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精神分裂病患者の服薬行動に影響を及ぼす要因について : 態度、知識および洞察についての検討: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

態度、知識および洞察についての検討

Author(s)

鈴木, 啓子; 中川, 幸子; 永井, 優子

Citation

厚生の指標 = Journal of health and welfare statistics, 42(6):

10-16

Issue Date

1995-06-15

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/10033

(2)

第42巻 第6号 「厚生 の指標」1995年6月

精神分裂病患者の服薬行動に

影響を及ぼす要因について

- 態嵐

知識および洞察についての検討-鈴木 啓子

* l

中川 幸子

* l

永井 優子

* l

研 究 目 的

服薬の中断は精神分裂病の再発の一つの大 き な要因になっている1)2)3)4)。精神分裂病 は慢性疾 患であ り,病気 といかに上手 く付 き合 うかが, 社会生活 を維持す る上で重要 になって くる4)5)0 しか し病者が病識が もちに くかった り5),医師 も病名告知 を差 し控 えることが多 く6)7)8),現実 的には患者は自分の病気 に関す る客観的な情報 を充分得 られないまま, 自己管理 を行 う状況に おかれている場合が 日本では多い6)8). 欧米では病気や薬物 に関す る積極的な情報提 供 を行 う心理教育や,対処行動訓練などの援助 は

1

9

7

0

年代か ら行われ

,1

9

8

0

年代 にはそれ らの 効果 に関す る実証的な研究が行われるようにな っている9)10)ll)12)。これ らの心理教育的な援助は 日本で も

1

9

9

0

年代 に入 り急速に普及 し始めてい る13)14)15)

0

しか し精神分裂病者の服薬行動には,知識や 態度,動機づ け等のいかなる要因が結びついて いるのか明確 にはなっていない。心理教育的な 援助に も様 々な方法が考 えられるが,効果的な 援助方法 はこれ らの要因の検討をすることによ り明 らかになるもの と考えられる。 そこで本研究ではこれ らの要因の相互の関連 性 をさぐるために,始めに服薬 に対する患者の 知識,態度,洞察尺度の検討 を行い,次にこれ らの各尺度 と専門家の判断するコンプライアン スや患者の病名理解 との関連性 を検討 したので 報告す る。

Ⅰ 研 究 方 法

(l) 対象 単科の精神病院のデイケアに適所中の精神分 裂病患者51名 と,その主治医12名である。 (2) 調査内容

疾病薬物知執度調査

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:以下

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は 呼ぶ)16) 自記式で薬物,睡眠,病気の再発,社会復帰 に関す る

3

者択一形式の

2

0

間の質問項 目か らな 表I 疾病薬物知識度調査 (前田,連理ら

1

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自記式 で3者択一形式 の20問の質 問項 目か らな り,質 問項 目には精神科症状 に関 して8項 目と薬物 に関 して8項 目と,睡眠 に 関 して2項 目,病気 の再 発 と社会復帰 に関 しての2項 目か らな る○ 〔具体 的質 問項 目〕 ① 「症状 」 とは何 ですかo(A.風邪 や イ ンフル エ ンザ にかか るこ と B.病気 のサ イ ン C.生活上 の問題 点) ②精神科 の症状 で正 しい もの は どれです かo(A.精神科 の症状 は 自分 で気づ くこ とがで きない B.精神科 の症状 は 自分 の性 格 をあ らわ してい る C.精神科 の症状 は どんな人 に もあ らわれ る可能性 が あ る) ③精神科 の症状 が あ らわれ た とした ら, どの ように対処 します かo(A.頑 張 って精 神 力で なおす B.家族 に相談 す る C.医師 に相 談す る) ④健 康 な生活 を送 るうえで,毎 日の睡眠時間 は どれ くらい必要 ですか.(A.4-6時 間 B.7-9時 間 C.ll-13時 間) ⑤睡郎引こつ いて,正 しい もの は どれですかo(A.精神科 の病気 では多 くの場合不眠 にな る B.嗣 子が よい ときには何 日 か眠 らな くて も平気 であ る C.夢 をみ るの は眠 っていない証拠 で あ る) (他15項 目)

*

1 千葉大学看護学部成人老 人看護学講座精神看護学教育研究分 野 助手 - 1

(3)

