第3学年2組
保
健
体
育
科
学
習
指
導
案
指導者 ○○ ○○ 1 単元名 「健康な生活と疾病の予防」 (保健・医療機関や医薬品の有効利用)-クスリのリスク- 2 指導観 ○ 人は健康で生涯を過ごすことが願いである。病気やけがや体調がすぐれない時には医薬品を 使用する。平成18年6月に薬事法の一部が改正され、それまで医薬品であったものが医薬部 外品としてコンビニなどの一般販売店でも販売される時代となった(平成21年6月1日より 施行)。同時にセルフメディケーションの提唱、医薬品による副作用の発現は使用者の自己責 任であるとする風潮やインターネット販売等大きな問題となっている。これらの事態を受け、 医薬品を使用する消費者はその特殊性を十分に理解し、適性に使用できるようになることが大 切である。学校教育においても医薬品の正しい使い方に関する知識の普及や啓発が求められて いる。昨年告示された新学習指導要領には「保健・医療機関や医薬品の有効利用」の内容が新 たに加わり、その中で「医薬品には、主作用と副作用があることを理解できるようにする。医 薬品には、使用回数、使用時間、使用量などの使用法があり、正しく使用する必要があること について理解できるようにする。」とある。これらのことから医薬品の取り扱いについて正し い知識を身につけ、軽度な身体の不調は自分で手当てをするなど、生涯にわたり自己の健康管 理を行う態度や能力を身につけることは、今後益々重要視されると考える。 保健学習においてよく用いられる学習方法である講義形式は、短時間に大量の情報を効率よ く提供するには最適の方法である。しかし、生徒の自主性や個別性への配慮が乏しくなりがち で、相互の意見交流の機会が少ない、生徒が受け身になるなどの問題がある。また、せっかく 身につけた知識を生活の場に活かすことができていないとの指摘もある。このような状況を受 け新学習指導要領では、習得した知識を活用し、思考・判断する学習活動を授業場面に取り入 れる必要性を述べている。 以上のことから、医薬品使用時の正しい知識や態度を身につけ、自ら健康管理を行う実践力 を育てる学習内容及び指導方法を工夫することは大変意義がある。 ○ 本学級の生徒は、男子13名、女子9名の22名で構成されている。全体的に活動的で、積 極的に学習に取り組む。事前調査によると、保健の学習についての印象は、「したくない」(7. 5%)「できたらしたくない」(52.9%)と2/3近くの生徒が消極的である。その理由 として「体を動かしたい」「覚えることばかりでつまらない」などの理由を挙げている。学習 の進め方に関しては、自分たちで課題を決めたり、自由に考えを出し合ったりする学習スタイ ルを望んでおり、個人で取り組む内容よりペアや小集団で活動することを期待している。 生徒はこれまで「健康な生活と疾病の予防」について、健康に関与する食生活・運動・休養 の役割、喫煙・飲酒・薬物の影響について学習してきている。10月には、外部から講師を招 聘し「薬物乱用防止教室」も実施している。しかし、これまで取り扱った薬物は覚醒剤や大麻 などの依存性が強い特殊なもので、市販されている医薬品の取り扱いについてはとくに学んで いない。事前調査では「医薬品に関する授業や話を聞いたことがありますか。」(100%) →「ない」、「市販の薬を使うとき用法と用量を守ろうと思いますか。」(32%)→「必ず」(4 6%)→「だいたい」(22%)→「あまり」という結果であった。また、「市販の薬を飲む とき説明書(箱の中に入っている添付文書)を読みますか。」(95%)→「読まない」と答 えている。これらのことから、医薬品に関する正しい知識は乏しく、使用にあたっての心構え も十分に身についていないことが分かる。 ○ 指導にあたっては、医薬品について正しい知識や使用方法を身につけ、具体的な生活場面に 応用できるようになることをねらいとする。そのために次のような支援を行う。 ・ 記録をしながら学習を進めることができるように、学習展開と生徒の思考の流れに沿って 作成したワークシートを準備する。 ・ 薬の効力のメカニズムやさまざまな薬の特徴について視覚的にとらえることができるよう に、貼り物やプレゼンテーションを用いる。 ・ 生徒の関心をひくことができるように教師が実際に体験した事例を示す。 ・ 仲間の考えを参考にしたり、自分の考えと比較したりして思考を深めることができるよう に小集団で交流活動を行う。 ・ 生活場面での実践力を身につけることができるように市販の医薬品の「説明文書」(箱に 記載された説明文及び箱に入っている添付文書)や「お薬手帳」を活用する。 ・ 薬の飲み方の影響を体験的に理解することができるように検証実験を行う。(「カプセル 剤の吸着」「お茶と鉄剤の化学反応」) 3 単元の目標 ○ 医薬品の使い方について身につけた正しい知識をもとに、生涯にわたり自己の健康管理を 行おうとする態度や能力を身につけることができる。 ○ 医薬品の使用方法について、教師や仲間とともに意見交流しながら予想・分析し、多面的 に課題解決を行うことができる。 ○ 医薬品の正しい知識や使用方法を身につけることができる。4 単元指導計画(計3時間) 次 時 学習活動・内容 活動を促す支援 評価の観点(方法) 1 1 薬の定義や歴史、人の体との関 ・薬の使用には専門的知識が必要 ・薬の定義と歴史、 ⑴ 係について知る。 だということを理解するために 自然治癒力との (1)薬の存在について考える。 学校薬剤師について説明する。 関係について正 ・薬事法による定義 ・最新情報を提供するために「財 しい知識を身に ・「医薬品」 団法人日本学校保健会ホームペ つけることがで →①医療用医薬品(処方せん必要) ージ」の資料を活用する。 きたか。 →②一般用医薬品(処方せん不必要) ・薬の恩恵について理解を深める 【知識・理解】 (2)薬の歴史と恩恵について考える。 ために結核と抗生物質の事例を (交流活動の様子) ・メソポタミヤ文明と薬 示す。 (ワークシート) ・聖徳太子と薬草 ・サプリメントと医薬品を区別す *自己評価 ・鑑真の仏教渡来と薬 るために健康食品について補足 一 2知る。薬と自然治癒力の関係について ・自然治癒力に気づくために薬をする。 (1)薬の必要性について考える。 使わずに治ったけがや腹痛など ・自然治癒力と薬の関係 の事例について小集団で意見交 3 さまざまな薬について知る。 流を行う。 (1)薬の形について考える。 ・内用剤の工夫について理解を深 ・錠剤 ・こな ・カプセル 等 めるために錠剤やカプセルにし (2)薬の使い方と分類について考え てある理由や違いについて小集 る。 団で意見交流を行う。 ・内用剤(口から飲む薬) ・この分類での誤解を避けるため ・外用剤(皮膚、目・鼻などの粘膜に使用する薬) にトローチ(外用剤)とチュア ・注射剤(皮膚や筋肉、血管内に直接入れる薬) ブル剤(かみ砕いてよい内用剤) については別途補足する。 1 1 薬の正しい使い方を知る。 ・日常の生活場面につなげるため ・薬の使い方につ ⑴ (1)一般用医薬品の使い方について に、一般用医薬品の胃腸薬の説 いて考えを深め 考える。 明文書(箱に記載された説明文 るとともに、正 ・箱に記載された説明文 と添付文書)を準備する。 しい使用方法の ・添付文書(箱に入っている) ・生徒の興味をひくために教師が 知識を身につけ 2 薬の使用の決まりについて知る。 実際に体験した事例を示す。 