非 定 型 的 な業 務 の た め の 情 報 シス テ ム の
開 発 に お け る デ ー タモ デ リン グの 役 割
Aspecificroleofdatamodelingindevelopinginformation
systemsforunstructuredbusinessfunctions
小
幡
孝一郎
KoichiroObata 1.デ ー タモ デ リ ン グ の発 展 経 緯11 2.デ ー タモ デ リ ン グ のパ ラ ダ イ ム12 2.1パ ラ ダ イ ム と は12 2.2デ ー タモ デ リン グ のパ ラ ダ イ ム の 概 要14 2.3機 能 主 義 者 の デ ー タ モ デ リン グ に関 す るパ ラ ダ イ ム的 な前 提16 2.4社 会 的 な相 対 主 義 者 の デ ー タモ デ リ ン グに 関 す るパ ラ ダ イ ム 的 な前 提18 3.デ ー タ モ デ リン グ の 実 践 の あ り方23 3.1伝 達 的 な要 求 定 義 の考 え 方 とそ の 問題 点23 3.2こ れ か らの 情 報 シ ス テ ム の 要 求 定 義 に お け る デー タ モ デ リ ン グ の定 義25 4.ま とめ28 1.デ ー タ モ デ リ ン グ の 発 展 経 緯 一 般 にモ デ ル と は本 質 的 に複 雑 な もの を理 解 す るた め に 、そ の特 定 の面 だ けに着 目 してそれ を 抽 象 化 した 表 現 で あ る 。 抽 象 化 で は 常 に あ る 目的 に と っ て重 要 な要 素 だ け が 抽 出 さ れ 、 そ れ 以 外 の要 素 を 捨 て られ る。 デ ー タモ デ ル は 情 報 シ ス テ ム 開 発 の 様hな 段 階 で そ れ ぞ れ 異 な る 目的 の た め に作 成 され 使 用 さ れ る 。 例 え ば シス テ ム 分 析 の 段 階 で 使 用 され る概 念 デ ー タ モ デ ル の 目的 は 、 ユ ー ザ ー の 情 報 シ ス テ ム に 対 す る要 求 の 中 の デ ー タに 関 す る部 分 、即 ち デ ー タ要 求 を ユ ー ザ ー と 開発 者 の 双 方 に対 し て簡 潔 に 且 っ 意 味 の あ る方 法 で 表 現 す る こ とで あ る 。(Teorey1994)。 1960年 代 の 中 頃 か らデ ー タベ ー ス技 術 の進 展 と相 ま っ て、 情報 シ ス テ ム開 発 にお け るデ ー タベ ー ス ア プ ロ ー チ の 重 要 性 が 主 張 され る よ う に な った 。 これ は企 業 活 動 の様hな 分 野 を 支 援 す る複 数 の情 報 シ ス テ ム の 開 発 を全 体 と して 効 率 的 に 推 進 し、 か っ情 報 を 出来 る限 り組 織 全 体 で 共 有 出 来 る よ う な シ ス テ ム を 開 発 す るた め に は 、機 能 分 野 毎 に別 々に シ ス テ ム を 開 発 す る とい う伝 統 的 な ア プ ロ ー チ で は な くて 、個 別 の ア プ リケ ー シ ョ ンか ら独 立 した デ ー タ の 定 義 に 基 づ い て 組 織 の 情 報 要 求 を統 合 的 表 現 に し、 そ れ を 基 盤 と して 個 別 の 情 報 シ ス テ ム を 開 発 す る事 が 必 要 で あ る と い う考 え 方 で あ る。 デ ー タ モ デ リン グ と い う考 え が 関 心 を集 め る よ う に な った の は この こ ろか らであ る と考 え られ る。 これ を デ ー タベ ー ス ア ー キ テ ク チ ャに 関 す る国 際 標 準 の確 立 と い う形 で 支 援 しよ う とす る提 案 が2度 にわ た っ て 行 わ れ た 、 そ の第1回 は1971年 にCODASYLDBTGレ ポ ー トに よ って 提 案 さ れ た 標 準 デ ー タベ ー ス ア ー キ テ ク チ ャ(2層 ス キ ー マ)で あ る。 これ は 、論 理 レベ ル に お い て全 体 の デ ー タベ ー ス ス キ ー マ とユ ー ザ ー の た め の サ ブ ス キ ー マ と を 分 離 す る こ と に よ って 、 た と え デ ー タ の 記 述 の 一 部 に 変 更 が あ っ て も 、 そ れ が そ れ が 自分 の サ ブ ス キ ー マ の範 囲 外 で あれ ば ユ ー ザ ー は 自分 の ア プ リケ ー シ ョンを変 更 しな いで 済 む 、 と い う こ と を 可能 に しよ う と い う も ので あ っ た 。 しか し これ に は 次 の2っ の 基 本 的 な 問 題 点 が あ った 。 ・デ ー タ ベ ー ス ス キ ー マ を 記 述 す るモ デ ル 言 語 が 異 な る場 合 、 そ れ ら の対 応 を と る こ と が 容 易 で な い。 ・モ デ ル 記 述 言 語 が レコー ド指 向 で あ るた め に 、 デー タの論理的 な性質 を十 分に表現で き ない。 これ らの 問 題 を 解 決 す べ く、1975年 に次 の 世 代 の デ ー タベ ー ス ア ー キ テ ク チ ャ の標 準 と してA NSI/X3/SPARCの3層 ス キ ー マ(ANSI/X3/SPARC、1975)が 正 式 に 提 案 さ れ た 。 これ は デ ー タベ ー ス を 内部 ス キ ー マ 、 概 念 ス キ ー マ 、及 び 外 部 ス キ ー マ の3っ の レベ ル に 分 け て管 理 す べ き で あ る と 規 定 して い る。 内部 ス キ ー マ で は デ ー タ の物 理 的 な記 憶 領 域 の編 成 方 法 が 定 義 され る 。 外 部 ス キ ー マ は ユ ー ザ ー に最 も近 い レベ ル で あ っ て 、各 々 の ユ ー ザ ー が 見 る見 方 で デ ー タが 記 述 され て い る。 概 念 ス キ ー マ は こ の 二 っ の レベ ル の 間 に あ る 間 接 的 な表 現 で あ って 、 デ ー タ に対 す る コ ミ ュニ テ ィユ ー ザ ー の 見 方(ビ ュー)で あ る と定 義 さ れ た 。 こ の3層 ス キ ー マ を提 案 した 人 た ち は 、 概 念 ス キ ー マ は デ ー タ の 意 味 を 捉 え な く て は な ら な い と考 え て い た 。 しか し残 念 な こ と にANSI/X3/SPARCの 提 案 か らは 、 概 念 ス キ ー マ が 何 を意 味 して い る の か は完 全 に は 明 らか に な って い な い 。 上 記 の よ う な コ ミ ュニ テ ィユ ー ザ ー の 見 方 、 外 部 レベ ル と 内 部 レベ ル の 間 に あ る 間 接 層 、 デ ー タの 意 味 の 規 定 、 等 の 説 明 に よ っ て何 を い い た い の か と い う 精 神 は理 解 で き るが 、 尚 多 くの こ と が 答 え られ ない ま ま に な っ て い る。 例 え ば 外 部 ス キ ー マ の要 素 は必 ず そ れ に対 応 す る概 念 ス キ ー マ の 要 素 を 持 っ て い る が 、 そ れ に も 関 わ らず 概 念 ス キ ー マ とは あ る程 度 独 立 に デ ー タを 定 義 で き る こ とが 期 待 され て い る。 さ ら に概 念 ス キ ー マ が 特 定 の デ ー タ モ デ ル(記 述 方 法)に 依 存 す べ き で あ る の か 、 そ れ と も そ れ と は 独 立 な デ ー タ の見 方 で あ る べ き な の か は 全 く明 らか で ない 。 こ の様 な潜 在 的 な 問 題 点 が あ る に も関 わ らず 、 概 念 ス キ ー マ と い う考 え 方 は デ ー タモ デ リ ン グ の分 野 に 大 変 大 き な 刺 激 を 与 えた 。 これ は デ ー タ要 求 を も っ と 高 い レベ ル で 表 現 す るた め の様 々 なモ デ ル 記 述 方 法(例 え ば オ ブ ジ ェ ク ト指 向 モ デル の よ う な)が 提 案 さ れ た こ と か ら も 明 らか で あ る。 一 方 こ れ を 契 機 と して 、 これ らの モ デ ル 記 述 方 法 の根 底 に あ る考 え方 に 基 本 的 な違 い が あ る こ と も 明 らか に な って き た 。 こ の 興 味 あ る 問 題 に つ い て 、Hirschheimら の 「情 報 シ ス テ ム の 開 発 とデ ー タ モ デ リ ン グ:そ の概 念 的 及 び哲 学 的 な基 盤(R.Hirschheim,H.K.Klein,K.Lyytinen, 1995)に 包 括 的 な 分 析 が あ る。 次 章 は そ の 一 部 の紹 介 で あ る。 2.デ ー タ モ デ リ ン グ の パ ラ ダ イ ム 2.1パ ラ ダ イ ム とは あ る専 門 家 の コ ミ ュニ テ ィが 採 用 して い て 、 そ れ に基 づ い て そ の人 々 が 認 識 を共 有 す る こ とが
