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JAIST Repository: 太陽光発電・スマートグリッド等の普及に関わるキーファクター

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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 太陽光発電・スマートグリッド等の普及に関わるキー ファクター Author(s) 福代, 和宏 Citation 年次学術大会講演要旨集, 26: 308-311 Issue Date 2011-10-15

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/10127

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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2C07

太陽光発電・スマートグリッド等の普及に関わるキーファクター





○福代和宏(山口大学)







はじめに 大震災以後,電力需給が逼迫し,喫緊の課題としては省エネルギーの推進が,長期的には再生可能エ ネルギーやスマートグリッドの普及拡大が必要視されている。とくに家庭部門においては太陽光発電・ スマートグリッド・電気自動車の3 つを組み合わせた次世代電力システムの本格的導入が議論されてい る。従来,こうしたシステムに関しては技術面での検討が多くなされていた。これに対し本報では,著

者らが建築設備分野で過去実施してきたHome Energy Management System (HEMS) 1)や太陽光発電

などに関する消費者意識調査などを踏まえて,エコマーケティングの面から見たキーサクセスファクタ ーについて論じる。



スマートグリッドの普及

スマートグリッドは端的に言えば,川上(供給側)の配電ネットワーク,川下(需要側)の HEMS

あるいはBuilding and Energy Management System (BEMS),そして両者を結ぶスマートメーターに

よって構成される。住宅(家庭)部門におけるスマートグリッド普及の鍵の一つは HEMS の導入拡大 である。馬淵・森林は「需要家がHEMS を導入するインセンティブとして,いかに付加価値の高い魅 力的なサービスを提案できるか」2)ということを課題として挙げている。この課題について著者らは経 営学の視点から検討を行ってきた。その検討結果を次節以降に述べることとする。 +(06 に対するニーズ調査 著者らは2005 年~2007 年にかけて NEDO の 助成を受けて「家庭向けエネルギー管理サービス 普及のための事業戦略創出に関する研究」(NEDO 平成17 年度第 2 回「産業技術研究助成事業」)を 実施した。ここで「家庭向けエネルギー管理サー ビス」とはHEMS のことを指している。同研究の 詳細は文献 3), 4)に記載しているので,ここでは概 要のみ記す。 同研究では HEMS として図 1 に示すようなシ ステムおよびサービスを想定して消費者に対する FGI 等を実施した。ここではサービス内容として単 にエネルギー管理だけでなく医療・福祉・防犯サービスも含むようなシステムを想定している。また, 当時は「スマートメーター」という名称が一般的でなかったため,Information centerと Home controller とを結ぶデバイス名は特に記載していない。 FGI では HEMS を普及させるための手がかりとして次の 4 要素を想定した:(1) ターゲット(この サービスを普及する対象),(2) アピールポイント(消費者はどのようなことに価値を見出すのか),(3) 機能(消費者はどのような具体的機能に魅力を感じるのか),(4) 価格帯(いくらくらいに設定するのか)。 このうち,ターゲットに関しては,HEMS を導入する可能性がある消費者として,戸建て住宅を購 入またはリフォームする可能性がある層を対象とした。調査対象者は具体的には次の通りである:  30・40 代で条件 1 および 2 を満たす人。条件 1:現在,持ち家(戸建て・マンション)を所有 (契約)していない,条件2:戸建ての購入意向がある  50・60 代で条件 1 および 2 を満たす人。条件 1:現在,戸建て(持ち家)に住んでいる,条件 2:家屋のリフォーム意向がある Home controller • Medical / care center • Security center • Power company • Maintenance service center Information center Reception of home info. Linkage with outside institution Linkage with mobile terminal 図1 HEMS の概念図

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2C07

太陽光発電・スマートグリッド等の普及に関わるキーファクター





○福代和宏(山口大学)







はじめに 大震災以後,電力需給が逼迫し,喫緊の課題としては省エネルギーの推進が,長期的には再生可能エ ネルギーやスマートグリッドの普及拡大が必要視されている。とくに家庭部門においては太陽光発電・ スマートグリッド・電気自動車の3 つを組み合わせた次世代電力システムの本格的導入が議論されてい る。従来,こうしたシステムに関しては技術面での検討が多くなされていた。これに対し本報では,著

