公開二十年 の歩 み. か 増 え て いな か った の が 、 一九 九 六 ( 平 成 八 ) 年 に な る と 、 条 例 三 一五 団 体 、 要 綱 二 一団 体 で合 計 三 三 六 団 体 と な り 、. ( 条 例 四 四 、 要 綱 三 、 但 し 、 平 成 十 一年 四 月 一日 現 在 です べ て条 例 と な. 情 報 公 開 へ向 け て の国 の動 き が 本 格 化 し た た あ であ ろ う か 、 一年 間 に五 二 団 体 も 増 え た 。 都 道 府 県 ・市 区 町 村 別 の普 及率 を な があ てみ ると、 都道 府 県 四七団 体. る) で普 及 率 一〇 〇 % 、 市 区 町 村 二 八 九 団 体 。 内 訳 は 市 二 〇 四団 体 で同 三 〇 ・六 % 、 特 別 区 ( 以 下 ・区 と し て言 及 ) 二一 二団 体 で同 一〇 〇 % 、 町 五 九 団 体 で同 三 ・○ % 、 村 三 で同 ○ ・五 % と な って い た 。. 一九 九 七 ( 平 成九 ) 年 には、条 例 ( 要 綱 含 む ) 制 定 団 体 は 更 に五 九 団 体 増 え 三 九 五 団 体 ( 条 例 三 七 二、 要 綱 二 三 ). とな り、 市 が 二一 二七 団 体 ( 条 例 二 二 五 、 要 綱 }二 ) で三 三 団 体 増 え 、 ま た 町 村 も 八 八 団 体 ( 条 例 八〇 、要 綱八 ) と 二. 六 団 体 増 え た (町 条 例 六 九 、 要 綱 七 、 計 七 六 、 村 条 例 一 一、 要 綱 一、 計 一二)。 な お 、 政 令 指 定 都 市 は 一二団 体 す べ. て条 例 制 定 が な さ れ 、 中 核 市 は 一七 団 体 の う ち 一四 団 体 が 条 例 制 定 を 行 い、 秋 田 と 熊 本 と 大 分 の 三 市 が 未 制 定 と な っ て い た。. 一九 八 八 ( 平 成 十 ) 年 で は、 条 例 ( 要 綱 含 む ) 制 定 団 体 は ↓八 五 団 体 も 急 激 に増 加 し 五 八 〇 団 体 ( 条 例 五 六 一、 要. 綱 一九 ) と な り 、 地 方 公 共 団 体 全 体 で は、 一七 ・六 % の制 定 率 と な った 。 国 の行 政 改 革 委 員 会 行 政 情 報 部 会 が 要 綱 案 ( 中間 報 告) を 発表 し た ことな ど が大 き く影 響 し たと 考 えら れ る。. 都 道 府 県 .市 区 町 村 別 に な が め て み る と 、 都 道 府 県 四 七 団 体 ( 条 例 四 六 、 要 綱 一) で制 定 率 一〇 〇 % 、 市 区 町 村 五. 三一 二団 体 ( 条 例 五 一五 、 要 綱 一八 ) で制 定 率 一六 ・四 % 、 そ の内 訳 は、 市 が 三 二 一団 体 ( 条 例 三 一二 、 要 綱 九 ) で八. 四 団 体 増 え 制 定 率 四 七 .九 % 、 区 が 二 三 団 体 ( 条 例 二 三 、 要 綱 ○ ) で制 定 率 一〇 〇 % 、 町 村 は 一八 九 団 体 ( 条 例 一八. 〇 、 要 綱 九 ) で 一〇 一団 体 も 増 え 、 町 が 一六 一団 体 ( 条 例 一五 四 、 要 綱 七 ) 制 定 率 八 ・ 一% 、 村 が 二 八 団 体 ( 条例 二. 一5一.

(6) 六 、 要 綱 二 ) で制 定 率 四 ・九 % であ った 。 な お 、 山 形 と 山 口 の両 県 で要 綱 を 廃 止 し 、 新 た な 条 例 に よ り 制 度 化 が な さ. れ た た め 、 情 報 公 開 が 要 綱 に よ り 行 わ れ て い る の は愛 媛 県 ( 平 成 十 年 六 月 条 例 制 定 、 十 一年 一月 施 行 ) だ け と な った 。. 一九 九 九 ( 平 成 十 }) 年 に な る と 、 条 例 ( 要 綱 含 む ) 制 定 団 体 は 更 に 三 二 八 団 体 も 増 え、 一挙 に九 〇 八 団 体 ( 条例. 八 九 四 、 要 綱 一四) と な り 、 前 年 に 比 べ、 約 五 七 % の大 幅 な 増 加 と な った ( な お 、 要 綱 によ る制 度 化 は マイ ナ ス五 団. 体 で あ る 。)。 地 方 公 共 団 体 全 体 の制 定 率 は 、 二 七 ・五 % と 三 〇 % 近 く にま で達 し た 。 平 成 十 年 四 月 第 一四 二 ( 通常 ). 国 会 に ﹁行 政 機 関 の保 有 す る 情 報 の公 開 に関 す る法 律 案 ﹂ ( 閣 法 第 一〇 二 号 ) を 政 府 案 と し て提 出 し た こ と が な ど が 各 自 治 体 に 大 き な 刺 激 と な った と 考 え ら れ る 。. これ を 都 道 府 県 ・市 区 町 村 別 に な が め て み る と 、 都 道 府 県 では 、 上 述 し た よ う に、 要 綱 制 定 団 体 であ った 愛 媛 県 が. 平 成 十 年 六 月 に条 例 を 制 定 し た た め 、 これ で 四 七 都 道 府 県 す べ て が 条 例 を 有 す る こ と と な った 。. 市 区 町 村 で は、 八 六 一団 体 が 条 例 ま た は 要 綱 等 制 定 済 み ( 条 例 八 四 七 、 要 綱 一四) と な って お り 、 前 年 に比 べ三 二. 八 団 体 、 約 六 二 % の大 幅 な 増 加 と な った 。 市 区 町 村 別 の制 定 率 は、 市 ( 条 例 四 五 一団 体 六 七 ・二 % 、 要 綱 六 団 体 ○ ・. 九 % ) 六 八 ・ 一% 、 区 ( 条 例 二 三 団 体 一〇 〇 % ) }○ ○ % 、 町 ( 条 例 三 〇 〇 団 体 一五 ・ 一% 、 要 綱 六 団 体 ○ ・三 % ). 一五 ・四 % 、 村 ( 条 例 二団 体 一二 ・九 、 要 綱 二団 体 ○ ・四 % ) 一三 ・二 % で、 市 区 町 村 全 体 で は 二 六 ・五 % ( 条例 二. 六 ・○ % 要 綱 ○ ・四 % ) で あ る。 政 令 指 定 都 市 は 一二団 体 す べ て条 例 制 定 が な さ れ て いる こ と に つい て は、 一九 九 七. ( 平 成 九 ) 年 現 在 です で に指 摘 し た と お り であ る が 、 未 制 定 の中 核 市 に つい ても 、 全 て の団 体 で条 例 制 定 済 み と な っ た。. な お 、 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 ( 従 って平 成 十 年 度 調 査 ) か ら は 、 議 会 を 対 象 と し た 条 例 ( 要 綱 含 む ) の状 況 も 調. 一6一. 第50巻 第2・3号 近 畿大 学法学.

(7) 地方公共団体 における情報公開二十年の歩 み. 査 項 目 に加 え ら れ 、 議 会 を 対 象 と し た 条 例 ( 要 綱 含 む ) に つい て は 、 七 七 三 団 体 ( 都 道 府 県 一五 団 体 、 市 区 町 村 七 五. 八 団 体 ) が 何 ら か の形 で議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し て い る。 そ の う ち 、 情 報 公 開 の実 施 機 関 に 議 会 を 含 め る と す る条. 例 ( 要綱 含 む) を有 す る団体 は七 五五団 体 ( 都 道 府 県 九 団 体 、 市 区 町 村 七 四 六 団 体 ) であ り 、 都 道 府 県 と 市 区 町 村 を. 併 せ た条 例 ( 要 綱 含 む ) 制 定 済 み 団 体 全 体 に対 す る割 合 は、 八 三 ・ 一% と な って い る。 ま た 、 議 会 独 自 の条 例 ( 要綱. 含 む ) を 制 定 し て い る 団 体 は 、 都 道 府 県 で六 団 体 ( 北 海 道 と宮城 、 秋 田、 埼 玉、 東 京、 奈良 の ︿ 奈 良県 のみ要綱 ﹀各 都 県 )、 市 区 町 村 で 一二団 体 と な って い る。. な お 、 こ こ数 年 市 町 村 合 併 の動 き が か な り み ら れ る の で、 参 考 ま で に 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 四 月 一日 現 在 の市 区. 町 村 数 を 示 す と 、 市 六 七 }、 区 二 三 、 町 一、 九 九 〇 、 村 五 六 八 で計 三 、 二 五 二 団 体 と な り 、 都 道 府 県 四 七 を 併 せ る と 、 普 通 地 方 公 共 団 体 は 全 部 で三 、 二 九 九 団 体 と な る 。. 二 〇世 紀末 の二〇 〇 〇 ( 平 成 十 二) 年 に は 、 条 例 ( 要 綱 含 む ) 制 定 団 体 は な お 更 に五 一八 団 体 も 増 え 、 一挙 に 一、. 四二 六団 体 ( 条 例 一、 四 一七 、 要 綱 九 ) と な り 、 前 年 に比 べ約 五 七 % の大 幅 な 増 加 と な り 、 前 々年 ( 平成 十年 ) と比. べる と 三 倍 近 い増 加 と な った。 地 方 公 共 団 体 全 体 の制 定 率 は 、 四 三 ・二 % と な り 、 半 数 近 く の自 治 体 が 条 例 ( 要綱 含. む ) を 有 す る こと と な った 。 こ の 二年 間 で制 定 団 体 が 三 倍 近 く に達 し た 理 由 と し て は、 平 成 十 年 四月 に 情 報 公 開 法 案. が 提 出 さ れ た の に続 き 、 平 成 十 一年 五 月 第 一四 五 (通 常 ) 国 会 に お い て、 法 案 が 両 院 を 通 過 .成 立 し た こ と に よ る も のと 考 え ら れ る 。. これ を 都 道 府 県 ・市 区 町 村 別 に な が め て み る と 、 都 道 府 県 に つい て は前 述 のと お り であ る が 、 市 区 町 村 で は、 一、. 三七 九 団体 が条 例 ( 要 綱 含 む) を有 す る こと とな り ( 条 例 一、 三 七 〇 、 要 綱 九 )、 前 年 ( 度 ) に比 べ五 一八 団 体 、 約. 一7一.

