巻頭エッセイ
汚
染
物
の
排
出
面
で
は
、
途
上
国
の
環
境
汚
染
は
圧
縮
型
環
境
問
題
と
く
く
る
こ
と
が
で
き
る
。
近
代
工
業
が
生
ま
れ
て
か
ら
今
日
ま
で
の
環
境
問
題
は
三
つ
の
段
階
に
分
け
ら
れ
る
。
第
一
段
階
は
工
場
公
害
に
よ
る
汚
染
時
代
で
、
汚
染
が
点
と
線
に
限
定
さ
れ
る
。
日
本
で
は
明
治
か
ら
一
九
五
○
年
代
前
半
ま
で
で
あ
る
。
第
二
段
階
は
都
市
化
の
進
行
、
車
の
普
及
、
生
活
水
準
の
向
上
及
び
広
域
面
積
へ
の
農
薬
散
布
な
ど
で
発
生
す
る
汚
染
で
、
面
に
広
が
っ
た
時
代
、
第
三
段
階
は
一
九
八
○
年
代
以
後
で
地
球
規
模
の
汚
染
時
代
で
あ
る
。
こ
の
時
期
で
は
再
生
産
可
能
な
森
林
、
草
原
、
陸
上
・
海
洋
動
植
物
と
微
生
物
の
生
存
基
盤
そ
の
も
の
が
犯
さ
れ
つ
つ
あ
る
。
先
進
国
で
は
か
な
り
の
長
期
の
期
間
を
経
て
第
三
段
階
に
至
っ
た
が
、
途
上
国
で
は
二
○
世
紀
後
半
か
ら
一
気
呵
成
に
三
つ
の
段
階
に
突
入
し
た
。
こ
れ
を
圧
縮
型
環
境
問
題
と
呼
ん
で
お
こ
う
。
こ
れ
に
は
日
本
を
除
く
先
進
国
の
発
展
に
比
し
、
極
め
て
急
速
な
高
度
成
長
と
過
激
な
都
市
化
が
背
景
に
あ
る
。
都
市
化
の
速
度
は
先
進
国
で
は
都
市
人
口
年
増
加
率
が
高
く
て
も
三
%
で
あ
っ
た
が
、
途
上
国
は
四
∼
五
%
が
一
般
的
で
、
高
い
国
で
は
六
%
以
上
で
あ
る
。
先
進
国
は
第
一
段
階
の
時
代
か
ら
一
歩
一
歩
そ
の
対
策
を
練
り
上
げ
て
き
た
が
、
圧
縮
型
環
境
問
題
を
抱
え
る
途
上
国
は
先
進
国
が
編
み
出
し
た
環
境
政
策
で
は
不
十
分
で
、
こ
れ
を
越
え
る
新
し
い
政
策
が
必
要
で
あ
る
は
ず
で
あ
る
。
先
進
国
が
悪
化
を
食
い
止
め
る
こ
と
に
成
功
し
た
側
か
ら
抽
出
で
き
る
い
く
つ
か
の
経
験
は
次
の
五
点
が
挙
げ
ら
れ
よ
う
。
第
一
。
環
境
被
害
者
の
抵
抗
運
動
、
科
学
技
術
者
を
含
む
知
識
人
の
行
動
、
N
G
O
的
ボ
ラ
ン
テ
ィ
ア
の
支
援
、
ジ
ャ
ー
ナ
リ
ズ
ム
の
啓
発
が
一
体
と
な
っ
て
汚
染
企
業
や
政
府
を
変
え
さ
せ
ら
れ
る
か
否
か
。
一
九
七
三
年
の
水
俣
事
件
の
被
害
者
の
勝
利
は
そ
の
成
功
例
の
一
つ
で
あ
る
。
第
二
。
言
論
の
自
由
が
存
在
す
る
か
否
か
。
第
三
。
企
業
が
汚
染
防
止
の
初
期
投
資
を
早
く
行
う
こ
と
が
結
局
は
企
業
収
益
に
プ
ラ
ス
に
な
る
と
い
う
社
会
メ
カ
ニ
ズ
ム
を
作
り
出
せ
る
か
否
か
。
第
四
。
政
府
の
環
境
関
連
法
の
執
行
能
力
が
あ
る
か
否
か
。
第
五
。
民
主
的
政
治
制
度
が
存
在
す
る
か
否
か
。
特
に
環
境
問
題
を
担
当
す
る
末
端
自
治
体
の
首
長
選
挙
制
が
十
分
に
機
能
し
て
い
る
か
否
か
。
生
命
を
育
む
女
性
と
く
に
主
婦
の
意
向
を
く
み
上
げ
ら
れ
る
か
否
か
。
中
国
を
例
に
と
る
と
、
環
境
諸
法
や
環
境
基
準
は
先
進
国
以
上
の
も
の
を
公
布
し
て
い
る
し
、
G
D
P
に
占
め
る
環
境
費
は
一
・
三
%
に
も
な
っ
て
先
進
国
の
一
・
二
∼
二
%
の
部
類
に
入
る
。
に
も
か
か
わ
ら
ず
、
汚
染
は
悪
化
を
続
け
て
い
る
。
第
四
の
法
の
執
行
能
力
が
極
め
て
弱
い
こ
と
に
起
因
し
て
い
る
。
こ
れ
は
言
論
の
自
由
を
抑
圧
し
て
い
る
た
め
で
あ
る
。
し
か
し
変
化
が
出
始
め
て
は
い
る
。
サ
ー
ズ
を
告
発
し
た
の
は
北
京
の
一
医
者
、
二
○
○
五
年
吉
林
市
の
化
学
工
場
の
爆
発
で
黒
竜
江
を
全
面
的
に
汚
染
さ
せ
た
事
件
を
告
発
し
た
の
は
市
環
境
庁
の
一
職
員
で
あ
る
。
︵
こ
じ
ま
れ
え
い
つ
/
大
東
文
化
大
学
名
誉
教
授
︶
途上国の環境問題とは
小島麗逸
1─アジ研ワールド・トレンド No.149(2008.2)