境 界積分方程 式法 によ る自由水面 および
海岸地下淡塩界 面の非定常解析 とその応 用
佐 藤 邦 明*・ 福 原 輝 幸**
Unsteady
Dynamic
Analyses
of Free Surface
and Under
ground
Fresh-Salt
Interface
by Means
of Boundary
Integral
Equation
Method
and Their
Applications
to Field
Problems
Kuniaki SATO* and Teruyuki
FUKUHARA* *
The boundary integral equation method gives the efficiencies associated with the re-duction of the dimensionality of a problem. This paper deals with the unsteady behavior of moving free surface and fresh-salt interface on the basis of the boundary integral equation method. The formulation and numerical discretization techniques for solving the dynamics
of moving interface are explained, and theoretical results are compared with some experi-ments to examine the applicability of numerical computation. For the sake of practical use, two problems concerning an artificial land and rock cavern for stock piling are analized in coastal aquifers. As a result of serveral analyses, the applicability of boundary integral equation method for analyzing the moving interface as well as the characteristics of inter-face are confirmed.
1.は じめ に
水 理 問 題 に 限 ら ず.一 般 に 多 くの 力 学 現 象 の解 明 に 当 って 微 分 方 程 式 を 直接 解 く差 分 法 や変 分 原 理 を
*埼 玉人学工学部
Faculty of Engineering. University of Saitama
**福 井大学工学部
Faculty of Engineering, University of Fukui
応 用 した 有 限 要 素 法 が 今Bの 数 値 解 析 の 主 流 と な っ て い る.し か し.昨 今 微 分 方 程 式 の 初 期 ・境 界 値 問 題 を積 分 方 程式 に 帰 着 させ て 解 く境 界 積 分 方 程式 法 (boundary醸 登gralequati◎ltmethod:BIEMと 略 記) が 注 目 さ れ て い る.こ の方 法 は境 界 を 有 限 分 割 して そ れ ぞれ の 区 間 で 境 界 積 分 を実 行 す る こ とか ら境 界 要 素 法(boundary .elementmethod)に 含 ま れ る.差 分 法 や 有 限 要 素 法 が 解 析 領 域 全 体 に 般知ii;Jを離 散 化
して 解 析 す る の に 比 べ て.BIEMは 領 域 の境 界 に 未 知 量 を集 約 して 解析 す るの が 特 色 で あ る.従 って. 前 者 に比 べ て後 者 は演 算 の 次 数 が 一 つ 減 る た め 計 算 時 の 入 力 デ ー タや 計 算 時 間 を大 幅 に縮 小 す る こ とが 出 来 る.し か も.BIEMは 基 本 特 異 解 が存 在 す れ ば. Greenの 公 式 に よ って 微 分 方 程 式 の 積 分 が 解 析 的 に 行 な え る た め境 界 上 の 物 理 量 及 び そ の 導 関 数 も計算 精 度 を落 す こ とな く決 定 で き.加 え て 決 定 され た境 界 の値 を 用 い て 領 域 内 部 の任 意 点 に お け る積 分 方 程 式 の微 分 も解 析 的 に行 な え.内 部 点 の 物 理 量 も精 度 よ く計 算 出来 る.こ の 利 点 を活 か して.BIEMは 開 領 域 の 問 題 を取 扱 う場 合 に応 用 上 有 利 で あ る と言 え る.例 え ば.貯 液 タ ンク 内 の ス ロ ッ シ ン グ.浸 透 流. 非 線 形 孤 立 波 な ど の流 体 問 題.さ ら に弾 性 力 学 的諸 問 題 に も有 効 で あ る. 今 日.浸 透 流 や 地 下 水 の諸 問 題 は技 術 の 向 上 ・発 展 に 伴 って 広 範 囲 に か つ 多 様 化 して お り.BIEMを 用 い た この 分 野 の 研 究 は 活発 とな りつ つ あ る.こ の 関 連 の 研 究 論 文 は 基 本 的 に 以 下 の よ う に 整 理 で き る. ①:ダ ム や堤 防 内 の 自由 水 面 変 化 に注 目 した定 常 水 面 形 問 題 に 関 す る研 究(Niwaetal.(1974).Liu& Liggett(1978).