(8) 六 〇 % の大 幅 な 増 加 と な って い る。 (な お 、 要 綱 に よ る制 度 化 は 、 前 年 比 マイ ナ ス五 団 体 であ る。) 市 区 町 村 別 の制 定. ( 条 例 六 一七 団 体 三 一 ・○ % 、 要 綱 六 団 体 ○ ∴ 二% )、 村 二 八 ・二 % ( 条 例 一五 九 団 体 二 八 ・○ % 、 要 綱. 率 は 、 市 八 五 ・四 % ( 条 例 五 七 一団 体 八 五 ・ 一% 、 要 綱 二団 体 ○ ・三 % )、 区 一〇 〇 % ( 条例 二一 二団 体 一〇 〇 % )、 町 三 一 .三 %. 一団 体 ○ ・二 % ) で、 市 区 町 村 全 体 で は 四 二 ・四 % ( 条 例 四 二 ・ 一% 、 要 綱 ○ ・三 % ) であ る。 政 令 指 定 都 市 お よ び 中 核 市 に つい て は 前 述 のと お り。. 議会 を対象 とし た条 例 ( 要 綱 含 む ) に つい て は、 一、 三 二 七 団 体 ( 都 道 府 県 二 五 団 体 、 市 区 町 村 一、 三 〇 二 団 体 ). が 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し て い る 。 そ のう ち 、 執 行 機 関 の条 例 の 対 象 ( 実 施 機 関 に含 め る) と し て い る 条 例 ( 要綱. 含 む ) は 、 一、 二九 四 団 体 ( 都 道 府 県 一六 団 体 、 市 区 町 村 一、 二 七 八 団 体 ) で、 議 会 独 自 の条 例 ( 要 綱含 む) を定 め. ている団体 は 三三団 体 ( 都 道 府 県 九 団 体 、 平 成 十 一年 時 制 定 の都 道 府 県 に岩 手 、 栃 木 、 鳥 取 、 香 川 の各 県 が 加 わ り、. 秋 田 県 は執 行 機 関 の条 例 の対 象 と な った 。 市 区 町 村 二 四団 体 、 条 例 二 一、 要 綱 三 ) であ る 。. な お 、 二〇 〇 〇 ( 平 成十 二)年 ( 従 って平 成 十 一年 度 調 査 ) か ら は、 都 道 府 県 に つい て公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を. 対 象 と し た 条 例 の状 況 も 調 査 項 目 に加 え ら れ 、 公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を 実 施 機 関 と し て い る 条 例 を 有 し てい る団 体 は九団 体 ( 福 島 、 茨 城 、 神 奈 川 、 山 梨 、 愛 知 、 三 重 、 兵 庫 、 鳥 取 、 香 川 の各 県 ) で あ る。. 二 一世 紀 に入 った 二 〇 〇 一 ( 平 成 十 三 ) 年 で は、 条 例 ( 要 綱 含 む ) 制 定 団 体 は 、 七 五 八 団 体 も な お 一層 増 え 、 実 に. 二 、 一七 八 団 体 ( 条 例 二、 一七 一、 要 綱 七 ) と な り 、 前 年 に比 べ約 五 三 % の大 幅 な 増 加 と な り 、 三 年 前 ( 平成十 年). の四 倍 近 い増 加 と な った 。 地 方 公 共 団 体 全 体 の制 定 率 は六 六 ・ 一% と な り 、 半 数 を 遥 か に超 え た 。. こ れ を 市 区 町 村 別 に な が め て み る と 、 市 区 町 村 全 体 で は 二、 = 一 = 団 体 が条 例 ( 要綱 含 む) を有 し ( 条 例 二、 一二. 一8一. 第50巻 第2・3号 近 畿大学 法学.

(9) 地方公共団体 における情報公開二十年の歩み. 四 、 要 綱 七 )、 前 年 に比 べ七 五 二 団 体 、 約 五 五 % の大 幅 な 増 加 と な っ て い る 。 ( な お、 要綱 による制度 化 は、 前年 比 マ. イ ナ スニ団 体 で あ る。) 市 区 町 村 別 の制 定 率 は、 市 九 七 ・○ % ( 条 例 六 五 〇 団 体 九 六 ・七 % 、 要 綱 二 団 体 ○ ・三 % )、. 区 一〇 〇 % ( 条 例 二 三 団 体 一〇 〇 % ) 町 六 〇 ・五 % ( 条 例 一、 一九 八 団 体 六 〇 ・三 % 、 要 綱 四団 体 ○ ・二 % )、 村 四. 四 .八 % ( 条 例 二 五 三 団 体 四 四 ・六 % 、 要 綱 一団 体 ○ ・二 % ) で、 市 区 町 村 全 体 で は六 五 ・六 % ( 条 例 六 五 ・四 % 、 要 綱 ○ ・二 % ) であ る 。 政 令 指 定 都 市 お よ び中 核 市 に つい て は 前 述 のと お り で あ る。. 議 会 を対象 とし た条 例 ( 要 綱 含 む ) に つい て は 、 二 、 一〇 五 団 体 ( 都 道 府 県 四 〇 団 体 、 市 区 町 村 二、 〇 六 五 団 体 ). が 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し て い る。 そ の う ち 、 執 行 機 関 の条 例 の対 象 ( 実 施 機 関 に含 め る ) と し て い る 条 例 ( 要綱. 含 む ) は 二、 〇 五 〇 団 体 ( 都 道 府 県 二七 団 体 、 市 区 町 村 二 、 〇 二 一 二団 体 ) で、 前 年 の 二 倍 近 い団 体 と な って い る 。 ま. た 、 議 会 独 自 の条 例 ( 要 綱 含む ) を定 め て いる団体 は五 五団 体 ( 都 道 府 県 = 二団 体 、 平 成 十 二年 時 制 定 の都 道 府 県 に. 山 形 、 福 島 、 茨 城 、 大 阪 、 兵 庫 の各 府 県 が 加 わ り 、 奈 良 県 は執 行 機 関 の条 例 の対 象 と な った 。 市 区 町 村 は 四 二 団 体 ). で、 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し な い都 道 府 県 は 七 団 体 だ け と な った ( 千 葉、 新 潟、 富 山、 岡 山、広 島、 長崎 、 宮崎 の 各 県 )。. 公 安 委 員 会 .警 察 本 部 長 を 実 施 機 関 に加 え て い る 都 道 府 県 は 一挙 に 四 二 団 体 に達 し 、 実 施 機 関 と し て い な い団 体 は、 秋 田 、 新 潟 、 富 山 、 愛 媛 、 沖 縄 の五 県 の み と な った 。. な お 、 こ の 二 年 間 に市 町 村 合 併 の動 き が 再 び み ら れ た の で、 参 考 ま で に 二 〇 〇 一 ( 平 成 十 三 ) 年 四 月 一日 現 在 の市. 区 町 村 数 を 示 す と 、 市 六 七 二 (プ ラ ス 一)、 区 二 一 二、 町 一、 九 八 七 (マイ ナ ス三 )、 村 五 六 七 (マイ ナ ス 一) で計 三 、. 二 四 九 団 体 (マイ ナ ス三 ) と な り 、 都 道 府 県 四 七 を 併 せ る と 、 ( 普 通 ) 地 方 公 共 団 体 は 全 部 で三 、 二 九 六 団 体 (マイ. 一9一.

