Title
会計原則の基礎構造論序説
Author(s)
照屋, 行雄
Citation
沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 7(1): 61-81
Issue Date
1983-03-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/6674
会計原則の基礎構造論序説
照屋行雄 I.はじめに Ⅱ会計公準の性格 Ⅲ会計原則の理論的構造 Ⅳ、会計ドクトリンと会計モーレス V・おわりに 1.はじめに 1930年代に入ってアメリカでは、「一般に認められた会計原則」(Ge-nerallyAcceptedAccountingPrinciples,GAAP)の解明とその成文化が活 発に展開された。そして、このような会計原則の形成過程は会計理論の方法論 にも重大な影響を及ぼし、爾来、会計理論の基本的任務は会計実践を指導する 会計原ロリの体系的記述にあるとする、所謂会計原則論が展開されるようになっ たのである。会計原則論についてのこのような考え方は、その後会計原則の性 格や役割、会計原則の成立基礎、会計原則の形成方法などをめぐる研究の発展 によって、その内容に大きな変化がみられるようになる。1961年アメリカ 公認会計士協会(AICPA)が発表した会計研究叢書第1号(ARSNnl)「基 本的会計公準論」は従来の会計原則論に対し、内容及び方法論の上に重大な問 題提起を行なったことはすでに周知の通りである(注1)。 今日、会計原則の研究は、新しい段階に向って進められている。すなわち、 一方でAICPAから独立した財務会計基準審議会(FASB)において新しい会 計原則の形成がはかられるようになり、他方ではアメリカ会計学会(AAA) が、1966年『基礎的会計理論』(AStatementofBasicAccounting -61-Theory,ASOBAT)を発表して従来のGAAP成文化志向から離れて、新しい 会計理論の構築に向うことになった(注2)。 会計原則研究は以上のような展開を基調としてすすめられてきた。しかしな
がら、約半世紀に及ぶ会計原則研究にもかかわらず、会計原則の定位は未だ確
立されていないのが実状である。それは、会計原則の性格についての一般的合
意(承認)が得られていないことと、会計原則の理論構造が明確にされていな
いことによるものと考えられろ。換言すれば、会計原則の一般理論が形成され ていないということである。本研究の目的は、以上のような問題意識を背景として、第一に、企業会計の
中心領域である会計原則の形成原理あるいは基礎構造を理論的に考察し、会計
原則の一般理論(ageneralreferenceofaccountingprinciples)を探求す
ること、第二に、そのことを基礎としてわが国「企業会計原則」の構造的理解
並びに今後の発展方向についての基本視点を確保することの2点におかれる。
なお、本稿は筆者の会計原則一般理論の研究の序論として、一つの試論を展開
することに主たるねらいがあることを最初に断っておきたい。論述の展開にあたっては、まず、会計原則について述べる前にその基礎とな
る会計公準の性格と役割を明らかにし、会計公準と会計原則の関係を明確にす
る。つぎに、会計原則の理論的構造モデルを提示し、その内容を明らかにする
こととする。 Ⅱ.会計公準の性格会計原則について論じる場合、会計原則の成立の理論的基礎を形成している
会計公準の意義と性格並びに会計原則との関係についてまず述べておかなけれ
ばならない。アメリカで会計公準を意味するAccountingPostulateの用語を初めて使用し
たのはペイトンの『会計理論』(W・APaton,“AccountingTheory”1922
pp、471-499)であるとされているが(注3)、ここでは初期会計公準論を代表す
-62-ろギルマン(S・Gilman)の見解にまず注目したい(注4)。ギルマンは、会計の
基礎をなす諸仮定を会計コンベンション(AccountingConvention)としてと
らえ、そして、会計コンベンションとは、会計の歴史的経験を経て帰納される 会計慣習であり、従って、それは現実に成立している企業会計の仕組みや特質 を説明する基礎を与えるものであると考えるのである(注5)。ギルマンは基 本的会計コンベンションとして、企業実体の公準、貨幣評価の公準及び会計期 間の公準の三つをとりあげている。わが国の黒澤清教授もギルマンの公準概念 にならって「会計コンベンション」を会計公準として説明されていろ(注6)。ギ ルマンや黒澤教授の会計コンベンションでは、「程度の差こそあれ任意的に確 立され、一般的承認を受けているもの」として制度的概念が観念されている。 これに対して、ムーニッツの公準論(AICPAARSNoL1「基本的会計公準 論」)は、単に企業会計構造や会計的特質を抽き出す事実的命題もしくは仮定 的命題だけでなく、会計の行為規範を示す当為的命題をも会計公準の概念に含 ませている(注7)。すなわち、「…である」命題に加えて「…であるべきで ある」命題を会計公準として主張するのである。ムーニッツは会計公準の体系 を、Aグループ-環境的公準、Bグループ-付随的公準及びCグループー当為 的公準の三つのグループに分けて示している。