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地方私立大学で民間企業に就職した男子学生の大学教育投資の期待収益率 平均と分散・変動と安定に着目して

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Academic year: 2021

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〔論 文〕

地方私立大学で民間企業に就職した男子学生の

大学教育投資の期待収益率-平均と分散・変動と安定に着目して-

Expected Rate of Return on Investment in University Education for Local Private University

The Case of a Male Student Who Got a Job at a Private Company:

Focusing on Average, Variance, Fluctuation, and Stability

真鍋 亮

・島 一則

**

・遠藤 さとみ

***

Abstract

The purpose of this paper is to verify the possibility that the rates of return to university education are below zero at the standard local private university, focusing on the average, variance, fluctuation, and stability of the rates of returns to higher education in the case of the above-mentioned institutions.

To measure the rates of return to university education at a standard local private university, we used the individual graduate students’ data regarding the companies they would work at after their graduation, as well as wage-related data from the Basic Survey on Wage Structure (Ministry of Health, Labor and Welfare), using the internal rate of returns method.

Our findings are as follows: (1) The average rate of return to education for the studied university is about 5%, which is a little bit lower than the one provided by national data. (2) The possibility for the rates of return to university education to be below zero at the standard local private university is around 20%.

In terms of political and managerial implications, it is important to stress that, on average, university entrants can expect the successful return on their investment in higher education, and simultaneously, there are some risks to those investments.

key words: Internal rate of return( 内 部 収 益 率 )、University Education( 大 学 教 育 )、Institutional Research(IR) 1.研究の背景と目的 第3 期教育振興基本計画において、教育投資の重要性が強く述べられているが、その教育投資の 重要性の根拠の一つとなりうる教育投資収益率に関するエビデンスは全く明示されていない。この 事は、これまでの矢野(1978、1982、1984、1991、1996)をはじめとする様々な先行研究(そのレ ビューは妹尾・日下田(2011)、島(2013)、濱中・日下田(2017)等に詳しい)によって明らかに * Ryo Manabe、(広島大学大学院教育学研究科博士課程後期)Doctoral Program, Graduate School of Education,

Hiroshima University

** Kazunori Shima、(東北大学大学院教育学研究科教授)Professor, Graduate School of Education, Tohoku University *** Satomi Endo、(東北大学大学院教育学研究科博士課程後期)Doctoral Program, Graduate School of Education,

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されてきた成果等を前提として「自明」であると考えられている事によるものかもしれない。しか し、実際に教育振興基本計画においてなされる強調にふさわしい教育投資についての強固なエビデ ンスが存在していると断言するには、留意が必要である。確かに、これまでの教育投資収益率研 究、中でも本稿で取り扱う大学教育投資収益率研究は、ほとんどの場合で投資の経済的効果の存在 とその大きさを実証的に明らかにしてきた。こうした知見の蓄積は着実な学術的進展と言える一方 で、大学教育投資の経済的効果が確認されない(投資失敗となる)ケースや、それらの発生確率と いった観点に着目した分析はこれまで限られていた。特に、一国の教育の根幹を定める計画におい て教育投資の重要性がかように強調されればされるほど、従来とは別の角度から教育投資研究を見 直す研究が必要とされるのではないだろうか。つまり、大学教育投資の「失敗可能性」とその「発 生確率」といった観点から、その経済的効果についての実証的な再検討が必要となると考える。た だし、これは先行研究が明らかにしてきた大学教育投資の経済的効果の存在を全面的に否定するも のではない。本稿の目的は、大学教育投資が「平均」的には経済的効果を有するが、その「分散 (散らばり)」に着目した場合(本稿で用いる「分散」という表記は記述統計量としての狭義の「分 散」を意味しておらず、「データの散らばり」といったより広義の意味で用いている。ゆえにこれ 以降も適宜「分散(散らばり)」という表記をする)、「成功」の陰にどの程度の「失敗」の可能性 が存在しているのかを明らかにする事であり、そこに本稿の学術的意義が存在する。 こうした目的は、単に学術的・政策的な関心に留まらず、大学経営の観点から、自大学の学生に 対して一定の価格で提供する教育サービス(学生にとっては投資費用(cost))から、どのような 便益(benefit)が生み出され、結果どのような収益(return)が得られるのか、また収益が得られ ないリスクがどの程度あるのか、といった点についての情報提供が可能となる。 2.先行研究の整理と本稿の課題・構成 2.1 先行研究の整理と本稿の課題 国内外の大学教育投資収益率研究における蓄積及び動向について、先述した妹尾・日下田 (2011)、島(2013)、濱中・日下田(2017)等によって詳細なレビューがなされている。なお、こ れ以降に述べる収益率とは内部収益率法(詳細は3 節で詳述)に基づくものであり、ミンサー型賃 金関数に基づくものについては上記レビュー論文を参照されたい。これらの収益率研究によれば、 国内の状況に関して、矢野(1978、1982、1984、1991、1996)によって、学歴別、産業別、企業規 模別、クロス収益率等、『賃金構造基本統計調査』(厚生労働省)に基づき算出しうる教育投資収益 率の推計が網羅的に行われている。その後、これら矢野の一連の研究を下敷きとし、新たな観点を 加えつつ様々な収益率の推計がなされてきた。例えば、荒井(1995)は、医学・歯学部の大学教育 投資収益率を算出し、その高い投資効果を明らかにしている。島(1999)は矢野の研究で明らかに された産業や企業規模別の収益率の時系列変動をもとに、有名大学に進学する事の経済的なインセ ンティブの高まりについて指摘している。また、立石(2010)は大学への編入学の経済的効果を明 らかにしている。さらに田中(2010)は多様な学生生活費に基づいて大学教育投資収益率を計測し たうえでも、その経済的効果が存在する事を明らかにしている。このほかに、遠藤・島(2019)は 女子の多様なキャリア(結婚、退職、復職・再就職等の状況)に応じた大学教育投資収益率の計測 を行っている。総じていえば、これらの先行研究は一様に、大学教育投資の経済的効果の存在やそ の大きさを確認するものとなっている。 また、以上の研究は基本的に大学卒者の平均的な経済的効果に注目したものがベースとなってい

