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児童画における空間認識と表現スキーマの役割 : 描画空間における二重占領を中心に

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Academic year: 2021

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(1)Title. 児童画における空間認識と表現スキーマの役割 : 描画空間における二重 占領を中心に. Author(s). 山田, 一美. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 44(2): 301-310. Issue Date. 1994-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5316. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 平成6年3月. 4巻 第2号 北海道教育大学紀要 (第1部 C) 第4 I 2 44 i ionIC) VO i t ty o日欧iuca lof Hokkaido Univers on(Sect jouma . ‐ ,No. March ,1994. 児 童 画に おける空間認識 と表現スキー マ の役割 --描画空間における二重占領を中心に--. 山. 田. 一. 美. 1‐ 研究の目的 ア ルンハイムは画面空間の視覚的な混乱を示す空間表現の事例として二重占領(レントゲン描法) をあげているが, それが成長 と発達の過程において どのように推移するかについては組織 的に研究 )2 )3 )4 ) そこで本稿では日仏両国から得た資料をもとに描画空間に おける二重占領 されていない1 ‐ の発達的特徴の推移 を考察する. これにより児 童画における空間認識の 特徴と, 表現スキーマの役 割について検討する‐. 韮. 研究の方 法 1 ) 分析のための項目群について ( ) とくに 本研究は日仏共同研 究により収集され,集計された描画と分析数値を基礎資料とする5 , . B‐Darras 氏提案による描画分析項目から,1)画面空間の二 重占領に関する項目群 (A群) , 2). 立体性の表現や展開図的表現に関する項目群 (B群) , 3) 透視図的表現に関する項目群 (C群) を抽出し, それぞれをグラフ化し, 表現スキーマの視点から考察 を試みた. A群の分析項目は no .. 9, 289 48, 133 , 54 , 63 , 124 , , C 群 は no .47 , 196 , 228で あ り, B 群 は no , 177 , 165 .191 1 8 び 表 2 照) 参 あ (表 1 及 2 3 6 3 0 2で る 1 6 4 1 9 9 152 . , , , ,. ) 分析項目群A (A1, A2, A3) について ( 2 筆者は 「壁」 と 「家の中の子 ども」 の同時表現における二 重 占領に焦点をあて, B‐Darras 氏 開発の描画分析項目からその特徴を読み取るこ とができる項目を限定して抽出し, そのデータをグ ラフ化して考察 を試みた‐以下はその該当項目である. (AI群)48:壁は透けている‐ 窓 はない. 3: レントゲン描法で描かれている (家の中の子どもたち) 13 . (A2群)165: 木々の重なりはレン 96:道と並木 7:枝や葉がレントゲン描 法で描かれている‐ 1 トゲン画法によっ て描かれている‐ 17 ピ ポ 28:脚 ( ン ン台) の表現にレン が重なっ ていて, レントゲン描法で描かれている. (A3群)2 トゲン描法が用い られている‐ ) 項目群Bについて ( 3 子どもが立体性を意識 して事物の形を表現する際に展開図的に表すことがある‐この表現方法は, ア ルンハイムの指摘するところの 「局所的解決法」 である‐ 本研究では局所的解決法にかかわる展 97: 並木は道を中心に左右対称に 開図的描法の項目として次のものを取り上げて考察してみた‐ 1 9: 紙の上下に展開図 98: 並木は道を中心に上下に描 かれている (上下対称) 描かれて いる. 1 ‐ 28 式に描かれている (ピンポンを している人と ピンポ ン台の関係) ‐ 301.