当為概念はすでに何らかの目標 や基準を前提としており、従って、当為的命題を示す会計公準はその中に特定 の会計目的観を含有していることを意味している。このような公準論に立てば、 会計公準は会計理論の形成上、とりわけその中心である会計原則成立の理論的基 盤としての性格が強調されることになる。 さらに、ギブンスやパッティロは、会計理論形成上の積極的役割を付与して、 従来の構造的公準(又は制度的公準)と当為的公準とは別に、企業会計の目的 や目標を直接表わす公準論を主張していろ(注8)。この主張によれば、会計 公準により企業会計の根本目的が設定されなければ「会計原則の形成も統一的 な方向づけを与えられず、また企業会計の向うべき方向や行動規範も与えられ ないとされる」のである(注9)。そして、このような要請的公準の内容とし て真実性の公準、公正性の公準、有用性の公準をあげていろ。果して、会計公 準は会計理論とくに会計原則に対し、事実的又は仮定的基礎としての機能を超 -63-えて、会計の行為規範となり、さらに;究極的目的を指示し、従ってまた、会計 原則は会計公準から実質的に導出されるものとする考え方は正しいであろうか。 会計公準と会計原則との関係を正しく把握しようとするとき会計公準に対する このような見解は妥当でないといわなければならない。以下において、この点 を明らかにしたいと思う。 AICPAのARSNbL1「基本的会計公準論」に対する多くの批判の中で、ここ では特にヴァッターの批判が注目される(注10)。ヴァッターは、会計を、 「一定の目的を達成するための測定方法」(注11)であると規定し、しかもそ の測定方法は不完全なものであるため、「測定の理論的構造を完全にするため に“前提されねばならないもの”(somethingsaswgiven”)が必要とされ る」と説いている(注12)。他方、会計目的は、「単にそれ自体として独立し て存在あるいは生起するものではなく、会計の置かれた状況との関連で生起さ れる性質のものである」(注13)として、会計公準が会計目的を決定しないば かりか、それが達成される方法をも導かないことを明確に述べている。そして、 ヴァッターは、会計公準の会計理論における位置とその必要性について、「会 計公準は、論理の鎖の中である要素の不存在が避けられない場合、結論(con-clusions)を確立することができるようにするために、単に既知の事柄と未知 の事柄との間の溝(gap)を埋めるために必要とされる“手段,,(“fill”)で ある」(注14)と述べ、会計公準を認識するということは、会計実務の指針と
なりうるための会計理論の形成に当っての単なる形式的手段(aformalway)
にすぎないと主張するのである。 このようなヴァッターの公準論に従えば、会計公準の性格は、会計理論が会 計目的を達成しうるための完全な体系を整えるために傭うべき形式要件を示す こととされ、その限りにおいて論理的意味をもつこととなる。そのことは換言 すれば、会計公準は会計理論の成立基礎としての制度的、技術的条件を提示す る機能をもつものであると言うことができよう。 会計公準が会計理論のなかでもつ意味は、それと会計原則との関係を考察す ることによってより明確になる。そこで、つぎに、先のヴァッターの公準論に もとづいて会計公準の性格を理解する立場を基礎にして、会計原則の性格と、 -64-会計公準と会計原則との関係を明らかにしたいと思う。 会計原則は、もともと特定の会計理論の基本的枠組みを形成する過程で生成 されたものではないが、今日では会計理論の重要な柱となると同時に、会計実 践に対する指針を示すものと一般にみなされている。会計原則は会計目的を達 成するための会計判断や会計行為の基本的指針となるもので、一定の基準にも
とずき論理的に体系づけられたものであると表明することができる。そして、
会計原則の性格は、「企業実体の目的を果しうるように、人間が経験上作りあ げてきた慣習又はルールの範晴に属するもの」(注15)である。会計原則が機 能すべきその方向を規定するものは会計目的であり、しかも、会計目的はヴァ ッターが述べた通り、おかれた経済的社会的諸状況との関連で生起する(否、 むしろ積極的に、社会の要請に基づいて導出されろと考えられろ。)性質のも のであるため、会計原則の本質的性格を実践規範的性格のものとして理解され るのである。そこで、会計原則は、上位の会計目的に動機づけられる形で、原 則体系それ自体の中に、目的達成に向けての根本方針(理念)と一般的指針を 下部構造として組込むことによって論理体系を形成することとなる。この点は 次章で詳しく述べることとするが、ここでは、会計原則はそれ自体の中に会計 目的を内在させ、その実現に向けて諸種の会計判断や行為の原則が階層的に樹 立される理論構造をもつべきものである点を明らかにしておくだけで充分であ る。 会計公準と会計原則との関係を簡潔に説明するならば、会計公準は会計目的 を含まないし、かつ、それを導出するものでもなく、単に会計原則を柱とする 会計理論が、その理論完成のために必要とされる形式要件としての前提もしく は仮定である。従って、会計公準の中に当為的、要請的要素を含ませ、会計原 則導出の実質的基盤とする見解は妥当とはいえない。加えて、会計原則は、会計目的がそれから独立して形成されないが故に、会計実践への指針たる性格を