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る。つまり、男子大卒者の平均的な大学教育投資効果、女子大卒者の平均的な大学教育投資効果と いった形である。この点についてのより詳細な分析として、産業別、企業規模別、クロス収益率の 推計等が挙げられる。例えば、産業別(企業規模別)大学教育投資収益率とは大学卒者の産業別 (企業規模別)の賃金と高卒者産業計(企業規模計)の賃金を比較して収益率の計測を行ったもの である。しかし、これらもあくまで産業・企業規模別の大卒者の平均的な賃金に基づいて推計され るに留まる。こうしたアプローチにおいては、一部の例外を除いて上述したように大学教育投資効 果の存在、そしてその大きさが明らかにされる結果となる。 本稿と直接関連する先行研究は、以上のような『賃金構造基本統計調査』のみに基づく大学教育 投資収益率とは一線を画し、これらをベースにしつつ、個別大学・学部における個人単位の就職状 況データを利用して、大学・学部単位の大学教育投資収益率を計測したものである(岩村(1996)、 青・村田(2007)、島(2018a))。岩村(前掲)は、個別大学の卒業生情報が掲載されたリクルート リサーチ『大学別就職先調べ』を用いて、首都圏10 大学 33 学部(うち文系学部 25 学部)を対象 に大学・学部単位の大学教育投資収益率を計測し、偏差値が高いほど収益率が高くなる事を明らか にしている(なお、その方法については3 節で詳細に述べる)。また青・村田(前掲)は、岩村と 同様の方法を用いて、対象を関東圏の13 校 55 学部(うち文系学部 41 学部)等に広げつつ分析を 行い、分析期間の2 時点間(1992・1997 年)において銘柄大学の投資効果が減少している事等を 述べている。 しかしながら、岩村(1996)、青・村田(2007)には共通する問題がある。(問題 1)両者が利用 したリクルートリサーチ『大学別就職先調べ』では、男女別の就職先が明らかでない。大学教育投 資収益率、さらにその前提となる生涯賃金に関して、男女で大きな差がある事はこれまでの先行研 究によって明らかにされているため、この事は生涯賃金・大学教育投資収益率の計測という観点か らは大きな問題となる。(問題2)いずれの分析も首都圏・関東圏の大学に分析が限定されており、 偏差値ランクも高い学校群となっており、偏差値50 程度の地方私立大学への着目が十分でない (なお以降では、偏差値レベルにおいて「標準」的な位置にある地方私立大学として「標準的な地 方私立大学」と呼ぶこととする)。(問題3)主たる関心は各大学・学部別の大学教育投資収益率 (平均値)であり、各大学・学部内における個人間の分散、特に投資失敗の可能性については十分 注目されていない。これらの問題点に部分的に対応できているのが島(2018a)となるが、(問題4) その分析対象は偏差値45 未満の低偏差値ランクの地方私立大学 1 学部(文系学部)・1 時点のみで ある。 このように、これまでの研究では、本稿が目的とする標準的な地方私立大学における大学教育投 資の効果やその変動・安定性は明らかにされていない。そこで、本稿では(課題1)男子(女子の 大学教育投資収益率はキャリアによって大きく異なるため(遠藤・島(前掲))別稿で取り扱う)、 (課題2)標準的な地方私立大学を対象とし、(課題 3)大学教育投資の失敗の可能性に着目しつつ、 (課題4)4 学部を対象とした連続 3 ヶ年における変動を明らかにする(なお、以上の他に、島他2018b)では国公私立 4 大学 4 学部のデータを用いて単年度の期待生涯賃金のみを推計しており、 島(2018a)の基礎分析の形となっている)。 2.2 本稿の構成 本稿の構成について、続く3 節では本稿で対象とする大学の特性やそれらが有するデータ、及び 当該大学における学部別の生涯賃金・大学教育投資収益率(内部収益率法)の推計方法について説

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明する。4 節1項では対象大学卒業者の進路状況、2 項では彼らの卒業時点において期待される生 涯賃金(以後「期待生涯賃金」)、3・4 項では同じく彼らの卒業時点において期待される大学教育 投資収益率(以後「期待収益率」)の実態について、その平均と分散(大学教育投資における失敗 の可能性を含む)に着目しつつ明らかにする。加えて3 ヵ年連続のデータを用いる事で、こうした 経済的効果の安定性についても確認する。5 節では得られた知見を整理し含意について触れると共 に、6 節において本稿の限界と今後の課題について述べる。 3.データと分析方法 3.1 調査対象大学の概要 本稿では、地方都市に位置する複数学部を有する私立大学(以下S 大学)を調査対象とする。 Benesse マナビジョン(Benesse)や大学受験パスナビ(旺文社)によれば、S 大学・各学部の偏差 値は入試形態による差異も含め50 に前後して分布しており、標準的な地方私立大学であると言え る。分析対象は、当該大学の文系4 学部(A・B 学部:商学・経済学関係、C 学部:文学・社会学 関係、D 学部:法学・政治学関係)における 3 学年(入学年度 2008・2009・2010 年)の卒業生 3,357 名(入学年度 2008:1,128 名・2009:1,187 名・2010 年:1,042 名)のうち、男子 1,763 名(A 学部692 名、B 学部 544 名、C 学部 207 名、D 学部 320 名)の中で入学時・2 年進級時・就職活動 開始時に実施した調査に参加しデータ入手が可能となった学生523 名(A 学部 245 名・35.4%、B 学部162 名・29.8・%、C 学部 44 名・21.3%、D 学部 72 名・22.5%)、さらには民間企業就職者 398 名(A 学部名 185 名・26.7%、B 学部 132 名・24.3%、C 学部 33 名・15.9%、D 学部 48 名・ 15.0%)とする(理系学部は当該調査に参加していなかったため、分析対象に含まれない)。 3.2 分析方法 3.2.1 進路先分類 調査対象大学における期待生涯賃金・期待収益率の推定は、岩村(1996)や青・村田(2007)に 基づきつつ、島(2018a)と同様に性別データ・就職先情報等を個別大学から提供を受け、以下の 手順で行う。 まず進路・就職先情報について、調査対象大学が作成している文部科学省『学校基本調査』「卒 業後の状況調査」提出用資料をそのまま用いる。このデータに基づき、進路を①民間等就職、②公 務員、③未定に分類する。このうち、本稿における期待生涯賃金や期待収益率の計測対象は、①の 民間等就職者のみとする。 3.2.2 産業・企業規模別分類 次に、前述①民間等就職に関して、記載されている就職先の産業情報を用いて産業分類(農業、 鉱業、建設業、製造業、電機・ガス・熱供給・水道業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不 動産業、飲食店・宿泊業、医療・福祉、教育・学習支援業、複合サービス事業、サービス業(他に 分類されないもの)を行う。なお、分析において該当産業に分類される就職者がいない産業は、各 集計表から全て除外した。また、企業規模については、調査対象大学が独自に保有する調査会社か らの提供データを用いて分類(大企業1000 人以上、中企業 100 ~ 999 人、小企業 100 人未満)を 行った。こうしたプロセスを経て、民間等就職者の産業別・企業規模別分類を行った。

