• 検索結果がありません。

実験サイクルとしての情報技術導入プロセス

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "実験サイクルとしての情報技術導入プロセス"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)実験サイクルとしての情報技術導入 プロセス. Implementation Processes of Information Technologies as Experimental Cycles Yoko Takeda. 横浜国立大学大学院環境情報研究院. Associate Professor Graduate School of Environment and Information Sciences, Yokohama National University. 助教授 竹田陽子. 要約. 理的に生産するような製品に比べてカスタマイズしや. 本稿では、技術と組織の適応の観点から情報技術導. すい性質を持っており、ユーザー発のイノベーション. 入研究の流れをレビューし、情報技術導入プロセスを. も起こり易い。つまり、導入の過程で技術と組織が影. 実験サイクルとして捉えることを提案する。また、情. 響し合って変化する程度が著しいのである。. 報技術導入の実験サイクルにおける 3 つの課題―バウ. 情報技術導入に関する実証研究も、技術と組織の適. ンダリー・オブジェクトの役割、技術適応と組織適応. 応を前提としないモデルから技術と組織の適応を組み. のせめぎ合いの問題、実験的学習を可能にする組織能. 込んだモデルへの変換が起こっており、中でも、情報. 力について、いくつかの仮説を提示する。. 技術導入プロセスを組織学習のための実験サイクルと してとらえる見方が有望である。情報技術導入の実験. SUMMARY. サイクルを技術面だけでなく組織面でも実際にどのよ うにすすめていくかを検討すべき時期に来ている。. This paper discusses that implementation processes of information technology could be regarded as experimental cycles, reviewing the existing literatures in the perspective of adaptation of technology and organization.. 1.情報技術導入と技術・組織の適応. Several hypotheses are proposed regarding the. following topics in the experimental implementation of 表 1 は、情報技術導入に関わる既存の主要研究を、. information technology: 1) the role of boundary object, 2) priority between technological adaptation and orga-. 技術と組織の適応 (adaptation) がモデルに組み込まれ. nizational adaptation, 3) organizational capability that. ているかどうかという視点から整理したものである。. enables experimental learning.. 比較的体系的な理論があるものだけを選んだので網羅 的ではないが、技術・組織の適応が考慮されていない. 民生用のコンピュータと通信ネットワークが登場し. 単純なモデルから、技術適応あるいは組織適応のいず. て以来、今日に至るまで、次々と生み出される新しい. れかに注目したモデル、技術の適応と組織の適応の両. 情報技術 (ハードウェアとソフトウェア、サービス). 方が組み入れられているモデルという流れがあること. を組織にどのように導入 (implementation) していく. がわかる。. のかは、ユーザー企業側と情報技術の供給者側の双方 にとって切実な問題であり続けている。この強力なニ ーズを背景に、経営情報学 (MIS) の分野でも、情報技 術導入 (注 1) の成功要因 (注 2) を特定する試みは続. 1.1. 技術と組織の適応が組み込まれていないモデル. けられている。しかし、このようにすれば導入に成功 するという決め手を導き出すには程遠い状態である。. 技術と組織の適応が組み込まれていないモデルは、. 他の技術の導入に比較した場合、情報技術の導入に. ある時点での技術の特性と組織の状態を既定値とし. 特徴的な点の 1 つは、技術と組織の相互作用の大きさ. て、どういった要因が情報技術導入の成功につながる. であろう。情報技術は、組織の情報処理やコミュニケ. のかをワンショットで捉えて静的に分析するものであ. ーションの流れに直接的に作用するために、組織のプ. る。. ロセスや構造に大きな影響を与える傾向がある。一方、 情報技術、特にソフトウェアやサービスは、工場で物. 2. 実験サイクルとしての情報技術導入プロセス.

(2) 表 1 :情報技術導入に関わる代表的な理論. * 技術の社会的構築と言いながら、情報技術が組織に与える影響や情報技術の使い方の変化は詳細に観察されていても、 情報技術そのものの変化を追う研究は少ない。. 認知された技術特性. 技術の固有特性 ワンショット・モデルの最も単純な形は、技術固有. 技術に固有の特性が存在することを前提とするより. の特性により導入の成果が決まるというモデルであ. も、ユーザーの技術に対する認知を情報技術利用の要. る。 (注 3) 普及理論 (Rogers 1983) においては、新技. 因とする研究群も大きな流れとして存在する。代表例. 術の普及に作用する要因として、技術の比較優位性、. は、Technology Acceptance Model (Davis 1989; Davis. 複雑性、既存のライフスタイル等に合っているのかと. et al 1989) であり、ユーザーに認知された有用性と使. いう互換性、その効果やリスクなどを事前に知ること. いやすさが情報技術利用に対する態度と使用意向に作. ができるのかという観察可能性、試用可能性が挙げら. 用し実際の使用に至る独立変数として扱われている。. れているが、これらを情報技術導入に援用している研. ユーザーの技術に対する認知を独立変数にしたモデ. 究 (例えば Cooper and Zmud 1990) がその典型であ. ルは、個人レベルの技術の利用意向を従属変数とする. る。. 場合には比較的当てはまりがよいが、情報技術導入の. 技術固有の特性として、「導入しやすい」技術と. 実務へのインプリケーションは弱い。なぜそのように. 「導入しにくい技術」が存在するという前提は、ユー. 認知されているのかという問いに答えない限り、利用. ザーの技術に対する認識や組織のコンテクスト、社会. に価するとユーザーが感じた技術が利用されるという. 的な相互作用を無視しているとして批判も多いが、多. ことを示したにすぎなくなるからである。. くの研究で繰り返し採用されている要因についてはそ 技術特性と組織プロセスの状況依存的な適合性. れなりの現実への妥当性があるものと考えられ、理論. 情報技術導入の普遍的な成功要因を求めるのではな. 発展の出発点として考慮するに価する。. く、状況依存性を想定したモデルもある。複数の選択. 論文. 3.