渡 辺 ・吉 武(1980).Hunt&Isaacs (1981))や 非 定 常 水 面 形 問 題 に 関 す る研 究(Liggett (1977).Liu&Liggett(1979).Lennonetal.(1979). Lennonetal.(1980).山 上 ・岡 田(1983).福 原 ほ か (1986))o ②1被 圧 帯 水 層 中 の 淡 水 ・塩 水 境 界 の よ う な内 部 界 面 の 移 動 に 着 目 した 非 定 常 問 題 に 関 す る研 究(Liu etal.(1981).藤 野(1985))eこ の種 の 研 究 で は一 般 に 非 混 合 二 液 体 流 と して の 取 り扱 い が な さ れ て い る. ③1上 述 の① と② を 同時 に包 括 す る よ うな 不 圧 帯 水 層 申 の 自由 水 面 お よ び内 部 界面 に 関 す る 非 定 常 問 題 の 研 究(Taigbenu&Liggett(1984))で あ り.非 混 合 二 液 体 流 と して取 り扱 う. 以 上.3つ の 問題 を水理 学 的 お よび解 析 上 の観 点 か ら考 え て み る と.次 の よ うに な る.① の 問 題 は 後 述 す る よ う に 自 由 表 面(移 動 境 界)上 で 速 度 ポ テ ン シ ャ ル Φ は既 知 で あ り.そ の 法 線 方 向 微 分 値 ∂Φ/ ∂nは 未 知 で あ るe② の 問 題 で は 内 部 界 面(移 動 境 界)上 で 両 者 と も未 知 量 とな る.③ の 場 合 に は 自由 表 面 と内部 界 面 が 相 互 に敏 感 に影 響 を及 ぼ し合 う こ と と な り.そ の結 果.自 由 表 面 の微 小変 化 が 二 液体 の密 度 差 に よ り拡 大 的 に 内 部 界 面 の 変 化 に転 嫁 され る 叢).そ れ 故.解 析 に 当 って は.①.② の場 合 よ り も高 い 数値 解 析 の 精 度 が 要 求 され る.筆 者 らの 知 る 限 りで は.ご く最 近Taigbenu(1984)が 唯 一③ の 問 題 をBIEMに よ り解 析 して い る.し か し残 念 なが ら. 彼 の 解 析 で は ガ イベ ン(ル ツベ ル ク 近似(一 次 元 流 れ の 糸 定)が 導 入 さ れ て い る た め に.海 岸 に近 い と こ ろ で の 自由 水 面 と内 部 界 面 の 形 状 に不 合 理 さ を残 して い る.こ の よ うな 背 景 にあ って.本 研 究 で は ま ず.B肥Mで は 避 け難 い特 異 点 で の 計 算 精 度 の 低 下 を 防 ぐた め に.特 異 点 処 理 に工 夫 を凝 ら した.そ の 上 で.BIEMを 海 岸 帯 水 層 に お け る 自 由 水 面 と内 部 界 面 の 共存 状 態 の 非 定 常 解 析.特 に今 日注 目 され て い る二 つ の水 理 問題 に適 用 した.応 用 に 供 した 一 つ の 問題 は昨 今 注 目さ れ て い る埋 立 方 式 の 人 工 島 にお け る地 下 淡 水 レ ンズ の解 析 で あ る.他 は エ ネル ギ ー 問題 に係 って 現在 建 設 の 進 み つ つ あ る燃 料 の岩 盤 地 下 備 蓄 に伴 う空 洞 地 山 の 塩 水 くさ び の解 析 で あ る. こ れ らの解 析 結 果 は具 体 的 な室 内 ヘ ル ・シ ョウ実 験 と対 比 して 検 討 を加 えた.従 っ て.本 論 文 で 得 られ た解 析 手 法 とそ の 結 果 は これ らの 実 際 問 題 の設 計 ・ 計 画(例 え ば.地 下 水 の 水 収 支 を含 め た環 境 の評 価. 地 下 空 洞 の場 所 の 決 定 お よ び埋 立 て時 の 淡 水 位 の制 御)に も直接 役 立 つ もの と思 わ れ る. 1)ガ イベ ンーヘ ルッベ ルグの公式 に従 えば.内 部界面は その鉛 直上の淡水 の水位 の40倍の大 きさで 上昇 ・下降 す る.
2.BIEMの 地 下 水解 析 へ の 応 用 境 界 積 分 方 程 式 は.現 時 点 で 地 下 水 ・浸 透 流 の 解 析 に あ ま り普 及 して い る とは 言 え な い の で.初 め に B肥Mそ の もの の 数 学 的 背 景 に つ い て 一通 り簡 単 に 述 べ て お く.つ いで 淡 塩 二 相 流 問 題 へ の 応 用 に当 っ て 必 要 な 数 学 的 定 式 化.境 界条 件 の構 成.お よ び そ れ らの 離 散 化 につ い て述 べ.し か る後 に 具 体 的 な解 析 手順 を明 らか にす る. 2-1境 界 積 分 方 程 式 の数 学 的 表 示 地 下 水 の 流 れ の 数 理 モ デ ル は微 分 方 程 式 の 境 界 値 問 題 に 帰 着 す る こ とが 多 い.こ こ で はGreen関 数 を用 い て 微 分 方 程 式 の境 界 値 問題 をそ れ と等 価 な 積 分 方 程 式 に 変 換 し て解 析 す る に 必 要 な 基 本 を述 べ る ◎ い ま 図 一1に示 す よ うな 一 つ の 閉 曲面Sで 囲 まれ た 領 域 Ω を考 え る.こ の 境 界 面Sは.そ の 上 の 任 意 点 で 外 向 き に 引 い た 法 線 難の 方 向 が そ の 点 の 移 動 に伴 って.連 続 に変 る面 で あ る とす る.あ る 関 数 V(x.z)と そ の 導 数 は Ω お よ び そ の 境 界 面Sを も含 め た と こ ろで 連 続 で あ る と し.Vを 成 分 とす るベ ク トルVを 考 え れ ば.