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3.2.3 生涯賃金

産業×企業規模別賃金関数は、厚生労働省『賃金構造基本統計調査(調査対象者の卒業年度に対 応する2011、2012、2013 年度)』「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年 間賞与その他特別給与額」に基づき、男女別、学歴別・産業×企業規模別の「平均年齢」と「決 ま っ て 支 給 す る 給 与 」( ×12 か 月 ) +「 賞 与 」 を 用 い て、 三 次 関 数 に よ り 推 計 し た (Y=a+bX+cX2+dX3+e Y:年間賃金 X:年齢 X2:年齢の二乗項 X3:年齢の三乗項 a:定数項 b ~ d:偏回帰係数 e:誤差項として、以上の年齢と年間賃金の関係を三次関数に基づいて最小二乗法 によって推計)。さらに、直接税引き後の賃金は、総務省『家計調査年報(調査対象者の卒業年度 に対応する2011、2012、2013 年度)』「世帯主の定期収入階級別1世帯当たり 1 か月間の収入と 支出」に基づき直接税の税額関数を二次関数により推計し(Y=a+bX+cX2+d Y:直接税額 X:世 帯主収入 X2:世帯主収入の二乗項 a:定数項 b ~ c:偏回帰係数 d:誤差項として、以上の直接税 額と世帯主収入の関係を二次関数に基づいて最小二乗法によって推計)、その直接税額関数と上述 の賃金関数の両者を用いて推計した。こうして求めた直接税引後賃金に基づき、23 歳から 60 歳ま での各年齢の税引き後賃金に基づいて再度直接税引後の賃金関数を推計し、それに基づき各年齢に おける直接税引後の年間賃金を算出し、それらを合計する事で直接税引後の男性、産業×企業規模 別の大卒者の生涯賃金を推計した。 3.2.4 大学教育投資収益率 最後に、大学教育投資収益率の推計方法を説明する。本稿では、直接費用の大小等も分析に取り 込める、学校段階別の教育投資収益率を計測する際に一般的に用いられる内部収益率法による収益 率計測を行った。 Ch: 大学教育に要する直接費用 Ws: 高校卒業後就職した者の税引後賃金 Wh: 大学進学後に就職した者の税引後賃金 t: 投資者の年齢 r: 投資者の収益率 大学進学にかかる直接費用(入学金+授業料)と進学に伴って放棄する直接税引後賃金(間接費 用)を足したものの現在価値の合計値と大学卒業後に得られる税引後賃金から高卒で就職した場合 に得られる直接税引後賃金の生涯にわたる差額、すなわち便益の現在価値の合計値を等しくする利 率が、大学教育投資の内部収益率という事になる(こうした計測の前提として島(1999)と同様に 次のようなものを置く。①卒業時点の賃金構造が将来にわたって一定。②学生は浪人も留年もしな かったものとする。③在学中のアルバイト等により学生当人が得た収入と入学金・授業料以外の学 費は等しく、相殺されるものとする。④すべての者が学卒後すぐに入職し60 歳まで働くものとす る)。なお、本稿で扱う収益率は個人に関わる大学教育投資の費用と便益を扱っている事から私的 収益率(private rate of return)となる。また、上述したように卒業時点の賃金構造が将来にわたっ て一定であると仮定をする事前的(ex ante)収益率と言う事となる。そして本稿では当該収益率を 卒業時点で期待される収益率であるとの観点から、期待収益率と呼ぶ(生涯賃金についても同様に 期待生涯賃金と呼ぶ)。加えて、個々人の期待収益率は実際の就職先の産業×企業規模別の賃金と 22 60 t 19 t 19 t t t 19(Ch Ws) / (1 r) t 23(Wh Ws) / (1 r) - -= = + + = - +

å

å

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高卒者の産業・企業規模計の賃金を利用して算出し、大学・学部別の期待収益率はこれらの大学・ 学部別の平均値によって求める。 4.地方私立大卒者の期待生涯賃金と期待収益率 4.1 S大学・各学部の進路状況 まず、卒業生の進路状況について整理する(表1)。表 1 は男子の卒業生の進路を「民間」「公務 員(教員含む:以下同様)」「未定」の3 種類に分類したものである。まず大学計において「民間」 の割合が高く、3 年間に渡り 74.5 ~ 77.8%と数値がかなり安定している事が確認できる。一方、 「公務員」の割合は8.8 ~ 14.3%、「未定」の割合は 9.8 ~ 16.7%と一定の変動があるが、これらの 変動はほぼ同程度となる。この「未定」には、公務員等の再受験者が含まれており、こうした結果 から、年によって公務員試験等の合格率は変動するものの、総じて見れば、大学全体(4 学部計) でその進路状況は概ね安定していると言える。 その一方で、これを学部別に見た場合は変動が大きく、特にC 学部はその変動の大きさが顕著 である(C 学部:2008-2009 の民間−31.8%、2009-2010 の民間 40.0%)。また A・B・D 学部では、 最大でもその変化はD 学部:2008-2009 の民間 13.7%に留まっている。 表1 S大学・学部別進路状況 出典:筆者作成 入学 年度 進路 民間 55 78.6% 68 81.9% 18 81.8% 20 62.5% 161 77.8% 公務員 7 10.0% 4 4.8% 2 9.1% 6 18.8% 19 9.2% 未定 8 11.4% 11 13.3% 2 9.1% 6 18.8% 27 13.0% 民間 85 72.0% 45 84.9% 6 50.0% 16 76.2% 152 74.5% 公務員 9 7.6% 2 3.8% 3 25.0% 4 19.0% 18 8.8% 未定 24 20.3% 6 11.3% 3 25.0% 1 4.8% 34 16.7% 民間 45 78.9% 19 73.1% 9 90.0% 12 63.2% 85 75.9% 公務員 11 19.3% 3 11.5% 1 10.0% 1 5.3% 16 14.3% 未定 1 1.8% 4 15.4% 0 0.0% 6 31.6% 11 9.8% 民間 185 75.5% 132 81.5% 33 76.7% 48 62.3% 398 76.1% 公務員 27 11.0% 9 5.6% 6 11.6% 11 20.8% 53 10.1% 未定 33 13.5% 21 13.0% 5 11.6% 13 16.9% 72 13.8% D学部 計 9 10 計 8 A学部 B学部 C学部 次に、民間就職者の産業別就職状況について確認する(表2)。まず大学全体(4 学部計)のうち 2008 年度に着目すると、就職先の比率が多いものから 4 産業(I 卸売業 , 小売業・J 金融業 , 保険 業・E 製造業・K 不動産業 , 物品貸借業)の合計は 70.8%に達しており、大部分の学生がこれらに 就職している事が明らかになる。これらの年度間における変化に着目すると、最大でもその変動は H 運輸業 , 郵便業(民+公)の 2009-2010 の 9.3%に留まる(5%を超える変動は 7 産業×各年度間 に留まる)。こうした観点から、大学計で見た場合には産業別の就職状況も安定していると言える。 一方で学部別で見た場合、学生数が各年度20 名以下となっている C・D 学部において変動が大 きく、最大の変動はC 学部の 2008-2009 の I 卸売業 , 小売業の 33.3%と、2009-2010 の J 金融業 , 保 険業の同じく33.3%であった。また、10%以上の変動は、C・D 学部を合わせて 23 産業×各年度

