• 検索結果がありません。

株主代表訴訟の終了と監査役の責任 : 新会社法・不提訴理由書制度と847条(1)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "株主代表訴訟の終了と監査役の責任 : 新会社法・不提訴理由書制度と847条(1)"

Copied!
19
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)株主代表訴訟の終了と監査役の責任 一新会社法・不提訴理由書制度と847条(1)-. 三田栄治. l. はじめに. Il問題提起 川. 裁判所の介入. IV. 監査役の責任と経営判断の原則(以上本号). ∨. 理由書記載事項と会社の機会. Vl監査役の独立性と構造的偏向問題 Vllその他の諸問題 v=. l. 結語(次号予定). はじめに. (1)株主代表訴訟制度の改革と会社法現代化 平成17年6月29日にわが国で新会社法法案が参議院本会議で可決成立した. (平成17年法律第86号)。■施行期日は平成18年5月が予定されている。会社法 現代化までの過程では,会社法現代化要綱試案及び要綱において,有限会社の 廃止,機関構成,最低資本金撤廃,. M&Aの活性化等が主なテーマとして議論 209.

(2) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). された1)。. 本稿は, ■■その中でも代表訴訟制度及び監査役強化の議論のうち,特に長期間. 議論の対象となった米国の訴訟委員会導入論及び新たに創設することとなった 不提訴理由書制度の運用上の問題点につき検討を行うものである。不提訴新制 度の施行は本論稿の時点ではなされていないが,会社法現代化部会での議論の 過程で出された論点,及び諸外国の類似の制度の問題点を検討することで,今 後予想されるであろう制度の注意点及び方向性を検討することは有益であると 思われる。. (2)不提訴理由書制度の立法内容 不提訴理由書とは,株主が会社に対し役員等の責任を追及する訴えの提起を 請求した場合に,会社が60日以内に訴えを提起しないときには,当該株主ま. たは当該役員等は,会社に対し訴えを提起しない理由を書面(不提訴理由書) により通知するよう請求することができる,とするものである(会社847条4. 項) (以下,新会社法は「会社」とする). 2)。監査役設置会社(監査役会設置会. 社を含む)では,■不提訴理由書の作成は監査役の任務に一なる(会社386条) (委員会設置会社では監査委員会). 。. 次に,この制度に関連して,会社法847条は責任追及等の訴えが当該株主若 しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的 とする場合(1項),責任追及当の訴えにより当該株式会社の正当な利益が著 しく害されること,当該株式会社が過大な費用を負担することとなることその 他これに準ずる事態が生ずることが相当の確実さをもって予測される場合(2 項),取締役等への責任追及の訴えを提起することができないとした。. これらの立法により,株主代表訴訟における濫訴を規制する法要備がなされ たといえるであろう。我が国では株主代表訴訟の濫訴につき,これまで担保提 供制度がこれを防いできた。しかし,この制度に対しては訴訟に入る前に実体 審理に実質的に入ってしまう点などにつき,過度な制度負担が指摘されてきた。 210.

(3) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任. 会社法847条を中心とした今回の改正は,会社にとっての無益な訴訟数の阻止 を立法化した点に意義が認められよう。. H. 問題提起. 問題提起に入る前に,株主代表訴訟の終了を裁判所が判断する仕組み,及び 不提訴理由書制度を立法化する必要性はどこから生じたのかについての議論を 簡単に説明する。これらのシステムを設計する上でその創出を求めるアプロー チには大きくは2つの要請があったと思われる。 1つは,従来の監査役制度をそのまま利用した上で,その権限強化の一環と して,会社(監査役)の提訴請求の正当性を問うことができる手続的規制を定 め,それが不当であ.るときにはじめて株主が代表訴訟を提起できる仕組みに改 めるべきであるという議論(新会社法で採用)である。. 2つめは経済界からの. 要請を中心に出された,米国の訴訟委員会制度を導入すべきであるというアプ ローチである3)。両者ともに共通していたのは,株主代表訴訟の濫訴の防止で ある。その中でも前者は,これまでわが国の株主代表訴訟制度の構造が会社 (監査役)が提訴しない理由を問わず,株主の提訴は監査役の考慮期間60日を 経過した後は一律に全てなされる形態に問題ありとし,それが監査役が提訴請 求の理由を検討するインセンティブを削ぐという理由から不提訴理由書の創設 を導く構成をとっている4)。 今回の立法では後者,すなわち米国の訴訟委員会制度の導入は行わなかった. が,制度上接木国の訴訟委員会の機能と酷似した制度が導入されたと思われる。 会社法現代化部会の長であった江頭教授は「しっかりした内容の不提訴理由書 が株主代表訴訟の被告となった役員等の手を通じて裁判所に提出された場合に は,米国において信頼できる訴訟委員会の調査結果の具申があったのと同様の 機能を事実上果たすことが予想される。」. 5)としている。よってこのことから. 訴訟委員会制度自体を採用をしなかったことに対する,訴訟委員会導入論者か 211.