発 散 定 理 は次 の 積 分 方 程 式 で 表 わせ る. ∫Ω9・VdΩ イsV・nds(1) こ こ に.R:Sの 外 向 き 法 線 ベ ク トル.7:微 分 演 算 子 とす る.ベ ク トルVが 流 速 を表 わ す とす れ ば.式(1)の 左 辺 は 単 位 時 間 に Ωか ら流 出 す る流 体 の ボ リ ュー ム を.右 辺 は 単 位 時 間 に 境 界 面Sを 通 して外 に 流 出 す る流 体 の ボ リ ュ ー ム を 表 わ す こ とに な る. 今.Ω とSを 含 め た 領 域 に お い て2回 微 分 可 能 な ス カ ラー 関 数 Φ(x.z)と ψ(x.z)を 導 人 出来 れ ば. ベ ク トルV=Φ7ψ と与 え て これ に 発 散 定 理 式(1) を適 用 す る と次 式 を得 る. ∫Ω(vΦ ・vψ+Φ72ψ)dΩ 一 ∫.ΦVψ ・nds(2) 次 に.Φ と ψ と を相 互 に 交 換 してV=ψ クΦ と 書 い て.同 時 に こ れ に も発 散 定 理 を適 用 す る と次 式 を得 る. ∫Ω(7ψ ・rΦ+ψ 〆 Φ)dΩ =∫ sψ7Φ ・nds(3) 式(2)と 式(3)の 辺 々 の 差 を とれ ば
∫Ω(Φv2ψ 一qg2Φ)dΩ 一S.(Φvψ 一一ψvΦ)・nds(4) が 得 られ る.式 ④ の恒 等 式 は グ リー ンの 第2定 理 と呼 ばれ て い る. 式(4)の 右 辺 の 境 界 積 分 に お け る内 積 は 方 向 微 係 数 に等 しい と い う 関係.す な わ ち. Vψ.n=∂ ψ/∂n.7Φ.nr∂ Φノ∂n(5) を式(4)に 代 入 す る と.グ リー ンの 第2定 理 は次 の よ うに書 き変 え られ る. こ れ よ り点Pで の ポ テ ン シ ャ ル は 次 の 積 分 方 程 式 で 表 わ され て い る こ とに な る. 同 様 に.図 一1(b)の よ う に特 異 点Pが 滑 らか な境 界 上Sに 位 置 す る と き. の よ うに 表 わ せ る.ま た.Ω の 外 部 Ω に特 異 点P が 位 置 す る と き も し.Φ と ψが と も に ラ プ ラ ス 方 程 式72Φ=O. 72ψ=oを 満 た す場 合 に は.式(6)は と な る. こ こ で.Φ をポ テ ン シ ャル.ψ を グ リー ン関 数 と す る と.2次 元 問 題 の場 合.式(7)を 満 た す ψ の 基 本 解 は. ψ=lnr(8) とな る.こ こ に.rは 図 ・1に示 す よ う に境 界S上 の 点Qと 特 異 点P(r・Oの 点)と の 距 離 を示 す. 式(7)に 式(8)を 用 い て 積 分 す る に 際 し て.図4 の よ う に.特 異 点Pが 領 域 内 Ω に あ る 場 合 か 領 域 外 Ω に あ る か.さ ら に境 界S上 に あ る か い ず れ か で 表 現 が 違 う.(a)図 の よ うにPが Ω 内 に 存 在 す る 場 合 に式(7)は コ ー シー(Cauchy)の 主 値 積 分 よ り求 め られ の よ うな積 分 方 程 式 とな る. 式(11)は 境 界S上 の点P.Qだ け に関 係 し.デ ィ リ ク レ(Dirichlet)境 界 上 で 未 知 関 数 ∂ Φ/∂nと ノ イマ ン(Neumann)境 界 上 で 未 知 関 数 Φ に 関す る積 分 方 程式 で あ る こ とか ら.境 界 積 分 方 程 式 と呼 ばれ る. 2-2非 混 合 液 体 浸 透 流 の 基 本 式 と境 界 条 件 次 に.積 分 方 程 式 法 を二 液体 浸 透 流 の 解 析 に 適 用 す る に必 要 な基 本 式 と境 界 条件 に つ い て 述べ る. 図 ・2は密 度 差 の 異 な る 二 つ の 液 体 か ら な る 浸 透 領域 を示 した もの で あ り.界 面 は 明瞭 に存 在 す る も の と仮 定 す る. 非 圧 縮 性 流 体 の 浸 透 流 がDarcy則 に 従 う もの と す れ ば. とな る. と書 け る.こ こ に.k.i.k.,は.x(水{扮 軸 方 向.z(鉛 直)軸 方 向 の 透 水 係 数 で あ る峰
き に と る. 一 般 に.非 混 合 の 二 液 体 流 れ の 界 面 条 件 は力 学 条 件 と運 動 学 的 条 件 に分 け られ.次 の場 合 が あ る. 二 つ の 液 体 の 界 面(z=h2)で は.力 学 的 条 件(圧 力 釣 合 条 件)と して 次 式 が 成 立 す る. Φ1=ζ Φ2-(ζ 一1)h2(19) こ こ に. ζ=ρ2/P](20) さ ら に運 動 学 的 条 件 と して.z;h2に お い て 次 式 が 成 立 す る. そ れ ら は次 式 で表 わ され る. こ こ に.添 字iは 流 れ の 領域(i=1.2)を 表 わ し. Kx.Kz:固 有 浸 透 係 数.ρ:液 体 の 密 度.μ:粘 性 係 数.g:重 力 加 速 度 とす る. 非 圧 縮 性 流 体 の 流 れ は領 域iに つ い て 連 続 式 を満 たす か ら次 式 が 成 立 つ. 式(13).式(14)を 式(15)に 代 入 す る と.次 式 を得 る. 等 方 ・均 質 の 浸 透 流 場 で は.k..k.(≡ ≡k)が成 立 す る か ら.式(i6)は 次 の よ うな ラ プ ラ ス方 程 式 に書 き変 え ら れ る. こ こ に.Φ,は ピエ ゾ 水 頭 で あ り.次 式 で 定 義 さ れ る. こ こに.p:水 圧.z:不 浸 透層 表 面 か ら鉛 直 上 向 と表 わ され る. 他 方.自 由 水 面z=hユ に お け る 力 学 的 条 件 は Φ=hエ(25) とな り.ま た 運 動 学 的 条 件 は
