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連日カルボプラチン投与による化学放射線療法後デュルバルマブを使用したⅢ期非小細胞肺癌の3例 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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連 日カル ボプ ラチ ン投与 に よる化学放射線 療法後

デ ュルバル マブ を使用 したⅢ期 非小細胞肺癌 の3例

山梨大学医学部 第二内科

大森千咲 曽我美佑介 井手秀一郎 小林美由紀 増田和記 齊木雅史 石原裕

要 旨 : 近 年 、 Ⅲ 期 非 小 細 胞 肺 癌 に 対 す る 化 学 放 射 線 療 法(concurrent chemoradiotherapy;CCRT)後 に 抗PD-L1抗 体 の デ ュ ル バ ル マ ブ に よ る 維 持 療 法 が 施 行 可 能 と な っ た 。 Ⅲ 期 非 小 細 胞 肺 癌 と診 断 され た 高 齢 の 症 例 に 対 し て 連 日 カ ル ボ プ ラ チ ン に よ るCCRTを 施 行 し 、 病 勢 を コ ン ト ロー ル し た 上 で 遅 滞 な くデ ュ ル バ ル マ ブ の 維 持 療 法 に 移 行 した 症 例 を3例 経 験 し た 。CCRT後 に デ ュ ル バ ル マ ブ 投 与 基 準 外 と な っ た 患 者 群 の 特 徴 と し て 高 齢 、男 性 、高 い 肺 線 量 が 挙 げ ら れ て い る 。 こ の よ う な 患 者 で は 連 日 カ ル ボ プ ラ チ ン の 選 択 に よ り維 持 療 法 に 確 実 に 移 行 で き る 可 能 性 が あ る 。 キ ー ワ ー ド:非 小 細 胞 肺 癌 、化 学 放 射 線 療 法 、連 日カ ル ボ プ ラ チ ン 、 デ ュ ル バ ル マ ブ は じめ に 肺 癌 診 療 ガ イ ドライ ン2018年 版 で は切 除 不 能 局 所 進 行 非 小 細 胞 肺 癌 の標 準 治 療 と してCCRTが 位 置 づ け られ て い る1)。 中 で も シ ス プ ラ チ ン ー 括 投 与 が 不 適 な 高 齢 者 の Ⅲ 期 非 小 細 胞 肺 癌 に 対 し て 連 日カ ル ボ プ ラチ ン に よ るCCRTが 勧 め られ て い る 2) 。2018年8月 か らCCRT後 の 維 持 療 法 と して 抗PD-L1抗 体 で あ る デ ュル バ ル マ ブ が 使 用 可能 とな っ た3)。 当 院 で Ⅲ 期 非 小 細 胞 肺 癌 に 対 し 連 日 カ ル ボ プ ラ チ ン に よ る CCRTを 完 遂 して デ ュ ル バ ル マ ブ 投 与 へ 移 行 した3症 例 に つ き報 告 す る 。 症 例 症 例① 77歳 男性 、PS1 左肺 下葉 扁平 上皮癌 cT4N1MO StageⅢA 現 病歴:か か りつ け医で レン トゲ ン異 常 を 指 摘 され 前 医を受診 した。気管 支鏡検 査 で 肺 扁 平 上 皮癌 の診 断 とな り加 療 目的 に 当 科 紹介 とな った。 既往 歴 :虫垂炎 喫 煙 歴:current smoker(30-40本/日 ×57 年) 職 業 歴:産 業 廃 棄 物 の 収 集 運 搬 処 分 、 粉 塵 暴 露 あ り 入 院 時 現 症:167cm、57.2kg、 体 温 36.9℃ 、SpO2 95%(room air)、 左 肺 で coarse cracklesを 聴 取 し た 。 血 液 検 査:入 院 時 にCRP 14.16mg/dl、 WBC 12850/μlと 高 値 で あ り肺 炎 の 合 併 が 考 え られ た 。SCC 5.30ng/ml、 シ フ ラ 33.39U/mlと 腫 瘍 マ ー カ ー の 上 昇 を 認 め た 。 画 像 所 見(Fig.1):CTで 左 下 葉 に11cmの 腫 瘤 あ り 、 肺 門 、 縦 隔 リ ン パ 節 腫 大 を 認 め た 。fluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)で 肺 腫 瘍 、 腫 大 リ ン パ 節 にFDG集 積 を 認 め た 。 入 院 時 の 胸 部 レ ン トゲ ン で は 左 下 葉 の 腫 瘍 の 周 囲 に 浸 潤 影 が 新 出 し て い た 。 臨 床 経 過:前 医 で 扁 平 上 皮 癌 の 診 断 で あ り、EGFR、ALKは 陰 性 、PD-L1発 現 率 (Tumor Proportion Score:TPS)は 、