(3) 導入プロセス. 肢から特定のメディア (電子メールなどコミュニケー ションに関わる情報技術だけでなく、対面コミュニケ. どのような状態であるならば導入に成功するかでは. ーションや手紙、電話、メモなども含まれる) を選択. なく、どのように導入すれば成功するかという導入プ. する理由を求めるメディア選択 (media choice) と言. ロセスに注目した研究も数多い。例えば、組織の上層. われる一連の研究の中核をなす Information Richness. 部の理解とサポートを受けることが技術導入の成功に. Theory (Daft and Lengel 1986) がその代表である。. つながることは広く観察されている (Zmud 1984;. Information Richness Theory では、メディア選択の. Leonard-Barton and Deschamps 1988)。他にも組織内. 決 定 因 を 状 況 の 不 確 実 性 (uncertainty) と 多 義 性. の 導 入 推 進 者 の リ ー ダ ー シ ッ プ (Leonard-Barton. (equivocality) に求める。不確実性の高い状況とは、. 1988a)、 オ ピ ニ オ ン ・ リ ー ダ ー の 養 成 (Leonard-. 問題が事前に設定され、選択肢もあきらかであるもの. Barton. の問題解決の量が多い場合である。問題設定や選択肢. Sinha 1993) 、技術を利用した人に与えるインセンテ. があいまいで、問題認識段階での調整が必要な場合に. ィブ (Klein and Sorra 1996) 、投資の正当化 (Leonard-. は、多義性削減の必要性が高いとされる。一般には、. Barton and Kraus 1985) 、導入時の情報の与え方. 対面コミュニケーションが最も多義性処理能力. (Griffith and Northcraft 1996) などさまざまな要因が挙. (information richness) が高いとされ、電話、メモ、公. げられている。. 1985)、ユーザーの関与 (Leonard-Barton and. 式文書、数値データがそれに続く。一方、不確実性の. これらのモデルは、個々の事象を説明するには妥当. 削減能力については、これらの順位は逆になるとみら. 性があっても統一した理論に欠ける傾向があるが、所. れている. 与の要因ではなくプロセスに注目することは、実務的. Information Richness Theory は、ある特定された条. に有用であるだけでなく、理論的にも重要である。な. 件の下で、既存の技術の中での選択にはある程度妥当. ぜなら、導入プロセスによって成果が異なるというこ. しても、どのように使うべきなのかが定まっておらず、. とは、意思決定プロセス、リーダーシップ、正当化、. 前提となる組織プロセスを変えてしまう可能性さえあ. コミュニケーション・チャネル、職務内容といった組. る新技術には、あてはまりが悪いモデルであることが. 織のプロセスや構造、制度が技術の導入を契機に変化. 知られている (Rice and Shook 1990; Fulk and Boyd. する、あるいは変更可能であることを間接的に示して. 1991; Markus 1994)。. いるからである。. ユーザー間の相互作用. 1.2. 技術と組織の変化が組み込まれているモデル. 今までとり挙げたモデルは個人における情報技術導 ユーザーに作られる技術. 入と組織における導入を区別するものではなかった が、集団として情報技術を導入する場合には、個人と. 先に、成功する導入プロセスとしてユーザーの関与. して導入する場合とは異なる要因が働くことは十分考. が挙げられていることを述べたが、ユーザーの関与を. えられる。その 1 つがユーザー同士の相互作用であ. 一歩進めると、技術そのものがユーザーによって変化. る。. していく可能性があることになる。 古典的なモデルでは技術の供給者とユーザーはまっ. Markus (1987) は、双方向性のあるメディアは、同 じ技術を利用しているユーザーの数がクリティカル・. た く 別 の 存 在 と 捉 え ら れ て い た が 、 von Hippel. マスに達しているかどうかが採用に大きく影響すると. (1976)は、科学実験器具のイノベーションにおいて、. いう Critical Mass Theory を提唱した。双方向性のあ. 80 %以上のプロジェクトがユーザーにより発明され. るメディアは、他の技術に比べて、ユーザーが増える. たことを見出した。産業財のような分野では、供給企. ことによって各ユーザーが受ける便益が増加するネッ. 業とユーザー企業の間で技術についての知識レベルや. トワークの外部性が特に強いためで、ユーザーの相互. 経営資源の差が大きくない場合が珍しくなく、また、. 作用がメディア選択に作用している例である。. 技術の利用可能性についての不確実性が高い場合は、. また、Social Influence Theory (Fulk et al.1990;. ユーザー企業の方がむしろイノベーションに必要な知. Schmitz and Fulk 1991; Fulk 1993) は、同じ組織に属. 識を持っているのである。von Hippel (1994) は情報. する同僚達の情報技術に対する認識と利用実態が情報. 粘着性という概念で、イノベーションに必要な知識の. 技術利用に影響を与えると見ている。同じグループ内. 移転コストが高いほど、イノベーションはその知識を. ではメディアに対する認識が同質化していくため、使. 持つ主体のいる場所で起こるという枠組みを示した。. 用されるメディアが収束するのである (Fulk et al.. 情報技術の導入においても、ユーザー側にある知識 が重要で、その情報を情報技術のベンダーや情報シス. 1987)。. 4. 実験サイクルとしての情報技術導入プロセス.