で 与 え られ る.こ こ に ω は降 雨 浸 透 量 を表 わ す. さ らに.境 界 の 一 部 が 不 浸 透 層 で あ る場 合 に は. そ こ で ∂Φ/∂n=0(27) が 成 立 す る. 結 局.2つ の非 圧 縮 性 液 体 の流 れ は ラ プ ラ ス の式 (17)及 び界 面 ・自由 表 面 の 力 学 ・運 動 学 的 条 件 と不 浸 透 境 界 条 件 を満 足 しな け れ ば な ら な い こ と に な る◎ 2-3淡 水 レ ンズ と塩 水 くさ びの 境 界 条 件 とそ れ らの構 成 浸 透 流 問 題 の 多 くは ラ プ ラ ス方 程 式 の内 部 混 合 境 界 値 問 題(デ ィ リ ク レ型 と ノ イ マ ン型 の 両 者 を含 む 境 界 値 問 題)で あ り.本 論 文 で も扱 う よ う な淡 塩2 相 流 の浸 透 流 問題 に 関 して も例 外 で は ない.こ こ で は淡 塩2液 体 流 に 関 す る具 体 的 モ デ ル を2つ 採 り挙 げ て.混 合 型 境 界 条 件 の構 成 を説 明 す る. 図 ・3(a)は埋 立 人 工 島 に お け る淡 塩 レ ン ズモ デ ル を.図 一3(b)は地 下 空 洞 を有 す る海 岸 岩 盤 中 の 塩 水 くさ びモ デ ル を そ れ ぞ れ 表 わす.両 モ デ ル に お い て 同 じ性 質 を 有 す る境 界 は 共 通 の 番 号 を使 用 して い る.ま た両 モ デ ル に 含 まれ る仮 定 は 以 下 の3つ とす る◎ (i)海 域 に お け る塩 水 は 静止 して い る. ( ii)淡 水 は 海域 に 流 出 して 直 ちに 混 合 す る. ( iii)等 方 ・均 質 帯 水層 や 岩 盤 中 の 淡 塩 境 界 面 は明 瞭 とす る.両 モ デ ル と も淡 水 域 を領 域1.塩 水 域 を 領域2と 区 別 す る. 境 界 条 件 は.次 に示 す(a)∼(g)で 与 え られ る. (al境 界(1)は 自 由水 面 で あ り.境 界値 は Φ1=hl(28) で 考 え られ る. (b)境 界(2).(2)'お よ び(2)"(地 下 空 洞 面)は い ず れ も浸 出面 で あ り.境 界 値 は. Φ1=z(29)
で 与 え られ る.た だ し.地 下 空 洞 の 場 合 に お け る空 気 圧 は(水 頭 換 算1大 気 圧P.に 等 しい とす る. (c)境 界(3)お よ び(3)'は 淡 水 の 海側 へ の 流 出 面 で あ り.式(19)の 力 学 的 条件 に 従 って.境 界 条 件 は Φ垂=ζH-(ζ 一1)z(30) で 与 え られ る.こ こ にHは 海 水 深 を表 す. (d)境 界(4)は 淡 水 一 塩 水 境 界 を表 す.同 境 界 で は 既 知 な る境 界条 件 は 存在 せ ず.式(19)と 式(24)の よ う な界 面 に関 連 す る 条件 が.領 域1と 領 域2の ポ テ ン シ ャ ルお よ び そ の法 線 微 分値 に 対 す る関 係 を連 結 させ る. (e)境 界(5)お よ び(5)'は 塩 水 の 海 側 へ の 流 出 ・流 入 面 で あ り境 界 値 は. Φ2;H(31) で 与 え られ る. (f}境 界(6)は 底 部 不 浸 透 面 で あ り.境 界 条 件 は. ∂ Φ1/∂n=∂ Φ2/∂n=O(32) で 与 え られ る. (9}境 界(7)は 上 流 端 境 界 面 で あ り.=境 界 値 は ΦlurHl(33) で 与 え られ る.こ こ に.珊 は 上 流 側 の 淡 水 深 を表 す. 2-4境 界 積 分 方 程 式 の 離 散 化 お よび解 析 手 順 境 界 積 分 方 程 式 を解 析 的 に積 分 す る た め に.境 界 を図4(境 界 を模 式 的 に示 して あ る)に 示 す よ う な有 限 個 の 直 線 要 素 に分 割 す る.要 素 内 の 値 は一 定 と し 各 要 素 の ポ テ ン シ ャ ル Φ お よ び そ の 微 係 数 ∂ Φ/∂ nは 一 定 の 階 段 関 数 を 用 い て 式(11)の 積 分 を 行 な う.境 界 上 の 特 異 点i(境 界 要 素 の 中 点 に と る)に 対 して.境 界 節 点jか らj+1ま で の 区 分 境 界 積 分 は 次 の よ う に表 現 さ れ る. こ の と き.右 辺 第 一 項 は Φ を密 度 とす る二 重層 ポ テ
ンシャル を表 わ し・ 第二項 は 亀雲 を鍍
とす る一
