ヘンリージェイムズ試論 : The Portrait of a Lady を中心として
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(2) . 第 14 巻 第 1 号. 北海道学芸大学紀要 (第一部A). ヘ. ン リ ー. ジ ェ イ. ム. 昭和3 8年7月. ズ 試 論. 一筋e pのむrのむ qfα Lαばγ を 中 心 と し て - 伊. 藤. 仙. 一. 北海道学芸大学旭川分校英語英文学研究室 ’ 1膨 poγかの去 げ α 工αの Sen‐ i ro : 0n 日enry James l s7 chil (一). ジ ェ イ ム ズ (Henry James1843一1916) の意識の中には, 絶えず文明の理想を追 求する 熱情. があった. ジ ェイム ズは, 微妙な環境に置かれた人間の生が織りなす劇の中で, 自由を求める人 間の人間性の崩壊という現代的な相を感知 し, 叉, 人間は如何にあるべきかという倫理的な規範 を示そうとした, チ ェ イ ス (Ri chard Chase l914一) は, そ の 著 r卿 A’欄γ”の2 那oリメ の24 錦s rγαα訪わ7 zの 中 で, ア メ リ カ 小 説 の伝 統 を, イ ギ リ ス 小 説 の伝 統 か ら 断 ち 切 ろ う と した. イ ギ リ ス 小 説 と ア メ. リカ小説の双方を理解し鑑賞する為の第一歩として, 両者間の相違を一応認めねばな ら ぬ と し though mos i …al l tofthe great Amer i can novelsarero】mances, mostof the great Eng sh ) s are not …1 novel. (… 優 れた ア メ リ カ 小 説 の大 部 分 は, ロ マン ス で あ る が, 優 れ た イ ギ リ ス 小 説 は, そ う で は な い. …). 叉, The mL ion of the French and Russi i ly been ore extreme imaginat an novel sts has cl ear i i th the purposEお of mLodern A mer ters than has the Engl i can wr morein accord wi sh ) i i lnaginat on. …2. (フランスやロ シヤの小説家達の度はずつれ想像力の方が, イギリス的想像力よりも, 現代ア メ リ カ 作 家 達 の 目 的 に 一 層 よ く適 っ て い る よ う で あ る.) と 考 察 して い る. チ ェ イ ス に よ れ ば,. こ う した 伝 統 を 生み 出 した 想 像 力 は, ア メ リ カ 文 化 の 矛 盾. から生れたのである. その歴史的事実として, 彼は①に1 8 9世紀特有の民主主義の強要, ⑨に ,1 ニ ュ ー イ ン グラ ン ドの 清 教 主 義 を あ げ, ④ に, M【ore obvious ly a t hi ion l i legiance of the rd source of contradict es in the dual al , A mer i l l . cul ture belongs both to the old v▽or can, who in hi ectua s inte . d andthe New, 3 ) , , .. (第三番目に, これは誰にも明らかな事である が, アメリカ人は, 知的文化の点で, 旧世界に 属すると同時に新世界にも属しているという, いわば二君に仕えるアメリカ人の二重性に矛盾 があることを, 指摘すべきであろう, ) と結論している. 第三の理由をジ ェイム ズに当てはめて考察して みると, 彼が文化的二重の世界 l l に 属 して いた と い う事 実 は, 彼 に, メ ル ヴイ ル (Herman Me i vi e 1819-’ 91) マ ー ク ・ トウ ェ ン ) 1 8 3 5一1 1 と 質 の (Mark Twai 9 同 n 0 ロ マ ン ス 作 家 と して の素 質 を与 え る こ と に な っ た と, 結 論 して も 良 いこ と に な ろ う.. - 41 -.
(3) . 伊. 藤. 仙. ジ ェ イ ム ズ に, ロ マ ン ス の 特 質 の あ る こ と は 否 定 で き な い.. しか し, 如 何 な る 特 質 が, そ の作. 業の主な特徴であるかを検討することが重要であるとするなら, この結論には, 無理があると思 わ れ る. ジ ェ イ ム ズ が 生 れ 育 っ た ニ ュ ー ヨ ー ク は, ニ ュ ー ヨ ー ク な り に 洗 練 さ れ た 社 会 が, ョ -. ロッ パ の伝統を維持 していた筈である. 彼がニューイン グラン ドに移住した時, そこにはニュー イン グラン ドの異質の文化があり, 彼はその文化を観察 した筈である. ヨーロッ パ に渡り, イ ギ リス に落着くまで, 彼はこの観察をやめなかった. こうした事から想像できるジ ェイム ズの特質 は, 「知 的 女 化 の 点 で, 旧 世 界, 新 世 界 に 属 して い る こ と の 矛 盾 か ら」, チ ェ イ ス の 言 う ア メ リ カ. 小説 の伝統 (ロマンス性) の中にのみ, うずもれることではなく, む しろそれとは逆に, 二つ の 女明社 会の相を比較検討することによって, 理想文明を垣間見ようと努力 した点である, だが, 「理想」は, 我々の 「現実認識」 の上に築かれる以上, ジ ェイム ズの現実認識を疎かにすることは l ld Ket t e 出 来 な い. ケ ト ル (Amo ,19 ? --) は Each 。f these writers… Henry James, Butler, Hardy…is very mnch of his time; but inate cl inging to a ians i f one Cal l ti i s not to indicate a mere obst s the ーn the last victor ing wor ld. pass. ) There i s mo re than a whi性 of the future in their work.…4. (ヘ ン リ ー ジ ェ イ ム ズ, バ トラ ー, ノ・← デ イ は,. 同 時 代 の 作 家 で あ る. しか し, も し こ の三 人. を後期 ヴィクトリャ朝に位置 づ けたとしても, 彼等が, その過去の時代に, 全く固着 している にある) と言うわけにはいかない. 三人の作品には, 未来を予測させるものが多分・ と言ってい る. ジ ェイム ズにとっての未来は, 我々にとっては現在であり, 未来である. l が, 裏切られ, 自分の rみe p研 かαZ Z O′ ” 上αdy (1880) の 中 で, 自 由 を 求 め る 女 性 l sabe 運命に不信の念を抱きつつも, なおかつ信ずるに足りない男との希望の無い未来を指向されてい る運命は, 現代文明社会の一面を明らかに している点で, 予言的である. 「生きる」 ということ l が, 離婚 して自由に生きるか, さもなく は, 「自 由 を 得 る こ と」 で あ る と い う 信 念 を 持 つ lsabe. ば, 忍従の生涯を送るか, の二者択一の自由選択権を与えられた時, 間違っても結婚 したからに は, 結婚という厳粛な淀には従うべきだと思ったのであろうか, 夫 osmond のもとに帰って行く I Hawthorne 1804一’ 64) 果て e そ の姿 は, 生 き る こ と の 厳 しさ を 訴 え か け, ホ ー ソ ン (Nathani i ot1888- ) ま で も 思 い 出 さ せ る. は, エ リ オ ッ ト (T, S. E1. (二) rたe P研 か鑑Zo ′ ” 上ααy は, イ ギリスの旧邸宅の庭園でのお茶の一時から, はじまる. dEngl l i fan ol i tt The i sPosed uPon thelawn o sh e feast had been di n n LP1endents of the l country hous eド . iver be l iver…the r ing the Thames at sonle forty l 1 t stood upon a law hi , above the r l n ・i es fron・ London,. A1 ong gabl ed front of red brick, with the con・plexion of which. lsorts of pictorial tricks, only, however, toimproveand ime and weather had played al t l t d hi l i fi i d ts Windows t re行ne i , i , presente to the awn ts patches o vy, ts c us ere C mneys ) snQothered i n Creepers,…5. (一寸 したお茶 の用意が, 古いイ ギリス の邸宅の芝生の上に出されていた. … Hは, テーム ズ河であり, そこはロン ド その邸宅は, 川 の上流の低い丘の上に建っていた-i ンから5 0マイル余り離れたところであった. 赤煉瓦の切妻風の玄関は-長年にわたって風雨に 晒され, 絵のような しみあとで汚されて しまったが, 却って一層美 しさを増 した ÷芝生に向っ - 42 -.