出 来 、 ま た 共 同 の 実 践 活 動 に 従 事 す る こ とが 出 来 る よ う に な る よ う な、 最 も基 本 的 な 前 提 条 件 の 集 ま りを パ ラ ダ イ ム と呼 ぶ 。 パ ラ ダ イ ム を 構 成 す る代 表 的 な要 素 は 、 知 識 及 び そ の獲 得 方 法 に 関 す る前 提 と、 専 門 家 の 活 動 の 対 象 と な って い る 物 理 的 及 び 社 会 的 な世 界 に関 す る前 提 で あ る。 こ の 種 類 の 前 提 は科 学 的 な研 究 に 携 わ る人hだ け で な く、 全 て の 専 門 家 集 団 に っ い て存 在 す る。 開 発 の 専 門 家 は シ ス テ ム設 計 の た め に 、(対 象 とす る)社 会 的 な世 界 に 対 す る探 索 を行 い 、 ま た シ ス テ ム 実 現 のた め に、 同 じ社 会 的 な世 界 に対 す る介 入 を 行 う こ とが 必 要 に な る。 そ こで2っ の 関 連 す る前 提 条 件 を 区 別 す る の が 自然 で あ る。 即 ち 、 シ ス テ ム の 開 発 者 が シ ス テ ム を設 計 す るた め に必 要 と な る知 識 を 獲 得 す る方 法 に 関す る前 提(認 識 論 的 な前 提)と 、 開 発 者 が 社 会 的 な世 界 を ど の よ う な も の で あ る と 見 るか に関 す る前 提(存 在 論 的 な前 提)で あ る。 2.1.1パ ラ ダ イ ム の 認 識 論 的 な 前 提 と存 在 論 的 な 前 提 Burre1とMorganに 従 っ て、(社 会 的 な世 界 に 関 す る)パ ラ ダ イ ム の 前 提 は 、 主 観 主 義 対 客 観 主 義 と い う次 元 と、 秩 序 対 コ ン フ リ ク トと い う 次 元 の 、2っ の 次 元 に従 って 分 類 され る こ と に着 目 した い 。 い う まで も な く これ らの標 識(呼 び 方)は 哲 学 的 な 立 場 を 明 らか に 示 す た め の 単 純 化 に基 づ く も の で あ る。 第 一 の 次 元 で の 客 観 主 義 の立 場 の 本 質 は 黛自然 科 学 に お け るモ デ ル と方 法 を 人 文 科 学 の研 究 に 適 用 す る"と い う と こ ろ に あ る。 っ ま り客 観 主 義 に お い て は 、 社 会 的 な世 界 を あ た か も それ が 自 然 的 な 世 界 で あ るか の よ う に 取 り扱 う(Burre1&Morgan1979)。 客 観 主 義 者 は 、 自然 的 な世 界 と社 会 的 な世 界 の 両 方 に 全 く同 じよ う に適 用 さ れ る汎 用 の科 学 的 な方 法 、 とい う考 え 方 に 固執 して い る 。 これ に 対 して主 観 主 義 の 立 場 は 、 自然 科 学 の 方 法 を社 会 的 な 世 界 の 研 究 に適 用 す る の は 適 切 で な い と して 、 各 人 の 主 観 的 な経 験 の深 み を 探 究 す る こ と に よ って 、 人 間 の生 活 の 基 盤 を理 解 しよ う とす る 。 そ の基 本 的 な 関 心 は 、 各 個 人 が 自 らの 存 在 す る世 界 を 創 り出 し、 変 更 し、 そ して そ れ を 解 釈 す る方 法 を 理 解 す る こ と に あ る(Burrel&Morgan1979)。 従 っ てHabermasが 指 摘 す る よ う に 、 自然 科 学 と人 間文 化 の 科 学 とい う二 元 論 を 認 め る こ と に な る。 第 二 の 次 元 で の 秩 序 な い しは 統 合 主 義 者 の視 点 は 、 秩 序 、安 定 性 、 統 合 、 コ ンセ ンサ ス 、 機 能 的 な調 整 な どに よ っ て特 徴 づ け られ る社 会 的 な 世 界 を強 調 す る 。 これ に対 して コ ン フ リク トな い しは抑 圧 視 点 は 、 社 会 の 変 化 、 コ ン フ リク ト、 分 裂 、制 圧 な ど の 面 を強 調 す る。 こ の2つ の 次 元 を 組 み 合 わ せ る と 、 次 の よ う な4つ の パ ラ ダ イ ム が 出 来 上 が る(図 参 照)。 即 ちQ; ・機能 主 義(客 観 主 義&秩 序) ・社 会 的 相 対 主 義(主 観 主 義&秩 序) ・急 進 的 な 構 造 主 義(客 観 主 義&コ ン フ リク ト) ・ネ オ ヒ ュ ー マ ニ ズ ム(主 観 主 義&コ ン フ リク ト) この特 定 の枠 組 み を選 択 した の は、 そ れ を 使 う こ と に よ って 、情 報 シ ス テ ム の開 発 に対 す る様h な方 法 に っ い て 、 単 純 で しか も哲 学 的 な基 盤 に 支 え られ た や り方 で 、 そ れ ぞ れ の 前 提 の違 い を 識 別 す る こ と が 出 来 るか らで あ る。
2。1.24つ の パ ラ ダイ ム の特 徴 こ こに 紹 介 す る4っ の パ ラ ダ イ ム は 、 は じめBurrelとMorganに よ って 組 織 及 び 社 会 的 な 研 究 と い う 文 脈 の 中 で 見 出 さ れ た も ので あ るが 、 我 々 は そ れ が 情 報 シ ス テ ム 開 発(及 び デ ー タ モ デ リ ン グ)の 領 域 に お い て も 同 じよ う に有 効 で あ る と考 え る。 しか し情 報 シ ス テ ム の世 界 で は 、 これ ら のパ ラ ダ イ ム の多 くは 常 識 な信 念 や 背 景 的 な知 識 の 蜘 蛛 の 巣 の 中 に 深 く根 付 い て い る の で 、 そ れ らが 実 際 に ど の様 な か た ち で 影 響 して い る か を 示 す こ と は 容 易 で は ない 。 ・機 能 主 義(客 観 主 義&秩 序) この パ ラ ダ イ ム は 、 現 状 、 社 会 的 な秩 序 、 社 会 的 な統 合 、 コ ンセ ンサ ス 、要 求 の満 足 、 合 理 的 な 選 択 、 等 を説 明す る こ と に 関 心 を 持 って い る。 っ ま り、 社 会 シ ス テ ム を構 成 す る個hの 要 素 が 全 体 と して一 っ の 機 能 を果 たす た め に 、 どの よ う に して互 い に 作 用 し合 うの か を説 明 しよ う とっ と め る。 ・社 会 的 相 対 主 義(主 観 主 義&秩 序) こ のパ ラ ダ イ ム は 、 個 人 毎 の 意 識 と主 観 とい う領 域 の 中 で 、 また 行 為 の観 察 者 で は な く、 社 会 的 な 行 為 者 とい う枠 組 み に基 づ い て 、社 会 的 な 社 会 を と らえ よ う とす る。 こ の視 点 に依 れ ば 、 織社 会 的 な役 割 や 制 度 は、 人 々 が 自分 の 世 界 に 付 与 す る意 味 の 表 現 と して 存 在 す る"。(Silverm an1970) ・急 進 的 な 構 造 主義(客 観 主 義&コ ン フ リ ク ト) こ の パ ラ ダ イ ム は 、 社 会 や 組 織 に現 存 す る制 約 条 件 を 打 破 す る或 い は そ れ を超 越 す る こ と の 必 要 性 を 強 調 す る。 こ こで は 主 に経 済 的 な力 関 係 の 構 造 の 分 析 に焦 点 が 当 て られ て い る 。 ・ネ オ ヒ ュ ー マ ニ ズ ム(主 観 主 義&コ ンフ リク ト) この パ ラ ダイ ムは 、 急 進 的 な変 化 、 解放 、 潜 在 的 な可 能性 を 求 め 、変 化 を理 解 す るた め に は 、 様 々 な 社 会 的 或 い は 組 織 的 な勢 力が 演 ず る役 割 が 重 要 で あ る と主 張 す る。 そ こで は 解 放 に 対 す る 、イ デ オ ロ ギ ー 、権 力 、社 会 的 な強 制 や 制 約 な ど、 あ ら ゆ る か た ち の障 害 に 焦 点 が 当 て られ る。 2.2デ ー タ モ デ リン グの パ ラ ダ イ ム の 概 要 デ ー タモ デ リン グ と い う探 究 の プ ロ セ ス に は 、 伝 統 的 な 科 学 の理 論 の 構 築 と の 間 に、 本 質 的 に 類 似 の 性 質 が あ る ので 、 上 記 の各 パ ラ ダ イ ム は デ ー タ モ デ リ ング の ツー ルや 方 法 に対 して 、 そ れ ぞ れ 大 き な影 響 を 与 え て きた 。 デ ー タ モ デ リン グ の領 域 で は 、 パ ラ ダ イ ム を 分類 す るの に使 わ れ る2つ の 次 元 の 中 で1っ だ け 、 即 ち 客 観 主 義 と主 観 主 義 とを 区 分す る次 元 だ け が 顕 著 で あ る。 あ ら ゆ る デ ー タモ デ ル は 皆 そ の 対 象 とす る シ ス テ ム の秩 序 視 点 を 前 提 と し、 ま た 殆 どの デ ー タモ デ ル は現 実 を 表 現 す る こ と に焦 点 を 当 て て い る。 即 ち デ ー タモ デ リン グ の世 界 で は 機 能 主 義 の視 点 が 圧 倒 的 に 多 数 を 占 め て い る。 組 織 的 な コ ン フ リク トの 中 で デ ー タモ デ ル が 何 らか の 役 割 を果 た す 、 と い う考 え は殆 ど注 目 され て い な い。 従 っ て急 進 的 な構 造 主 義 の ア プ ロー チ は 見 出 す こ と が 出来 な い 。 も しそ の よ う な視 点 が 存 在 す る な らば 、 デ ー タモ デ ル は 敵 対 的 な 討 論 を通 して 真 実 を 発 見 す るの を どの様 に 支 援 で き るか 、 と い う主 張 に よ って そ れ を認 識 で き た はず で あ る。 デ ー タモ デ リン グの 文献 の 中 に は 、様 々 な異 な るユ ー ザ ー の視 点 や 異 な る意 味 論 が あ る こ と に注 目 して い る も の は あ る が 、 これ ら の 中 で 、 デ ー タモ デ リ ング を急 進 的 な 変 革 の た め に使 う こ と が 出来 る 、 と述 べ て い る も の は1っ も なか っ た 。 従 っ て デ ー タ モ デ リ ング に お い て は 、 急 進 的 な 構 造 主 義 で は な くて 、 機 能 主 義 と社 会 的 相 対 主 義 を識 別 す る こ とは 可 能 で あ る。 後 者 は 現 実 を モ デ ル 化 す る ので は な く て 、 異 な るユ ー ザ ー 言