(4) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). らの批判は回避されることになるであろう。 他のメリットとして,不提訴理由書の導入により,役員等の会社に対する責 任の有無を判断する場合に社内の中立的な機関による問題の充実した調査がな され,、その結果が訴訟の審理に反映することが可能となり,会社が所有する訴. 訟判断上必要となる大部分の資料を提出させることができることが指挿される6)。 そこで,次に問題となるのは,具体的に制度を運用する上の問題点,すなわ ち上で述べたメリットが現実に生じさせるためには理由書を作成する監査役 と,提出された理由書を吟味する裁判所等,わが国の関係各機関が具体的なレ ベルでどのような要件,基準の下で行動をし,判断を行うのかという点に焦点 を移し,検討を行う必要があろう7)。 運用上生じると予想される問題としては,様々なものが考えられるが,株主 側からの最大の関心は,裁判所の濫用すなわち株主代表訴訟の終了が実質的に 取締役o)責任軽減につながるのではないのか,という点になるであろう。特に. 会社法8年7条2項が規定する, 「責任追及当の訴えにより当該株式会社の正当な 利益が著しく害されること,当該株式会社が過大な費用を負担することとなる ことその他これに準ずる事態が生ずることが相当の確実さをもって予測される 場合」という条項とも併せて考えた場合,どのような場合に訴訟が終了するこ とになるのかについては新たな問題になりえると思われる。訴訟終了が株主にと って不本意な形で額発すれば,裁判を受ける権利に抵触する可能性も出てくる。 また会社及び監査役の側の関心事としては監査役の能力,及び不提訴理由書 のレベルの問題があろう。具体的には,. (彰米国では弁護士等が裁判所に報告書. を記載するのに対し,わが国では不提訴理由書のレベルが形式的・定型的な,. 皮相的なものとはならないか(監査役の作成能力の問題),. ②従業員監査役の. 独立性の問題,つまり構造的偏向が生じるのではないか,という点が主な論点 となる。そして,監査役からの最大の関心は,. @不提訴理由書作成にあたり,. 米国訴訟委員会と同様経営判断の原則が適用されるのか,もし慨怠を行い,被 告取締役が敗訴した場合,監査役に責任が生ずるか, 212. ②直接適用されないとし.

(5) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任. ても調査レベルはどの程度であれば免責されうるのか,という問題が生じうる。 これは,本来監督是正の機能を担う監査役が,不提訴理由書を書くことで取締. 役の責任軽減を擁護してしまうので峠ないのかという,機関構成上の本質問題 とも繋がる問題ともいえよう。 以下では,上で列挙した各問題点について,米国及びドイツでの議論を参考 に我が国での制度運用上,各機関が抱えるであろう問題につき検討を行うこと を目的とする。. =. 裁判所の介入. ここでは,不提訴理由書制度の運用において,裁判所が注意を要する問題を 検討する。裁判所はどのような基準に基づいて監査役の提出した不提訴理由書 を判断し,訴訟の終了を決定するかが問題となる。特に,裁判所の訴訟終了権 の音監用は前述のように株主の憲法上の裁判を受ける権利を侵害する可能性もあ ることから,慎重な検討が必要である。これについては,会社法現代化要綱試 案及び要綱で議論された,米国の訴訟委員会制度,およびその前提として米国 の代表訴訟制度を概観することが有益であると思われる。我が国では訴訟委員 会制度は導入されなかったが,導入されなかった理由についてここで再確認し ておくことは,制度運用を考察する上で重要かと思われる。. 1会社法現代化での議論 先の会社法現代化の議論で訴訟委員会の導入について賛否両論があった8)。 賛成する見解としては,. ①嫌がらせ訴訟や会社o)'利益にならないと考えられる. 訴訟を早い段階で終結させ,訴訟追行に伴う被告取締役や会社の負担を回避す. る途を開きたい(主に実業界). 9),. (参人を得て運用されるならば,争点がい事. 前に整理され訴訟進行にも資するとの意見(最高裁)などあった。 これ等の意見は米国において訴訟委員会制度が裁判所,会社ともに莫大な訴 213.

(6) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). 訟費用,弁護士費用を縮減する目的で当初発生したことが背景にあると思われ る。ただし,これについては不提訴理由書制度にても同様の機能は果たしえる と思われる。. 訴訟委員会導入への反対意見として, む)のなり手が不足している,. (∋わが国では社外取締役(監査役も含. (参米国では訴訟委員会の判断の妥当性を一切裁. 判所が審査しないとすれば,適切な代表訴訟まで封じられてしまうおそれがあ り,逆に,訴訟委員会d)判断を実質的に裁判所が審査するとすれば,どれだけ 実際上の意味があるのか,かえって訴訟を遅延させてしまうのではないかとい う意見があった10)。 (Dについては不提訴理由書は監査役を半数とすることで緩. 衝されたが,この間題は後述する。次に②については,裁判所が監査役の調査 をどの程度信頼すべきかにつき,アメリカ判例を参考に,アメリカでの問題点 を反映,克服する形で運用がなされるべきであろう。運用上は過度な調査(訴 訟経済)と権限濫用の調和が重要となる。. 2. 裁判所のアプローチ方法. (D不提訴理由書の位置づけ まず,我が国においては不提訴理由書の守備範囲はどのようになるかが問題 となる。大別をすれば,代表訴訟は取締役の責任及び法令違反等のレベルによ ①取締役の責任,法令違反等. り以下の場合に分類されると思われる。つまり,. が明白な場合, ②取締役に過失があると思われる場合, 強い場合(図利加害目的). (847条1項但書). ③株主の濫訴の疑いが. ll)である。大変大まかな分類で恐. 縮ではあるが,不提訴理由書を考察する上では(むの過失と(彰の濫訴との間のグ レーゾーンが問題となると考えられる■.2)。. 取締役の責任が会社(監査役)の目から見て明白であれば,監査役も却下が 濃厚なので不提訴理由書を書くインセンティブはなく,訴訟は本訴に進むこと となる。本訴に進んだ場合は,会社法成立前と同様,賠償額の算定及び経営判 断の原則等の審査が行われることとなろう。また, 214. ③の場合は,例えば長崎地.