本質的に強くもつことを否定できないのであるから、会計公準と会計原則は、 理論的関係における実質性の点からは明確に切り離されなければならないもの と考える(注17)。 -65-Ⅲ、会計原則の理論的構造 会計公準を会計原則成立のための、技術的制度的特質を備えた形式的前提要 件として認識し、会計原則を導出する源泉としての実質性を有しないものと考 える限り、会計公準の会計原則に対する理論関連性はそれほど重要な意味をも たなくなる。そこでは、会計公準の内容の真偽や階層構造に関する議論は積極 的意義をもたず、もっぱら、企業会計の環境的条件や技術的特質との関係で重 要な幾つかの命題が会計公準として一般に認識され、論理的に不完全な会計理 論の構造とりわけその中心たる会計原則の下部構造を埋める役割を果すことが 期待されているのである(注18)。 さて、会計公準の性格が明らかとなったので、つぎに会計原則の性格すなわ ち会計原則に当然含まれるべき諸種の命題特質を明らかにし、会計原則の体系 (理論構造)を検討したいと思う。 ヴァッターによれば、会計原則とは、会計公準の制約のもとに、「一定の会 計目的を達成するための方途の一般化である」と解され、他方、イリノイ大学 スタディー・グループによれば、会計原則とは、「会計における重要な関係の 一般的表現であり、それは多数の手続・通則の中から最適なものを決定する基 礎を与える役割をもつもの」(注19)と解されていろ。これらはいずれも会計 原則が、会計プロセスにおいて具体的な会計判断や会計行為に対する基本指針 及び基準となることを述べている。このように会計原則は、企業の経営活動に よって生ずる経済的事実を測定・報告するための方法や手続を選択・適用する に当っての判断の拠り所を提示し、かつ、行為の指針を与える命題体系である。 判断や行為の指針を示すということは、「…すべきである」といった表現で表 わされる幾つかの当為的命題が会計原則体系の基礎構造部分に組み込まれなけ ればならない。そして、これらの当為的命題が、実際の会計処理局面において 適用される個々の方法や手続を選択する基礎となる会計原則を有効ならしめる のである。もし、当為的命題(これらも会計原則の一部であることはいうまで もない)が会計原則として認識されない場合には個々の会計原則は拠るべき基
盤を失い、相互に有機的関係をもった論理体系を形成・維持することが不可能
-66-となる。そうなると会計実務への適切な指導性を発揮できなくなるばかりか、 会計原則自体の存立が危くなってくる。 また、会計原則がその基礎に当為原則をもつというだけでは必要条件が得られ ただけでまだ十分条件を確保したことにはならない。けだし、幾つかの当為原 則の基礎に位置して、それらをある一つの方向に収束せしめる根本命題、つま り当為原則も含めた会計原則が全体として最も有効に機能することを可能なら
しめる根本原則の存在を認識する必要があるのである。その根本のものとは何
かといえば、会計目的によって動機づけられ、会計目的を達成するために機能 する企業会計の、従ってまたその基礎構造たる会計原則の最高規範となるもの である。これは先の当為的命題に対して、「…なければならない」といった強 い表現で表わされる要請的もしくは目的的命題として認識されることとなる。 このように会計原則は、要請的。目的的命題を根本的統一指針として、その 上に当為的命題に導かれて、かなりの広がりをもつ各種の原則命題が形成され、 実践指針として機能するという階層構造をもつ体系として理解できることが明 らかとなった。 そこで、会計公準、会計目的及び会計原則を構成要素とする企業会計の基本 構造を示せば第1図(次頁)の通りである。 会計原則は会計目的が明確にされることによって統一的方向が与えられ、そ れによって形成される理論の特定がはかられることになる。会計原則はその形 成過程において、当初個別の実務問題を解決するために採用された考え方や技 法が、長い間の会計実践の歴史的過程の中で妥当なものとしての一般的承認を 得ることによって会計慣行として育ち(注20)、さらにそれが会計目的の介在 (すなわち、会計目的による色づけ)により会計原則に発展して出来上ったものとみられろ(注21)。他方、会計原則として形成された後においては、企業
会計の実際局面において個々の会計手続を適切に選択・適用するための指針と して機能することになる。会計原則が実践規範的性格をもつといわれるのはこのような役割を指している。そして、各企業は、一定の会計方針に基づいて、
その固有の状況に応じ最も適切な会計手続を選択することになる。さらに、会計原則の基礎前提をになうものとして会計公準が認識される。会計公準は会計
-67-企業会計の基本構造>
く第1図 7---1- -.践
実 計 一。 〈二 F1-1-1 L--.--------..-----.----_..と、ロ.田制約
。G壽丁芳室Fつ
熱詞鶴Ⅱ規範
制約(限界) 会計原則会計公準
形式基盤 (仮定) 理論特定化C三三雨雲竈つ