(4) . ヘンリージェイム ズ試論. ) て点在する蔦, 数本の煙突, 蔓で埋められた窓を, 見せかけていた, 「 言い換えれば このガー ドンコートの邸宅には, 歴史の 絶対的優越性」 , , 人類の文化遺産があ l l の乱, 王政復古な どの面 影を宿 し,今や i th, Cromwe る. この屋敷は Edward vl, Queen E1 zabe t の 所 有 して い る も の で あ る. こ の 老 人 は, 30年 間 も イ ギ リ ス で ア メ リ カ の銀 行 家 Mr . Touchet. 生活し, この国の生活様式 を身につけている. コリー犬を膝もとに置き, テー ブルに大きな茶椀 館陣こも古い伝統の中に浸り切っているこの老人も, を置いて, 昼下りの一時を楽しむといった, 歯} 息子の Ralph に云わせれば, “ … You’ve l i hi ived wi ty years, and you’ve picked up a good many th the Bngi r sh for t ” 6 ) t say ings they don’ f the things they say. But you’ve never learned the th o , …. (「…あなたは30年も英国にお住みになり, 皆が語 る種々なことを了解なさって いらつしやいま す が, 誰 も ロ に 出 さ な い こ と は,. ち っ と も, お知 り に な り ま せ ん.」). と, 批判されている. 一つの文化圏に育った人間は, 他の文化圏の中に入っても, 合一す る こ と ton は, イ ギ リ ス 紳 士 を代 表 す る. 彼 は5000エ イ カ ー は困難であ る. Ralph の友人 Lord Warbur の土地, 6 , 7の邸宅を持ち, 議会に席があり,と趣味 が優雅で, たとえ革命が起っても彼だけは誰 l t t t も 手 を つ けま い と い っ た 人 物 で あ る, Mr on の三 人 の 中 へ, こ の 小 ph, Warbur , Touche , Ra l が, ア メ リ カ か ら や って 来 る. 彼 女 は, 説の主人公 l sabe She carr i f i l thi ed wi e ee n herself a great fund ofl ,and her deepest enjoyment wastof ions o tat the cont inui f the world. ty between the movement of her own soul and the agi ) ・”7. (彼女は自己の内に, 生きようという気を脹らせていた. 彼女の最大の喜びは, 自己の魂の動 きと世の中の様々な動きと の繋がりを意識することであった.) t の 言 を 借 り れ ば, であった. 彼女を連れて来た叔母 Mrs . Touchet “l found her in an l ing in a dreary roo1m t t od house at A1bany, si ‐ on a rainy day, “ 8 ) d h l f h ing erse to eat .… … reading a heavy book and bor. (私は, オル バニーのあの家で, 雨の日に薄暗い部屋に 坐って, 部厚い本を読み, 死ぬほ ど退 屈 して い る 彼 女 に 会 いま した. …) で あ る.. 読書 していな い時は, 彼女は, 美, 勇気, 寛容な どについて, 考えながら過 した. その結果, 当然の事な がら, 世の中を素晴 しいもの, 自由に活動する場所と見倣そうとするようになった. こ のように l sabe励ま, オ ル バ ニ ー に 育 ち, ア メ リ カ の慣 習 を 身 に つ け て い る の で あ り, イ ギリ ス の社 会 の慣習 と, ア メ リ カ の そ れ と の 衝 突 は,. 次 の 会 話 で 明 ら か ら で あ る.. l の三 人 が, 夜, 興 に 乗 っ て 話 し 込 ん で い る と, 叔 母 の Mr l ton と 1 Ra s sabe ph と Warbur . Touchet tが, も う 話 を 止 め て, 床 に 就 く よ う 注 意 す る. で な い と, 寝 室 の ロ ー ソ ク を つ け て く れ る 人 が いな い か ら で あ る, ’ ’ “Ah ou needn’ lph wi l ll i t wai t! Ra ght my candle, ,y ly engaged. l l ga i sabe ’ ‘ ‘ ight′your cand l i 1l 1 1 ight your candle; do let me l e s s Archer!” , N1. Lord v▽arbur t on exclaimed. “ “onl l be i dni l not be before mi l ght y g tsha , i l N1rs ightl t 行×ed her b t t r e eyes uPon him a moment and transferred them , Touchet - 43 -.