0-表2態度尺度(A仙 delnstrument:AL)(Davidhizar.R.E.1986,Ig88) 自記式で 5段階評価の リカー ト法で,24項 目の文章 を読んで始めに,信念の強 さを 「全 くそ う思 うJか ら 「全 くそ う思わない」 まで評価 し,次に同 じ文章について感情的評価 を 「とて もいや」か らrとて もよい」 まで評価 し,両者の巌果 を掛 け合わせ合 計 を出す○ 【各質問項 目〕 ①薬 をのむことは先生があなたを助ける一つの方法です. ⑥薬代 は高す ぎると思いますD ②あなたが藁 をのむ と先生は書ぴ ます○ ⑦ あなたが轟 をのむ と,あなたの家族は書ぴ ます. ③薬 をのむ と, よくなると思います○ ⑧薬 をのむ と, くちびるや ロが乾 きます○ ④薬 をのむ と,落ちついて気分が楽にな りますo ⑨薬 をのむ と,気持 ちの混乱がおさまります○ ⑤ あなたが言つて も,主治医は兼 をかえて くれません. ⑲藁 をのむ と, もとの 自分に もどれる感 じか します. 表3 洞察尺度(Insi

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izar,R.E. 1986,1988) 自記式で5段階評価の リカー ト法で,10項 目の文章 を読んで信念の強 さを 「全 くそ う思 う」か ら 「全 くそ う思わない」 まで評 価 し,各評価の合計 を出す (一部は逆転評価)○ ① わた しは積神科の治簾 を受けています. ⑦ わた しは具合が悉 くなつて も,棉神科 に入院 させ られ るべ きで ②わた しは棉神科の拍簾 は受けた くあ りません○ はあ りません○ ③わた しには耕神科の治簾 を必要 とす る症状があ ります. ⑧わた しは具合が悪 くなつて も,入院 しているよりは自宅にいる ④わた しは精神科の専門家の援助 を受けるべ きです○ べ きだ と思 います. ⑤わた しは精神的に健康です○ ⑨ わた しが入院 したのは,精神科的症状が原臨 となっています○ ⑥わた しは精神科的な病気ですo ⑲ わた しは今後,棉神科的な症状が起 きることに,気 をつけなけ る (表 日。 2) 態度尺度 (AttitudeInstrument:以下AIt 呼ぶ) Davidhizar

,R

,E.17)187に より作成 され妥 当性, 信頼性が確認 された尺度である.薬 の効果,副 作用,医師 との関係,強制感等の

2

4

項 目か らな る文章 を呼んで,各項 目毎 に信念の強 さを リカ ー ト法で5段階評価 し,同 じ項 目につ いて感情 的評価 を リカー ト法 で5段階評価 し,両者 を掛 け合 わせ点数評価す る (表2)。 3) 洞察尺度 (InsightInstrument:以下Ilと呼 ぶ) Davidhizar

,R

.E .17)lB)に よ り作成 され妥 当性, 信頼性 が確認 された尺度である

。1

0

項 目か らな る文章 を呼んで,各項 目毎 に信念の強 さを リカ ー ト法で5段階評価 し合計 した ものであ る (表 3)

4) その他 患者 に対 しては 自分 の病名の理解,服薬 に対 す る理解,医師の説明の有無,医師の説明への 満足度 を,医師 に対 しては患者の コンプ ライア ンスの評価,病名の告知の有無 とその理 由,服 薬 についての説明 とその理 由を調査 した。 性別 :男性29名.女性14名 年齢 :平均33.8歳 (19歳-53歳) デイケア適所鮭 :平均2.13年 帝病期間 :平均13.4年 入院回数 :平均4.4回 学歴 :中卒6名,高校 中退4名,高卒26名,短大卒1名, (3) 調査方法 り 患者 について 調査 にあたっては直接患者の治療や援助 にか かわっていない研究者 が患者本人の承諾 を得 た 上 で,個 別 に面接 を行 った。KIDI,AI,ⅠⅠにつ いて は1カ月後 に再調査 を行 った。KIDI,AI, ⅠⅠは 自記式で,他の項 目につ いては半構 造的 な 面接 を行 ったcKIDI,AI,ⅠⅠにつ いては教示 を 個別 に行 い,必要時説明 を行 った。 2) 医師につ いて 調査用紙 を留 め置 きで配布 し,後 日回収 した。

m 研 究 結 果

(り 対象 につ いて 面接調査 につ いては

5

1

名の患者の泉諸が得 ら れたが,最終的 に2回の調査 を終 了 した43名 を

(4)