--→ 会計目的 P勺在イヒ 般的承認 会計原則導出 会計慣行 形成過程) 原則に対し理論的形式性を付与し(その限りにおいてのみ会計原則との理論的 関係が見い出せる)、他方で会計原則(従って会計理論)の環境的制度的条件 及び技術的特質の側面からの制約として作用する関係に位置する。 -68-企業会計の構造に占める会計原則の位置は上述した通りであるが、つぎに会 計原則の内部構造を分析しよう。先に、会計原則の内部構造として、企業会計 の根本指針となる要請原則とそれを受けて企業会計の一般的指針を示す当為原 則が会計原則の下部構造を形成し、それらに指導されて、かなり範囲の広い会 計原則群が存在するとして、会計原則の階層構造を提示し、概説した。いまこ こで、このような理解にもとづき、会計原則の理論的構造を示せば第2図の通 りとなる(注22)。 <第2図会計原則の理論的構造> 会計原則(最広義) 会計基準(AccountingStandards) (上部構造) 会計原則(広義) ..(準拠) 会計原則(狭義AccountingPrinciples) ・・(指示) (下部構造) 会計ドクトリン(狭義AccountingDoctrines) ..(要請) 会計モーレス(AccountingMores) -69- 11 .…?.(導出) 会 計 ロf慣行(AcCountingConvention)
まず、会計原則(最広義)の構造は、下部構造として会計ドクトリン(広義、 AccountingDoctrines)、上部構造として会計原則(広義、Accounting Principles)よりなる=層構造をなすものと理解される。会計原則は、企業会 計が実際局面で適用する個々の会計手続の選択基礎を提供するものであり、他 方、会計ドクトリンは、かかる会計原則が全体として効果的に機能し得るため に、会計原則に対し方向の統一性と拠るべき指針を提供する役割をになうもの である。会計原則は会計ドクトリンの支えによって効果的に会計実践を指導す ることができ、また、会計ドクトリンは会計原則のそれへの準拠によって会計 原則(最広義)の理論体系の確立に貢献することができるのである。このこと によって、両者を階層的に区別することの意味と関係の重要性が説明されろ。 しかしながら、会計原則の構造を上部構造と下部構造の二つに区別しただけ ではその内部構造を充分に明確にしたことにはならない。けだし、それぞれの 階層の中に原則個々の役割と原則相互の関係において相異なる原則群が存在し ているからである。しかも、これら原則群相互に階層的関係が明瞭に認められ るのである。すなわち、上部構造としての会計原則は、さらに、上位の会計基
準(AccountingStandards)と下位の会計原則(狭義)の二段構造として構
築され、また、下部構造としての会計ドクトリンは、さらに、上位の会計ドク トリン(狭義)と下位の会計モーレス(AccountingMores)の二段構造とし て構築されているものと考えることができる(注23)。勿論、会計基準と会計原則(狭義)、並びに会計ドクトリン(狭義)と会計モーレスのそれぞれの関係性
は完全な異質性というものではなく、ある意味では程度の差の問題と言えるも のである。しかしながら、そのような程度の差を測定し、各構成要素の固有の役割と相互依存性を規準にして、階層間に存在する一定の距離を確認すること
が構造分析の任務なのである。会計原則の構造をこのように四段階に区別して、
各段における原則群の内容と機能を明らかにするとともに、段相互の有意味な
関係を明らかにすることがいま求められていろ。そこでまず、上部構造における会計基準と会計原則について説明しよう。ペ
イトン・リトルトンは原則と基準を区別して、原則は会計においては存在しえないものとして廃し、それにかえて基準を採用することを主張している。そし
-70-て、会計基準は会計手続への基礎を与える通則であるとともに、会計実践慣行 を改良する道標であり、背離を照合測定する計器であると解釈している(注24)。 ペイトン・リトルトンのこのような会計基準の概念はここでいう上部構造とし ての会計原則全体を指しているものと解される。他方、リトルトンは、会計に おいて原則は存在するとして、原則と基準の相違を詳論している(注25)。リ トルトンによれば、会計原則が普遍妥当性のものであるのに対して、会計基準 は会計実践の用具であって、比較・判断の基礎を与えるものである。また、会 計原則が会計目的とその達成方法との関連を説明するのに対して、会計基準は 会計目的達成を目標とする会計実践に対して適正な道標として機能する。第2 図の上部構造を形成する会計原則と会計基準の関係はほぼかかるリトルトンの 考えに近いものであるが、会計原則のもつ普遍妥当性は、特定の歴史・社会を 越えた意味での絶対的普遍妥当性の意味ではなく、特定の会計目的と会計理論 をもつ会計原則体系の中で、上位の会計基準に比較してはるかに普遍妥当的で あるという意味に解するべきである。さらに具体的に言うならば、会計基準は、 特定の会計問題の処理に当って、実践に存在する二つ以上の処理方法の中から 一般に公正妥当と認められる方法を選択する会計行為(処理・報告)の規準と なるようなものであり、そして会計原則は、そのような会計基準が拠って立つ 判断の基礎となるものである。従って、会計原則は下位の会計ドクトリンや会 計モーレスによって抱括的抽象的に指示される会計原則の要請や当為を会計基 準を介して会計実践の上に実現していくための基本指針となるものである。例 えば、有形固定資産についての費用計算を考えた場合、実際の費用額計算の方 法として定額法、定率法、生産高比例法、取替法、廃棄法その他の幾つかの方 法が存在するが、実際の会計問題に適用するに当って、その中で妥当な処理方 法として一般に認められるものは何かといった場合にその選択行為の規準とし て機能するものが会計基準である。この問題の場合は減価償却の基準の働きが それである。そして、減価償却の基準が準拠する基盤として費用配分の原則が 認識される。減価償却という一つの計算基準は有形固定資産に原価凝着した費 用総額の適正な期間的配分を行うという考えの上に成り立っていると解される のである。けだし、費用配分の原則という会計原則とこのような関係を描くこ -71-
