〈論文〉余剰容積の移転と譲渡所得における「譲渡」
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(2) 第58巻. 1は. 第1号. じ. め. に. 包 括 的 所 得 概 念 は,公 平 負 担 の 要 請,再 分 配 機 能,景 気 調 整 機 能 の 観 点 か ら,今 日 まで 一 般 的 な支 持 を 受 けて きた(1) 。 そ して,戦 後 の シ ャ ウ プ勧 告 以 来,日 本 の所 得 税 法 は この 包 括 的 所 得 概 念 を前 提 に して(2),総 合 課 税 お よ び 累進 税 率 の 適 用 を基 本 と して い る と され る。 しか し,実 定 所 得 税 法 は収 入 金 額(同 法36条1項),す. な わ ち,収 入 等 の 形 で新 た に. 得 られ た経 済 的 利 得 を 所 得 計 算 の 出発 点 に して 「所 得 金 額 」 を 算 出す る こ と と して い る こ とか ら,原 則 と して,未 実 現 の 利 得 に は課 税 しな い とす る実 現 原 則 を採 用 して い る(3)。こ の た め,所 得 税 法 上 の 「所 得 金 額 」 は,帰 属 所 得 の 原 則 非 課 税 や キ ャ ピ タル ・ゲ イ ンの 譲 渡 時 まで の 課 税 繰 延 等 に よ って,包 括 的 所 得 概 念 に お け る 「所 得 額 」 との 乖 離 ④ を 余 儀 な くされ て い る。 つ ま り,キ ャ ピ タル ・ゲ イ ン に関 して いえ ば,現 行 の 所 得 税 法 は,原 則 と して,資 産 の 値 上 り益 が 当該 資 産 の 譲 渡 に よ って 顕 在 化 し,実 現 した と き に 「譲 渡 所 得 」 と して 課 税 す る こ と に して い る(同 法33条)の. で あ る。. こ の譲 渡 所 得 の 課 税 の趣 旨に つ い て 判 例 は,「 資 産 が 譲 渡 に よ って 所 有 者 の手 を離 れ る の を機 会 に,そ の 所 有 期 間 中 の増 加 益 を 清 算 して 課 税 しよ う とす る もの で あ る」(最 判 昭 和43年10月31日 訟 月14巻12号1442頁,最. 判 昭 和47年12月26日 民 集26巻10号2083頁)と. 解し. て い る。 通 説 も 同様 に理 解 して い る(5)もの と思 わ れ るが(6>,この よ うな考 え方 は 「清 算 課 税 説 」(7)と 呼 ば れ て い る。 そ うす る と,資 産 の 「譲 渡 」が 資 産 の 増 加 益 に対 す る課 税 の 最 後 の 機 会 で あ るか ら,譲 渡 所 得 とな る 「譲 渡 」 の 範 囲 を 明 らか にす る こ とが 極 めて 重 要 とな っ て くる。. (1)金 子 宏 『租 税 法 〔 第16版 〕」(弘 文 堂 ・2011年)170頁 。 (2)佐 藤 英 明 「ス タ ン ダー ド所 得 税 法 〔 補 正 版 〕』(弘 文 堂 ・2010年)5頁 。 (3)所 得 税 法 は,棚 卸 資 産 等 を 自家 消 費 した 場 合(同 法39条),棚 卸 資産 を 贈 与 等 した場 合(同 法 40条),農 産 物 を 収 穫 した 場 合(同 法41条1項),資 産 を 法 人 に対 して 贈 与 等 を した 場 合(同 法59 条1項)に は,例 外 と して 課 税 対 象 と して い る。 (4)こ の 点 につ い て は,包 括 的 所 得 概 念 に係 る金 子 宏 「ボ ー リス ・ビ トカ ー の 『包 括 的 課 税 べ 一 ス 」 批 判 論 の 検 討 」 『所 得 概 念 の 研 究 』(有 斐 閣 ・1995年 〔 初 出1990年 〕)119頁,神 野 直 彦 「所 得 概 念 論 」 金 子 宏 編 著 『所 得 税 の 理 論 と課 題 〔 二 訂 版 〕」(税 務 経 理 協 会 ・2001年)19頁 を 参 照 。 (5)金 子 ・前 掲(注(1))218頁,水 野 忠 恒 『租 税 法 〔 第5版 〕』(有 斐 閣 ・2011年)203頁 。 (6)し か し,ゴ ル フ会 員 権 贈 与 事 件(最 判 平 成17年2月1日 訟 月52巻3号1034頁)や 土地改良区決 済 金 事 件(最 判 平 成18年4月20日 判 時1933号76頁)な どの 最 近 の 裁 判 例 には,一 定 程 度,譲 渡 益 説 〔 具 体 的 に得 られ た 譲 渡 益 へ の 課 税 と考 え る考 え 方 〕 へ の 傾 きが み られ る こ とを 示 して い る と の 指 摘 もあ る(佐 藤 ・前 掲(注(2))92頁)ま た,学 説 に お い て も,「増 加 益 清 算 課 税 説 は譲 渡 所 得 の 課 税 対 象 とす るた め の 理 論 的 根 拠 と して の 地 位 に と どま り,所 得 税 法 にお け る譲 渡 所 得 の 趣 旨 と して は譲 渡 益 課 税 説 が 適 切 で あ る と いえ よ う。」(伊 川 正 樹 「譲 渡 所 得 課 税 に お け る 『資 産 の 譲 渡 』」 税 法 学561号23頁)と され る もの もあ る。 (7)佐 藤 ・前 掲(注(2))83頁 。 -110(110)一.