(10) ナ ス三 ) と な る 。. 二〇〇 二 ( 平 成 十 四 ) 年 で は、 条 例 ( 要 綱 含 む ) 制 定 団 体 は 四九 一団 体 増 え 、 二、 六 六 九 団 体 ( 条 例 二、六 六六、. 要 綱 三 ) と な り 、 前 年 に比 べ約 二 三 % の増 加 と な り 、 四 年 前 ( 平 成 十 年 ) の五 倍 弱 、 三 年 前 の 三倍 弱 と な った 。 地 方. 公 共 団 体 全 体 の制 定 率 は 八 一 ・二 % に達 し 、 全 国 の地 方 公 共 団 体 の 五 分 の 四 以 上 が 条 例 を 制 定 し た こと にな る 。. こ れ を 市 区 町 村 別 に な が め て み る と 、 市 区 町 村 全 体 で は 二、 六 二 二 団 体 が 条 例 ( 要 綱含 む) を有 し ( 条 例 二 、 ⊥全. 九 、 要 綱 三 )、 前 年 に比 べ 四 九 一団 体 、 約 二 三 % の増 加 と な って い る 。 ( な お 、 要 綱 に よ る 制 度 化 は、 前 年 比 マイ ナ ス. ( 条 例 二 三 団 体 一〇 〇 % ) 町 八 〇 ・○ %. ( 条 例 一、 五 八 一団 体 七 九 ・八 % 、 要 綱 三 団 体. 四 団 体 で、 わ ず か 三 団 体 ︿町 ﹀ だ け と な った 。) 市 区 町 村 別 の制 定 率 は、 市 九 九 ・四 % ( 条 例 六 七 一団 体 、 九 九 .四 % 、 要 綱 ○ )、 区 一〇 〇 %. ○ ・二 % ) 村 六 一 ・二 % ( 条 例 =西 四団 体 六 一 ・二 % 、 要 綱 ○ ) で、 市 区 町 村 全 体 で は 八 〇 ・九 % (条 例 八 〇 .八 % 、. 要 綱 ○ ・ 一% ) で、 全 国 の市 区 町 村 の 五 分 の 四 が 条 例 を 制 定 し た こ と に な る 。 政 令 指 定 都 市 お よ び 中 核 市 に つい ては 前 述 のと お り であ る。. 議 会 を対 象 と した条 例 ( 要 綱 含 む ) に つい て は、 二 、 六 一六 団 体 ( 都 道 府 県 四七 団 体 、 市 区 町 村 .一 、 五六九 団体 ). ( 都 道 府 県 三 〇 団 体 、 市 区 町 村 二 、 五 二 二団 体 ) であ る。 ま た、 議 会 独 自 の条 例 ( 要綱 含. が 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し て い る。 そ の う ち 、 執 行 機 関 の条 例 の 対 象 (実 施 機 関 に含 め る) と し て い る条 例 ( 要綱 含 む) は 二 、 五 五 二 団 体. む ) を 定 め て い る団 体 は 六 四団 体 ( 都 道 府 県 一七 団 体 、 市 区 町 村 四 七 団 体 ) で あ る。 前 年 では 、 都 道 府 県 に つい て は 、. 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し て い な い団 体 が 七 団 体 あ った が 、 本 年 の調 査 で は 、 全 て の 都 道 府 県 が議 会 を 情 報 公 開 の対. 象 と し て い る こと と な った 。 因 み に、 都 道 府 県 で議 会 独 自 の情 報 公 開 条 例 を 定 め て い る団 体 は、 北 海 道 、 岩 手 、 宮 城 、. 一10一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学 法学.

(11) 地方公共団体における情報公開二十年の歩み. 山 形 、 福 島 、 茨 城 、 栃 木 、 埼 玉 、 千 葉 、 東 京 、 大 阪 、 兵 庫 、 鳥 取 、 岡 山 、 広 島 、 香 川 、 宮 崎 の 一七 都 道 府 県 で あ る。. 公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を 実 施 機 関 に加 え て い な い都 道 府 県 が 前 年 で は 五 団 体 あ った が 、 本 年 の調 査 で は 、 全 て の 都 道 府 県 が 公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を 実 施 機 関 に加 え て い る こ と と な った 。. な お 、 こ の 一年 間 で も 市 町 村 合 併 の動 き が み ら れ た の で、 参 考 ま で に 二 〇 〇 二 (平 成 十 四) 年 四 月 一日現 在 の市 区. ( 前年. 町村 数 を示 す と、 市 六七 五 ( 前 年 比 プ ラ ス三 で三 年 前 に比 べプ ラ ス 四 )、 区 二 一 二、 町 一、 九 八 一 (前 年 比 マイ ナ ス六. で 三 年 前 に比 べ マイ ナ ス九 )、 村 五 六 二 ( 前 年 比 マイ ナ ス五 で三 年 前 に 比 べ マイ ナ ス六 ) で計 三 、 二 四 一団 体. 比 マイ ナ ス八 で 三 年 前 に比 べ マイ ナ ス = ) と な り 、 都 道 府 県 四七 を 併 せ る と 、 ( 普 通 ) 地 方 公 共 団 体 は全 部 で三 、 二 八 八 団 体 (前 年 比 マイ ナ ス八 ) と な る。. 二 都 道 府 県 の状 況 と 問 題点. 情 報 公 開 が、 概 し て ﹁地 方 発 信 型 ﹂ で、 し か も ﹁都 道 府 県 先 行 型 ﹂ で行 わ れ てき た こと に つい て は、 す で に指 摘 し. た と お り であ る 。 一九 八 二 ( 昭 和 五 十 七 ) 年 に神 奈 川 県 と 埼 玉 県 が 情 報 公 開 の制 度 化 に踏 み切 り、 八 〇 年 代 前 半 に は 、. 東 京 都 と 大 阪 府 と い った 大 都 府 県 を は じ め 、 情 報 公 開 の制 度 化 を 行 う 自 治 体 と り わ け 都 道 府 県 が ど ん ど ん増 え 、 そ の. 後 の全 国 の自 治 体 、 市 区 町 村 に対 す る先 導 的 役 割 を 都 道 府 県 が担 った こ と は 紛 れ も な い事 実 であ る 。 そ の 理 由 に つい. ては 、 ﹁は じ め に﹂ です で に指 摘 し た の で重 複 を 避 け る が 、 こ こ で は 紙 面 の関 係 で、 都 道 府 県 の条 例 の制 定 状 況 に お け る こ こ二 十 年 の動 き を み な が ら 、 状 況 と 問 題 点 を 若 干 指 摘 す る にと ど め る 。. 一11一.

(12) ω. ( 昭 和 五 十 七 ) 年 十 月 に ﹁神 奈 川 県 の機 関 の公 文 書 の公 開 に 関 す る条 例 ﹂ が全 国 の都 道 府 県 の ト ップ を. 全 体 の動 き ( 執 行 機 関を対 象 と した 条例 の動 き). 一九 八 二. 切 って公 布 さ れ 、 同 年 十 二 月 に ﹁埼 玉 県 行 政 情 報 公 開 条 例 ﹂ が こ れ に 次 いだ 。 八 〇 年 代 す な わ ち 昭 和 の時 代 か ら 平 成. 元 年 ま でを な が め て み る と 、 一九 八 四 ( 昭 和 五 十 九 ) 年 三 月 に長 野 県 と 大 阪 府 が 、 十 月 に は 東 京 都 が そ れ ぞ れ ﹁ 公文. 書 公開 ( 開 示 等 に 関 す る ) 条 例 ﹂ を 公 布 し 、 続 い て 一九 八 六 ( 昭 和 六 十 一) 年 三 月 に福 井 、 茨 城 、 山 梨 、 愛 知 、 栃 木 、. 兵 庫 お よ び 福 岡 の 各 県 が 続 き 、 四 月 に北 海 道 と 群 馬 県 が 、 九 月 に富 山 県 が 、 十 月 に熊 本 県 が 、 十 二月 に香 川 県 が と 八. 六 ( 昭 和 六 十 一) 年 中 に 一二道 県 が 情 報 公 開 な い し 公 文 書 公 開 条 例 を 公 布 す る と い う 情 報 公 開 オ ン パ レー ド の年 で あ った 。. 翌 年 の八 七 ( 昭 和 六 十 二 ) 年 に な る と 、 三 月 に秋 田 県 が 、 七 月 に佐 賀 県 が、 十 月 に滋 賀 県 が 、 十 二 月 に三 重 県 が と. 八七 ( 昭 和 六 十 二 ) 年 は 四 県 が条 例 を 公 布 し た 。 八 八 ( 昭 和 六 十 三 ) 年 に は、 三 月 に千 葉 県 と 鳥 取 県 お よ び 鹿 児 島 県. が 、 四 月 に京 都 府 が 、 八 月 に大 分 県 が と 五 府 県 が 条 例 を 公 布 し 、 さ ら に平 成 の時 代 を 迎 え た 八 〇 年 代 最 後 の年 八 九. ( 平 成 元 ) 年 に は、 静 岡 県 、 徳 島 県 お よ び 宮 崎 県 の 三 県 が いず れ も 三 月 に条 例 を 公 布 し て いる 。. こ の よ う に、 一九 八 〇 年 代 に半 数 以 上 の 二 九 都 道 府 県 が 情 報 公 開 ( 公 文 書 公 開 な い し 開 示 ) 条 例 を 有 し た こと にな. る 。 そ の後 、 一九 九 六 ( 平 成 八 ) 年 ま で に 一八 県 が 条 例 を 有 し 、 九 六 ( 平 成 八) 年 三月 に岡山県 と奈 良県 が条 例 を制. ( 但 し 、 台 東 区 と 江 戸 川 区 と 葛 飾 区 を 除 き 区 は 全 て八 〇 年 代 に. 定 し 、 四 七 都 道 府 県 す べ てが 条 例 を 有 す る こと と な った 。 ( 但 し 、 す で に指 摘 し た ご と く 、 山 形 、 山 口 お よ び 愛 媛 の 三 県 は 当 初 、 要 綱 に よ る制 度 化 であ った 。) 市 区 町 村. 条 例 制 定 済 み) で は、 ま だ 二 八 九 団 体 し か 条 例 ( 要 綱 含 む ) を 有 し て い な か った 時 代 を 鑑 み る と 、 情 報 公 開 に つい て、. 一12一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学 法学.