とによってはじめて、減価償却の基準は会計の目的を会計実践において適正に 達成することを可能ならしめろといいうるのである。これは会計原則の会計基 準に対する機能的関係性を明示するものである。 つぎに、下部構造たる会計ドクトリン(広義)を形成する会計ドクトリンと 会計モーレスについて、それぞれの内容と相互の関係を考察し、併せて上位の 会計原則(狭義)及び会計基準との有意味な関係を明らかにしたいと思う。 Ⅳ、会計ドクトリンと会計モーレス 会計原則体系の下部構造を形成する原則群を会計ドクトリン(広義)と呼び、 上部構造を形成する会計原則(広義)と識別する考え方はすでにギルマンにお いてみられるところである(注26)。ギルマンはドクトリンの辞典的意義を調べ た上で、すべての学問にみられる原理・原則という語義を選択し、モンロー・ ドクトリンのような用語法にならって会計ルール(通則)の選択適用に当って の一般的な原理もしくは指針となるものを会計ドクトリンと概念したのである。 ギルマン以後ドクトリンの概念は会計原則の構造を解明しようと試みた多くの 学者の採用するところとなり、従って、今日ではかなりの程度ドクトリン概念 の内容が明らかとなってきていろ。会計ドクトリンの会計原則上の位置及びそ の内容については若杉明教授が詳細に論述されておられるので、若杉教授の見 解に基づき会計ドクトリンの性格を考察することとする(注27)。 若杉教授によれば、会計ドクトリンとは、「会計処理手続の選択やその実施 等の会計行為を規制し、これ老律する当為ないしは規範としての性格をもち、 これら自体は抽象的にも、具体的にも何ら内容をもたない」概念であると説明 されろ(注28)。従って、会計ドクトリンの基本的性格として当為性ないしは政 策性が強調されるのである。若杉教授は会計ドクトリンの幾つかの特徴を会計 公準との比較において明確に述べておられるが(注29)、要約して示せばつぎの 表の通りである。 -72-
<会計ドクトリンの特徴一会計公準との比較>
-73- 項目 会計公準 会計ドクトリン (1)実践の基盤 (2)例外の存否 (3)内容の有無 (4)相互の関係 (5)目的関連性 これなしには会計実践が 成立しない。 これに対する例外(反対) は認められない。 会計主体、会計期間など 概念的ながら内容を有して いろ。 全体として会計実践の支 柱をなし、相互に相矛盾す ることがない。 会計目的のいかんにかか わりなく、むしろそれ以前 のものである。 これなしにも会計実践は 成立する。ただ例えば、保 守主義を適用しないと保守 的な利益算定が結果しない というだけである。 保守主義、継続性等はい ずれも例外処理、すなわち、 これを適用しない会計処理 がありうろ。 保守主義などは内容をも たず、単に会計行為への当 為的・規範的な規制概念に すぎない。 相互に又は他の概念と矛 盾することも少なくない。 会計目的(基本的目的で あれ、末梢的目的であれ) に規制され、影響される性 格をもっている。若杉教授の説明からも察せられるように、会計ドクトリンの概念範囑を独立 のものと認識するにはそれと境界を接する会計公準の性格を明確にしておかな ければならない。第Ⅱ章で述べた会計公準の性格論は会計原則の下部構造を形 成する会計ドクトリン(広義)の位置と概念範囑に独立性を与える基礎条件で あると理解されるのである。 以上会計ドクトリンについて若杉教授の見解に即して論述してきた。これに よって会計ドクトリンが、会計目的の達成を効率的ないし合目的的に確保する 上での一般的指針を提供するものであることが明らかにされたわけである(注 30)。会計ドクトリンの内容としては、一般に真実性の原則、保守主義の原則、 継続性の原則、明瞭性の原則、重要性の原則などがあげられている(注31)。 ギルマンや若杉教授などが会計原則の構造解明にあたり、会計ドクトリンなる 概念を発見し、独立の地位と概念範嶬を与えたことは、会計原則の構造を明確 にする上で大きな貢献であり高く評価されなければならない。しかしながら、 会計ドクトリンに属する諸原則は、さらに厳密に分析するならば、その役割及 び相互の関係などから大きく二つの原則群に分類でき、しかもこれら二つの原 則群は会計原則構造上の位置を異にする点について、残念ながらギルマンも若 杉教授もさらにはその他の論者も説いていないのである。そこで筆者はそのこ とに着目し、会計ドクトリン(広義)の構造をさらに二つの階層に区別し、上 位に会計ドクトリン(狭義)、下位に会計モーレスの統一的名称によって説明 できる構造理解を提示したいと考えている。けだし、会計ドクトリンの二重構 造観に立つことにより会計原則基礎構造のより明確な理解が可能となり、ひい
ては会計原則の一般理論(会計原則の一般的枠組み、ageneralreferenceof