(5) . 伊. 藤. 仙. l dly to her niece. co ぐYou can’ ‘ lone wi lemen. t stay a th gent ” ) my dear, …9. ’ You’ bany l t A1 re not…youre not at your b es ,. (「待 っ て 下 さ ら な く て も 結 構 よ. ラ ル フ が あ か り を つ け て く れ ま す も の.」と, イ ザ ベ ル は, 嬉 しそ う に 云 っ た. 「私 が しま す よ. 私 に さ せ て 下 さ い, ァ ← チ ヤ ー さ ん,」 ワ ト バ ー トン 卿 は 叫 ん だ.. 「それに しても夜が更けてからでないと, あかりをつけたくありませんね. 」 ターチェット夫人は輝く小さい眼で, 彼を一寸見据え, 次いで, 冷たいその眼を姪に向けた, 「男 の方とだけではいけないのです. あなたはもうあの素的なオル ドニーにいるんじやないん ) ですからね. 」 イ ギリス の紳士が, 夜更けに, 女性の部屋 のローソクをつけるということは許されない. War- burton にその棚 を乗り越えさせたものは 彼女が オル バ ニーからやって来たアメリカ娘である , , t t と い う 無 意 識 の う ち に 働 い て い る 気 安 さ で あ ろ う. 三 人 の 驚 き の 言 葉 を 尻 目 に, Mr s , Touche. の言葉を拾ってみ ると, Warbur t on に 対 して, ”1 d “ 1 0 ) dn’ i t make your country, mーy l t as 1 6nd it t take i ord,1 mus , …. (「私があなた の国を造った のではないので< お国の事情は良く解りませんけれ ど,> 私は自分 で 見 た ま ま に 了 解 す る ほ か な い ん で す よ.」) l l に対 して, sabe “Y un l ts i th the gentlemen late at r t alone wi s here…in the decent houses…don’ o g gi “ i h t ng . ”l shal l always t l l you, whenever l see you taking what seelns to α1e too much e iberty.”… ) l. (「ここでは, 若い娘達は-上品な家では-夜遅く, たった一人で, 男の方達といてはいけない の で す.」. 「余り勝手に, 振舞っている時には, いつでも, あなたに注意 しますよ, 」) 2 )が T h t t の 性 ら こ う 言 か した に い な い と い う か も 知 れ な い1 ある人は Mrs 格 は 納 得 が か o u c e . , , , 国と国と の贋習の相違が, 人間の全的な融合を不可能に し, 微妙に置かれた環境の中での個人個 人 の葛藤が, 時代の女化的状況 を示すということは真実である. その真実の劇化をジ ェイム ズは 意図 した のであろう. lに結婚を申 し込む時に, 一層具体的な形をとる. 状況の劇化は Warburton が l sabe “…l d n’ ’m a ver judi ci o t make mi stakes about such things; 1 ous amimal y . ’ ’ ’ ’ 1 3 ) ly, but when l m touched i f eas f l f i i t … … s r o e go of . ,. l don’ t. (「このような事で, 間違ったりなんかしません. 私は思慮分別のある男です. 私は気安く行動 を起こしたりなんぞしません, しか し私が恋 を感じた時, それは人生の為なんです. 」) 慎重な考察 の結果, 自分を生かす為には, 彼女との結婚が必要であると信じ, 彼女に自由を与え る な どと 全 ゆ る 条 件 を 附 加 し, 結 婚 を 申 し込 む. こ の こ と 自 体, Lord の 身 で あ る Warbur t onに は, あ り 得 べ き こ と で はな い. ア メ リ カ の 娘 な ら 誰 で も, 時 賭 す る こ と な く, こ の 申 し 出 を 受 け. lは何故受諾しないのか,自分自身に優越感を持っているからであろうか, ると思われるのに,l abe s bur t ここにも二人の (更には, 二国の) 間に, 奇妙な意志の疎通の欠如がある. 実際 Wa r on の 44 一.
(6) . ヘンリージェイムズ試論. 姿は, 彼女の心に大きく浮 び上って来てはいるが, この申し込み を受け入れる為には, 今迄自分 を律してきた moralimages (つ ま り,自 分 の 崇 高 な 魂 を高 め る も の で あ る か どう か と い う moral image ) に照応させてみな ければならない. この結婚の受諾は, 彼女に対し余りにも範時の異つ s た理解を強要するものであった, i Sheconlddt mar i l iu- ry、Lord Warburton; the ideafa ed pr e ed to supporヒ any enl ght di i fe that she had hi therto entertained or was cein favour ofthe free exploration of i 4 ) f entertaining,…f now capabl eo. (彼女は, ワー パー トソ卿と結婚することは出来なかった. 今迄, 心に育んで来, 叉今も抱い ている, 生を自由に振舞ぅことを彼が約束すると言ってくれたとしても, どうしても結婚す る 気にはなれなかった, ) l に求婚 した時, その拒絶の中に 理想的な融合の願いは, アメリカの綿工場の社長令息が, l s abe も読み取ることが出来る. “l don’ “ said Cas er r l him a companion, t cal p g imly, ’ ”VVh not‘ fer absolutely?’ ince l de l ined hi . .s c s of y ’ ’ ”rh t d esn’ i i t mーake h sh江ー an, a o t n mLy companion. Besides, he’s an Engl “ ’ ”And pray isnt an En l shman a human being? lsabel asked, gi “oh these eo l ty, and l don’ t care what becomes of r lani p p e ? They are not my hul , 5 ) them.“…1. (「私は彼を仲間<自分と同じ不幸な者〉と呼ぶ気になれない. 」 とカス バ-は,語気 を強くした, 「何 故 な れ な い と お っ しや る の,. 彼 の申 し込 をき っ ぱ り と 断 っ た の に,」. 「断られたから と言って, 私の仲間にするわけにはいきません. それに彼はイギリス人ですか ら ね,」 「イ ギリス 人 だ っ て, 人 間 じや あ り ま せ ん の.」 イ ザ ベ ル は 尋 ね た,. 「彼等は, 私の仲間じやありません, だから, 彼等がどうなるうと, 私の構ったことじやあり ま せ ん.」 t care what 1 と, ‘They are not my humanity, and l don’ i human be abe ng の基 盤 に 立 っ ls 一 fthe becomes o ld の考 え を 抱 く Casper Goodwood こ の つ の合 流 点 は, た と え 同 国 人 で あ る. という利点を考慮に入れても, ジ ェイム ズの理想的融合の理念から遠いものであるか ら, これを 発見することは不可能である, Ral tは, ジ ェ イ ム ズ の 理 想 に 近 い像 を 写 す. 欠 点 を 持 っ て い る も の の, ア メ リ カ 人 ph Touchet ヨ い ーロ ッ パ 人 で もな い, こ の二 つ の 文 明 の 融 合 さ れ た 人 格 を 体 現 して い る. 30年 も 英 で もな , ” earned the thi ngs they doばt say 国人 と 共 に 生 活 した 父 親 に, “Yoぜve never l . 叉, 親 友 Warbur t on に 対 して “But he’ ion hi i b f lin a m l s power s al uddl e about hi ・ nse L s posit , , and ndeed a out ,hi ’ l i i i l h h d b i l d H h i t f t t l ・ e wor , es t e v c rn o a cr ca age; e as cease o e eve ・n everything in t 6 ) i t know what to bel f and he doesn’ l himse eve ・n,…”…7. (…彼は自分を, 自分の地位や力を, 言ってみれば全ゆるものを, どう受 け取って良いのか, 全く困惑 しています. 彼は口の悪い人々の犠牲ですよ. 彼は自分を信じられないし, 何を信じ て 良 い のか も 解 らな い ん で す か ら ね,」). と批判 している, こうした彼の観察, 考察, 批判は, 当然の事 であるが, 我 々が判断 したものと 街「.