(13) 地方公共団体 における情報公開二十年の歩 み. 議会 を対 象 と し た条例 の動き. 都 道 府 県 が いか に全 国 の自 治 体 (と り わ け 市 町 村 ) の 先 導 的 役 割 を 八 〇 年 代 に果 た し てき た か が 窺 い知 れ よ う 。. ②. 議 員 の出 張 に か か る 旅 費 に つい て の市 長 の支 出 命 令 書 は、 市 長 の作 成 管 理 す る 文 書 で あ り 、 対 象 文 書 と な る と す る ㈹. 判 例 が 示 す よ う に、 議 会 が 情 報 公 開 条 例 の実 施 機 関 と な って い な く ても 、 長 部 局 が 作 成 し 管 理 し て い る 文 書 は 当 該 条. 例 の対 象 と す る こと が でき る と の考 え か ら 、 従 来 、 議 会 を 実 施 機 関 の対 象 と は し て来 な か った 。 し か し 、 長 の予 算 執. 紛. 行 権 限 の行 使 と し て作 成 さ れ た 文 書 であ っても 、 議 会 事 務 局 が 管 理 し て い る も の に つい て は、 長 が 管 理 し て い る文 書. と み る こ と は でき な いと す る 判 例 が 出 て か ら 、 予 算 執 行 関 係 文 書 に限 ら ず 、 議 会 関 係 文 書 に住 民 が 確 実 に ア ク セ スす. る た あ に は、 議 会 を 情 報 公 開 条 例 の実 施 機 関 と す る 以 外 に方 法 は な いと の動 き が 次 第 に高 ま ってき た 。 (な お 、 す で. に示 し た よ う に、 議 会 情 報 を 公 開 す る考 え 方 に も 、 実 施 機 関 の中 に議 会 を 含 め る と す る 方 式 と 議 会 独 自 の ︿情 報 公 開 ﹀ 条 例 を 制 定 す る 方 式 の 二 つの方 式 が あ る。). こ の よ う な 動 き の中 で、 自 治 省 (当 時 ) 行 政 局 行 政 課 は 一九 九 七 ( 平 成 九 ) 年 よ り 、 地 方 公 共 団 体 にお け る情 報 公. 開条 例 ( 要 綱 含 む ) の制 定 状 況 に係 る 調 査 結 果 (一九 九 九 年 か ら は 詳 細 に亘 る 調 査 結 果 ) を 発 表 し てき た が、 一九 九. 九 ( 平 成 十 一) 年 か ら は ( 従 って、 平 成 十 年 度 調 査 )、 議 会 を 対 象 と し た 条 例 ( 要 綱 含 む ) の状 況 を 調 査 項 目 に加 え た。. 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し て い る都 道 府 県 は 、 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 に は 一五 団 体 に す ぎ な か った の が、 二 〇 〇. 〇 ( 平 成 十 二 ) 年 にな る と 一〇 団 体 増 え て二 五 団 体 に、 二 一世 紀 を 迎 え た 二〇 〇 一 ( 平 成 十 三) 年 に は 一挙 に 一五 団. 一13一.

(14) 体 増 え て四 〇 団 体 と な り 、 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と し な い都 道 府 県 は 七 団 体 だ け と な った ( 前述 、 ﹁ 条 例 の制 定 状 況 ﹂. 参 照 )。 し か し 、 二 〇 〇 二 ( 平 成 十 四 ) 年 に は 遂 に、 全 て の都 道 府 県 が 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と す る こ と と な った。. (平 成 十 一) 年 で は (議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と す る都 道 府 県 一五 団 体 の う ち ) 九 団 体 、 二 〇 〇 〇. ( 平成 十. こ れ ら の議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と す る 動 き の中 で、 執 行 機 関 の条 例 の対 象 ( 実 施 機 関 に含 め る ) と し て い る 条 例 は、 一九 九 九. 二)年 では ( 同 じ く 二 五 団 体 の う ち ) 一六 団 体 、 二 〇 〇 一 ( 平 成 十 三) 年 では ( 同 じ く 四 〇 団 体 の う ち ) 二七 団 体 、 そ し て 二 〇 〇 二 (平 成 十 四 ) 年 に は ( 同 じ く 四七 団 体 の う ち ) 三 〇 団 体 と な った 。. ( 奈 良 県 の み 要 綱 ) (具 体 的 都 道 府 県 名 に つい て は 、 前 述 の ﹁条 例 の制 定 状 況 ﹂ 参 照 。 以 下. ま た 、 議 会 独 自 の条 例 を 有 し て い る 団 体 は 、 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 では ( 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と す る都 道 府 県 ]五 団 体 のう ち ) 六 団 体. 同 じ )、 二〇 〇 〇 ( 平 成 十 二) 年 では ( 同 じく 二五 団体 のう ち) 九 団 体、 二〇〇 一 ( 平成十 三) 年 では ( 同 じ く 四〇. 団 体 の う ち ) 一三 団 体 、 そ し て 二 〇 〇 二 ( 平 成 十 四)年 には ( 同 じ く 四 七 団 体 のう ち ) 一七 団 体 と な った 。. な お 、 議 会 独 自 の条 例 を 有 し た 場 合 、 行 政 不 服 審 査 法 に基 づ く 不 服 申 立 て が な さ れ た場 合 、 一般 に、 議 会 独 自 の審. ㈲. 査 機 関 に諮 問 す る こと と さ れ て い る が 、 地 方 自 治 法 に は議 会 の附 属 機 関 の規 定 が な い こと か ら 、 か か る 附 属 機 関 を 設. 置 でき な い と の解 釈 も 成 り立 つた あ 、 種 々 の問 題 が 生 じ て い る。 地 方 自 治 法 は、 議 会 に附 属 機 関 を 置 く こと を 明 文 を ㈲. 以 って禁 止 し て い る わ け で は な い の で、 附 属 機 関 の設 置 は 可 能 で あ る と い う解 釈 も あ る 。 宮 城 県 は肯 定 説 を 採 用 し 、 ω. 東 京都 や栃木 県 は折衷 説 を採 用 し て いる。. 一14一. 第50巻 第2・3号 近 畿大学 法学.

(15) 地方公共団体 における情報公開二十年 の歩み. ㈲. 公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を 対 象 と し た 条 例 の 動 き. 情 報 公 開 法 は、 そ の第 二条 一項 で、 対 象 行 政 機 関 と し て、 内 閣 府 に置 か れ る 委 員 会 や庁 を 入 れ て い る。 し た が って、. 国 家 公 安 委 員 会 も 対 象 機 関 に入 る。 そ こ で、 各 都 道 府 県 でも 、 情 報 公 開 法 に お い て国 家 公 安 委 員 会 が 対 象 機 関 と な る. ら し い こ と が 判 明 し だ し た頃 か ら 、 これ ま で実 施 機 関 の対 象 か ら 除 外 し てき た 都 道 府 県 公 安 委 員 会 を 情 報 公 開 条 例 の 実 施 機 関 に入 れ る 必 要 が あ る と い う 動 き が 強 ま った 。. 自治省 ( 当 時) は、 二〇 〇〇 ( 平 成 十 二) 年 ( 従 っ て、 平 成 十 一年 度 調 査 ) か ら は、 都 道 府 県 に つい て は、 公 安 委. 員 会 ・警 察 本 部 長 を 対 象 と し た 条 例 の状 況 を 調 査 項 目 に 加 え た 。 公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を 実 施 機 関 と し て い る ( 実. 施 機 関 に加 え て い る ) 都 道 府 県 は、 二 〇 〇 〇 ( 平 成 十 二 ) 年 では 九 団 体 ( 具 体 的 都 道 府 県 名 に つい て は、 前 述 の ﹁条. 例 の制 定 状 況 ﹂ 参 照 。 以 下 同 じ 。) であ った の が 、 二 〇 〇 一 ( 平 成 十 三 ) 年 に は 一挙 に 三 三 団 体 増 え 四 二 団 体 と な り、. 公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を 実 施 機 関 と し て い な い 都 道 府 県 は わ ず か に 五 県 の み と な った 。 二〇 〇 二 ( 平 成 十 四) 年 に. 市 区 町村 の状 況 と 問題 点. は、 全 て の都 道 府 県 が 公 安 委 員 会 ・警 察 本 部 長 を 実 施 機 関 に加 え る こと と な った 。. 三. 情報 公 開 が、 概 し て ﹁ 地 方 発 進 型 ﹂ で、 し か も ﹁都 道 府 県 先 行 型 ﹂ で行 わ れ てき た と は 言 え 、 全 国 の自 治 体 の ト ッ. ハラ. カ ンバ ラ. プ を 切 った 最 初 の試 み は 、 一九 八 二 ( 昭 和 五 十 七 ) 年 三 月 に 町 議 会 が 成 立 さ せ た 山 形 県 最 上 郡 金 山 町 の ﹁金 山 町 公 文. イ. 書 公 開 条 例 ﹂ で あ った こと は 、 す で に指 摘 し た と お り特 筆 す べき こと であ る。 ま た 、 同 年 七 月 に静 岡 県 庵 原 郡 蒲 原 町. 一15一.