者らが建築設備分野で過去実施してきたHome Energy Management System (HEMS) 1)や太陽光発電

などに関する消費者意識調査などを踏まえて,エコマーケティングの面から見たキーサクセスファクタ ーについて論じる。



スマートグリッドの普及

スマートグリッドは端的に言えば,川上(供給側)の配電ネットワーク,川下(需要側)の HEMS

あるいはBuilding and Energy Management System (BEMS),そして両者を結ぶスマートメーターに

よって構成される。住宅(家庭)部門におけるスマートグリッド普及の鍵の一つは HEMS の導入拡大 である。馬淵・森林は「需要家が HEMS を導入するインセンティブとして,いかに付加価値の高い魅 力的なサービスを提案できるか」2)ということを課題として挙げている。この課題について著者らは経 営学の視点から検討を行ってきた。その検討結果を次節以降に述べることとする。 +(06 に対するニーズ調査 著者らは2005 年~2007 年にかけて NEDO の 助成を受けて「家庭向けエネルギー管理サービス 普及のための事業戦略創出に関する研究」(NEDO 平成17 年度第 2 回「産業技術研究助成事業」)を 実施した。ここで「家庭向けエネルギー管理サー ビス」とはHEMS のことを指している。同研究の 詳細は文献 3), 4)に記載しているので,ここでは概 要のみ記す。 同研究では HEMS として図 1 に示すようなシ ステムおよびサービスを想定して消費者に対する FGI 等を実施した。ここではサービス内容として単 にエネルギー管理だけでなく医療・福祉・防犯サービスも含むようなシステムを想定している。また, 当時は「スマートメーター」という名称が一般的でなかったため,Information centerと Home controller とを結ぶデバイス名は特に記載していない。 FGI では HEMS を普及させるための手がかりとして次の 4 要素を想定した:(1) ターゲット(この サービスを普及する対象),(2) アピールポイント(消費者はどのようなことに価値を見出すのか),(3) 機能(消費者はどのような具体的機能に魅力を感じるのか),(4) 価格帯(いくらくらいに設定するのか)。 このうち,ターゲットに関しては,HEMS を導入する可能性がある消費者として,戸建て住宅を購 入またはリフォームする可能性がある層を対象とした。調査対象者は具体的には次の通りである:  30・40 代で条件 1 および 2 を満たす人。条件 1:現在,持ち家(戸建て・マンション)を所有 (契約)していない,条件2:戸建ての購入意向がある  50・60 代で条件 1 および 2 を満たす人。条件 1:現在,戸建て(持ち家)に住んでいる,条件 2:家屋のリフォーム意向がある Home controller • Medical / care center • Security center • Power company • Maintenance service center Information center Reception of home info. Linkage with outside institution Linkage with mobile terminal 図1 HEMS の概念図 インタビュー対象者は,東京在住の調査パネル(調査対象候補者群)1,500 名から上述の条件適合者 を抽出した。 )*, の結果 FGI は 2006 年 5 月 28,29 日に東京都渋谷区のインタビュー・ルームにおいて実施した。30・40 代または50・60 代×男性または女性の 2×2 = 4 グループ(各 6 名)に対して専門のインタビュアーに よるラダリング法を用いたインタビューを2 時間ずつ行い,対象者の意識構造を探索した。先に挙げた 4 要素に対する調査結果は以下の通りである。  ターゲット 普及のためのターゲットは30・40 代の消費者であるという結論を得た。この世代 は技術の発達にメリットを感じており,利用について積極的な発言をしていた。一方で,50・60 代の 消費者は技術の支援を受けすぎると老化が進むという恐れを感じており,利用に対して消極的な発言を していた。  アピールポイント 評価グリッド法によってインタビュー対象者の意識を構造化したものを図2 に示す。家庭の情報化によってもたらされる機能的価値として「時間短縮」,「距離短縮」,「安全確保」 の3 点が抽出された。