第42巻 第6号 「厚生の指標」1995年6月 表5 N

,

日,KlDlの結果と再テストの結果 1回平均 (標準偏差) 2回平均 (標準偏差)再 テス トの相関 前後のT検 定 タロンバックのα係数 かソトマンの折半係数 AⅠ 9.0(9.88) 7.7(13.23) 0.59 * nSnSnS 0.72 0.67 ⅠⅠ 33.4(5.ll) 34.3(6.ll) 0.69** 0.7g 0.75 注 *p<.001 **p< 000 表6 尺度間の相関 AⅠ ⅠⅠ KⅠDⅠ AⅠ 1.000 1.000 1.000 ⅠⅠ -.0981 注 *p<0000 表8 KIDlと学歴の関連について N 平均 標 準偏差 中学卒業 .高校退学 10 10.77 2.89 高校卒業 26 13.38 2.98 注 F検定 :p<0.01 (F値-5.32) 1-wayANOVA :p<0.005 今回分析の対象 とした。 対象 については男性29名,女性が14名で,午 齢 は19歳か ら53歳で平均33.8歳,デイケア通所 歴平均2.1年,羅病期間は平均13.4年,平均入院 回数4.4回で,学歴 は中卒6名,高校 中退4名, 高卒26名,短大卒1名,大学卒6名だった (義 4)。 医師は12名で,臨床経験 は平均13年であった。

(2)

尺度の信頼性 と妥当性 について 各尺度の信頼性 と妥 当性 を検討す るために, 再検査法 と内的一貫性の検討 を行 った (表5)0 再検査法 によるテス トー リテス トの相関 を各尺 度 についてみ る と

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については分散がやや大 き いために,再検査法 で も相関がやや低 くなって いたが

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ⅠⅠお よび

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については尺度の信頼性 はおおむね良好 と考 えられた。 次 に各尺度の内的一貫性 をみ ると, タロンバ ックのα係 数 は

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72

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ⅠⅠは

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8

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0.

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であった

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I

については症状,薬物,育 発等 と知識全般 について聞いているため,一次 元尺度 としては問題 があると考 え られ るために, 表7 札 日,KIDlと患者の属性との相関について 年齢 学謄 確病期 間 入院回数 AⅠ ⅠⅠ -..01680533 -..30042744* -..01354694 -..21947550* 注 *p<0.05 **p<0.001 表9 KIDlとコンプライアンスの関連について N 平均 擦 準偏差 よ い 35 13.68 2.95 わ るい 8 10.55 2.21

注 Man-WbitneyU検定:p<0.06

表lD KIDIと病名の理解の関連について

N 平均 標 準偏差

精 神 分 裂 病 と 答 え た 群 16 14.01 2.86 注 Man-WhitneyU検定:p<0.03

ガ ッ トマ ンの折半係数 をみ ると

0.

7

5

の相関があ った。以上 より

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ⅠⅠ

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I

の尺度 としての内 的一貫性 はあるもの と考 えられた。 また各尺度間の相関 をみ ると

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とⅠⅠにつ い て は0.35とゆ る い相 関 傾 向 が あ る (p

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ことが確認 された (表

6

)。 (3) 各尺度 と属性 との関連について 患者の年齢,曜病期間については

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との関連 はみ られ なか った。学歴 につ いて は

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I

については正の相関(p

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0

0

1)が確認 さ れた (表 7)0 次 に

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D

I

と学歴 について,患者 を中学卒業 ・ 高校 中途退学群

(

1

0

名),高校卒業群 (26名), 短大,大学卒業群 (7名) に分 け検討 した (秦 8)。この結果一要因の分散分析 を行 った ところ この三群 に有意差がある(p

<0.