語 の ル ー ル を モ デル 化 す る こ とに 焦 点 を 当 て て い る。 モ デ ル 化 の対 象 が 現 実 で あ るか そ れ と も言 語 で あ るか とい う違 い は 、 パ ラ ダ イ ム を分 類 す る と き に利 用 した 客 観 主 義 と主 観 主 義 の 違 い に 対 応 す る も の で あ る。 後 に 見 る よ う に、 デ ー タ モ デ リ ン グ に お け るネ オ ヒ ュー マ ニ ス ト視 点 を確 立 す るた め の基 盤 的 な作 業 は 行 わ れ て い る。 しか し現 時 点 で は まだ 、 ネ オ ヒ ュ ー マ ニ ス トパ ラ ダイ ム が 存 在 す る と考 え る の は 適 切 で ない 。 デ ー タモ デ リン グ に対 す る様hな ア プ ロ ー チ が 、 知 識 の性 質 に関 す るパ ラ ダ イ ム 的 な前 提 に 関 して どの 様 に 異 な るか を 明 らか に す るた め に 、 こ こで は デ ー タモ デル の 構 築 を そ の ア プ リー ケ ー シ ョン ドメ イ ンに 関 す る 限 定 さ れ た 理 論 の構 築 と対 比 してみ る。 こ の視 点 は決 して 新 しい も の で は な くて(Kent1978;Naur1985)、 既 に 多 くの 人 々 が 認 識 、 デ ー タ、 実 世 界 、 知 識 及 び 表 現 の 間 に は 重 要 な関 連 性 が あ る こ とに 着 目 して い る(Churchman1971;Checkland1981:Stamper 1987;GoldkuhlandLyytinen1982a;Lyytinen1987)o 従 って こ こ で は これ らの 研 究 成 果 を 踏 ま え て 、 現 存 す る デ ー タモ デ リ ン グ の ア プ ロー チ が 以下 の諸 項 目 に関 して ど の様 な前 提 に 立 って い る の か を 調 べ る こ と が 自然 な 流 れ で あ る。 イ)現 実 の 性 質(存 在 論)、 及 び デ ー タ モ デ ル に よ っ て表 現 され る知 識 の 性 質 、 これ は こ の知 識 を 収 集 す る た め の 方 法 や 手 段 を 含 む(認 識 論):即 ち パ ラ ダ イ ム の 注 観 主 義 一 客 観 主 義"と い う次 元 。 ロ)社 会 的 な世 界 の性 質 、 社 会 的 な 文 脈 と 呼 ぶ こ とが で き る もの は何 か:即 ち パ ラ ダ イ ム の "秩 序 一 コ ンフ リク ト"とい う次元。 ハ)言 語 的 な要 素 の表 現 。 上 記 の3っ の哲 学 的 な 論 点 を よ り明 らか にす るた め に、 これ らに 関 す る次 の4っ の 質 問 を用 意 す る。 (1)モ デ ル 化 さ れ る も の は 何 か(存 在 論)? こ の 質 問 は 環 境 或 い は モ デ リン グ ドメ イ ン 即 ち 議 論 の 対 象 と な る 世 界(universeof discourse)の 性 質 に 関 す る デ ー タモ デ リ ン グ の 最 も基 本 的 な前 提 を 指 して い る。 現 時 点 に お い て は デ ー タ モ デ リ ン グ の存 在 論(ontology)に 関 して 議 論 す る た め の 共 通 に使 用 さ れ る用 語(terminology)は 存 在 しな い。 デ ー タモ デ リン グ の存 在 論 に は 、 た だ1っ 或 い は複 数 のユ ー ザ ー シ ス テ ム が存 在 す るの か 、 それ と も そ れ は 全 く存 在 しな い の か 、 更 に各 ユ ー ザ ー シ ス テ ム の基 本 的 な構 成 要 素 は オ ペ レー シ ョン 、 役 割 、 意 志 決 定 、 社 会 的 な 活 動 、 発 話行 為 、 又 は そ れ 以 外 の何 か の どれ で あ るか 、 と言 う よ う な ア プ リケ ー シ ョン ドメ イ ン の性 質 に 関 す る基 本 的 な 前 提 も含 まれ る 。 (2)モ デ ル が 妥 当 で あ る の は 何 に よ るか(認 識 論)? こ の 質 問 は我hが どの よ う に して議 論 の 対 象 と な る世 界 に 関 す る妥 当 な解 釈 や知 識 を 得 る こ と が 出 来 る の か 、 に っ い て の基 本 的 な前 提 を 指 して い る。 デ ー タ モ デ リ ング の作 業 中 に遭 遇 す る(問 題 及 び 効 果 とい う)異 な る種 類 の 不 確 実 性 に どの よ う に対 処 す べ き で あ る と して い るか は 、 言 う まで も な く異 な る ア プ ロ ー チ を 比 較 す るた め に 考 慮 す べ きた だ1っ の 事 例 で は な い が 、 異 な る ア プ ロー チ が 知 識 や そ の探 索 方 法 に 関 して 異 な る前 提 に立 って い る こ と を 示 す よ い 例 で は あ る。 (3)社 会 的 な世 界 と デ ー タモ デ リ ン グの 間 に は ど の よ う な関 係 が あ るか(社 会 的 な文 脈)?こ の 質 問 は デ ー タ と行 動 との 関 連 性 に 関す る基 本 的 な 前 提 を指 して い る。 デ ー タ と行 動 との 問 に は2通 りの 関 連 性 が あ る。
先 ず 第 一 に デ ー タ は あ る 目的 を 達 成 す る た め に 使 わ れ るが 、 そ の 目的 は デ ー タモ デ ル が っ く られ た の と 同 じ社 会 的 な文 脈 の 中 で 形 成 さ れ て い る 、 と い う繋 が りが あ る。 別 の動 機 に基 づ い て 行 わ れ た 意 思 決 定 の 合 理 性 を 説 明す るた め に デ ー タが 使 用 され た 時 に 、 初 め て 本 来 の 目的 が 見 え て く る と い う こ と も あ る(Kling1980)。 第 二 に 行 動 に 対 す る デ ー タ の 関 係 は 、 デ ー タの 使 用 に 対 して 言 語 の使 用 に 類 似 した 解 釈 を す る と明 らか に な る 、 とい う も の で あ る。 言 語 が 効 率 的 に使 用 され る た め に は 、 発 話 は常 に そ れ が 使 用 さ れ る特 定 の 場 に 結 び っ け られ な く て は な ら な い 。 この 観 点 か ら言 語 は 指 標 的 (indexical)で あ る、 即 ち言 語 の 重 要 性 は 特 定 の場 、 つ ま り そ の 発 話 が 行 わ れ た 具 体 的 な 環 境 と の結 び っ き に依 存 して い る(Suchman1987)。 これ と 同 様 の社 会 一 言 語 学 的 な 前 提 が デ ー タ の効 率 につ い て も 当 て は ま るが 、 そ の こ と は デ ー タ モ デ リ ング に 対 す る伝 統 的 な ア プ ロ ー チ の 中 で は 明 らか に され て い な い。 (4)モ デ ル は どの 程 度 う ま く表 現 され て い るか(表 現)? こ の 質 問 は 対 象 シ ス テ ム を表 現 す る た め に最 も適 切 、 且 っ 有 効 な表 現 方 法 に 関す る基 本 的 な前 提 を指 して い る 。 2.3機 能 主 義 者 の デ ー タ モ デ リン グ に 関 す るパ ラ ダ イ ム 的 な 前 提 (1)存 在 論 的 な質 問 に 対 す る答 え: 世 界 は所 与 で あ って か っ 、 具 体 的 な 対 象 物(オ ブ ジ ェ ク ト)か ら構 成 され て い る。 そ れ ら の 対 象 物 は 各 々 固 有 の特 性 を 持 って い て 、 かっ 互 い に別 の 対 象 物 と結 び っ い て い る。 所 与 で あ る と は 、 世 界 は 人 に よ る 理 解 や 評 価 が 行 わ れ る 以 前 か ら存 在 して い る ので あ っ て 、 社 会 的 な 相 互 作 用 の 結 果 と して創 り 出 され る よ う な も の で は な い 、 と い う意 味 で あ る。 こ の よ う な 世 界 は 従 って 、 ユ ー ザ ー の 考 え 方 や 社 会 的 な 実 践 を 超 越 し て存 在 す る。(情 報 シ ス テ ム を 開 発す る際 の)対 象 シス テ ム とは 、 デ ー タモ デル が 関 連 して い る現 実 世 界 の一 部 分 の事 で あ る。 デ ー タ モ デ ル は対 象 シ ス テ ム に関 す る適 切 な 事 実 を 全 て 反 映 して い る ので 、 そ れ は対 象 シ ス テ ム を 単 純 化 した"綬 で あ る と考 え られ る 。 次 の 定 義 は デ ー タモ デ ル に対 す る機 能 主 義 者 の 視 点 を 端 的 に表 して い る 。 "デ ー タモデル は実世 界 を表 現す るための仕様言語 であ る(Mylopoulos1981)" デ ー タ モ デ ル は 事 実 に 関 す る仕 様 で あ る と考 え る上 記 の 視 点 と類 似 した も の に は 、 「偏 見 を 含 ま な い企 業 モ デ ル 」 と い う考 え(Chen1977)、 「概 念 ス キ ー マ と 情 報 ベ ー ス の た め の概 念 と用 語 」 と い う タ イ トル の 報 告 書(vanGriethusyen1982)等 が あ る。 機 能 主 義 と実 在 論 (realism)は 、Tarskiの 真 理 の 対 応 理 論(correspondencetheoryoftruth)を 介 して 結 び つ い て い る 、 と い う点 に 着 目す る 必 要 が あ る 。 こ の こ と は 、上 で 引 用 したvanGriethuysen にお い て 明確 に認 識 さ れ て い る。 従 って 以 下 にお い て 実 在 論 と い う言 葉 が こ とわ り無 く使 わ れ る場 合 に は 、 そ れ は 今 述 べ た よ う な意 味 にお い て で あ る 。 (2)認 識 論 的 な 質 問 に対 す る答 え: 妥 当 な モ デ ル を構 築 す る こ とが 出来 るの は、 対 象 シ ス テ ム 即 ち ア プ リケ ー シ ョン ドメ イ ン に対 して 、適 正 な観 察 及 び デ ー タ収 集 の 方 法 を適 用 す る こ と に よ ってで あ る。 デ ー タ モ デ ル は対 象 シ ス テ ム の絵 の よ う な も ので あ るか ら、 そ れ が 現 実 の 対 象 シ ス テ ム に どの 程 度 う ま く 対 応 して い るか を チ ェ ックす る こ と に よ っ て 、 モ デ ル の 正 確 さ を決 め る こ と が 出 来 る 。 この よ う な 方 法 に よ って 、 時 間 をか けれ ば モ デ ル と現 実 と の対 応 度 を改 善 して い く こ とが 出来 る。