重 層 ポ テ ン シ ャル を表 わ して い る.そ の 際.第 一 項 と 第 二 項 の 積 分 値 で あ るH,,sとGi,」 は そ れ ぞ れ 次 式 で 与 え ら れ る. こ の よ う に して.式(35)の 積 分 を全 境 界(全 要 素) に わ た り実 行 す れ ば.Φ.と(∂ Φ/∂ 撤),に関 す る 次 の よ うな 代 数 方 程 式 を 得 る. こ こ に.Nは 分 割 要 素 数 を表 わ し.式(38)中 のH. . 」に 関 してi=jの と きに は.Hi.⊃ ・一 π と な る. 一 般 に式(38)は 境 界 要 素 方 程 式 と呼 ば れ る もの で あ る.式(38)のN次 元 連 立 方 程 式 を解 く こ とで.各 境 界 要 素 に お け る 未 知 量 Φ 及 び ∂Φ/∂ 勲が 求 め られ る. そ の 際 注 意 す べ き こ と は特 異 点(特 に.性 質 の 異 な る境 界 の 接 合 部)に お け る Φ お よ び ∂ Φ/∂nの 値 の 修 正 方 法 で あ る.本 来BIEMの 特 異 点 処理 は 重 要 で あ り.本 論 文 で 扱 う よ う な2つ の移 動 境 界 が 相 互 に 敏 感 に影 響 を 及}…け 場 合 に は.特 に注 意 を払 う必 要 が あ る.そ の た め に.図 一5に示 す よ う な 淡 水 レ ン ズの 場 合 を例 に と って 説 明 す る.図5(b)は(a)の 破 線 で 囲 まれ た特 異 点 付 近 を拡 大 した も ので あ る. 具 体 的 に は以 下 の よ うな特 異 点 で の 計 算 処 理 を施 し た.ま ず.図 一5(a)の よ う に 特 異 点 付 近 で 要 素 を細 く分 割 す る.次 に.特 異 点 に 接 す る 要 素(3)の Φお よ び ∂ Φ/∂n(Φ3お よ び(∂ Φ/∂R)3)は そ れ に 隣 接 す る3つ の 要 素 の Φお よ び ∂Φ/∂nを も と に. 2次 の 多 項 式 か ら推 定 す る.図 一5(b)に示 さ れ る よ う な局 所 座 標 系 に 従 って Φの 空 間分 布 を次 式 で 与 え る. Φ=as2十bs十c(39) こ こ に.sは 要 素(3)の 中央 点 か ら3つ 離 れ た そ れ(0)を 基 準 と して.要 素 に 沿 った 長 さ を表 わ す.a. b.cは 定 数 で あ り.こ れ ら3つ の 値 を 決 定 す る た め の条 件 が 次 式 で あ る.す な わ ち. Φ=Φo:s=0 Φ=Φ1:s=s1(40) Φ ニ Φ2:S=S2 式(40)は 要 素O-2で は 既 に式(38)で 解(厳 密 に 言 え ば求 め るべ き解 に近 い値)Φ.∼ Φ2が 得 られ た こ と を 意味 す る.式(40)を 式(39)に 代 入 す る こ と で Φ3は 次 の よ うに 表 わ され る. Φ3=as§ 十bs3十c(41) こ こ に. 同様 に.(∂ Φ/∂n)3に つ い て も.式(39)と 同 じ よ う な 二 次 多 項 式 の(∂ Φ/∂n)の 空 間 分 布 を想 定 し.要 素0∼2の(∂ Φ/∂n).換 言 す れ ば(∂ Φ/
次 に.2-3で 提 示 した2つ の モ デ ル(島 の 淡塩 レ ン ズ と地 下 空 洞 を有 す る海 岸 岩 盤 中の 塩 水 く さび モ デ ル)の 場 合 につ い て.具 体 的 に離 散 化 及 び解 析 手順 を説 明 す る.離 散 化 も含 め た非 定 常 解 析 の た め の 計 算 ロ ー チ ャー トは 図 ・6に示 す.二 つ の モ デ ル の 聞 に は 計 算 手 順 の 本 質 的 な 差 異 は ない ので.前 者 の モ デ ル を用 い て フ ロー チ ャ ー トに従 っ て.積 分 方 程式 の 離 散化.未 知 境 界 値 の 決 定 方 法.及 び新 た な 次 の時 間 ス テ ップ に お け る境 界 形 状 の 決 定 方 法 につ い て 説 明 す る. 式(38)に 対 応 す る 境 界 積 分 方 程 式 は次 の行 列 式 で 与 え られ る. 式(43)中 の 添 字 は 図3(a)に 示 した 境 界 の 番 号 を 意 味 す る. 式(43)に お け る 未 知 境 界 量 を左 辺 に.既 知 境 界 量 を 右 辺 に そ れ ぞ れ 移 項 し.係 数 マ トリ ッ クス 〔G〕.〔H〕 の対 応す る列 ベ ク トル を符 合 を変 え て 入 れ 換 えす る こ とに よ り. こ こ に.h2は 底 部 不 浸 透 面 か ら レ ン ズ境 界 ま で の 高 さを 表 す. 式(44)の 代 数 方 程式 を解 くこ とで.左 辺 の 未 知 境 界 量 が 決 定 され る. こ う して 求 め られ た 自 由境 界 上 の ∂ Φ/∂nを 用 い て.新 た な境 界 形 上.例 え ば 淡 塩 境 界 面 は 運 動 学 的 条 件 式(24)を 差 分 化 した式 に よ り決 定 さ れ る.こ こ に 融:時 間 ス テ ップ を.△ t:時 間 間 隔.β:重 み 係 数(β=0.4-O.6)を そ れ ぞ れ 表 わす. 以 上 の計 算 手 順 を繰 り返 す こ と に よ り.淡 塩 レ ン ズの 形 成 過 程 や 塩 水 くさ び の 前 進 ・後 退 過 程 が 遂 時 決 定 で き る. さ らに.地 下 空洞 か らの 湧 水 量 の 経 時 変 化 は.そ れ ぞ れ の 時 刻 で 地 下 空 洞 境 界(境 界 ②')に お け る 各 時 間 ステ ップ ご との 速 度 ポ テ ン シ ャ ル の 法 線 微 分 値 ∂ Φ 玉/∂nと 浸 透 係 数 の積 を空 洞 辺 長 に わ た り積 分 す る こ とに よ り求 め られ る. 3.実 験 と解 析 お よ び それ ら の考 察 3-1島 モ デ ル の 淡 水 レ ンズ こ こで は.島 の 水 収 支 に も係 る因 子 と して 地 下 水 流 出 量.淡 水 レ ンズ 形 状 の非 定 常 挙 動 に 関 す る実 験 及 び そ の 水 理 特 性 及 びDupuitの 近 似 に 基 づ く 一次 元 解 析 の 適 応 に 関 す る 検 討 を試 み る.