また,これらによって生活が改善される場合,消費者にとっては「充足感」,「開 放感」,「心のゆとり」,「リラックス」,「安心」といった情緒的価値が得られることがわかった。  機能 HEMS が備えるべき機能を探るため,インタビュー対象者に,HEMS が提供しうる機能 に対し魅力を感じる順位をつけさせ,そのうち上位3 位までを 1 票 1 点として点数化し,順位を計算 した結果を表 1 に示す。同表 が示すように,セキュリティ,遠隔操作,省エネ・省コスト,ヘルスケ アの順に人気がある。HEMS は省エネ・省コスト機能だけでは魅力に欠けることがわかる。  価格帯 参考資料としてインターネット・プロバイダー料金,火災保険料,一世帯あたりの水道 光熱費,警備保障会社契約料などを提示した後,インタビュー対象者にエネルギー管理サービスの利用 可能価格帯を提示させた。 結果は次の通りである:  初期(導入)費用: 5 万円まで  月々の使用料金: 2 万円まで 省エネ・省コスト機能を基本サービスとし,セ キュリティ機能などをオプションとするような 固定した利用形態ではなく,表1 の 7 つ の機能 を自分のライフスタイルに合わせて自由に選択 できる利用形態が望ましいという意見が多かっ た。 表1 HEMS に要求される機能3) 機能 1 位 2 位 3 位 得点 セキュリティ 14 名 5 名 1 名 20 遠隔操作 1 名 5 名 6 名 12 省エネ 3 名 3 名 5 名 11 ヘルスケア 1 名 5 名 4 名 10 宅内機器管理 0 名 2 名 5 名 7 家事サポート 2 名 2 名 1 名 5 メンテナンス 2 名 1 名 1 名 4 図2 HEMS に対する消費者の意識構造3) 1.省エネ・省コスト 機能 2.宅内機器 管理機能 4.家事サポー ト機能 3.リモートコン トロール機能 7.セキュリティ 機能 電気代が安く なる 経済的 動かなくていい 距離短縮 ストレスが なくなる 便利・快適 防火・防犯 ・防災 外出先から 施錠できる 自由になる 時間が増える 様子を見に 行かなくてすむ すぐに家族の 様子がわかる 食材を上手に 使える 作り方がすぐに わかる 帰宅前に部屋を 快適な状態に しておける 時間短縮 6.ヘルスケア 機能 毎日検査して くれる 病院に行か なくてすむ 健康状態を 把握できる 気持ちが楽 5.メンテナンス 機能 故障が未然 にわかる 安全確保 自分の好きな ことができる 手間が かからない 充足感 開放感 心に 安心 ゆとり リラックス できる 基本機能 機能内容 生活の変化 情緒的 価値 機能的 価値 (1)共働き世帯 の増加 (5)環境意識 の高まり (3)健康意識 の高まり (4)凶悪犯罪・災害の激化→安全意識の高まり 社会背景 (2)核家族化の進行 家族のコミュニケー ションの活性化 30・40代は子供 に対する心配が 大きい 魅力を感じて いるのは30・ 40代女性 子供が小さい 30・40代の意 識が高い 50・60代は「動か なくなることが老 化につながる」と いう意識が高い 30・40代女性は 電気料金に対す る意識が高い (6)高齢化 社会 1.省エネ・省コスト 機能 2.宅内機器 管理機能 4.家事サポー ト機能 3.リモートコン トロール機能 7.セキュリティ 機能 電気代が安く なる 経済的 動かなくていい 距離短縮 ストレスが なくなる 便利・快適 防火・防犯 ・防災 外出先から 施錠できる 自由になる 時間が増える 様子を見に 行かなくてすむ すぐに家族の 様子がわかる 食材を上手に 使える 作り方がすぐに わかる 帰宅前に部屋を 快適な状態に しておける 時間短縮 6.ヘルスケア 機能 毎日検査して くれる 病院に行か なくてすむ 健康状態を 把握できる 気持ちが楽 5.メンテナンス 機能 故障が未然 にわかる 安全確保 自分の好きな ことができる 手間が かからない 充足感 開放感 心に 安心 ゆとり リラックス できる 基本機能 機能内容 生活の変化 情緒的 価値 機能的 価値 (1)共働き世帯 の増加 (5)環境意識 の高まり (3)健康意識 の高まり (4)凶悪犯罪・災害の激化→安全意識の高まり 社会背景 (2)核家族化の進行 家族のコミュニケー ションの活性化 30・40代は子供 に対する心配が 大きい 魅力を感じて いるのは30・ 40代女性 子供が小さい 30・40代の意 識が高い 50・60代は「動か なくなることが老 化につながる」と いう意識が高い 30・40代女性は 電気料金に対す る意識が高い (6)高齢化 社会