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表2 S大学・学部別産業別就職状況 出典:筆者作成 入学 年度 産業 D建設業 0 0.0% 1 1.5% 0 0.0% 0 0.0% 1 0.6% E製造業 10 18.2% 5 7.4% 5 27.8% 4 20.0% 24 14.9% F電気・ガス・熱供給・水道業(民+公) 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% G情報通信業 2 3.6% 4 5.9% 0 0.0% 3 15.0% 9 5.6% H運輸業,郵便業(民+公) 2 3.6% 4 5.9% 1 5.6% 1 5.0% 8 5.0% I卸売業,小売業 18 32.7% 21 30.9% 3 16.7% 3 15.0% 45 28.0% J金融業,保険業 11 20.0% 15 22.1% 2 11.1% 1 5.0% 29 18.0% K不動産業,物品貸借業 7 12.7% 6 8.8% 1 5.6% 2 10.0% 16 9.9% L学術研究,専門・技術サービス業 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 5.0% 1 0.6% M宿泊業,飲食サービス業 1 1.8% 4 5.9% 2 11.1% 0 0.0% 7 4.3% N生産関連サービス業 2 3.6% 1 1.5% 0 0.0% 1 5.0% 4 2.5% O教育,学習支援業 0 0.0% 1 1.5% 1 5.6% 1 5.0% 3 1.9% P医療,福祉 0 0.0% 3 4.4% 3 16.7% 2 10.0% 8 5.0% Q複合サービス業 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 5.0% 1 0.6% Rサービス業(他に分類されないもの) 2 3.6% 3 4.4% 0 0.0% 0 0.0% 5 3.1% 計 55 100.0% 68 100.0% 18 100.0% 20 100.0% 161 100.0% D建設業 8 9.4% 1 2.2% 0 0.0% 1 6.3% 10 6.6% E製造業 16 18.8% 6 13.3% 0 0.0% 2 12.5% 24 15.8% F電気・ガス・熱供給・水道業(民+公) 1 1.2% 2 4.4% 0 0.0% 0 0.0% 3 2.0% G情報通信業 3 3.5% 3 6.7% 1 16.7% 0 0.0% 7 4.6% H運輸業,郵便業(民+公) 1 1.2% 0 0.0% 0 0.0% 1 6.3% 2 1.3% I卸売業,小売業 31 36.5% 18 40.0% 3 50.0% 3 18.8% 55 36.2% J金融業,保険業 11 12.9% 5 11.1% 0 0.0% 3 18.8% 19 12.5% K不動産業,物品貸借業 4 4.7% 1 2.2% 1 16.7% 1 6.3% 7 4.6% L学術研究,専門・技術サービス業 0 0.0% 1 2.2% 0 0.0% 0 0.0% 1 0.7% M宿泊業,飲食サービス業 3 3.5% 2 4.4% 0 0.0% 0 0.0% 5 3.3% N生産関連サービス業 2 2.4% 1 2.2% 0 0.0% 1 6.3% 4 2.6% O教育,学習支援業 2 2.4% 0 0.0% 0 0.0% 1 6.3% 3 2.0% P医療,福祉 2 2.4% 2 4.4% 0 0.0% 0 0.0% 4 2.6% Q複合サービス業 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% Rサービス業(他に分類されないもの) 1 1.2% 3 6.7% 1 16.7% 3 18.8% 8 5.3% 計 85 100.0% 45 100.0% 6 100.0% 16 100.0% 152 100.0% D建設業 2 4.4% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 2 2.4% E製造業 8 17.8% 0 0.0% 0 0.0% 3 25.0% 11 12.9% F電気・ガス・熱供給・水道業(民+公) 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% G情報通信業 3 6.7% 1 5.3% 0 0.0% 0 0.0% 4 4.7% H運輸業,郵便業(民+公) 2 4.4% 5 26.3% 1 11.1% 1 8.3% 9 10.6% I卸売業,小売業 13 28.9% 4 21.1% 3 33.3% 5 41.7% 25 29.4% J金融業,保険業 9 20.0% 5 26.3% 3 33.3% 0 0.0% 17 20.0% K不動産業,物品貸借業 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% L学術研究,専門・技術サービス業 3 6.7% 1 5.3% 0 0.0% 0 0.0% 4 4.7% M宿泊業,飲食サービス業 0 0.0% 0 0.0% 1 11.1% 0 0.0% 1 1.2% N生産関連サービス業 0 0.0% 1 5.3% 1 11.1% 1 8.3% 3 3.5% O教育,学習支援業 1 2.2% 1 5.3% 0 0.0% 0 0.0% 2 2.4% P医療,福祉 1 2.2% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 1.2% Q複合サービス業 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% Rサービス業(他に分類されないもの) 3 6.7% 1 5.3% 0 0.0% 2 16.7% 6 7.1% 計 45 100.0% 19 100.0% 9 100.0% 12 100.0% 85 100.0% 計 8 9 10 A学部 B学部 C学部 D学部