(4) テム部門に移転することが困難な場合、ユーザーが情. 構造化理論を援用しているわけではないが、竹田. 報技術の選択や使い方の開発、さらには、システム開. (2001a:2002b)は 、 3 次 元 CAD (Computer Aided. 発の一部または全部に参加する方が合理的な場合があ. Design) とその関連技術に対する認識と使用方法は企. りうる。実証研究でも、ユーザーが技術の使い方を発. 業によって異なり、組織の分化と統合、企業間の分業. 明し、また、技術のデザインに影響を与えていくほど、. 形態に多様なインパクトを与えていることを見出し. 導入の成功率が高くなる現象が観察されている (Doll. た。情報技術のポテンシャルをどのように引き出すか. and Torkzadeh 1989)。ユーザーを技術の受容者とし. は、組織内にどのような知識を蓄積するのかという戦. て扱うよりも、「共同開発者として扱う」 (Leonard-. 略や、各担当者、部門の職務の捉え方、顧客との関係. Barton 1987) 必要があるのである。. に関する戦略等に密接に関連していた。. 情報技術の社会的構築. 組織学習としての情報技術導入. Orlikowski (1992) は、Giddens (1984) の構造化理. 社会的構築の観点はすでに起こった現象を説明する. 論を援用し、技術はある社会的文脈の中で物理的に構. ことはできるが、その結果からどのようにしたら情報. 築されるものであると同時に、行為者 (ユーザー) が. 技術を上手く導入できるのかを知るのは困難である。. さまざまな意味付けをおこない、さまざまな使い方を. 技術と組織が相互に適応するモデルにおいて、情報技. することを通じて社会的に構築される側面を持つと. 術のユーザーや供給者にとって具体的な方策 (操作可. し、これを技術の二重性と呼んだ。技術の二重性を前. 能性) を与えるためには、情報技術の導入を組織学習. 提とした情報技術導入研究は 1980 年代後半頃から現. として捉えるモデルが有効である。. れている。(前述の Social Influence Theory も、情報. 組織学習の定義は議論のあるところだが (Argyris. 技術と組織の変化を直接観察しているわけではない. 1992 : pp.7-10) 、ここでは、Cross and Israelit (2000). が、技術の社会的構築を前提とした研究である。). や Robey et al. (2000)にならって、組織の記憶を獲得. この分野の草分けである Barley (1986)は、CT スキ. し、記憶を活用できる状態にし、必要に応じて記憶を. ャンが同じ時期に同じ地域の 2 つの病院に導入された. 改変していくプロセスとする。情報技術の導入は、組. 過程をレントゲン技師と技術者の間の言説分析によっ. 織が技術の性質について理解し、使い方を工夫し、時. て追い、技術の導入が権限の分散など組織の構造に異. には技術の変更をおこない、組織のプロセスや構造を. なる影響を与えたことを見出した。. どのように適応させるかを学習するプロセスである。 組織学習として情報技術導入を捉える見方は、最近の. Orlikowski (1992) は、ある企業における CASE (Computer Aided Software Engineering) ツールの導入. 文献で多数現れている (Attewell 1992; Fichman and. 過程を観察し、組織のコンテクストがユーザーのツー. Kemerer 1997; Gaimon 1997; Lyytinen and Robey. ルの使い方に影響する同時に、ツールの中に埋め込ま. 1999; Robey et al. 2000; Bondarouk and Sikkel 2001)。 組織学習には、研究者によって分類が異なるが、知. れているスキーム、規範、資源によって、仕事や道具、 自分自身、顧客に対するユーザーのものの見かたが影. 識獲得の方法に関していくつかのモードがあることが. 響されていることを見出した。同時に、ユーザーの認. 言われている。Huber (1991) は、知識獲得のプロセ. 識の変化は、意味、支配、正当化という組織の持つ構. スを先天的学習、実験的学習、代理学習、探索と注意、. 造に影響していた。. 移植に分類した。先天的学習は創業前から知識を得て. Poole and DeSanctis (1990; 1992; 1994) は、意思決. いる場合で、実験的な学習はさまざまなかたちで実験. 定システムがグループレベルの意思決定プロセスに与. や試行錯誤をおこなうことによって知識を得ていくこ. える影響に焦点を当てて、Adaptive Structuration. と、代理学習は他企業の経験などを外から学ぶこと、. Theory を提唱している。情報技術は、どのように情. 探索と注意は特定の対象を積極的に探索/モニターす. 報を集め、扱うのかについて、それ自体の構造を持っ. ること、移植は人材の獲得によって知識を得ることで. ている。ユーザーは、情報技術の構造を認識し、その. ある。これらの中で、実験的あるいは試行錯誤的な学. 使い方を選択する。ユーザー・グループが情報技術の. 習は、何を学ぶべきかさえも明らかでない場合に有効. 構造をどのように受容するかは、アイディアの創造、. なモードであり、組織学習研究の重要な焦点となって. 参加、葛藤の解決といった意思決定プロセスに影響を. いる (Miner and Mezias 1996)。. 与える。情報技術の構造と、グループによる情報技術. 実験的学習は情報技術導入の方法としても有望なモ. の捉え方・使い方、その結果実現された意思決定プロ. ードである。Chew et al. (1991) は、技術の導入プロ. セスの適合性が意思決定のパフォーマンスに影響を与. セスにおける学習方法には、代理学習にあたるベンチ. えるのである。. マークと、実験的学習にあたるシミュレーション、プ. 論文. 5.