(a)島 モ デ ル に お け る淡 水 レ ンズ の 実 験 島 の 降 雨 に よ る淡 水 レ ンズ の 形 成 及 び降 雨 の 地 下 流 出 に つ い て.そ れ ら を 実 験 的 に 調 べ る 目的 で ヘ ル ・シ ョウ の 実験 装 置 に よ っ て い くつ か条 件 を変 え て 実 験 を試 み る.そ こで.実 験 結 果 と境 界積 分 方 程 式 法 に よ る解 析 結 果 を比 較 ・検 討 す る. ヘ ル ・シ 羅ウの 実 験 装 置 は.浸 透 流 の 実 験 で 良 く 知 られ て い る よ う に.浸 透 流 を薄 い 一 定 幅 の 平 行 間 隙 中 に お け る 粘 性 流 で 再 現 す る もの で あ る.実 験 装 置 は 図7に 示 す よ う に 水 平 長 さ1.3m.高 さ0.35m の 中央 に 島 モ デ ル の 部 分0.32mを 有 し.左 右 に海 域 の 役 割 を もたせ る貯 留 部 が あ る.中 央 の 島 モデ ルの 部 分 は 平 行 間 隙 幅 が2mmで あ る.装 置 の 前 面 は透 明 ア ク リ ル板 で 作 ら れ.地 下 水 面 や 淡 水 レ ン ズが 肉 眼 や 写 真 で 観 測 で き る よ うに な っ て い る.装 隅 の 上 端 に は 降 雨 シ ミ ュ レ ー ター(直 径O.03m.長 さO.7m
の 塩 化 ビ ニ ー ル パ イ プ にO.2mmの 注 射 針 を0.01m の 間 隔 で取 付 け.パ イプ の 一 端 は硬 直 ビニ ー ル管 で 降 雨 貯 留 タ ン ク に接 続)が 置 か れ.一 定 強 度 の 降 雨 浸 透 が 島 モ デ ル 上部 か ら起 こ され る.実 験 に お い て は.塩 水 及 び淡 水 の 代 りに 密 度 と粘 性 の 異 っ た粘 性 油 が 用 い られ.す べ て の 実 験 は 室 温 が ユ9±0,5℃ の 恒 温 室 内 で 行 わ れ る. 実 験 の手 順 は.初 め に 海 域 に相 当 す る左 右 貯 留 部 に接 続 され て い る2つ の オ ーバ ー フ ロ ー タ ンク か ら 油 を導 び き.海 域 も島 モ デ ル内 も 同一 水 深 にす る. 次 に.降 雨 シ ミ ュ レ ー ター を操 作 して 一 定 降雨 強 度 で 浸 透 を開 始 す る.降 雨 油 に は赤 色 ベ ンガ ラ微 粉 末 が 混 合 され て い る か ら淡 水 レ ン ズ は定 間時 毎 に 写真 観 測 で き.島 モ デ ル 地 盤 内 に形 成 さ れ る 淡 水 レ ンズ の 経 時 的 成 長 を把 握 す る こ とが で き る.ま た左 右 貯 留 部 か ら流 出 す る オ ーバ ー フ ロ ー流 量 の経 時 変 化 は メ ス シ リ ンダ ー に よ って 測 定 し.求 め る.実 験 に 使 用 され た 油 の比 重 は 淡 水 に 相 当 す る油 で はO.88. .塩 水 の そ れ はO.886で あ り.島 モ デ ル 地 盤 の 透 水 係 数 kは3.22×10um2m/6で あ っ た.実 験 は海 域 水 位H= O.25mを ・定 と して.浸 透 量 の み をte=1.475×10 δ ∼1 .024×10-4m/sと 変 えて 行 な っ た. 実 験 に よ って 得 ら れ る淡 水 レ ン ズの 形 成 は非 常 に 鮮 や か で あ り.浸 透 強 度 ω=1.160×10 4m/sの 場 合 に お け る初 期 及 び ほ と ん ど定 常 状 態 に至 っ た2つ の 写 真 が 写 真1.2に 示 され て い る.こ れ ら の 写 真 で は黒 い 部 分 が 淡 水 レ ンズ で あ り.時 間 と共 に急 激 に成 長 し.十 分 時 間 を経 る と.降 雨 浸 透 量 と流 出 量 が つ り合 って 淡 水 レ ンズ は 定 常 な形 常 の ま ま保 た れ る.ま た.図 一8には ω=1.475×10一 ㌔m/sの 場 合 に お け る淡 水 レ ン ズの 成 長 界 面 を写 真 か ら読 み 取 っ て 経 時 的 に 示 して あ る.こ の 図 か ら判 る よ う に.時 間 と共 に淡 水 レ ンズ が 急 激 に 成 長 し.成 長 に 伴 っ て 下 に凸 の左 右 対 称 な レ ンズ状 に な っ て.つ い で 定 常 形 状 を成 す 過 程 を知 る事 が で き る.さ ら に.こ の場 合
に お け る 地 下 水 流 出 量 の経 時 変 化 を図 ・9に示 して い る.淡 水 レンズ の 形成 初 期 に は 降雨 浸 透 は レ ンズ の成 長 に寄 与 し.レ ンズ が成 長 す る につ れ て 流 出 に 代 る た め に流 出 量 は時 問 と共 に増 大 して や が て 一 定 値 に近 づ くこ とが よ く読 み とれ る. ㈲ 解 析 結 果 図40は ω/k=3,602×10-3.P2/ρ1=1.0067の 場 合 の レ ン ズ 形 状 の 経 時 変 化 を 示 す.図 一11は.そ の 場 合 に お け る 淡 水 流 出 量 の 経 時 変 化 を 示 し た も の で あ る.両 図 中 に はBIEMに よる 理 論解 析 結 果 も同 時 に示 され て い る.こ の 場 合 は 図 一8.9の 場 合 に 比 べ て 降 雨 浸 透 量 が大 きいか ら淡 塩 界 面 の深 さが 大 き く.下 に 凸 の 曲 率 も 全体 に 大 き い.ま た.図 一10. 11の 実 験 結 果 は 理論 の それ と両 者 と も定性 的 に も定 量 的 に も よ く合 致 して い る.図42は 上述 と同 じ密 度 の流 体 につ い て 無次 元 化 され た 自由 水 面 の 中央 最 大 盛 り上 り量h†(≡(hlm..-H)/L.hlmax:自 由 水 面 の 最 大盛 り上 り高 さ.H:海 域 水深.L:島 の 長 さ) の経 時 変 化 と無 次 元 化 され た海 面下 にお け る 淡水 域 の 最 大厚 さh吉(≡(H-h2mm)/L.h2m..:塩 ・淡 水 界 面 の 最小 高 さ)の 経 時 変化 をそ れぞ れ 表 わ す.τ(≡ tk/L)=30ま で はh†.砧 と も急 激 に増 大 す る が. そ の 後 の 増 加 は緩 慢 とな り.両 者 と も τ:100で ほ ぼ 定常 状 態 に達 す る.こ れ らの結 果 に よれ ば.淡 水 レ ンズ の成 長 期 に降 雨 浸透 量 は淡 水 レン ズ中 に貯 留 され.あ ま り地 下 水 流 出 に寄 与 しない こ と を意味 す る もの で あ り.自 由 水 面 の盛 り上 った 後 に 地 下水 流 出 が起 こ る こ と を表 わ して い る. 次 に.Dupuitの 準 一 様 流 近 似(二 次 元 浸 透 流 の 解 析 に 当 って 鉛 直 流 速<<水'F流 速 とお い て.静 水圧 近 似 を仮 定 す る近 似)お よび ガ イベ ン ・ヘ ル ッベ ル グ近似 に よ る 一次 元 流 解 析 とBIEMに よる 二 次 元流 解 析 との 比 較 を試 み.レ ン ズ形 状 が どの よ うに 畏 な