(7) . 伊. 藤. 仙. 一. l ph に 価 値 づ け の役 目 を 負 わ せた と 認 め て も ほ ぼ 同 じ で あ る こ と か ら して も, ジ ェ イ ム ズ が Ra. 良いだろう. Ra l ph の自己分析は, ” ’ ’m nl Cal “…1 iban; 1 m not Prospero o y . ’ ”VVhat i i l la fbe cted to mere spectatorship at the ed and restr s the t i se o ー ld di sabl ng i ’ ’ ’ i cket? …’ i fl f f l really cant see the show when lve paid so 窟ーuch for my t eo ー ・ ー ei ga . (「… 私 は, 唯, キ ャ リノミソ に す ぎな い の で す. プロ ス ペ ロ じ や あ り ま せ ん よ.」. 「…私が切符を買うために, いくら高いお金を払っても, 芝居を本 当に了解する力がないなら ば, 自分が病気になり, 手足をもがれ, 人生という ゲー ムを傍観す るだけになることの価値が どこを こに あ ろ う か・」) lan 男爵の如く 魔法を使って能動的に生に参加することは出来 で 明 ら か で あ る. Ten ・pe st の Mi , i ban ぐら い に は 生 き る こ と が 出 来 る と 自 覚 して ないが, 病身で不可能であるに しても半獣の Cal lph の 使 命 は, 人 生 を 熟 視 す る こ と に よ っ て, 価 値 あ る も の を, 能 力 の 範 囲 内 で 自 分 の い る. Ra 人 格 と して 吸 収 して い く こ と で あ る. i i f Cr i i t Z on o c sm Z の The Funct z タ フ ? タ フ 2のz Pz″s ‘ リ ー ヴ イ ス (F. R.Leavi s 1895… ) は, CD の中 で, 次 の よ う に 述 べ て い る.. Wha t we have,f s and rゐe p げ か のZ o/ α Lαメタ is a orinstance,in rあB B錫“姥の2 ic terms ive interplay, done in dramat ic (a i land construct i i t t ) cr character ca st s l seei , ionsforor against i between d iぼerent cultura1traditions: aninter ayin Whi .ninat ch discr ‐ade i are n n respect of both sides, A merican and European, and from. which energes. 1 8 ) lpos i ion of an idea ive that i ther the suggest t s nei .…. (例 え ば, 「ヨ ー ロ ッ パ 人」 「一 貴 婦 人 の 肖 像」 で, 了 解 で き る こ と は,. 特 徴 の あ る, と 思 う. のだが, 批評的な, 建設的な, 異った文化伝統の内に存する相互作用が, 劇的な言葉で綴られ て い る こ と で あ る. 相 互 作 用 を 見 て い く 中 で, 良 し悪 し の 判 断 が,ア メ リ カ, ヨ ーロ ッ パ,両 方. ) の見地に立って成され, そこから どちらでもない理想の現実を暗示するものが生れて来る. この見解は, 不足なところはあっても, 間違いはない. 適切な要約であるが, もう少 し重要なこ とを検討しつつ補足 したい. r脳 E““peα”s を 批 評 す る に 当 っ て は, ジ ェ イ ム ズ の意 図 を リ ← ヴィ ス は 完 全 に 見 抜 い て い る. しか し, rんB P0γZγαZz of α 乙αdy と, r膨 E“γopeα郡 を, ほ ぼ 等 し い も の と 看 倣 して い ivど で あ り, 一 種 の寓 話 で あ t t る 点モ ヒ, 疑 問 を挿 む 余 地 が あ ろ う. r彰 β“γopgの2 cons ruc s は, ‘ 1 ゑβ Porか 諺Z o り, そ れ な り に 優 れ た も ので あ る が, 7 〆 ” Lααy は, ‘constructive’ な も の を, des ivど な 要 素 を も 扱 っ て お り, 寓 話 的 な も の で は な い. 現実の人生 t t 垣 間 見 つ つ も, 現 実 の ‘ ruc ld と des l を して, ‘ le な 要 素, lsabe thi ivぎ な, ‘ ignob の‘ t s was what darkenedthe wor ruct ‘ oss 9 1 ) ld に 意 識 を 集 中 す る こ と は で き な い, 嘆かしめた一面を了解せずには p ible wor. ,. (三) rルe P研 か物Zo′ ” 上ααッ は, 題 名 の 示 す と お り, 一 貴 婦 人 の 肖 像 で あ る, ‘Lady’ と い う 言 i i tocrat 葉 か ら発 す る ar s c な ニ ュ ア ン ス は, 理 想 化 さ れ た も の と い う意 味 合 い を連 想 さ せ る, 理. l が持っているこの利点は, 基本的に 想的な状況は, 判断の厳密さ, 公正さを可能にする. Ls abe - 46 -.
(8) . ヘンリージェイムズ試諭. ‐世紀 は, ジェイムズが目指 したものであろう. 描かれた社会が, 限られた社会 (具体的には, 1 9 末のヨドロッパ, ブルジョワ社会) であるから, 求められる真実度は現実の社会のそれと比べて 稀 薄 で あ る と い う 論 が あ るな ら ば,. ジ ェ イ ム ズ と ドラ イ ザ ー (Theordore Dreiser 1871一1945) ,. i l l l l i Haml am Words- am shakespeare 1564一1616) と ワ ー ズ ワ ー ス (Wi et の シ ェ ク ス ピア (Wi worth 1 ) 7 70一1850. この二組の各々を比較することだけを示唆すれば良いと思う. 一見如何にも. ) 2 0 実人生とかけ離れた芸術の真実と現実の真実との相違である. ジェイ ム ズ は, そ の ノ ー ト ブ ッ ク で d 】ned of freedo dea of who1e thing is thatthe poor gir1 Thei ーm and , who was rea bl ighted thing d i , a generous, natural ear s eness nobl , cl , who has one, as she e ves. i ( n. l loftheconvent i l fin real ty ground i ional inds her ing Wa ton) f n the very n.i refus rbur se . T 2 ) . , ,. (自由と高貴を夢み, 信ずるところに従って, 〔ワーパー トソを拒絶する時に〕 , 気前よく, 自 然に, 将来をはりきりと見 通して, 事を運んだこの貧しい一少女が, 実際には, 因襲の輪に巻 き 込 ま れ て い る のに 気 付 く と い う の が,. こ の 小 説 の 中 で, 言 いた い こ と だ.). l l の 自 由 の崩 壊 の記 録 と 見 て も 良 い. Ra と述 べ て い る, 換 言 す れ ば, l ph のた だ 一 つ の最 大 sabe l に 代 行 さ せ よ う と して, 彼 女 の 船 の 帆 に 少 しば か り の誤ちは, 自分で経験する人生航路を lsabe l に渡すよう願う. 風を送りたいと思ったことである. 彼は父親に, 自分の財産相続権をl sabe ”工 shou ld l ike to puti tinto her power to do sol エ ーe of the things she Wants , she ’ ’ 2 ) ike to put l ld l ld f r ー oney i n her purse, …2 s to see the wor want orinstance , 1 shou. 