(3) . 山 田 一 美. ) 項目群Cについて ( 4 この項目群は透視図的表現に関係す るもの であり, 次の通りである‐ 47:家の下部と軒の線が並 行である‐ 54:窓の上下の線は透視法 で描かれている‐ 63:人口の上下の線が透視法で描かれてい 4: 煙突がきちんとした遠近法 で描かれている‐1 る‐12 52: 道は遠近法で描かれている. 164:木々 の重なりによっ て後ろの部分は前の木に隠れて見えない‐ 199:並木は消失点があるように描かれ ている (遠近法) 2:全体に遠近表現があるもの (事物 . 236: きちんと遠近法 で描かれている‐ 30 の表現全体につ いて) .. m.・考察 ( 1 ) 項目群A Iについて 日仏資料において項目に該当する数を集計し,比較対照的にまとめたものが表1及び表2である‐ まず項目48 33を 見ると, 壁を透かして家の中の様子を描いた二重占領の出現数は日仏資料とも1 ,1 0歳から11歳頃ま で減少を続け, それ以降の年齢層で は横ばい傾向ない し緩やかな 変化を示 してい る‐ また単純に日仏資料において違いを比較をすると, レントゲン描法はフラ ンス資料において出 現数が高い. 年齢層によっ ては多少なりとも, 日仏資料間で逆転しているところもあるが 総じて , フラ ンス資料において出現数が多いといえるだろう. また, フラ ンス資料において1 6歳の年齢層で 出現率は少し高く なっ ている. この傾向は項目48 , 133とも共通している‐ このことはティ ーンエ イ ジで再び増加することを意味するが, それが両国間の教育システムの違いによるものか または , 分析者の評価のずれによる誤差なのかはここでは判断できない‐ その両面から統計検 定を行うか , または再度,同一分析者によっ てこの項目にかかわる集計をやり直す 必要があるであろう しかし ‐ , 全体的に見て, 項目48 33から考察できることは, 日仏両資料 ともにレントゲ ン描法の出現数が, ,1 年齢が上がるにしたがっ て徐々に下がる傾向にあると言え るだろう. とはいえ, グラフ上で幾つか の山や谷があり, 単純に下降線を示さない ことも特徴的である‐ 本来的には人は視覚上 不透明の , 壁が存在すれば,その壁を透視して家の中をのぞくことはできない.しかし, この時期の表現スキー マ の特徴によっ て, 子 どもは見えないはずの家の中の様子と, その妨げとなる壁とを同時に描こう と努力する. 注目すべきことは, 多くの子どもが1 0~1 1歳前後までこの方法による空間の二重占領 の方法を容認して表現上の問題を解決しようとしている点 である. しかし, それ以降の年齢層 では レントゲ ン描法による表現方法は, :空間認識上の 質的変化から造形的な表現手段として適さない方 ‐このことから 「壁」 と 「家の中」 の同時表 法として判断され, 子 どもに活用されない傾向 .にある. 現という二重占領は, 日仏資料おいて10歳から1 1歳項まで減少していく傾向にあり, 多くの子 どもは この年齢層までにそれまでの表現 スキーマを拡大して別の方法へ乗り換えるという道を選択してい くものと結論づけられる. 2 ( ) 項目群A2につ い て 前述の 「壁」 と 「家の中の子ども」 の表現において レントゲ ン描法を用いる傾向 は, 項目1 65 , グ 177 1 9 6 の ラフに描かれる傾向とやや異な まり ている 前述の項目 4 8 1 3 3は歳上の年齢 つ っ , . , , 層では明らかに出現率が下 降していくのに対して, 項目1 65 7 96の示す出現数の傾向はそう , 17 ,1 ではない. 例えば, 項目1 65の 「木々の重なり」 を見てみると 日本資料では横ばいであり, フラ ン ス資料では増加する傾向にさえある. 項目17 7の 「枝や葉」 の表現方法は, フラ ンス資料が横ばい で日本資料の出現数は安定 していない‐ その一方で, 項目1 96の 「道と並木」 の重なり具合いは, 30 2.

(4) . 児童画における空間認識と表現スキーマの役割. 1 3~14歳の年齢層まで日仏資料 とも似た傾向にある. 3 ) 項目群A3について ( 項目228において注目す べきことは, ピンポン台と脚の同時表現による二重占領の特徴である. 本調査の条件設定において外から家の壁を通して見透かせないが, 被験者が説明文から引 き出され るイメージにもとづいて見えないはずの子 どもの姿をかいてしまうのはむしろ自然である‐しかし, ピンポ ン台の脚の表現方法につ いては同様の説明はできない. この度の描画テス トでは, 子 どもは ピンポ ン台として表現できればよいのであって, あえてその脚を描き出す必要はない. 