(3) 余 剰 容 積 の 移 転 と譲 渡 所 得 に お け る 「譲 渡 」(中 野). 平 成21年 に は,個 人 が 所 有 土 地 にか か る余 剰 容 積 を 隣 接 地 の 所 有 者 に移 転 した こ と に伴 い受 領 した金 員 の 所 得 区 分 につ いて 不 動 産 所 得 で あ る 旨判 示 した裁 判 例 が あ る(東 京 高 判 平 成21年5月20日. 判 例 集 未 登 載)。 そ こで,本 稿 は,こ の判 決 を題 材 と して,余 剰 容 積 の 移. 転 と譲 渡 所 得 に お け る 「譲 渡 」 の 関 係 につ いて 検 討 を 加 え る もの で あ る。 本 稿 の 構 成 は,ま ず 余 剰 容 積 の 移 転 に伴 い受 領 した金 員 の 所 得 区 分 に関 す る当 該 裁 判 例 の 概 要(2)と余 剰 容 積 の 移 転 を 巡 る法 律 関 係 等(3)を整 理 した うえ で,譲 渡 所 得 課 税 にお け る 「譲 渡 」 と余 剰 容 積 の移 転 との 関係 を考 察 す る(4お. 2余. 個 人X1か. よ び5)。. 剰容積 に移転 に伴 う裁判例の事案の概要 と判 旨. らX、(原 告 ・控 訴 人,以 下 「Xら 」 とい う。)は,所. 件 土 地 」 とい う。)の 容 積率400%の. う ちの105.54%(以. 有 す る各 土 地(以 下 「本. 下 「本 件 余 剰 容 積 」 と い う。)を 建. 築 基 準 法86条2項(8)に 規 定 す る連 担 建 築 物 設 計 制 度 に基 づ き当 該 土 地 の 隣 接 地 を 所 有 す る Aに 移 転 す る こ とを 合 意 し,地 役 権 設 定 契 約 書 を 作 成 した。 その 内容 は概 ね 次 の とお りで あ る。 ア. 地 役 権 の 内容 ①Aは 連 担 建 築 物 設 計 制 度 の 認 定 に基 づ き,Xら 本 件 余 剰 容 積 の 移 転 をA所 有 地(要 役 地)上 る。 ②Xら 及 びAは,本. か ら本 件 各 土 地(承 役 地)に 係 る. に受 け,予 定 建 物 をA所 有 地 上 に建 設 す. 件 予 定 建 物 の 着 工 を 停 止 条 件 と して,Xら. 築 基 準 法 に定 め る容 積 率 の 最 高 限 度(400%)か. が当該着工時の建. ら105.54%を 控 除 した 容 積 率294.46%. を超 え る建 物 を 本 件 各 土 地 内 に建 設 しな い 旨の 不 作 為 の 地 役 権(以 下 「本 件 地 役 権 」 と い う。)を設 定 す る もの と し,こ れ に よ りAは 本 件 余 剰 容 積 の 利 用 権 をXら か ら取 得 す る。 ③Xら. は,Aが. 本 件 余 剰 容 積 の 利 用 権 の 移 転 を 受 けた 後 は,Aが. 本件予定建物. を将 来 最 築 す る場 合 に お いて も,本 件 余 剰 容 積 をA所 有 地 の 容 積 に加 算 す る こ とを 承 諾 す る。. (8)建 築 基 準 法86条2項(一 の 敷 地 とみ な す こ と等 に よ る制 限 の 緩 和) 「一 定 の 一 団 の 土 地 の 区 域(そ の 内 に第8項 の 規 定 に よ る現 に公 示 され て い る他 の 対 象 区 域 が あ る と きは,当 該 他 の 対 象 区 域 の 全 部 を 含 む もの に限 る。 以 下 この 項 及 び 第6項 に お い て 同 じ。)内 に現 に存 す る建 築 物 の 位 置 及 び 構 造 を 前 提 と して,安 全 上,防 火 上 及 び 衛 生 上 必 要 な 国 土 交 通 省 令 で 定 あ る基 準 に従 い総 合 的 見 地 か ら した 設 計 に よ って 当 該 区 域 内 に 建 築 物 が 建 築 され る場 合 に お い て,国 土 交 通 省 令 で 定 め る と こ ろ に よ り,特 定 行 政 庁 が そ の 位 置 及 び構 造 が 安 全 上,防 火 上 及 び 衛 生 上 支 障 が な い と認 め る当 該 区 域 内 に 存 す る こ と とな る各 建 築 物 に対 す る特 例 対 象 規 定 の 適 用 につ い て は,当 該 一 定 の 一 団 の 土 地 の 区 域 を これ らの 建 築 物 の 一 の 敷 地 とみ な す 。」 -111(111)一.
(4) 第58巻 イ. 第1号. 設 定 目的 本 件 地 役 権 の 設 定 目的 は,本 件 余 剰 容 積 の 利 用 権 をA所 有 地 の 所 有 者 が 永 続 的 に確 保 し,Aに. 建 築 す る本 件 予 定 建 物 に対 す る建 築 基 準 法 等 適 用 法 規 で 定 め る容 積 率,建. ぺ い率 及 び 日影 規 制 等 に よ る建 物 敷 地 確 保 及 び再 建 築 の た め に,本 件 各 土 地 の 範 囲 内 に お い て現 存 す る本 件 建 物 の容 積 率 対 象 延 床 面 積(4,572.42平 方 メ ー トル)を 超 え て 本 件 各 土 地 の 所 有 者 が 本 件 建 物 の 増 改 築 又 は再 建 築 しな い こ と とす る。 ウ. 存続期間 本 件 地 役 権 の 存 続 期 間 は永 久 とす る。. 工. 対価 X1∼X4へ. の対 価 は次 の とお りで あ る。. X1:1億7,500万. 円,X2:1,200万. 円,X3:9,100万. \ /. 円,X4:1億900万. 円. 移転余 剰容積率 105.54%. 本件余剰 容積率 105.54%. 当初 容 積 率 400%. 既存建 築物容積率 294.46%. Xら 所有 土地A所. Xら は平 成17年7月27日,本. 件 契 約 に基 づ きAか. 有土地. ら上 記 の 対 価 を 受 領 した た め,Xら. は. 本 件 対 価 を一 時 所 得 ま た は不 動 産 所 得 と して 確 定 申告 した。 その 後,本 件 対 価 は余 剰 容 積 利 用 権 と い う資 産 の 譲 渡 の 対 価 で あ り,譲 渡 所 得 に該 当す る もの と して 更 正 の 請 求 を 行 っ たが,税 務 署 長Yは 更 正 を す べ き理 由が な い 旨の 処 分 を 行 っ た もの で あ る。 第 一 審 判 決(東 京 地 判 平 成20年11月28日 判 例 集 未 登 載)は,本. 件 対 価 は不 動 産 所 得 で あ. る と し,譲 渡 所 得 に該 当 しな い こ と につ い て概 ね次 の とお り述 べ た。 「連 担 建 築 物 設 計 制 度(建 築 基 準 法86条2項)は,…. … 『当該 一 定 の 一 団 の 土 地 の 区 域 』 を これ らの 建 築 物 の. 同一 の 敷 地 とみ な す こ と に よ り,既 存 建 築 物 の 存 在 を 前 提 と して,そ の 余 剰 容 積 を 隣 地 に 建 築 す る建 築 物 に移 転 す る こ とを 可 能 にす る制 度 で あ る」と した が,「飽 くまで 公 法 上 の 規 一112(112)一.