(7) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任. 判平成3年2月29日(長崎銀行事件). 13)等が代表例である。この事件では原告. が被告-の圧力により金銭的利益を得るための取引き手段として訴訟をしたと 認定されたが,新会社法においてはこのレベルでは理由書の主張により却下さ れることとなるであろう。 ちなみに(丑の類型については,これまで担保提供制度が濫訴の防止の役割を 担ってきたが,この制度についてはいくつかの批判がなされてきた14)。具体的 には実体審理にまで踏み込んでしまう点,及び本来の制度趣旨から離れている 点,及び過度な制度負担であるとの指摘がなされてきた。不提訴理由書はその 意味で担保提供制度と併用されることで濫訴の防止の実行性を挙げることがで きる点が評価されるであろう。 ②特別訴訟委員会による株主代表訴訟の終了 次に監査役から不提訴理由書が提出された場合に,我が国の裁判所はどのよ うなアプローチにより判断を行うのかが問題となる。この問題については,栄 国の訴訟委員会制度15)が参考となるので,概観を行う。 裁判所の審査範囲については判例・学説上議論があるが16),特にアメリカで は我が国と異なり経営判断の原則をどの程度信頼すべきかという点が焦点とな る17)。代表訴訟が会社の最善の利益に反するとして却下されることを主張する 委員会の申し立てについて従来の判例18)は米国では主に4つに分類されている が19),ここ′ではそのうち主要な2つのアプローチについて検討を行う。米国に おける裁判所の審査範囲は,我が国では監査役の作成した理由書をどこまで信 用すべきかという問題とつながることとなる。. アプローチは主に①手続的アプローチと②2段階アプローチが存在する20)。 第1は伝統的な経営判断の原則を適用して利害関係を有しない取締役より成 る特別訴訟委員会の代表訴訟に関する決定を尊重する判例の分類であり21),第 2は提訴請求の要求される場合には代表訴訟を却下する特別訴訟委員会の決定 に経営判断の原則の保護を認め,提訴請求が免除される場合にはそのような特 別訴訟委員会の決定を2段階の審査に服させ,そして裁判所が委員会の決定に 215.

(8) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). ついて裁判所の独立した経営判断を行使して審査することを認める判例22)の分 類である。 ①につき,アウア-バッハ判決(1979年ニューヨーク州最高裁判所)では, 経営判断事項に対する裁判所の審査能力には限界があるこ とを示し,裁判所が 審査できるのは訴訟委員会のなした手続面のみであると・して委員会の決定を尊 重している23)。. この基準に従えば独立で利害関係のない者で構成される委員会が適切な手続 を経て下した決定であれば,その決定の内容については裁判所は審査をしない ということになるが,独立で利害関係のない者の決定でさえあれば,実際にそ れらの者が偏った判断を下したとしてもその決定は裁判所に尊重されてしまう という問題が生じる。. ②ではザパタ対マルドナド判決(デラウェア州最高裁判所) 24)が,たとえ独 立で利害関係のない委員会が誠実な決定をしたとしてもなお裁判所が一定の範 囲内で独自の判断を下すという,前述のような構造的偏向を考慮した審査基準 を示している。このアプローチは委員会の決定内容を審査しない前掲アウアバッハの判決の考え方と,そもそも委員会が決定すること自体も認めない構造 的偏向を重視する考え方の中間的な立場をとるものと言えるであろう25)。 Zapata判決については,構造的偏向に対しての安全弁になるとしてとして肯 定的な見解もある26)が,審査手続が長引き複雑になるということと,裁判所が 第2段階で独自の経営判断を適用することによって,委員会の決定の妥当性を. 内容に立ち入って事後審査する,すなわち後知恵で判断する(second-guess) ことになるという批判がある27)。またその内容が審査のために裁判所自身の独 立の「経営判断」を行使するということを認める点で批判されている。すなわ. ち経営判断原則の準用により裁判所は経営者が判断に至る手続の部分のみを審 査し,その結果経営者は萎縮することなく経営判断を下してきた250年間にわ たる歴史をザパタ判決の裁判所が否定したという批判である28)。. 216.

(9) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任. ③我が国の司法審査 我が国において,不提訴理由書の審査のアプローチはどのようなものになる のかについては,議論があるところであるが,我が国の場合は裁判所がアメリ カ以上に訴訟委員会の独立性と手続e)適正さ.については慎重に吟味し,内容に ついてもそれなりのチェックは必要とする見解があることから29),実質的な審 査が行われる可能性が高い30)。 これは,. ①我が国においては経営判断原則の司法審査が米国と異なり実質審. 査までを対象としていること31),及び(彰わが国の代表訴訟法制が取締役会や監 査役の判断に信頼を置いていないこと32),及び③訴訟の相手方が取締役等の内 部者に限られるため会社の提訴請求拒絶の判断は当然に不当性を具備するとい った理由33)から来るものと考えられる占我が国では請求拒絶の内容にかかわら ず株主は直ちに裁判所に提訴請求できる点がアメリカとの大きな違いとなって いる34)。米国の場合は(トル我が国と異なり),まず形式的に訴訟委員会が要 件を満たすかという議論が先行することが前提となっているが,その後実質的 に審査すべきかという議論は州によって異なり,またアメリカ法律協会の『コ ーポレート・ガバナンスの原理』及びアメリカ法曹協会の模範事業会社法35)に おいて定義の統一を見ないことも訴訟委員会導入がなされなかった理由ともな っている。. ③裁判所の濫用の危険性 では,我が国実質審査がおこなわれるとすれば,濫用の危険性をどう回避す るかが論点となる。特に取締役の責任軽減を政策的に行う意図がある場合には 実質的な責任軽減とならないよう慎重を要する。これについては,不提訴理由 書が単に却下を強調制度としてではな■く,裁判所主導の和解(会社850条1項) や補助参加(会社849条1項)をも含めた,トータルな合理的解決をめざす制 度として機能することが望ましいとも割れる36)。三菱自動車事件等,和解後の コンプライアンス基金創設は1つの解決策かもしれない。 濫用が行き過ぎた場合は憲法の裁判を受ける権利に侵害する可能性がある 217.

