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物価連動国債と年金ALM

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Academic year: 2021

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(1)論  説. 物価連動国債と年金ALM. 浅  野. 1.はじめに. 幸  弘.  わが国では,2004年3月に最初の物価連動国. 債が1000億円発行された.2004年度は全部で.  わが国経済はようやくデフレから脱しっつあ. 8000億円発行され,2005年度は2兆円に増額さ. る.これが即,インフレにつながるというわけ. れる予定である.英国では1981年から,また米. ではないが,これまでのように物価は安定して. 国では1997年から発行されている.仕組みはだ. いるという前提で資産運用を行なうわけにぱい. いたい似たようなものだが,英国とわが国では,. くまい.折しも,わが国では昨年から,物価連. デフレ時の元本保証がない,つまリデ7レにな. 動国債が発行された.. って物価が下がると最後の償還額が当初の元本.  これは,改めて申すまでもなく,インフレヘ. より減一てしまうのに対して,米国では,デワ. ッジとして期待されている.本稿では,物価連. レになった場合も最初の乖本が保証される.こ. 動国債が年金運用においてどのような役割を1果. うした保証は一種のオプションであるから,そ. すのかを,年金ALMの観点から検討する.. の分だけ利回りは低くなる..  以下,まず第2節では,物価連動国債の概要.  なお,発行額は,英国では国債残高の4分の. を解説する一方,第3節では,年金債務とは何. 1以上が物価連動国債になっている.米国はま. かを,とくにインフレとの関連で説明する.そ. ださほど多くはな一く f5%ていどにとどまって. して第4節では,その債務や物価連動国債を初. いる.        1. めとする資産がインフレなどによってどんな価 格変動を示すかを検討し,第5節では,それら.  また,わが国では,物価連動国債には投資家. をまとめて,年金ALMについて論じる.最後. 課税の法人に限られる.つまり,事業法人とか. に,簡単な・まとめと課題を述べる.. 個人とかは投資できない.ただし,投資信託は.                    i 2.物価連動国債の概要. に制限がある.投資できるのはいわゆる源泉非. 買えるので,投資信託の中に組み込んで,個人 が間接的に投資することは可能である.現に第.  物価連動国債とは,元本とクーポンが物価水 準に連動して増減する国債である.この国債で. 一勧銀アセットではそうしたファンドを作って おり,売れ行きもかなり良いようである.. は,当初額面額と表面利率が決められているが,.  問題はこの物価連動国債の利率や価格はどう. 物価が変動すると,元本は額面額に物価上昇率・. 決まるかであるが,まず表面利率は発行時に,. を掛げた分だけ増減する.それを想定元本とピ. その時の実質金利に依存して決められる.その. う.クーポンはこの想定元本に表面利率を乗じ. 後インフレになると,想定元本はそれに伴って. たものとして与えられる.償還額は償還時点の. 増大し,クーポンはこれに表面利率を乗じて与. 想定元本となる.. えられるので,インフレに応じて増える,つま.

(2) 横浜経営狙「究  第26巻  第2号』(2005). 48(210). 図1 国債利回りの推移 2.0%. 長期国債259、 ].5%. 〉輌債2r7 ’ ら 、. 、. 1.G%. 物価連動国債1. 亀. 価連動国債2. 物価連動国債3. A        s ’ 、 @  ・,ヨ’       、    ・  ・  ■       ’         「  ・ 口  ● 勺. D・●’. @ qo ’ s. 0.5%. 一亀. ●i. ’    ・ 0.D%.  2004/3〆8    4/19. 1. 5/31. 7/12. 8/23. 10/4    @11/15    12/27 Jt. り実質ベースでは一定ということになる.とこ. する.このとき,実際の受渡し金額はP占とな. ろが,・この表面利率すなわち実質クーポンはい. る.これに対して,この債券から得られるキャ. わば発行時の実質金利なので,その後,実質金. ッシュフローは,今後の期待物価上昇率Pに. 利が変動すると,債券の実質価格も変動する.. 応じて増大するクーポンと償還額である.した. 以下に,この関係を示す.. して,この100当たりの単価を売買約定価格と. がって,このキャッシュフローを名目金利Rで 現在価値に割引いた金額の合計は受渡し金額に 等しくなるはずである.すなわち,表面利率を. することとされている.この価格はいわゆる実. c,利払いは半年ごと,満期まで刀年とすれば,.  物価連動国債の取引では,当初元本を100と. 質一価格であるが,実際に受渡しされる金額は,. Pわ一P(1+P)°ユx1…〆2÷P(1+P)云1…∫2+1. 売買額面総額にユ00円当たりの単価すなわち実.      (1+丑)°’5     (1+R). 質価格を掛けたものに,さらに連動係数をかけ.       P(1+、p)nx(100e/2+100). たものとなる.この連動係数は発行時から約定 のときまでの物価上昇率を示す係数である..    ……十.           (1+R)「J となる.実質金利を・,・で表すと,.  ただし,今日の物価は実は今日現在,分から.     1十R  I. ないので,3カ月前の物価で代用する.さらに,.  1十r=−     1+P. 物価連勤国債はだいたい10日に発行されるので,. であるから,これを使って整理すると,結局,. 10日に取引をすれば,取引の3カ月’前の物価指. 数と発行時の3ヶ月前の物価指数の比でこの連 動係数が計算されるが,10日でない場合,例え.    100c∫2  100c「2    100c/2+100  b=        十     十…十    (1+r) °・5(1+r主  (1+・’)in. ば10日以前なら3カ月前と4カ月前め,また10 日以降なら3カ月前と2カ月前の物価を使ってJ. 表面利率(実質クーポン)を実質金利で割り引…. 直線補完することになる.. いたものになるということにほかならない.逆.  数式の簡単化のため,’いまちょうど利払い直. に言うと,発行時点ではそのときの実質金利に. 後で,かつユ0日だとして,発行時を1とする連. 応じて表面利率が決まるが,一たん決ま?てし. 動係数をP,また約定価格(実質価格)をbと. まったら,今度は実質金利が変わると,債券の. となる.この式は,物価連動国債の実質価格は,.