(5) ロトタイピング、実運用での学習があるが、後の方法. 2 は、情報技術導入の長年の課題である、技術を組織. になるほどコストがかかる一方で現実の問題に近い状. に合わせるのか、組織を技術に合わせるのかという問. 況が再現できる。コストと再現性のトレードオフを考. 題を取り上げる。第 3 は、実験サイクルを可能にする. えるとプロトタイピングとシミュレーションあたりが. 組織の能力についてである。. 特に重要であると論じている。 2.1 バウンダリー・オブジェクトとバウンダリー・. そもそも、技術を開発するプロセスは実験サイクル. スパナー. そのものであると言って良い。ハードウェアを中心と する製品開発では、スペックや使用する技術、デザイ. 実験サイクルにおけるバウンダリー・オブジェクト. ンをプロジェクト初期において完全に固定することが できず、模型や試作を使っての検討、実験、シミュレ. 実験的学習の各サイクルには、プロトタイピング・. ーションを繰り返すのが通常である。この実験サイク. サイクルのプロトタイプ、あるいは Simon (1969) の. ルをデザイン・ビルド・テスト・サイクルあるいはプ. 問題解決サイクル (問題認識→代替案の探索→評価). ロトタイピング・サイクルと呼んでいる (Clark and. の代替案にあたる、その時点で検討・評価が行われる. Wheelwright 1992)。Eisenhardt and Tabrizi (1995)は、. 対象物が想定されている。. 製品開発期間の短縮をおこなうための戦略として、事. Star and Griesemer (1989)は、複数の世界をつなぎ、. 前に計画をたてて開発フェーズの圧縮をはかる圧縮戦. それぞれの世界から必要とされる情報を与える存在. 略と問題解決サイクルを頻繁に回して試行錯誤を繰り. を、バウンダリー・オブジェクト (boundary object). 返す実験戦略が存在し、不確実性の大きい業界では実. と呼んだ。バウンダリー・オブジェクトは、それぞれ. 験戦略が優位であるとしている。実験戦略は、実験的. の世界の要求や制約に適応できるだけの柔軟性を持つ. 学習を積極的に採用する戦略であると言い換えること. 一方で、複数の世界の間で自己同一性を保たなければ. ができる。. ならない。. ソフトウェアの開発プロセスでも、上流で決めた仕. 例えば、博物館では、標本やフィールドノート、展. 様を固定したまま下流工程に流していくウォーターフ. 示品などが博物館に関わる採集家などの各種のアマチ. ォール・モデルからユーザーも加わって試行錯誤を繰. ュアと専門家の間のバウンダリー・オブジェクトの役. り返すスパイラル・モデルへの転換が言われるように. 割を果たす (Star and Griesemer 1989)。製品開発にお. なって久しいが、プロトタイピングの技術やユーザー. いて、仕様書、図面や試作、3 次元 CAD モデル、最. の関与の方法、リスクの管理方法などはいまだ発展途. 終製品もデザイン、設計、製造、外注先、顧客など異. 上である (Baskerville and Stage 1996)。. なる専門性、立場の主体が共に働くために共有される. 技術と組織の適応の必要性が大きい情報技術の導入. バウンダリー・オブジェクトである (Leonard-Barton. には、これら技術開発プロセスのフレームワークを適. 1991; Schrage 1993; D’Adderio 2001; Karsten et al.. 用できる。情報技術導入プロセスを実験サイクルと見. 2001)。. るときに、特に留意しなければならないことは、技術. 情報技術の導入が製品開発と同様の実験サイクルの. の実験だけでなく、ユーザー組織の適応にも実験の概. 連鎖であると見ると、システム提供者とユーザーの間. 念を持ち込むことである (Leonard-Barton 1988b;. のバウンダリー・オブジェクトにあたるものは、シス. Chew et al. 1991)。. テム要件書、適用業務に使われる帳票類、画面のプロ トタイプ、テスト・プログラムなど多様である。また、. 2.情報技術導入の実験サイクル. 社会的に構築されていく情報技術本体もバウンダリ ー・オブジェクトとして見ることができる (Harvey. 情報技術導入において、実験的学習はどのように推. and Chrisman 1998)。バウンダリー・オブジェクトの. 進されるのであろうか。ここでは、いくつかの論点を. 存在は、複数の主体が参加する組織学習を特徴付ける. 扱う。第 1 は、バウンダリー・オブジェクトの役割で. 現象で、組織学習のプロセスと個人レベルの学習プロ. ある。Allen (1977) 以来、新しい知識の獲得は、バウ. セスを区別する (Huysman 2000) 一つのポイントであ. ンダリー・スパナー、すなわち、組織と外部を橋渡し. ると考えられる。. する人物の役割に注意が向いていたが、あらかじめ特. バウンダリー・オブジェクトは、異なる視点を持っ. 定の人物が情報処理した結果が組織に持ち込まれるの. た主体の間でものの見方を収束させ、標準化するとい. ではなく、試作や情報システムに表示された画像やテ. う側面と、異なる視点を結合して新しいものを生み出. キストなどモノを介してさまざまな主体が知恵を出し. すという側面がある (Fujimura 1992; Boland and. 合うモードについて研究を進めなければならない。第. Tenkasi 1995)。前者は、組織学習のプロセスの中で、. 6. 実験サイクルとしての情報技術導入プロセス.

(6) 学んだことを精緻化し、固定化し、共有された記憶の. 新しい知識の取り入れ、情報処理をおこない、組織. ネットワーク (Latour 1987) として残す過程であると. の記憶に残す役割を果たすバウンダリー・スパナーと、. みることができる。一方、後者は、さまざまな視点を. 複数の世界をつなぎ、それぞれの世界から必要とされ. 取り入れ、結合させて新しい知識を獲得する過程に主. る情報を与えるバウンダリー・オブジェクトとの関係. に関わるものである。バウンダリー・オブジェクトの. はどうなるだろうか。 図 1 に示すように、バウンダリー・スパナーとバウ. 後者の新しい視点を取り入れる働きにここでは注目. ンダリー・オブジェクトの関係は、排他的ではない。. し、狭義のバウンダリー・オブジェクトと呼ぶ。. バウンダリー・スパナーの活動領域は広く、外部から バウンダリー・スパナーとの関係. 一方向的に情報を組織内に取り組む場合もあれば、情. ところで、組織の境界の橋渡しをおこなう存在とし. 報を受信するだけでなく接触する相手 (情報発信者). て従来から強調されているのは、バウンダリー・スパ. にとっても新しい知見が得られるような双方向的なコ. ナー (Boundary Spanner:対境担当者)である。Allen. ミュニケーションをおこなう場合もありうる。当然、. (1977)は、研究所の研究者間のコミュニケーション・. コミュニケーションに際して資料や試作などのモノを. ネットワークを明らかにしていくことにより、研究開. 媒体として使用する場合も、一切モノを使わない場合. 発に必要な外部の情報は、ゲートキーパー(gatekeep-. もある。. er)と呼ばれる特定の人物によって組織内にもたらさ. 一方、狭義のバウンダリー・オブジェクトは、人と. れ、そこからスター状に情報が広まっていくことを明. 人のコミュニケーションを支援して新しい知見を生み. らかにした。このように、バウンダリー・スパナーは、. 出すために使われるモノであり、その定義上、双方向. 組織外から組織にとって必要な情報を収集、分析し、. 的でモノによる媒介がなされる図 1 の右下のモードに. 組織内に広める (Tushman 1977; Adams 1980)。Clark. しか存在し得ない。. and Fujimoto (1991)は、組織が市場のニーズにマッチ. バウンダリー・スパナーは、図 1 のすべての知識獲. したサービスを提供する働きを外的統合と呼び、製品. 得のモードで活躍しうるが、その役割はモードによっ. 開発の成功要因として、各機能部門を調整して首尾一. て微妙に異なる。図 1 左側の一方向の知識獲得モード. 貫した製品を生み出す内的統合とともに、外的統合を. では、外部から情報を集め、組織内に伝えるバウンダ. 強力に推し進めている重量級マネージャの存在を指摘. リー・スパナーは、広い視野を持つ一方で組織の内部. したが、この重量級マネージャもバウンダリー・スパ. 事情にも精通している言わばスターである。バウンダ. ナーの一種である。. リー・スパナーは、自ら外的統合と内的統合に関する 情報処理をおこなってから咀嚼した情報を組織内に伝. 技術導入の研究においても、バウンダリー・スパナ ーの重要性は、特に技術を提供する側とユーザーの間. える。一方、右側の双方向的な知識獲得のモードでは、. を橋渡しする人物を中心に注目されてきた。Leonard-. バウンダリー・スパナーは、何でも知っているスター. Barton and Kraus (1985)は、導入チームにはプロジェ. として一人で意味付けをおこなうのではなく、異なる. クトに資金と人材をもたらすだけの権限を持つスポン. 視野や知識を持った複数の人々のコミュニケーション. サー、イノベーションの普及促進と問題解決をおこな. を助け、新しい知識を生み出していく場を醸成する、. うチャンピオン、管理全般を受け持つプロジェクト・. 調整役に近い役割を果たすと考えられる。特に、狭義. マネージャー、グループ内の調整をおこなうインテグ. のバウンダリー・オブジェクトを介する場合は、関係. レータが必要だとしている。これらのうち、ユーザー. 者に直接豊富な情報を与えるバウンダリー・オブジェ. とコミュニケーションをおこなうチャンピオンが主に. クトが存在するので、バウンダリー・スパナーの情報. ユーザーとの間のバウンダリー・スパナーとしての役. 処理者としての役割は小さくなり、調整役としての役. 割に対応する。ユーザー側にも、現場の業務を良く知. 割は大きくなると考えられる。. り、かつ、技術の専門家である必要はないが新しく導 入された情報技術を熱心に覚えるユーザーエキスパー. 仮説 1 :多様な視点を取り入れようとするときは、. ト (Leonard-Barton 1990) の存在が重要である。また、. バウンダリー・スパナーの活動のみに頼る場合よりも、. Attewell (1992) は、内部の人材よりも、むしろ組織外. バウンダリー・オブジェクトを併用する方が効果が高. 部に存在するコンサルタント、サービス業者のような. くなる。. 専門家がバウンダリー・スパナーに適していることを 指摘している。組織内部でノウハウを蓄積することは、. 仮説 2 :狭義のバウンダリー・オブジェクトが使われ. 逆に外部からの知識獲得の阻害要因になるためであ. ている場合はそうでない場合に比べて、情報処理をお. る。. こなう主体が分散化する。. 論文. 7.