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間となっている。A・B 学部では 4 産業×各年度間に留まっている。 最後に、民間就職者の企業規模別の就職状況について確認する(表3)。こちらもまず大学全体4 学部計)について、中企業への就職比率は 51.8 ~ 56.5% の間を変動しており、過半数が安定的 に中規模企業へ就職している事が明らかになる。また、大企業への就職比率は最大で30.6%となっ ており、小企業への就職比率の方が3 年間を平均してみると低い。いずれにせよ、これらの数値の 変動は最大でも8.9%(大企業 2009-2010)となっており、全体として安定していると言える。 同じく企業規模別就職状況について、学部別に見ると該当学生数が各年度20 名以下となる C・ D 学部で変動が大きくなっている(ほぼ全ての企業規模×年度間で 10%を超える変動が確認でき る)。その一方で、各年度の学生数が40 名を超える A・B 学部に関しては(ただし 2010 年度の B 学部は19)、最大でも 10.2%(A 学部:小企業 2009-2010)の変動に留まる。 表3 S大学・学部別企業規模別就職状況 出典:筆者作成 入学 年度 企業 規模 小企業 11 20.0% 10 14.7% 5 27.8% 3 15.0% 29 18.0% 中企業 28 50.9% 37 54.4% 12 66.7% 14 70.0% 91 56.5% 大企業 16 29.1% 21 30.9% 1 5.6% 3 15.0% 41 25.5% 小企業 14 16.5% 11 24.4% 3 50.0% 8 50.0% 36 23.7% 中企業 51 60.0% 24 53.3% 2 33.3% 6 37.5% 83 54.6% 大企業 20 23.5% 10 22.2% 1 16.7% 2 12.5% 33 21.7% 小企業 12 26.7% 3 15.8% 0 0.0% 0 0.0% 15 17.6% 中企業 23 51.1% 10 52.6% 5 55.6% 6 50.0% 44 51.8% 大企業 10 22.2% 6 31.6% 4 44.4% 6 50.0% 26 30.6% 小企業 37 20.0% 24 18.2% 8 24.2% 11 22.9% 80 20.1% 中企業 102 55.1% 71 53.8% 19 57.6% 26 54.2% 218 54.8% 大企業 46 24.9% 37 28.0% 6 18.2% 11 22.9% 100 25.1% D学部 計 9 10 計 8 A学部 B学部 C学部 4.2 S大学・各学部の期待生涯賃金の変動~平均に着目して~ それでは、次にS 大学の 4 学部の期待生涯賃金の変動と全国大卒者計・全国高卒者計の期待生 涯賃金の3 年間の比較を行う(図 1)。図 1 から、S 大学(大学計)の数値が、全国大卒者計・全 国高卒者計の値の変動の中に収まっている事が明らかになる。このように、標準的な地方私立大学 の期待生涯賃金が全国大卒者計の期待生涯賃金を下回る理由は、全国大卒者計の期待生涯賃金の算 出には国立大卒者も含まれている事によるものと考えられる。この点に関して、島(2017)におい て国立大卒者の生涯賃金が私立大卒者の生涯賃金よりも高い事が明らかにされている。また、全国 大卒計に対する比率で言えば、3 時点間で 96.0% → 92.9% → 93.8% となっており、変動幅は 3%程 度に収まっている。その一方で学部別に見ると、これまで見てきた場合と同様に学生数の少ない C・D 学部は変動が大きくなっているが、逆に学生数の多い A・B 学部は変動が相対的に小さく、 数値が安定している事が確認できる。

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出典:筆者作成 224,521 225,025 221,908 175,015 175,585 173,044 160,000 170,000 180,000 190,000 200,000 210,000 220,000 230,000

2

20

00

08

8

2

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09

9

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01

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0

大 大学学計計 AA学学部部 BB学学部部 CC学学部部 D D学学部部 全全国国大大卒卒者者平平均均 全全国国高高卒卒者者平平均均 図1 S大学・各学部の期待生涯賃金の変動(平均) 単位:千円    4.3 S大学・各学部の期待収益率の変動~平均に着目して~ 次に、S 大学 4 学部の期待収益率の変動と全国大卒者計・高卒者計の賃金データに基づく期待収 益率の3 年間の比較を行う(図 2)(期待収益率の計測不能者は、分析に加える(平均を計算する) 事は出来ないため除外している(なお、この「計測不能者」とは、そもそも便益が発生しない(収 図2 S大学・各学部の期待収益率の変動(平均) 出典:筆者作成 5.8% 5.2% 4.8% 6.6% 6.5% 6.4% 0.0% 1.0% 2.0% 3.0% 4.0% 5.0% 6.0% 7.0% 2 2000088 22000099 22001100 大 大学学計計 AA学学部部 BB学学部部 CC学学部部 DD学学部部 全全国国大大卒卒者者平平均均