ることができた (1)用法、用量について考える。 ・薬の正しい使い方について思考 か。 本 ・いつ ・何回 ・飲み方 を深めるために説明文書(箱に 【思考・判断】 時( (2)用法、用量が決まっている理由 記載された説明文と添付文書) 【知識・理解】 二 を考える。 をもとに小集団で意見交流を行 (交流活動の様子) 1 ・薬と血中濃度の関係 う。 (ワークシート) / ・肝臓、腎臓機能との関係 ・肝臓と腎臓の働きについて理解 *自己評価 1 (3)飲み方と飲み合わせについて考 を深めるために2年生理科「生 える。 命を維持するはたらき」での学 ) ・カプセル剤の吸着実験 習内容を取り上げる。 ・お茶と鉄剤の化学反応実験 ・学習内容を視覚的にとらえるた 3 実際に使用する場面について考 めに貼り物やプレゼンテーショ える。 ンを活用する。 ・説明書(添付文書)の重要性 ・体験を通して理解できるように ・信用できる人への相談 検証実験を行う。 1 1 薬の副作用、相互作用について ・副作用を身近なものとしてとら ・薬には副作用と ⑴ 知る。 えるために、それと思われる症 相互作用がある (1)薬の副作用について考える。 状について小集団で意見交流を ことを理解する 【副作用】 行う。 とともに、これ 目的以外の好ましくない働き ・副作用の恐ろしさに気づくため までに学んだこ ・眠気 ・胃の痛み ・胃腸障害 にサリドマイド、スモン、故中 とを活かし自己 【副作用の原因】 川元大臣などの事例を示す。 の健康管理を行 ・薬の性質 ・使い方 ・体質 ・副作用の原因を補足するために おうとする態度 三 (2)食品との飲み(食べ)合わせに・薬の飲み合わせ ・体の状態 (乳幼児、妊婦、高齢者、アレルギー体質、複数の薬の使用者)特に注意が必要な例を挙げる。 や能力を身につけることができ ついて考える。 ・薬や飲食物との相互作用につい たか。 ・お茶と薬 ・牛乳と薬 て理解するために「お薬手帳」 【知識・理解】 ・コーヒー、コーラと薬 を示す。 【関心・意欲・態 ・アルコールと薬 ・学習内容を視覚的にとらえるた 度】 ・グレープフルーツジュースと薬 めに貼り物やプレゼンテーショ (交流活動の様子) ・納豆などと薬 ンを活用する。 (ワークシート) 2 薬と健康3原則について考える。 ・日常生活の大切さを理解するた *自己評価 ・運動 ・栄養 ・睡眠 めに健康3原則と心の健康につ いて補足してまとめる。
5 本時 第5校時 特別活動室 第二次の1時(1/1)時 6 本時の指導観 生徒は前時までに、「薬とは何か」について学び、人が古くから薬を利用してきたことや薬がもたらし た恩恵について理解してきている。また、薬をその使い方から分類し、薬の形には意味があることを学 習してきている。しかし、実際に使用する場面での決まり(用法、用量)についてはふれておらず、日 常生活に活かせるものにはなり得ていない。 そこで本時では、市販の一般用医薬品の説明文書(箱に記載された説明文及び箱に入っている添付文 書)を用い日常生活で薬を使用する際の決まりについて具体的に学習していく。そして、薬は「決めら れた時間」に「決められた量」だけ飲むことの重要性やその理由について理解することをねらいとする。 そのためにまず、前時までの学習を想起し薬の定義や歴史、その形や使い方について整理する。次に 「4歳の子どもがお腹を壊した」実例を示し、「どの胃腸薬」を「どのように使用する」ことが適切なの か考える。その際、市販されている胃腸薬の説明文書(箱に記載された説明文及び箱に入っている添付 文書)を用いた小集団による交流活動を仕組む。そして、仲間と意見を交流することにより薬の使い方 について自らの考えを深める。