(7) 双方向にバウンダリー・オブジェクトを介してコミ ュニケーションするモードは、場所や時間の制約を超 えたコミュニケーション技術が急速に発達している現 在においては、ますます重要性を増している。ユーザ ーのニーズと情報技術の両方を知っている人物を技術 供給側とユーザー側に育成する重要性は従来から指摘 されてきたが、今後は、情報技術を活用して司会や世 話役的な役割を果たす人物の重要性が増してくるのか もしれない。 図 1 :知識獲得のモード. 2.2. 技術の実験、組織の実験. の変更で補う、ということが起こってくる。技術を組 織に合わせるのか、組織を技術に合わせるのかは、情. 技術を変えるのか、組織を変えるのか. 報技術導入の実務現場でしばしば問題になる課題であ. 情報技術はそれ自体の可変性が高く、組織プロセス. る。(図 2 参照). への影響が大きいため、その導入に際しては、技術と 組織の相互適応 (Leonard-Barton 1988b) が必要とされ ることが多いが、必要とされる技術とその組織的な影 響は事前に完全に予測はできないため、技術と組織の 両面の実験 (Chew et al. 1991) を繰り返しながら、一 定の目標水準に近づいていかなくてはならない。 しかし、技術の変更には常にコストがかかる。物理 的生産がないという意味で比較的柔軟性の高いソフト ウェアの場合でも、技術変更によって膨らむ人件費と 出荷の遅れは業界の大きなリスクになっている。一方、 組織のプロセス、構造、制度、社員のスキルには強力 な慣性が働くので、その変更は場合によっては技術の 変更以上のコストがかかる。目標水準を下げることを しない場合、ある目的を達成するためには、組織の変 更を技術の変更で補う、あるいは、技術の変更を組織. 8. 実験サイクルとしての情報技術導入プロセス.

(8) 図 2 :技術を変えるのか、組織を変えるのか. ダブル・ループ・ラーニングが出来ず、組織変革に結び. 柔らかい技術、硬い組織. つかない。. ユーザー企業の組織に技術を合わせる能力で長年強 みを誇ってきたのが、日本の情報システム業界である。. 硬い技術、柔らかい組織. Cusumano (1991) は、顧客のニーズにきめ細かく対応. 米国経済の失速と共に、情報技術の導入が組織改革. したシステムを効率良く開発する日本の情報システム. をもたらすという単純な構図が描かれることは少なく. 業界をソフトウェア・ファクトリーと呼んだ。 技術を組織に合わせ続けることの問題点は、技術導. なってきたが、近年の情報技術利用が委託開発のシス. 入を契機に組織改革をおこなうという発想が出てこな. テムを安定的に運用する世界から大きく拡大してしま. いということである。また、技術面でも、組織に合わ. ったことは明らかである。例えば、旧来メインフレー. せることを前提とすると、新しい要素技術の取り入れ、. ムコンピュータによって処理されてきた基幹系と呼ば. アーキテクチャの変更などの冒険はできない。組織と. れる定型業務処理にも、パッケージ・ソフトウェアが. 技術の両面で、Argyris and Schon (1978)がダブル・ル. 使われるようになってきた。 パッケージ・ソフトウェアなど既存の情報技術を利. ープ学習と呼んだ既存の枠組みを壊して新しい価値を. 用することは、カスタマイズの余地があったとしても. 構築する学習ができないのである。 メインフレーム時代の日本のソフトウェア・ファク. 委託開発に比べればユーザーの事情に合わせた変更は. トリーは、委託開発システムが中心で、一度システム. 難しくなり、その分、組織の方を変更する可能性が大. を構築すると、後はハードウェアのバージョンアップ. きくなっているということである。つまり、組織を技. や業務の変化に合わせた調整をおこなうのみで基本構. 術に合わせる場面が急速に増えてきている。. 造を大きく変える必要はなかった。しかし、近年、情. 組織のプロセスや構造、制度、社員のスキルに適合. 報技術のモジュール化がすすみ、最先端の技術を組み. しない技術の導入は、組織の硬直性から考えると、当. 合わせて使うという発想が出てきた。情報技術を利用. 然、失敗の確率は高くなる。しかし、一方で、可変性. する業務も、消費者向けの商取引など従来になかった. の低い「硬い」技術は、大規模な組織適応のきっかけ. 分野や非定形な業務の割合が増え、既存の枠組みには. になりうる。. 当てはまりにくくなった。1990 年末ごろ、日本の長 期にわたる景気低迷と情報技術分野に牽引された米国. 仮説 4 :可変性の低い技術は、導入に失敗する確率. 経済の好調を背景に、情報技術導入を契機に組織改革. は高いが、いったん導入に成功すると、ダブル・ルー. をしようという機運が高まったが、日本のユーザー企. プ・ラーニングを促し、大規模な組織改革が起こるき. 業は、情報システム業者の技術をきめ細かく業務に合. っかけとなる。. わせる能力に長年依存してきたため、このブームに乗 Tyre and Orlikowski (1994)は、技術のユーザーによ. り切れなかったのである。. る適応活動は、導入直後に集中しておこり、その後は 急激に減少して低レベルを維持し、何か破壊的な状況. 仮説 3 :技術の可変性が高すぎると、組織に関する. 論文. 9.

