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サウジの原子力発電所建設推進の背景 (特集 途上国のエネルギー政策)

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サウジの原子力発電所建設推進の背景 (特集 途上

国のエネルギー政策)

著者

福田 安志

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

195

ページ

27-30

発行年

2011-12

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00004098

(2)

  サウジアラビアで初めてとなる ソーラー発電所が建設された。今 年一〇月一日に正式開所した紅海 のファラサーン島のソーラー発電 所で 、出力は五〇〇キロワット 、 サウジ電力会社が、太陽電池の技 術を持つ日本の昭和シェル石油会 社の協力を受けて建設したもので ある。建設は離島への電力の供給 と原油などの化石燃料の削減を狙 いとしたものであり 、このソー ラー発電所によって二万八〇〇〇 バレルのジーゼル燃料をセーブで きるとされる。   サウジ側は、今後、ソーラー発 電所の普及を進め、石油などの化 石燃料の消費を削減し、浮いた石 油などを輸出にまわす考えである とされる。将来的には昭和シェル 石油と合弁会社を作り、サウジア ラビアでソーラー電池の生産に乗 り出す考えもあるという ⑴ 。   この記事を見て隔世の感の思い である。というのも、一〇年前で あったならば、ソーラー発電所の 建設はおろか、その話しをするこ とすらできなかったからである 。 サウジアラビアは原油の輸出で経 済が成り立っており、以前は、原 油に代わる代替エネルギー源の開 発には警戒感が強く 、自国での ソーラー発電所の建設などはもっ てのほかという雰囲気があった 。 かつての事情を知る目からは、エ ネルギーをめぐる情況が大きく変 わったことを再認識させられた記 事であったからである。   現在 、サウジアラビアはソー ラー発電所などの再生可能エネル ギーの使用を開始し、さらに原子 力発電所の建設も射程に入れて 、 化石燃料の消費削減に取り組み始 めている。   サウジアラビアは世界最大級の 産油国で、一般的に、原油は豊富 にあると考えられているが、それ にもかかわらず原油などの化石燃 料の消費削減に動いている背景に はどのようなことがあるのだろう か。

●多い一人当たり石油消費量

  その理 由 の 第 一 に は 、 サ ウ ジア ラ ビ ア を 含 め た GCC 諸 国 ⑵ では 、 石油やガ ス な ど の 化石燃料 の 消 費 量が多く 、 し か も 年々増加し て い ること が あ る 。サ ウ ジ ア ラ ビアで どれく ら い石 油 が 消 費 されて い る かを示 す ために 、 他の国と比 較 し た原 油の 一 人 当たり 消 費 量 を グ ラ フで 示 し た 。   石油関係 の 代 表的な 統 計 で あ る BP 統 計 ⑶ のなか で 、 主 要 国 にお け る 原 油 の 国内消費量 が 示 さ れ て い る。 そ の 統 計 を 用 い て 、 総 人 口 で 割り 、 一 人 当 た り の 原 油 の 消 費 量 を示した のが グラ フ で ある 。 B P 統計 の な か で は 、 サ ウ ジ ア ラ ビ ア の 原 油 の 国内消費量 は 二 八 一 万 b /d と さ れ て い る 。 総 人 口 を 二 八 〇〇 万人と 見 積 る と 、 リ ッ ト ル に 換算 し て 、 一 人 一 日当 た り の 消 費 量 は 約 一 六 リ ット ル に な る 。 グ ラ フ に 示し た他 の 国 と比 較し ても 、 突出 し て 消費量 が 大き い こ と が 見 てとれよう 。 同じ B P 統 計 を用 い て計 算 す る と ア ラ ブ首 長国 連 邦 は 二一リ ッ ト ル 、 ク ウ ェ ー ト は 一 九 リ ッ ト ル に な り 、 GCC 諸 国 に お ける 消 費 量 の 大 き さ が 際 立 っ て い る。   もっと も 、 筆 者 は 、 B P 統 計 に 示 さ れている GCC 諸 国 の 原 油 の 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 インド 中国 ブラジル タイ ロシア イラン イギリス ベネズエラ 日本 韓国 アメリカ アラビア サウジ (リットル/日) 図1 原油:一人当たり消費量(2010年)