「私は彼女にお金を与えて, 彼女がしたいと願ってい ることをさせてやりたいのです. た とえば 」) 彼女は世界を見たがっていま す. 私は彼女の財布の中にお金を入れてやりた いのです. ) と 言っ て は い る が とに かく 財 2 l t seems to meimmo lph の誤 りを察してか, ‘ rar2 父 親 は, Ra , l を悲劇 の運命に導くものであっ 産の大部分を lsabel に 贈 る. しか し, こ の お 金 こ そ が, lsabe. ・ た, 物質的な束縛か ら解放さ れて真に自由に生き る手段となり得るか, 或いは策略の土の犠牲と l e と 0smond の二 人 なるか, 少くとも Ralph の意 図 は, 前 者 であ っ た. 策 略 は Madame Mer. l の叔母 Mr t と 共 にロ ー マ l s e は 策 に、よ り, lsabe に よっ て始 め られ る. Madame Mer . Touchet 1 と Ra lph の, 現実に反 と 結 婚 さ せ よ う と す る. こ こ で, l sabe にやって来た lsabelをosmond 、. 応する意識の感度に奇妙な相違が生れる, l の眼からすれば, 生きた l lph の眼か らすれば, 余りにも完壁な寄生虫の Me Ra r e が, lsabe. l ) ph の価値観 が正 しい, 芸術作品 の一例 として感じられ る. (実際は, Ra 1 i E b h D t a M 高 慢 な d 初 と に思われていたが,その メ は最 男 a e z e で, r 2 Pγ8カ c PだdB α7 . arcy , , l e で あ る. 逆を行く人物が Mer l が osmond に 言 及 す ると き, lph と の 会 話 の 中 で, l sabe 二 人 の間 の意 識 の 相 違 の 開 き は, Ra l にとってみれば osmond は, 決 定 的と な る, lsabe ‘ ‘ ln everything that nユal くes one care f or people ~lr. osn]ond is pre-eminent , .here ’ ’ n d l f i h t r t lve never had t e p easure o mee ng one. er natures,bu may be nobl . osmonds ’ i s the 行nes亡 1 know; hes good enough for me, and interesting enough, and clever ’ th What th what he has and whatherepresentsthan wi ( wi r ー ore strucl enough, 1nl far l 3 ) he .nay lack!“…2. (「人に尊[敬され る どんな資質を取り上げて見ても, オ ズモン ドさんは, この上なく秀れていら - 47 一.
(9) . 伊. 藤. 仙. つ しやるわ. 彼より, 上品な方がいらつ しやるかも知れませんが, 私はまだ,そのような方に, お目にかかる光栄に浴したことはありません. オスモソ ドさんは素晴 しい方 です. 私には過ぎ た方です, 善良で, 興味があり, 賢くて. 彼の内にあるもの, 彼が表現している・ ものに, いた く心を打たれていますので, 何を欠いていようと少 しも気になりませんわ. ) 」 l l が 好 ん だ も の は 彼 の 保 持 して い る も の 彼 が 具 現 して い る も の で あ る, 事 実 osmond sabe , , ,. が具現しているもの - 洗練された趣味, 好事家, 芸術的貴族趣味な ど 一 は, アメリカから離脱 を試みた人々に, 得てして有り勝 ちであるが, それは, ヨドロッ パ の伝統に我が身を投じて体得 l 傷 の あ る 陶 器 を, 上 塗 り で 隠 した よ う な も の で あ っ て 見 れ ばRa ph が, ’ ”…He has a great dread of vulgarit ; that ’ h l l h i t t h i i h s s spec a ne; e asn any o er that y. した も の で はな く て, 4 ) l know of…”…2. (「…彼は全くの俗物です よ, それが彼の特質なんです. 私が知っているのは, それ だ け で す よ.“. と価値づ けをするのも至当である. 皮肉に満ちた二人の意識の離反は破端を予想させ る. Ra l ph は父親に言った言葉を思い出 して, 自分の理想が崩れて行くのを見, 気拙さと恥ずかし. さ を感ずる. 結婚後の osmond は, なるほ ど以前と比較 して, ず っと意匠を凝らして, 部屋を趣 l 味 良 く 飾 っ て は い る が, Ra ph の眼からすれば,. ‘Under the ‘ ing only for int ive for the ived exclus ins ic value os se of car r 1 ・ 1ond l gui. 5 ) ld,“…2 wor. (「…本質的価値をのみ求め るという仮面を覆ってオ ズモソ ドは社会から遊離 して生 活 し て い た.」). l が osmond の本質を理解するようになっ 見せ掛けの貴族的生活にすぎないのである. 工 abe s たのは結婚後である. 自分の置かれた 位置を認識するに至るまでの場面の展開の仕方・ジェイ ム ズ の意識の集中力は, この小説の圧巻である.l l の 心 を, osmond の暗い影が, 段々と覆っ s abe と,. ” 2) と 嘆 賞 せ しめ る に 充 分 で あ ろ ’i jor て い く 心 理 描 写 は, リ ー ヴイ ス を して, “‘Poe t s ma ry ,! … う・ l l は, 昼間 Meda lに よ り l sabe lond が, lsabe e が 訪 れ て 来 た こ と を 思 い 浮 べ る, osn ne Mer l , l もむ しろ Mer e と直接, 親密に話すことにふと不信感を抱く. こんな気持は, 彼女に起ったこと. がなかった. その他, 彼の手に触れるもの, 全ゆるものが, 腐敗し堕落して行くような印象を持 つ. -一夫に対する不信感. lt was not her faul ion; she had on t… she had pract i l ced no decept red and y admi. be l i l lthe 賃rst steps in the purest con賃dence, and then she had eved , She had 銀ken a l . i i f i t t th a suddenly found the in6ni ey wi e vista of a mu edl e to be a dark, narrow al pl dead wal l at the end. lnstead o fl dwouldseeln ing to the high places of happiness, from whi l ead ch the wor i 1ow one to 1 dl l ion and advan- e be tat ook down With a sense of exal ン so that one cou tage andj udge and choose and pity,iti ed rather downward and earthward,into realms i ion and depress ion where the sound o ives ierandfreer f other l of restr ct rd ,eas , washea. l i i l t served to deepen the f as from above ee ure ng offa , and wherei . 7 ) l t was her deep distrust of her husband… thi ld.…2 s was what darkened the wor. 一 48 一.