環 境 の 変 化 に対 して も 同 様 な方 法 を 適用 す る こ と が 出 来 る。 この 様 に デ ー タモ デ ル に 関 す る 誤 りの 訂 正 或 い は 変 化 へ の 対 応 を継 続 的 に行 うた め に ユ ー ザ ー の 参 画 が 求 め られ る が 、 そ こ で ユ ー ザ ー に期 待 され る役 割 は次 の2点 に限 定 され て い る と考 え られ る: イ)デ ー タ モ デ ル の作 成 者 に対 して 、 黙生 の'デ ー タ や そ の 定 義 を 提 供 す る。 ロ)作 成 さ れ た 公 式 の モ デ ル が 真 実 の 状 況 に対 応 して い る こ とを 確 認 す る と い う意 味 で 、 そ れ が 妥 当 で あ る こ と を保 証 す る。 こ の 様 な 意 味 で のユ ー ザ ー 参 画 の 効 率 を上 げ る た め に 、 ダ イヤ グ ラ ム に よ る表 現 や ウオ ー ク ス ル ー な ど様hな 工 夫 が 提 案 され て き た 。 しか しこれ らの 道 具 を使 う こ と は決 して 「妥 当 性 の 検 証 と は 真 理 の対 応 理 論 の線 上 に あ る正 確 性 の テ ス トの こ とで あ る」 と い う基 本 的 な前 提 を 変 更 す る もの で は な い。 (3)社 会 的 な 文 脈 に関 す る質 問 に対 す る答 え: 秩 序 と安 定 性 を達 成 す るた め に規 制 が 重 要 で あ る。 組 織 にお け る様hな プ ロ セ ス は 基 本 的 に組 織 の秩 序 と安 定 性 の 維 持 を指 向 して お り、 デ ー タ モ デ ル は これ らの プ ロ セ ス が 利 用 す る 情 報 を 提 供 す る よ う に 設 計 され る 。 デ ー タ モ デ ル は 組 織 の 効 率 性 と効 果 性 を改 善す るた め の 様 々 な 意 図 的 な 介 入 を支 援 す る こと を通 じて 、組 織 が そ の 目標 を 達成 す るの に 貢 献す る。 デ ー タ モ デ ル は 決 して 、組 織 の基 本 的 な 目標 や 方 針 に 関 す る議 論 を促 進 す るた め に 設 計 され る の で は な い 。 方 針 を策 定 す る人 は 、 組 織 に と って 何 が 望 ま しい こ とで あ るか 、 ま た 組 織 の方 針 が個 別 の 決 定 に 対 して 合 理 的 な判 断 根 拠 と な る た め に は 、 そ れ を どの よ う に組 織 に 伝 え た ら よ い か 知 って い る。 この 様 な 前 提 の 下 で は 、 も し も デ ー タモ デル が 組 織 とそ の環 境 と を矛 盾 の な い 形 で 表 現 して い る な らば 、 そ れ は 組 織 を コ ン トロー ル す る た め に 使 用 さ れ る情 報 の質 を 向 上 す る こ とが 出来 る 、 と 信 ず る こ と は合 理 的 で あ る。 こ の様 に コ ン トロ ー ル に重 点 が 置 か れ て い て も、 デ ー タモ デ ル そ の も のは 政 治 的 に 中 立 で あ る と考 え られ る。 組 織 内 部 に コ ン フ リ ク トが あ った と して も、 そ れ は組 織 内 に存 在 す る パ ワー に よ って 解 決 され るの で あ って 、 ア ナ リス トは 組 織 の方 針 の決 定 に 対 して な ん ら命 令 す る立 場 に な い。 (4)表 現 に 関 す る質 問 に 対 す る 答 え: デ ー タモ デル の質 は 、 厳 密 さ と使 い易 さ と い う2っ の 競 合 す る視 点 か ら分 析 され る。 形 式 の厳 密 さ と い う視 点 か ら は 、 デ ー タモ デ ル は 完 全 で 、曖 昧 さや 矛 盾 が 無 く、厳 密 な推 論 が 可 能 な よ う に 形 式 化(formalized)さ れ て い な くて は な らな い 。 こ の視 点 か らの理 想 的 な デ ー タ モ デ ル は 、 対 象 シ ス テ ム に 関 す る あ ら ゆ る 質 問 に 答 え られ る よ う な 形 式 的 な 計 算 方 法 (formalcalculus)を 提 供 す る も の で あ る 。 質 問 へ の 答 え は公 理 と推 論 の規 則 か ら導 か れ な くて は な らな い(Bubenko1986)。 この こ と は 限 られ た 範 囲 に お い て は 、 例 え ば リ レー シ ョ ナ ル 完 全 性 に関 す る研 究 に よ って達 成 さ れ て い る(Codd1972)。 述 語 計 算 を利 用 す る形 式 主 義 はRusselとWhiteheadの 著 名 な研 究 成 果 に 基 づ い て い る の で 、 こ の 目標 に対 して きわ め て 有 望 で あ る と思 わ れ る。 そ れ 故 に、 機 能 主 義 の デ ー タモ デ リ ング に お い て 、 対 象 シ ス テ ム の オ ブ ジ ェク トとそ の 特 性(properties)及 び オ ブ ジ ェク ト相 互 の 関 連 性 を 直 接 に表 す 構 成 要 素 を 提 供 す る形 式 主 義 が 数 多 く提 案 され た の は 驚 くに は 当 た らな い 。 広 範 囲 に 使 用 さ れ て い る1つ の 表 現 方 法 は 、 対 象 シ ス テ ム を エ ン テ ィテ ィ、 そ の属 性 及 び エ ンテ ィテ ィ相 互 の 関 連 性 の イ ン ス タ ンス に よ って 描 こ う とす る(Chen1976;Teichroeweta1.1980)も の で あ る が 、 リ レー シ ョナ ル モ デ ル に も類 似 の考 え は あ る。 また 従 来 の デ ー タモ デ リン グ言 語 で は 、 1つ の イ ンス タ ンス は た だ1つ の タイ プに 属 す る と い う単 純 な タイ プ理 論 を 採 用 して い るが 、
こ れ に 関す る問 題 点 が 最 近 広 く認 識 され る よ う に な っ て 、 タ イ プ理 論 は"カ テ ゴ リー 略を 包 含 す る よ う に拡 張 され て い る(ElmasriandWiederhold1985)。 しか し なが ら正 統 的 な デ ー タモ デ リン グ ア プ ロー チ に お け る意 味 論 は 依 然 と して 、各 デ ー タ項 目の 意 味 は そ れ が 表 す 対 象 物 の 集 ま りに 対 応 す る と い う外 延 論(denotationaltheory)に 固 定 され て い る(van Griethuysen1982)。 従 って デ ー タモ デ ル の 中 に も っと 意 味 を含 め よ う とす る 努 力 の焦 点 は 、 イ ベ ン トの 時 間 的 な 発 生 順 序 、 存 在 依 存 性 、 オ ブ ジ ェク トの 特 定 性 な ど、 実 世 界 の 構 造 を 反 映 して い る と考 え られ る制 約 条 件 を 定 義 す る こ と に 当 て られ て い る(Codd1979)。 デ ー タ モ デ ル の品 質 に関 す る も う1つ の 基 準 、 即 ち 使 い 易 さ は 、 例 え ばERモ デ ル の よ う な特 定 の 種 類 の 形 式 主 義 が 何 故 広 く使 わ れ て い る のか を 説 明 す るた め に利 用 さ れ て き た 。 使 い 易 さ と い う 問 題 は 、 経 験 的 に は幾 っ か の 研 究 に お い て 取 り上 げ られ て い る(BatraandDavis 1989;Batraeta1.1988)。 しか し この 基 準 は 、 異 な る デー タモ デ リ ン グ言 語 の 中 か ら適 切 な も の を 選 ぶ た め の 有 効 な 方 法 が 見 当 た らな い と言 う 点 で 、 適 用 が 困 難 で あ る と い う事 が 分 か っ て きた(TsichritzisandLochovski1982)。 要 約 す る と 、 デ ー タ モ デ リ ング に 関 す る方 法 論 と ツー ル を詳 細 に 調 べ た結 果 、 機 能 主 義 の 強 い影 響 が 明 らか に な った 。 これ らの 方 法 論 が 機 能 主 義 に基 づ い て い る こ とを 示 す 根 拠 は 次 の2組 の基 本 的 な前 提 で あ る: イ)実 証 主 義 的 な 認 識 論(positivistepistemology)と 結 び っ いた 実 在 主 義 的 な存 在 論 (realistontology) ロ)人 間 の組 織 に 対 す る規 制 乃 至 は 秩 序 重 視 的 な視 点 しか しな が ら、 これ らの 前 提 は 必 ず しも デ ー タ モ デ リ ング の 考 え が 提 案 され た 時 点 か ら、 広 く共 有 され て きた わ け で は な い(kent1978)。 2.4社 会 的 な 相 対 主 義 者 の デ ー タモ デ リ ン グ に 関 す るパ ラ ダ イ ム 的 な前 提 (1)存 在 論 的 な質 問 に対 す る答 え: 社 会 を構 成 す る各 個 人 は コ ミ ュニ ケ ー シ ョン過 程 の 中 で 自分 の 立場 を定 義 す る。 そ の コ ミュ ニ ケ ー シ ョン過 程 を 通 じて 、対 象 シ ス テ ム が 社 会 的 に構 築 さ れ て い く(シ ンボ リ ック相 互 作 用 論)。 この 基 本 的 な前 提 は 「事 物 が 実 際 そ こ に存 在 して い る か ど う か に関 わ り無 く、 言 語 ゲ ー ム の創 発 的 な 組 合 せ(anemergentsetoflanguagegames)を 適 用 す る解 釈 過 程 を 通 して のみ 、我 々 はそ の 事 物 に ア ク セ ス す る こ と が 可 能 に な る」 と い う も の で あ る(Truex 1993)。 ユ ー ザ ー も ア ナ リス トも組 織 的 な現 実 が 存 在 す る と主 観 的 に 信 ず る こ とが あ る か も 知 れ な いが 、 そ れ は実 は 人 間 に よ って 編 集 され た も の(humanauthorship)で あ る 、 と い う こ と を 忘 れ て い る ので あ る。 この 様 な 客 観 化 が 行 わ れ る プ ロ セ ス は 噪 象 化(reification) "と 呼 ば れ る(BergerandLuckman1967) 。 習 慣 、 言 語 、 伝 統 、 制 度 化 な どが この 中 で 重 要 な役 割 を 果 た す 。 これ らの 考 え に 基 づ い て 、Boland(1979)は シ ス テ ム 設 計 に対 す る 意 思 決 定 モ デ ル に基 づ くア プ ロー チ と 行 動 に基 づ く ア プ ロー チ の違 い を指 摘 した 。 前 者 は 客 観 的 な表 現 とア ル ゴ リズ ム 的 な操 作 に 大 き く依 存 して い るの に対 して 、後 者 は; 情 報 シス テ ム の 設 計 に お い て重 要 な の は 、 前 も って モ デ ル 化 さ れ た 組 織 的 な現 実 に 設 計 の 結 果 が 適 合 して い るか ど うか で は な くて 、 組 織 の構 成 員 が シ ンボ リ ック な相 互 作 用 を 通 じて 組 織 的 な現 実 を構 築 して い く の に 、 設 計 の結 果 を適 切 に 使 う こ とが 出来 る か ど うか 、 と い う
