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特集「SDGs と湿地教育」について

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Academic year: 2021

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湿地研究Wetland Research Vol.11, 3-4(2021)

特集:SDGs と湿地教育(序文)

1. 特集の背景

 「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals / SDGs)」は,持続可能な世界を実現するため に 2030 年までに達成しなければならない目標とし て,国連総会で合意されたものである.17 のゴー ルと 169 のターゲットからなり,湿地の保全・活用 に直接関わるゴールとして「目標 6 すべての人々 の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保す る」「目標 15 陸域生態系の保護,回復,持続可能 な利用の推進,持続可能な森林の経営,砂漠への対 処,ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様 性の損失を阻止する」が掲げられている.しかし, 湿地を水環境全般に関わる存在として理解した場合 には,何らかの形でほぼすべてのゴールと関係する と考えてもよいだろう.  この特集のねらいは,SDGs のゴールの中で「目 標 4 すべての人に包括的かつ公正な質の高い教育 を確保し,生涯学習の機会を促進する」の視点か ら,湿地に関わる SDGs の達成を模索することに ある.とりわけ,ターゲット 4.7 に位置づけられて いる「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development / ESD)」が,湿地の保全・ 活用に不可欠のものであるだけでなく,目の前にあ るさまざまな地球規模の危機を乗り越えるためにも 重要なものであるといえる.

2. 特集のねらい

 地球規模での湿地の消滅は人間の開発行為による ものであり,森林の伐採や農地の拡大,急速な都市 化が事態をより深刻にしていると思われる.とりわ け,沿岸部や河川流域の都市化によって湿地が受け る大きな影響は,生物の多様性の確保や生活環境の

特集「SDGs と湿地教育」について

朝岡幸彦

1

・田開寛太郎

2 1東京農工大学,2松本大学 質の向上の阻害要因となるものであり,湿地が持つ 価値を再認識することが喫緊の課題となっている. その意味では,従来のラムサール条約登録湿地を起 点とする湿地教育センターや自治体などによる取組 み及び教育実践をより発展的に考えるために,湿地 という「場」そのものが持つ教育力に注目する必要 がある.  この特集の大きな特徴は,「湿地教育」という概 念そのものにある.ラムサール条約登録湿地をはじ めとする多くの湿地では,湿地の保全・再生,ワ イズユースを実行する上で,湿地に関わるすべて の 人 へ の CEPA(Communication, Capacity building, Education, Participation, Awareness) が 推 進 力 と し て大きな役割を果たしてきた.具体的にはワーク ショップ,講演会,季節ごとの自然体験活動,ポス ターやパンフレットなどの形式で行われることが多 い.日本の特徴的な CEPA 活動のひとつである「ラ ムサール条約登録湿地関係市町村会議」の学習交流 会では,湿地を活かした地域づくりに役立つ知識や 方法を学びあい,全国の仲間とつながることができ る.このように,教育(Education)が CEPA の一 部として取り込まれていることに対して,社会教育 や生涯学習の領域ではしばしば CEPA の全体を包括 する概念として「学習(Learning)」が位置づけら れてきた.環境教育に対して ESD がより広範で構 造化された環境教育の営みをさすように,水田・河 川・湖沼・海洋などの多様な水辺を「湿地」と捉え, 地球環境全体に連なる包括的で総合的な水環境を理 解するためには,湿地の ESD にあたる「湿地教育」 を提起することが重要であると思われる.  しかしながら,この特集はある意味で難産であっ た.本学会の会員がもつ幅広い学問領域の中で,文 朝岡幸彦 [email protected] (2021 年 1 月 31 日受付)

(2)

4 朝岡幸彦・田開寛太郎 系(とりわけ教育学)の研究文化との折り合いをつ けることが難しく,編集委員長をはじめ編集委員・ 査読者に多くのご負担をおかけすることになった. 本特集にご投稿いただいた論文等の一部のみをよう やく本号に間に合わせることができ,多くを次号に 回さざるをえない.  いま,私たちがこれから先もこの地球という惑星 で生きていくための不可欠の条件として SDGs が提 起され,その実現を目指して私たちは「学ぶ」こと が求められている.ぜひこれを機会に,「湿地教育」 をキーワードとした多様な対象やアプローチによる 研究・報告が議論され,身近な生活環境から地球環 境全体に広がる湿地学の新たな領域が切り拓かれる ことを願っている.

引用文献

Open Working Group proposal for Sustainable Development Goals. <https://sustainabledevelopment.un.org/focussdgs. html>(参照 2021 年 2 月 16 日)

ラムサール条約登録湿地関係市町村会議.<https://www. ramsarsite.jp/>(参照 2021 年 2 月 16 日)

The Sustainable Development Goals (SDGs) and Wetlands education

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参照

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