accountingprinciples)の構築が可能となるからである。 上位の会計ドクトリン(狭義)の性格や内容については、先に述べた会計ド クトリン(広義)の基本的特徴をそのままあてはめて理解すればよいので、ここでは下位の会計モーレスの概念内容と機能及び上位会計ドクトリンとの関係
を明らかにしよう。会計原則の概念や性格を説明する過程でモーレス概念を導入した論者は過
去に黒沢教授お-人であると思われる(注32)。黒沢教授は「従来の伝統的な会
-74-計に関するカストムの'性格を変えて、新しいカストムをつくり出すため」の会 計的規範となるものを会計上のモーレスと呼んでおられる(注33)。 モーレスは、一般に、「『こうすべし』及び『なすべからず』という内容を 有する集団の道徳的規準」とか、「-集団の基本的道徳観を具現した社会的慣 習」と説明されている。言語そのものはラテン語mosの複数形moresであり、 ドイツ語のSittenと同義である。そのmoresにアメリカ実証社会学の祖といわ れるサムナー(WilliamGSumner)が新しい社会学的意味づけをほどこし て一般化した概念がモーレスである(注34)。サムナーは、-集団の慣習がそ の社会において一定の規範力をもち、ある程度固定的で統一的なものとなった 集団現象をフォークウェイズ(Falkways,習俗)と呼び(注35)、そのフォ ークウェイズが社会の安定にとって不可決であり、その行為が正しい方法で あるという確信が社会に定着した時、すなわちフォークウェイズに一定の倫 理価値的意義が盛り込まれた時それはモーレスと呼ばれる行為規準となる と規定している(注36)。従って、モーレスは、ある社会における集団的生活行 為が単に一般的規範力をもつにとどまらず、その行為がその社会の秩序安定と 維持発展にとって「善」であり「正」であるとか、逆にそれからの逸脱は「悪」 であり「邪」であるという判断規準にまで昇華された哲学的・倫理的価値概念 をいうのである。このように社会学においてサムナーが再開発したモーレス概 念を会計上の概念として援用し、それを会計原則の構造分析・説明の用具とし て使用しようというのである。 会計ドクトリンが、ギルマンによって辞典的定義の拡張的用法として会計学 の中に導入されたことにならって、会計モーレスもサムナーの規定するモーレ ス概念の拡張的操作的用法によって会計学上の固有の定義づけがなされるであ ろう。すなわち、会計モーレスとは、企業会計の判断及び行為(処理及び報告) の基準体系(システム)である会計原則(広義)の基底部分に位置し、会計実 践の選択適用の基準たる会計基準や会計原則(狭義)に当為的・要請的な一般 指針(規範)となる会計ドクトリン(狭義)に目的指向的統一性を与えるもの で、いわば原則のなかの原則たる性格を有するものである。会計原則がシステ マティックに機能しうるためには、構成原則個々が固有の位置と役割に従い合 -75-
目的的に機能し得るべく根本の動機づけが会計原則それ自体の中に組み込まれ ていなければならない。いい換えれば、会計目的を達成するための不可欠な根 本原則が会計原則の指令装置としてピルド・インされなければ会計原則の自律 性は確保できず、しかもその根本原則としての役割をになうものが会計モーレス であるといいうる(注37)。会計モーレスは会計ドクトリン(狭義)とともに広義会 計ドクトリンとして包括することができる点から、両階層間に認識される差異 は程度の問題と断じてこれを無視することも可能であるが、両者の機能に相違 が認められることからすれば構造上明確に区別して理解しておくことが必要で ある。会計モーレスに含まれる原則のうち代表的なものは真実性の原則であり、 さらに真実性の原則の具体的内容のある側面を示す公正性の原則や有用性の原 則も会計モーレスを形成する原則群である。 V、おわりに 以上会計原則の理論的構造の解明のための-試論を展開したのであるが、当
初予定していた会計原則の理論モデルを適用してのわが国「企業会計原則」の
理論的構造分析は課題として残された。これについては原初的な試みとして別 稿にてアウトラインは示してあるが(注38)、本格的な検討は将来の課題として 引続き研究していきたいと考えている。 会計原則における個々の原則自体は歴史的に発展変化する性質のものである ことはいうまでもないが、会計原則の理論的構造(atheoreticalreferece ofaccountingprinciples)それ自体は一般普遍のものが究明されるべきであ ると考えろ。会計原則の内包にあっては、会計ドクトリンと会計モーレス、会 計原則と会計基準の内容がさらに詳しく究明されなければならないし、他方、 会計原則の外延にあっては、会計原則と会計公準、会計原則と会計目的の関係 がさらに明確にされなければならない。さらにまた、会計原則の基礎構造に関 するこのような基礎的考察を踏えた上で、アメリカやわが国の会計原則の理論 的実践的発展過程に試料を求めて、理論モデルの検証を行うことがその後に続 -76-かなけれぱならない。そして、何よりも、かかる会計原則の基礎構造論の研究 展開によって、会計学研究の方法論的基礎を確立することに筆者の究極の目的 があることを強調しておきたいと思う。本稿はそのような会計原則研究の出発 点としての意義をもつものである。 (注) 1.M.MoonitzpTheBasicPostulatesofAccounting,AICPAAccoun- tingResearchStudyN01,1961.