日本資料に 見る6, 7歳の年齢群は 「ピンポ ン台」 それ自体を描いていない事例 もある‐ あるいは台の横だけ で脚は描かれていない場合もある‐ 他の事例として ピンポン台が描かれていなかったり, 横から見 て平面図 的にしか描いていなかっ たり,上から見た表現で脚がない描き方も見られる(四角形のみ) . しかし, 8歳の年齢層では台 を横から見て描き, さらに脚を4本描いている事例 が見られる‐ つま り, 子どもは台に は脚があるという空間認識にたっ てそれを描く試みをしたり, それを視覚的に整 合性をもたせようと努力 している‐ こう した傾向が, 日仏の 両資料から8歳の年齢層に見られる特 25(脚 は多方向 徴を示 している. この空間認識 と表現方法にたつ 表現スキー マは日本資料の項目2 に向かっ ている) によって考察できるが, それによると10歳の年齢群まで出現数が上昇する傾向に ある. ちなみに, この表現スキーマに基づく解決方法をアルンハイムは 「局所的な解決方法」 とし て指摘 している‐ 一方で, 台に対する脚の レントゲン描法の出現は10歳以上の年齢層からである‐ しかし, その実 数はさほど顕著でない. フラ ンス資料ではティ ーンエイ ジで多く見られるが, 日本資料では14~17 歳層で見出されなかっ た‐ こう した二国間の傾向の差はどう説明されるのか‐ ピンポン台には脚が あるという認識に強く支配され, 視覚的に矛盾したレントゲン描法を用いる傾向は, この年齢層の 文化的背景や教育環境によるものであろう か‐ この点を造形能力の発達の視点 から考えると, 9歳 の年齢層までは自分の生活圏が狭く, 空間認識力に欠けていたり, また 日常生活の中で物をよく見 ていないと考え られる. 人間を描いても興味ある部分についてはよく描くが, それ以外の部分は省 5は年齢の高い層で増加 しているように思われる. 略したり, 単純化したりする傾向にある‐ 項目16 しかし とく にフラ ンス資料ではその傾向は強い. , 項目165の 「木々の重なり」 における空間の二 重占領は, 前述の 「壁」 と 「家の中の子ども」 の同時表現における二重占領 と同類であろうか. 筆 者はこの問題に子どもの造形発 達にかかわる重要な意味が含まれていると考える.つまり,項目48 , 133の グラフ上の推移からわかるように, 多くの子どもは10歳から11歳までに空間の二重占領とい 77 6の グラフで明らかなように, 木々, 並木 65 う表現方法 を放棄している. しかし, 項目1 ,1 , 19 96の日本資料は1 5歳から 歳層あたりから上昇しているのである 1 2 の二重占領の出現数は, ‐ (項目1 2歳層までの年齢群と, それよりも 1 6歳で下がっ ているが.) この問題点に対して グラ フ上で11 ,1 高い年齢群の二重占領のもの との意味が質的に異なっ ていると説明できるだろう. つまり, 12歳以 降の二重占領の特徴は, 空間認識上の単なる説明ではなく, 形体のもつ本質的, 造形構成的な表現 の欲求から生まれ出る 「予備的に用いられる線」 と解釈される. 換言すれは, それは造形上重要な 見えない部分 を把握 し, その構造に沿っ て表面や細部の形や位置 を決定 していく アカ デミ ッ クな 2歳層以降は写実的な表 デッサン方法によるところの表現過程の痕跡 といえるだろう. その意味で1 現意欲が高まることに加え,構造的な把握や造形的秩序だてに芽生える時期にあたると見て取れる. この時期を境目にして,子どもは新しい表現スキーマ を獲得してそれ以前とは質の異なる新しい「レ. ントゲン的」 表現の痕跡, つまり空間の立体的, 遠近的把握を探る試行錯誤の痕跡を残すと考えら れる. 303.

(5) . 山 田 一 美. ( ) 描画用具の影響と問題 4 この度の基礎調査にあたっ て, 描画用具は 「鉛筆」 または 「ボールペ ン」 とされた. 用具の使用 にあたって幅があったことは考察する上 で注意を必要としている.なぜなら鉛筆を使用 した場合は, 消 しゴムを使用する可能性はあるのだが,ボールペ ンを使用 したらその痕跡を消すことはできない. たとえ, 実験中に自分の犯した視覚的過ち, すなわち 「二重占領」 に気 づき, それを正そうと気が 付いたとしても, ボール ペ ンを使用 した後ではその意図はもはやかなわないものとなる. フラ ンス 資料において16歳層でボールペンを使用 した学生が多い場合には, 当然, 二重占領は消 しゴムで消 されることなく出現数は増加すると推測される. 事実, ティ ーンエイ ジにおけるフラ ンス資料の レ ントゲン描法の出現数が1 6歳層で高いことは, グラ フ解釈を難しく している. しか し, 項目304の 消し ゴム使用状況を グラフで見ると,フランス資料において1 6歳層の頻度は低い. つまり, ボー 5 ,1 ルペンを使用 したから二重占領が描画過程の痕跡として残ったのか.