(5) 余剰容積の移転 と譲渡所得にお ける 「譲渡」(中野) 制 の 緩 和 を実 質 とす る もの で あ り,… … 私 法 上 は,余 剰 容 積 利 用 権 と い う新 た な 権 利 を 創 設 す る もの で はな い。」 と した。 そ して,「 建 築 基 準 法86条6項. は,そ の 認 定 の 申請 者 以 外. に本 件 連 担 対 象 地 内 の土 地 に所 有 権 又 は借 地 権 を有 す る者 が あ る と き は,そ の 計 画 につ き,こ れ らの 者 の 同意 を 得 な けれ ばな らな い もの と規 定 す る と こ ろ,こ の 同意 を 得 る に至 る手 続 等 につ いて は特 段 の 規 定 が 無 く,こ れ を 私 的 自治,す な わ ち当 事 者 間 の 交 渉 又 は取 引 等 に ゆ だね て い るの で あ り,本 件 に お いて,Aが. 原 告 らの 上 記 同意 を 得 て,本 件 連 担 認. 定 の 内容 を将 来 にわ た って 確 保 す る た め,か つ,不 動 産 登 記 等 い う公 示 手 段 の 存 在 も考 慮 して,地 役権 の設 定 等 い う方 法 を 選択 し,原 告 らか らそ の設 定 を受 け た とい うの で あ れ ば, それ は余 剰 容 積 利 用 権 と い う権 利 の 移 転 又 は譲 渡 で はな く,原 告 ら に と って は正 し く本 件 各 土 地 を承 役 地 とす る不 作 為 の 地 役 権 で あ る」と認 定 した。 そ して,「所 得 税 法 施 行 令79条 1項 は,… … 連 担 建 築 物 設 計 制 度 にか か わ る地 役 権 につ いて は何 ら規 定 して いな い。」,さ らに,「地 役 権 そ の もの が単 独 で転 々譲 渡 さ れ る余 地 は な い こ と か ら して も,本 件 地 役 権 の 設 定 の 対 価 が 上 記 の 譲 渡 所 得 に該 当す る と は いえ な い。」 と判 示 して,請 求 を棄 却 した。 控 訴 審 判 決(東 京 高 判 平 成21年5月20日. 判 例 集 未 登 載)も. 「本 件 契 約 は地 役 権 設 定 契 約. で あ り,地 役 権 設 定 の 対 価(本 件 対 価)は 譲 渡 所 得 で はな く,不 動 産 所 得 に 当 た る。」 と 結 論 付 け た。 同判 決 は,連 担 建 築 物 設 計 制 度 につ いて,第 一 審 判 決 が 述 べ た 「そ の 余 剰 容 積 を隣 地 に建 築 す る建 築 物 に移 転 す る こ とを 可 能 にす る制 度 」 との 文 言 を 「そ の 余 剰 容 積 を加 算 した 容 積 の 建 築 物 を 同 敷 地 内 の 別 の土 地 上 に建 築 す る こ とが 可 能 とな る制 度 で あ る」と改 め た上 で,概 ね次 の とお り第 一 審 判 決 を補 足 す る。 「この よ うな 特 例 は建 築 基 準 法 上 の 「敷 地 』 利 用 権 に関 す る規 制 で あ る… … 当該 余 剰 容 積 が 甲敷 地 の 利 用 権 か ら独 立,分 離 して 乙敷 地 に移 転 す る こ とが 定 め られ た もの で は な い」,ま た,「 『余 剰 容 積 利 用 権 』 な る もの は,土 地 所 有 権 か ら淵 源 す る敷 地 利 用 権 能(経 済 的 利 益)で. あ って,敷 地 利 用 権 と. 離 れ て 独 立 に処 分 可 能 な 財 産 と い う こ と は困 難 で あ る」 と した。 そ して,「 『余 剰 容 積 利 用 権 』 の 権 利 性 は連 担 建 築 物 設 制 度 に 同意 す る場 合 の 契 約 内容 に よ るの で あ り,ま た,こ の 同意 に係 る対 価 は不 動 産 を 他 人 に使 用 させ る こ との 対 価 と い う こ と にな るか ら,同 意 に係 る対 価 が 当然 に譲 渡 所 得 に該 当す る もの と解 す る こ と はで きな い。」 とす る。 さ らに,「 確 か に,本 件 対 価 の 性 質 に は,実 質 的,経 済 的 にみ れ ば,本 件 各 土 地 の 土 地 利 用 権 の 一 部 を 半 永 久 的 に譲 渡 す る こ とに よ っ て,本 件 各 土 地 の 更 地 価 額 の うち本 件 各 土 地 の 値 上 り に よ って 所 有 者 に 帰 属 した 増 加 益 が現 実 化 した と い う側 面 もあ る こ と は否 定 で き な い が, … … 所 得 税 法 及 び 同施 行 令 は,不 動 産 所 得 と譲 渡 所 得 との 実 質 論 の み で は,両 者 の 区 分 が 困 難 で あ る と こ ろか ら,政 令 に お いて 具 体 的 な 判 断 基 準 を 設 け た もの で あ り,そ の よ うな 一113(113)一.