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表4 S大学における期待収益率の分布と分散(散らばり) 出典:筆者作成 期待 収益率度数 累積% (昇順) 累積% (降順) 期待 収益率度数 累積% (昇順) 累積% (降順) 期待 収益率度数 累積% (昇順) 累積% (降順) 期待 収益率度数 累積% (昇順) 累積% (降順) 期待 収益率度数 累積% (昇順) 累積% (降順) 12.8% 11 100.0 6.8 12.8% 4 100.0 7.3 12.8% 7 100.0 10.3 100.0 0.0 100.0 0.0 10.6% 2 93.2 8.1 92.7 7.3 10.6% 1 89.7 11.8 10.6% 1 100.0 5.6 100.0 0.0 10.2% 17 91.9 18.6 10.2% 7 92.7 20.0 10.2% 7 88.2 22.1 10.2% 2 94.4 16.7 10.2% 1 100.0 5.0 9.2% 5 81.4 21.7 9.2% 3 80.0 25.5 9.2% 1 77.9 23.5 83.3 16.7 9.2% 1 95.0 10.0 8.8% 2 78.3 23.0 74.5 25.5 8.8% 1 76.5 25.0 83.3 16.7 8.8% 1 90.0 15.0 8.3% 1 77.0 23.6 74.5 25.5 8.3% 1 75.0 26.5 83.3 16.7 85.0 15.0 7.8% 5 76.4 26.7 74.5 25.5 7.8% 1 73.5 27.9 7.8% 2 83.3 27.8 7.8% 2 85.0 25.0 7.0% 8 73.3 31.7 7.0% 2 74.5 29.1 7.0% 3 72.1 32.4 72.2 27.8 7.0% 3 75.0 40.0 6.9% 15 68.3 41.0 6.9% 7 70.9 41.8 6.9% 7 67.6 42.6 72.2 27.8 6.9% 1 60.0 45.0 6.2% 10 59.0 47.2 6.2% 2 58.2 45.5 6.2% 5 57.4 50.0 6.2% 1 72.2 33.3 6.2% 2 55.0 55.0 6.2% 3 52.8 49.1 6.2% 1 54.5 47.3 6.2% 2 50.0 52.9 66.7 33.3 45.0 55.0 5.4% 1 50.9 49.7 5.4% 1 52.7 49.1 47.1 52.9 66.7 33.3 45.0 55.0 5.1% 1 50.3 50.3 50.9 49.1 5.1% 1 47.1 54.4 66.7 33.3 45.0 55.0 3.8% 13 49.7 58.4 3.8% 4 50.9 56.4 3.8% 4 45.6 60.3 3.8% 3 66.7 50.0 3.8% 2 45.0 65.0 3.2% 24 41.6 73.3 3.2% 9 43.6 72.7 3.2% 10 39.7 75.0 3.2% 3 50.0 66.7 3.2% 2 35.0 75.0 2.6% 1 26.7 73.9 27.3 72.7 2.6% 1 25.0 76.5 33.3 66.7 25.0 75.0 2.5% 6 26.1 77.6 2.5% 5 27.3 81.8 2.5% 1 23.5 77.9 33.3 66.7 25.0 75.0 0 . 0 8 0 . 5 2 1 % 3 . 2 4 . 9 7 1 . 2 2 1 % 3 . 2 5 . 5 8 2 . 8 1 2 % 3 . 2 1 . 0 8 4 . 2 2 4 % 3 . 2 2.0% 1 19.9 80.7 14.5 85.5 20.6 79.4 2.0% 1 33.3 72.2 20.0 80.0 1.7% 1 19.3 81.4 14.5 85.5 20.6 79.4 27.8 72.2 1.7% 1 20.0 85.0 1.7% 1 18.6 82.0 14.5 85.5 1.7% 1 20.6 80.9 27.8 72.2 15.0 85.0 1.5% 2 18.0 83.2 1.5% 1 14.5 87.3 1.5% 1 19.1 82.4 27.8 72.2 15.0 85.0 1.0% 1 16.8 83.9 12.7 87.3 1.0% 1 17.6 83.8 27.8 72.2 15.0 85.0 0.1% 1 16.1 84.5 12.7 87.3 16.2 83.8 27.8 72.2 0.1% 1 15.0 90.0 -2.3% 6 15.5 88.2 -2.3% 2 12.7 90.9 -2.3% 4 16.2 89.7 27.8 72.2 10.0 90.0 -8.9% 1 11.8 88.8 9.1 90.9 -8.9% 1 10.3 91.2 27.8 72.2 10.0 90.0 計測不能 18 11.2 100.0計測不能 5 9.1 100.0計測不能 6 8.8 100.0計測不能 5 27.8 100.0計測不能 2 10.0 100.0 合計 161 合計 55 合計 68 合計 18 合計 20 11.9% 3 100.0 2.0 11.9% 2 100.0 2.4 11.9% 1 100.0 2.2 100.0 0.0 100.0 0.0 10.7% 1 98.0 2.6 97.6 2.4 10.7% 1 97.8 4.4 100.0 0.0 100.0 0.0 10.0% 3 97.4 4.6 10.0% 3 97.6 5.9 95.6 4.4 100.0 0.0 100.0 0.0 9.9% 2 95.4 5.9 9.9% 2 94.1 8.2 95.6 4.4 100.0 0.0 100.0 0.0 9.7% 4 94.1 8.6 9.7% 3 91.8 11.8 9.7% 1 95.6 6.7 100.0 0.0 100.0 0.0 8.1% 14 91.4 17.8 8.1% 9 88.2 22.4 8.1% 3 93.3 13.3 100.0 0.0 8.1% 2 100.0 12.5 8.0% 2 82.2 19.1 77.6 22.4 8.0% 1 86.7 15.6 100.0 0.0 8.0% 1 87.5 18.8 7.8% 3 80.9 21.1 77.6 22.4 7.8% 1 84.4 17.8 7.8% 1 100.0 16.7 7.8% 1 81.3 25.0 7.7% 17 78.9 32.2 7.7% 10 77.6 34.1 7.7% 6 82.2 31.1 7.7% 1 83.3 33.3 75.0 25.0 7.6% 4 67.8 34.9 7.6% 2 65.9 36.5 7.6% 2 68.9 35.6 66.7 33.3 75.0 25.0 6.9% 1 65.1 35.5 63.5 36.5 6.9% 1 64.4 37.8 66.7 33.3 75.0 25.0 6.6% 4 64.5 38.2 6.6% 2 63.5 38.8 6.6% 2 62.2 42.2 66.7 33.3 75.0 25.0 5.5% 3 61.8 40.1 5.5% 1 61.2 40.0 5.5% 2 57.8 46.7 66.7 33.3 75.0 25.0 5.0% 1 59.9 40.8 60.0 40.0 5.0% 1 53.3 48.9 66.7 33.3 75.0 25.0 4.8% 1 59.2 41.4 60.0 40.0 51.1 48.9 66.7 33.3 4.8% 1 75.0 31.3 4.6% 4 58.6 44.1 4.6% 4 60.0 44.7 51.1 48.9 66.7 33.3 68.8 31.3 4.5% 15 55.9 53.9 4.5% 11 55.3 57.6 4.5% 3 51.1 55.6 66.7 33.3 4.5% 1 68.8 37.5 4.2% 28 46.1 72.4 4.2% 19 42.4 80.0 4.2% 7 44.4 71.1 4.2% 1 66.7 50.0 4.2% 1 62.5 43.8 2.2% 1 27.6 73.0 20.0 80.0 28.9 71.1 50.0 50.0 2.2% 1 56.3 50.0 2.0% 3 27.0 75.0 2.0% 2 20.0 82.4 28.9 71.1 50.0 50.0 2.0% 1 50.0 56.3 1.6% 2 25.0 76.3 1.6% 1 17.6 83.5 28.9 71.1 50.0 50.0 1.6% 1 43.8 62.5 -0.1% 1 23.7 77.0 -0.1% 1 16.5 84.7 28.9 71.1 50.0 50.0 37.5 62.5 -1.2% 10 23.0 83.6 -1.2% 2 15.3 87.1 -1.2% 5 28.9 82.2 -1.2% 1 50.0 66.7 -1.2% 2 37.5 75.0 -2.4% 2 16.4 84.9 -2.4% 1 12.9 88.2 17.8 82.2 -2.4% 1 33.3 83.3 25.0 75.0 -4.7% 4 15.1 87.5 11.8 88.2 -4.7% 1 17.8 84.4 -4.7% 1 16.7 100.0 -4.7% 2 25.0 87.5 計測不能 19 12.5 100.0計測不能 10 11.8 100.0計測不能 7 15.6 100.0 0.0 100.0計測不能 2 12.5 100.0 合計 152 合計 85 合計 45 合計 6 合計 16 11.4% 5 100.0 5.9 11.4% 2 100.0 4.4 11.4% 2 100.0 10.5 11.4% 1 100.0 11.1 100.0 0.0 11.3% 1 94.1 7.1 11.3% 1 95.6 6.7 89.5 10.5 88.9 11.1 100.0 0.0 9.4% 2 92.9 9.4 9.4% 2 93.3 11.1 89.5 10.5 88.9 11.1 100.0 0.0 8.0% 1 90.6 10.6 88.9 11.1 8.0% 1 89.5 15.8 88.9 11.1 100.0 0.0 7.4% 11 89.4 23.5 7.4% 6 88.9 24.4 7.4% 3 84.2 31.6 7.4% 2 88.9 33.3 100.0 0.0 7.2% 12 76.5 37.6 7.2% 5 75.6 35.6 7.2% 2 68.4 42.1 7.2% 2 66.7 55.6 7.2% 3 100.0 25.0 6.8% 1 62.4 38.8 6.8% 1 64.4 37.8 57.9 42.1 44.4 55.6 75.0 25.0 6.5% 1 61.2 40.0 6.5% 1 62.2 40.0 57.9 42.1 44.4 55.6 75.0 25.0 6.5% 3 60.0 43.5 6.5% 3 60.0 46.7 57.9 42.1 44.4 55.6 75.0 25.0 6.5% 1 56.5 44.7 53.3 46.7 57.9 42.1 44.4 55.6 6.5% 1 75.0 33.3 6.4% 1 55.3 45.9 6.4% 1 53.3 48.9 57.9 42.1 44.4 55.6 66.7 33.3 5.9% 2 54.1 48.2 51.1 48.9 5.9% 1 57.9 47.4 44.4 55.6 5.9% 1 66.7 41.7 3.8% 7 51.8 56.5 3.8% 4 51.1 57.8 52.6 47.4 44.4 55.6 3.8% 3 58.3 66.7 3.6% 1 43.5 57.6 42.2 57.8 3.6% 1 52.6 52.6 44.4 55.6 33.3 66.7 3.6% 10 42.4 69.4 3.6% 5 42.2 68.9 3.6% 2 47.4 63.2 3.6% 1 44.4 66.7 3.6% 2 33.3 83.3 3.5% 1 30.6 70.6 31.1 68.9 36.8 63.2 33.3 66.7 3.5% 1 16.7 91.7 2.7% 2 29.4 72.9 2.7% 2 31.1 73.3 36.8 63.2 33.3 66.7 8.3 91.7 2.4% 2 27.1 75.3 26.7 73.3 2.4% 1 36.8 68.4 2.4% 1 33.3 77.8 8.3 91.7 1.3% 1 24.7 76.5 26.7 73.3 1.3% 1 31.6 73.7 22.2 77.8 8.3 91.7 0.7% 3 23.5 80.0 0.7% 3 26.7 80.0 26.3 73.7 22.2 77.8 8.3 91.7 -0.3% 2 20.0 82.4 -0.3% 1 20.0 82.2 26.3 73.7 22.2 77.8 -0.3% 1 8.3 100.0 -0.5% 2 17.6 84.7 17.8 82.2 -0.5% 1 26.3 78.9 -0.5% 1 22.2 88.9 0.0 100.0 -2.7% 3 15.3 88.2 -2.7% 2 17.8 86.7 -2.7% 1 21.1 84.2 11.1 88.9 0.0 100.0 -3.9% 2 11.8 90.6 -3.9% 2 13.3 91.1 15.8 84.2 11.1 88.9 0.0 100.0 -4.4% 2 9.4 92.9 -4.4% 2 8.9 95.6 15.8 84.2 11.1 88.9 0.0 100.0 計測不能 6 7.1 100.0計測不能 2 4.4 100.0計測不能 3 15.8 100.0計測不能 1 11.1 100.0 0.0 100.0 合計 85 合計 45 合計 19 合計 9 合計 12 C学部 D学部 8 9 10 入 学 年 度 計 A学部 B学部