こ と で あ る。 要 す る に情 報 シ ス テ ム は シ ンボ ル の環 境 で あ って 、 状 況 を理 解 す る(sense making)プ ロ セ ス が そ の環 境 の 中 で 遂 行 され るの で あ る(Boland1979)。 この 様 な 基 本 的 な考 え 方 を デ ー タ モ デ ル に 適 用 す る と、 「デ ー タモ デル は ユ ー ザ ー が ア プ リケ ー シ ョン ドメ イ ンの 中 で 互 い に コ ミ ュニ ケ ー シ ョンす るた め に使 用 して い る 言 語 を モ デ ル化 す る よ う努 力 す べ き で あ る」 と い う こ と に な る。 これ は機 能 主 義 的 な ア プ ロ ー チ の 覡 実 写 像(realitymapping)視 点"に 対 比 して 、"公 式 言 語 開 発(formallanguagedevelopment) 視 点"と 呼 ぶ こ と が 出来 よ う 。 っ ま り公 式 言語 開発 視 点 に よれ ば 、 デ ー タ モ デ ル は 実世 界 の モ デ ルで あ る と言 う よ りはユ ー ザ ー 言 語 の モ デ ル で あ る。 ユ ー ザ ー 言 語 は; 業 務 の 中 で 使 わ れ る言 語 で あ って 、 業 務 プ ロ セ ス を 支 援 又 は 変 更 す る 、業 務 体 系 の 編 成 、 知 識 や 価 値 観 の 共 有 化 、 更 に そ の 状 況 を構 成 して い る社 会 的 な関 係 を確 認 す る、 等 の 目的 で 使 用 され る(HolmquvistandAndersen1987)。 ユ ー ザ ー 言 語 の例 と しては 、 大 組 織 の 中 で 創 り 出 され た 多 くの頭 字 語(acronyms)、 普 通 の 言 語 で あ り なが ら特 別 な意 味 を 持 た さ れ た も の 、 な どが あ る。 ユ ー ザ ー 言 語 は複 雑 なル ー ル の シス テ ム で あ って 、 そ の(ル ー ル の)多 くは 話 者 に と って も表 面 化 さ れ て は い な い。 従 って 、 モ デ ル 化 す る こ と に注 意 を注 が な くて は な らな い の は 、 所 与 の オ ブ ジ ェク トや そ の特 性 で は な くて 、 そ の 言 語 の統 語 論 、 意 味 論 、 及 び 語 用 論 を 定 義 して い る ル ー ル で あ る。 ル ー ル に 基 づ くデ ー タ モ デ ル を作 成 す るた め の手 法 や ツ ー ル に関 し て は 幾 っ か の試 み が な され て い る が 、(ユ ー ザ ー)言 語 は 完 全 な 仕 様 化 が 難 しい 日常 の 発 話 行 為 の 中 か ら生 まれ るの で 、 完 全 なモ デ ル を作 成 す る事 が 可 能 で あ る と期 待 す る事 は 現 実 的 で な い。 情 報 シ ス テ ム はユ ー ザ ー 言 語 よ り は も っ と構 造 化 され 、 形 成 化 さ れ た 言 語 の 上 に構 築 され て い る、 と い う特 徴 を持 って い る 。 こ の こ とが 情 報 シス テ ム の効 用 を 制 約 す る大 き な 原 因 と な って い る。 こ の こ と を 考 慮 に入 れ る と 、 デ ー タ モ デ ル は、 ユ ー ザ ー が 互 い に 理 解 し 合 った り、 環 境 を理 解 す るた め に 使 用 して い る 言 語 を部 分 的 に再 構 築 して い る、 と い う こ と が 出 来 る 。 言 語 を モ デ ル 化 す る際 の基 本 的 な問 題 点 は 、対 象 シ ス テ ム(即 ちユ ー ザ ー 言 語)を 構 成 す る基 本 的 な構 成 要 素(buildingblock)が 何 で あ る か を 決 定 す る こ と で あ る。 ユ ー ザ ー 言 語 の 基 本 的 な構 成 要 素 と して は 明 らか に、 文(sentence)と 発 話 行 為(speechact)と い う2 通 り の選 択 が 可 能 で あ る。 前 者 は 人 間 の 言 語 は 述 語 論 理 を 使 っ てモ デ ル化 す る こ と が 出 来 る と提 案 したFregeの 言 語 観 と 同 じ線 上 に あ る。 そ の よ う に言 語 の 基 本 的 な構 成 要 素 と して 文 を 選 択 す る場 合 に は 、 ユ ー ザ ー 言 語 を モ デル 化 す るた め に エ ン テ ィテ ィー ・属 性 記 法 を 使 う こ と も で き るで あ ろ う。 一 方、 言 語 が 文 で は な くて 発 話 行 為 か ら構 成 さ れ て い る と見 る場 合 に は 、 デ ー タ モ デ リ ン グの 焦 点 は 広 く な る。 発 話 行 為 は コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンの基 本 的 な単 位 で あ って 、 そ れ に よ っ て 話 者 は 、(質 問 と い う 発 話 行 為 を利 用 して)一 片 の情 報 を手 に 入 れ る 、 或 い は(約 束 と い う発 話 行 為 を利 用 して)コ ミ ッ トメ ン トを知 らせ る、 等 何 らか の言 語 外 の 目的 を達 成 しよ う とす る も ので あ る。Searleは 人 間 の 基 本 的 な意 図 を 伝 え るた め に 、 発 話 行 為 に は5通 り の基 本 的 な タ イ プ が あ る と い う仮 説 を 提 案 した(Searle1979)。 発 話 行 為 をモ デ ル 化 す る た め に は 、 そ の3種 類 の側 面 を 表 現 出 来 る こ とが 必 要 で あ る 。 即 ち:参 照 さ れ て い る も の は 何 か (叙 述 と参 照)、 意 図(発 語 内行 為)、 そ の発 話 行 為 の結 果 と して予 測 さ れ る事 態(発 語 媒 介
行 為 の 効 果)。ERモ デ ル は こ の 中 で 高 々叙 述 と参 照 を と らえ る こ とが 出来 るだ け で あ る。 発 話 行 為 とい う視 点 か らの デ ー タモ デ ル は 、 発 話 行 為 に対 応 す る基 本 的 な 働 き(move) "か ら な る 言 語 的 叙 述(linguisticdiscourse)の モ デ ル で あ る(Auramakietal .1988)。 一 連 の 簡 単 な発 話 行 為 の 意 味 を と らえ る た め の デ ー タ モ デ リ ング に 関 す る あ る種 の形 式 論 が 提 案 され て い る(LehtinenandLyytinen1986)。 しか しこれ を 、 方 針 決 定 に 関 す る 議 論 の よ う な 、 も っ と複 雑 な領 域 に拡 張 して い く こ とは 重 要 な研 究 課 題 で あ る。 コ ミ ッ トメ ン トに 関 す る 発 話 行 為 を め ぐ って 設 計 さ れ た シス テ ム の 例 が 、(WinogradandFlores1986)の 最 後 の 章 に 報 告 され て い る。 (2)認 識 論 的 な質 問 に対 す る答 え: あ る デ ー タモ デ ル が別 の モ デ ル よ りも 正確 で あ る か な いか 、或 い は 適 切 で あ る か な いか と 言 うの は どの よ う な意 味 に お い て で あ る か 、 と い う この 質 問 に対 す る社 会 的 な相 対 主 義 者 の デ ー タモ デ リン グの 答 え は解 釈 学 の 視 点 に立 っ もの で あ る(Langefors1977;Capurro1986)。 解 釈 学 は 、 デ ー タ モ デ ル は 次 の3点 に お い て 基 本 的 な 制 約 を受 け て い る と指 摘 す る 。: 第1は どの よ う な デ ー タモ デ ル も、 何 らか の 偏 りを 免 れ る こと が 出来 な い(た と え 、 カ ッ コに 入 れ る(bracketing)事 に よ って そ の偏 りに 対 す る理 解 を 改 善 す る こ と が 出来 る と して も)と 言 う点 で あ る。 第2に 、 デ ー タ モ デ リン グ を通 じて少 な く と も二 っ の 異 な る意 味 の 視 界(horizonof meaning)が 交 わ る 、 っ ま り二 通 りの 解 釈 を伴 う、 と い う点 で あ る 。 第3は 複 雑 な組 織 で は 、 異 な る意 味 の 視界 が どれ だ け あ る か を予 め 決 め る こ と が 出 来 な い 、 とい う点 で あ る。 従 って デ ー タモ デ リ ン グの プ ロセ ス は オ ー プ ンエ ン ドで な くて は な らな い。 又 そ れ 自身 の 限 界 に対 して 批 判 的 で あ る こ とが 必 要 で あ る。 上 記 の考 え 方 か ら、 社 会 的 な相 対 主 義 者 の 視 点 に立 った と き の 、 デ ー タモ デ リ ン グ の研 究 や 実践 の 方 法 を 導 くた め の 次 の よ う な原 則 が 生 まれ る(Capurro1986): イ)ど の デ ー タモ デ ル に も基 本 的 な偏 りが あ る。 そ の 偏 りが 分 か れ ば 、 そ の デ ー タ モ デ ル つ く る基 に な って い た 事 前 理 解(contingentpreunderstanding)が ど の よ う な も の で あ った か を 突 き 止 め る こ とが 出 来 る。 ロ)あ る種 の 自 己 批 判 的 、 内省 的 な対 話 で あ る カ ッコ入 れ を 通 して 、 あ る程 度 ま で は この 偏 りを 透 明 に す る こ とが 可 能 で あ る。 ハ)カ ッ コ入 れ を 、 互 い に基 本 的 に 相 容 れ な い 先 入 観(preconception)の い ず れ か を 選 ぶ た め の 手 順 で あ る と考 え て は な ら な い 。 デ ー タモ デ ル に 対 す る解 釈 学 的 な ア プ ロー チ で は 、 (上 記 の よ う な プ ロセ ス を通 して)偏 りが いず れ は 殆 ど問題 に な らな く な る 、 或 い は 完 全 に 除 去 さ れ る、 と い う考 え に対 して きわ め て懐 疑 的 で あ る。 これ らの 原 則 を 当 て は め て み る と 、 デ ー タモ デ リン グ の 実 務 にお い て は 、例 え ば ア ナ リス トとユ ー ザ ー と言 うよ う な 、 異 な る コ ミュ ニ テ ィに お い て は そ れ に 固 有 の意 味 の 視 界 の 間 の 根 本 的 な 相 違 が あ る こ と を考 慮 に入 れ な くて は な ら な い 。 異 な る コ ミ ュ ニ テ ィが そ れ ぞ れ 固 有 の 意 味 の 視 界 を 持 って い る とい う の は 、 そ れ らが 出会 った と き互 い に相 手 を 自分 の 視 界 の 中 で 解 釈 しな くて は な らな い と い う 問 題 に直 面 し、 従 って 相 互 理 解 は リス ク に さ ら され る 、 とい う 意 味 で あ る 。 しか し二 っ の 視 界 が 融 合 し、 生 じが ち な誤 解 が 克 服 され る可 能 性 は存 在 す る。 そ の理 由は 「双 方 の 視 界 が オ ー プ ンで あ る」、 即 ち 「各 コ ミ ュニ テ ィ は シ ン ボ リ ッ ク な相 互 作 用(互 い に 相 手 と一 緒 に な り、 問 題 を共 有 しよ う とす る こ と)を 通 じて 、 各 々 の 視