(10) . ヘンリージェイムズ試論. (下線筆 者) (彼女が悪いのではなかった. 彼女は数いたことはなかった. 彼を尊敬し, 信じた のだった. 彼女は純粋な信頼を龍めて, 第一歩を踏み出 したのだが, その時, 実然, これから積み重ねら れて行く人生の果しない未来が, 死の壁の突き当りへと 通じている暗い狭い小路であると気付 いた. 世界が, 眼下に横たわって いるように見えるゆえ, 得々と, 優越感を持って眺め, 判断 し, 選択し, 燐むことの可能な幸福な高所へと続いて いるのでなく, むしろ下方へ向って, 坂 を下り, 拘束と抑圧の地へと連なって いた. そこへは, もっと気楽で, 自由な人々の ざわめき が高所から聞えて来るように思われ, そのため坐折感は強め られた. それこそは, 夫に対する ) 不信感であった, 「死の壁の突き当りへと通ずる暗い狭い小路」は, ホーソンと同系に位置づけられる表 現である. ’ ‘ l d thi s was what darkened the wor , と い う 言 葉 は, ジ ェイ ム ズ の 世 界 観 を 暗 示 し て いる.. l をこの袋小路に追いつめた原因として 「身から出た 錆」 だとする二つの理由が考えられ l sabe よ う.. 金が, ある種の精神的緊迫感を彼女に与えた ので, 彼女は自分を他人の意識の中に投入し, 即 ち, 金 を受 ける に 自 分 よ り も っ と ふ さ わ し い 「容 器」 osmond に移 し, その金を彼に利用 させる. ことによって,理想の可能性を見極めようとした. 物質的な必要性から解放されることによって, be l のこの実験は, 遂に残酷な結果に終った. これが第一の理由とな sa 理想の実現を 目指した l ・. る,. i 1 と 実 は, ‘ onar な も の, ‘美 し い convent 今一つは, 自由に生きようという理念を持つ lsabe lが sabe 見 せ 掛 け の も の’ を求 め るosmondと の価 値 観 の 相 違 か ら 破 局 が 生 れ る. 一 に 対 して は, l. 富を行使する ことによって, 自由を獲得するという間違った 自由の観念の認識から, 二に対して は, 自分の理念をある程度 osmond に 隠 し て ま で (そ れ ほ どま で, osmond を愛していたのだ が) 結婚したと いう罪によって, 袋小路に追い詰められるようになったとも考えられる. 他にい ろいろ理由が考えられようとも, 我々はこの文脈の中で, 一番自然な流れに沿って, 小説の発展 l は, osmond に 裏 切 ら れ た の だ. を見な け れ ば な らな い, lsabe. (こ の よ う に, い ろ い ろ 理 由 が. 浮ぶのは,ジェイム ズのモラ ルに対する集中度の不足 から生じたことであるかも知れない, が, 小 ) 説は寓話ではない. o 次 の一 節 は, smond の性格を浮彫りにしている. この状況の真実性の裏付けとなるのであろ う. th which she had taken the in, the incredulous terror wi ive i t over aga She could l l l ing. I n L easure of her dwe. ince; they ived ever s ] l Between those four wa s she had l. i fe f herl t was the house.of darkness,the house were to surround her for the rest o , l ’ ful mind gave i i i i 0smond ther l 七 ne ion, focat f suf s beaut bness ght of dumL , the house o ’ i ful l nind indeed seemed to peep down from a slnail high aut r; ○smonds be nor ai window and n・ock at her . ight have lsu什ering there l fer i i ing; for Phys 1 1 0f course i ca t had not been .Pi cai suf 1ys iy fecr iberty;i dcol been a remedy. Shec ・er husband was per t l eand go; she had herl oul i te. pol. l hi ture, l l ing. Underal t wa s cul He t l fsoseriously;i ssomethingappa ook himse. f i i l i ty, hi e s knowl edge of i hi s good-nature, his fac s amenity, under hi s cleverness, hi , 2 S J ike a serPentin a bani i i ( of 負owersド, i sn1 iay hidden l s egot 1. - 49 -.
(11) . 伊. 藤. 仙. (彼女が, 自分の住居のことを考えた時, 信じられないほ どの恐怖の念に打たれたことが あ っ た. その恐怖の人生を再び送ることは出来た. 四面壁に囲まれて, 今迄ずっと生活して来た . この壁は, これからもず っと, 彼女を囲むことになってし・た . それは, 暗い, 沈黙の, 窒息し そうな家であった. オ ズモソ ドの美しい心は, 光も空気もこの家に与えなかった . オ ズモソ ド の美しい心 は, 小さな高窓から覗き 見, 彼女を朝 笑しているように思われた 勿論 それは彼 . , 女に 肉体の苦痛を与えるものではなかった, 肉体の苦痛なら癒すこと も可能であろう 彼女は ・ . 動くことは自在であ った. 自由を持っていた, 夫は全く洗練された 男であった 非常に真面目 . に自分を考えていた. 人をぞっとさせるような ものを含んでいた. 彼の教養, 賢こさ 感じの , 良さ, 人の良さ, 器用な才, 人生な どに対する知識な どの裏側には, 生い繁った花の中に這う 蛇の如く彼の我欲 が潜んでいた, ) l b l sa e が一つの運命の糸で, ここまで来てみると, 彼等の関係は, 悲劇的な様相を帯びてさえ い ’ l のこの絶望的な心 理状態を ‘ る, l thi ld sabe s was what darkened the wor . と 表,現 した ジ ェ イ ム ズ が 予 測 した も の は, 何 で あ ろ う か と 考 え る 必 要 が あ る. thi s で暗示されるものは, 自分が信. ずるに足りるものと確信していたものが, 実は見せ掛けのものにす ぎなかったという誤解であり , l d で暗示されるものは, 狭義のも の で は な く, l the wor l を 含 め, 彼 女 を 取 り ま く 世 の 人 々 sabe. であるし, 人間が構成する社会と女 明, 叉, 未来の世界でもあるように思われる, 自分の羨望するほんの2, 3の選ばれた人々と, 自分が持 っている少しばかりの思想 の他, こ の世の全ゆるものに威丈高な 侮蔑感を投げ掛けるのが, 西洋一流の偽紳士 osmondrの 姿 で あ る l が理解する次の一節によってもこのことは 明らかである と, l sabe , , She would have gone wi th him even there a long di inted outto her t z ince; for he po s. f the baseness and shabbiness ofl i fe opened her eyes : so much o so wide to the stu- , i ty ly impressed lankind,that she had been proper pid ,the depravity, the ignorance of nコ ’ i th the in行ni t ty of thi f unsPot Wi e Vulgar ted 1gs and of the vi rtue of keePing one s sel l by i t . But thi ld,i t appearedク was after a1 1 what one Was 七o l ive for; s base,ignobl e wor ’ k t i t i i d f h l one was o eep or eVer n ones eye, n or er not to enig ten or convert or re‐ ′ 3 ) b deen・ i t t t t i t so t f one’s own superiority.…2 e u x a r ctfronn i l r r l e recogni o on o ,. (彼女は, 彼と共にずっと遠い地点まで, 行ってしまうのかも知れなかった. 何故なら, 彼は 彼女に人生の卑しさ, さ もしさを強く示し, 彼女の眼を広く人間の愚, 堕落, 無知へと向けさ せ, 世の中が限りなく俗悪であることと, それに染まらないようにする努力がこの上なく 馬鹿 ら し い も の で あ る こ と が, は っ き り 解 っ た か ら.. しかし, 卑しい, 堕落した世界は, 結局人 がその為に生きねばならないものであるようにみ えた, 啓発し, 改善 し, 救済するためではなく, そこから自己の優越性をある程度認識するた めに人が, 永遠に, 眼を背けてはならないものであ った. ). 彼. os baseness と ‘ lnond と の 長し・生 活 を 通 じ て, 彼 女 が 知 った も の は, 人 間 の ‘ i nesぎ で shabb. あ る. 彼 女 は, 目 を 見 開 い て, 人 生 の ‘愚 か さ’ と ‘堕字署 を 看 て 取 る. ジ ェ イ ム ズ は こ こ で, one. と非人称を用 いて, 一個人から人間全般へと一般化を試 みたと思われる. 下劣な世界は, 人間が生きている世界な のであり, 人間は, その習性により, 眼前 の世界の改 革を日指しは, しな いのである. 人間は, この世界に生活し, 優越感を持つことが出来る. 下賎 な世界である. - 50 -.