(9) に直面すると再び急増することを観察している。つま. 2) 従属変数である導入の成果をどのような変数で扱. り、目的に向かって技術や組織がじわじわと適応して. うかについても、導入の成否、採用、使用、浸透度、. いくモデル (Leonard-Barton 1988b) よりも、技術も組. 目標達成度、満足度、効率、利益など多様であり、情. 織も変化するときは劇的に変わるというモデルのほう. 報技術導入の適切なパフォーマンス指標を作成するこ. が現実をよく説明しているのかもしれない。. と自体がひとつの研究分野になっているが、ここでは 扱わない。. 2.3. 実験的学習を可能にする組織能力 3) 企業規模、資源の豊富さ、組織の集中化、形式化、. 最後に、実験的学習、特に組織の実験をおこなうに. 複雑性の程度といった組織の固有特性を独立変数の一. は、組織側にそれなりの能力が必要であることを指摘. 部とする研究も多数見受けられる (例えば Lai and. したい。製品開発に関わる技術者は、実験やプロトタ. Guynes 1997) が、統合された概念化がなされている. イピングという考えになれているが、管理者側は慣れ. とは言えない。. ていないのが通常である (Leonard-Barton 1995)。組 織全体に、技術と組織の実験を当然のこととして受け. 参考文献. 止めるプロトタイピング・カルチャー (Schrage 1993). Adams, J.S., (1980), “Interorganizational Processes. というべきものが必要である。プロトタイピング・カ. and Organization Boundary Activities,” in Staw, B.M.. ルチャーを養うことは、Argyris and Schon (1978)の学. and Cummings, L.L. (ed.), Research in Organizational. 習の学習 (duetero-learning) の一種であり、問題解決. Behavior, Vol.2, JAI Preess, pp.321-355.. サイクルを前倒しに実施するフロントローディング対. Allen, T.J., (1977), Managing the Flow of Technology,. 応能力 (藤本他 2002) もこれに含まれる。. MIT Press.. 実験的学習を可能にする組織能力とはどのように醸. Argyris, C. and D.A. Schon, (1978), Organizational. 成されるのかを探求することは、これからの課題であ. Learning, Addison-Wesley.. る。少なくとも言えることは、特に、技術的な解決が. Argyris, C., (1992) On organizational Learning,. 難しい組織に関する実験に関して、他の局面でも実験. Blackwell.. を繰り返している企業の方が技術の導入に関しても実. Barley, S.R., (1986), “Technology as an Occasion for. 験的学習をおこなう可能性が高いことである。. Structuring: Evidence from Observations of CT Scanners and the Social Order of Radiology. 仮説 5 :情報技術導入における組織適応は、他の局. Departments,” Administrative Science Quarterly,. 面で組織の実験をおこなった経験が豊富な企業の方が. Vol.31, pp. 78-108.. 優れている。. Attewell, P., (1992), “Technology Diffusion and Organizational Learning: The Case of Business. 今後、実証研究をおこなっていく上で、さまざまな. Computing,” Organization Science, Vol.3, No.1, pp.. 局面で組織の実験をおこなっている企業と実験の経験. 1-19.. が少ない企業の差を浮き上がらせ、その違いを吟味す. Baskerville R.L., and J. Stage, (1996), “Controlling. ることは重要であると考えられる。. Prototype Development Through Risk Analysis,” MIS Quarterly, vol.20, No.4, pp.481-504. Bondarouk, T. and K. Sikkel, (2001), Implementation. 注釈. of Collaborative Technologies as a Learning Process,. 1) 情報技術の導入 (implementation) の定義は研究に. Technical Report TR-CTIT-01-43, Centre for Telematics. よって多様である。Gottschalk (1999)のレビューによ. and Information Technology, University of Twente.. ると、導入が完了したと呼ばれる段階は、システムが. Boland, Jr. R.J., and R.V. Tenkasi, (1995), “Perspective. インストールされた段階から、使用が開始された段階、. Making and Perspective Taking Communities of. ユーザーに受け入れられるようになった段階、技術変. Knowing,” Organization Science, Vol.6, No.4, pp.350-. 更のプロセスが完了した段階、最終的に当初の目的を. 372.. 達成した段階など、研究によって異なり、ばらつきは. Chew, W.B., D. Leonard-Barton, and R.E. Bohn,. 大きい。ここでは、少なくとも技術や組織の変更プロ. (1991), “ Beating Murphy’ s Law,”. セスまで含んだ導入プロセスを取り扱う。. Management Review, vol.32, No.3, pp.5-16.. Sloan. Clark, K.B. and Fujimoto, T., (1991), Product. 10. 実験サイクルとしての情報技術導入プロセス.