界 を 広 げ 、 そ れ を あ る程 度 まで 融 合 させ る こ と が 出 来 る」 か らで あ る。 意 味 の 視 界 と い う 考 え 方 を デ ー タモ デ リ ン グ に適 用 す る こ と に よ って 、 更 に二 つ の 結 論 を 導 くこ と が 出 来 る。 第 一 の結 論 は 「一 つ の デ ー タモ デ ル が 作 成 され る と言 う こ と は 、 少 な くと も 二 つ の 視 界 が 融 合 され る とい う こ と を意 味 す る」 と い う こ と で あ る。 仮 に ユ ー ザ ー が 分 析 の プ ロセ ス に 加 わ っ て い な くて も 、 開 発 者 は 、 例 え ば ユ ー ザ ー と開 発 者 と い う、 異 な る コ ミ ュニ テ ィが 持 っ て い る それ ぞ れ の意 味 の視 界(又 は理 解 の コ ンテ キ ス ト)の 橋 渡 しを しな くて は な ら な い 。 ど ち らの グル ー プ も そ れ ぞ れ 別hの 言 語 ゲ ー ム を 内 部 に持 って い る。 ユ ー ザ ー に と っ て も 状 況 は対 称 的 で あ る。 も しユ ー ザ ー が 自分 で 開 発 を 行 お う とす る な らば 、 開 発 の た め に使 わ れ る仕 様 化 言 語 や モ デ リ ン グ ツー ル に 内在 す る(開 発 者 の世 界 に 固有 の)意 味 の 視 界 に対 処 し な くて は な ら な い。 デ ー タモ デ リン グ に お け る視 界 の融 合 は3ス テ ップ にわ た っ て行 わ れ る。 第1の ス テ ップ で は 開 発 者 が 、 ユ ー ザ ー の 間 で は 共 有 化 さ れ 、且 っ 少 な くと も当 初 は 開 発 者 に と って 未 知 の 、 意 味 を理 解 しよ う と っ と め な くて は な ら な い。 第2の ス テ ップ で は 、 開 発 者 が 理 解 で きた こ とを 、 あ る 適 切 な(論 理 的 に整 合 性 の あ る) 形 式 に 変 換 しな くて は な ら な い。 そ の形 式 は 少 な くと も あ る部 分 に 限 っ て は 、 現 存 す る ユ ー ザ ー 社 会 の言 語 ゲ ー ムの 代 わ りを果 たす こ とが 出来 る 、 とい う こ と を暗 黙 の 前提 と して い る。 第3の ス テ ップ で は 、 第2の ス テ ップ で 作 成 さ れ た 形 式 に 依 る表 現 を再 び ユ ー ザ ー の意 味 の 視 界(の 言 葉)に 変 換 し、 日常 の行 動 の一 部 に しな くて は な らな い 。(こ れ は も ち ろ ん 融 合 され た 意 味 の視 界 が 妥 当 な も の で あ る と して 受 け 入 れ られ た 場 合 の こ とで あ る。 そ う で な い と き は 、 新 しい事 前 理 解 に 基 づ い て 、 上 記 の サ イ ク ル を 繰 り返 さ な くて は な ら ない 。) 上 記 の ど の ス テ ップ に も 危 険 は満 ち満 ち て い る。 これ らの 危 険 に 対 して は綿 密 な注 意 が 必 要 で あ るが 、 通 常 の ウオ ー ク スル ー 、 ドキ ュメ ンテ ー シ ョン、 ユ ー ザ ー 教 育 、 等 の や り方 で は 不 十 分 で あ る。 第2の 結 論 は 「シ ス テ マ テ ィ ック な"カ ッ コ入 れ"を 通 じて 視 界 の 融 合 を促 進 す る こ とが 出 来 る」 とい う こ と で あ る。 こ の理 由 は 、 ユ ー ザ ー と開 発 者 の 間 の対 話 に基 づ く方 が 、 そ れ ぞ れ の グ ル ー プ 内部 の 討 議 に 基 づ くよ りも 有 効 な カ ッコ入 れ が 出 来 る、 と い う こ とに よ る。 こ の 点 は 特 に 「どの よ う な代 替 的 な概 念 モ デ ル を 作 成 しよ う とす る と き も 、 それ に 先 立 っ て そ の モ デ ル に対 応 す る 粮 底 定 義"を 構 築 しな くて は な ら な い」 と い うCheckland(1981)の 考 え に よ っ て 明 らか に され た 。 ユ ー ザ ー と開 発 者側 の2重 の 解 釈 が 必 要 で あ る と 言 う こ と は 、 一 面 で は硬 直 性 と誤 解 を 生 み 出す 危 険 性 を持 って い る が、 同 時 に そ れ は対 話 を 通 じて 相 互 理 解 を促 進 す る機 会 で も あ る、 と考 え られ る。 組 織 内 に は異 な るユ ー ザ ー グル ー プ の 数 と 同 じ数 だ け の 意 味 の視 界 が あ る。 こ こで 異 な る とい う のは 、 ユ ー ザ ー は各h異 な る教 育 や 職 業 的 訓 練 を 受 け て お り、 従 って そ れ ぞれ の グ ル ー プ毎 に 特 化 した 言 語 と実 践 と を伴 った 固 有 の 熟 練 を共 有 して い る 、 と い う意 味 で あ る。 言 い 換 え る と、 各 々 の グル ー プ毎 の 日常 業 務 で の 興 味 の 中心 は 互 い に か な り離 れ て い る、 と見 な くて は な らな い。 同 じ病 院 の医 師 の グル ー プ と看 護 婦 の グル ー プ は こ の好 例 で あ る。 従 って 二 重 の 解 釈 は 更 に 多 重 の 解 釈 に拡 張 さ れ な くて は な らな い 。 誤 解 の 危 険 は ア ナ リス トとユ ー ザ ー の 問 だ け で は な く、 異 な るユ ー ザ ー コ ミ ュニ テ ィの 間 に も存 在 す る。 こ の 問題 に 関す る一 っ の 結 論 は 「組 織 全 体 に わ た る完 全 に 整 合 的 な デ ー タ モ デ ル は 存 在 し 得 な い 」 とい う こ とで あ る 。 い う まで も な く、 あ る組 織 に お い て戦 略 デ ー タ モ デ ル が存 在 し、
そ の モ デル は組 織 の 全 体 を カバ ー して い る 、 と い う こ と は あ り得 る。 これ は しか し、 ハ イ レ ベ ル の 企 画 ス タ ッフ と い う グル ー プ に 固 有 の 、 も う一 つ 別 の 意 味 の視 界 を 提 供 して い る に過 ぎ な い 。 そ の よ う な性 格 上 、 この モ デ ル は 別 のユ ー ザ ー グル ー プ との 対 話 の 基 盤 と な るか ら、 そ の結 果 と して 異 な る視 界 の 融 合 、っ ま り組 織 学 習 を も た らす こ と が 可 能 で あ る。 実 務 的 に は 、 企 業 モ デ ル は 常 に こ の 様 な 目的 で使 うた め に 作 成 され た は ず で あ る。 しか しデ ー タ モ デ ル に つ い て述 べ た 文 献 の 中 に は、 これ とは 別 の こ と を述 べ て い る も の も あ る。 例 え ば 組 織 全 体 にわ た って整 合 性 の あ るモ デル(ス キ ー マ)を 構 築 し、 そ の 約 束 を 強 制 的 に守 らせ る べ き で あ る 、 と い う提 案 が あ った 。 同様 な考 え の基 で 、 企 業 全 体 で 共 通 に使 用 され る全 く瞹 昧 さ を持 た な い語 彙 を 定 義 す べ きで あ る と か 、 ロ ー カル な デ ー タベ ー ス が グ ロー バ ル に も妥 当 で あ る こ と を テ ス トす べ き で あ る、 と い う提 案 も 行 わ れ て い る。 こ の どれ も が 、 解 釈 学 的 な観 点 か らは 、 適 切 で は な い と考 え られ る。 (3)社 会 的 な文 脈 に 関 す る 質 問 に対 す る答 え: こ の 質 問 の 意 味 は 、 デ ー タ モ デ ル は どの 様 に して 組 織 の行 為 者(OrganaizatiOnalaCtOrs) 達 が 互 い に理 解 した り、 学 習 した りす る の を 支 援 す る こ とが で き るの か 、 と い う こ とで あ る 。 社 会 的 相 互 主 義 の 文 脈 で は デー タモ デ リ ン グの 作 業 は 、 組 織 の 中 で そ れ ぞれ 別 々 の視 点 を 持 っ た 複 数 の グル ー プ(文 化)が 共 存 して い る、 と い う前 提 に 立 っ て行 わ れ る。 コ ンフ リク トは 問 題 で は な く、従 っ て あ る個 人 又 は そ の 個 人 が 属 す る グ ル ー プ の利 益 の た め に意 図 的 に デ ー タ を ゆ が め る 、 と い う よ う な こ と は特 に 注 意 す べ き問 題 で あ る と はみ な さ れ な い。 ま た 異 な る視 点 の 妥 当性 を 支 持 す る証 拠 が 現 れ た と きで も 、 そ れ が どの く らい 重 要 で あ るか は 問 題 に な らな い 。 