(10) 横浜国際経準法学第14巻第3号(2006年3月). が,責任軽減は本来責任軽減制度の枠内で行うべきであろう37)。 また米国訴訟委員会制度のメリットとデメリットを注意深く検討した上で, 我が国ではそのデメリットを克服した形での慎重な運用が必要となるが,′. その. 場合,裁判所が弁護士の導入の励行及び不提訴理由書の内容の充実を指揮する ことで会社の監督是正機能の向上と訴訟件数の削減を図ることができると思わ れる。. lV. 監査役の責任. ・1監査役の提訴義務 新会社法施行前における現行商法267条は,株主が会社に対し書面をもって 取締役の責任を追及する訴えの提起を請求し(1項),その後60日(平成13年 改正前は30日)内に会社が訴えを提起しないときに,株主は会社のために訴 えを提起できる(3項)としている。そこで,監査役は提訴について,裁量権 を有するかどうかが問題となっていた。 歴史的には,昭和25年の商法261条の2は会社と取締役との間の訴訟につい て会社を代表する者は取締役会が定めるのを原則とし,提訴の決定権は代表取 締役ないし取締役会にあると解していた38)。 しかし,取締役とそれ以外の取締役との関係は信頼が置けない可能性がある ことから,昭和49年商法改正では監査役の業務監査権限が認められた(商274 条1項。ただし商法特例法上の小会社は除く。商特25条)。しかし,取締役の 行為が法律上あるいは契約上の義務に違反する場合,取締役に村する民事責任 の追及は監査役の任務となったが,任務については,単に会社・取締役間の訴 訟にける会社代表権限として規定されているため39). (商法275条の4。ただし商. 法特例法上の小会社を除く。商特24条),取締役の責任を追及するに際しての 監査役の提訴義務の有無や,その範囲は,従来必ずしも明確には意識されてこ なかった。 218.

(11) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任. 通説は監査役が取締役の責任追及のための提訴権はもとより,提訴の是非に 関する決定権も有すると解したが,その条件の分析は不十分なものとなっていた。. 2. 裁量説と義務説. 不提訴理由書は監査役の提訴(会社386条2項1号)については,裁量説40) を採用したと言えるであろう。では通説である義務説はどのような位置づけが なされるべきか。これについてはドイツにて類似の議論があるので,検討を行う。 (丑ドイツの議論 取締役貞の義務違反行為により会社に損害が生じた場合に,監査役会はいか なる対応をすべきかという問題に対し,ドイツでは連邦最高裁判所がARAG/ Garmenbeck事件41)にて監査役会42)に課せられた提訴義務とその範囲について 判断を下している43)。連邦最高裁は義務違反の取締役貞に対して損害賠償を請 求することは,原則として監査役会の義務であるとしながら44),損害賠償を求 めないことが企業の利益に合致するという例外的な場合45)には,損害賠償請求 権の行使を差し控えることが認められると判示した。また義務違反の取締役員. た村して責任を追及するか否かの決定を事後的な業務監査の一環として行うこ とから,決定には裁量の余地はないとした46)。 この見解は義務説に立つものであるといえるが47),この説は責任追及訴訟の 提起は,損害填補により会社財産を回復し,かつ,取締役員の適法かつ公正な 職務遂行を促すための手段であると捉え48),義務違反の取締役員の責任を追及. することは監査役会の義務であるとする。そして,提訴義務の成立や曜訴の当 否に関する判断については,裁判所による審査が可能であるとする49)。 それに村し,控訴審判決50)は提訴の決定における監査役会の広範囲な裁量を 認め,かつ提訴の是非に関する司法審査も極力排斥する。理由としては監査役 会の業務監査が適法性のみならず合目的性・経済性に及び,これらの判断は, 事後的な司法審査になじまないとする51)。. 219.

(12) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). ②我が国における不提訴理由書制度の運用 我が国における不提訴理由書制度の創設においては上の議論,つまり裁量説 の説-くメリットすなわち企業側は訴訟に煩わされることなく,かつ裁判所も訴 訟負担を軽減することができる点が参考にされた。しかし,義務説かちは経済 活動は法秩序のもとに営まれており,監査役会は,会社の内部において出資を 保護し,業務執行の適正を監督する機構として法定されたことを想起すべきと いう反論がある52)。 そこで,我が国においても,これまで通説であった義務説53)を無視すること は,監査役の本来の職務に照らし出来ないものと思われる。 立法上,我が国の監査役は,取締役の業務執行を事前または事後に調査し (商274条2項,. 274条の3),一方で取締役の不正t不当な違法行為を早期に発. 見しそれが行われるのを未療に防止し(差止請求権。同275条の2),違法行為 が行われて会社に損害が生じたときは是正する任務がある。 よって,義務に違反した取締役員の責任を追及することも,法により要請さ れる監査役会の義務であると解するべきであろう。 そこで,両説をどのように調和・調整するかが問題となるが,上記連邦最高 裁判所判決は,提訴義務を原則としながら,提訴しないことが会社の利益とな る場合をかなり広範に認めている。また控訴審判決も監査役会の決定が明白に 違法な場合や,企業の存続を危うくさせるほど不利益な場合には,監査役会の 活動に裁量は認められず,取締役貞に村する訴えの提起が義務となるとしてい る54)。よって,我が国においては,前述の場合分けに応じた対応が必要である と考える。 すなわち;法令違反が明白な場合は監査役の提訴は義務があると考え,訴額 が少ない場合,あるいは株主が悪意の場合等,訴訟が却下される可能性が高い 場合は監査役に提訴の裁量を認め,理由書記載における調査を通じて裁判所が 判断をすることになるであろう55)。 もっとも,裁量の範囲が問題となるが,広範に裁量を認められる場合には不 220.