(10) Development Performance, Harvard Business School. Package, Boundary Objects, and ‘Translation’,” in. Press.. Pickering, A. (ed.), Science as Practice and Culture,. Clark, K.B., and A.C. Wheelwright, (1992), Managing. University of Chicago Press, pp. 168-211.. New Product and Process Development, Free Press.. Fulk,. Cooper, R.B. and R.W. Zmud, (1990),”Information. Communication. Technology Implementation Research: A Technological. Management Journal, Vol.36, No.5, pp. 921-950.. Diffusion Approach,” Management Science, Vol.36,. Fulk, J. and B. Boyd, (1991), “Emerging Theories of. No.2, pp. 123-139.. Communication in Organizations,” Journal of. Cross R. and S. Israelit, (2000), Strategic Learning in a. Management, Vol.17, No.2, pp. 407-446.. knowledge Society, Butterworth Heinemann.. Fulk, J., J.A. Schmitz and C. W. Steinfield, (1990), “A. Cusumano , M.A., (1991), Japan's Software Factories,. Social Influence Model of Technology Use,” in Fulk,. Oxford University Press.. J. and C. W. Steinfield (ed.), Organizations and. Daft, R.L. and R.H. Lengel, (1986), “Organizational. Communication Technology, Sage, pp. 117-139.. Information Requirements, Media Richness and. Fulk, J., C.W. Steinfield, J. A. Schmitz and J. G. Power,. Structural Design,” Management Science, Vol.32,. (1987), “A Social Information Processing Model of. No.5, pp.554-571.. Media Use in Organizations,” Communication. Davis, F.D., (1989), “Perceived Usefulness, Perceived. Research, Vol. 14, pp. 542-543.. Ease of Use, and User Acceptance of Information. Gaimon, C., (1997), “ Planning Information. Technology,” MIS Quarterly, vol.13, No.3, pp. 319-. Technology-Knowledge. 340.. Management Science, Vol.43, No.9, pp.1308-1328. Davis, F.D., R.P. Bagozzi, and P.R. Warshaw, (1989), of. Two. Theoretical. (1993),. “ Social. Construction. Technology,”. Worker. of. Academy of. Systems,”. Giddens, A., (1984), The Constitution of Society, Polity. “ User Acceptance of Computer Technology: A Comparison. J.,. Press.. Models,”. Gottschalk, P., (1999), “Implementation Predictors of. Management Science, Vol. 35, No. 8, pp. 982-1003.. Strategic Information Systems Plans,” Information. D’ Adderio, L., (2001), “ Crafting the Virtual. Management, Vol.36, pp.77-91.. Prototype: How Firms Integrate Knowledge and. Griffith, T.L. and G.B. Northcraft, (1996), “Cognitive. Capabilities Across Organizational Boundaries,”. Elements in the Implementation of New Technology:. Research Policy, Vol.30, pp.1409-1424.. Can Less Information Provide More Benefits?,” MIS. Doll, W.J, and G. Torkzadeh, (1989), “A Discrepancy. Quarterly, Vol.20, No.1 pp. 99-110.. Model of End-User Computing Involvement,”. Harvey, F. and N. Chrisman, (1998), “Boundary. Management Science, Vol.35, No.10, pp. 1151-1171.. Objects and the Social Construction of GIS. DeSanctis, G. and M.S. Poole,. (1994), “Capturing the. technology,” Environment and Planning A, Vol.30,. Complexity in Advanced Technology Use: Adaptive. pp.1683-1694.. Structuration Theory,” Organization Science, Vol.5,. Huber, G.P., (1991), “Organizational Learning: The. No.2, pp. 121-147.. Contributing. Eisenhardt,. K.M.. and. B.N.. Tabrizi,. (1995),. Process. and. the. Literatures,”. Organization Science, Vol.2, No.1, pp. 88-115. “Accelerating Adaptive Processes: Product Innovation. Huysman, M., (2000), “Rethinking Organizational. in the Global Computer Industry,” Administrative. Learning: Analyzing Learning Processes of Information. Science Quarterly, Vol.40, pp.84-110.. System Designers,” Accounting Management and. Fichman, R.G, and C.F. Kemerer, (1997), “The. Information Technologies, Vol. 10, pp.81-99.. Assimilation of Software Process Innovation: An. Karsten, H., K. Lyytinen, M. Hurskainen, and T.. Organizational Learning Perspective,” Management. Koskelainen, (2001), “Crossing Boundaries and. Science, Vol.43, No.10, pp. 1345-1363.. Conscripting. 藤本隆宏・延岡健太郎・竹田陽子・呉在. Participation:. Representing. and. (2002). Integrating Knowledge in a Paper Machinery Project,”. 「情報化と企業組織:アーキテクチャと組織能力の視. European Journal of Information Systems, Vol. 10,. 点から」, 奥野正寛・竹村彰通・新宅純二郎編『電子. pp.89-98.. 社会と市場経済』pp.69-106.. Klein, K.J. and J.S. Sorra, (1996), “The Challenge of. Fujimura, J.H., (1992), ”Crafting Science: Standardized. Innovation. 論文. 11. Implementation,”. Academy of.