(6) 第58巻. 第1号. 趣 旨 か らす れ ば,建 物 の 所 有 を 目的 と して 他 人 に 土 地 を長 期 間 使 用 させ る 行 為 で あ って も,政 令 で 定 め る基 準 に該 当 しな けれ ば,譲 渡 所 得 に は該 当 しな い,… … 当 該 基 準 に よ り 不 動 産 所 得 に該 当す る場 合 に,更 に実 質 論 を も って 譲 渡 所 得 の 範 囲 を 拡 大 す る こ とを 予 定 す る もの で はな い」と し,「本 件 地 役 権 の 設 定 は 同施 行 令79条1項. に列 挙 され た 一 定 の 内容. の 地 役 権 の 設 定 に は該 当 しな いか ら,本 件 契 約 に よ り取 得 され る利 益 を 譲 渡 所 得 と解 す る こ と はで きな い。」 と して控 訴 を棄 却 した。. 3余. 剰容積 の利用 を巡 る法律関係 とその価値 の評価. 以 下 で は, 租 税 法 律 関 係 の 検 討 に先 立 ち,余 剰 容 積 の 利 用 を 巡 る私 法 上 の 法 律 関 係 等 を 概 観 す る。. (1)余. 剰 容 積 の 利 用(空. 中 権(9))の 類 型. ア メ リ カ で は 空 中 を 建 築 物 に 利 用 す る 場 合,そ の 空 中 利 用 を そ の 土 地 で 実 現 す る 場 合,第2と 接 す る 他 の 土 地 で 実 現 す る 場 合,そ. して,第3と. 離 的 に 離 れ て い る 他 の 土 地 で 実 現 す る 場 合 の3つ 第3の. 空 中 利 用 の 違 い は,建. 意 味 で は,第1の. の 態 様 と して は,第1と して,そ. して,そ. の土地. の 土 地 の 空 中 利 用 を 隣 接 な い し近. して,そ. の 土 地 の 空 中利 用 を これ と は距. が あ る と さ れ る 。 第1の. 空 中 利 用 と 第2,. 築 容 積 の 場 所 的 な 移 転 を 必 要 と す る か ど う か で あ り,厳. 空 中 利 用 だ けが. 「空 中 権(AirRights)」. と 呼 ば れ,第2お. 空 中 利 用 は 「開 発 権 の 移 転(TransferofDevelopmentRights,TDR)」. 密な. よ び 第3の と呼 ばれ て 区 別. さ れ て い る(1① 。 空 中 権 は,地. 下 の 鉱 物 と 同 じ よ う に 土 地 所 有 権 の 構 成 要 素 と して,コ. モ ン ・ロ ー 上,当. 然 に 認 め られ る 財 産 権 で あ り,「土 地 を 所 有 す る 者 は,な ん ぴ と も 同 時 に そ の 空 中 と 地 中 ま で を 所 有 す る 」 と い う 法 原 則 に,そ る こ と は,す. の 基 礎 を 持 ち,土. 地 所 有 者 が 空 間 を 賃 貸 又 は譲 渡 で き. で に 判 例 に よ っ て 確 立 さ れ て い る 法 理 で あ る と い わ れ て い る 。 一 方,開. の 移 転(TDR)は,空. 中 権 と は 異 な り,地 方 自治 体 が 定 め る 都 市 計 画,開. 発権. 発 規 制 に よ って. (9)空 中権 に 関 す る文 献 と して,建 設 省 空 中 権 調 査 研 究 会 『空 中 権 そ の 理 論 と運 用 』(ぎ ょ うせ い ・1985年),宇 都 宮 光 夫 『空 間所 有 権 の実 現 形 態 」(大 成 出版 社 ・1987年),水 本 浩 ・戸 田修 三 ・ 下 山 瑛 二 『不 動 産 法 制 概 説 』(青 林 書 院 ・1993年),亀 田 健 二 「移 転 可 能 な 開 発 権 」 産 大 法 学20巻 2・3号(1986年)25頁,南 博 方 「空 間 開 発 権 の 移 転 契 約 一 開 発 と環 境 の 調 和 の 手 法 一 」 小 室 直 人 ・本 間輝 雄 ・小 瀬 村 邦 夫 編 集 代 表 「西 原 寛 一 先 生 追 悼 論 文 集 企 業 と法(下)』(有 斐 閣 ・1995年) 97頁 等 が あ る。 ω 建 設 省 空 中権 調 査 研 究 会 ・前 掲(注(9))2∼7頁 を参照。 一114(114)一.
(7) 余剰容積の移転 と譲渡所得にお ける 「譲渡」(中野) 付 与 され る もの で,容 積 の 送 り出 し地 は,現 状 の ま ま開 発 が 抑 制 され るが,容 積 の 受 け入 れ 地 で は,一 定 の 限 度 内 に お いて,移 転 容 積 率 を 保 有 す る容 積 率 に上 積 み した 開 発 が 可 能 とな る もの で あ る と され る。 日本 で は論 者 に よ って 異 な る よ うで あ るが,「空 中権 」と は建 築 基 準 関 連 法 令 の 規 制 に よ り,土 地 の 上 下(地 上,地 下)に 建 築 物 を 建 築 す る こ との で き る空 間 の 一 部 に あた る部 分 に建 築 物 を建 築 して 所 有 し,利 用 す る権 利 で あ る(ll)と いわ れ て い る。 建 築 基 準 法 で は,あ る敷 地 上 の 建 物 が その 最 高 限 度 の 容 積 を 使 用 して いな い場 合 で,他 の 敷 地 が 最 高 限 度 の 容 積 を 必 要 と し,そ の未 使 用 部 分 の 容 積(こ れ を 「余 剰 容 積 」と い う。) を譲 り受 け,移 転 して 利 用 しよ う と して も,原 則 と して は,利 用 で きな い こ と とな って い る。 しか し,都 市 の 高 度 な 利 用 を 図 る た め,特 定 の 場 合 に は その 余 剰 容 積 の 移 転 が 認 め ら れ る こ とが あ る。 この よ うな 移 転 が 認 め られ るケ ー ス は,① 特 定 街 区 制 度,② 一 団 地 認 定 制 度(総 合 的設 計 に よ る一 団地 の 建 築 物 の認 定 制 度),③ 地 区 計 画 制 度,④ 連 担 建 築 物 設 計 制 度 だ け に限 定 され て い る。 第1の. 特 定 街 区 制 度 とは,建 築 物 の 壁 面 の位 置 を指 定 す る こ と に よ り,都 心 部 の ビル. デ ィ ング密 集 地 域 内 に空 地 を 確 保 させ,ま. た,建 築 物 の 高 さの 制 限 も指 定 して,調 和 の と. れ た街 区 づ く りを す る と と も に,そ の か わ り,そ の 恩 典 と して,容 積 率 の 割 増 しを 与 え よ う とす る制 度 ⑫ で あ る(都 市 計 画 法9条19項,建. 築 基 準 法60条)。 ま た,街 区 内の 各 敷 地 の. 相 互 間 で 容 積 率 の 移 転 を 認 め る と と も に,他 の 特 定 街 区 との 相 互 間 で も,容 積 率 の 移 転 を 認 め る こ と も あ る。 第2の 一 団 地 認 定 制 度 と は,一 団 地 に2以 上 の 建 築 物 を 総 合 的 設 計 に よ って 建 築 す る場 合,特 定 行 政 庁 が その 各 建 築 物 の 位 置 お よ び構 造 が 安 全 上,防 火 上 お よ び衛 生 上 支 障 が な い と認 め た と き,こ の 一 団 地 の 認 定 が な され,こ の 認 定 を 受 け る と,接 道 義 務,容 積 率,建 ぺ い率 等 の 適 用 に あ た って,こ れ らの 建 築 物 は 同一 敷 地 内 に あ る もの とみ な され る(③(建築 基 準 法86条1項)。. ま た,一 団 地 全 体 と して 算 定 され た 容 積 率 の 範 囲. 内で 個 々の 建 築 物 相 互 間 の 容 積 率 の 融 通 ・移 転 も可 能 にな る。 第3の 地 区 計 画 制 度 は,都 市 計 画 法 上 の 容 積 適 正 配 分 制 度 に よ る もの で,地 区 計 画 の 定 め られ た 地 区 内の あ る区 域 か ら,別 の 区 域 へ 容 積 率 を 配 分(移 転)す 建 築 基 準 法68条 の4∼68条. る こ とを認 め る制 度 で あ る(都 市 計 画 法12条 の7,. の5の2)。. そ して,本 件 の 対 象 とな っ た第4の 連 担 建 築 物 設 計 制 度 と は,土 地 の 有 効 利 用 等 の 観 点. qD土 地 評 価 理 論 研 究 会 『特 殊 な 権 利 と鑑 定 評 価 』(清 文 社 ・2001年)1頁 。 ⑫ 例 と して,日 比 谷 シテ ィ,日 比 谷 国 際 ビル,富 国 生 命 本 社 ビル,プ レス セ ン ター ビル 等 が あ る。 ⑱ 例 と して,第36森 ビル,第37森 ビル 等 が あ る。 -115(115)一.