どの視 点 も 皆偏 見 で あ って 、 解 釈 サ イ クル の繰 り返 しを通 して 時 間 と と も に 変 化 して い く と考 え る か らで あ る。 (4)表 現 に 関 す る質 問 に対 す る答 え: 実 在 論 の 基 で は デ ー タ モ デ ル は 現 実 を 表 す 手 段 で あ る。 従 っ て(同 じ対 象 シ ス テ ム に 関 す る)複 数 の デ ー タ モ デ ル が 存 在 す る場 合 、(現 実 写 像 の)正 確 性 や 完 全 性 と い う基 準 に よ っ て、 そ れ ぞ れ が(ど の程 度 適 切 で あ るか が)評 価 され る。 しか しデ ー タモ デ ル が 、 何 を 現 実 と見 る か と い う事 と、 そ の こ との 妥 当 な 証 拠 は何 で あ る か と い う事 の 両 方 を 同 時 に 決 め る と な る と 、 これ は不 可 能 に な る(Boland1979)。 なぜ な ら ば 、 構 築 主 義 的 な視 点 の 基 で は 、 デー タ モ デ ル は社 会 的 な コ ミュニ テ ィが そ の 環 境 を 理 解 す るた め の一 つ の 手 段 で あ る か らで あ る。 っ ま りそ れ は 、 意 味 の あ る重 要 な もの を 、 そ れ 以 外 の も のか ら識 別 す る た め の 一 つ の 手 段 で あ るか らで あ る。 っ ま りそ れ は 、 意 味 の あ る重 要 な もの を 、 そ れ 以 外 の もの か ら識 別 す るた め の フ ィル ター と して 使 わ れ る。 社 会 的 に 構 築 され た 現 実 を維 持 す る の を 支 援 す る こ と に よ って 、 デ ー タモ デ ル は 、 人 々 の知 覚 を 制 限 した 上 で そ れ を伝 え る、 証 拠 の 入 手 可 能 性 に影 響 を 与 え る 、 どの 様 な 種 類 の 証 拠 が 望 ま しい か を 示 唆 す る、 警 告 す る、 隠蔽 す る 、 等 の 手 段 を通 して 人hの 行 動 に影 響 を 与 え る。 こ の こ とは デ ー タモ デ ル の 妥 当 性 を立 証 す る行 動 に も適 用 す る こ と が 出来 る の で 、 結 局 は循 環 す る 事 に な り、 前 述 の状 況 が 生 まれ る。 そ れ 故 に 、 真 実 の 状 況 と の 偏 差 を 最 小 化 す る と か 、 或 い は 所 与 の 現 実 の あ ま りに 多 く、 又 は あ ま り に わ ず か を 篩 にか け る表 現 を 見 っ け る、 とい っ た よ う なや り方 で デ ー タモ デ ル の 妥 当 性 を表 す こ と は 出 来 な い。 デ ー タ モ デ ル を作 成 す る と い う こ と、 或 い は 適 切 な デ ー タモ デ ル を選 択 す る と言 う こ と に 対 して 、 上 で 述 べ た こ とが どの よ う な意 味 を 持 って い るか は 、 これ ま で の 文 献 で は 余 り取 り
上 げ られ て い な い。 我hは デ ー タモ デ ル の 役 割 は 、 論 議 を 呼 ぶ 表 現 で は あ るが 、 科 学 的 な コ ミ ュニ テ ィに と って の 理 論 の役 割 と 同 じ よ う な視 点 で と らえ るべ きで あ る、 と 言 う提 案 を し た い と思 う 。 と りあ え ず デ ー タ モ デ ル は 、 そ れ が 社 会 的 な コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンを 促 進 す るの に 役 立 っ よ う なや り方 で 、 構 築 す べ き で あ る、 と い う提 案 を す る こ とが 出来 る か も しれ な い。 理 想 的 に は 、 よ い デ ー タ モ デ ル は 、 真 摯 で 、 適 切 で 、 明確 か っ 情 報 を十 分 に伝 え る よ う な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンを 促 進 す べ き で あ ろ う 。 しか しこ の様 な見 方 は理 想 的 す ぎ て 、 既 に 述 べ た 幾 っ か の重 要 な観 点 を 見 落 と して い る。 3.デ ー タ モ デ リ ン グ の 実 践 の あ り方 3.1伝 統 的 な 要 求 定 義 の考 え 方 とそ の 問 題 点 わ が 国 の主 な 企 業 や 病 院 、 諸 団 体 な どの組 織 で は 、 情 報 技 術 の進 展 に 合 わ せ て 、 ビジ ネ ス の 基 幹 的 な業 務 を 対 象 と し、 業 務 効 率 の 向上 を主 目的 と す る情 報 シ ス テ ム の 開 発 が 盛 ん に行 わ れ て き た。 こ の様 な 定 型 的 な 業 務 に お い て は 、 そ の 業 務 の 内 容 は 金 融 、 流 通 な ど業 種 毎 に ほ ぼ 似 た よ う な も の と な るの で 、主 な コ ン ピ ュー ター メ ー カ ー が 皆 顧 客 の 業 種 別 に組 織 を 編 成 し、 そ れ に 対 応 で き る専 門 の 技 術 者 を 育 成 して き た の は周 知 の事 実 で あ る。 この 様 な や り方 で 情 報 シ ス テ ム の 開 発 に対 す る 大 規 模 な 投 資 が 行 わ れ た の は 、 ユ ー ザ ー 企 業 に お い て そ の投 資 に 見 合 う利 益 を 明確 に 見積 も る こ とが 出 来 た だ けで な く、 これ を 支 援 す る メー カ ー の側 に お い て も 、 この様 な社 内組 織 に 対 す る投 資 を 、 類 似 の プ ロ ジ ェク トに 再利 用 す る こ と に よ っ て十 分 に 回 収 で きた か ら に他 な ら な い。 この こ と は 、 どの よ う な 情報 シ ス テ ム を 開 発 す べ きか を 決 め る要 求 定 義 の段 階 で 、 個 別 企 業 の個 別 部 門 に 特 有 の 状 況 を深 く分析 す る必 要 は 殆 どな くて 、 む しろ 同 じ種 類 の情 報 シ ス テ ム の 開 発 に 関 わ った 経 験 を持 っ 外 部 の 専 門 家 が ユ ー ザ ー の 業 務 を 調 査 した 上 で 、 自分 た ち の 経 験 と方 法 論 に基 づ い て要 求 仕 様 を 決 め る こと が 可 能 で あ り 、 む しろそ の 方 が ス ム ー ズ な 開 発 を も た ら した 、 と い う事 を物 語 って い る。 後 の 分 析 の た め に 、 こ の 当 時 の(今 も使 わ れ て い る)開 発 方 法 論 が どの よ う な もの で あ った か を 見 て お く こ と は意 味 が あ る と考 え られ る 。 各 メ ー カー は そ れ ぞ れ 固 有 の 方 法 論 を 開 発 し、 適 用 して きた が 、 そ れ らは 皆 共 通 の 基 本 的 な考 え 方 を 基 盤 と して 持 って い る 事 が 分 か る(情 報 処 理 学 会1991)。 そ れ は基 本 的 に 「情 報 シ ス テ ム の 開 発 は次 の よ う な幾 つ か の ス テ ップか ら な る 問 題 解 決 の プ ロ セ ス で あ る 」 とす る シ ス テ ム工 学 の 考 え方 で あ る。 ス テ ップ1問 題 の確 認 と定 義 ス テ ップ2目 標(望 ま しい 姿)の 定 義 ス テ ップ3現 状 か ら 目標 に 至 る た め の代 替 案 の検 討 ス テ ップ4最 適 案 の 選 択 ス テ ップ5実 施 ス テ ップ6結 果 の確 認 と評 価 こ の シ ス テ ム工 学 の 考 え 方 とそ れ に基 づ く開 発 方 法 論 の 要 求 定 義 の プ ロセ ス に は 二 つ の 暗 黙 の 前 提 が あ る 事 に注 目 しな くて は な らな い 。 そ の一 つ は情 報 シス テ ム の 開 発 に お け る現 状 の 問 題 や 到 達 す べ き 目標 は 、 自然 科 学 の 対 象 世 界 と 同 じよ う に 、 未 だ 発 見 さ れ て い な い だ け で あ って 既 に そ こ に存 在 して お り、 従 っ て そ れ を 「客 観 的 に」 定 義 す る こ と は原 則 的 に可 能 で あ る 、 とい う も の で あ る。
も う 一 っ は そ れ を発 見 す るた め の プ ロ セ ス にお け る 関 係 者 の 役 割 に関 連 す る。 す な わ ち 、 そ の よ う な 「客 観 的 な事 実 」 を 発 見 す る の は 主 と して開 発 の 専 門 家 で あ る ア ナ リス トの役 割 で あ り、 そ の た め の 材 料 を提 供 し、 更 に ア ナ リス トが 発 見 した 「事 実 」 に誤 りが な い か どう か を(提 供 さ れ た モ デ ル の検 証 と い う作 業 に よ っ て)確 認 す る の は 当 事 者 で あ るユ ー ザ ー の役 割 で あ る とい う も の で あ る。 こ れ は 明 らか に前 章 で 紹 介 した 機 能 主 義 者 の デ ー タモ デ リ ン グ に関 す るパ ラ ダ イ ム 的 な 前 提 に 対 応 して い るが 、 こ の様 な基 本 的 な考 え に 基 づ く開 発 方 法 論 が 、 先 に述 べ た よ う な 定 型 的 な基 幹 業 務 を 対 象 とす る情 報 シス テ ム に対 して きわ め て有 効 で あ った こ と は 容 易 に理 解 で き る。 しか し、 定 型 的 な基 幹 業 務 の た め の 情 報 シ ス テ ム の 開 発 が 一 段 落 す る と(主 要 企 業 で1980年 代 中 に ほ ぼ 行 き渡 った と 見 られ て い る)、 開 発 対 象 の 中 心 は 自然 に 、 非 定 型 的 な傾 向 が 強 い ス タ ッ フ業 務 に移 っ て き た 。 ス タ ッ フ業 務 は基 幹 業 務 に 比 べ て一 般 に問 題 の 構 造 が 複 雑 で あ る だ け で な く、 意 思 決 定 の仕 方 が きわ め て 個 別 的 か っ 状 況 依 存 的 で あ る と い う特 徴 を持 って い る。 