(佐藤孝一・新井清光共訳「会計公準と会計 原則」中央経済社昭和37年)。 なお、ムーニッツは会計原則の発展を、AICPAにおける調査研究活動の発 展に即して、1959年までの第一段階(会計手続委員会CAPの時代)と1959年以降 の第二段階(会計原則審議会APBの時代)とに区分して説明している(MMoontiz, ObtainingAgreementonStandardsintheAccountingProfession, AAAStudiesinAccountingR…archNU8,1974(小森瞭一訳「アメリカ における会計原則発達史」同文館昭和54年)。 2AAA(Committeet・PrepareASOBAT),AStatementofBasic AccountingTheCry,1966(飯野利夫訳「アメリカ会計学会基礎的会計理論」国 元書房昭和44年)。 もっとも、AAAは1977年に公表した「会計理論及び理論承剥(SATTA)の中 で、「ただ1つの普遍的に認められた基礎的会計理論というものは現時点では存在し ていない」として、ASOBATの成果を否定している(AAA,CommitteeonCo- nceptsforExternaIFinancialRepo「ts,StatementonAccounting TheoryandTheoryAcceptance,1977.染谷恭次郎訳『会計理論及び理論承剥 国元書房昭和55年)。
3.H、T、Deinzer,wDeveIopmentofAc6ountmgThought',,1965,R107
4.ペイトンの1922年の『会計理論」では、「公準」(poStulate)と仮定(ass-umption)や「基礎前提」(foundamentalpremises)の用語が雑然と用いられ ており、この段階ではまだ「会計公準」(AccountingPostulates)の概念が明 -77-確になっていないと思われる。この点は、佐藤孝一教授の次の指摘でも明らかである。 「すなわちペートンは、少なくとも1921年の論文や1922年の著書(上記I会計理 論」を指す…筆者注)では、「公準」(poStulate)なる語を会計学の領域に導入した ものの、必ずしもその思考は、それほど明確に確立されていなかったように思われる。」 (佐藤孝一稿「会計公準と会計概念」、「企業会調第20巻5号、10頁). 5.s・Gilman,ooAccountingConceptsofProfit,,,1939,pp、25-26ff. (久野光朗訳「ギルマン会計学(上巻)』同文館昭和40年31-32頁以下)。 6.黒澤清著噺版財政諸表綱中央経済社、昭和41黒33頁。ここで黒澤教授は、 ポスチュレート(postulate)の概念は一定の社会的経済的状況のもとで、会計に対 する一般的要請を含意するものであるため、「公準」と呼ぶのは適当でないと述べて おられる。 7.M.Moonitz,。p、Cit.,p、38(佐藤孝一・新井清光前掲訳書76頁)。 8.H、RGivens,轍BasicAccountingPostuIates?,TheAccountingRe-view;July,1966. J.W・Pattillo,oTheFoundationofFinancialAccounting''91965, pp、51-70. 9新井清光著「会計公準論〔増補版〕」中央経済社昭和53年、63頁・ 10・WilIiamJ・Vatter,鮒PostulatesandPrincipIes,,,QJournaIofAcc- ountingReseach",voL1NU2(Autumn’1963),pp、179-197. 11.1bid.,p、186 12.1bid.,p、185 13.1bid.,p、183 14.1bid.,p、185 15P・Grady,QQInventoryofGeneraIlyAcceptedAccountingPrincipIes
forBusinessEnterprises,,,AICPAAccountingReseachStudyNUL7,
1965,,23. なおもわが国「企業会計原則」(昭和24年制定)の前文においても、「企業会計原 則は、企業会計の実務の中に慣習として発達したものの中から、一般に公正妥当と認 められたところを要約したものであって、必ずしも法令によって強制されないまでも、 -78-すべての企業がその会計を処理するにあたって従わなければならない基準である」と 規定し、会計原則が会計実務の指針たる性格をもつものであることを表明している。 17.原田富士男教授も、このことについて、会計原則が実践規範性をもつものと理解す れば、会計公準から演鐸必然的に会計原則力噂出されると考えるのは科学方法論とし ては誤っており、従って、公準の理論形式性と会計原則の実践規範性の両方を充たす とすれI圦公準と原則は切り離さなければならなくなる、と述べ、この意味において ヴァッターの見解を支持しておられる。(原田富士男「公準論」、青柳文司編著『会 計理論の基礎知遡中央経済社所収、昭和57年、84~85頁) 18.会計公準の階層構造については、それが全く考えられないという意味ではない。実 際、筆者も会計公準の内部構造を仮定的要素と事実的要素の2段構造として理解して いる。この点は別の論稿で考察したいと思っている。 