あるいは視覚的な写実的な「つ じつま」 からはずれていても, 課題を満たすために子 どもがこれをあえ て承知 しながら二重占領を 残したのか. または文化差によっ て用具の使用に際して日仏間で認識に差が現われたのか‐ そのと ころを判断する項目を設定して再調査する必要があるだろう‐ ) 二重占領の質的違いの存在 ( 5 このようにして考察をすすめると, 我々は用具の問題を無視することはできないが, それと同時 に他の重要な事柄に気づく. 「視覚的なつ じつま合わせ」 による二重占領と, 「形をとる作業として の補線やデッ サン上の思考錯誤」 による二重占領あるいは多重占領は, 同質の表現スキーマ に沿う ものでないことである. つまり, これらは異なった表現スキーマ に依存していると考えられる‐ 事 実, 1 0~11歳を境に空間認識の高まりに並行して表現方法が意図的になり, 表現スキーマ がこの 年 齢層を境にして変化するといえる. その一方で, デッサン的な表現方法を採用 しない人は, それま でに獲得した表現スキーマ, すなわち写実的でない図式的表現方法あるいは展開図法的表現方法の 表現スキーマの枠組をもっ て課題に対処することになるのではなかろうか. この視点はローウェ ン フ ェル ドの視覚型, 触覚型論と対比してみると, なおいっそう興味深い議論となることは確か であ る.. ( ) 項目群Bにつ いて 6 97 8は 「道」 をどう位置づけるか に関係 している. つまり, 道を横に長く伸びるように 項目1 , 19 平面的な画面に配置して描くのか. 縦に長く位置づけて描くのか. グラフの比較を通して日仏の文 化差や年齢差による特徴が現れると思われたが, グラ フで見るかぎり, はっ きり した違いを見るこ とはできない‐ それよりも, 両国の資料とも項目i97 98は7歳層以降, 9歳層まで増加し, それ ,1 より高年齢層では減少しているの である‐ このことは何を意味するか. 並木と道との関係を立体化 する手だてとして, 展開図的表現は9歳層に現れる傾向にあり, 児童が9歳項までは展開図的表現 をする意欲的に採用 していく と受け取れる. その後の年齢層で出現数が減少することは, 子どもが おそらく こうした表現方法では満足できず, 他の方法を考えたり, 試みたり し出すからであろう. すなわち, 9歳層前後で 「立体表 現」 のための表現ス キーマ は質的に変化する臨界領域として理解 されるのである‐この点に関しては,項目289の 「ピンポン台」 と人物の立体性の表現 に関する デー タを見ても同様の結論をみることが できる. } 項目群Cにつ いて ( 7 調査項目47 24の グラ フによる出現数の推移は複雑である. しかし, それぞれの項目 , 54 , 63 ,1 から共通して読み取れる特徴は, 8歳, 9歳層以降の年齢層で透視法的表現の出現が見られる点で ある. 換言すれば, その年齢層以前では, 子どもはこうした透視図的な表現へ意欲をみせることは 304.

(6) . 児童画における空間認識と表現スキーマの役割. 24の 「煙突」 表現にみる遠近法の採用 については, 希であると考えざるをえない. その意味で項目1 グラフから見 て興味深いもの となる‐ 日仏資料 とも9歳層以降にそう した表現が現れてくるからで ある. もともと家全体の比率に対して, 煙突の しめる割合は視覚上, それほど大きくないだろう‐ しかし, 煙突の表現にあたっ て, それをきちんと遠近法的に処理しようとする意識や注意の置き方 は, 9歳層以降の年齢層に見られる特徴となっ ている‐ ( 8 ) 道, 並木の遠近法 我々は道や並木を再現するのに遠近法的に扱うことに慣れている‐ 我々おとなの経験を振り返れ ば, 絵画や写真, さらに数学, 技術などの教科書を通 して, 遠近法の原理や方法を納得する機会に 2 5 恵まれている‐ その点を踏まえて項目1 ‐ 199を見ると, 子 どもが成長, 発達していく過程で, 道 や並木の中に想起される消失点を意識し, それを活用 して再現する傾向を強めていくことが理解さ 0歳層以降, 出現の比率はさ らに高まるのである‐ しかし, ここには日仏間で れよう. それも9~1 同様の推移 から見られるものの, フラ ンスより日本資料の方 が顕著であり, その分, 日本人の方が 青年期以降, 消失点を用いたり意識 して並木・道を再現しようとし, 消失点に依存しているといえ るだろう. この点に関して, 調査項目236の ピンポン台の表現につ いての グラ フはやや複雑で読み 取り難い が, 9~10歳層が消失点を意識する表現スキーマ を獲得している傾向にあると言えるのか もしれない. ( ) 図式的表現から再現的表現への問題 9 前述のように二重占領, 展開図的表現, 消失点を意識 した遠近法の3点から表現スキーマを考察 0歳層前後のところに, 空間の認 すると, 1つ の結論を引き出すことができる. つ まり, 日仏とも1 識にかかわる表現スキーマの質的変化を読み取ることができることである‐ ところで消失点を意識 