るか を検 討 す る. 図3(a)の よ う な 定 常 流 に お い て.Dupuitの 仮 定 と ガ イベ ン ・ヘ ル ッ ベ ル グ近似 を適 用 す れ ば.連 続 式 は. q=qx十 ωx(46) と な る.こ こで.q.:任 意 のx点 で の 流 量 で あ る. ま た.Dupuitの 準 一 様 流 近 似 よ り運動 の 式 は と な る. さ らに.ガ イベ ン ・ヘ ル ツベ ル ク の 近似 は 界 面 で の 圧 力 の静 水圧 的 つ り合 い 関係 か ら. ρlg(hゴーh2)=P2g(H-h2)(48) とな る.こ こに.ρi.ρ2:各 々淡 水 の塩 水.密 度. H:海 域 の 水深.g:重 力 加 速 度 で あ る. 式(47)を 式(46)へ 代 入 して.さ らに.式(48)を 用 い て 積 分 し.境 界 条 件x=0.x=Lでh1=Hを 与 え る と.簡 単 な演 算 か ら水 面 形 状hl(x)及 び淡 塩 界 面 の 形 状h2(x)は 次 式 に よ り求 め られ る. 図.13は ω/kとh‡.h吉 との 関係 をBIEMに よる 二 次 元 解 析 とDupuitの 近 似 に 基 づ く一 次 元 解 析 と そ れ ぞ れ 比 較 した もの で あ る.h‡ に 関 して は 両 解 析 に よ る差 は見 か け上 小 さい よ うに 思 わ れ るが.実 際 に は(ρ2一 ρi)/Piの オ ー ダ を乗 じて 評 価 され な け れ ば な らな い か ら.以 下 で はh畜 に つ い て の 議 論 に留 め る こ と とす る.ω/k≦0.OO5で は一 次 元 解 析 を用 い て も塩 ・淡 界 面 の 位 置 の 予 測 は可 能 と思 われ る.し か しな が ら.ω/k)O.005で は ω/kの 増 大 と 共 に 両 解 析 に よ る 差 は 広 が り.ω/k=O.02で は…一 次 元 解 析 に よ るh吉 は 二 次 元 解 析 に よ るh吉 に 比 べ て1.35倍 大 き くな る. 以 上 の事 よ り.一 次 元 解 析 は二 次 元 解 析 に比 べ て 海 水域 へ の 淡 水 域 の 侵 入 深 さ を過 大 評 価 しや す い こ と が 知 れ る. 3-2地 下 空 洞 を有 す る海 岸 岩 盤 中 の塩 水 く さ び こ こで は.最 近 注 目 さ れ て い る燃 料 岩 盤備 蓄 の 地 下 空 洞 建 設 に伴 う地 下 塩 水 くさ び の 非定 常 挙動 の特 性 及 び降 雨 浸 透 量 が 地 下 密 度 流 の挙 動 に 及 ぼ す 影響 を 自由 水 面 と塩 水 くさ び の形 状 や 地 下 空 洞 か らの 湧 水 量 を介 して 検 討 す る. 図 一14は実 際 に 近 い 空 洞 規 模 と地 山 を想 定 した 地 下 空 洞 の建 設 に伴 う 岩盤 中 の 自由 水 面 及 び 塩 水 くさ びの 経 時 変 化 と空 洞 へ の 湧 水量 を成 分 ご と に示 した も ので あ る.図44(a)に よれ ば初 め.地 山 内 で は 自 然 状 態 で 地 下 水 は 陸側 か ら海 に 向 か って 流 れ.定 常 自 由水 面 と塩 水 く さび を形 成 して い るが.空 洞 を建 設 す る と 自 由水 面 は空 洞 直 上 か ら低 下 し.塩 水 くさ び も陸 側 へ 進 行 す る.地 山 の 透 水 係 数kニ2×10 7m/sが か な り小 さい こ と と 空 洞 が 内 陸 に あ る た め か な り塩 水 く さび の 進行 は ゆ っ く りして い るゐ τ= 333は 実 時 間 に 直 す と900年 とな る.一 方.図44(b) に は上 側 に示 した よ うな 湧 水 量 成 分 と境 界 流 量 を 示 し.2つ の 空 洞 へ の 流 量 はql)q,と な って.q=ql
+q,で あ る.さ ら に.境 界 流 量q.qoは 小 さ く空 洞 湧水 量 の ほ と ん ど は水 面 低 下 に よる こ とが 判 る. 図 ・13(b)から.地 下 空洞 へ の 湧 水 量qは 時 間 経 過 と共 に 指 数 関 数 的 に低 減 し.湧 水 量 の 経 時 変 化 は次 式 で 表 現 さ れ る こ とが 判 る. qノ(kB)=a・exp(一 一btk/B)十c(51) こ こに.a.b.cは 定 数 で あ る. 一 般 に.ト ンネ ル 内湧 水 量 が 時 間 の 経 過 と と も に指 数 関数 的 に低 減 す る こ と は広 く認 め られ て お り.こ れ が 理 論 的 に 証 明 され た こ と に な ろ う. 以 上.島 モ デ ル にお け る淡 水 レ ンズ と地 下 空 洞 建 設 に よ る塩 水 く さび の 非 定 常 挙 動 を実 験 とBIEM解 析 に よ っ て 比 較 ・検 討 し た.そ の 結 果.BIEMの 適 用 性 が 認 め ら れ た もの と考 え られ.こ の 他 い くつ か の 二 液 体 流 の 解 析 に有 効 で あ る と思 わ れ る. む す び 最 近.浸 透 流 や 地 下 水 の 数 値 解 析.数 値 シ ミ ュ レー シ ョ ン技 術 に は 目覚 しい ものが あ り.そ れ らは い ろ い ろ な 水 理 現 象 の 解 明 に供 され て い る.昨 今.解 析 手 法 と して 新 し くBIEMが 普 及 しつ つ あ る.こ の 方 法 は解 析 領 域 の 境 界 に未 知量 を集 中 させ.演 算 の次 数 を一 つ 下 げ て計 算 時 の 入 力 デ ー タや 計 算 時 間 を大 幅 に 縮 小 し得 る利 点 を もつ.従 って.計 算 プ ロ グ ラ ム の 軽 量 化 を 図 る こ とが で き.地 下 水 の み な らず伝 熱.拡 散 現 象 とい った 他 の 連 成 現 象 を含 め た総 合 数 値 解 析 を 可 能 にせ しめ る利 点 を もつ.し か し.従 来 BIEMは 定 常 自 由 水 面 や 二 相 流 界 面 の み に 注 目 した 解 析 につ い て は い くつ か の 研 究 が あ る が.不 圧 帯 水 層 中 の 二 相 流 の よ う に2つ の 自 由 境 界(自 由 水 面 と 内 部 界 面)が 同 時 に 変 化 す る よ うな 場 合 の 非 定 常 解 析 に 関 して は 十 分 な成 果 が 得 られ て い る と は言 い 難 い. 本 研 究 で は.特 に非 定 常 淡 塩 界 面 の解 析 にBIEM