(16) が 、 十 月 に は 大 分 県 大 野 郡 緒 方 町 が 金 山 町 に次 い で情 報 公 開 の制 度 化 (条 例 制 定 ) に踏 み切 った こと も 、 な お ま た 特 コウヅキ. 筆 す べき こ と であ る 。 ( な お 、 同 年 八 月 に兵 庫 県 佐 用 郡 上 月 町 が 要 綱 の形 で施 行 し て い る。) 何 故 な ら 、 神 奈 川 県 も 、. ( 三 町 の情 報 公 開 条 例 制 定 以 降 ) に制 定 し て い る か ら であ る。 ま さ に、 ﹁小 さ な 町 の大 き な 実 験 ﹂ と 言 わ れ る に相. 埼 玉 県も 、東 京 都も 、大 阪 府 も ( 詳 細 は前 述 の ﹁都 道 府 県 の状 況 と 問 題 点 ﹂ 参 照 ) 各 都 道 府 県 の条 例 はす べ て これ 以 降 応 し い であ ろ う 。. し か し な が ら 、 そ の後 の 制 定 状 況 を み る と 、 都 道 府 県 に対 し 、 市 区 町 村 と り わ け市 町 村 は ﹁後 発 型 ﹂ ﹁追 い か け型 ﹂ であ る こと が わ か る。 以 下 に、 そ の動 き を 紙 面 の都 合 上 概 説 す る にと ど め る。. ω 全 体 の動 き ( 執行 機 関 を対 象 と した 条例 の動 き). 一九 八 二 (昭 和 五 十 七 ) 年 と い う 情 報 公 開 の出 発 の年 に つい て は、 す で に述 べた と お り であ る が 、 ま だ ま だ草 分 け. の時 期 で あ った 。 昭 和 五 十 年 代 後 半 を な が め てみ る と 、 一九 八 三 (昭 和 五 十 八 ) 年 に入 る と 、 二月 に福 岡 県 の春 日市. が 、 三 月 に広 島 県 安 芸 郡 府 巾 町 が 、 七 月 に大 分 県 大 野 郡 三 重 町 が 、 九 月 に 山 形 県 の村 山 市 と 新 庄 市 が 、 そ し て⊥ 二月. に は 愛 知 県 の稲 沢 市 と 大 阪 府 三 島 郡 島 本 町 が と 昭 和 五 十 八 年 の 一年 間 に七 市 町 (四市 三 町 ) が そ れ ぞ れ 情 報 公 開 の条. 例 に よ る 制 度 化 に踏 み 切 った 。 前 年 の三 町 の大 き な 実 験 と、 何 よ り も 神 奈 川 と 埼 玉 の両 県 が 制 度 化 に踏 み 切 った こ と が大 き く影 響 し たと思 わ れ る。. 一九 八 四 ( 昭 和 五 十 九 ) 年 に な る と 、 都 道 府 県 で東 京 、 大 阪 の大 都 府 県 と 長 野 県 が 制 度 化 し た こと に つい て は 前 に. も 指 摘 し た が 、 市 区 町 村 でも 、 三 月 に 神 奈 川 県 の川 崎 市 が、 六 月 に富 山 県 下 新 川 郡 入 善 町 が 、 七 月 に大 分 県大 野 郡 朝. 一16一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学法 学.

(17) 地方公共団体における情報公開二十年 の歩み. 地 町 が、 九 月 に は東 京 都 目 黒 区 と 長 野 市 が 、 十 月 に東 京 都 豊 島 区 が 、 十 二 月 に は 東 京 都 の板 橋 区 と東 久 留 米 市 が と 一. 年 間 に 八 市 区 町 村 (三 市 三 区 二 町 ) が 条 例 に よ り 制 度 化 し た 。 と く に、 川 崎 市 の条 例 が 先 進 的 な も の と し て注 目 さ れ. た が 、 昭 和 五 十 年 代 と いう 情 報 公 開 が 未 だ 草 分 け の時 期 に市 区 町 村 で は 、 一八 市 区 町 ( 七 市 三区八 町) が条 例 によ る 制 度 化 に踏 み 切 った こと に な る 。. さ ら に、 一九 八 五 ( 昭 和 六 十 ) 年 か ら 一九 八 九 ( 平 成 元 ) 年 ま で の 一九 八 〇 年 代 後 半 の五 年 間 の市 区 町 村 の状 況 を. ( 昭 和 六 十 一) 年 に は、 一挙 に 三 五 市 区 町 (二 四市 七 区 四 町 ) が 条 例 を 制 定 し た ( 但 し 、 一市 は 要 綱 によ る)。. な が め て み る と 、 一九 八 五 ( 昭 和 六 十 ) 年 に は 、 一〇 市 区 町 ( 五 市 三区 二 町) ( 但 し 、 一市 は 要 綱 に よ る) が 、 一九 八六. 昭 和 六 十 年 と 六 十 一年 の 二年 間 に 三 〇 市 一〇 区 六 町 が制 度 化 し 、 と く に市 区 の条 例 化 が 目 立 った。 一九 八 七 ( 昭和 六. 十 二 ) 年 にな る と 、 二 二 市 区 町 村 (一七 市 一区 三 町 一村 ) が 条 例 に よ り 制 度 化 し た ( 但 し 、 一市 は要 綱 に よ る)。 な. お 、 こ の年 に、 群 馬 県 勢 多 郡 赤 城 村 が 公 文 書 公 開 条 例 を 制 定 し た が 、 村 に お け る情 報 公 開 第 一号 と な った 。 (そ の後. 一九 九 七 ( 平 成 九 ) 年 ま で の十 年 間 で は = 村 増 え た だ け だ った 。) 一九 八 八 (昭 和 六 十 三 ) 年 に入 る と 、 二 七 市 区. ( 昭和 五十 年代 ) にす. ( 八 六 市 一七 区 一五 町 一. ( 昭 和 六 十 四 ・平 成 元 ) 年 に は、 二 五 市 区 町 (一八 市 四 区 三 町 ) ( 但 し 、 一町 は要 綱 に よ. 町 (二 二市 二 区 三 町 ) が 制 度 化 し た が 、 と く に市 の条 例 化 が 目 立 った 。 八 〇 年 代 最 後 の 一九 八 九. (昭 和 六 十 年 か ら 平 成 元 年 ま で) の五 年 間 を 総 括 す る と 、 = 九 市 区 町 村. る) が制 度化 し た。 八 〇年 代後 半. 村) ( 但 し 要 綱 に よ る制 度 化 四団 体 ) が 情 報 公 開 の制 度 化 を 試 み た わ け で あ り 、 八 〇 年 代 前 半. で に 制 度 化 し た 一八 市 区 町 村 ( 七 市 三 区 八 町 ) と 併 せ る と 、 実 に = 二七 市 区 町 村 ( 九 三市 二〇 区 二一 二町 一村 ) が 一九. 一17一.

(18) 八 〇 年 代 に情 報 公 開 ( 要 綱 含 む ) の制 度 化 を 完 成 さ せ た こ と にな る ( 都 道 府 県 は 二九 団 体 であ る こ と に つい て は、 前. 議 会 を対 象 とし た 条例 の動 き. 述 参 照 。) (な お 、 そ の後 の動 き と 最 近 の動 き に つい て は 、 前 章 ﹁全 体 の動 き ﹂ を 参 照 さ れ た い。). ②. 自治 省 ( 当 時 ) が 発 表 し てき た 、 地 方 公 共 団 体 に お け る情 報 公 開 条 例 ( 要 綱 含 む ) の制 定 状 況 に係 る調 査 結 果 に 一. 九 九九 ( 平 成 十 一) 年 か ら 加 え ら れ た、 議 会 を 対 象 と し た条 例 ( 要 綱 含 む ) の状 況 調 査 に よ る と 、 何 ら か の形 で議 会. を 情 報 公 開 の対 象 と し て い る 市 区 町 村 は 、 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 で七 五 八 団 体 、 二 〇 〇 〇 ( 平 成 十 二) 年 には 一、. 三〇 二団 体 に二〇〇 一 ( 平 成 十 三 ) 年 で は 一挙 に 二、 〇 六 五 団 体 に、 そ し てこ 〇 〇 二 ( 平 成 十 四) 年 で は 二、 五 六 九. 団 体 に達 し て い る。 これ ら 議 会 を 対 象 と す る条 例 ( 要 綱 含 む ) を 保 有 す る 市 区 町 村 の う ち 、 情 報 公 開 の実 施 機 関 に 含. め る と す る条 例 ( 要 綱 含 む ) を 有 す る市 区 町 村 は、 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 で議 会 対 象 条 例 保 有 七 五 八 団 体 のう ち 七. 四 六 団 体 、 二 〇 〇 〇 (平 成 十 二) 年 で同 じ く 一、 三 〇 二 団 体 のう ち 一、 二 七 八 団 体 、 二 〇 〇 一 ( 平 成十 三)年 では同. じ く 二 、 〇 六 五 団 体 の う ち 二 、 〇 二 三 団 体 、 そ し てこ 〇 〇 二 ( 平 成 十 四) 年 で は 同 じ く 二、 五 六 九 団 体 のう ち 二 、 五. 二 二団 体 と な って い る。 ま た 、 議 会 独 自 の条 例 ( 要 綱 含 む ) を 定 め て い る 市 区 町 村 は 、 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 で 一. 二団体 、 二〇〇 〇 ( 平 成十 二)年 で二四団体 、 二〇〇 一 ( 平 成 十 三 ) 年 で 四 二 団 体 と ほ ぼ 二倍 ず つ増 加 し て い った が 、. 二〇 〇 二 ( 平 成 十 四 ) 年 で は 四七 団 体 に と ど ま り、 議 会 を 情 報 公 開 の対 象 と す る に際 し て は、 議 会 独 自 の条 例 を 有 す. る 団 体 よ り も 、 議 会 を 実 施 機 関 に含 め る 市 区 町 村 の増 加 が 目 立 った ( 詳 細 は 、 第 一章 ﹁情 報 公 開 へ向 け て の これ ま で の自 治 体 の動 き ﹂ 参 照 の こと 。)。. 一18一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学 法学.