(12) . ヘンリージェイムズ試論 Ra lph な どを通じて理想像を追求したジェイムズの現実を認識する感覚は , 一見, 現実生活と. 切り離されているように思われながら, 実は現実と結び付いているものである. 丁度, デパー トに掲げられた広告用の風船が彼の理想の世界なら風船が細い糸によって, ごみ と人 の住んでいる実社会と連っているように, 彼の小説も現実と結び付いている. ジェイムズの 9 )で あ っ た と 言 う グ リ ー ン(Graham Greel 2 気持を支配していた情熱は,‘Theidea oftreachery’ ・e l904- ) の言葉は, この現実の相に言及したものである, 閉鎖的社会の中で生き, その社 会の 中で鋭い観察を働かせて, 皮肉を効かせ, 知的な会話をする作家であるオーステン ( Jane Austen 1775一1817), エ リ オ ッ ト (George E1 i ot1819-’80) よ り, ジ ェ イ ム ズ を 一 歩 前 進 さ せ た のは,. この点に於いてであり, これは叉, 現代の相, 未来の相でもある.. (四) rルe p 研 かαZ ZO′ ” L”〆y の 白 眉 は, 最 後 の クラ イ マ ッ ク ス で ある ジ ェ ム ズ は, 便 宜 主 義 的 . な 生 き 方 を 是 と せ ず, 人 生 に 対 し 真 塾 で あ った, l l sabe目は, 死 の床 に ある Ra ph に 会 う為 に, ガ← ドン コ ー ト に 夫 os l ・ lond の反 対 を 押 し 切 っ て 戻 っ て 行 く. 彼 女 は 自 分 の 眼前 を よ ぎ っ て 行. く漠とした暗い影 を認め, 自分の生命の失くなる日まで消え ることはないだろうと思う. l 彼女は体内から力が失せていくのを感ずる. そして, Ra ph の死を羨しく思う. もし, 人間が 完全な休息地を求めるならば, それは死である. 全ゆるものを放棄し,何も知りたいと望まない, 即ち, 完全に死のような状態に なること. こんな考えの中に安らぎを見出す彼女は, 絶望的状態. に ある. “VVhati ied, her now extreme agi i f smothered id for mLe?” she cr tat t you d on hal si i tude by her att ,. l wi She had lost a l l her shame, al sh to hide things ,. Now he mLust. 0 ) know:she wi shed him to know.…8. (「あ な た は, 何 を して く れ た の です か.」 彼女は叫んだ, 現在の心の非常な興奮は, 確たる心. の構えで半ば押し殺されてはいた, 恥ずかしいという気持, 事態を隠そうとうい気持を全く失 くしていた. 今, 彼は知らなければな らない. 彼に知って貰いたかった, ) 本当に lsabel を愛 し て いた のは Ralph である. 自分の不幸を今迄, 誰にも知って貰いたいとは l 思わ な か っ た の が, 今 こ そ, 彼 女 は, Ra ph にだけは知って貰 いたかった. それが救いになるか l に, も は や 自 由 の 無 い こ も知れないが, Ralph に 対す る 義 務 で も あ っ た. Ralph の 死 は, lsabe l{ と を 暗 示す る よ う に 思 わ れ る. l ま死の状態に追 い込まれてはいるが, 物理的に死んでいる ′ sabe. のではない以上, その次の最良の道をた どる しか仕方がな い. l Ra ph の死 後, ロ ー マ の osmond の こ と を 思 い 嫌 悪 感 に うち 震 え, ガ ← ドン コ ー トに 留 っ て いる. 彼女には osmond の所に戻るか, 或いは 新しい人生を開くかの決断が残されている. 以. , d る 前の求婚者である Goodwo がそこに現われ o , 彼は新しい彼女の未来の世界を表象している. l は, その力 「世界 が, あ なた の前 に ある」 と い う Goodwood は,彼女を激しく抱擁する.l abe s に圧倒されそうになる. l thad comei l She had wanted he n a rushing torrent p;i p . l know , and here was he ivedjus亡then that to let h im i d; but she be l l i not whether she be eved everything he sa 1 ) take heri lns would be the next thing to her dying,…3 s ar n hi. (彼女は, 救いを求めてきた. そして, ここに救いがあった. それは,凄じい勢でやって来た. 彼女が, 彼の全ゆる言葉を信じていたか どうか解らな い, しかし, 彼女は彼に抱擁を許すこと - 51 -.