(3) 物価漣動国債と年金ALM(浅野幸弘). (211)49. 実質価格が変わる.名目の受渡し金額はこの実.  PBOでは,まず従業員が長期勤続するとして,. 質価格にインフレ率分だけスライドする.. 定年時まで勤めたとしたときの基準給与と乗率.  図1は;2004年3月・8日の初回の物価連動国. によって年金額を算定し,それを現在までの勤. 債発行入札以降の利回りの推移を見たものであ る.物価連動国債の実質利回り’は当初は約. 続年数に応じて按分したものを現時点までに帰. 1.3%であったが,’7月末から急激に下がって,. には時間があるので,それを市場金利で現在価. 2005年,1月末には0.5%を下回るほどになった.. 値に割引いた金額を年金債務とする.これを数. この間,:普通の国債(長期国債)の利回りも低. 式で表すと,次のよう・になる.’. 属する年金額とみなす.そ.して,年金給付まで. 下しているが,さほど大きくはない.両者の差 は今後の期待インフレ率を表すが,わが国経済 がデフレを脱するにつれ,期待インフレ率がだ んだん上昇するとともに,物価連動国債への関. L(m) ±. o響 +(劉}㌃q+Rr嗣.   ={M(M)z(M)1−(1美当曇(1+・R)…. 心が高まって,実質利回りが低下したことが窺 ただし,mは現在の勤続年数, Mは定年時の勤. われる.. 3,.年金債務の評価. 続年数,M(m)は勤続m年の従業員1の基準給与, λ(m)は勤続m年の従業員め年金乗率,B(lll)は勤.  本稿では,この物価連動国債を年金運用の中. 続η年の従業員がもらえる年金額でB(nt)二研(lil). でどう位置づけるかを論じるが,年金迎用は債. ]L’(m),Nは定年後の年金給付年数, Rは市場金. 務との兼ね合いで行うので,まず年金債務の把. 利(割引率)である.この式の括弧の中は定年. 握について説明する.. 時点での年金の現在価値であり,m/Mをかけ.  年金債務の評価には幾つかの方式があるが,. るのはそれを現在までの勤続に按分ずることを. 代表的な方式としてABO(AcCumulated. 示し,さら’に(・1 +R)’C・V−”t)を乗じているのは定. Pension Obligati面,発生給付債務)とPBO. 年時から現在までの割引を示す.. (Projected Pension Obligation’,予測給付債務).  債務をPBOで捉えると,年金費用は平準化さ. があげられる.ABOIは現在までの勤続によっ てすでに発生したと思われる将来の給付の現在. 前期末の債務を引いた一ものとして表されるが,. 価値を債務とするものである.ところが,‘年金. 前期末債務は1期間経つど,定年までの期間が. 給付額は一般に基準給与に勤続年数に応じだ乗. 短ぐな惹ので,金利分だけ増えることに注意す. 率を掛けて算出されるため,この方式によると,. ると,次のようになる.. れることになる.年金費用・は今期末の債務から. 勤続が伸びるに従って,年金債務が急速に増加 するという問題が生じる.勤続年数の増大に伴. C(m) =L(m) 一 L(m 一 1) (1 +R) 一{       L(1+R)−Nm(M)λ(瑚         R}吉(1〔Rプ…. って,基準給与と乗率の両方が大きくなるから である.これはバックローディングと呼ばれる が,従業員が長期勤続し,かつ企業が永続する. ここでC伽)は勤続’・年の従業員に係わるゴ醗費. と考えると,これは,将来発生するより重い負        1 担を今認識しないで先送りすることにほかなら. 用である.この式は,年々の年金費用は,定年. ない.このような問題のため,わが国を初めほ. に等分し,それを現在価値に割引いたものであ. とんどの国では,年金債務の評価にはABOで はなく,次に説明するPBOを使うことになって. ることを示す.年々の年金費用は定年までの年 数によって割引が違う分違うだけで,それを除. いる.          「. けば一定となる.つまり,バックローディング. 時の年金の現在価値を勤続1年当り(M分の1).

(4) 50 (212’). 横浜経営研究  第26巻  第2一号 (2005). は避けられている..  わが国の退職給付会計では!“現実にはこのほ か死亡率とか退職率1とかの要因が入ってくるが,. 基本的には,以上のようなPBOで年金債務を把 握する.ところが」このよ.うな債務の把握には,. 実は,’重大な想定が隠れている.それは,将来. て,次式のように表される. 富加)一. o(1+P)蒜期 叶(1+藍:竿)}.    ×一(1+」Z)“{M耐      .     M.   −{(1.器,)←・㌣1。継幻頭}、. の年金の給付額は一一’rrのフオーミュラによって. 名目で確定しているという想定である.しかし,.    ・描) ’. 年金は退職者にとうて生活の基盤となるもので   一{      1’一(1+1う一押丑(M)          1:}叢(1+1・)一・M−nt}. あるから,当然,インフレになったら,実質購 買力を維持することが望まれる.すなわち,物 価が上昇したら,それに連動して改定されるこ. ただし,が(m)は給付額が完全インフレスライ. とが望ましい.実際にも,年金給付額を完全に. ドする1年金の勤続〃1年の従業員に係わるPBOで. インフレスライドする企業は必ずしも多くない. ある.上式は,このPBOは,前に示した給付額. が,年金給付額が基準給与の一定比率で決まっ ている場合は,基準給与がだいたいインフレに. が名目で決まっている場合のPBOの計算式で, 名目金利を実質金利に代えたものとなることを. 応じて改定されるので,年金給付が自動的にイ. 示している.完全インフレスライドの年金では,. ンフレスライドすることになる1}.ただし,こ. 給付額が実質で与えられることになる1ので,現. の場合,年金のインフレスライドは在職してい. 在の賃金カーブから計算される給付額を実質金. る問だけである’ごとに注意を要する.退職時点. 利で割引くのである.. で基準給与に従って年金額が決められたち,そ.  次に,インフEスライドは明示されていない が,給付が退職時の基準給与によって決まると. の後はそのままで,イ?フレスライドしない..  それでは,このようにインフレスライドする. して,その基準給与がインフレスライドする場. 年金の債務はどうのように評価されるのであろ. 合を考える.この場合,年金給付額は勤続中だ. うか.ここでは,まず完全にインフレスライド. けインフレスライドするが,それ以降はインフ. する場合,すなわち在職中も退職後も年金がイ ンフレにスライドして増加する場合を考えてみ. レスライドしない.したがって,この場合の給 付額1は,退職時までのM−’π年はインフレが反. る.この場合,現在の賛金カーブによれば退職. 映されるが,その後はインフレが進行しても,. (定年)時にもらえる年金はB(助であるが,』退. 職するまでの間にインフレが進行するので,実. 退職時の金額で固定されたままとなる.PBOは この年金額(名目〕を名目の金利で割引いで求. 際に退職時にもらえる金額はインフレ分だけ膨. められるが,それを整理すると,一下式のように. らむことになる.いま期待インフレ率をpとす. なる.                ‘. ると,現在勤続nt年の従業員は最初に年金を もらう(定年の翌年)までM’一 m・+ 1年あるの で,そのとき受取る実際の金額は(1+P)M− tir+t. だけ膨らむと予想される.さらに退職後もイン フレに応じて給付額は膨らんでいって,最後の. o(1+pi:三遅(ta・…+(’+綴(va} tis’ (m)=. 1  ×三(1+R)一(nr−m) 一     距f          ・.    一腰一(欝畷鍔)一. 受取りの時には(1+p) M←n,+jVだけ膨らむことに. なる.したがって,この年金のPBOは,こう・し. た給付額を名目の金利Rで割引いたものとし.    一{β㈹L°剖曇(1・r)−tSf−m) ,.

