会員の皆様へのご挨拶

と垂 フ

会員 の皆様 へのご挨拶

病 院図 書 室 １８（４）：１４５，１９９８

星ヶ丘厚生年金病院院長

松 永

今年 も残 り少 な くな り まし た。あ と １年 余 で２０世紀 は終 わり２１世 紀 に入り ま す。 近づ く ｍｉｌｌｅｎｎｉｕｍ（世 紀 の変 わり 目） の年 を 迎え て、 世 界的 に色 々な面で 不 安の多 いこ の 頃であ り、 日 本 の景気 はどうな る のだ ろ うか と誰 もが 懐 疑 的で最善 の 策を暗 中 模索 中で あり ます。 一 日で も早 く健 全な 社会 に立 ち返 る ことを 願 う ば かりで す。 私 は現 在の 職に就 任 して 約 ６ヵ月 あ まり で、 院長 職 のひよ こであ り ます 。 この た びこ の近 畿 病院図書 室 協議会 の 会誌 に 巻頭言 を 寄稿 す る よう に依頼を うけ ま した。 病 院図 書 室な ど に関 して は浅学 非才 の身 で す ので 何を 書け ば よ いのか 悩み ました 。 とり あえ ず当 院 の図 書 室司 書で、 こ の協議 会 の幹 事を して い る首 藤 佳子 さん にこ の会 の沿 革、 目的 、事 業 内容 、 課題 、今後 の展 望な ど につ いて レ クチ ャーを 受 け ました。 こ こで は病 院図 書 室や 協 議会 の 役割 など につ い て私 見あ る い は感想 を 述べ さ せて いただ きた いと 思い ま す。 当 院の病 院図 書室 は１９７２年 当 院 の改 築時 に 設置 され、当 初 より 司書 が 置か れて い まし た。 １９７４年に近畿 病 院図 書室 協議 会 が設 立さ れ ま した が、設 立総 会が当 院で開 催 さ れ、当 院 が 事務 局とな って当 時 の故 中 島佐一 院長 が ３年 間、 その後 しば らく して 梅垣 健三 院長が ５年 間こ の協議 会の 会長を お お せつ かっ た と聞 い て い ます。 今 年は協 議会が 設 立さ れて か らち ょ うど２５ 周年 目、四半 世 紀にあ たり ます。 協 議 会の主 − １４５

喬

な事 業内 容 は各 種 の医学 文 献 情報活 動、 教育 研修 活動 、 出版 広報 活動 、 年 次統 計調査 活動、 重 複雑誌 の交 換 の ほか、 最 近で は他団体 との 共 同 事 業 と して イ ン タ ーネ ッ トサ イ トｆｏｌｉｏ の開 設や 病 院図 書館 員認 定 資 格制度 の検 討が なさ れて い ると の ことで す。 また、 今後 の展 望 と して は コ ンピ ュ ータネ ッ トワ ーキ ン グ、 ドキ ュ メ ントデ リ バ リ ーの 強化 、患 者さ んへ の医 学医 療情 報 の提 供、 さ ら に は電 子 メデ ィ アの 活用 、 レフ ァレ ンスサ ービ スの充実 など 電 子 情 報時代 に 即し た迅 速 な 情報提 供を 心掛 け て お られ るよ うで す。 図 書室 は人 類 の知 的 財産 の 最終 の貯蔵 庫で、 古 い もの、新 し い ものを 問 わず 情 報化、 コ ン ピ ュ ータ化 に もっと も敏感 に反 応し てい ただ け る 機関 であ り 施設で あ って ほしい と思 いま す 。 しか も、 そ の利 用者 が 医療 従事 者だ けで な く 、患 者さ ん やそ の家 族 の皆 様に も 「開か れた図 書 室」 と して 、電 子情 報 化時 代の恩 恵 を 共 有し てい た だけ れば 患者 サ ービ スに もつ な が ると 思 って いま す。 社 会 常 識 が 問 わ れ る 時 、「 広 辞 苑 に よ れ ば 」 と一 般に 言 われ ます が、 医 学医 療情 報に 関 して 「 病院 図 書室 によ れ ば」 とい う表 現が 使 わ れ、 それ が 医療 情 報の 信頼 院の 評価 とな り 、 あ る 程 度 の 権威 づ け が な さ れ る よ う に な って ほしい と思 って い ます 。 図 書室 は知 識 と心 の森 であ り 、五 感を 使っ て 知的 な 営みを 育 む場 で あ ると 同時 に出 会い の場 で あり ま す。 従 って 、図 書 室関 係者 は医 −

病院図書 室 Ｖｏｌ．１８Ｎａ４，１９９８ 療 従 事 者 、 患 者 、 家 族 な ど 多 種 類 の 人 々 の ニ ー ズに 応え る べく 本の 選書 から 始ま り、 そ の 運用 に 今後 と も配 慮し て ほしい と思 い ます。 Ｎｏｔｉｔｉａｌｉｂｒｏｒｕｍｅｓｔ ｄｉｍｉｄｉｕｒａｓｔｕｄｉｏｒｕｍ （ ラ テ ン 語 ： 本 の知 識 は 研 究 の 半 分 に あ た る）、 い い 本 に 会え ば行 動 と して の 研 究 は半 分で きた も同 じで あ り ます。 そ れと同 時 に、 「言 葉 は人 の基 なり 、書 物 は ものの 基なり 、 読 書 は考え の基 なり 」と 言 われ 、図 書室 は文 化 の基 本で もあ り ます。 最 新の 医学 ・医 療 情 報 の知 識や 技術 だ けで なく 、最近 よ く言 われ る「心 の医 療 」の ため に も病院 図書 室 の果 た す 役 割は大 きいと 思い ます。 関 係者 の皆 様の 今後 のご 活躍を お 祈り し て ご 挨拶 とい た しま す。 − １４６−