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太陽光発電の普及

太陽光発電はスマートグリッドとは別個に発 展・普及してきた技術であるが,オバマ大統領が 米 国 再 生 再 投 資 法(American Recovery and Reinvestment Act, ARRA)の下,スマートグリッ

ドへの移行促進のため 34 億ドルを投資すること を表明して以来 5),スマートグリッドを構成する 重要な要素の一つとして位置づけられるように なった。 著者は現在,国内の住宅部門における太陽光発 電の普及のためのファクターを探るべく,太陽光 発電導入世帯と非導入世帯を比較する調査を行 っている。同調査の詳細は文献6)に記述している が,ここではその結果の一部を紹介することとす る。  太陽光発電システム導入世帯の属性 著者は2010 年 6 月および 12 月に太陽光発電導 入世帯および非導入世帯を対象としたアンケー ト調査(web リサーチ)を実施したが,本稿では 12 月の調査結果を示す。 対象とする太陽光発電導入世帯および非導入 世帯はマクロミル社の住居モニタ7),すなわち住 居形態や住宅設備状況などによって分類された 345 869 人(2010 年 2 月現在)の集団から抽出し た。アンケート調査概要を表2 に示す。  調査結果 太陽光発電導入世帯および非導入世帯の地域 分布・年齢分布に関しては太陽光発電導入世帯と 非導入世帯との間に有意な差が見られなかった。 滞在人員・間取り・建築構造に関して両世帯の間 に明確な違いは見られなかった。 しかし,世帯年収に関しては両者に有意な差が 見られた(図3)。中央値を求めると,太陽光発電 導入世帯の方が高年収であり,太陽光発電導入世 帯の年収の最頻値は400 万円以上 500 万円未満と なった。 省エネ・省資源活動について両者に明確な差 (カイ二乗検定で p < 0.001)が見られるのは 「LED 電球への取り替え」,「太陽熱温水器を利 用」,「断熱材や二重窓の使用」といった活動であ った。いずれも太陽光発電導入世帯の方が日導入 世帯を上回った。 太陽光発電導入世帯を対象にシステムの導入 年次を質問した結果を図5 に示す。同図を見ると 2005 年を境に一時減少し,2008 年から再び増加 している傾向が見られる。これは2005 年の補助 金打ち切り,そしてその後の復活が影響している ものと考えられる。また,2009 年に激増してい るのは余剰電力の買い取り制度が誘因になって 表2 調査概要 項目 概要 実施期間 2010 年 12 月 24 日(金)~27 日(月) 対象者 太陽光発電システムを導入または 導入者していない持ち家一戸建て に居住する30 歳以上の女性 回答方法 指定された Web ページにアクセス して回答 有効回答 / 回収目 標値 / 対象者数 導入者 389 / 400 / 2 670 非導入者 435 / 400 / 64 179 図3 2009 年の世帯年収(税引き前)の分布 図4 省エネ・省資源活動に関する回答 図5 太陽光発電システムの導入年次 0 10 20 30 40 50 300万円未満 300~400万円 400~500万円 500~600万円 600~700万円 700~800万円 800~900万円 900~1000万円 1000~1100万円 1100~1200万円 1200~1300万円 1300~1400万円 1400~1500万円 1500~2000万円 2000万円以上 無回答・不明 回答数割合[%] 太陽光発電導入 非導入 0 20 40 60 80 100 電気をこまめに切る 不使用時はコンセントを抜く 冷蔵庫扉の開閉を減らす 冷房温度を控えめに設定 暖房温度を控えめに設定 エアコンフィルタの掃除 カーテン・ブランドで遮熱 風呂の利用回数を少なめにする 風呂の湯量を少なめにする シャワーを流しっぱなしにしない 公共交通機関を利用 洗濯時に残り湯を利用 エコバッグの利用 簡易包装を依頼 リサイクル商品を選ぶ 詰め替え用の商品を選ぶ 省エネ製品を選ぶ 白熱灯を蛍光灯に替える 白熱灯・蛍光灯を/('電球に交換 太陽熱温水器を利用する 断熱材・二重窓を利用 回答数割合>@ 太陽光発電導入 非導入 0 20 40 60 80 100 ~ 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 不明 回答数