(5) t. 物価連動国債と年金ALM(浅野幸弘). ただし,L ip(m)は給付額が賃金スライドする年. (213)51. じであるが,(1+θ)JV−Mが付け加わっているこ. 金の勤続,,2年の従業員に係わるPBOである.退. とだけが異なる..賃金が実質金利を反映するた. 職後は給付額がインフレになっても一定のまま. め,それによって退職時の基準給与がこの分だ. なので,名目の金利が適用されるが,それを現. け増えるからであ1る.. 在まで割引くときは,退職時までは賃金にスラ.  なお,以上のpBoはいずれも勤続lll年の従. イドして年金額もインフレスライドする,つま. 業員に係わる年金債務である.会社全体のPBO は現役の従業員と退職した受給者に係わるこれ. り実質価値が維持されるので,実質金利で割引 くことになる.. らの年金債務をすべて足し合わせたものとなる..  ところで,給付額を変化させる要因は,イン. 給付額が名目で決まっている場合は,次のよう. フレに限られるわけではない.生産性が上がれ. に表される一P他のケースも同じように表される.. ば,当然,基準給与も改善される.例えば,日 本経済が回復して生産性が上がると,賃金もそ. L一ΣL(m)+Σ.L’(,,)   .. れにつれて実質的に引上げられるが,年金給付.   ,nr⊆M     ngN. 額が基準給与の一定比率で決まっていれば,実.  ただし,Lは給付額が名目で固定されている. 質的1に増加する.このとき,、実質金利も生産性. 年金の会社全体のpBO,∬(n)は退職後.ll年の. を反映してたぶん上昇するから,年金給付額と. 受給者に係わるPBOで次式のように定義される.. 金利が実質で共に上昇することになる.そう1し.            B(M)     B(M)  L’(i7) =        +−■eキ     1+R   (1+R)N“n. た理由はともかく,ここでは,何らかの要因で 実質金利に関連する実質賃金引上げ要因をθで・ 表し,実質金利が1’のとき実質賃金はθだけ上. がるとする.この場合,定年時の基準給与(名.    4・年金債務と資産価格の変化  それでは,このようなPBOはどのような変動. 目)はインフレ分どこの要因分だけ膨らんで,. を示すのであろうか.本稿では,資産運用との. 現在の賃金カーブの{(1+p)(・li+e. )1 ・V− m倍になる.. 閲連で債務を議論しているので,死亡率や申途. 年金給付額もこれにつれて,現一在の基準給与で. 退職率などの要因は無視することにすれば,. 計算したより同じだけ増加する.PBOは,この. PBOの変動は金利およびそれに付随する給付額. 給付額を名目の金利で割引いたものとして,結・. の変化によって生じるといえる.ただし,金利. 局,次のようになる.. (名目)の変化には期待インフレ率の変化と実 質金利あ変化によるものがある.年金の制度に. よって,PBOはこの両者に対して異なった反応 を示すので,両者を区別して捉える必要がある..  金利が変動したときに資産や債務がどれくら.   艦 ・濃等}. い変動するかは,一般にデュ’U−一ションで捉え. られる.ここでは金利変動を2つの要因に分け    ・曇(1・θ)…一・}〔瓢〔. ているので,デュレーションもインフレデュレ. ーションと実質金利デュレーションの2つを考   〉’一(11R戸}㌃(1・θ轡(1・r・)一・M−m・. える必要がある.それぞれば次のように表され る.. ただし,L’(m)は賃金が実質金利を反映して変. 動する年金の勤続IJI年の従業員に係わるPBO である.年金が賃金スライドする場合とほぼ同.