を応 用 し.解 析結 果 とヘ ル ・シ 灘ウ実験 結 果 に比
較 ・検討 を加 えた.淡 塩界面 問題 には人工 島の淡水
レンズ.及 び海岸付近 における岩盤空洞への湧水 に
伴 う塩水 くさびの二つ を取 り挙げた.そ の結果.次
の こ とが明 らかに なった.ま ず.BIEMで
は特異点
近傍 の解の精度の低下 は要素の細分割 と二次 の多項
式 に よる外挿法 によ り防 ぐことがで き.自 由水面 と
内部界面の共存時 における非定常解析 が可 能にな っ
た.ま た.自 由表面 の解析 に はDupuitの 一次 元流
の取扱 いが有効 で も淡塩界面の解析 には浸出点付近
で鉛直流速 が卓越 して十分でない ことが理論 的に示
された.
さらに.人 工島 の淡水 レンズの成長.減 衰 は降水
浸 透 と透水係 数 の比 ω/kに 依 存 し.淡 塩界 面は降
水初期 に急激 に成 長 し.時間 と共に定常状態 に至 る.
淡水 レンズか らの地下水流出量 は降水初期 に急激 に
増大 し.や がて定常値 をとる.さ らに.臨 海岩盤空
洞へ の塩水 くさびは空洞建設 に伴 って徐 々に侵 入す
るが.内 陸の地下水位が高 い場 合には空洞へは塩水
くさびは達 しない.
最後 に.本 研究 の実験 を進め るに当 って埼玉大学
工学部 建設基礎工学科卒 業生松本寿浩氏(跳 日本鋪
道勤務)の協 力 を得た ことを記 してお礼 申 し上 げる.
参考文献
福 原 輝 幸 ・檜 垣 善 彦 ・高橋 憲 昭 ・海 道 克 也(1986):境 界 要 素 法 に よ る非 定 常 浸 透 流 解 析.昭 和61年 度 土 木 学 会 関 西 支 部 年 次 講 演 会概 要 集. 藤 野 和 徳(1985):境 界 要 素 法 に よ る 地 下 密 度 流 の 数 値 解 析 及 び 庶 水 壁 の 塩 水 侵 入 抑 制 の効 果 に つ い て.日 本 地 下 水 学 会 誌.27(2). 山 上 拓 男 ・岡 田 洋 志(1983):非 定 常 自由 水 面 問題 へ の 境 界 要 素 法 の 一 適 用 例.土 木学 会 論 文 報 告 集.第336号.pp. 113-119. 渡 辺 忠 ・吉 武 美 孝(1980);境 界 要 素 法 に よ る コ ア ・フ ィル タ ー系 の 浸 透 流解 析.農 業 土 木 学 会 論 文 集.第90号.pp. 55∼62.D. L-F. Liu, A. H-G. Gheng, and J. A. Liggett (1981): Bound-ary integral solutions to moving interface between two fluids in porous media, Water Resour. Research, 17 ( 5 ).
Hunt, B. and L. T. Isaacs (1981): Integral equation formula-tion for ground-water flow, J. of Hydraulics Div., ASCE, Vol. 107, HY 10, pp. 1197-1209.
Lennon, G. P. , P. L-F. Liu and 1. A. Liggett (1979): Bound-ary integral equation solution to axisymmetric potential flows, 2. Recharge and well problems in porous media,
Water Resour. Res. , Vol. 15, No. 5, pp. 1107-1115. Lennon, G. P. , P. L-F. Liu and J. A. Liggett (1980):
Bound-ary integral solutions to three-dimensional unconfined Darcy's flow, Water Resour, Res. Vol. 16, No. 4, pp. 651
—658.
Liggett, J. A. (1977): Location of free surface in porous media, J. of Hydraulics Div. , ASCE, Vol. 103, HY 4, pp. 353-365.
Liu, P. L-F. and J. A. Liggett (1978): An efficient numerical method of two-dimensional steady ground water problems,
Water Resour. Res. , Vol. 14, No. 3, pp. 385-390. Liu, P. L-F. and J. A. Liggett (1979): Boundary solutions to
two problems in prorous media. J. of Hydralics Div. . ASCE, Vol. 105. HY 3 , pp. 171-183.
Niwa, Y. , S. Kobayashi and T. Fukui (1974): An Applica-tion of the integral equaApplica-tion method to seepage problems, Theoretical and Applied Mechanics, Vol. 24, pp. 479-486 , Proc. 24th Japan National Congr. Appl. Mech. , Univ . of Tokyo Press.
Taigbenu, A. E. , and J. A. Liggett (1984): Boundary integ. ral solution to seawater intrusion into coastal aquifers. Water Resour. Res. . Vol. 20, No. 8, pp. 1150-1158,