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益率の算出の際に産業×企業規模別の大卒賃金が、比較対象となる高卒の産業・企業規模計の賃金 より低い)ため収益率の計測そのものが出来ないといった場合などがこれに含まれる。なお、これ らを加えた中央値の変動は5.1% → 4.5% → 3.8% となっている)。図 2 から、期待生涯賃金の変動 の場合と同様にS 大学(大学計)の数値が全国大卒者計の値をやや下回る形で変動している事が 明らかになる。また、全国計の値が低下傾向にある中でS 大学計はその低下傾向が少し大きくなっ ており、結果として全国大卒計に対する比率は3 時点間で 87.9% → 80.0% → 75.0% となっている が、趨勢は全国計と軌を一にしている。その一方で、学部別に見ると、これまで見てきた場合と同 様に学生数の少ないC・D 学部は全国と異なる動きで変動している一方で、学生数の多い A・B 学 部に関しては一致している事が確認できる。 4.4 S大学・各学部の期待収益率の変動~分散に着目して~ 最後に、本稿の最終的な課題である標準的な地方私立大学における大学教育投資収益率の分散 (散らばり)とその失敗可能性について確認する(表4)。大学計の値に着目すると、全国計の大学 教育投資収益率を上回っている比率41.0%→ 38.2%→ 44.7%となっている。これらは、地方私立大 学に全国大卒者平均以上の大学教育投資効果を得られている学生が存在する事を意味し、仮に彼ら をS 大学における大学教育投資の「成功者」と呼ぶ事が出来るかもしれない。その一方で、大学 教育投資収益率が0%を下回る(計測不能者であった者も含む)ものを、大学教育投資の「失敗者」 と呼ぶ事も出来るかもしれない。「失敗者」の出現率は15.5%→ 23.7%→ 20.0% となっている。つ まり、標準的な地方私立大学では、国立大卒者も含む全国平均を超える大学教育投資の経済的効果 を得られる学生が4 割程度いる一方で、2 割程度の学生が大学教育投資に失敗している事が明らか になるのである。以上の変動を学部別に見ると、やはりここでも学生数の少ないC・D 学部は変動 が大きく、学生数の多いA・B 学部は相対的に安定している。 5.知見の整理と含意 5.1 知見の整理 本研究から明らかになった事を以下5 点にまとめる。①標準的な地方私立大学における 4 学部 3 か年のデータを大学単位で見た場合、その就職状況(民間就職者数・産業・企業規模別就職者数) に関しては安定した数値となっている。②平均値に着目した期待生涯賃金の変動について、大学計 の値は全国大卒者平均・全国高卒者平均の間に位置し(全国大卒者平均の値を下回る理由としてこ れらには国立大卒者が含まれる事によるものと考えられる)、安定している。③平均に着目した期 待収益率の変動は、こちらも全国大卒者平均の値を下回り減少の程度は全国大卒者平均よりやや大 きいものの、動きは全国平均と軌を一にしている。④標準的な地方私立大学としてのS 大学の大 学教育投資の結果をその分散(散らばり)に着目して見た場合、国立大卒者も含む全国大卒者平均 収益率を上回る投資効果が確認された学生は全体の4 割程度である一方で、投資失敗に終わる学生 の比率は2 割前後である1。加えて、⑤分析単位を学部単位とした場合、特に(男子学生数の数や本 分析の前提となる学内調査への参加率の低さゆえに)分析対象学生数が少ないC・D 学部において、 1 調査対象時点も異なり、期待収益率の計測方法等も完全には同一でないため、単純な比較は困難であるが、 首都圏大学を対象とした岩村(1996)において、私立大学で最も期待収益率が低かった駒澤大学・経営学部に おける投資の失敗確率は13.8%となっており(岩村 , 1996:p.20 表 5 より筆者算出)、低偏差値ランク大学を取 り上げた島(2018a, p.28 表 5 より筆者算出)においては 33.3%となっており、標準的地方私立大学における投 資失敗確率はこれら両者の間に位置する事が明らかとなった。