(6) 横浜経営研究 第26巻 第2号(2005). 52(214). 表1 年金債務評価額の比較. ABO PBO 評価額(賃金総額=100). 534. 、ち受給者分(%). S87. 名日給与比例. 実質金利反映. 847. 679.  679’. R5σ. R3.3. E3a3. インフレスライド. 622 S1.8. まず,イ・ンフレデュレーションは. す..  期待インフレ率や実質金利が変動し一たとき,     ∂L/bp D,,P=−. PBOが制度(給付額の決まり{方])にようてどう.      L. 変わるか,具体的なイメージをつかむため,次. D・=一砿’/Φ L,P. 、LP. Dll=−eL’F/Op   L,P   LiS’. のような数値例を考.えよう.まず加入者は25歳 から64歳まで40年間勤続し,・65歳から20年問年. 金を受給する.そして,年金給付額は勤続1年 にっき基準給与の1%が付与されるとし,賃金.      ∂t’IOp       .  D島=−       c. 3%上昇する.また金利は,実質金利が1%;.  と表される.ただし,DL.llは給付額が名目で. 期待インフレ率が2%,したがって名’目金利が. 決まっている年金のインフレデェV一ションで,. 3.02%とし,当初θ=Oとする.入員構成は25. 下添字のみ垣ま債務の期待インフレ率に対する. 歳から84歳まで同一の人数として,途中での死. デュレーションであることを示す.他の年金の. 亡や退職はないものとする.. 場合は上添字で制度を区別する.Pは給付額が.  表1億,このときの年金債務の評価額を年間. 完全インフレスライドする年金,ぽは給付額. の賃金支払い総額を100として示したものであ1. が賃金スライドす一る年金,rはさらに賃金が実 質金利を反映して変動する場合を示す.. る.まずABOはPBOよりかなり小さいことが 分かる.逆に言うと,ABOではバyクロ』デ.  また実質金利デェレーションは. ィングがかな一りの額になる.また給付額が名目. カーブは25歳から64歳まで}年勤続が増1えると. で決まっているか,・インフレスライドするか,. あるいは退職時の基準給与に従うかによって,      OL/∂r,  D,,r=−.       L      OLP∫∂r D£r =’一一.       LP. D㌫=一学      OL’/∂r+∂L’∫∂θ・dθ/dr.  DE,r=−.          L「. さらに基準給与の変化に実質金利の変化に伴う 分を勘案するかどうかによってもかなり違って いる.当然ながら,給付額が完全インフレスラ イドする場合が最も大きく,名目で決まってい. る場合が最も小さい.またθ=0としたので, 給付額が退職時の基準給与で決まる場合は,給 与が実質金利を反映してもしなく,ても,債務評 価額は変わらない.. と表される.ただし,DL.rは給付額が名目で決. 一表2は,e,の数値例における年金債務のデユ. まづている年金の実質金利デュレーションで,. レーションである.金利変動の要因に従って,. 下添字のrは債務の実質金利に対するデュレー. インフレデュレーシヨンと実質金利デュレーシ. ションであることを示す.上添字は,インフレ デュレーションと同じく;年金制度の違いを示. ョンが示してある.まず給付が名目で決まって いる場合は,期待インワレ率の変北に対しても‘.

(7) {. 物一価連動国債と年金ALM(浅野幸弘)1. (’215) 53. 表2 年金債務のデュレーション. ABO PBO. イジアレスライド. 名目給与比例. 121. 140  一. インフレ. 1a1. ユ如. α0. 且4. 実質金利. 12〔2 竃 142. 16.7. 1〔L4. デュレーション. 加入者分. 実質金利反映 &4‘. a4. 1ス7. ユ駐7’. インフレ. 177. 197. 実質金利. 179. 19」9. 6.3. 63. インフレ. 6.3. 合3. α0. 65     声. 6.5. 実質金利. 63. a3. a7. 6.5. 65. 受給者分. α0. 2λ1’. 9.3  .. 214. 息3. 駐3. 実質金利の変化に対しても,同じように名1目金. 年金給付額に反映さ・れる場合であるが,期待イ. 利が動くので,ほぼ同じデュレーションとなる.. ンフレ率の変化に対しても実質金利の変化に対. 金利設定の仕方のため若干テクニカルな差が出. しても,デュレーションは8.4ff一と伺じになる.. るが,PBOのデュレーションは約14年である.. インフVが変化した場合も実質金利が変北した.  これに対して,給付が完全インフレスライド. 場合も,給付額は基準給与を通して在職中のも. する場合インフレデゴレーションはゼロとな. の1だけ改定されるこどになるからである.なお,. る.期待インフレ率が上昇すると,将来の名目. 実質金利:が変化したとき基準給与がどれだけ変. 給付額が増加するが,名目金利も伺じように上. 化するかは把握が難しいが,ここでは,基準給. 昇するので,莉者がちょうど相殺して債務額は. 与(実質賃金)の上昇率が実質金利の変化と等. 変わらないのである.この場合,給付額は実質. しい,すなわちdθ/di・・=ユとして計算してある.. ベースで決まっており,割引も実質金利で行な.. この比率が1より小さければiその分だけ実質. われるから,期待インフレ率が変化しても,案. 金利の変化に対するデュレー一ションは小ざぐな. 質ベースでは変化はないとも考えられる.逆に,. この場合1実質金利が変化すると実質的な債務. る..  次は資産側のデュレ’一ションであるが,問題. は大きく変化することになる{・実質金利デェレ. は,金利変動を2つの要因に分けたとき,各資. ーションは非常に大きく,16.7年にもなる.1. 産は果たしてインフレに対してどう1いう反応を.  一方,・給付額が退職時の基準給与に比例する. 示すか,である.. 場合,すなわち名目給与比例の場合は,実質金.  まず普通の債券(名目債)は,キャッシュ1ウ. 利の変化に対するデュレーション、は完全インフ. ロ「が名目で固定されているので,インフレに’. レスライ1ドの場合とほぽ同じ16.4年であるが,. 弱い:一また変動利付債は,金利がインフレを反. 期待インフレ率の変化に対するデュレー・一一ション. 映するならば,1インフレになると金利が上がっ. もゼロではなく,約8.4年となる.名1目給与比. てクーポン(利息)が増えるから,インフレに. 例の場合,インフレスライドは在職中だけしか. 強いよう1にみえる.しかし,金利が変動するの. 適用されないので,退職後は給付が改定されず,. は,実をいうと,将来の期待インヲレに対して. インフレになると,その分だけ実質的な債務が. であ‘り,変動利付債のクーポンが増えるのも,. 減ることになるからである.. 実は,将来の期待インフレに対してのことであ.  最後に,実質金利の変化が基準給与を通して. る.実際のインフレが期狩どおりであ2tぱいい.