した遠近法による絵画表現は人間の視点が進化してきたことを想起させる. それは, 西洋では1 5世 紀に顕在化するが, 科学と芸術の区別のないところで多くの研究成果をもとに蓄積されてきたもの であった. すなわち透視図法による表現方法は文化として伝承され教育されるなかで個人に身につ く方法であり, 個人が成長発達の過程で生得的な能力として開花させるものではないという点 であ る. その意味で, 国の文化環境や教育システム により, 文化伝達されるものとなる‐ 消失点を意識 した遠近法は 「社会化」 されるなかで身につ けていく能力として考えられるのである.. [註] 6 1) アルンハイム 『美術と視覚 (上・下) 』 美術出版社, 19 3年‐ 2) アルンハイム 『芸術心理学のために』 ダヴィッ ド社, 197 1年‐ 3) アルンハイム 『視覚的思考 (創造心理学の世界)』 美術出版社, 1 97 4年‐ 4) アルンハイム 『教育における視覚的思考』 (仲瀬律久訳), 教育美術, 4 2巻 1 3号, 1 9 81年‐ 5)本発表は「空間認識と幾何教育についての日仏共同研究」 美術部門の研究成果の一部としてまとめられた. 元デー タは「空間認識と幾何教育についての日仏比較共同研究美術部門描画調査集計表」描画調査実施日 ( 89年9月), 19 分析終了日 ( 9 1年3月), 分析者は次の通り. 石井優子, 石崎和宏, 大坪圭輔, 大河原愛子, 北沢昌代, 栗田 19 真司, 斎藤由紀子, 妹尾宏行, 滝沢文子, 仲瀬律久, 藤崎典子, 前村 晃, 水島尚喜, 村上暁郎 (日本代表), Bernard DARRAS (フランス代表)‐ 調査の方法等については次の通り‐ 1 ( ) 対象:6歳から成人まで, 各年齢10 0人 (男50人, 女5 0人)‐ ( 2 ) 手順:ある文章を用紙 (A5判) の裏面に書き取らせ, 表に自由に文章の内容を創造して描かせる‐ 3 ) 文章:並木道があります‐ そのそばに家があります‐ その家には煙突があり煙が出ています. 家の部屋では子 ( どもが遊んでいます‐ 外の庭では別の子どもたちがピンポンをしています. ) 用具:鉛筆またはボールペン. ( 4 ( 5 ) 文章を書き写した後約20分‐ 305.

(7) c D E F G H 国別 06コ07才08コ09才loコ11コ12才13才14コ15コ16才17才 成人 2 IDOloolooloo100100looloo100100100IDO100 日 3 仏 1 00100tooIDO100100loo100too100100100100 4 【二貴占領{レントゲン猫法}に間して1 5 46 熱は透けている, 窓はない 6 2 11 118 日は“13 0 2 7 5 8 4 3 6 5 11 3 7 11 133 11 2 肌胎“ 27 2 12 4 5 7 8 9 12 7 3 6 133 レントゲン指法 で描かれている(寂の中の子 どもたち} 9 B{附ー3 7 2 5 ー2 12 7 0 12 1 B 1 9 11 1 3 1 5 111 5 7 3 lo 1仏(計}154 ー3 142 12 128 11 4 5 o 5 l1 1 8 111 1 9 22 13 B 11 16 5 木々の鷺なりは レントゲン圃法によ っ て1 詰かれている 12 B【計)1 2 - 1 1 5 1 5 1 7 1 3 1 2 5 8 5 7 6 13 ” 15 1 5 -10 ム {昨日 3 ー 9 1 3 1 6 7 7 11 15 11 24 14 177 枝や累がレントゲン描法で描かれて いる 16 B{計“ 1 3 8 11 13 8 116 1 8 1 8 1 4 a 14 24 6 43 lo 11 16 1仏{計}11 4 7 11 4 11 9 116 -18 11 8 16 12 17 19 15 12 17 196 道と娘水が重なっていて、 レン トゲン猫法で猫, 、れている la 1日”… 0 1 3 1 6 1 7 1 7 1 9 111 11 2 22 3 2 lo 11 19 ”ム…)1 9 o lll 1 6 110 1 9 1 7 1l - 20 lo 21 16 27 26 20 228 湖の表 現にレン トゲン猫法が用いられている 21 日{” 0 0 0 0 6 0 2 3 0 0 0 0 l 22 仏{↑ D 3 I ア 6 5 7 3 4 2 } 0 23 24 【腰間園的表児,立体化に関して) 26 38 錠の公が二皿描がかれている 26 1 11 6 ー21 141 55 56 60 59 54 55 63 54 ー5 日(十 )1 7 27 1仏{十 5 11 126 }-- 9 123 13 5 38 30 56 40 53 60 46 49 26 120 煙突の 苛む方に厚みが示されている(立体表現) 28 1日{十月 o l o 1 4 - s 3 l- 120 42 38 