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15%で あ っ た 。77歳 と高 齢 で あ り、 腫 瘍 径 が大 き く高 い肺 線 量 が 予 想 され た た め (V20 13.58%、V5  69.89%、VS5  1624cc)、 連 日カ ル ボ プ ラチ ン に よ るCCRTを 開 始 し た 。 カル ボ プ ラ チ ン は45㎎/day(30 mg/m^2×1.623)でday1か ら20回 投 与 し た 。 放 射線 照 射 は60Gy/30Frを 完 遂 し た(Fig.2)。Day1か ら14ま で肺 炎 に 対 す る抗 菌 薬 治 療 も並 行 して 行 っ た 。 経 過 中 に グ レー ド3以 上 の 有 害 事 象 は 認 め ず 、 CCRTに よ る 治 療 効 果 はPRで あ っ た 。 速 や か にデ ュ ル バ ル マ ブ 投 与 に移 行 した。 デ ュル バ ル マ ブ 投 与 開 始8週 後 のCTで さ ら な る腰 瘍 縮 小 が 認 め られ て お り、 現 在 も 投 与継 続 中 で あ る 。 Fig.1A  症 例 ① 診 断 時 のFDG-PET Fig.1B  症 例 ① CCRT終 了 後 の造 影CT Fig.1c  症 例 ① デ ュ ル バ ル マ ブ 開 始8週 後 の 造 影CT Fig.2  症 例 ① 放 射線 照射 時の線 量分布 症 例 ②  77歳 男 性 、PS1 左 肺 下葉 腺 扁 平 上 皮 癌 T4N1MO  StageⅢA 現 病 歴:X年4月 下 旬 よ り左 胸 部 痛 あ り、8 月2日 に 当 院 麻 酔 科 を 受 診 した。CTで 左 胸 膜 の腫 瘍 の 脊 柱 管 内 進 展 を認 め 、原 発 性肺 癌 の 疑 い で8月27日 当科 紹 介 と な っ た。 既 往 歴 :慢 性 腎 臓 病 、 高 血 圧 症 、 高 尿 酸 血 症 喫煙 歴:current  smoker(20本/日 ×60年) 職 業 歴:機 械 加 工 業 、 粉 塵 暴 露 あ り 一30一

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入 院 時 現 症:163cm、50.Okg、 呼 吸 音 清 、 ラ 音 な し、左 胸 部 痛 あ る が 運 動 障 害 や 感 覚 障 害 は な し。 血 液 検 査:BUN29.8㎎/dl、Cre1.42mg/dl と腎機 能 低 下 を認 め た。SLX44ng/ml、SCC 2.80ng/ml、 シ フ ラ8.22U/mlと 腫 瘍 マ ー カ ー の 上 昇 を認 め た 。 画 像 所 見(Fig.3):CTで 左 下 葉 の 胸 膜 か ら Th6-7椎 体 に か け て 腫瘤あ り、 骨 浸 潤 と脊 柱 管 内 へ の 進 展 を認 め た 。第5、6肋 骨 に 病 的 骨 折 が あ っ た 。FDG-PETで 同 腫 瘤 に SUVmax22.89と 集 積 を認 め た。 臨 床 経 過:CTガ イ ド下 生 検 で 腺 成 分 を もつ 扁 平 上 皮 癌 の 診 断 と な っ た 。 ドラ イ バ ー 遺 伝 子 変 異 は 陰 性 、PD-L1の 陽 性率 は1%以 下 で あ っ た 。 生 検 後 に入 院 継 続 して 治 療 開 始 の 方 針 と した 。77歳 と高齢 で あ り連 日カ ル ボ プ ラ チ ン に よ るCCRTを 開 始 した 。Day 34に 有 害 事 象 と して(CTCAEver4.0)グ レー ド3の 血 小 板 減 少 を認 め た 。 ま た カ ル ボ プ ラ チ ン投 与後 、 外 来 で放 射 線 治 療 中 のDay 49に 高 カ リ ウ ム 血 症 に よ る洞 性 徐 脈 を認 め入 院 加 療 を 行 っ た がGI療 法 な どで 速 や か に 改 善 した 。 放 射線 照 射 は70Gy/35Fr を完 遂 した(Fig,4)。CCRTに よ る 治 療 効 果 はPRで あ り、 高 カ リ ウム 血 症 の 改 善 後 に デ ュ ル バ ル マ ブ 投 与 を 開 始 した。 デ ュル バ ル マ ブ6回 投 与 後 に グ レー ド2の 肺 臓 炎 を 来 した た め 、 デ ュル バ ル マ ブ 投 与 を 中止 し プ レ ドニ ゾ ロ ン 投 与 を行 っ た 。 デ ュル バ ル マ ブ 中 止 中 に 局 所 再 発 と肝 転 移 の 新 出 で PDと な り、 セ カ ン ドライ ン へ移 行 した 。 Fig.3A 症 例 ② 診 断 時 の 胸 部 単 純CT Fig.3B 症 例 ② CCRT後 の 胸 部 単 純CT Fig.4 症 例② 放 射線照 射時 の線量 分布 症 例 ③ 82歳 男 性 、PS1 左 肺 腺 癌 cT1cN3MO StageⅢB 現 病 歴 :X年8月 に 肺 炎 で 前 医 に 入 院 した