(8) 横浜経営研究 第26巻 第2号(20G5). 54(216). 表3 債券のデュレーション ∨. 物価連動国債.        名目債券. T年    ユ0年   20年   30年. ?O年   20年. デュレーション. 46        a6       150       19.8. @ インフレ @ 実質金利. Sβ       {㌦6      150      19B. α0     α0. S?  87  152  2α0. ァ5   ’ユ8ユ. 注)期待インフレ2%,実質金利1%,名目金利3.02%.  債券はいずれもクーポン3%,物価連動国債はいずれも表面利率1%とする. が,実績が期待と違ったりすると,クーポンの.  まず,普通の債券は,元本やクーポンが名目. 増加はインフレを反映しないことになる.実際,. で決まっているので,名目の金利が変化すると,. インフレは期待どおりとはならず,往々にして. それがインフレによろう.と実質金利によろうと,. サプライズとして生じる.変動利付債はそれに. 同じように価格は変化する.すなわち,・インフ. 対しては頑強というわけにはいかない.. レデュレーションも実質金利デュレーションも.  これに対して,物価連動国債は,実績のイン. ほぼ同じである.表3に数値例を掲げたが,10. フレにスライドして元本,利息が増加するので,. 年債は8.6ff,20年債は15.0年,30年債はユ9.8年. 期待イン1フレ率に対しても,サプライズのイン. くらいである.. フレに対しても対応できると考えられる.ただ.  これに対して物価連動国債は,すでに見たよ. し,すでに述べたように,実質金利が変動する. うに,インフレが実際に進んでも,期待インブ. と,実質価格は変動する.     コ. レ率が変化しても;実質価格は変化Lない.つ.  ー方t株式は企業の持分であり,その企業は. まり』,インフレデュレーシg,ンはゼロである.. 実物資産を保有しているから,インフレに強い. 一方,実質金利が変化すると,すでに述べたよ. ようにみえる.しかし,過去の実績を見るとe・ インフレになると株価は下落する傾向がある.. うに,価格(実質価格)は変化する.実質金利 デュレーショシは,表3に掲げたように,残存. これに関して,Fama[1981]は,インフレに. 10年で9.5年,残存20年で18、1年くらいである.. なると金融が引締められて経済活動が低下し,.  最後に株式であるが,,そのデュレーションは. 企業収益が悪化するため,株価は下がるのだと. 果たしてどうして求めるのであろうか.株式の. 説明した.またFeldstein[1980]は,企業収. 価格は一般に,DDM(配当割引モデル)で把. 益がインフレで膨らむが,それは実は元本がイ. 握されるので,そのデュレrションも理論的に. ンフレスライドしているにずぎないのに,それ. は,これから1計算できる.DDMは次式のよう. にも課税されてしまうため,税負担が重くなっ. に表される1ので,この式で金利,すなわち割引. て実質収益(税引き後)が減少し,株価も下が. 率を動かしたとき,株価がどのように変わる. るのだと説明した.ただし,株式は長期的には. かを計算すればよいはずである.すなわち,. インフレスライドするという実証研究もないわ けではない(BoudOukh and Richardson[1993])..  それはともかく,インフレか実質金利かで各 資産の反応は違うのであるから,それそのデュ レーションも,インフレと実質金利に対して求 める必要がある.. β一. Q+器+鵠+一. =塑+(1+些)か・d+(1+9]2D・d+_.   1+k, (1+k)2            (1+k)3.   Dvd   k−9.

(9) i. 物価辿動国債と年金ALM〔浅野幸弘). (217)55. 図2 株式と債券の相関係数 0.8 O.6 ⇒. 0.4. 1. 米国. O.2 0.0. 一一. Z.2. 一一. Z.4. 日本. 一〇.6. 75/1. 80/1. ’85/1. 90/1. 00/1. ・算することを提案している.. より,株式のデュレーションは    ∂s/∂k l  s Ds=−     s  k−9 z)vd. 95/1.  D,=D。ρ語玉 ,.        σB. と’なる.ただし,Sは株価, Dl・dtはt期の配当,. ただし,Dsは株式のデュレーション,,DBは齪. kは割引率,gは配当が定率成長するときの成. 券のデュレーション,ρSBは株式’と債券の相関. 長率で,Dvd、 =(1+9)t“iDvdである・. 係数,σs’は株式の標準偏差,σBは債券の標.  上式は,株式めデュレーションは配当分の株. 価,つまり,配当利回りの逆数ということを示 す.配当利回りは現在,1∼1.5%くらいであ るから,1デュレy−一ションは67∼100となる.本、. 当にこんなに大きいのかというと,実は,いく. 準偏差である..  この式によるど,債券市場のインデックス (NOMURA−BPI)のデュレー一ションは5年,. 標準偏差は5%,債券と株式の稲閲係数はα3元 株式の標準偏差は20%くらいとすれば,株式の. つかの研究では,だいたい3∼6年と,1かなり 短いとされている.こうした違いが生じためは,. 、デュレーションは6年となる.ところが,この. 実は,上式の偏微分∂S/akにある.これは,他. 果たすが,その相関係数が実は,最近,大きく. の条件を一定として,割引率(金利)が変化’しヒ. 計算では株式と債券の相関係数が大きな役割を. たとき,株価がどう変化するかを示す.しかし,. 変化している.図2は,日本および米国の株式 と債券の相関係数を示したものである.相関係. 経済的な関係を考えると,割引率が変化するよ. 数は60カ月の移動平均で計算してあるが,以前. うな場合は,将来のキャッシュフローも変化す             e ると考えた方がよい.つまり,上式でいうと,. 本では1990年代後半から,アメリカでも少し遅. 成長率8も同時に変わると考えた方がよい.. れて2000年くらいからマイiちスになっでい墓.一一三.  そうした要素を織り込むと,デュレーション はどうなるのだろうか.Leibowitz[1986]は,. 上の或にこれを当てはめると,株式㊧デェー巨≡. 次のように,株式と債券の相関を使って,債券. 式のデュレーションはマイ蚤ズ奪あi墓蓼妻三一茎二. のデュレーションから株式デュレーションを計. たこうした変化には何か経済1]饗檀窒を塾藁変埜.:. は日本もアメリカもO.3ぐらいだう一たのが,’日. ションはマ・イナスというこ一とにな董三:藁i当i}こ羽ξ一=一.