(13) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任. 提訴理由書による却下が責任軽減と同様の機能を持つ可能性があることかち, これについては慎重に吟味を行う必要が生じよう。 ③事前監視義務違反の責任および提訴拒否の当否 (a)事前監視義務違反 監査役が取締役の業務執行を事前に調査せず,取締役の不正・不当な違法行 為を発見できなかったことにつき慣怠があった場合はどのようになるであろう か。この問題については,. 3項4号,. ■新会社法においては内部統制構築義務(会社348条. 4項及び362条4項6号,. 5項) 56)が課されることもあり,.事前の見過. ごし,特に同僚意識による放任,擁護があった場合については責任が課される ものと思われる。. (b)提訴拒否の当否 次に,悪質な法令違反があるにもかかわらず不提訴理由書を記載して取締役 を擁護した場合はどのようになるであろうか。かつての提訴拒否の不当が問題 と重複するので検討する。. これまで監査役が取締役を提訴した例は,同族会社におけ息紛争や大会社に おける支配権争いでの交代における訴訟が主であり,監査役が現取締役を訴え ることは選任57)との関係で行いにくかったものと思われる。 しかし,監査役は上の問題とも関連するが,平素取締役の不正行為,注令違. 反につき取締役会に報告す為義務(会社382条)・があり,場合によっては差止 めるべき義務も負うことから(会社385条),それを僻怠した場合には取締役 と連帯して責任が問われることになると考えられる(商280条, 会社423条). 254条3項,. 58)。. 次に,監査役に経営判断原則が適用されるかどうかも問題となる。この場合 の経営判断原則は,新規投資等における判断の責任ではなく,米国訴訟委員会 における提訴請求の審査の適正に関するものと類似しよう59)。 これについては,まず株主が訴訟で勝訴をすればよく60),株主が敗訴をすれ ば監査役の責任は問題とならないとする見解がある61)。これらの見解は,取締 221.

(14) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月). 役の責任が確定しても監査役の責任には直結せず,別訴が必要で,監査役の違. 法行為が直裁に会社の損害になるとは限らないとする。また二経営判断原則は 適用されないとする見解がある62)。 しかし,監査役が取締役の業務執行の調査(商274条2項,. 274条の3,会社. 381条)及び不提訴理由書における調査がずさんなものであった場合は(前者. を事前調査,.後者を事後調査とした場合),監査役は責任原因事実の調査・分 析につき,十分な調査がなされたかにつき証明責任を負うものと考える。 調査が不十分だった場合は代表訴訟を招く可能性があるが63),悪質な慣怠の 場合には責任が問われても良いものと思われる。代表訴訟■の敗訴だけでは監査 役の公正性を保つインセンティブとしては脆弱なものとなり得る可能性があ る。監査役の責任追及のために別訴が必要となるかどうかについては,代表訴 訟及び理由書の裁判所の判断において,取締役と連帯してなされるものとして 不要となると思われる64)。. 1). 「会社法制の現代化に関する要綱案(平成16年12月8日・法制審議会会社法(現代化関係) 部会)」商事1717号10-33頁参照. 2). 「理由」とは,. (丑提訴請求に掲げられた事実関係についての社内調査の結果およびその証拠. 関係, ②社内調査により-判明した事実を前提とする役員等の損害賠償義務の有無についての 判断, ③役員等の損害賠償義務があるにもかかわらず,それを行使しない場合には,その理 由と解されるo相棒哲『一間-答. 新・会社法』. 261頁(商事法務・. 2005)参照。. 3)学会からは大杉謙一「株主代表訴訟の濫用への対処一担保提供・補助参加:訴訟委員会の諸. 制度について」判夕1066号50-63頁,永井和之「株主代表訴訟制度に串ける担保提供命令」 曹時50. (2) 311-333頁等は訴訟委員会導入を提案していた。. 4)前者として,出口正義「監査役の訴訟代表権と株主代表訴訟」田村詰之輔先生古稀『企業結 合法の現代的課題と展開』. 161-180頁(商事法務・. 『株主総会の理論』 274頁(有斐閣・. 2002),今井宏「会社訴訟と監査役」. 1987),江頭憲治朗『有限会社・株式会社』. 445頁(有. 斐閣・ 2005)があり,後者としては布井千博「取締役に対する民事責任の追及と監査役の提 訴義務. -ARAG/Garmenbeck判決事件を素材として-」. 『比較会社法研究』奥島孝康教授. 還暦記念第1巻381頁以下(辛ll),高橋均「株主代表訴訟終了制度における監査役機能利用 の考察」監査493号45-55頁がある。 5)江頭憲治郎「新会社法による不提訴理由書制度の導入」監査501号3頁. 6)江頭・前掲3頁参照。代表訴訟における原告の準備書面の不備,会社の沈黙等による裁判所 222.

(15) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任 の情報不足を改善する必要は以前より指摘されていた。最高裁平成13年1月30日民集55巻1 号30頁,. 「『会社法制の現代化に関する要綱試案』をめぐって」商事1685号25頁[江頭憲治. 郎発言]西川元啓「株主代表訴訟制度の見直し-適正な制度の構築のために」商事1697号 34頁参照 7)江頭教授は「役員等の責任の追及について,株主,社内監査機関,弁護士,裁判所等の関係 者がそれぞれどれはどの積極的な役割を果たすべきなのか,まだ日本では,社会的に合意が 確立したとはいえない。」とも指摘している。 8). 『会社法制の現代化に関する要綱試案に対する各界意見の分析』別冊商事法務273号41頁. (商事準務・2004年)参照。 9)日本経団連経済法規委員会「『会社法制の現代化に関する要綱試案』についての意見(2003 年12月24日). 」 (h仕p//keidanien.or.Jp/Japanese/policy/2003/127). 「会社法改正-の提言」を公表し,. ,日経連は2003年10即こ. 12月24日には法務省の意見照会に対応し,. 「会社法制の. 現代化に関する要綱試案についての意見」を取りまとめている。 10)商事1690号,各界意見の分析[Ⅲ]. 48頁以下の反対意見参照。日弁連は,訴訟委員会の要. 件をどのように設定して制度構築するかは容易ではなく,訴訟実務上も訴訟委員会の法定要 件該当性の審理が先決問題となり訴訟の遅延を招くなど,かえって代表訴訟制度の硬直化を 生ずるおそれがあるとしていた。他に吉原和志「取締役の村会社責任と代表訴訟」ジュリ 126770頁,弥永真生「株主代表訴訟と裁量棄却」 暦. 商事法-の提言』. /ト塚荘一郎,高橋美加編『落合誠一先生還. 345頁注50参照。. ll)担保提供における「悪意」は不当不法目的及び不当訴訟と解されている。東京地判平成6年 7月22日判時1504号121頁(蛇の目ミシン事件),大阪高決平成9年11月1・8日判時1628号 133頁(大和銀行事件) 12)前掲高橋均・監査493号50頁は,原告適格等の形式審査,請求事実の有無,法的根拠の確認 の他,却下申立ての判断基準として,個別具体的違法性,取締役の直接の関与,会社および 株主全体の利益の3つの要件が加わるとする。 13)判例時報1393号138頁,. 144頁. 14)江頭憲治郎,森本,滋,高橋宏志「取締役制度の理論と現実(61)株主代表訴訟濫用の防止 (3)担保提供申立て等」取法(71) の再検討」判夕(イムズ). 56-71頁(2000),新谷勝「株主代表訴訟と担保提供制度. 1009号17頁(1999),吉垣実「株主代表訴訟における担保提供制. 度:担保提供の要件についての検討を中心にして」東海法学21巻209頁(1999),南隅基秀 「株主代表訴訟における担保提供制度」法学政治学論究35巻329-354頁(1997),山田泰弘 「株主代表訴訟の担保提供制度における「悪意」の意義」名古屋大学法政論集165号443-472 頁(1996),高橋宏志「株主代表訴訟における担保提供をめぐって」商事1397号6-26頁 (1995) 15)先行研究として,小桜純「派生訴訟に対する取締役会の却下申立てと経営判断の法則」商事 1219号p29-31 号p23-25. (1990),同「経営判断の法則により代表訴訟を終結させる基準」商事1159 (1988),木村秀一「派生訴訟を終了すべき旨の取締役会委員会の判断と経営判. 断の原則」商事1153号p31-33. (1988),山科裕子「アメリカにおける株主代表訴訟一会社 223.

