アジ研ワールド・トレンド No.252(2016. 10)
50
ア
ジ
研
ポ
リ
シ
ー
・
ブ
リ
ー
フ
を
随
時
発
行
中
アジア経済研究所では二〇一二年より、政策
やビジネスへの政策提言・政策判断の基礎的材
料となる付加価値の高い分析に基づく研究成果
をコンパクトにまとめた、
﹁ポリシー
・
ブリーフ﹂
を随時発行しています。本稿では、二〇一六年
六月に発行された二本を、簡潔に紹介します。
№
65﹁
T
P
P
の
加
盟
条
項
新
規
加
盟
は
本
当
に
開
か
れ
て
い
る
の
か
﹂︵
浜
中
慎
太
郎
/
二
〇
一
六
年
六
月
一
五
日
発
行
︶
今年二月に環太平洋パートナーシップ︵TT
P︶が署名されたことは記憶に新しい。本ポリ
シー・ブリーフでは、TPPをはじめとする自
由
貿
易
協
定︵
F
T
A
︶
に
つ
い
て、
﹁
メ
ン
バ
ー
シ
ップ﹂に着目した考察が行われています。FT
Aの長期的影響が議論される際には、メンバー
シップ拡大等がファクターのひとつとなること
は認識されていますが、メンバーシップ自体を
深く掘り下げて論考されることはあまりありま
せん。本ポリシー・ブリーフでは、過去のFT
Aにおける複数の成功事例や失敗事例を具体的
に挙げながら、TTPにおいて真に開かれたメ
ンバーシップを実現するための方策を論じてい
ます。
本ポリシー・ブリーフでは、要点として以下
の三点を提言しています。①多くのFTAが加
盟条項を有する一方で実際にメンバーシップが
拡大した例は希少であり、TPPが加盟条項を
有するからといって拡大を期待するのは時期尚
早、②すべての既加盟国が様々な段階で拒否権
を発動できるため、TPPへの新規加盟は極め
て困難、あるいはマラソン交渉となる、③加盟
に反対する国と新規加盟国の間で協定を発行さ
せない状態での加盟を認め︵事実上の選択的離
脱
︶、
拒
否
権
を
発
動
せ
ず
に
済
む
運
用
と
す
る︵
選
択的離脱を明示的に認めているFTAも実在す
る︶
。
№
66﹁
ア
ジ
ア
初
の
国
連
﹃
ビ
ジ
ネ
ス
と
人
権
﹄
地
域
フ
ォ
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ム
二
〇
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六
が
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催
先
進
国
・
成
熟
国
と
し
て
ア
ジ
ア
の
リ
ー
ダ
ー
た
る
日
本
の
責
任
﹂︵
山
田
美
和
/
二
〇
一
六
年
六
月
二
九
日
発
行
︶
二〇一一年、国連人権理事会において、日本
を含む参加国が全会一致で﹁ビジネスと人権に
関
す
る
国
連
指
導
原
則
﹂︵
以
下、
指
導
原
則
︶
を
承
認しました。このような流れを受けて、本ポリ
シー・ブリーフの執筆者である山田美和研究員
︵
新
領
域
研
究
セ
ン
タ
ー︶
は
ビ
ジ
ネ
ス
と
人
権
に
関
する研究を継続してきました。二〇一六年度は、
﹁
新
興
国
に
お
け
る
企
業
活
動
と
人
権
リ
ス
ク
に
関
す
る調査
・
啓発ならびにナショナル
・
アクション
・
プ
ラ
ン
策
定
に
関
す
る
プ
ラ
ッ
ト
フ
ォ
ー
ム
構
築
事
業﹂と題する政策提言研究会が、同研究員を主
査として立ち上がっており、関係省庁と連携し
ながら研究を進めています。
国連では、前述の指導原則をいかに実行して
いくかを議論するフォーラムを毎年ジュネーブ
で開催するとともに、それぞれの地域にフォー
カスした地域フォーラムも開催しています。本
ポリシー・ブリーフは、二〇一六年四月にアジ
ア地域で初となるアジア地域フォーラムがドー
ハで開催されたことを受け執筆されました。本
ポリシー・ブリーフでは、フォーラムのなかで
強調された点として、以下のポイントを述べて
います。①人権尊重こそが持続的発展の基礎と
なる、②ビジネスと人権の課題への取り組みに
は、政府の強いイニシアティヴと積極的な関与
が必要となる、③国別行動計画︵NAP︶の作
成には、政府、企業、市民社会等によるマルチ
ステークホルダーの関与に基づくアプローチと、
各国の実情にあったNAPを検討することが不
可欠である。
また、本フォーラムでは、日本企業の取り組
み、課題、日本政府への提言を議論するセッシ
ョンをアジア経済研究所が主催しました。本ポ
リシー・ブリーフでは、その場での報告と議論
を踏まえて、アジアにおけるビジネスと人権の
課題において、先進国・成熟国として日本が果
たすべき役割が非常に大きいことを指摘してい
ます。
本稿で紹介した二本を含むこれまでのポリシ
ー・ブリーフは、研究所のウェブサイトでご覧
いただけます。研究所では、今後も機動的な発
行を続けていきます。
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︵文責研究マネジメント職
荒木慶太郎︶
ポリシー・ブリーフ(イメージ)
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