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太陽光発電の普及

太陽光発電はスマートグリッドとは別個に発 展・普及してきた技術であるが,オバマ大統領が 米 国 再 生 再 投 資 法(American Recovery and Reinvestment Act, ARRA)の下,スマートグリッ

ドへの移行促進のため 34 億ドルを投資すること を表明して以来 5),スマートグリッドを構成する 重要な要素の一つとして位置づけられるように なった。 著者は現在,国内の住宅部門における太陽光発 電の普及のためのファクターを探るべく,太陽光 発電導入世帯と非導入世帯を比較する調査を行 っている。同調査の詳細は文献6)に記述している が,ここではその結果の一部を紹介することとす る。  太陽光発電システム導入世帯の属性 著者は2010 年 6 月および 12 月に太陽光発電導 入世帯および非導入世帯を対象としたアンケー ト調査(web リサーチ)を実施したが,本稿では 12 月の調査結果を示す。 対象とする太陽光発電導入世帯および非導入 世帯はマクロミル社の住居モニタ7),すなわち住 居形態や住宅設備状況などによって分類された 345 869 人(2010 年 2 月現在)の集団から抽出し た。アンケート調査概要を表2 に示す。  調査結果 太陽光発電導入世帯および非導入世帯の地域 分布・年齢分布に関しては太陽光発電導入世帯と 非導入世帯との間に有意な差が見られなかった。 滞在人員・間取り・建築構造に関して両世帯の間 に明確な違いは見られなかった。 しかし,世帯年収に関しては両者に有意な差が 見られた(図3)。中央値を求めると,太陽光発電 導入世帯の方が高年収であり,太陽光発電導入世 帯の年収の最頻値は400 万円以上 500 万円未満と なった。 省エネ・省資源活動について両者に明確な差 (カイ二乗検定で p < 0.001)が見られるのは 「LED 電球への取り替え」,「太陽熱温水器を利 用」,「断熱材や二重窓の使用」といった活動であ った。いずれも太陽光発電導入世帯の方が日導入 世帯を上回った。 太陽光発電導入世帯を対象にシステムの導入 年次を質問した結果を図5 に示す。同図を見ると 2005 年を境に一時減少し,2008 年から再び増加 している傾向が見られる。これは2005 年の補助 金打ち切り,そしてその後の復活が影響している ものと考えられる。また,2009 年に激増してい るのは余剰電力の買い取り制度が誘因になって 表2 調査概要 項目 概要 実施期間 2010 年 12 月 24 日(金)~27 日(月) 対象者 太陽光発電システムを導入または 導入者していない持ち家一戸建て に居住する30 歳以上の女性 回答方法 指定された Web ページにアクセス して回答 有効回答 / 回収目 標値 / 対象者数 導入者 389 / 400 / 2 670 非導入者 435 / 400 / 64 179 図3 2009 年の世帯年収(税引き前)の分布 図4 省エネ・省資源活動に関する回答 図5 太陽光発電システムの導入年次 0 10 20 30 40 50 300万円未満 300~400万円 400~500万円 500~600万円 600~700万円 700~800万円 800~900万円 900~1000万円 1000~1100万円 1100~1200万円 1200~1300万円 1300~1400万円 1400~1500万円 1500~2000万円 2000万円以上 無回答・不明 回答数割合[%] 太陽光発電導入 非導入 0 20 40 60 80 100 電気をこまめに切る 不使用時はコンセントを抜く 冷蔵庫扉の開閉を減らす 冷房温度を控えめに設定 暖房温度を控えめに設定 エアコンフィルタの掃除 カーテン・ブランドで遮熱 風呂の利用回数を少なめにする 風呂の湯量を少なめにする シャワーを流しっぱなしにしない 公共交通機関を利用 洗濯時に残り湯を利用 エコバッグの利用 簡易包装を依頼 リサイクル商品を選ぶ 詰め替え用の商品を選ぶ 省エネ製品を選ぶ 白熱灯を蛍光灯に替える 白熱灯・蛍光灯を/('電球に交換 太陽熱温水器を利用する 断熱材・二重窓を利用 回答数割合>@ 太陽光発電導入 非導入 0 20 40 60 80 100 ~ 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 不明 回答数 いると考えられる。2010 年の導入数が少ないの は,本調査で利用した住宅モニタが2010 年 2 月 に組織されたものであり,それ以降に太陽光発電 を導入した世帯が含まれていないためである。 図6 は太陽光発電システムの導入理由またはき っかけを示したものである。 導入のきっかけとしては住居の新築・リフォー ムを回答する世帯が多く,補助金制度・売電・電 気代の節約が導入理由として上位に挙げられて いる。地球温暖化防止はそれらの次に挙げられて いる。図5 の結果と併せて考えると,太陽光発電 導入の理由としては経済的な理由が大きいこと がわかる。 図6 太陽光発電システムの導入年次 キーサクセスファクター 本稿で示した研究成果はスマートグリッド普及のためのキーサクセスファクターをすべて網羅する ものではないが,少なくともスマートグリッドの重要な構成要素である HEMS や太陽光発電などの普 及に関して重要な示唆を与えるものであると考えられる。 HEMS に関しては,消費者は単に省エネルギー機能だけでは魅力を感じておらず,HEMS の機能の 拡張,すなわち,セキュリティや医療福祉サービスまでを包括するサービスシステムとなることを期待 している。スマートグリッドに関しては電力企業や家電メーカーが主役として考えられがちであるが, 警備保障会社や医療福祉サービス企業といった主要なアクターとして巻き込むことの重要性を指摘で きる。 太陽光発電に関しては,導入世帯の属性が明らかになった。そこで太陽光発電の販売・設置を担う住