(8) 第58巻. 第1号. か ら,一 定 の 一 団 地 の 土 地 の 区 域 内 に現 に存 す る建 築 物 の 位 置 及 び構 造 を 前 提 と して,特 定 行 政 庁 が その 位 置 及 び構 造 が 安 全 上,防 火 上 及 び衛 生 上 支 障 が な い と認 め る当 該 区 域 内 に存 す る こ と とな る各 建 築 物 につ いて は,容 積 率 の 制 限 に 当 た って,当 該 一 定 の 一 団 地 の 土 地 の 区 域 を これ らの 建 築 物 の 同一 の 敷 地 とみ な す 制 度 で あ る⑭(建 築 基 準 法86条2項)。 これ は,既 存 の建 築 物 を取 り込 ん で,そ の 建 築 物 の 存 続 を 前 提 と して,既 存 建 築 物 の増 築, ま た,新 規 の 建 築 物 の 建 築 に利 用 で き る と い う と こ ろ に特 徴 が あ る⑮ と いわ れ て い る。. (2)容 積 移 転 後 の 敷 地 の 私 法 上 の 権 利 確 保 の 方 法 容 積 移 転 後 の 敷 地 の 私 法 上 の 権 利 確 保 の 方 法 に は,① 地 役 権 と して 設 定 す る方 法,② 区 分 地 上 権 と して 設 定 す る方 法,③ 債 権(賃 借 権)と. して 設 定 す る方 法,④ 余 剰 容 積 利 用 権. の 売 買 とす る方 法 ⑯ が あ る と され る。 ①. 地 役 権 と して 設 定 す る方 法 地 役 権 は,設 定 行 為 を も って 定 め た 目的 に したが って 他 人 の 土 地 を 自己 の 土 地 の 便 益 に供 す る権 利 で あ る(民 法280条)と. こ ろ,通 行 地 役 権,引 水 地 役 権,電 線 路 敷 設. の た めの 地 役 権,浸 冠 水 地 役 等 の 作 為 地 役 権 だ けで な く,眺 望 ・日照 地 役 権 等 の 不 作 為 地 役 権 も含 ま れ る⑰。 この よ う に,従 来 か ら,眺 望 ・日照 地 役 権 の設 定 が認 め られ て い る こ とか ら,移 転 を 受 け た余 剰 容 積 率 等 の 確 保 と再 建 築 を 目的 とす る地 役 権 の 設 定 が,現 行 法 で 認 め られ る物 権 の 利 用 と して は も っ と も適 して い る⑱ と考 え られ て い る。 ②. 区 分 地 上 権 と して 設 定 す る方 法 区 分 地 上 権 は,地 下 又 は空 間 の 一 部 だ けを 工 作 物 を 所 有 す るた め,上 下 の 範 囲 を 定 め て地 上 権 を 設 定 す る もの(民 法269条2)で. あ る が,区 分 地 上 権 を 設 定 す れ ば,余. 剰 容 積 率 を提 供 した土 地 に土 地 所 有 者 の 利 用 で き る空 間,す な わ ち建 築 で き る建 築 物 の 高 さ は制 限 され るの で,そ の 範 囲 内で 移 転 を 受 け た余 剰 容 積 率 は実 質 的 に確 保 され る。 しか し,区 分 地 上 権 は,そ の 土 地 の 上 空 空 間 ま た は地 下 空 間 そ の もの を 使 用 す る 権 利 で あ るの に反 し,余 剰 容 積 の 移 転 が 行 わ れ た場 合 に は,そ の 土 地 を 直 接 利 用 して い る もの で はな いの で,区 分 地 上 権 と して 設 定 す る こ と は適 当で な い⑲ と いわ れ て い ω ⑮ q⑤ ⑰ q⑳ ⑲. 例 と して,東 京 ビル デ ィ ン グ,新 丸 ビル,丸 の 内 パ ー ク ビル,グ ラ ン トウキ ョウ ビル 等 が あ る。 土 地 評 価 理 論 研 究 会 ・前 掲(注ql))13頁 。 肥 後 治 樹 編 『平 成22年 版 財 産 評 価 基 本 通 達 逐 条 解 説 」(大 蔵 財 務 協 会 ・2010年)126頁 。 水 本 浩 ほか 『民 法(2)物権 〔 第4版 増 補 版 〕」(有 斐 閣 ・2003年)259∼260頁 。 土 地 評 価 理 論 研 究 会 ・前 掲(注 ⑪)18頁 。 土 地 評 価 理 論 研 究 会 ・前 掲(注ql))20頁 。 -116(116)一.