途上

政策

途上国の

エネルギー

政策

特 集

原子力発電所建設

推進

(3)

国内消費量 は 、 過 大 に 推定さ れ て いる 可 能 性 が あ る と 見 ている 。 サ ウ ジ ア ラ ビア な ど GCC 諸 国 は 原 油に関 す る公 式 統 計 を 発 表 し て い ない ので 、 GCC 諸 国 に 関 す る B P統計 の 数字 は 推 定 に 基づ く も の である 。 B P 統 計 では 、 中 国 ︵ 消 費量九〇六 万 b / d ︶ や ア メ リ カ ︵同 一 九 一 五 万 b / d ︶ な ど多く の 国に関 す る数 字は正確であるが 、 GCC 諸 国 の 数 字 に 関 し て は 過 大 に 見 積 も ら れ ているので は ないか と思われる 。 サウ ジ ア ラビ ア の 国 内消費 に つ い て 、 低く推定 し て い る数 字を用 い て再 計 算 すると 一 二 リット ル 程 度 に 低 下 す る 。   他に適 当 な統 計 が な い の で こ こ では B P 統 計 を用いた が 、 いず れ にせよ 、 サ ウ ジアラ ビ アな ど の G CC 諸 国 に お け る 原 油 の 消 費 量 は 世界最高レ ベ ル に あ る こ と は 間 違 い が ない 。 GCC 諸 国 に お け る 一 人当た り の 原 油消費量 は 、 中国 の 一〇 倍 以 上 、 タ イ や ブ ラ ジ ル の 数 倍以上 に な っ て い る 。 同じ産 油 国 のベ ネ ズ エ ラ で す ら四 リ ッ トルに 過ぎ な い 。 サ ウジ ア ラ ビ ア の 三 分 の一 か ら 四 分 の一程 度 で あ る 。 G C C 諸 国 ではな ぜ こ の ように原 油 消費量が 多 い の で あ ろ う か 。