(16) 横浜国際経済法学第14巻第3号(2006年3月) (1996),井沼-. による訴えの取下げに関する問題を中心に-」企業法学5巻210-230頁p. 「ア. メリカ法における株主代表訴訟…特別訴訟委員会による経営判断の原則の適用について-」 中央大学大学院研究年報32法学研究科篇p465-485. (2002),春田博「アメリカ法における. 経営判断の原則の一考察」早稲田法学会誌35 『経営判断の原則』と代表訴訟」日本法学48 16) Abbey. &. v.Computer. (2). 615. F.2d. 51. F.Supp.1311. (S.D.Iowa 1981)_. (2d. Cir,. 1980),. Watts. (1983)等参照。. p175-202. Technology,. Commuhications. v.Alexander. (198・5),並木俊守「アメリカの. p343-374. v■.. 457 Des. A.2d. Moines. 368. (Del.Ch.1983),. Register. Galef. Tribune,. and. 525. 17)司法審査排除の側面は,代表訴訟を提起する前に原則として義務づけられている提訴請求と アメリカの民事訴訟制度の特徴であるプリ-デイングとの結びつきに起因するところも多 く,必ずしも経営判断原則の適用それ自体から引き出される効果であるとは言い切れないと 指摘する見解もある(青垣実「デラウェア州の経営判断原則について. -アロンソンケース. の検討を中心にして-」東海法学Ⅰ8号40頁(1997))0 18). Kelly. M.Crain,. under. Texas. Governance. Decisions I.aw,44. Baylor. :Analysis. and. of Sp■ecialLitigation L. Rev.. Committees:Solving I,aw. at178-192,.American. Institute, Principles of Corporate. §710, 131132.畠田公明「株主代表訴訟の終了-. Recommendations,. (3) (4) 537-544頁(1997.3),. アメリカの特別訴訟委員会を中心にして-」福岡大学法学論叢41. (2001 ・法律文化社) も4つの分類を行っている。また判例のみを収集・検討するものとしてAnnotation, 同『コーポレート・ガバナンスにおける取締役の責任制度』. of Termination by. Board. Initiated Derivatlve. of Properly. Actions. of Director岳Whose. of Control. Problem. the. Action. (or Inaction). by "Independent are. Propriety. Committee". Attack,. under. 172頁(2001). 22. ALR.. Appointed 4th 1206. 1983. Supp.1995). F. 2d759. 19)他に法令違反についてはMillerv.AT&T507 Wrigley,. 237. N. E.. (1974).,公序を扱うものにShlenskyv.. 2d等がある。. 20)他に,実質審査アプローチというものがあり■,提訴請求の要求される場合と免除される場合の 両方において特別訴訟委員会の決定に実質的な裁判所の審査を要求する判例の分類であるが,. ここで■は②の修正形態と捉える。アルフォード・ショウ判決が代表である。SeeAMordv.Shaw, 358S. 2d 215. E. 2d. :. Houlev.. bw,. App.. 1992).. (Tenn,. 556 N. E2d. 51. Auerbacbv.Benne仕,. 21)アウア-バッハ事件が代表である。 IASker. Burks,. v・. 567 F・ 2d 1208. (2d Cir・ 1978)・Joy Zapata. 22)ザパタ判決がその代表である。 23) Auerbachv.. Bennett,. 判所でのAueIもacb. 393N. v.. (Mass.1990). 323 (N. C. 1987). E. 2d994. Benne仕,. v・. Norh,. 393. N. E. 2d 994. 692 F・ 2d 880 430,A.. Corpv.Maldonado,. Boyd,. :Lewisv.. 838 S. W.. (N.Y. 1979).他に. (2q・Cir・ 1982)・. 2d 779. (Del. Supr1981).. (N.Y.■1979).控訴審判決につき,ニューヨーク州控訴裁. 47 N. Y2d. 619, 419. N.Y.. S2d. 920,は派生訴訟を終結するとの訴. 訟委員会の決定に経営判断の法則を適用したが州判決としては最初のものである。逆に Auerbacbv.. Bennett,. 408 N.Y.. S2d. 83.においても経営判断の法則については「委員が当該代. 表訴訟に利害関係を有しているかどうか,すなわち独立しているかどうか,委員会の用いた 調査の手続き,.方法が十分かつ適切であったかどうかについては裁判所の吟味から免れるこ 224.