0

0

5

)

ことが確 認で きた。 次 に医師の評価 したコンプ ライアンスの よい -

(5)

12-群35名 と,悪 い群8 名につ いて, それぞ れの尺度 を検 討 して み ると,AI,ⅠⅠともに 有意差 はなか った。 KIDIにつ い て は よ い群 と悪 い群 につ い てマ ンーホ イ ッ トニ ーのU検定 を行 った ところ,両群 に有 意 な差 (p<0.06)が 確認で きた く表9)。 また患者が 自分 の 病名 を精神分裂病 と 答 えた群

1

6

名 と,別 熱l 医師がコンプライアンスをよいとした群と,悪い群で有意差のあった各下位項目(T検定) 尺度の下位項 目 (内容) 群 間比較 (P) ⅠⅠ (私は具合が悪 くなっても,入院 しているよりは自宅にいるべきです) KIDI(精神科 の症状 について正 しい もの は どれか) KmI(幻聴や,被害妄想はどんなことが主な原因になって起こりますか) KIDI(精神科薬 をのみ忘れた とき, どう した らよいで しょうか) AI (あなたが言 って も主治 医 は薬 をか えて くれ ませ ん) AI (薬代 は高す ぎる と思 い ます) A<B(p<0、059) A>B(p<0.052) A>B(p<0.056) A>B(p<0.056) A<B(p<0.030) A<B(p<0.057) 注 A- コンプ ライア ンスの よい群,ち- コンプ ライア ンスの悪 い群 表12患者が自分の病名を舟芸病と答えた群とそうでない群で有意差のあった各下位項目(T検定) 尺度の下位項 目 (内容) 群 間比較 (P) II (わた しは耕 神科 の病気 です) C>D (p<0.027) KⅠDⅠ (精神科薬 をのみ忘れた とき, どう した らよいで しょうか) C>D (p<0.080) Al (薬代 は高す ぎる と思 い ます) C<D (p<0.057) Al (あなたが言 つて も主治 医は薬 をか えて くれ ませ ん) C<D (p<0.048) 注 C-分 裂病 と答 えた群,D-わか らない もしくは他 の病名 を答 えた群 の病名 を答 える, も しくはわか らない と答 えた 群27名 につ い て尺 度 の検 討 を行 っ た とこ ろ, AI,ⅠⅠにつ いては関連 がみ られず,KIDIについ てはマ ンーホ イッ トニーのU検 定 を行 った ところ, 両群 に有意 な差(p<0.03)が確 認 された (表10)0 (4) 医師が コンプライアンスをよい とす る判 断 および患者 が正 しい病 名 を受 け入れ てい る判断 と各尺度 との関連 につ いて これ まで各尺度 と患者 の属性 につ いて検 討 し て きたが, ここでは一般的 に臨床 にお いて コン プ ライア ンスが よい とい う専門家の判 断 に影響 してい る要 因 と.患者が精神分 裂病 とい う病 名 を受 け入れてい るこ とに影響 してい る要 因 を明 らかにす るこ とを試みた。 医師が コンプ ライア ンス をよい とす る判断 と,患者 が 自分 の状 態 を 分裂病 とす る判断 を外 的規準 と して, それが患 者 の 知 識 や 態 度 と ど うい う関 係 が あ るか を KIDI,ⅠⅠ,AIを もちいて検 討 した。 KIDI,ⅠⅠ,AIの総得点 と医師の判 断 お よび患 者の判断 との間 には有意 な関連 はみ られ なか っ た。 そ こで各尺度の下位項 目と判断 との関連 を みてみた。 まず医師が患者の コンプ ライア ンス をよい とす る群 と,悪 い とす る群 につ いてマ ン ーホイ ッ トニーのU検 定 を行 った ところ,有意差 があった項 目はⅠⅠの1項 目,KIDIの3項 目お よ びAIの2項 目だ った (表Il)。 表13コンプライアンスについて くKIDI(9項 目) を説 明変数 とした判別 率) (単位 人, ( )内%) N 予測の グル ープ よい わ るい 実際の グル ープよ い 35 32 3 わ るい 8 (91.14) (8.76) (判別 率 :91.1%) 表川 コンプライアンスについて く11(5項 目) を説明変数 と した判 別率〉 (単位 人,( )内%) N 予測の グル ー7p よい わ るい 実際の グル ープわ るいよ い 358 27 8 (77.1) (22.9) 1 7 (12.5) (87.5) (判別率 :78.6%) 次 に患者 が精神分裂病 と答 えた群 とそ うで な い群 につ いて,同 じくマ ンーホイ ッ トニ ーのU検 定 を行 った ところⅠⅠの1項 目 と,AIの3につ い て有意差 が あった (表12). 次 に医師 に よるコ ンプ ライア ンスの評 価 を各 尺度 の下位項 目を説 明変数 と して,判 別分析 を 行 った。結果 は表13- 15の とお りで あ る。判別 率が最 も高 か ったの はKIDIで あった。同様 に息