●大量の燃料消費

  消 費 量が多 い こ と の背 景には 、 電力と海水 の 淡水化 、 そ し て自動 車の燃 料 として 大 量の石 油 を 消 費 していること が あ る 。   GCC 諸 国 で は 、気 温 が 五 〇 度 を超す日があ るなど高温に な る 日 が多 い 。 五 月 から九月ま で は気温 は四 〇 度 を 越 し 、 場 所 によ っ て は 五〇 度 近 い高 温の 日 が 続 く こ と が ある 。 四 月になり 気 温 が上昇 す る と家 庭で はクー ラ ー の ス イ ッ チ を 入れ 、 一 〇月に気温が低下す る ま で、ス イ ッ チ を 切 ら ず 昼 夜 運 転 を 続け る こ とが 一 般 的 で あ る 。 家 な どの 建 物 も 大 き く 、調 理 器 具 を は じめとした台 所の熱 源 や風 呂 や シャワ ー に も 電 気 が 使 わ れ 、家 庭 など で大量 の 電気を消費する。   また 、 砂 漠 地 帯にあり天 然 の水 資源 の 絶 対量が わ ず か で 、 石油や ガス を 焚 いて 海 水 を 蒸 留 し 淡 水 化 水を作 っ て い る 。 多く の 国 で は 都 市用水 の 大部分 は こ の 淡水化水 に 依 存 しているので あ る 。   さら に 、 交 通 手 段 とし て自 家用 車 の 使用が 一 般的 で 一 家 に 複数 の 自動車を持 つ 家 が 多 く 、 ガ ソ リ ン の消 費 も 多 い 。   しかも 、 電 気 や 水 、 ガ ソリ ンは 政策的 に き わ め て 安 い 料金 ・ 価 格 で住民に提 供 され て い る。 例えば、 サウジ ア ラビ ア で は 、 電気 の単 価 は日 本の数 分 の 一 、 水 道 料 金に い たっ て は 一 立 方 メ ー ト ル 当 た り 東 京の 一 〇 〇 分 の 一 の価 格で 提 供 さ れて いる 。ガソリン 価 格 は 日 本 の 一〇 分 の 一前 後 で あ る 。 価 格 が 安 いた め 消 費 に ブレー キ が 効 か ず 、 大量 の 燃 料消費 に つ な が っ て い る ので あ る 。   発電所 の 燃料と し て は 石油 ︵原 油直焚き や重油など ︶ やガ ス が 用 いられて いる 。発 電 を 兼 ね る こ と が多 い 淡 水 化 プ ラ ン ト でも石 油 や ガス が 用 いら れている 。 ガ スは 、 油田 の随 伴 ガ スとし て 生産 され 、 また専 用 のガ ス 田 からも生産 さ れ ている が 、新 規 の 油 田 や ガ ス田 の 開発が 思 う よ う に 進 ん で お らず 、 ガスの 生 産 は 頭 打 ちに な っ てい る。   一方 で 、 ガ ス を 主 原 料 と す る 石 油化学産業 の 発展 で ガ ス の 需要 は 増 え てお り 、 燃 料 に回 せる ガス の 量には限 り が ある 。燃 料 消 費の増 加に伴 っ て 、 年々 、 石 油の消 費 が 増 加 して きているので あ る 。 電 気 、 水、ガソ リンの 過 大 な 消 費 が 、 大 きな 一 人 当たり の 原 油 消 費 量に つ な が る 構 造 と な っ ているので あ る。   サウジ ア ラビ ア で は人 口増 加が 続き 、 経 済も発展し 、 電気 、 水 、 ガソ リンの 需 要 は 毎 年 、右 肩 上 が りで 増 え 続 け て い る 。 需 要 の抑 制 のためには 料 金 ・ 価 格 の値 上 げ が 有効 で あ る が 、 値 上げ を す れば 政 府批判が 高ま る の は 必 至 で 、 政 府 は値 上げに は 及 び 腰である 。 そ の ことは 、﹁ ア ラ ブ 激 動 ﹂ の 動 き の なか で各 国 政 府 が あわ て て 物 価 対 策を行 っ た こ と か ら も 見 て 取れ よ う。 ま た 、 気 候 の 厳し さ、 水問題、 交通事情など を考慮すれば節約 に も限 度 が ある。   こ の よ う に 、 GCC 諸 国 で は エ ネル ギーを 多 く 消 費 す る構 造 が あ り、そ の エ ネ ル ギ ー 源 と し て 石 油 が 用 いら れているので あ る 。 し か も 、 消 費 の抑 制は絶 望 的で 、 需 要 は年々増加し て い る。

●OPECの生産枠規制

  サウジ ア ラビ ア に は今 の レ ベ ル で生産を続けた場 合 、 今 後 七 二 年 程 度 生 産 して も だ いじょう ぶ な だ けの原 油 の埋 蔵 量 ︵ 可 採 年 数 ︶ が ある 。 ク ウ ェ ート の可 採 年 数は約 一一 〇 年 で あ り 、 ア ラ ブ 首 長 国 連 邦は約 九 四年 である ⑷ 。 GCC 諸 国の主 要 産 油 国 は 大 き な 原 油 埋 蔵 量 を 持 っ ているので あ る 。 技 術 的

(4)