l9AStudyGroupatUniversityofllIinois,画AStatementsofBaic AccountingPostuIatesandPrinciples,'’1964p、23. 20.企業会計が当初、その時々の実務問題を解決するための理論や技法を集積して形成 されてきたとする見解は一般に受入れられている。(武田隆二箸『最新財務諸表細 中央経済社、昭和54泉61頁。しかし、武田教授は、それだからこそその内容は首尾 一貫した体系をもたなかったため、会計公準を基礎構造とした理論体系を再構築する 必要があると説いておられる。,) 21.会計原則がすべてこのようなプロセスを通じて形成されるというわけではない。そ こには未だ会計慣行として育っていないが、会計目的の達成のために必要とされる原 則が理論的に導出されるケースもあることを認めるべきである。しかしながら、この ような理論導出的原則も、それが会計実践に受入れられ、基本的慣行として定着する ために12吟一般的承認を必要とすること、は否定できないのであり、さらに、導出源泉 たる会計目的自体が企業会計の実践される現実社会と深い関係を有している事実に注 目しなければならない。 22.との図は別の論稿(拙稿「保守主義の原則の理論性について」、「沖大経済論叢』 第6巻第1号所収、60頁)でその原型を発表した力入その後内容に検討を加え、不備 な点を訂正して書き直したものである6 23.会計原則をこのように多段階構造として分析し、その理論化を積極的に展開してい -79-
る文献はそれほど多くはないが(これに対して、会計公準の構造分析は国内外に多く の文献を認めうる)、AICPA(アメリカ公認会計士協会)のSHM会計原則及びわ が国「企業会計原則」(昭和24年)が会計原則体系の記述に当り一般原則とその他の 原則を区別したことは、ここでいう会計原則の多段階構造を示唆したものと解される (cfStephenGiIman,@mAccountingConceptsofProfits"、1939.(久野 光朗訳『ギルマン会計学(上巻)』同文館、昭和40年).T・HSanders,H、R・ HatfieldandU・Moore,mAStatementofAccountingPrinciples”? ReprintedbyAAA,1968)。なお、黒沢教授は会計公準を下部構造に含む会計原 則の三重構造を示されておられる(黒沢清著噺版財務諸表論』中央経済社昭和45 年169~170頁参照)。 24.W.A・PatonandA.C・Littleton,mAnlntroductiontoCorporate AccountingStandardsH1940、pp、4-6(中島省吾訳「会社会計基準序渕 (改訂版)、森山書店、昭和33年、6~10頁)。 25.A.C・Littleton,耐StructureofAccountingTheory,”l953ppbl43- 144andpM46-148.(大塚俊雄訳絵計理論の構創東洋経済新報社昭和49 年、212~214頁及び217~219頁)。 26.Cf)SGilman,。p・Cit.,pp、256-257.なお、ギルマンは、通常会計原 則といわれているものを通則(rule)、慣行(Convention)、ドクトリン(Doctrine) のいずれか又はそれらの混合物であると結論づけているか(会計原則の構造論的究明 まで至っていない。 27.若杉明著「企業会計基準の構造』財務詳報社昭和44年、151~164頁参照のこと。 28.若杉明蓋前掲書、161頁。 29.若杉明著、前掲書、160~161頁。 30.黒沢清教授は会計原則の構造において会計ドクトリンを中間的構造(会計公準を 下部構造とされている)と位置づけ、会計の基本的要請たる一般原則と規定しておら れる。ここにいう一般原則の一般性とは、「具体的に個々の計算行為の指導原理とな る点に存するのではなく、あらゆる会計諸基準を有機的に統一する点に存しなければ ならない」と述べておられる(黒沢清箸「近代会計の理論」白桃書房、昭和33年、 139頁)。 -80-
31.若杉教授は、これらのほ小計算経済性の原則、単一性の原則、及び客観性の原則 を会計ドクトリンとしてあげておられる(若杉明著前掲書162~163頁)。 32.黒沢清箸前掲書135~142頁。 33.黒沢清箸前掲書136頁。黒沢教授の論述では、ドクトリンとモーレスの会計原 則構造上の関係が必ずしも明確ではないように思われる。 34.WilliamG・Sumnef9mFoIkways:AStudyoftheSocioIogicallm- portanceofUsages,Manners,Customs,Mores,andMorals”,1940, pp、36-38. 35.W.G.Sumner,ibid.,pp2-3.(川島武宣著『近代社会と脚岩波書店、昭 和38年、24~26頁参照) 36.1bid.,p、30(川島武宣著前掲書28~29頁). 37.サムナーのモーレス概念とそれの会計学への導入による会計モーレスの概念につい ては別稿で充分検討されなければならない。なお、川島武宣教授の前掲書I巨法社会 学的解釈が詳しく述べられているのが大変参考になる。 38.拙稿「保守主義の原則の理論性について」『沖大経済論叢』第6巻第1愚1981 年12月、62~64頁参照。