(6)

第42巻 第6号 「厚生の指標」1995年6月 表15コンプライアンスについて くAI(9項 目) を説明変数 とした判別率〉 (単位 人, ()内%) N 予測 の プル ーフ○ よい わ るい 実際の グル ープよ い 35 30 5 わ るい 8 (85.27) (15.63) (判別率 :85.0%) 熟7患者の病名の受容について くⅠⅠ(6項 目) を脱明変数 とした判別率〉 (単位 人, ()内%) N 予測の グル ープ 受容 非受容 実際の グループ受 容 16 12 4 非受容 27 (75.70) (25.200) (判別寧 :74.4%) 者が 自分の病名 を受 け入れていることについて, 各尺度の下位項 目を説明変数 として,判別分析 を行 った。結果 は表 16- 18の とお りである。判 別率が最 も高か ったの はAIで,KIDIは60%と 一番低 い判別率 になっていた。

(り 態度,洞察,知識尺度の信頼性 と妥当性 について 洞察尺度であるⅠⅠと,疾病薬物知識度 をみ る KIDIについては信頼性,妥 当性 ともに良好であ る結果が得 られたが,態度尺度であるAIについ ては妥当性 はあるものの,信頼性 について再検 査法 での相関が0.59(p<0.001)と,やや問題 のあることが確認 された。今後AIの下位項 目に ついて検討す るこ とにより,尺度 としての信頼 性 を高めてい く必要が ある もの と考 える。ⅠⅠと KIDIにつ いては入院患者 を含 めての尺度の信 頼性,妥 当性の検討 を行 ったが, いずれ も良好 であることが確認 され, これ らの尺度 をもちい 介 入 研 究 の 効 果 につ い ての 実践 も行 って い 表16患者の病名の受容について くKIDI(5項 目) を説明変数 とした判別率〉 (単位 人, ()内%) N 予測の グルー7■ 受容 非受容 実際の プル ーフ■受非受容

1267 12 4 (75.0) (25.0) 13 14 (48.1) (51.9) (判別率 :60.0%) 表18患者の病名の受容について 〈AI(5項 目) を説明変数 とした判別率〉 (単位 人, ()内%) N 予測の グループ 受容 非受零 実際の グル ープ受非受容容 1267 13 3 (81.3) (19.7) 4 23 (14.8) (85.2) (判別率 :82.5%) る19)28)

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(2) 態度.洞察.知識 と患者の服薬行動につ いて 精神分裂病患者の服薬 に対す る態度 と洞察に ついては

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S .21)ら な どの多 くの研究者 により,その関連性が示唆 されてはいるが, これ までの研究報告では明確 にはされていない。今回の筆者 らの調査結果 に ついて も同様 で,関連性 は兄 いだせ なかった. これは今回対象 とした精神分裂病者 はデイケア に通所 中であ り,標本数 も少ないことも理由 と 考 えられ る。 しか し畑 ら22)による通院,入院両方 を含 む精 神分裂病者

7

5

名 を対象 とした調査 における服薬 中断理由では,洞察のなさと結びつ くものは12 % しかな く

,6

割 は合理的な理由に結びついて いた。 この結果 は洞寮があることと服薬-の態 度 は関連があるとは,必ず しもいえないことを 示 している。 また上 島23)や西於 24)の報告か らも 精神分裂病者の コンプ ライアンスは,一般的に 「病識 のなさ」 を理 由に悪 い と評価 されやすい -14

(7)