に は 原油 の 増産が 可能 で あ り 、 増 産をすれ ば当面 の 問 題 は解 決しそ うである 。 し かし 、 そ こ に は O P E C の生産 枠 規 制 の問 題 が ある の である。   GCC 諸 国 で は 、産 油 量 の 少 な いバ ハ レ ーンと オ マーンを 除いた 四カ国は 、 O P E Cに加盟し て い る 。 生 産 カルテルとし て の O P E Cに は生産 枠 規 制 がある 。 加盟各 国 ご と に 生産 枠を定め て 、 生産を コ ン ト ロ ー ル しているので あ る 。 国内消費 と の 関連 で サ ウジ ア ラ ビ アなど に と っ て問 題となる の は 、 こ の 規制 は 、 輸出 に 対 す る 規制 で はなく 生 産に対 す る枠である こ と である 。 生産 量に上限 が定められ ている た め に 、国 内 の 消 費 が 増 え れば 、 そ の 分 だ け 輸出 で き る 原 油 の量 が 減 少 す る こ とになるから で ある。   人 口 の 増 加 と 経 済 の 発 展 で 、 年々 、 原 油 の 消 費 量は増 加 し て い く。 つ ま り、 そ の まま で は 、 年 々、 原油 の 輸 出量が 減 少 し て い く こ と になる の である 。 輸 出 量の減 少 は 石油収入 の 減少 に つ な が る 。 石油 収入 で 経 済が 動き 、 石油収入 で 政 治の安 定 がもたらされて い るサ ウ ジアラ ビ ア な どにと っ ては 、 石 油 収入 の 減 少は 死活問題 で 、 な ん と して も 避 け た い こ とで あ る 。   これ まで も 、 いく つかの 対 策 が 取ら れ て き た が 、 そ の 中心 は 石 油 を使 っ て 増収を図る こ と で あ っ た。 生 産 で き る 量 に 上 限 が 定 め ら れて いるために 、 原 油 をそのま ま 輸 出 する の で はなく 、 加工 し て 付 加価値を付け て高 い 値 段 で 輸出す る こ とに力 が 入 れ られてきた 。 そ れは 工業 化にも つ ながり 、 一 石 二 鳥を狙 っ た の で あ る 。 臨海部 に 製 油所が 作 ら れ ナ フ サ な ど の 製品が 輸 出 された 。 また 、 石 油 化 学 プ ラ ント を 建 設 し 、 石 油 化 学 製 品の輸 出にも取り 組 ん で きた 。 そ れらは 政府系企業 に よ り 担わ れ て き た 。 現在 、 サ ウジ ア ラ ビ ア は 世 界有数 の石 油 化 学 製 品の輸 出 国 と な っ て いる 。   また 、 比 較 的 高 い 値 段 で販 売で きる 軽 質 油 ︵ 原 油 ︶ の 生 産 ・輸 出 を増やす こ と で 、 増収が図られ て きた 。 サ ウ ジ アラ ビ ア で生産 さ れ る原 油のうち で 、 最も軽 質 油であ る ア ラ ビ アン ・ エ クス ト ラ ・ラ イ トと最 も 重質 油であるアラビ ア ン・ ヘ ビ ー と の 間 に は 、 現 在 一 バ レルあ た り五ドル 程 度 の油 種 間 の 価格差が あ る 。 軽 質油 の 方 が 、 製 油所 で の 処理 が 簡 単 で ガ ソ リ ン も 多く取れ る た め に 、 高 く売れ る 。 軽 質 油 を 産 出 する油田 の開 発に努 めるな ど 、 軽 質 油 の生 産 を 増 や す 努 力 が続 けられてきた。   それら の こ と は収 入の増 加 に つ なが っ た 。 し か し 、 原 油 の 国 内 消 費の増 加 で 、 輸 出 できる原 油 そ の も の が少なくな っ て し まう恐れが 強ま っ て き た の で あ る 。 肝 心 の 原 油が な く な っ て は 話 に な ら な い 。   サウジ ア ラビ ア で は今も 二 % 台 の高 率の人口 増 加 が続 い て おり 、 経済も発展 し て い る 。 電力 の 使 用 は 今 後二 〇 年 間で三倍になると推 定さ れ て い る 。 サ ウジ 国内 で の エ ネル ギー の総 消 費 量は 二 〇 〇 九 年 には原 油 換 算 で三 四 〇 万 b / d で あった が 、二 〇 二 八 年 に は 原 油 換 算で八三〇万 b / d へ と約二 ・ 四 倍に増 加 すると推 定され て い る ⑸ 。   石油 へ の 依存を 続 け れ ば 、 石油 の消 費は増 加 し続 け 、 そ の まま何 もしな い で放 置 す れ ば 、 輸 出でき る石 油は いずれ ゼ ロ に な っ てしま うと考えられ て い る 。 製品 の輸 出 など 石油を使 っ て 増収を図る こ と には 限 界 があ り 、 また 、 工 業 化 の 足取りも遅 い 。 石 油輸出が減少す れば 、 経 済 へ の 打 撃 は も ち ろ ん の こと 、政 治 に も 計 り 知 れ な い 打 撃 となる。   輸出 で き る 石 油が 減 っ て い く こ とに 対 す る 恐 れ が 、 サ ウ ジ アラ ビ アを原子 力の利用 へ と 突き動かし ている 。 原 子 力 を 利 用 して 発 電 し 、 化石燃料 の消 費量 の増加を抑え よ う と しているので あ る 。