(13) . 伊. 仙. 藤. が, 死 の 次 に あ る べ き こ と と そ の 時 は 信 じ て い た.). しかし, 数日を待たずして, 彼女は, 夫のもとへ帰ってし・き, その後で, 彼女を訪れた Good‐ l が, ロ←マを離れる時の彼女への言 wood は, 理解 に 苦 しむ が, 我 々 は, こ う 予 想 す る. l sabe 及は一筋の手がかりを与えている. v i ′hat he thought of her she knew, what he was capab1e of saying to her she had i f iage meant that a wo l l l that t; yet they Were marr ed,far a e ー m ーan should , and marr 2 ) l h l .…3 ing tremendousvows th who t c eave to the man wi l ・ ・ er , ut , she hadstood att e ater. (彼女は彼が自分のことをどう思っているのか知 っていた. 自分に彼が何を言おうとしている か, 感じていた. しかし, なんと言っても二人は結婚していた. 結婚は, 女性が大仰な誓いを 述べながら, 祭壇で, 共に立った男に堅く結びついているべきであるということを意味してい た. ) i 結 婚 直 後, 友 人, Henr ta と の 会 話 に も, 繋 っ て い る, et ”. don’ t know what great unhappiness mi ing me to; but it seems to me l ght br l always be ashamed. shal. ’ one must accept one s deeds .. l ied hinl before al l n・arr. ly free;i i bera ld;1 was perfect t was impo l the wo i t b l ー orede e r ss e to do anythinglr , one ’ ” 3 3 ) cant change that way. …. (「どんなに不幸になっていくのか, 私には解りません. けれ ど, 私はいつも恥ずか しい気がす るように思われるのです. 人は自分の行動の責任を持 つ べきです. 私は, みんな の前で, 彼と 結婚しま した. 私は全く自由で した. 熟考 したとてこれ以上良い道はなかっ たのです. その道 を 変 え る こ と は で き な い の です.」). 彼女は自分の主義を貫いて, 今や, 世界の相を知り, ロ←マに戻り, 自分の一生を osmond に 捧 l の選択には,モラ ルがあり, 人間のあるべき行いの可能性 を秘めている. げ る 決 心 を した. l sabe ジェイムズの意識には, モラ ルに対す る厳し い態度があ る. r珍e scα〆Ze‘ L郷おテ の 中 の Hes i ta Pr ne のような罪を犯しは しなかったが, 自分の運 命 に 対 i 1 t ) を思い出させ る. する真塾な責任感がある.人間の徒に順応す る姿勢はエリオッ ト (T.S o .E ジェイムズは, 小説技法の上で, 数々の影響を受けた筈のフランス作家達 のサロンを, 何故好 ま な か っ た か. Madame Bovery の 作 家 F1aubert に対して何故, 4 ) face…8 f He had no fa thin the POWer of 揺ーoral to of i er a sur. ) (彼は外面 を描写するに, モラル の力 を信じていなかった, と力・,. .. He shou i ld at least have l fthesoul stened to the chamber o .. This Would have Boated. 5 ) him on a deeper t de; above al li i t would have calmed his nerves.…8. (彼は少くとも, 魂の小部屋に耳を傾けるべきだった. そうすれば, 彼はもっと深い潮流に浮 ぶ こ と が で き た の に, と り わ け, 少 く と も, 彼 の神 経は 柔 ら い だ こ と で あ ろ う に,). と批判の言葉を投げ掛けたのか, そ の 理 由 も, も は や, 明 確 で あ る.. 真 塾 な モ ラ ル に 欠 け て い る の で あ る. こ う した 意 味 で ジ ェ. イ ム ズ は, オ ー ス テ ィ ン, エ リ オ ッ ト (George E1 i ) な ど, 人 生 の モ ラ ル に 意 識 を 集 中 さ せ る ot. l が執ったこの姿勢は, ジェイム ズの 作家達の影響を受けている. 人生の決定的な瞬間に, l sabe ル i i W の み勿ば 作品の特徴であ り, rルB Boszの2〆”’zs の Verena sze 比〃βの の Ma s e な ど, 彼 の 多 , 1 ゑ l l l くの作品の中に現われるが, 就中, 7 B WZ〃gs of Dwe の Mi e に 於 いて, そ の 完 成 y Thea - 52 -.
(14) . ヘンリージェイムズ試論. を見る. び. 結. Hで述 べた如く, ジェイム ズのこの作品に対する態度を, 三点にしぼって考察した. パ 1 . 彼は創造的な理想女明の可能性を実験した. osmond の 如 く, ヨ ーロ ッ の 頒 廃 を 受 け 継 ぐのではない. 文明の病のない理想社 会では, 良きアメリカ人は, 良き文明と接す ることによっ て, 益 々 自 分 を 磨 き あ げ る こ と が でき る だ ろ う と い う こ と で あ る.. l ジ ェイ ム ズ は, Ra ph に あ る. 程度の理想像を見ている. Warbur l の融合には, もっと洗練された形があるはずである, ton と 1 sabe ing d br i d become more united, and there was nothing that woul l …two Count r es shou . 3 ) 8 ing together ides pair i t about better than a f ew of the best people on both s ,…. (二つの国は, もっと結 びつく べきだ, 両国の選ばれた人々が結びつくことが, 目的達成の最 良の方法であろう, ) と, L”dy βのみ好i ’m の中で彼の考えを述 べている. 言い換えれば, 文明の融合 の創造的可能性 を求めていた. l の 発 展 に 注 目 し て み る と, ジ ェ イ ム 2.は ジ ェ イ ム ズ が 現 実 と 直 面 す る 時 の 態 度 で あ る, lsabe. ズの現実を見る眼は, 批判的であることが解る. ジェイムズは確かに現代に病があることを診断 して い る. ジ ェ イ ム ズ に と っ て,そ の 病 は 文 明 の 病 と も 言 う べ き も の で あ ろ う. 個 人 個 人 の 葛 藤 の l i ing cani 中に, 社 会 の頗 廃 を 読 み, ‘ sm’ と い う, オ ズ ポ ー ソ ・ ア ン ドリ ー ズ (OSborn someth va Andreas l 903- ) の 言 葉 は, 傾 聴 に 価 し よ う, imar ly as i fests i l fin personal relations, but i i ickness pr James not t t mani se ced that s 7 3 ) lド, i f i l other department of mode e as wel i rn l t aour shes not only there buti n al. (ジェイム ズは, 実際明らかなよ うに, 個人的関係に存在す るその病に気付いた, だが, その ) 点だけではなく, その病は現代生活の全ゆる分野にその猛威を振っている. 3.. ジェ イ ム ズ の 小 説 は 常 に 漠 と し て は い る が, 倫 理 的 な も の を 感 じ さ せ る. (決 し て, 道 徳 家. ) それがある危機的な状況の時, 詩的な響きさえも伴って高まって来る. マ の説く説教ではない.. ‘l l ego- thi essen l902一’50)は, ジ ェ イ ム ズ が, ホ ー ソ ン か ら学 び と っ た a ッ シ ド セン(F , 0. Mat. i r eg を 説 明す る の に, 次 の如 く 説 明 して い る. i th something more than the They are mーoral; the r interesti s moral; they deal wi 3 8 ) fe f i i i fl t es mere accidents and conventional ,… ,the sur ace o. (そ れ らは, モラ ル で あ る. 特 徴 は モラ ル で あ る. ち ょ っ と した 出 来事 と, 決 り き っ た こ と,. ) 表面的な日常茶 飯事以上のものを取り上げている. 註 1 zp 1) Ri chard Chase: Tんe A?解〆たのZ Mo リメ のば #s rγ”〆!”o7 .x1 ) t D l l y eday & Company INC, Garden Ci (Doub eday Anchor Books , N, Y, ,1957, oub ヱ る溺 2) . .3 ,p 3) ヱ肋仏,Pp .11一12 ! ! ! Z l l d Ke t Z e o OZ B E, z sた 人毎“ t e: Aれ んげγoぬ‘ c , ZZ Z 4) Arno g′ i i b i U i L i H h 1 1 t t s ( e r 9 s o n n v vo u c n y . 1957, London) . ,p . l Zo/ α 上αdy vo 5) Henry James: ?舵 Po“〆”〆 .l pp ,1一2 i bne ) i r rs t ame s on of Henry l (The New York Edi , Sc 6) Zわ媛. ,12 , P. !ぬ P わ 7 )ヱ ,45. 一 53 -.
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