(17) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任 とになるものではない」と判示している。 24). Corp'v.. LZapata. Maldonado,. 430A.. (Del. Supr.1981).評釈として森本滋・アメリカ法. 2d. 779. (19糾-1) 174頁以下,■戸塚登「ザパタ判決の研究(-)」阪大法学132号25頁以下(1984). 25). 0'KEI⊥YTⅢOMPSON,. note, at 484.. supra. 26)畠田・前掲176頁。 27). Dessis. J. Block. Derivative. 28). and. H.. Actions:Viva. Adam. Prussin,. Zapata?,. 37 BUS.. The. Business. I.aw. 27.58. Judgement. Rule. and. Shareholder. (1981).. Ⅰ.d.at63.. 29) 『会社法制の現代化に関する要綱試案の論点』 務・ 2004年). 〔森本滋発言〕別冊商事法務271号(商事法. 18頁参照。 (別冊商事法務248号)』 101頁以下・〔稲葉威雄発言〕 (平成13年)0. 30)阿部一正ほか『取締役(6). 31)川演昇「米国における経営判断原則の検討(1). (2) 79-101頁(1983),. ・(2 ・完)」法学論叢114. (5) 36-61頁(1984). 同114. 32)岩原紳作「株主代表訴訟の構造と会社の被告側-の補助参加」竹内昭夫編『特別講義商法Ⅰ 235頁(有斐閣・. 』. 1995)。わが国の株主代表訴訟における提訴請求と監査役の役割について. は伊藤靖史「株主代表訴訟の概要と監査役の役割」監査471号52-53頁(2001)参照。 33)池田辰夫「株主の代表訴訟の法構造」阪大法学149-150号260頁(1989). (2) 230頁以下(1997). 34)土田亮「株主権としての株主代表訴訟(二・完)」上智法学論集41 は,当然に不当性を帯びることの理由が明確でないとする。 I-aw. lnstitute,. 7. ll. (1994),American. 35)American §7.. 07. -. Principles?f. Corporate. BarAssociatio.n,. Governance Model. Recommehdatons. ‥AnalysisAnd. Bus.. Corp.. §7. 44 (1996).. ActAnn.,. 36) 「『会社法制の現代化に関する要綱試案』をめぐって」商事1685号24頁[森本滋発言],江 頭憲治朗他「『会社法制の現代化に関する要綱案』の基本的な考え方」商事1719号24頁[森 本滋発言]。 37)黒沼悦郎「株主代表訴訟における担保提供制度の趣旨と「悪意」の定義」神戸法学雑誌49 巻4号1-23頁,弥永真生「株主代表訴訟と裁量棄却」 生還暦. 商事法-の提言』. 38)石井照久『会社法上』. /ト壕荘∵郎,高橋美加編『落合誠一先. 348頁参照。. 361頁(昭42). 39)これは取締役・会社間の利益衝突の防止のためにも監査役が会社を代表するのが適当である と考えられたことによる。上柳克郎ほか編『新注会(6)』. [鴻常夫] 472頁(有斐閣・. 40)昭和25年当時既に少数説ではあったが伊津孝平『註解新会社法』・. 1987). 455頁,.島本英夫「代表訴. 訟制度」商事41号19頁(1956)があった。永井和之「株主代表訴訟制度改革とコーポレー ト.ガバナンス」企業会計50巻4号32頁(1998),前掲・今井274頁,前掲・江頭『株式会 社・有限会社』 41). BGHZ. 445頁参照。. 135, 244, BGH,. 1997, 1068, Behr. / Kndl,. DStR. 1999,. DStR. 1997,. Ort. vom21. 880,. Zur VeI廿etung 119. ; Hager,. Die. DZWIR. 4. 1997, 1997,. ZIP. S. 883_AG. 322, JZ 1997,. der Aktiengesellscha# Vertretung. 1997,. 1071,. gegemiiber. der Aktiengesellschaft. 1997, VersR. 377 1997,. ehemaligen im. 1997, ,BB 886, WM. 1169. ,. DB. 1997,I 970,. Vorstandsmitgliedern,. Prozess. nit ihrenfrtiheren 225.