42 30 38 47 45 30 ム 目 1 3 1 2 1 0 1 7 1 9 9 26 12 21 27 17 38 {十 }1 0 31 “7 檀紙の郷間に臨直に描かれている 32 -歌 十 120 11 3 } 1 9 - 3 1 2 1 3 0 I 0 0 I 0 0 33 13 0 118 -20 11 1仏{“ 40 4 ー 9 12 7 6 2 5 B 3 34 197 肋木は 達 を中心に左右対象に描かれている 35 1日【+ } 2 1 8 1 3 7 3 1- 1 5 11 1 4 6 9 5 I 5 I 38 1 3 撤{十} 7 11o ll o 1 5 - 2 5 4 0 ’ I 0 1 2 37 198 蝕水は 達 を中心に上下に描かれて いる 36 1 9 1 3 - 6 1 2 I 0 0 l 2 0 0 1日(+ } 2 2 39 m{+} 2 4 11 3 -19 - ”ー 2 2 3 2 D 2 l 0 40 225 胸は多 に虐 かって描かれている . 41 1日(十 } 2 2 1 8 113 11 4 1 6 l 2 3 6 0 l l 42 ”ム 11 {+} 7 6 2 2 11 116 127 41 46 26 46 54 47 53. A B K L M N O P O ▼ 43 269 紙 の 上 下に無闇燭式に人が描かれている 44 日 …)1 3 11 19 1 2 2 5 0 0 0 0 0 0 1 8 2 0 8 4 2 1 4 45 12 0 3 仏 冊}1 2 46 1 1 1 1 47 【浅近焔、 透視法に関して} l 46 47 寂の下 部と軒の城が撲るに捕まって行く{ 2気逓 め 49 IB(計)l o l o 0 1 3 12 1 6 1 0 13 0 10 4 5 17 50 5 4 4 撚 …}l o l l 4 11 14 1 4110 8 2 54 63 入口の上下の線が逆 板法で描かれている S5 1徴叶)l o lo 0 3 0 3 4 0 8 2 0 4 6f l 1仏(計)1 1 10 3 7 5 2 3 5 5 3 67 68 バランス が′ とれている 66 18 冊)124 156 164 73 41 59 76 74 B7 74 79 65 73 59 1仏(計}133 133 ー59 78 65 58 61 62 62 65 70 63 66 eP 87 意の上下の”は透視法で描かれている al 1日(計}l o l o l o l l lo 1 2 1 3 0 0 5 2 2 2 82 11 2 3 1仏{計)1 3 1 0 1 o l l 1 3 1 4 1 2 3 7 63 124 煙突がきちんとした浅近法 で描かれている 64 1日{ lo l・o l o 十 - }l o ー2 2 8 3 0 8 3 9 3 B5 mはけf o lo l o l o l l 3 4 11 2 2 12 4 7 68 152 退は遺近法で描かれている{歓に; 一失珠 がある} B7 1B(叶}1 2 1 0 1 2 11 2 1 7 13 29 ー48 36 51 41 39 64 la 1 目ム(計}1 1 13 1 3 7 127 26 20 28 27 35 - 7 12 1 1 5 Bg 164 木々の賞なりによっ て後の部分は前の木に煽れて見えない 70 11 111 25 20 26 24 26 20 1a{+ 16 112 1 4 19 }1 4 5 71 12 1 8 1 9 11 113 123 23 12 ” 19 12 14 )ー 3 4 m{+ 72 199 並木は 肖失点があるように描かれている6 近1 去} 73 la(十 1 0 4 }- 1 11 118 15 22 35 30 28 53 -4 - 4 1 8 ア4 1仏(十 10 1 4 1 6 14 1 7 122 19 25 17 22 19 23 )1 0 75 236 きちんヒ鴻近法で憎かれている{ピンポン白} 76 日(十 lo - 0 1 0 0 4 I 4 0 4 f 0 4 )1 1 77 ーo 1 2 1 1 I 6 2 2 2 12 0 I I 燃{+ }ー o 78 302 全体に 近表現があるもの ア9 B{十 3 8 28 25 49 29 la 12 43 } 0 3 4 60 ‘ L(. “ 0 0 0 0 0 2 0 3 7 2 7 8 5 a. I 62 304 表1 晃に際して隅しコムを使ったもの 63 3 9B IB(計}16 15 18 1 9 0 5 89 91too 56 38 80 62 ー5 12 84 ー55 62 70 62 ” 25 37 27 16 136 46 -50 1仏(昨}136 0. 表1. A, B, C群における年齢別出現数の日仏比較 J K L M N O plo A BI C ーDIEIFIGIHIIIJ ー. 1 1 ▼. 1 1 ▼. ▲ . - ー 1. 田. .