-が,実際には病識のあると思われ るうつ病や神 経症 よりよいことが指摘 されている。 これ らか らも精神分裂病患者の服薬態度 は,洞察 とは関 連が高い とはいえないことが示唆 され る。 本調査の結果 は, これ らの報告 を支持す るも のであ り,服薬-の態度 と,知識や洞察 との関 連 はみいだせなかった。今後入院や通院患者な どに対象 を広 げ標本数 を増やす とともに,長谷 川27)が指摘 しているような患者の受療満足度の ような他の要因について検討 してい く必要があ るもの と考 える。 (3) 医師によるコンプライアンスの評価 と患 者の病名の理解 について 援助 を行 ってい く上で どうい う要因にはた ら きかけると患者の コンプ ライア ンスを上 げるこ とになるのかがわか ると,援助効果 を明確 にす ることがで きる。臨床 において服薬行動 を援助 してい くときに,何が患者の服薬行動の改善 に 結びつ くかは

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,

R.E.17)も指摘 してい るように, これ までの報告では明 らかになって いない。一般的に援助 を行 うときには,客観的 な評価 としてコンプ ライア ンスが よ くなること と,坂 口8)中谷26)が指摘 しているように患者 自身 の主観的な体験 としての病気や症状の理解が重 要な課題 となっている。 そこでコンプ ライアンスが よい とす る専門家 の判 断 と,患 者 の 知 識 や 態 度 との 関連 を,

KI

DI

,

ⅠⅠ

,AI

をもちいて検討 してみた。医師の コンプライア ンスの評価 を各尺度の下位項 目を 説明変数 として,判別分析 を行 った結果か らは, 医師が コンプ ライア ンスをよい と判断す るとき には,患者の洞察や,態度 に関連す る項 目より ち,病気や薬,対処方法 も含 めた患者の知識 を 判断に もちいていると理解で きた。 医師の コンプ ライアンスの評価 と同様 に患者 が 自分 の病 名 を理 解 して い る こ とにつ い て

KI

DI

,

ⅠⅠ

,AI

の各尺度の下位項 目をもちいた判 別分析の結果か らは,患者が 自分の病気 を認識 し受け入れるには,知識 よりも服薬 に対す る態 度や,洞察 に関連す る要因の影響 を受 けている ことが理解で きた。 近年,精神科領域 におけるイ ンフォーム ド・ コンセ ン トも注 目され るようにな り8),病気や 症状 について知識 を提供す る心理教育

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が注 目され26),患者お よび家族 に積 極的に知識 を提供 した上 で 自己管理がすすめ ら れている13)。しか し本研究の結果か ら,患者が 自 分の病気 を理解 し受 け入れ るためには知識だけ ではな く,患者の態度や,洞察 にはた らきかけ るような援助の必要性が示唆 された。

Ta

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, N 27)らは精神分裂病者の援助 につい て,患者や家族に不足 している情報 を補充す る という意味での情報不足 モデルではな く,主観 的な患者の病気の体験 に焦点 をあてた,援助者 との関係性の中で患者 を支 えてい く相互交流 モ デル を提示 しているが,本調査の結果か らも心 理教育的な援助 においては,情報 を提供す ると 同時 に患者 自身の主観的体験 を尊重す ることの 重要性が示唆 された。相互交流 モデル による患 者-の心理教 育的援 助 は現在 の ところ少 ない が28),今後 さらに実践が積 み重ね られてい くも の と考 え られ る。 援助者が開かれた態度で十分 に配慮のある情 報提供 を行 う過程で,患者が納得のい く, ある いは安心感の もて る体験 を積 み重ね るこ とによ り, さらに必要 な リ- ビ リテ-シ ョンへの動気 イ寸けを高め るもの と考 える。

ま と め

精神分裂病者の服薬,病気 に対す る知識,態 度お よび洞察 と服薬行動 との関連 をさぐること を目的 に,デイケアに通所中の患者

5

1

名 を対象 に半構造的な面接調査 を行 った。尺度 としては 疾病薬物知識度調査

(

KI

DI),態度尺度

(

A

I),洞 察尺度 (ⅠⅠ)を もちい,合わせ て各患者の主治医 に患者の コンプ ライア ンスの評価 についてア ン ケー ト調査 を行 った。得 られた43名のデータを 分析 した結果 は以下の とお りである。 ①

KI

D

I

,

ⅠⅠについては尺度の信頼性 お よび妥 当性があることが確認 された。 ②

KI

DI

とⅠⅠにはゆ るや か な正 の相 関がみ ら れた他 は,関連 はみ られなかった。

(8)