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入世帯と同様の属性を持つ潜在的顧客を割り出し,補助金・売電・電気代の節約など経済的メリットを 強調することによって,太陽光発電の普及を図ることができると考えられる。  謝辞  本報告のうち,HEMS に対するニーズ調査は NEDO 平成 17 年度産業技術研究助成事業によって, 太陽光発電世帯の属性調査は科学研究費補助金・若手研究 (B)【課題番号 22760443】によって実施し た。記して謝意を表する。  参考文献 1) 電気学会,電気学会技術報告,No. 924 (2003) 2) 馬淵, 森林,スマートグリッドの導入が与える社会への影響評価:スマートメーターの在り方とステ ークホルダーの便益, 東京大学公共政策大学院ワーキング・ペーパーシリーズ, GraSPP-P-11-001, p.19

3) 福代, 松浦ほか, HEMS に対する消費者ニーズ, EcoDesign2006 Asia Pacific Symposium December 11-12, 2006, Tokyo, IJ-4

4) Yoshiyuki Matsuura, Kazuhiro Fukuyo: In search of customer needs for home energy

management system in Japan, 14th CIRP Conference on Life Cycle Engineering, Advances in Life Cycle Engineering for Sustainable Manufacturing Businesses (2007), pp. 395-400 Springer 5) Remarks by the President on Recovery Act Funding for Smart Grid Technology, The White House,

October 27, 2009, http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-recovery-act-funding-smart-grid-t echnology 6) 福代和宏, 太陽光発電システム導入世帯の属性と電力消費実態, 日本建築学会環境系論文集, Vol. 76, No. 666 (2011 - 8), pp. 741 – 750 7) 株式会社マクロミル: 住居モニタのご案内(2010-2) 0 100 200 300 住まいの新築・改築 住まいの購入 住まいのリフォーム オール電化リフォーム 各種メディアで推奨 友人や知人の薦め メーカーの薦め 電気代の節約 地球温暖化防止 購入した住宅とセット 災害・停電時に安心 売電できる 補助金制度 その他 回答数

参照

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