(9) 余 剰 容 積 の 移 転 と譲 渡 所 得 に お け る 「譲 渡 」(中 野). る。 ③. 債 権(賃 借 権)と. して 設 定 す る方 法. 債 権 につ いて は登 記 に よ って 第 三 者 に公 示 す る方 法 が な いた め,余 剰 容 積 率 を 提 供 して い る土 地 が 第 三 者 に譲 渡 され た場 合,新. しい土 地 所 有 者 に対 抗 で きな い と い う弱. 点 が あ る⑳ と いわ れ て い る。 ④. 余 剰 容 積 利 用 権 の 売 買 契 約 とす る方 法 上 記 ③ と 同様 の 問 題 が あ る と思 わ れ る。. この よ うな こ とか ら,実 務 上 は地 役 権 と して 設 定 す る方 法 が 採 用 され て い る場 合 が 多 い と思 わ れ る。 本 件 に お いて も余 剰 容 積 を 移 転 す る こ と及 び存 続 期 間 を 永 久 とす る こ と等 を 内容 とす る地 役 権 の 設 定 契 約 を 締 結 して い る。. (3)土 地 の 価 値 の 評 価 余 剰 容 積 の 移 転 が あ っ た場 合 に は,当 然 な が ら余 剰 容 積 を 移 転 した 土 地 お よ び余 剰 容 積 の 移 転 を受 け た土 地 の 双 方 の 価 値 に影 響 を 与 え る。 こ こで は,不 動 産 鑑 定 評 価 や 財 産 評 価 基 本 通 達 に基 づ く相 続 税 評 価 で は どの よ う に 当該 土 地 の 価 値 を 捉 え て い るか を 確 認 して お く。 ①. 不動産鑑定評価 隣 地 等 か ら余 剰 容 積 の 移 転 を 受 け た場 合 の 対 価 につ いて は,不 動 産 鑑 定 評 価 基 準 で い う 「隣 接 不 動 産 の 併 合 を 目的 とす る売 買 に関 連 す る場 合 」 に準 じ,「 限定 価 格 」⑫1)に 該 当す る と考 え られ て い る よ うで あ る⑳。 具 体 的 に は,余 剰 容 積 の移 転 を受 けた 後 の 土 地 の 最 有 効 使 用 に基 づ く当該 土 地 の 価 格 か ら余 剰 容 積 の 移 転 を 受 け る前 の 最 有 効 使 用 に基 づ く当該 土 地 の 価 格 を 控 除 した差 分 が 余 剰 容 積 移 転 の 増 価 分 とな る。 つ ま り, 余 剰 容 積 を移 転 す る土 地 の 価 格 よ りも余 剰 容 積 の 移 転 を 受 けた 土 地 の 価 格 が どれ だ け 増 価 す るか(ど の よ うな 建 物 を 建 て る こ とが で き るか)に 依 存 す る こ と にな る。 一 方 ,余 剰 容 積 を 移 転 した土 地 につ いて は,余 剰 容 積 移 転 後,つ. ま り減 少 した 余 剰. 容 積 の 下 で の 土 地 の 最 有 効 使 用 に基 づ く土 地 の 価 格 とな る。. ⑳ ⑳. ⑳. 土 地 評 価 理 論 研 究 会 ・前 掲(注 ⑪)20頁 。 限 定 価 格 と は,市 場 性 を 有 す る不 動 産 につ い て,不 動 産 と取 得 す る他 の 不 動 産 との 併 合 又 は不 動 産 の 一 部 を 取 得 す る際 の 分 割 等 に基 づ き合 理 的 な 市 場 で 形 成 され るで あ ろ う市 場 価 値 と乖 離 す る こ とに よ り,市 場 が 相 対 的 に限 定 され る場 合 に お け る取 得 部 分 の 当 該 市 場 限 定 に基 づ く市 場 価 値 を 適 正 に表 示 す る価 格 を い う(不 動 産 鑑 定 評 価 基 準 ・総 論 第5三2)。 土 地 評 価 理 論 研 究 会 ・前 掲(注 ⑪)22頁 。 一117(117)一.
(10) 第58巻 ②. 第1号. 相続税評価額 余 剰 容 積 を 移 転 して い る宅 地 又 は余 剰 容 積 の 移 転 を 受 けて い る宅 地 の 評 価 は,原 則 と して 路 線 価 方 式 又 は倍 率 方 式 まで の 定 め に よ り評 価 した その 宅 地 の 価 額 を 基 に,設 定 され て い る権 利 の 内容,建 築 物 の 建 築 制 限 の 内容 等 を 勘 案 して 評 価 す る もの と して い るが,余 剰 容 積 を 移 転 した宅 地 につ いて は,移 転 直 前 の 当該 宅 地 の 通 常 価 格 に相 当 す る金 額 の う ち収 受 した対 価 の 額 の 割 合 を 控 除 し,一 方,余 剰 容 積 の 移 転 を 受 けた 宅 地 につ いて は,移 転 直 前 の 当該 宅 地 の 通 常 価 格 に相 当す る金 額 の う ち支 払 った 対 価 の 額 の 割 合 を加 算 して 評 価 す る こ とが で き る と され る(財 産 評 価 基 本 通 達23)。. いず れ に お いて も,余 剰 容 積 を 移 転 した土 地 の 価 値 は減 少 し,余 剰 容 積 の 移 転 を 受 けた 土 地 の 価 値 は増 加 す る。 しか し,相 続 税 評 価 額 で は その 評 価 の 増 減 が 概 ね 等 し くな る と捉 え て い るの に対 し,不 動 産 鑑 定 で は必 ず しも そ うで はな い と考 え られ る。. 4譲. 渡所得課税 にお ける清算課税説 と 「譲渡」. 以 下 で は,譲 渡 所 得 にお け る 「清算 課 税 説 」,「譲 渡 」 の機 能 お よ び そ の範 囲 を検 討 す る。. (1)清. 算課税説. 戦 後 の シ ャ ウ プ 使 節 団 は,キ. ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン課 税 に つ い て,次. の よ うに勧 告 を行 った。. 「発 生 した 所 得 に対 す る厳 格 な 課 税 理 論 に従 え ば,納 税 者 の 資 産 の 市 場 価 値 の 一 年 内の 増 加 額 は,毎 年 これ を 査 定 し課 税 す べ き もの とな る。 しか し,こ れ は困 難 で あ る の で,実 際 に お いて は,こ の 利 得 は,納 税 者 が,そ の 資 産 を 売 却 して,利 得 を 現 金 ま た は他 の よ り流 動 資 産 形 態 で 実 現 す る場 合 に限 って,課 税 す べ き もの と され て い る。 この 実 現 が 適 当な 期 間 内 に行 わ れ て い る限 り,課 税 は僅 か に延 期 され た にす ぎず 基 本 原 則 の 重 要 性 は何 ら害 され な い。」(シ ャ ウ プ勧 告 第 一 次 勧 告 ・附 録BのD). この 勧 告 を受 けて 構 築 され て い る現 行 所 得 税 法 は,「譲 渡 所 得 と は,資 産 の 譲 渡 … … に よ る所 得 を い う。」(同 法33条1項)と. 規 定 して い る と こ ろで あ る。. そ して,譲 渡 所 得 の 課 税 の 趣 旨 につ いて,最 高 裁 は 「譲 渡 所 得 に対 す る課 税 は,… … 資 産 の 値 上 りに よ りその 資 産 の 所 有 者 に帰 属 す る増 加 益 を 所 得 と して,そ の 資 産 が 所 有 者 の 支 配 を離 れ て 他 に移 転 す るの を 機 会 に,こ れ を清 算 して課 税 す る趣 旨の もの」(最 判 昭 和43 -118(118)一.