(10) 横浜経営靭f究  第26巻  第2号 f2005). 56(218). 表4 株式と債券の椙撰係数. 90年代前半まで 配当利回リ.    o.el⑪.   α015. インフレδ.     o.9.    0.9. 実質金利δ.     1.1.    1.1.     10.0.    柱7.    −−i1o.e.   −6.7. 債券デュレーション.     410.    510. 期待インフレ率の標準偏差.    0.012.   α006.    0008.   α008. 株式のインフレデュレーション ’株式の実籔金利デュレーション. ・実質金利の標準掃差. インフレと実質金利の相関.    −O.40.   −090. i金利の標準1扇i差.  −G.(〕00038. −0.0⑪⑪043. 株式の金利以外のリスク.     e.10.    ⑪.10. 株式の標準偏差.    0ユ962.   α1506. 債券の標準偏差.    0.0458.   α0184. 株式と債券の共分散.    0.OG32. 一α⑪00933. 株式と債券の相関係数. あろうか.. ライドするならば,δは1になる.期待インフ.  この変化はどうも経済のデフレ化と閏係があ. レ率が上がると,金利はその上昇分だけ上がる. るようである.先ほど説明したように,DDM・. が,企業収益もインフレ分だけ膨らむなら,配. から株式のデユレーションを求めるとき,偏微分. 当の成長率も同じだけ高くなり,δは1である.、. を使うが,それは,他の条件は一定と想定して. この場合は(1一δ)はゼロとなるので,株式. のことである.しかし,実際には,割引率が変. のデュレーションはゼロとなる.言い換えると,. 化するとき,成長率も同時に変化する.そこで,. もし企業収益が完全にインフレスライドするな. 割引率が変化したとき,成長率もδだけ変化す. らぱ,インフレになってもジ株価は変わらない. る1とすれば,1株式のデュレーションを示すi式は. のである.しかし,現実には,インフレになる. 次のように書き換えられる.. と,金融引締め政策がとられて景気が後退する. 軽=一. ニぽ〕☆. =(1一δ)蒜  ’. などして,企業収益は紳びが押さえられる.イ ンフレによってある程度は増えるが,インフレ ほどは伸びまい.こうした現実からすると,イ ンフレのときは,δは1より小さ・いと考えられ る、.きちっとした推計は困難であるが,,例え1ば.  ただし,dg/dk= 6と1おく.. δ k・O.9とすると,(レδ)はO;1となって,株式1.  先ほどの式と比べると,(1一δ)が付け加わ. のデユレーションは,.配当利回りをL5%とす’. っているが,このδは,金利(名目)変化が期. れぼ,在7年となる1・i. 待インフレ率の変化によるか,壌質金利の変化.  一方,実質金利が上がる場合は,’だいたい経. によるかによって違った値を已る.まずイジフ. 清が拡張するときである1.’そして,そのとき,. レの場合,もし企業の収益が完全にインプレス. 企業収益は実質金利の上昇以上に伸びると考え.

(11) 物価連動国債と年金ALM〔浅野幸弘). (219)57. られる.そうすると,δの値は1より大きくな. この値はほぼ妥当だとみてよかろう.したがっ. る.例えばそれをユユと置けば,(1一δプは一. て,それを使って計算される株式のインフレデ. 〇.1となるので,株式のデーレーションは一 6.7. ュレーションと実質金利デ,i‘レーションも妥当. 1と,マイナスになる.. な数宇である.以下では,株式のインラレデュ.  いまはδの値を大雑把に置いたが,この数字. レ”ションは+6.7,実質金利デュレーション. は実際に近いのではないかと推測される.表4. は一6.7と置いて,年金ALMを検討することに. は,このδを前提にs・株式と債券の相閲係数を 推計したものである.相関係数を推計するには,. する1. δ以外に,期待インフレ率や実質金利の標準偏.        5.年金ALM. 差などいぐ’つかのパラメータが必要であるが,.  年金ALMの基本は,債務をヘッジするポー. それらについては1990年代前半までとそれ以降 につ}けて,それぞれ現実を反映するような数字. トフォリオを組成する・ことにある.それは債務. との相対でいわばリスクがない資産運用である.. を置いている.その結果,株式と債券の相関係. もちろん,何らかのリスクをとることによって. 数は,1990年代前半まではO.36,それ以降は一. プラスのリターンが得られる,すなわち債務を. 〇.34という,現実に近い数字が得られた1. 上回る資産のリターンが得られるなら,ヘッ.  この推計において,期待インフレ率の変動に. ジ・ポートフオリオから離れて,そのリスクを. 対するδ(O.9)と実質金利の変動1に対するδ. とればよいL).、. (1.1)は,1990年代前半までとそれ以降で変え. でいない.他の変数は少し変わっているが,相.  それでは,債務をヘッジするポートフォリオ とは何か.年金債務は,すでにみたように,期. 関係数に大きぐ効いたのは期待インフレ率の標. 待インフレ率や実質金利の変動によって変化す. 準偏差である.以前はインフレが主導して金利. るので,資産もこのリスクをヘッジするように. が動き,しかもそれがかなり大きく変動した.. 組む必要がある.もし株式を持つことによって. これに対して最近は,デフレ経済などのため,. 超過リターンが得られるなら,それに加えて株. インフレはほとんど変化しない.期待インフレ 率の標準偏差が相当に小さくなっている.この.  ただし,,現実には,ポrトフオリ1オ組成の手. 一方,実質金利の標準偏差は余り変わらなかっ. 順は逆になる.株式で超過リターンが稼げる一な. たため,相対的に大きくなって,金利変動の主. らいまずリスク許容度に応じて株式をいくら持. 導的な要因となった.その結果;一株式と債券の. つか決める.そしてその後,その株式のインフ. 相関係数はマイナスになったのである一i・. レデュレーションおよび実質金利デュレーショ.  これはまた,次のようにも解釈される.,イン. フレが主として金利を変動させるのであれば, それは株式と債券に対して同じ方向への影響を. 式を持つようにすればよVS.. ンを前提に,名目債券(普遮の債券)や物価連 動国債等を組み合わせて債務側のインフレおよ. び実質金利のデュレーションと合1うようにして,. 与える.例えば,インフレで金利が上がると,. リスクヘッジをするどいう順になる.. 株式も債券も価格が下がる.これに対して,実.  ここでは,この手順に従って年金ALMを検. 質金利が主導して金利が上昇するのであれば,. 討するが,まず出発点として,金利変化が期待. 債券価格は下がる一力,そのときは景気がよく. インフレ率によるか実質金利によるか区別しな. なって企業収益が伸びるということで株式は上 がる.つまり,株式と債券の動きは逆になる.. い通常の年金ALMを示す.この場合,インフ.  先ほどはδの値を適当に置いたが,この値で,. に,債務は1司じように変化するので,資産も期. 現実の相関係数の変化をよく説明できるので,. 待インフレ率か実質金利かの区別なく‘同じよ. レであれ実質金利であれ,金利が変化したとき.