従 っ て こ の 様 な性 質 の ス タ ッフ業 務 を 対 象 とす る情 報 シ ス テ ム の 開 発 に対 して 、 外 部 の 専 門 家 が 自分 た ち の 経 験 を 別 の プ ロ ジ ェク トで そ の ま ま活 か す こ と は殆 ど不 可 能 で あ るだ け で な く、 ス タ ッフで あ るユ ー ザ ー 自身 も 情 報 シ ス テ ム に対 す る 自 分 の 要 求 を 定 義 す る事 が きわ め て 難 しい。 即 ち シ ス テ ム 工学 の 考 え 方 を 基 本 に 持 っ 従 来 の 開 発 方 法 論 が 有 効 で あ るた め の 基 盤 が 失 わ れ た の で あ る。 そ れ に も 関 わ らず 、 こ の新 しい 状 況 に対 応 す る た め の新 しい 方 法 論 を 抜 本 的 に 開 発 す る こ と な く、 従 来 の 考 え 方 とや り方 で この 複 雑 な情 報 シ ス テ ム を 開 発 しよ う と した 組 織 で は 、せ っ か くシ ス テ ム が 開 発 され て もそ れ は 実 際 に は 使 い も の に な らな い 、 と い う 事 態 が 発 生 した 。 い わ ゆ る第3次(勘 定 系)オ ン ラ イ ンシ ス テ ム の 開 発 を完 了 した 金 融 機 関 で 、 そ の 次 の対 象 に な った ス タ ッフ 向 け の 情 報 系 シ ス テ ム の 開 発 プ ロ ジ ェ ク トの 多 くが この 様 な状 況 を 経 験 した こ と は広 く 知 られ て い る。 情 報 シ ス テ ム の 要 求 仕 様 を どの よ う な考 え 方 で 決 め るべ き か と い う視 点 か らこ の 問 題 を 考 え て み る と 、 これ まで の 開 発 方 法 論 に は 少 な く と も 次 の3っ の 基 本 的 な 問 題 点 が あ る こ と が 分 か る (小幡1995a)。 第1は 、 問題 状 況(開 発 の文 脈)を 的確 に把 握 す る と い う こ と に対 す る関 心 の低 さで あ る。 定 型 業 務 で は先 に 述 べ た よ う に 、 個 別 の ユ ー ザ ー が 自分 た ち の 問 題 を どの よ う に理 解 して い るか を 正 確 に 把 握 す る ニー ズ は 余 りな か った の で 、 方 法 論 は こ の 問 題 を重 視 し な くて済 ます こ とが 出来 た 。 従 っ て 多 く の方 法 論 で は 問 題 の把 握 に っ い て は 、 基 本 的 な考 え方 とい う よ りは 経 験 に 基 づ く ガ イ ドラ イ ン的 な も の しか 用 意 して居 らず 、 現 実 に は プ ロ ジ ェク トを 担 当 す る 開 発 専 門 の 技 術 者 (い わ ゆ るSE)の 裁 量 に委 ね る と い うの が 実 態 で あ った 。 こ の よ う なや り方 で 、 開 発 対 象 の 非 定 型 業 務 の 問 題 を 、 当 事 者 で あ る ス タ ッフが どの よ う に 見 て い る か を 的 確 に把 握 出来 る、 と考 え る こ と に は 非 常 に無 理 が あ る 。 第2は 、 情 報 シ ス テ ム の 対 象 世 界 は どの よ う な性 質 の も の で あ る か 、 と い う 基 本 的 な 考 え 方 (存 在 論)に 関 す る も ので あ る。 それ は 先 に述 べ た シ ス テ ム工 学 の 考 え 方 、即 ち 「情 報 シ ス テ ム の対 象 世 界 は 自然 科 学 の対 象 世 界 と 同 じよ う に 、 未 だ 発 見 され て い な いだ け で あ って 既 に そ こ に 存 在 して お り 、従 って そ れ を客 観 的 に定 義 す る こ と は 原 理 的 に可 能 で あ る」 と い う も の で あ った 。 状 況 が 複 雑 で あれ ば あ る ほ ど、 同 じ様 な環 境 に あ っ て も 、 何 が 問 題 で あ る か 、 どの よ う な 情 報 に 特 に 価 値 が あ るか 等 に っ い て 、 関 係 者 が 皆 同 じよ う に考 え る と は 限 ら な い 。 そ れ は む しろ バ ラバ ラ で あ る。 そ の よ う な状 況 に お い て は 本 来 的 に 、 情 報 シ ス テ ム の 対 象 は一 人 一 人 の 人 間 の 経 験 や
価 値 観 に よ っ て異 な る と考 え る方 が 自然 で あ る。 これ は 今 まで の 自然 科 学 が 対 象 とす る客 観 的 な 世 界 で は な い。 こ の よ う な基 本 的 前 提 に 基 づ い て 、 社 会 的 な意 味 で 複 雑 な世 界 を 対 象 とす る情 報 シス テ ム に 対 す る ユ ー ザ ー の 要 求 を 定 義 で き る と考 え る こ と に は や は り無 理 が あ る。 第1の 問 題 点 と 同様 に 、 定 型 的 な業 務 に お い て は そ の 単 純 性 の 故 に 、 こ の 問 題 点 も顕 在 化 しな い で 済 ん だ と 見 る こ とが 出来 る 。 第3は 、 開 発 プ ロ ジ ェク トにお け るユ ー ザ ー の 役 割 に 関 す る もの で あ る。 先 に述 べ た よ う に そ れ は 、 「客 観 的 な事 実 を 発 見 す る の は 主 と して 開 発 の専 門 家 で あ る ア ナ リス トの役 割 で あ り、 そ の た め の 材 料 を提 供 す る事 と、 ア ナ リス トが 発 見 した 「事 実 」 に 誤 りが な い か どう か を(提 供 さ れ た モ デ ル の検 証 とい う作 業 に よ って)確 認 す るの が 当 事 者 で あ るユ ー ザ ー の 役 割 で あ る」 と い う も の で あ った 。 今 ま で の 方 法 論 にお い て は 、 特 に 要 求 定 義 の段 階 で エ ン ドユ ー ザ ー の参 画 が 大 切 で あ る と さ れ て い る 。 これ は 勿 論 エ ン ドユ ー ザ ー が 上 に述 べ た 役 割 を 果 た す こ と な しに 「正 しい」 要 求 仕 様 を 生 み 出す こ と が 不 可 能 だ か らで あ る が 、 そ れ 以 上 に 「エ ン ドユ ー ザ ー は 、 た とえ モ デ ル の妥 当 性 を 検 証 す るだ け の 役 割 で あ った と して も、 自 分 が 要 求 定 義 に参 画 した シ ス テ ム で な け れ ば完 成 し た シ ス テ ム を受 け 入 れ な い 」 と い う と こ ろ に ポ イ ン トが あ る。 こ の こ と は逆 に 見 る と今 まで の 方 法 論 に お い て は 、 エ ン ドユ ー ザ ー は 元h情 報 シ ス テ ム の 開 発 に 対 す る オ ー ナ ー シ ッ プを 持 って い な い 、 或 い は 持 っ こ とが で き な い 、 とい う認 識 が あ る こ と を示 して い る。 っ ま り今 まで の方 法 論 で は エ ン ドユ ー ザ ー は オ ー ナ ー シ ッ プを 持 って い な い と考 え るが 故 に 、 エ ン ドユ ー ザ ー が 関 知 し な い情 報 シ ス テ ム を開 発 す る こ と が 可 能 で あ った ので あ る。 そ の よ う に して 開 発 され た 情 報 シ ス テ ム に 対 して は 、 仮 に それ が 結 果 と して 「正 しい 」 要 求 仕 様 に 基 づ くも の で あ った と して も 、 そ うで な い 場 合 は なお の こ と、 エ ン ドユ ー ザ ー が コ ミ ッ トしな い の は 当然 で あ る。 そ こで こ の よ う な こ と が 起 こ ら な い よ う に 、 要 求 定 義 の プ ロ セ ス に エ ン ドユ ー ザ ー を参 画 さ せ る た め の 工 夫 が 必 要 に な った 。 この 目的 の た め に 多 くの 具 体 的 な方 法 が 提 案 され て い る の は 周 知 の通 りで あ る。 し か しこ こ に述 べ た よ う に 、 今 ま で の 方 法 論 は 本 質 的 に エ ン ドユ ー ザ ー の た め の 方 法 論 で は な くて シス テ ム の 開 発 者 で あ る専 門 家 の た め の 方 法 論 で あ る。 非 定 型 的 な業 務 の場 合 は 、 先 に述 べ た よ う に ユ ー ザ ー 自身 の 内部 に お い て も、 自分 の 業 務 を 予 め 明 確 に 定 義 で き て い な い(そ れ を す る意 思 も な い)の で あ るか ら、 そ の ま ま の状 況 で 開 発 の 専 門 家 で あ る ア ナ リス トが ど の よ う な 要 求 仕 様 を 提 示 した と して も 、 それ に 対 して正 し いか どう か の 判 断 を 下 す こ と は不 可能 で あ り、 従 ってそ れ に コ ミ ッ トす る こ と は な い 。 こ の よ う なや り方 で は 、 結 果 と して どの よ う な シ ス テ ム が 開 発 さ れ た と して も 、 ユ ー ザ ー は そ れ を 受 け 入 れ な い 、 と い う こ と に な る。 3.2こ れ か らの情 報 シ ス テ ム の 要 求 定 義 に お け る デ ー タ モ デ リン グ の 定 義 デ ー タモ デ リ ング は情 報 シ ス テ ム の 開 発 に お い て重 要 な役 割 を 持 って い る。 特 に要 求 定 義 の 段 階 で の デ ー タモ デ ル(概 念 デ ー タモ デ ル)は 情 報 シ ス テ ム を利 用 す る組 織 体 の そ の シス テ ム に 対 す る デ ー タ要 求 、 即 ち情 報 シ ス テ ム の 対 象 と な っ て い る世 界 の デ ー タ の 意 味 と構 造 と を簡 潔 に 示 して い る。 第2章 で 紹介 した よ う に 、 この作 業 を どの よ う な基 本 的 な前 提 に基 づ い て 行 うか に よ っ て 、 結 果 と して 得 られ た モ デ ル は 、 一 見 同 じ よ う に見 え て も そ の意 味 は 全 く異 な る も の に な って しま う 。 情 報 シ ス テ ム の 開 発 は基 本 的 に、 そ れ を 利 用 す る組 織 の デ ー タ 要 求 に基 づ い て行 わ れ る の で あ るか ら、 開 発 方 法 論 と デ ー タモ デ リ ン グは 、 そ の 基 本 的 な前 提 に お い て 一 致 し な くて は な ら な い 。