●原子力の利用

  今で こ そ 、 中 東では原 子 力 発 電 所の建 設 な い しは 建 設 計 画 が 多 数 の国で 進 められ目 白 押 し 状 態に なっ て い る が 、かつ て は 、 原 子 力 発電所 の 建設を進め る こ と は 難 し かった 。 原 子 力 発 電 所 の 建 設 は 、 平和目的 の 利 用 で あ っ て も 核兵器 の開 発 能 力に つな がると見 られて いたか ら で あ る 。   中東 は 政 治的 に 不 安定 で 戦 争が 絶え な い 地域 であり 、 核兵器開発 につ な が る 可 能 性 の あ る 動 き は 警 戒 感 を以て見 られてきた 。 と りわ け、イ ス ラエル は 近 隣 諸 国 が 核 開 発能力を 持 つ こ と は 自 国 の 安全保 障へ の 重 大 な 脅 威 で あ る と み な し、 強 い 警 戒 感 を 持 ち 続 け てきた。 イスラ エ ルは 、 一 九 八 一 年 にイラ クで 建 設 中の原 子 炉 を 空 爆 し 、 二 〇〇七年に は 原子炉 の 建設中 で あった と さ れ る シ リ ア の 施 設 を 空 爆し て い る。   たとえ原 子 力 発 電 所の建 設 で あっ て も 国 家 間 の 緊 張 を 生 む の で

サウジは原子力発電所建設を推進

(5)