さらに、薬の使い方に決まりがある理由を体験的に学べるように「カプ セルの吸着」「お茶と鉄剤の科学反応」の検証実験を行う。最後に、実際に使用する場面での配慮事項に ついてまとめる。 7 主眼 ・薬の使用方法について予想したり分析したりして自己の考えを深めることができる。 ・薬を使用する際の注意事項や決まりを理解することができる。 8 準備 添付用カード・掲示物 スクリーン プロジェクター パソコン ワークシート コップ 緑茶 水 一般用医薬品説明文書(胃腸薬:箱・添付文書) 一般用医薬品(カプセル剤・貧血剤) 9 本時過程 学習活動・内容 教師の支援 評価の観点(方法) 形態 配時 1 前時までの学習を振り返り本時 ・前時までの学習を想起しやすいよう 一斉 5 のめあてを確認する。 にプレゼンテーションにまとめる。 (1)これまでの学習内容を整理する。・授業展開をスムーズに行うために学 ・薬の定義 ・薬の歴史 習展開と生徒の思考の流れに沿って ・薬の形と意味 ・薬の使い方 作成したワークシートを準備する。 (2)4歳の子どもが夜中に嘔吐、下 ・生徒の関心をひくために教師(私) 痢の症状になった実例を示す。 が実際に体験した事例を示す。 め あ て 子どもが真夜中に嘔吐、下痢… さぁ、あなたならどうする? 2 どの薬をどのように使用するこ ・生活場面に置き換えて考えやすいよ ・薬の使用方法 学級 15 とが子どもの症状に適した使い方 うに、一般用医薬品の取り扱い説明 について予想 集団 なのか小集団で意見交流する。 文(箱に記載された)を準備する。 したり分析し (1)3種類の胃腸薬の取り扱い説明 ・箱の説明文には4歳児の記載がなか たりして自己 文(箱に記載されたもの)をも ったため、用量を減らして飲ませた の考えを深め とに判断する。 と説明する。 ることができ ・各小集団の考えを全体に示すために たか。 選んだ薬とその理由や使い方を書き (交流の様子) (2)箱の中に入っている添付文書を 込める添付用カードを準備する。 (ワークシート) 読み用法、用量を確認する。 【交流活動】 個→小集団→学級 *自己評価 ・5歳未満、15歳未満服用禁止 ○交流の内容を深めるために自 3 薬を使うときの決まりについて 分の考えをまとめる時間を設 ・薬を使用する 一斉 10 知る。 定する。 際の注意事項 (1)用法、用量について考える。 ○全員の意見を聞き、個々の意 や決まりを理 ・いつ飲むか 見を尊重するように司会など 解することが 「食前」「食後」「食間」 の役割分担を決めておく。 できたか。 ・何回飲むか (ワークシート) 「1日3回毎食後」「1日2回朝食後と夕食後」 ・用法、用量を確認するために添付文 *自己評価 ・飲み方は 書(箱の中に入っている)を準備す 「コップ1杯程度の水またはぬるま湯」 る。 (2)用法、用量が決まっている理由 ・薬の効き目と血中濃度の関係につい について考える。 て視覚的にとらえることができるよ ・薬の効き目と血中濃度(体中の薬の量) うにグラフ化した資料を示す。 ・肝臓、腎臓の発達段階と機能 ・どの薬も使用しなかった理由を補足 (3)飲み方と飲み合わせについて考 するために薬の分解と肝機能、腎臓 小集 15 える。 機能の関係について2年生理科の学 団 ・「カプセルの吸着」実験「お茶と鉄剤の科学反応」実験 習内容を振り返る。 4 薬を使用する場面での配慮事項 ・添付文書の理解を深めるために要点 一斉 5 についてまとめる。 を示した資料(黒板貼付用)を示す。 ・説明書(添付書類)の熟読 ・体験を通して理解できるように検証 ・信頼できる人(医師、薬剤師、 実験は各小集団ごとに行う。 おうちの人)への相談 ・板書等の時間を省くために情報をプ レゼンテーションにまとめて示す。