(8) . 児童画における空間認識と表現スキーマの役割. 表2. 典型的な表現形式と出現数の日仏比較 グラフ 13 3 レントゲン絹法で短かれている(波の中の子どもた ち) 人数. 48 父は透けている‐ 猛はない 人数. 8ホ. \ノン \ ニミ二ジ ンゞニ ニニミ. o ll 12 13 14 15 16 17 症 9 l 06 07 08 0 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 人. 5 16 17 房 6 07 0 8 09 lo ll 12 13 14 1 o 隻 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 人. 5木々の重なりはレントゲン面法によって箱かれている 16 人数. 人数. 美 5 16 17 真 9 1o ll i2 13 14 1 06 07 08 0 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 人. 5 16 17 曇 06 0 7 0 8 0 9 1 o ll 12 13 14 1 隻 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 人. 7 校や粟がレントゲン編法で短かれている 17. 面かれ 96 通と並木が重なっていて. レントゲン福法でi 1 ている 人飲. 人数. 2 13 14 15 16 17 厳 9 l o ll 1 7 08 0 06 0 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 人. 06 07 08 09 1 o ll 12 13 14 15 f6 17 反 発 ・ 才 才 才 人 才 才 才 才 才 才 才. 才 才. 22 8 脚の表現にレントゲン短淀が用いられている. 1 17 屋根の斜面に垂直に描かれている. 3 8哀の婆が二面恒がかれている 人数 70 6 0 50. 人数 40. . . 40 30 0 2. 〆 . ′. 3 5 30 5 2 2 0 15. フランス. .=. ′ : ・ ‐ . ・ . . IQ a本\ ------、、. 5 16 17 威 4 1 06 07 08 0 9 l o ll 12 13 1 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 人. ・. 5 16 17 成 4 1 o ll 12 13 1 9 l 06 07 08 0 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 才 人. 307.

(9) 山. 人 数. 06 才. 07 才. 美 197. IB. B 本. 09 才. 08 才. 1o 才. ll 才. 12 才. 13 才. 14 才. 15 才. 17 才. 16 才. 煮呈 人. . .・ .. . . 09 才. 1o 才. 12 才. 13 才. 14 才. 15 才. 17 才. 16 才. 08 才. 47. 豪 の 下 部 と 軒 の 穀 が 後 , に 縮 ま っ て 行 く {2 点 透 視 ) 日 本 ′ ′. 8. ll 才. 07 才. 12 才. 13 才. ひ舌 る. . \ ,. ′、 ′ 06 才. 底 人. 1o 才. \ \ ヘ -〕 ー 夢 リ 14 1 5 1 6 1 7 蔑≦ 才 才 才 才 人. 紙 の 上 下 に 展 開 図 式 に 人 が 短 か れ て い る. \. ′ ノ . 1. 07 才. 09 才. . . ll 才. 08 才 28 9. . へ \ 、 B を ′. ノ. 07 才. . . . 罰き や 鯵. 人数. . . 並 木 は. 週 を 中 心 に 左 右 対 象 に 掃 か れ て い る. 人 数. 06 才. 並 木 は、 道 を 中 心 に 上 下 に 描 か れ て い る. 19 8. ・′ ... 人 数. 一. 姓 契 の 福 ご 方 に 厚 み が 示 さ れ て い る { 立 体 表 現}. I2o. 人 数. 06 才. 田. /. ・、. \ / ,. フ ラ ン ′. ス. 、. 、. .・、. ・. 08 才. 09 才. 54. 8 の 上 下 の 技 は 通 観 法 で 短 か れ て い る. 人 数. lo 才. ll 才. 12 才. 14 才. 13 才. 15 才. 7. 07 才. 08 才 63. 09 才. 1o 才. 12 才. ll 才. 13 才. . 14 才. 15 1 5才 1 6 1 7 底 人 才 才 才. 九 る 入 □ の 上 下 の 鑓 が 透 視 法 で 短 か れ て い る. 人 数. 〜 ハ ハ. 妙. .. き. ノ \. , かぶ. .. ニ. 06 才. 3 08. 07 才. 08 才. 09 才. 1o 才. ll 才. 12 才. 13 才. 12. ハ. 06 才. 07 才. 08 才. lo ′ ′ 日 ! ′ “ ′ ′ ・・ i 、. ′ 6 r.-. た. け. 14 才. r.. ′′ t 15 才. 駁 人. 12 才. 13 才. . . 06 才. 07 才. 08 才. . 09 才. lo 才. \. ′ ll 才. 12 才. . 17 才. . } …′ 14 才. 15 才. . v. a ホ 18 才. 本. 庇 人. \ / / \ ハ ノ\. 、、. 13 才. 露呈 人. . 1 6 才. 15 才. 14 才. . / /\. . 17 才. ll 才. . \ \、 / ;. 16 才. lo 才. 17 才. . 薄 葉 が き ち ん と し た 遠 近 法 で 燭 か れ て い る. 124. 人 数. 09 才. 16 才. . 06 才. ﹇ 崩 自 室. 17 才. 廠 人.