(12) 59(220). 横浜経営研究 第26巻 第2号(20G5). うに変化するようにする.ここでは,債務五は. となるように,欝券ポートフォリオを決める.. 250,そのデュレーシSンDcはユ2,資産は300で,. ただし,Dの2番目の下添字がまインフyデユ. 株式8と債券五で運用するとして,まず超過リ. tz ・一ションを,叶ま実質金利デュレZ 一一ションを. ターンを狙って抹式に100だけ投資するこどに する.このとき,残りの20⑪は鶴券で運解する. 示す.またLの上添字xは年金制度がどんな夕. イブかを示す.すなわち,給億が名§で固定さ. ことになるが,問題は,この籔券のデュレーシ. れている場合はx=F,完全にイシフレスライ・5{. ョンDeをいくらにしたらよいかである.いまは. する場合はx=p.基準給与にスライドする場. 金利変化について期待インラレ率か実質金利か を区別して恒ないので,株式のデュレーション. 合はx=m,実質金利が上昇するときに増える 場合はx=rである.年金制度によって2つの 等式の喬辺,すなわち積務のインラレおよび実. Dsもその区別をしないで4年とi’く.年金 ALMは,結局,資産サイドと負債サイドのデ ュレーションが一一一ttする1ように,債券のデュレ. ーションを選択することにほかならない.すな わち,. 質金利デュレーションが異なつてくるので,そ れに応じて債券ポートフォリオも変わってくる..  その債券ポートフォリオはヨここでは,名目 債券,物価連動国債,それにキャッシュを紐み. 合わせて作成するとずる.さらに,先ほどの通r 1)BB+Ds5「= DエL. より,債券のデュレーションは. 常の年金ALMではこ債券の金額は決まっ・てい て,そのデュレ““ションをいくらにするかとい. う問題であったが,今度は,名目債券,物価連   12x2SO−4>く100.          =13 PB=      200. 動国績は特定のものを想定し,すなわちそのデ ュレーションは与えられているとして,それぞ. となる.. れにいくら投資するかという問題とずる.今回.  なお,この例では積立余剰(資産〉債務)とし. は2つめデュレーションを合おせるために,違. たが,わが国の現状は,ほとんどが積立不足で. った種類の債券にいぐら投資するかと,それぞ. ある.積立不星の場合も,年金ALMの考え方’. れのデュレーションをいくらにするか,という. や計算方法は基本的には変わらないが,,債務側. 2つを同時に決めなけ札ぱならないので,どち. の長いデュレーションに少ない金額の資産で合. らがを決めておかないと答えが出ないからであ. わせなければならないので,債券のデュレーシ ョンはもっと長くしないどい}ナないことになる.. る.ここでは,名目債券として20年債または3G ‘年債を,また物価連動国債として10年債または.  それはともかく,本稿ではこれまで,’年金債. 20年債を考える.キャッシュを債券の中に付け. 務は期待インフレ率と実質金利という2つの要. 加えているのは,名目債券と物価連動国債だけ. 因・によって変動することを見てきた.したがっ. では2つのデュレーションを目標の値にずるこ. て,年金ALMにおいても,この両方の変動に対. とがでぎないので,借入れまたは短期運用によ. してヘッジする一必要があるといえる.すなわち,. って調整するためであるパ結局,』名.自債券,物. 債務と資産のインフレデュレーションと実質金. 価連動国債,キャッシ4を適当に組み合わせる ことによって;債券ポートフォリオのインヲレ. 利デュレー一ションを合わせることになる.具体. 的には,まず先ほどと同じようにリスク許容度. デュレーシuンと実質金利デュレーシeンを目. に応じて株式へいくら投資するかを法めiその後,. 標に合わせることになる..  D,,,B+D,,ps・Si DξFL「.  DN,pBN +Di,pB∬ +Dit,pBc =・Dll,pB. D∬,,B+Dぷ,5=D1,が. Dif,.BN +D−」,rBi +Dc;,Bq=D・,。B.

(13) r.          i/ 物価連動国債と年金ALM(浅野幸弘)・. (221) −59. 表5 ダブル・デュレーション・マッチング:年金ALMの数値例 ケース.   債務. 株式. P0年 20年 20年 30年. cL, DL., 名 目.                       一 ィ価連動国債   名目債券   キャッシュ                  1. 14.0   142       吻. 100. P40   142. ?O0. @   74       144    −18. 100. 582           二44              −337. インフレ. 0.0   167. Xライド. ユ42           189             一ユ31. ソ0   16、7. P00. @   305           −−34  −     −71. 基準給. &4   1a4. 100. 352             95              −247. ^比例. W4   164. P00. @   185             72 ・      −57. 実質金’. 8、4    a4. 100. 139            95              −34       r. ?ス映. 浮S   a4. P00. @   73       72     55. 注)年金債務250,株式1OO,債券200,余剰5b,デaレーションrについては,債務は表2,債券は表3,株式はインフレデュレー  ション〔}.7,実質金利デ斗レーションー丘7を想定..   表5は,これを解いた結果である.前提とし て,先ほどと同Nk,・年金債務は250に対して,. 資産は株式100,債券200の合計300,したがっ  て余剰が50としている.またデュレーションに. なる.このケースでは債務のインフレデュレー ションはゼロであるが,株式のインフレデュレ・ 一ションが正であるので,それを打ち消すため ’に,名目債券をショートする必要が出てくる.. 一つし・そは,前に示したように,債務のデュレー. このケースでもやはり7{債務のデaレrシヨン.  ションは表2のとおり,’債券のデュレーション. が長いので,‘短い債券を使う場合は,借入れ.  は表3めとおり,株式のデュレrションはイン  フレに対してば+6;7,実質金利に対しては一. かける必要がある.長い債券を使えば,借入れ. (キャッシュをショート)をしてレバレッジを.  6.7としている.1. は少なくですむ..   まず債務が名目で決まっているケースについ.  年金給付が基準給与にスライドするケース,.  て,債務と債券の名目のデュレーションを合わ.. すなわち賃金がインフレスライ’ドする分だけ給.  せるだけでは,金利変動に対するヘッジになら. 付もインフレスライドするケースは,上の2つ.  ない.株式がインフレか実質金利かによって反. のケースの中間になる.長い債券を利用すれば,.  応の’仕方が違うので,債務は名目で決まってい. 借入れが少なぐてすむことも同じである.現実.  ても,2つのデュレーションを合わせるために,. には,このケースが多いと思われるが,名目債.  名目債券だけでなく物価連動国債も入れなけれ. 券より物価連動国債φウェイトが大きいことが.  ばならない.また債務のデュレーションがかな  り長㊤ため,10年の物価連動国債や20年の名目.  最後に,実質金利の上昇につれて賃金が上が’.  債券のデュレーションだけでは足りないので,. るのに伴って給付も改善されるという1ケースは,.  キャッシュをショートして(借入れを行なって). 債務のインフレデュレ「ションは前のケースと.  レバレッジをかけて投資する必要がある.もっ. 同じなので,名目債券への投資は同じとなる・. 注目される..  と長い名目債券や物価連動国債を使えば,借入. この一方,債務の実質金利デュレー一シeTンは前.  れは余りしないですむ.. のケ・一・一スより小さいので,その分だけ物価連動.   次に,年金給付がインフレスライドするケー. Ii目債への投資が小さくなる,借入れ(キャッシ.  スは,物価連動国債のウエイトがかなり大きく. ュのショート)もそれに応じて減ることになる、.