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際 にCTで 左 肺 門 部 月腫瘤 を指 摘 され 、肺 炎 治 療 後 に 精 査 目的 に 当科 紹 介 、EBUS-TBNA で 肺 腺 癌 の 診 断 とな っ た 。 既 往 歴 :COPD、 気 管 支 喘 息 、 発 作 性 心房 細 動 、 慢 性 心 不 全 喫 煙 歴 :past smoker(40本/日 ×45年) 入 院 時 現 症:163.5cm、55.7kg 頸 部 リンパ 節 触 知 せ ず 、 呼 吸 音 清 、 ラ音 は 認 め な か っ た 。 血 液 検 査:CEA13.2ng/ml、SLX54ng/ml と 腫 瘍マ ー カ ー の 上 昇 を認 め た 。 そ の他 特 記 す べ き異 常 所 見 は な か っ た。 画 像 所 見(Fig.5):CTで 左 肺 門 、 縦 隔 リン パ 節 腫 大 を認 め 気 管 支 狭 窄 を 来 して い た 。 左 下 葉S6末 梢 に浸 潤 影 が あ り、 原 発 巣 と 考 え られ た 。FDG-PETで は 上 記 リンパ 節 と 左 下 葉S6の 浸 潤 影 にFDG集 積 を認 め た 。 臨 床 経過:高 齢 で あ る こ とか ら連 日カル ボ プ ラ チ ン に よ るCCRTを 選 択 した 。 放 射 線 照 射 は60Gy/30Frを 完 遂 した(Fig.6)。 有 害 事 象 と して はDay24に グ レー ド3の 血 小 板 減 少 、Day32に グ レー ド3の 好 中球 減 少 を認 め た が発 熱 性 好 中 球 減 少 症 に は 至 ら な か っ た 。CCRTに よ る治 療 効 果 はSD で 、 デ ュル バ ル マ ブ 投 与 に 移 行 して い る 。 現 在 も治 療 継 続 中 で あ る 。 Fig,5A 症 例 ③ 診 断 時 の 単 純CT Fig.5B 症 例 ③ CCRT終 了 後 の 造 影CT Fig.6 症 例③ 放 射線 照射 時 の線 量分布 考 察 当 院 で Ⅲ 期 非 小 細 胞 肺 癌 に 対 してCCRT 後 に デ ュル バ ル マ ブ を 投 与 した 症 例 は7例 で あ っ た。 そ の う ち3例 は 高 齢 で あ る こ と や 高 い 肺 線 量 を 理 由 に 連 日カ ル ボ プ ラ チ ン の 併 用 が 選 択 され た 。Hosoyaら の報 告 で はCCRTを 施 行 した Ⅲ期 非 小 細 胞 肺 癌 の82 例 の うち 、19例 が デ ュル バ ル マ ブ 投 与 基 準 外 と な っ た4)。そ の理 由 は7例 がCCRT後 に PDと な っ た こ と 、11例 はCCRTの 有 害 事 象 で あ っ た。 ま た 、 基 準 外 とな っ た 患 者 の 特 徴 と して は 高 齢 、 男 性 、 高 い 肺 線 量 の3点 が 挙 げ られ た。 こ の よ うな症 例 に は 、 比 較 的 有 害 事 象 の 頻 度 が 低 い 連 日カ ル ボ プ ラ 一32一

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チ ン の 併 用 に よ りCCRTを 完 遂 しデ ュル バ ル マ ブ 投 与 へ とつ な げ る こ とが で き る と 考 え られ る。 ま た 、 カル ボ プ ラチ ン 単 剤 で のCCRTで は 治 療 強 度 が低 くPDが 増 加 す る こ と が懸 念 され る が 、今 回 の3症 例 で はPR 2例 、SD1例 とCCRTの 治 療 効 果 と して も 遜 色 な い もの と考 え られ た 。 結語 ハ イ リス クの Ⅲ期 非 小 細胞 肺 癌 患 者 に 対 し連 日カル ボプ ラチ ンに よ るCCRTを 選 択 し遅 滞 な くデ ュル バ ル マ ブ投 与 へ移 行 できた。 引 用 文 献 1)肺 癌 診 療 ガ イ ドライ ン 2018年 版. 日本 肺 癌 学 会 編.東 京:金 原 出版;2018

2) Atagi S, Kawahara M, Yokoyama A, et

al.

Thoracic

radiotherapy

with or

without daily low-dose carboplatin

in

elderly

patients

with non-small-cell

lung cancer: a randomised, controlled,

phase 3 trial

by the Japan Clinical

Oncology Group (JCOG0301). Lancet

Oncol. 2012; 13: 671-678

3) Antonia SJ, Villegas A, Daniel D, et

al. Overall survival

with Durvalumab

after

chemoradiotherapy in stage III

NSCLC. N Engl J Med. 2018; 379:

2342-2350

4) Hosoya K, Fujimoto D, Kawachi H, et

al. Ineligibility

for the PACIFIC trial

in unresectable

stage III non-small

cell

lung cancer

patients.

Cancer

Chemother Pharmacol. 2019: 84: 275-280

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