(10) . 児童画における空間認 、識と表現スキーマの役割. ld Drawing iaI Recognitio1 Spat land Role of Expression‐Sche1masin Chi X‐ray Representation i l I Drawing Space ‐. Kazuロロ YAMADA. H0kkaido Uni i i tyofEducat vers on, Hakodat e. Purpose ofstudy. ion that Arnheinn pointed out double occupat ion as a case of spat ial representat. i fy how the i ld’s drawing space‐ 1 tis il刀 ーportanttoident shows visual confusion in a Ch icinquiry fro] icschange wi ththe growth ofthechild. However, a syste1 〔 〕 Qat 【 〕 〔 . characterist. thi s viewpoint has not been done yet‐ l analyzed the change of X‐ray representation in According to ive data ldren’s drawings on the basi LParat s of Franco‐Japanese cono chi .. thi s, l tried to describe the features of spatial recognition and the role of expression‐ ldren’s drawings‐ sche1 【 nasi nchi. M[ ethod This study is based on data col l l i ect ed andtal ed by a Franco‐Japanese cooperative i t t h df t l Ff research pro ject . (The researc subjects range rom s x o wen y years o d.) ity. feach age weretested‐ Forthi 〔 nales o nQales and50fe] s study, three groups of paranQe‐ b d That l d i D ter i tenQs wer t t d i 3 2 0 t el l is proposed by Dr e a s rac e an ana yze n . B・ arras. is the goups were l) doubl land chi ldrenin the e vision drawing overlapped by the wal , house; no 48 1 i i h h d t 3 3 d i b t t d d b l ou e v s on raw ng y rees, e row, e roa , a pin‐pong . , , an tabl e: 165 177 196 228 2) thestereographic and develop mentaldrawing; no i97 19. , , , , ‐ , ive drawing to be conscious o ishing point; no 47 54 6 t f 2 d h 8 8 9 3 t ) e r s e c v a n a n e p p . , , , , i 3 t 【 ns were d erthat, groups ofitel splayed by statistical , 124 , 152 , 164 , 199 , 236 , 302 . Af i scussedfro・n the viewpointofexpression‐schelnas‐ graphs and d. Resd1 ts. ics by ana.yzing and exanQ1nlng changes in lowing characterst v ; ; r i f i eident ed the fol i i h 【 the data o‐year‐old group ・a wassupposedto ・nake aboutl . That s, an express on-sc en a boundary and to be changing both Franco‐Japanese data.. As a resul t we found , 309.

(11) . 山 田 一 美 ldren making an expression‐schepQa change to real ist ic expression frop rnany chi 〔 l ic drawing at around the age o flo. schennat. A1so n・any showedthe abi l i ty to express , f igures underthe rules of stereographic, develop・nental, or perspective lnethod werein iD VVe can at t process and were so・net f vanishing point tribute an adul 【 : 1es conscious o . i icvision. Therefore i ion in art turaltransnQission or social thi tisthought sto cul st zat ,i ion o tural cir- f expression-scheヱ thatthe characteristics ofthe forl : 1 las depend on cul 〕 Qat ion syste・ns o fthetwo countries. cul l : lstances andtheeducat. 310.

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