(14) 横浜経営研究 第26巻 第2号(2005).    L 6e(22?). 注. 6、お.わりに.  以上tいずれのケースでも,年金ALMにお いて,靭価連動国債がかなりのウエイトを占め. ることが分かった.とくに給付がインフVスラ イドあるいは賃金スライドする場合は,物価連 動国債が不可欠といえる..  このよ一うに2つデュレーションを合わせる年. 金AL,Mは,ダブル・デュレーション・マッチ ングと呼ぶことができよう.それは,繰り返し になるが,期待インフレ率と実質金利の変動に よる債務の変動をヘッジするものである.この. 両者が将来の給付額の予想とその評価観在価. ユ)2002年9月の「退職金・年金に閲する婁態調  査」によると,賃上げがあると,年金や退職  金に全額はね返るという会社が19.3%,賃上げ  の一部だけがはね返るという会桂が3a6%であ  った.       』      , ‘2)年金ALMにおけるリズクヘッジとリスタテイ  クについては,浅野[20e3]を参照.  .− 3)こうした分析については,浅野・矢野[2001]  および矢野[2004ユを参照..         参考’文献 浅野幸弘「積立不足の原因と問題」ぎ証券アナリスト   ジャーナル』2003年3月. . 浅野幸弘・藤林宏・矢野学ぎ企業年金の資産遅用』   r}コ央‘還済社, 20G3年.. 値)を動かすので,それをコントロールするた. 浅野幸弘・矢野学iインフレと年金債務,資産運用」. めである.しかし,年金給付額,あるいはその.   『横浜経営研究」 2001年9: 12月合i)t’号. ,. ベースとなる基準給与は期待インフレ率によっ. 西岡慎一・馬場直彦「わが国物価連動国債の商晶性   と役割について」『日銀レビュー』2004年4月.. て変動するわけではない.それは,実際のイン. 矢野学 「物価連動債と年金ALM」『証券アナリス. フレすなわち実績のインフレによって変動する..   トジャーナル』2004:年7月.. 前に変動利付債について触れたが,実際のイン フレは期待インフレどおりになる・とは限らない.. 実際のインフレが期待と違つたら一eすなわちサ. プライズのインフレが起こったら,上のような. Bo函e, Z.‘‘1皿自ation, Inde革一Linked BondS and Asset.   Allocatlon,“Journalロf’Portfoiio Management,   IKTinter J990.                                 ・    I. Boudo且kh,」.靱d M.’Richardson,“Sto寧Retiurns   and工nfiation:ALongrllorizon pqrSpective.特   Ahierican Economic ’Revietv, Se’ pteniber 1993:. デュレーションマッチングでは,債務の変動に,. Fama, E−F.,“Stoek Return, Real Activity,1㎡lation. ’追随できない.ただし,物価連動国債は実績の.   and Money∴4mer∫ca刀Eco刀omjc Review,. インフレに従って元本やクーポンが調整される ので,サプライズのインフレにも対応する..  さらに,実際の運用では超過リターンを得る た’めに株式のリスクを余分に取ったりするが,. それと同じように,インコレリスクや実質金利 リスクをとることによって超過リターンを上げ. られる可能性がないわけではない.その場合, ’インフレリスクや実質金利リスクはどれくらい か,またそれに対してどの程度の超過り’夕一・ン.   September 1981. Feldstein,兎[.,“Inflation a皿d Stock Market,”   A」metican Economic Review, De亡emb6r 1980, Kothari,・S. P. apd J、 Shankeni“Asset Allocatioq.   with InfEation−Protected]30nds,” Finap. ciai   Ana」ysts JOurnai, January/FebruarSr 2004.. L曲6witz. M L.‘‘Tot泣Portfolio Dut’ation:A New   PerSpectiv.e on Asset AII日cation,”Fin a皿cial   Analysts Joロi’nal, September/October 1986’, Sieg已1, L. B, and M. B. WarSng,”TIPS, the Duai.   Duration, and the Pensiqn Pユan,” F∫皿ancfal   An a∫ys t$ 」ロurna1, September/October 2004.. が得られるのか,そしてそうならばどれくらい. 〔あ’さの ゆきひろ・横浜国立大学大学院国際社会科学研究科教授〕. そのリスクを取ったらよいかは,デュレーシー1.            一  〔2005年5月61ヨ受理〕. ンマッチングでは十分把握できない.これらに 答えるには,インフレを実績と期待に分けると ともに,インフレや実質金利のリスクとり夕一’ ンの閲係をモデル化する必要がある3).  一 t.

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