第42巷 第6号 「厚生の指標」1995年6月 (卦患者の属性 についてはKIDIのみ学歴 と有 意な関連があったが,他 は関連がなかった。 ④医師の コンプ ライア ンスの良否 を目的変数 とす る判別分析の うち,KIDIの諸変数 によるも のが最 も高い正判別率であった。 ⑤患者の病気の理解 を目的変数 とす る判別分 析 の うち,KIDIの諸変数によるものが最 も低 い 正判別率で,AIの諸変数 によるものが最 も高 い 正判別率であった。 以上の結果 より,心理教 育的な援助 を行 う時 には,知識 を提供す ると同時 に,態度や洞察-のはた らきかけの必要性が示唆 された。 謝辞 稿 を終 えるにあた り, ご協 力頂 きました 浅井病院院長浅井邦彦先生, リ- ピ リテ-シ ョ ン部の安井利子先生,デイケアのメ ンバ ーの皆 様 に深 く感謝致 します。 引用 ・参考文献 I)渡浅修一 :維持凍法 の実際 と分 裂病 の予後,神経精神病 理5,391-401,1983. 2)湯浅修一 :長期予後,精神科MOOK9,梓神分 裂病の治 簾 と予後,212-227,1984. 3)喝彰,他 :抗精神病薬減量 に よる精神分裂病 の再 発の要 因お よび予測 因子 に関す る研 究,精神 医学,35:1191 -1197,1993. 4)秋 山一文 :薬物 か ら見 た分裂病治煮詰,現代 のエスプ リ, No.305,1992. 5)内田又功 :通院服薬状況 と社食 適応,分裂病 の リ- ビ リ テ- シ ョン,棉神科MOOK22,191,金原出版,1988. 6)亀井啓介,棉神科医か らみたイ ンフ ォーム ドコンセ ン ト, 棉神 医学34,1301-1310,1992. 7)山上 あ きら,国連 原則 と我が国の棉神科 医の意敦,精神医 学34:1301-1310,1992. 8)坂 口信 書,精神分 裂病 の社 会 復 帰 と病 名 告 知,精 神科 MOOK増刊 1,金原出版,東京,1989.

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20)MacEvoy,J.,Aland,J.,Wilson,W ,Guy,W.& Ha w-kins,L∴ Measuringchronicschizophrenicpatients' attitudestowardtheirillnessandtreatment,Hospital andCommunityPsychiatry32,857-858,1981 21)Marder.J..Mebane.A.,Chien,C"Winslade.W .

swann,E.& Van Putten.T.:A Comparison of patientswhorefuseandconsenttoneuroleptjctreat一 ment:AmericanJournalofPsychiatry140,470-473, 1983. 22)畑 俊 治,他 :精 神 分 裂病 の 「再 発」 と蝕床 的 な 「関 わ り」,社会棉神医学,9(2),165-172,1986. 23)上 島国利 :拒薬 に対す る心理的反応,精神科領域 におけ る薬物凍法,棉神科MOOK増刊1,52-61,1989. 24)西於 能子,他 :服薬 コンプ ライア ンス と諸要 因- 第2 報- ,第11回社会精神医学学舎抄録集,139,1991. 25)長谷川万乗子,他 :病院外来患者の構造 と行動分析.日本 保健 医療行動科学合年報, 9,200-215,1994. 26)中谷兵樹.他 :精神科治廉 における「説明 と同意」一一一分 裂病者の薬物治簾 におけるイ ンフ ォーム ド・コンセ ン ト - ,臨床精神医学,20(12),1896-1878,199L

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28)鈴木丈,他 :急性期分裂病患者 に対す る心理教育的プ ロ グラム,第15回 日本社会精神 医学合抄録集,105,1995.

表 2 態度尺度 ( A 仙 d el n s t r u me n t: A L )( D a v i d h i z a r . R . E .1 9 8 6 ,I g 8 8 ) 自記式で 5 段階評価の リカー ト法で,24 項 目の文章 を読んで始めに,信念の強 さを 「 全 くそ う思 うJか ら 「 全 くそ う思わない」 まで評価 し,次に同 じ文章について感情的評価 を 「とて もいや」か ら r とて もよい」 まで評価 し,両者の巌果 を掛 け合わせ合 計 を出す○ 【 各質問項 目〕

参照

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