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全般的に数値が安定しない事も明らかになった。ゆえにこれ以降に述べる含意は大学単位での分析 に基づくものとする。 5.2 含意 本研究から明らかになった従来の教育投資収益率研究に連なる投資効果の存在から、標準的な地 方私立大学の大学教育の経済的側面から見た意義が改めて確認される。こうした点は政策的にも、 経営的観点からも、大学教育投資の重要性に関わる言明を行う上で貴重な含意をもたらしたと言え る。ただ、もう一方の含意として、これらは「平均」的には投資効果を有するものの、そこには 「分散(散らばり)」があり、投資の「失敗」も一定程度存在している事、すなわち、「投資」であ る事からして、ある意味当然となる失敗のリスクが存在する事が確認された点には留意がなされな ければならない。この意味において、政策的にも経営的にも、こうしたリスクの存在とその程度に ついて、「平均」的な経済的効果の存在とともに実証的に明らかにしつつ、社会的に共有していく 事が必要不可欠であろう。 6.本稿の限界と今後の課題 本稿は、標準的な地方私立大学4 学部(いずれも文系学部)の 3 ヵ年のデータを用いて、大学教 育投資の効果と新たな視点としてその投資の失敗の可能性について明らかにしたものであるが、あ くまで「投資的2」「貨幣的3」な側面に限ったものである。また投資効果の測定は、仮に高校卒時点 で就職した場合には高卒者平均と同様の賃金が得られるものとする仮定に基づくものである(逆に 言えば高卒時点で高卒平均賃金がそもそも期待できないようなケースであれば、本稿で示した期待 収益率はむしろ過少に推計された事になる)。さらに、卒業時点での賃金構造が将来にわたって安 定的であるという事も想定されている。こうした仮定に議論の余地がある事は自明であるものの、 先述した先行研究のいずれにおいても同様にとられている仮定である。ただ、この点を克服してい くためには、困難ではあるものの継続的な卒業生の追跡(パネル)調査(消費的便益や非貨幣的便 益についても情報を収集)を行う事が求められる。こうした点や理系学部への分析対象の拡張など が今後の大きな課題となる4。 【参考文献】 青幹大・村田治(2007)「大学教育と所得格差」『生活経済学研究』25、pp.47-63 荒井一博(1995):『教育の経済学』有斐閣 岩村美智恵( 1996)「高等教育の私的収益率-教育経済学の展開-」『教育社会学研究』58、pp.5-28 遠藤さとみ・島一則(2019)「女子の高等教育投資収益率の変化と現状:時系列変動をライフコー ス・イベントに着眼した収益率推計」『生活経済学研究』49、pp.41-55 島一則(1999)「大学進学行動の経済分析-収益率研究の成果・現状・課題-」『教育社会学研究』 2 大学教育にはそのサービスの享受そのものによって生み出される消費的便益が存在する。例えば、大学生と しての、サークル活動等のキャンパスライフそのものから生み出される効用等。 3 大学教育投資により安定的な雇用やよりよい労働条件といった非貨幣的な便益が発生する事も考えられうる。 4 またこうした効果が生得的能力等の効果によるものではないかとする議論が教育経済学の領域においては長 らく議論されてきたが、国内についての研究も含めて現時点ではこうした要因をコントロールする事による影 響は必ずしも大きくないという事が明らかになってきている(島(2013))。

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64、pp.101-121 島一則(2013)「教育投資収益率研究の現状と課題-海外・国内の先行研究の比較から-」『大学経 営政策研究』3、pp.17-35 島一則(2014)「大学教育投資の経済効果」『個人金融』9(1)、pp.2-14 島一則(2015)「教育・学習の経済・社会的効果に関する規定要因の連関構造分析-汎用的能力に 注目して-」『大学研究』41、pp.41-51 島一則(2017)「国立・私立大学別の教育投資収益率の計測」『大学経営政策研究』7、pp.1-15 島一則(2018a)「大学教育の効用:平均と分散:低偏差値ランク大学に着目して(特集 高等教育 の費用負担)」『個人金融』13(3)、pp.22-32 島一則・原田健太郎・西村君平・呉書雅・真鍋亮(2018b)「地方私立大学における大学教育の経済 的投資効果の検証〜偏差値45未満の大学に着目して〜、私学高等教育研究所『私立大学の課題と 展望〜私学財政・国際交流・認証評価を中心に〜』」『私学高等教育研究叢書』pp.29-62 妹尾渉・日下田岳史(2011)「教育の収益率が示す日本の高等教育の特徴と課題」『国立教育政策研 究所紀要』140、pp.249-263 立石慎二(2010)「編入学の費用便益分析-私的収益率に着目して-」『大学論集』41、pp.393-409 田中寧(2010)「内部収益率のバリエーションと大学進学の経済的メリットの再考察」『京都産業大 学論集(社会科学系)』27、pp.63-82 濱中淳子(2009)「専修学校卒業者の就業実態-職業教育に期待できる効果の範囲を探る」『日本労 働研究雑誌』558、pp.34-43 濱中淳子(2012)「大学教育の効用再考-文系領域における学び習慣仮説の検証」『大学論集』43、 pp.189-205 濱中淳子・日下田岳史(2017)「教育の社会経済的効果をめぐる研究の展開」『教育社会学研究』 101、pp.185-214 矢野眞和(1978)「教育の投資収益と資源配分」研究代表者 市川昭午『教育における最適資源配分 に関する基礎的研究』」『トヨタ財団助成研究報告書』pp.103-145 矢野眞和(1982)「入学と就職の経済学」市川昭午・菊池城司・矢野眞和『教育の経済学』第一法 規出版 矢野眞和(1984)「教育の収益率にもとづいた教育計画の経済学的分析」学位請求論文 矢野眞和(1991)『試験の時代の終焉-選抜社会から育成社会へ』有信堂 矢野眞和(1996)『高等教育の経済分析と政策』玉川大学出版部 矢野眞和(2009)「教育と労働と社会-教育効果の視点から」『日本労働研究雑誌』58、pp.5-15

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参照

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