(11) 余剰容積の移転 と譲渡所得にお ける 「譲渡」(中野) 年10月31日 訟 月14巻12号1442頁)と. 判 示 し,清 算 課 税 説 を 採 って い る こ とを 宣 言 した 。 同. 時 に,旧 所 得 税 法 に よ って み な し譲 渡 課 税 の対 象 とな って い た贈 与(無 償 譲 渡)に つ い て, 「対 価 を伴 わ な い資 産 の移 転 に お い て も,そ の資 産 につ きす で に生 じて い る増 加 益 は,そ の 移 転 当時 の 右 資 産 の 時 価 に照 ら して 具 体 的 に把 握 で あ る もの で あ るか ら,同. じ くこの 移 転. の 時 期 に お いて 右 増 加 益 を 課 税 の 対 象 とす るの を 認 め,資 産 の 贈 与,遺 贈 の あ った 場 合 に お いて も,右 資 産 の 増 加 益 は実 現 され た もの とみ て,こ れ を 前 記 譲 渡 所 得 と 同様 に取 扱 う べ き もの と したの が 同法5条 の2の 規 定 な の で あ る。」と判 示 して,清 算 課 税 説 を 根 拠 にみ な し譲 渡 課 税 を正 当化 した。 裁 判 所 は その 後 現 在 に至 る まで この 清 算 課 税 説 の 立 場 を 堅 持 して い る。 しか し,個 々の 取 得 費 や 譲 渡 費 用 の 該 当性 判 断 に お いて,ゴ ル フ会 員 権 贈 与 事 件(最 判 平 成17年2月1日 訟 月52巻3号1034頁)や. 土 地 改 良 区 決 済 金 事 件(最 判 平 成18年4月20日. 判 時1933号76頁). な ど最 近 の 裁 判 例 に は,一 定 程 度,譲 渡 益 説 〔 具 体 的 に得 られ た譲 渡 益 へ の 課 税 と考 え る 考 え 方 〕 へ の 傾 きが み られ る。. (2)譲 渡 所 得 課 税 の タイ ミ ン グ と して 「譲 渡 」 譲 渡 所 得 課 税 の 趣 旨を 清 算 課 税 説 と捉 え る こ と に鑑 み れ ば,資 産 の 価 値 の 増 加 益 は所 得 税 法 上 その 資 産 を 譲 渡 した時 点 で 課 税 され る こ と にな り,譲 渡 所 得 課 税 の タ イ ミン グを 決 定 す るの は 「譲 渡 」 と い う こ と にな る。 「譲 渡 」 の 意 義 に つ いて は,最 判 昭 和47年12月26日 民 集26巻10号2083頁. が 「譲 渡 所 得 に. 対 す る課 税 は,資 産 の 値 上 が りに よ りその 資 産 の 所 有 者 に帰 属 す る増 加 益 を 所 得 と して, その 資 産 が 所 有 者 の 手 を 離 れ て 他 に移 転 す るの を 機 会 に,こ れ を 清 算 して 課 税 しよ う とす る趣 旨の もの で あ るか ら,そ の 課 税 所 得 た る譲 渡 所 得 の 発 生 に は必 ず しも当 該 資 産 の 譲 渡 が 有 償 で あ る こ と を要 しな い。」 と し,最 判 昭 和50年5月27日. 民 集29巻5号641頁(以. 下. 「最 高 裁 昭 和50年 判 決 」 とい う。)も 「「資 産 の譲 渡 』 と は,有 償 無 償 を 問 わ ず 資 産 を 移 転 させ る い っ さ いの 行 為 を い う もの と解 す べ きで あ る。」 と判 示 して い る と ころ で あ り,「 譲 渡 」 は そ の対 価 を 伴 うか ど うか と は関 係 な い。 そ して,そ の 範 囲 と して は,「 売 買 や 交 換 は も と よ り,競 売,公 売,収 用,物 納,現 物 出資 等 が,そ れ に含 まれ る」 と され るの が 一 般 的 な理 解 で あ る。 こ こ で は そ の法 的効 果 が原 始 取 得 ㈱ と され る収 用 も譲 渡 の 一 形 態 に含 ま れ て い るか ら,所 有 権 が法 的 に承 継 され る形 態 に 限 られ な い こ と に は留 意 す べ き で あ る。 ⑳. 日下 千 章 ・坂 本 一 洋 『要 説 不 動 産 に関 す る行 政 法 規 」(学 陽 書 房 ・1993年)325頁 -119(119)一. 。.