ある 。 こ のため 、 地 域 の国々や 欧 米諸国など に は 原 子力発電所 の 建 設に対する警戒心が強く 、 建設 計 画へ の 強 い 抑 制 要 因 と なっ てい た。 ま た 、 ス リ ー マ イ ル 島 や チ ェ ル ノ ブ イ リ で の 原 発事故も 原 子力 発電 へ の 懸念を強め 、 原子力開発 の動きを水 面 下にとどめ て い た 。   その 状 況 に 変 化 が み ら れ る よ う に な っ た の は 二 〇〇〇年代半 ば の ことで あ る 。 世 界 各 国 で 原 子 力 発 電所 の 建 設が進み 、 中 東 で も原子 力発電所建設 の 機 運が 強ま っ て き た。 サ ウ ジ ア ラ ビ ア な ど の 石 油 資 源に富んだ産 油国でも 、 将 来の エ ネルギー不足 が 指 摘 されるように なり 、 原 子 力 発 電 所 建 設の必要 性 が 議 論 さ れ る よ う に な る 。 GCC 諸 国 では 、 加 え て 、 原 子 力 発 電 所 の建 設 を はじめとした核 開 発 を 進 め る イ ラ ン の 動きが大きな刺 激 と なった で あ ろ う 。   GCC 諸 国 は二〇 〇 六 年 一 二 月 にリヤードで開 催 したサミ ッ ト で 、 平和目的 の 原 子力技術開発を 進め る こ とを決め 、 サ ミ ッ ト の 最 終声明 で 明ら か に し た 。 ア メ リ カ 国 務 省 も 、 GCC 諸 国 による 核 エ ネ ル ギー能力 の 開 発は 、 核 兵器を 開 発 する意図はなく 何 の問 題 も な いと 応 じ 、 以 後 、 GCC 諸 国 で は 原子力発電所 の 開 発計画が動き始 めた の で あ っ た。   GCC 諸 国 での 原 子 力の 利 用 の 動き は最近に始ま っ た も の と見ら れがち で あ る が 、 サウジ ア ラビ ア では 、 か なり 早い時 期 から原 子 力 の研 究 ・ 開 発 が進 められてきた 。 初期 の 研 究 ・ 開発 の 動 き は 大き く 二つ の 段 階 に 分 け る こ と が 出 来 る。   最初 は 一 九七 〇年代 で 、 当 時 、 政府 に は 、 フ ラ ン ス の 会社 の 協 力 を得て原子 炉 を開 発しようとする 考えがあ っ た と さ れ る 。 し か し 、 一九 七 九 年 三 月 に ア メ リ カ の ス リー マ イ ル ス 島の原子 炉で事 故 が 起こ ると 、 そ の計 画は中 止 にな っ た。 こ の 時 期 に、 ジ ェ ッ ダ の キ ン グ・ ア ブ ド ル ア ジ ー ズ 大 学 の 工 学 部に原子 力工学 科 が設 立され て い る。   続い て 、 一 九 八 〇 年 代 に 入 る と 原子炉を建設し よ うとする動きが 再び 起 き て く る 。 リ ヤ ー ド の キ ン グ ・ サウード 大 学 に原子 力 工学の 博士 課程を 設 立 し よ う と す る 計 画 も持ち上が っ た 。 準備がすすめら れたが 、 一 九 八 六 年四月に ソビ エ トのチ ェ ルノ ブ イ リ 原 子 力 発 電 所 の事 故 が 起 こ り 、 計 画 は取りやめ とな っ た 。 し かし 、 原 子 炉 の建 設 は断 念されたも の の 、 政 府 の科 学 技術研究機構 で あ る K A C S T ︵ King A bdulaziz C it y fo r Science and T echnolog y 、リ ヤ ー ド ︶ で 調 査研 究を実 施 する こ と になり 、 一 九八八年に K A C S T 内に 原子力 に関 する調 査 研 究 部 門 が設 置 さ れ た。 そ こ で は 、 産 業 へ の 利 用 、 原 子炉と 原 子力発電 の 研 究 、 核物質 の 研 究 、 放射能か ら の 保護など を テー マ と し て 研 究 が行われ てきた ので あ っ た 。   GCC 諸 国 で は 、 すでにア ラ ブ 首長国連邦 の アブダビ 首長国が 、 完 成 すれ ば ア ラブ諸国で初め て と なる原 子 力 発 電 所 の建 設 を 進 め 、 二 〇 〇九年末 に 韓 国企業連合 へ の 建設発注を決め て い る 。 そ の 他 の GCC 諸 国 も 、 意 欲 の 濃 淡 は あ る ものの 、 原 発 建 設 の 検 討 を 進 め て いる 。 二 〇 一 一 年 の 福 島 原 発 の 事 故を受け て ア ブダビ で の 原 発建設 の見 直しが行われ て い るなど 、 原 発事故 の 影 響が 出 て い る も の の 、 エ ネ ルギー不足 が 背 景 にあり 、 原 子力発電所建設推進 の 流 れ は 変わ らな い も の と 思われる。   サウジ ア ラビ アは 二 〇 一 〇 年に ﹁アブド ッ ラ ー国王原子 力 ・ 再 生 可能 エ ネ ルギ ー 都 市 ︵ K A C A R E︶ ﹂ を 設立 し 、 二 〇 一 一 年 二 月 に はフ ランス と 同 国 初 め ての 原 子 力 開発協力協定を 結 ん で い る 。 中国 や韓国 ︵ 一 一 月に調印︶ と も協 定 締結 へ 向 け て 交渉を進め る など 、 原子力発電所 建設 へ 向 け て 動 い て いる 。 二 〇 三 〇 年 までに は 一 六 基 の原 子 炉 が 建 設 さ れる、 あ る い は、 四〇∼六〇基 の 原 子 炉 が作られ る とする情 報 も ある 。今 後は 、 安 全 の確 保 が 大 き な課 題になろう 。 ︵ふくだ   さだ し/アジ ア経済研 究所   中東研究グ ル ープ ︶ ︽注︾ ⑴ A ra b N ew s 2 0 1 1 , 1 O ct o b er よび 一 〇 月 四 日付 ﹃日本経済新 聞﹄ 九面。 ⑵ サウジ ア ラビ ア 、 クウ ェ ー ト 、 バハ レ ー ン、 カ タ ル、 ア ラ ブ 首 長国連邦 、 オ マ ー ン の 六 カ 国か らなる地 域 協 力 機 構 。 湾 岸 協 力 評議会と 訳さ れ る 。 ⑶ 石油会社 B P 社 の 出 し て い る 統計。 ⑷ 出所 は B P統計、 ク ウ ェ ー ト は 同統計よ り 算出。 ⑸ A rab News 2 0 1 1 , 2 3 Jul y.

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