(11) Management Review, Vol.21, No.4, pp. 1055-1080.. Markus, M.L., (1994), “Electronic Mail as the Medium. Lai, V.S. and J.L. Guynes, (1997), “An Assessment of. of Managerial Choice,”. the Influence of Organizational Characteristics on. 5, No. 4, pp. 502-527.. Information Technology Adoption Decision: A. Miner, A.S. and S.J. Mezias, (1996), “Ugly Duckling. Discriminative Approach,” IEEE Transactions on. No More: Pasts and Future of Organizational Learning. Engineering Management, Vol. 44, No.2, pp. 146-157.. Research,” Organization Science, Vol.7, No.1, pp.88-. Latour, B., (1987), Science in Action, Open University. 99. Press.. Orlikowski, W.J.,(1992), “The Duality of Technology:. Leonard-Barton, D., (1985), “Experts as Negative. Rethinking. Opinion Leaders in the Diffusion of a Technological. Organizations,” Organization Science, Vol.3, No.3,. Innovation,” Journal of Consumer Research, Vol.11,. pp. 398-427.. pp. 914-926.. Poole, M.S. and G. DeSanctis, (1990), “Understanding. Leonard-Barton, D., (1987), “The Case for Integrative. the Use of Group Decision Support Systems: The. Innovation: An Expert System at Digital,” Sloan. Theory of Adaptive Structuration,” in Fulk, J. and C.. Management Review, Vol.29, No.1 pp.7-19.. W.. Leonard-Barton, D., (1988a), “Implementation. Communication Technology, Sage, pp. 173-193.. Characteristics of Organizational Innovations,”. Poole, M.S. and G. DeSanctis, (1992),. Communication Research, Vol. 15, No.5, pp.603-631.. Structuration in Computer-supported Group Decision. Leonard-Barton, D., (1988b), “Implementation as. Making,” Human Communication Research, Vol. 19,. Mutual Adaptation of Technology and Organization,”. No.1, pp. 5-49.. Research Policy, Vol.17, pp. 251-267.. Rice, R.E. and D.E. Shook, (1990), “Relationships of. Leonard-Barton, D., (1990), “Implementing New. Job Categories and Organizational Levels to Use of. Production Technologies: Exercises in Corporate. Communication Channels, Including Electronic Mail: A. the. Steinfield. Organization Science, Vol.. Concept. (ed.),. of. Technology. Organizations. in. and. ”Micro-level. Learning,” in Von Gilnow, M. A. and S. A. Mohrman. Meta-Analysis. (ed.) Managing Complexity in High Technology. Management Studies, Vol. 27, No. 2, pp. 195-229.. Organizations, Oxford University Press, pp. 160-87.. Robey, D., M. Boudreau, and G.M. Rose, (2000),. Leonard-Barton, D., (1991), “Inanimate Integrators: A. and. Extension,”. Journal of. “Information Technology and Organizational Learning:. Block of Wood Speaks,” Design management. A Review and Assessment of Research,” Accounting. Journal, Vol.2, No.3, pp. 61-67.. Management and Information Technologies, Vol. 10,. Leonard-Barton, D., (1995), Wellsprings of Knowledge,. pp. 125-155. Harvard Business School Press.. Rogers, E.M., (1982), Diffusion of Innovations, Free. Leonard-Barton, D., and I. Deschamps, (1988),. Press.. “Managerial Influence in the Implementation of New. Schmitz, J. and J. Fulk, (1991), “Organizational. Technology,” Management Science, Vol. 34, No. 10,. Colleagues, Media Richness, and Electronic Mail,”. pp. 1252-1265.. Communication Research, Vol. 18, No. 4, pp. 487-523.. Leonard-Barton, D., and W.A. Kraus, (1985),. Schrage, M., (1993), “The Culture(s) of Prototyping,”. “Implementing New Technology,” Harvard Business. Design management Journal, Winter 1993, Vol.4, No.1. Review, November-December 1985, pp. 102-109.. pp.55-65.. Leonard-Barton, D., and D.K. Sinha, (1993),. Simon, H. A., (1969), The Sciences of the Artificial, MIT. “Developer-User Interaction and User Satisfaction in Internal Technology Transfer,”. press.. Academy of. Star, S.L. and J.R. Griesemer, (1989), “Institutional. Management Journal, Vol.36, No.5, pp. 1125-1139.. Ecology, ‘Translations’ and Boundary Objects:. Lyytinen, K. and D. Robey, (1999), “Learning Failure. Amateurs and Professionals in Berkeley’s Museum of. in Information Systems Development,” Information. Vertebrate Zoology, 1907-39,” Social Studies of. Systems Journal, Vol. 9, pp.85-101.. Science, Vol.19, pp. 387-420.. Markus, L.M., (1987), “Toward a ‘Critical Mass’. 竹田陽子,(2001a), 「情報技術による分化・統合のマ. Theory of Interactive Media,” Communication. ネジメント:製品開発における3次元情報技術利用の. Research, Vol.14, No.5, pp. 491-511.. 事例」, 組織科学, Vol. 35, No.2, pp.38-47.. 12. 実験サイクルとしての情報技術導入プロセス.

(12) 竹田陽子, (2001b),「技術認識の多様性:サプライヤ ーは3次元情報技術をどのように見ているか」, ITEM ディスカッションペーパー, No.87. Tushman, M.L., (1977), “Special Boundary Roles in the Innovation Process,” Administrative Science Quarterly, Vol.22, pp.587-605. Tyre, M.J. and W.J. Orlikowski, (1994), “Windows of Opportunity: Temporal Patterns of Technological Adaptation in Organizations,” Organization Science, Vol.5, No.1, pp.98-118. von Hippel, E., (1976), “The Dominant role of users in the scientific instrument innovation process,” Research Policy, Vol. 5, pp. 212-239. von Hippel, E., (1994), “’Sticky Information’and the Locus of Problem Solving: Implications for Innovation,” Management Science, Vol. 40, No. 4, pp. 429-439. Zmud, W.R., (1984), “An Examination of ‘Push-Pull’ Theory Applied to Process Innovation in Knowledge Work,” Management Science, Vol.30, No.6, pp.727738. 本研究は、平成 14 年度文部科学省科学研究費 特定領 域研究(2) 課題番号 14019042 を受けています。. 論文. 13.

(13)

参照

関連したドキュメント

We show that a discrete fixed point theorem of Eilenberg is equivalent to the restriction of the contraction principle to the class of non-Archimedean bounded metric spaces.. We

Instead an elementary random occurrence will be denoted by the variable (though unpredictable) element x of the (now Cartesian) sample space, and a general random variable will

– Classical solutions to a multidimensional free boundary problem arising in combustion theory, Commun.. – Mathematics contribute to the progress of combustion science, in

In this work we give definitions of the notions of superior limit and inferior limit of a real distribution of n variables at a point of its domain and study some properties of

We shall see below how such Lyapunov functions are related to certain convex cones and how to exploit this relationship to derive results on common diagonal Lyapunov function (CDLF)

modular proof of soundness using U-simulations.. & RIMS, Kyoto U.). Equivalence

(中略) Lafforgue pointed out to us that the modules in our theory could be regarded as analogues of local shtukas in the case of mixed characteristic.... Breuil, Integral p-adic

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A