(19) 地方公共団体 における情報公開二十年の歩み. ω. 四. 情報 公開 法 と条 例 と の整 合 性 に伴 う 若 干 の問 題点. 情 報 公開 法 の目的 と の関係. 一九 九 九 ( 平 成 十 一) 年 五 月 によ う や く 制 定 さ れ 、 二〇 〇 一 ( 平 成 十 三 ) 年 四 月 に施 行 さ れ た わ が 国 の情 報 公 開 法. は、 国 民 主 権 の 理 念 に の っと り 、 行 政 文 書 の開 示 を 請 求 す る権 利 に つき 定 め る こと 等 に よ り、 行 政 機 関 の保 有 す る 情. 報 の 一層 の公 開 を 図 り 、 も って政 府 の有 す る そ の諸 活 動 を 国 民 に説 明 す る責 務 が 全 う さ れ る よ う にす る と と も に、 国. 民 の的 確 な 理 解 と 批 判 の下 にあ る公 正 で 民 主 的 な 行 政 の推 進 に資 す る こ と を 目 的 と す る ( 第 一条 )、 と う た う 。 情 報. ( 説 明 責 任 ) (アカ ウ ンタ ビ リ テ ィ ー ) が. 公 開 法 は、 国 の行 政 機 関 が 保 有 す る す べ て の文 書 を 原 則 と し て対 象 と し て、 そ の開 示 ( 閲覧 お よび複 写) を請 求す る 国 民 の権 利 に つい て定 め 、 政 府 の諸 活 動 を 主 権 者 た る 国 民 に説 明 す る 責 務. 全 う さ れ る よ う にし 、 国 民 に よ る行 政 の監 視 ・参 加 の充 実 に資 す る こと を 目 的 と し て い る。. 情 報 公 開 法 で は、 今 日 、 ﹁知 る 権 利 ﹂ と いう 概 念 に つい ては 、 多 く の 理 解 の仕 方 が あ る現 状 にか ん が み 、 ﹁知 る権. ロ. く. 利 ﹂ と いう 言 葉 を 用 いず 、 国 民 主 権 の 理 念 に の っと り 、 上 記 の 目 的 に沿 っ て、 充 実 し た 情 報 公 開 制 度 の確 立 を 目 指 し. て い る。 地 方 公 共 団 体 の条 例 に は 、 北 海 道 ︿ 改 正 後 の新 条 例 ・以 下 新 と し て記 述 ﹀ ︿前 文 ﹀、 秋 田 県 ︿新 ﹀ ︿ 前 文 ﹀、 東. 京都 ︿ 新 ﹀ ︿前 文 ﹀、 京 都 府 ︿ 新 ﹀ ︿前 文 ﹀、 大 阪 府 ︿前 文 ﹀、 沖 縄 県 ︿新 ﹀ ︿ 前 文 ﹀、 青 森 県 ︿本 文 の目 的 規 定 ・以 下 本. 文 と し て記 述 ﹀、 岩 手 県 ︿ 本 文 ﹀、 愛 媛 県 ︿ 本 文 ﹀、 高 知 県 ︿ 本 文 ﹀、 宮 城 県 ︿本 文 ﹀、 神 奈 川 県 ︿ 新﹀ ︿ 本 文 ﹀、 山 梨 県. ︿ 新﹀ ︿ 本 文 ﹀、 三 重 県 ︿ 本 文 ﹀、 川 崎 市 ︿ 前 文 ﹀、 春 日 市 ︿ 本 文 ﹀、 吹 田 市 ︿ 本 文 ﹀、 高 槻 市 ︿ 本 文 ﹀、 那 覇 市 ︿ 本 文 ﹀、. 一19一.

(20) ㈲. 岩倉 市 ︿ 本 文 の趣 旨 ﹀、 京 都 市 ︿前 文 ﹀、 町 田 市 ︿ 本 文 ﹀、 水 沢 市 ︿ 本 文 ﹀、 上 越 市 ︿ 本 文 ﹀、 池 田 市 ︿ 本 文 ﹀、 南 国 市. (有 効 回 収 率. ﹁情 報 公 開 ア ン ケ ー ト 結 果 ﹂ ︿宇 賀 克 也 監. ︿本 文 ﹀ な ど の 自 治 体 に み ら れ る よ う な ﹁知 る 権 利 ﹂ の 本 文 な い し 前 文 に お け る 明 記 が み ら れ る 。 (な お 、 二 〇 〇 二 年 十 月 三 十 日 発 行 の 第 一法 規 出 版 社 が 二 〇 〇 一年 七 月 に実 施 し た ア ン ケ ー ト. 修 ﹀ ﹃情 報 公 開 の 実 務 ﹄ 別 冊 に よ る と 、 ﹁知 る 権 利 ﹂ を す で に 規 定 し て い る 自 治 体 は 、 一、 二 八 一自 治 体. ㈹. 二 六 ・五 % な の で 、 必 ず し も 正 確 な デ ー タ で は な い が 一 つ の 目 安 と な ろ う ) (一部 事 務 組 合 も 含 む ) の う ち 、 六 七 ・. 対 象 行政 文書 と の関係. 八 % で 、 と く に 都 道 府 県 で は 八 三 ・三 % (回 答 し た 三 六 自 治 体 中 三 〇 自 治 体 ) が 規 定 し て い る と の こ と で あ る 。. ②. 情 報 公 開 法 にお い て、 ﹁行 政 文 書 ﹂ と は、 行 政 機 関 の職 員 が 職 務 上 作 成 し 、 ま た は 取 得 し た 文 書 、 図 画 お よ び 電 磁. 的 記 録 であ って、 当 該 行 政 機 関 の職 員 が 組 織 的 に 用 い る も のと し て、 当 該 行 政 機 関 が 保 有 し て い る も の を い う ( 第二. 条 二 項 )。 す な わ ち 、 当 該 行 政 機 関 の職 員 が 組 織 的 に用 い る も のと し て、 (し た が って、 職 員 が 自 己 の執 務 の便 宜 の た. め に保 有 す る 正 式 文 書 と 重 複 す る当 該 文 書 の写 し や職 員 の個 人 的 な 検 討 段 階 にと ど ま る 資 料 、 メ モ等 を 除 く) 行 政 機. 関 が 保 有 し て い る も の であ れ ば 、 そ れ が 決 裁 や供 覧 と い った 手 続 を 経 た か ど う か にか か わ り な く 、 す べ て開 示 請 求 の 対 象 と な る ﹁行 政 文 書 ﹂ に あ た る 。. こ れ ま で、 自 治 体 の ほ と ん ど の条 例 が 決 裁 や 供 覧 と い った 事 案 処 理 手 続 が 終 了 し た も の に限 って対 象 文 書 と す る と. いう 、 いわ ゆ る ﹁決 裁 ・供 覧 説 ﹂ に立 って い た の に対 し 、 国 の法 律 ( 情 報 公 開 法 ) が い わ ゆ る ﹁組 織 的 共 用 文 書 説 ﹂. と し た た あ 、 後 述 す る新 し い 条 例 は も と よ り 、 旧 条 例 も 国 の法 律 に な ら っ て改 正 が ど ん ど ん行 わ れ て い る 実 情 にあ る。. 一20一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学法学.

(21) 地方公共団体における情報公開二十年 の歩 み. ・. (な お 、 前 述 の ﹁情 報 公 開 ア ン ケ ー ト 結 果 ﹂ に よ る と 、 ﹁決 裁 ・供 覧 の 手 続 が 終 了 し た も の ﹂ と 規 定 す る 自 治 体 と 、. ﹁組 織 的 に 用 い る も の ﹂ と 規 定 す る 自 治 体 が ほ ぼ 半 々 と な っ て い る 。 な お 、 都 道 府 県 で は 、 ﹁決 裁 ・供 覧 ﹂ 型 は =. 一% で 、 ﹁組 織 共 用 文 書 ﹂ 型 は 八 八 ・九 % と な っ て お り 、 自 治 体 規 模 が 小 さ く な る に つれ て 、 決 裁 ・供 覧 等 に 関 す る 働. 規 定 を お く 自 治 体 の割 合 が 高 く な って い る 。). ま た、 文 書 の媒 体 の種 類 に つい て は 、 情 報 ・通 信 シ ス テ ム の進 展 に か ん が み、 紙 を 素 材 と す る文 書 だ け でな く 、 電. 磁 的 記 録 も 例 外 な く 開 示 請 求 の対 象 と し た 。 電 磁 的 記 録 と は、 ﹁ 電 子 的 方 式 、 磁 気 的 方 式 そ の他 人 の知 覚 に よ って は. 認 知 す る こと が でき な い 方 式 で作 ら れ た 記 録 ﹂ を い い、 フ ィ ル ム、 磁 気 テ ー プ、 磁 気 デ ィ ス ク、 光 デ ィ ス ク等 す べ て ㈲. ( 紙 媒 体 限 定 説 )、 プ リ ン テ ィ ッド ・ア ウ ト さ れ た 紙 を 素 材 と す る 文 書 に 限 る と. が 含 ま れ る 。 要 す る に、 情 報 が い か な る媒 体 に 記 録 さ れ て い る か は 問 わ な い こと と な った。 これ ま で、 圧 倒 的 多 数 の 自 治 体 が 媒 体 に よ って対 象 を 限 定 し. し 、 電 子 情 報 を 対 象 と す る自 治 体 は 極 め て少 な か った が 、 後 述 す る 新 し い条 例 は も と よ り、 旧 条 例 も 、 国 の法 律 (情. 報 公 開 法 ) が い わ ゆ る ﹁電 磁 的 記 録 包 含 説 ﹂ を と った た め 、 国 の法 律 に な ら って、 ﹁組 織 的 共 用 文 書 説 ﹂ と 同 様 改 正. 開示 請求 権者 と の関係. が ど ん ど ん 行 わ れ て い る。. ㈲. 何 人 も 、 情 報 公 開 法 の定 め る と こ ろ に よ り 、 行 政 機 関 の長 に対 し 、 当 該 行 政 機 関 の保 有 す る 行 政 文 書 の開 示 を 請 求. す る こと が でき る ( 第 三 条 )。 情 報 公 開 法 の 目 的 と の関 連 で は 、 開 示 請 求 権 を 行 使 す る 主 体 は 国 民 が 中 心 と な る こと. は も と よ り の こと で あ る が 、 こ れ を 国 民 に の み 限 定 し て外 国 人 を 排 除 す る 積 極 的 な 意 義 が 乏 し い こと か ら 、 国 民 であ. 一21一.