(18) 横浜国際経済法学第.14巻第3号(2006年3月) Vorstandsmitgliedern, NJW. 1992,. 352. ; Steiner,. Aufsichtsrat, BB. 1998,. 1910. ; Werner,. durch. den. Ein. Vorstandsmitgliedern-. Beitrag. Die Vertretung. des. kleinen. Aktiengesellschaft. der Aktiengesellschaft. Vertretung. Auslegung. zur. der. § 112. AktG. -,. ZGR. gegentiber. 1989,. 369.高橋英. 治「ドイツ法における経営判断の原則」法学雑誌48巻4号1264-1286頁(2002)参照。 42)監査役員は単独では権限を行使できず,合議体としての監査役会が権限を行使する点は留意 する必要がある。 DZWIR2006,. 43)この間題に関するドイツの最近の議論として, 113, ZHR. 2005,. 648,. Dtisseldorf,. 44)第一審判決(LG. 2005,. ZVglRWISS. 376, ZHR. Ort.vom. 2005,. 14. 3. 1994,. 50, ZVglRWiss. 181, BB. ZIP. 1994,. 2005, S.. 2006,. 1, BB. 2006,. 565参照。. 628.)も原則として取締役貞に. 対する責任追及訴訟の提起は監査役会の義務であるとした。 45). BGH. ZIP. 1997,. S.. 885gf.例外の場合の検討は次稿に譲る。. 46)根拠としては株式法111項1号(業務執行を監視義務)及び株式法112条(監査役会の会社 代表権限)を挙げる。 §112AktG. EWE. 47)Timm,. Ermessendes. 1 / 94, S.629. Aufsichtsrats,. Aufsichtsratsbeider. ZIP. ; Noack,. ZIP1995,. Yon. S, 1157. DieHaftung ZIP1997,. 48). Raiser,. Haftungsanspruchen. des. Vorstands. S. 1129;. Priester,. NJW1996,. S. 554. Vorsbndsmitgliedem,. 49). BGIi. ZIP. 50). OLG. Dusseldoif,. 51). Dreher, 629. 1997,. Das. Nirk,. ;. 52). Raiser,. NJW. OLG. Ort.. vom. Zur. §112AktG. EWiR ; Gatz,. Die. Zu. den Pflichtendes Aufsichtsratsbeider AG,. Vorstandder. AktG. von. die. und. DB1997,. Pflichten. des. S. 1117. ; Horn,. Aufsichtsrats,. 1 / 97, S. 678. PflichtdesAufsichtsrats. zur. Haftbarmachung. von. S. 3277.. 22. 6. 1995, Aufsichtsrats,. ZIP. 1995, S. 1183. ZHR. Justiziabilitat unternehmeriscber. Boujong (1996). ,. 1994, S. 614. ; Rittner,. EWiR. Entscbeidungendes. §116AktG. 1. Aufsichtsrats,. /. 95, S. in. :. S. 393.. 1996, S. 554.. Dusseldorf. [鴻常夫] 474頁 ZIP1995,. 55)前掲今井『会社法の理論Ⅲ』 ・注6. §93. gegenuber Emessen. S. 886.. 53)前掲『新注会(6)』 54). den. gegenuber. Ermessendes. S. 522 ; Raiser, P血chtund. ; Thummel,. der AGlnaCh. NJW1997,. Ermessendes. Festschriftfur. Zumunternehmerischen. Scbadensersatzansprucben. ; Kort, DZWlr1995,. S. 552. Aufsichtsratsmitgliedern,NJW1996, von. S. 341 ; utter,. 1995, S. 441 ; Jaeger / Tralitzsch, Unternehmerisches. Geltendmacbung. Vorstandsmitgliedern,. Verfolgung. DZWTlr1994,. (有斐閣,. S. 1191fE.. 274頁,. 401頁注18。江頭憲治朗『有限会社・株式会社』. 445頁. 2005)否定説は取締役の義務違反が明確である場合に会社の評判や経済的損. 失を考慮することは許されないとする。近藤光男「経営判断の原則と監査役」監査382与19, 27頁(1997) 56)・内部統制構築義務は,大阪地判平成12年9月20日判時1721号3頁(大和銀行事件)におい て既に指摘されていたが,新会社法以前に委員会等設置会社において商特21条の7第1項2 号及び商法施行規則193条が立法化された。大会社については要綱案第二部・第三部(5) 226.

(19) 株主代表訴訟の終了と監査役の責任 で検討されていたが,新会社法にて立法化に至った。内藤文雄「内部統制システム構築に関 する決定」. (中央経済社・. 156-166頁,中央経済社編『新「会社法」詳解』. 俊明『新会社法が求める内部統制とその開示』. 2005),土田義憲. 71頁以下(中央経済社・. (中央経済社・. 『会社法の内部統制システム取締役による整備と監査役の監査』 ずさ監査法人『内部統制ガイドブック』. (東洋経済新報社・. 2005),長谷川. 2005),あ. 2005),大川俊「商法上の内部統. 制概念に?いて」法学研究論集22p23-37参照o米国の研究として・柿崎環「アメリカ証 『比較会社法研究』 241頁以下,河村賢治「米国における企業統. 券取引法10A条と内部統制」. 治改革の最新動向」商事1636号等。また内部統制システムの整備を示した新法務省令は 2006年2月7日に公表されている。 57)監査役の人事権が事実上取締役,社長に掌握されていることを指摘するものとして,久保利 英明「社外役員制度と株主代表訴訟の現状」 バナンス』 (日刊工業新聞社・. 165頁,久保利ほか編『日本型コーポレートガ. 1998),山下・前掲15頁. 58)元木伸『監査役と監査役会の実務』. 75頁以下(中央経済社・. 1997年)。稲葉威雄「取締役の. 責任の新しいかたち一時に代表訴訟について」は,理由書の中身の充実の重要性を説き,責 任減免処理についても説明すべきとする。 59). ALI,. Principles. of Corporate. Governance. :Analysis. and. Recommendations. (1994) §7・09 (a) (1)I. 60)前掲・阿部ほか107頁以下〔稲葉威雄発言〕 61)前掲・出口174頁。 62)山下・前掲12頁,田村講之輔「最近の株主代表訴訟事件とその問題点(中)」監査329号18 頁(1994),近藤・前掲七頁,伊藤靖史「株主代表訴訟の概要と監査訳の役割」監査471号 53頁。ドイツでは,監査役会による提訴の是非の決定は行為領域(企業家的任務)の問題で なく,認識領域(監査任務)の問題であるとする(判例・通説)。. BGHZ135,S・244. 63)黒沼悦郎「株式会社の業務執行機関」ジュリ1295号73頁 64)諸石光興「新会社法における取締役の責任と代表訴訟提訴請求に対する監査役の対応」監査 507号36頁,前掲:出口175頁は監査役の提訴拒否が不当な場合は監査役の義務違反の責任 が明確になり,株主が代表訴訟で勝訴する蓋然性が大きくなると指摘する。. 227.

(20)

参照

関連したドキュメント

2 当会社は、会社法第427 条第1項の規定により、取 締役(業務執行取締役等で ある者を除く。)との間

対象自治体 包括外部監査対象団体(252 条の (6 第 1 項) 所定の監査   について、監査委員の監査に

[r]

① 新株予約権行使時にお いて、当社または当社 子会社の取締役または 従業員その他これに準 ずる地位にあることを

「社会福祉法の一部改正」の中身を確認し、H29年度の法施行に向けた準備の一環として新

さらに, 会計監査人が独立の立場を保持し, かつ, 適正な監査を実施してい るかを監視及び検証するとともに,

取締役(非常勤) 武谷 典昭 当社常務執行役 監査役 大河原 正太郎 当社監査特命役員 監査役 西山 和幸

取締役(非常勤) 森下 義人 東京電力パワーグリッド株式会社常務取締役兼東京電 力ホールディングス株式会社経営企画ユニット経理室 監査役. 松下