(22) る か ど う か 、 国 内 に 居 住 し て い る か ど う か を 問 わ ず 、 ﹁何 人 説 ﹂ を と った こ と は 、 わ が 国 が 広 く 世 界 に 情 報 の窓 を 開 ω. く こ と に政 策 的 意 義 が 認 め ら れ る 。. こ の よ う に、 地 方 自 治 体 の大 部 分 の条 例 が 、 いわ ゆ る ﹁住 民 説 ﹂ ( ﹁利 害 関 係 説 ﹂) を 採 用 し て い た の に対 し 、 国 の. 法 律 が ﹁何 人 説 ﹂ を 採 用 し た こ と は 、 わ が 国 の情 報 公 開 法 の 大 き な 特 色 の 一つと 言 え よ う 。 ( な お 、 前 述 の ﹁情 報 公. 開 ア ンケ ー ト 結 果 ﹂ でも 、 ﹁何 入 説 ﹂ を 採 用 す る自 治 体 が 三 三 ・四 % (そ の予 定 あ り を 含 め る と 約 四 〇 % ) と 国 の法. 律 の影 響 を 受 け て か 増 加 の傾 向 を 示 し て お り、 と く に都 道 府 県 で は 過 半 数 の自 治 体 で ﹁何 人 説 ﹂ を 採 用 し て い る が 、. 不 開 示 情 報 の範 囲 と の 関 係. 一方 で、 い わ ゆ る ﹁限 定 説 ﹂ を 採 用 す る自 治 体 も (と く に町 村 を 巾 心 に) 依 然 と し て少 な く な い。. 鋤. 原 則 開 示 を 旨 と す る 情 報 公 開 法 で は あ る が 、 行 政 文 書 の中 に は 、 開 示 さ れ る と 、 私 人 の権 利 利 益 や 公 共 の利 益 を 害. す る お そ れ が あ る情 報 が 記 録 さ れ て い る こと も あ る こと か ら 、 こ のよ う な 開 示 す る こ と の利 益 と 開 示 さ れ な い こと の. ㎝. 利 益 は、 と も に国 民 の利 益 であ り、 そ れ ぞ れ が適 切 に保 護 さ れ る よ う 両 者 の間 に 調 整 が な さ れ な け れ ば な ら な い。 不. 開 示 情 報 の規 定 を い か に 定 め る か が 、 情 報 公 開 法 の立 案 に際 し て の最 重 要 課 題 の 一つで あ る こと に は異 論 のな いと こ. ろ で あ ろ う が 、 情 報 公 開 法 は 、 そ の 第 五 条 で 不 開 示 情 報 に あ た る も の と し て、 以 下 の よ う に 定 め た 。 (な お 、 ﹃要 綱 案. の 考 え 方 ﹂ の 中 で 、 ﹁開 示 ・不 開 示 の 判 断 は 、 開 示 請 求 が あ った 都 度 な さ れ る の で あ る か ら 、 い った ん 不 開 示 と さ れ. ㈹. た 行 政 文 書 で あ っ て も 、 そ の 後 の 事 情 の 変 化 に よ り 、 開 示 さ れ る べ き も の と な る こ と が あ る こ と は 当 然 で あ る 。﹂ と. 示 され た こ と に よ り 、 か な り の自 治 体 で同 様 の趣 旨 に条 例 改 正 が な さ れ て い る 。 そ の結 果 、 不 開 示 事 項 にあ た ると し. 一22一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学 法学.

(23) 地方公共団体 における情報公開二十年の歩み. て、 非 公 開 処 分 を 下 し 、 開 示 請 求 権 者 が 不 服 申 立 てを 行 った 後 に 都 道 府 県 な ど が 同 種 の ケ ー スを 開 示 し た 場 合 、 審 査. 会 に 諮 問 す る こと な く ﹁開 示 ﹂ す る ケ ー スや 、 ひ ど いと き に は 、 審 査 会 に持 ち 込 ま れ た 後 に事 情 の変 更 で ﹁開 示 ﹂ さ. れ る ケ ー スも 生 じ て来 る。 し か し 、 未 だ 事 案 の審 査 に入 って いな い段 階 な ら ま だ し も 、 事 案 審 査 中 に ﹁開 示 ﹂ 決 定 を. 下 す こ と が 許 さ れ る べき か ど う か 考 え ね ば な ら な い。 な ぜ な ら 、 知 事 な り 市 長 な り が 、 審 査 会 に対 し 事 案 審 査 を 諮 問. し て い る わ け であ る か ら 、 答 申 を す る前 に諮 問 を 取 り 下 げ る こと に対 し て は 問 題 が 残 ろ う。). ① 個 人 に 関 す る情 報. 不 開 示 情 報 の第 一にあ げ ら れ て い る の が 、 こ の個 人 に関 す る 情 報 であ る ( 第 五 条 一号 )。 プ ライ バ シ ー の具 体 的 内. 容 は、 法 的 にも 社 会 通 念 上 も 必 ず し も 明 確 で は な い が 、 特 定 の個 人 が 識 別 さ れ 得 る 情 報 ( 他 の情 報 と 照 合 す る こと に. よ り、 特 定 の個 人 を 識 別 す る こと が でき る も のを 含 む ) を 開 示 す る と 、 プ ラ イ バ シ ー を 中 心 と す る 個 人 の正 当 な 権 利. 利 益 を 害 す る お そ れ が あ る こと か ら 、 い わ ゆ る ﹁個 人 識 別 型 ﹂ を 基 本 と す る 個 人 情 報 を 不 開 示 情 報 の 第 一に定 め た。. 同 じ く 、 第 一号 では 、 特 定 の個 人 を 識 別 す る こ と は でき な く ても 、 公 にす る こと に よ り 、 な お 個 人 の権 利 利 益 を 害 す. る お そ れ が あ る も のも 不 開 示 と す る と し て い る 。 例 え ば 、 一定 の集 団 に属 す る者 に関 す る 情 報 を 開 示 す る と 、 当 該 集 ㎝. 団 に 属 す る 個 々 の者 に不 利 益 を 及 ぼ す 場 合 が あ り 得 る し 、 ま た 、 一定 の地 域 名 を 開 示 す る こと に よ って、 そ の地 域 の. 学 校 や幼 稚 園 に通 って い る 児 童 や 子 供 あ る い は そ の地 域 に 居 住 し て い る 人 々 にま で不 利 益 を 及 ぼ す 場 合 も あ り得 る か. ら であ る 。 し た が って、 こ のよ う な 場 合 に は、 情 報 の性 質 及 び 内 容 に 照 ら し 、 プ ラ イ バ シ ー保 護 の十 全 を 図 る 必 要 性 の範 囲 内 に お い て、 個 人 識 別 の 可 能 性 ( 危 険 性 ) を 認 め る べ き 必 要 が あ る。. 一23一.

(24) な お 、 こ の よ う な 個 人 識 別 情 報 あ る い は そ の可 能 性 のあ る 情 報 に該 当 す る と し ても 、 以 下 の場 合 に は、 た だ し 書 と. ( 叙 勲 者 名 簿 、 中 央 省 庁 の課 長 相 当 職 以 上 の者 の職 及 び 氏 名. 法 令 の規 定 に よ り 公 に さ れ て い る 情 報 ( 登 記 簿 に登 記 さ れ て い る法 人 の役 員 に関 す る情 報 や 不 動 産 の権 利 関 係. し て、 例 外 的 に 開 示 が 義 務 づ け ら れ る ( 第 五 条 一号 た だ し 書 )。 イ に関 す る 情 報 等 )、 慣 行 と し て公 に さ れ て い る 情 報. 人 の生 命 、 健 康 、 生 活 ま た は財 産 を 保 護 す る た め 、 公 にす る こと が 必 要 であ る と 認 め ら れ る情 報 、 い わ ゆ る 公. 等 )、 お よ び 公 に す る こと が 予 定 さ れ て い る 情 報 ロ. 当 該 個 人 が 公 務 員 で あ る場 合 に お い て、 当 該 情 報 が そ の職 務 の遂 行 に係 る 情 報 であ る と き は、 当 該 情 報 の う ち 、. 益 上 の理由 によ る義 務的 開 示情報 ハ. 当 該 公 務 員 の職 お よ び 当 該 職 務 遂 行 の内 容 に 係 る部 分 の情 報. な お 、 前 述 の ﹁情 報 公 開 ア ンケ ー ト結 果 ﹂ でも 、 ﹁公 務 員 の職 お よ び 職 務 遂 行 の内 容 の み 開 示 ﹂ し て い る自 治 体 は. 二 四 ・九 % 、 ﹁公 務 員 の氏 名 も 開 示 ﹂ し て い る 自 治 体 は 四 三 ・三 % 、 ﹁規 定 な し ﹂ 二七 ・八 % で、 全 体 の 四割 強 の自 治. 体 が ﹁公 務 員 の氏 名 も 開 示 ﹂ す る旨 の規 定 を 有 す る 。 そ の割 合 は、 都 道 府 県 お よ び 市 で は 過 半 数 であ る が 、 町 ・村 で ⑳. は低 く な っ て い る 。. (自 治 体 で は 、 死 者 を も 含 む と す る 条 例 が 増 え つ つあ る )。. な お 、 本 号 で い う ﹁個 人 ﹂ に は 、 死 者 も 含 む と 解 す る こ と が 、 遺 族 の プ ラ イ バ シ i 侵 害 を 守 る 上 で 必 要 で は な い か と思 われ る. 一24一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学 法学.

(25) 地方公共団体 における情報公開二十年 の歩み. ② 法 人 等 に 関 す る情 報. 不 開 示 情 報 の第 二 は 、 法 人 等 に関 す る 情 報 であ って、 開 示 す る と 、 法 人 等 の競 争 上 の地 位 、 財 産 権 そ の他 正 当 な 利. 益 を 害 す る お そ れ の あ る も の、 ま た は 行 政 機 関 か ら の要 請 を 受 け て、 公 にし な いと の約 束 の も と に 任 意 に提 供 さ れ た. も の であ っ て、 そ の約 束 を す る こと が 合 理 的 であ る と 認 め ら れ る 情 報 (い わ ゆ る非 公 開 約 束 条 項 と 呼 ば れ て い るも. の) で あ る が 、 但 し 、 い ず れ の場 合 で も 、 人 の生 命 、 身 体 等 を 保 護 す る た め に公 にす る こ と が 必 要 であ る と 認 め ら れ る情 報 に つい て は、 開 示 し な け れ ば な ら な い ( 第 五 条 二号 )。. ③ そ の他 三 号 か ら 六 号 に掲 げ る 情 報. 第 五 条 の 三 号 か ら 六 号 に は 、 こ の ほ か 不 開 示 情 報 と し て、 開 示 す る と 、 国 の安 全 が 害 さ れ 、 他 国 と の信 頼 関 係 が 損. な わ れ る等 の お そ れ が あ る と 認 め る に足 る ﹁相 当 の﹂ 理 由 が あ る情 報 ( 同 条 第 三 号 )、 同 じ く 開 示 す る と 、 犯 罪 の予. 防 .捜 査 等 公 共 の安 全 と 秩 序 の維 持 に 支 障 を 及 ぼ す お そ れ が あ る と 認 め ら れ る に足 る ﹁相 当 の﹂ 理 由 が あ る 情 報 (同. 条 第 四号 )、 行 政 機 関 内 部 ま た は相 互 の審 議 ・検 討 等 に 関 す る 情 報 であ っ て、 開 示 す る と 、 行 政 機 関 の適 正 な 意 思 ・. 決 定 等 に ﹁不 当 な ﹂ 支 障 を 及 ぼ す お そ れ のあ る 情 報 ( 条 例 で いう と ころ の、 いわ ゆ る ﹁意 思 決 定 過 程 情 報 ﹂ と 呼 ば れ. る も の であ る)、 お よ び 行 政 機 関 の事 務 ま た は 事 業 に関 す る 情 報 であ って、 開 示 す る と 、 当 該 事 務 ま た は事 業 の性 質. 上 、 そ の適 正 な 遂 行 に支 障 を 及 ぼ す お そ れ の あ る 情 報 ( 条 例 で い う と こ ろ の ﹁行 政 運 営 情 報 ﹂ と 呼 ば れ るも の) であ る。. 一25一.

(26) ㈲. 部 分 開 示 と の関 係. 行 政 機 関 の長 は、 開 示 請 求 に か か る 行 政 文 書 の 一部 に 不 開 示 情 報 が 記 録 さ れ て い る 部 分 を 容 易 に区 分 し て除 く こ と. が で き る と き は 、 開 示 請 求 権 者 に対 し 、 当 該 部 分 を 除 い た部 分 に つき 開 示 し な け れ ば な ら な い ( 第 六 条 一項 ) と い う 、. い わ ゆ る 部 分 開 示 条 項 は 、 要 綱 案 の段 階 で は 、 ﹁当 該 部 分 が 当 該 部 分 を 除 い た 部 分 と 容 易 に 区 分 す る こと が でき る と. き は﹂ と な って い た の が 、 と く に、 電 磁 的 記 録 に つき 両 者 の分 離 の困 難 性 を 想 定 し 、 法 案 段 階 で、 ﹁不 開 示 情 報 が 記. 録 さ れ て い る部 分 を 容 易 に区 分 し て除 く こと が でき る と き は﹂ の表 現 に改 め ら れ 、 原 則 部 分 開 示 義 務 を う た いな が ら. も 、 部 分 開 示 義 務 の生 じ な い ケ ー スも 明 確 に 想 定 し た。 電 磁 的 記 録 の部 分 開 示 、 す な わ ち 不 開 示 部 分 と 開 示 部 分 の分. 離 が 既 存 の プ ログ ラ ム で は行 い得 ず 、 両 者 を 分 離 す る た め 特 別 のプ ログ ラ ムを 組 む と な る と 多 額 の費 用 を 要 す る こと. と な り、 と り わ け 地 方 自 治 体 の場 合 は 、 そ の費 用 負 担 分 が 結 局 住 民 に し わ 寄 せ が 来 る こ と と な る か ら であ ろ う 。. ま た、 これ ( 分 離 困 難 性 の問 題 ) と は 別 に、 第 六 条 一項 のた だ し 書 で は 、 ﹁当 該 部 分 を 除 いた 部 分 に有 意 の情 報 が. ⑳. 記 録 さ れ て いな い と 認 め ら れ る と き は 、 こ の限 り で は な い﹂ と し て、 不 開 示 情 報 が 記 録 さ れ た 部 分 を 除 く と 、 客 観 的 ㎝. に有 意 な 情 報 が 残 ら な い よ う な 場 合 、 す な わ ち 無 意 味 な 記 号 のみ と な る よ う な 場 合 に は、 制 度 の趣 旨 に合 致 す る と は 思 え な い こ と か ら 、 行 政 機 関 の長 に対 し 、 部 分 開 示 義 務 か ら 免 除 し て い る 。. な お 、 第 六 条 二項 で は、 第 五 条 第 一号 の 個 人 情 報 、 す な わ ち 個 人 を 識 別 す る こと が でき る こ と と な る記 述 等 の部 分. を 除 い た 部 分 は 、 第 一号 の個 人 情 報 に含 ま れ て いな いも のと み な し て、 部 分 開 示 規 定 を 準 用 し て い る 。. 一26一. 第50巻 第2・3号 近畿 大学 法学.

(27) 地方公共団体 における情報公開二十年 の歩み. ㈲ 行 政 文 書 の存 否 に 関 す る情 報 と の 関 係. 開 示 請 求 に対 し 、 当 該 開 示 請 求 に か か る 行 政 文 書 が 存 在 し て い る か 否 か を 答 え る だ け で、 不 開 示 情 報 を 開 示 す る こ. と と な る と き は 、 行 政 機 関 の長 は 、 当 該 行 政 文 書 の存 否 を 明 ら か にし な い で、 当 該 開 示 請 求 を 拒 否 す る こ と が でき る. ( 第 八 条) と す る のが いわゆ る ﹁ 存 否 応答 拒 否 ﹂ ( グ ロー マー拒 否 ) 情 報 であ る。 因 み に、 こ のグ ロー マー と は、 存 否. 応 答 拒 否 が ア メリ カ の判 例 で初 あ て認 め ら れ た 事 件 の中 で問 題 と な った 船 の名 前 で あ る 。 開 示 請 求 を 拒 否 す る と き は 、. 開 示 請 求 にか か る 行 政 文 書 の存 否 を 明 ら か にし た 上 で拒 否 す る こ と が 原 則 な の であ る が 、 こ の規 定 は 、 行 政 文 書 の存. 否 自 体 を 明 確 に す る こ と な く 拒 否 処 分 を な し 得 る 例 外 的 規 定 で あ る。 こ の グ ロー マー 拒 否 規 定 そ のも のを 否 定 す る 見. 解 は ほ と ん ど み ら れ な いが 、 し か し そ の適 用 範 囲 は 限 定 す べき であ る と い う 見 解 は 存 在 す る 。. こ の グ ロー マi拒 否 規 定 は 、 自 治 体 の条 例 でも 最 近 多 く み ら れ る よ う に な り ( 新 条 例 は も と よ り 、 改 正 し て新 た に. グ ロー マー拒 否 条 項 を 付 加 し て い る 条 例 も あ る )、 (な お 、 前 述 の ﹁情 報 公 開 ア ンケ ー ト結 果 ﹂ でも 、 こ の存 否 応 答 拒. 否 に つき 、 既 に規 定 し て い る 自 治 体 は 五 八 ・四 % で、 ﹁そ の予 定 ﹂ の八 ・四 % を 加 え る と 、 約 三 分 の 二 の自 治 体 が 規. 定 も し く は そ の 予 定 を し て い る こと と な る 。 都 道 府 県 で はす べ て の自 治 体 で規 定 (ま た は そ の予 定 二 ・八 %) し て い. る も の の、 村 で は約 四割 の自 治 体 が 規 定 す る に と ど ま って お り、 自 治 体 の規 模 に よ って そ の対 応 が 大 き く 分 か れ て い. る よ う で あ る)。 北 海 道 情 報 公 開 条 例 第 一二条 ﹁特 定 の個 人 の生 命 、 身 体 ま た は 名 誉 が 侵 害 さ れ ると 認 め ら れ る場 合 ﹂. は、 適 用 範 囲 を 限 定 す る 見 解 を 示 し た典 型 的 条 例 であ る。 な る ほ ど 、 特 定 の者 が あ る病 気 に か か って い る か 否 か を 知. る た め に、 第 三 者 が 特 定 の者 を 名 指 し し て、 そ の診 療 記 録 を 請 求 す る よ う な 場 合 に は、 当 該 文 書 の存 否 を 答 え る こと. 自 体 が 、 不 開 示 情 報 と し て保 護 し よ う と す る利 益 を 明 ら か に 侵 害 す る こと と な り 、 し た が って行 政 情 報 の 存 否 を 明 ら. 一27一.

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