(12) 第58巻. 第1号. さ らに,所 得 税 法 は資 産 が 他 に移 転 す る場 合 に限 らず,契 約 等 に よ り譲 渡 所 得 の 基 因 と な るべ き資 産 が 消 滅 し又 は その 価 値 が 減 少 した こ と に伴 い受 け る補 償 金 等 が 譲 渡 所 得 の 収 入 金 額 に 該 当 す る もの と して い る(同 法 施 行 令95条)。 そ して,資 産 の消 滅 が 「譲 渡 」 に 含 まれ る と した裁 判 例 と して は,建 物 の 賃 借 人 が 立 ち退 き に際 して,家 屋 明 渡 移 転 補 償 金 名 義 で 賃 貸 人 か ら受 領 した金 員 に関 す る もの が あ る。 す な わ ち,東 京 地 判 昭 和51年2月17 日訟 月22巻3号791頁(以. 下 「東 京 地 裁 昭 和51年 判 決 」 とい う。)は,「 譲 渡 所 得 は,資 産. の 値 上 りに よ る含 み 益 が 処 分 に よ って 実 現 した もの で あ るか ら,処 分 に よ って 含 み 益 が 実 現 しさえ す れ ば足 りるの で あ って,売 却 等 資 産 が 譲 渡 に よ って 他 に移 転 す る場 合 だ けで な く,資 産 が 消滅 す る場 合 に お い て 譲 渡 所 得 が生 ず る もの と解 す べ き で あ る。」 と し,そ の 控 訴 審 で あ る東 京 高 判 昭 和52年6月27日. 訟 月23巻6号1202号(以. 下 「東 京 高 裁 昭 和52年 判. 決 」 とい う。)も,「 資産 の所 有 者 に と って,相 手 方 の た め に有 償 で資 産 を消 滅 させ る の と, 有 償 で それ を譲 渡 す るの とで は,経 済 的効 果 に差 異 は な い か ら,同 項 〔 所 得 税 法33条1項. 〕. の 資 産 の 「譲 渡 』 に は権 利 放 棄 等 に よ り資 産 が 消 滅 す る場 合 を も含 む と解 す る こ とが で き る。」 と判 示 して い る⑳。 譲 渡 所 得 課 税 に お いて は,所 有 者 の 所 有 期 間 中の 資 産 の 価 値 の 増 加 益 を 清 算 して 課 税 す る た め に 「譲 渡 」 を 最 終 の 課 税 機 会 と して い るの で あ るか ら,そ の 課 税 の タ イ ミン グを 決 定 す る 「譲 渡 」 に は対 価 の 収 受 を 伴 って 資 産 が 消 滅 す る場 合 や 価 値 が 減 少 す る場 合 も広 く 含 まれ る と解 す るの が 相 当 と考 え られ る。 この こ と は,現 行 所 得 税 法 の 条 文 構 成 か ら も資 産 の 消 滅 等 が 「譲 渡 」 に含 まれ る こ とが 確 認 で き る。 所 得 税 法 施 行 令 第95条 の 規 定 は,譲 渡 所 得 や 収 入 金 額 の 規 定 の 別 段 の 定 め(み な し規 定)と で はな く,同 法 施 行 令 第2編 第1章 第3節. して 所 得 税 法 に規 定 され て い るの. 「収 入 金 額 の 計 算 」 の 節 に配 置 され て い るの で. あ る。 この こ とか ら,同 条 は創 設 規 定 で はな く,確 認 規 定 と理 解 で き る。 つ ま り,資 産 の 消 滅 も 「譲 渡 」 に該 当す る こ とを 前 提 と して,資 産 の 消 滅 の 対 価 と して 収 受 した 金 員 が 譲 渡 所 得 の 収 入 金 額 で あ る こ とを 確 認 した もの と いえ る。 ま た,借 地 権 等 の設 定 に伴 って一 定 の 要件 を 満 た す権 利 金 の所 得 類 型 に つ い て,「右 借 地 権 設 定 契 約 が 長 期 の 存 続 期 間 を 定 め る もの で あ り,か つ,借 地 権 の 譲 渡 性 を 承 認 す る もの で あ る等,所 有 者 が 当該 土 地 の 使 用 収 益 権 を 半 永 久 的 に手 離 す 結 果 とな る場 合 に,そ の 対 価 と して 更 地 価 格 の きわ めて 高 い割 合 に 当 た る金 額 が 支 払 わ れ る と い う よ うな もの は,経. ⑳. 最 判 昭 和53年1月24日 税 務 訴 訟 資 料97号55頁 も,「正 当 と して 是 認 す る こ とが で き,そ の 過 程 に 所 論 の 違 法 はな い。」 と し,間 接 的 な が ら資 産 の 消 滅 が 資 産 の 譲 渡 に含 まれ る こ とを 是 認 した 。 -120(120)一.
(13) 余 剰 容 積 の 移 転 と譲 渡 所 得 に お け る 「譲 渡 」(中 野). 済 的,実 質 的 に は,所 有 権 の 権 能 の 一 部 を 譲 渡 した対 価 と して の 性 質 を もつ もの と認 め る こ とが で き る」 と し,そ の 所 得 類 型 は譲 渡 所 得 で あ る 旨判 示 した最 判 昭 和45年10月23日 民 集24巻11号1617頁(以. 下 「最 高 裁 昭 和45年 判 決 」 とい う。)が あ る㈱。 これ は経 済 的 実 質 に. お いて 土 地 所 有 権 の 譲 渡 ⑳ とみ る もの で あ る と考 え られ る。 金 子 宏 教 授 も一 定 の 条 件(借 地 権 等 の 存 続 期 間 が 長 期 で あ る こ と,権 利 金 の 額 が 更 地 価 額 の きわ めて 高 い割 合 に あた り こ と,契 約 上 独 立 の 財 産 権 と して 譲 渡 性 が 認 め られ る こ と)の 下 にお け る借 地 権 の 設 定 も 資 産 の 譲 渡 に 当 た る⑳ と され る。 以 上 の 検 討 か ら資 産 の 増 加 益 に課 税 す る最 後 の 機 会 と して の 「譲 渡 」 は,一 種 の 固 有 概 念 で あ り,最 高 裁 昭 和50年 判 決 が 判 示 した 「有 償 無 償 を 問 わ ず 資 産 を 移 転 させ る い っ さ い の 行 為 」 よ りも広 い概 念 と考 え る こ とが で き る。 この こ と は,所 得 税 法59条 が み な し譲 渡 の 場 合 に つ い て,あ え て 「移 転 」 とい う用 語 を使 用 して,「 譲 渡 」 と区 別 して い る こ とか らも その こ とが 伺 え る。 つ ま り,「移 転 」 は 「譲 渡 」 に包 含 され,「 譲 渡 」 の 一 類 型 で あ る と考 え られ る。. 5余. 剰容積の移転 と 「譲渡」. 前 節 まで の 検 討 を 踏 まえ た上 で,余 剰 容 積 の 移 転 に関 す る本 判 決 内容 を 検 討 し,余 剰 容 積 の 移 転 と 「譲 渡 」 の 関 係 につ いて 私 見 を 述 べ る。 本 判 決 の 争 点 は,建 築 基 準 法 上 の 連 担 建 築 物 設 計 制 度 に か か わ る地 役 権 の 設 定 に伴 っ て,一 括 受 領 した金 員 が 不 動 産 所 得,譲 渡 所 得 の いず れ に該 当す るか で あ った が,譲 渡 所 得 と不 動 産 所 得 の 判 断 基 準 に お いて 清 算 課 税 説 等 の 実 質 論 を 採 用 しな い こ とを 示 した もの で あ る と評 価 す る こ とが で き る。 控 訴 審 判 決 は,第 一 審 判 決 を ほ ぼ踏 襲 して い るが,さ. らに,譲 渡 所 得 に該 当 しな い 旨の. 結 論 を導 くた め に,「 余 剰 容 積 利 用 権 」 の 「資 産 の 譲 渡 」 該 当性 お よ び 所 得 税 法 施 行 令79 条 該 当性 の 判 断 を 補 足 して い る。 しか し,先 に述 べ た借 地 権 等 の 設 定 に伴 って 一 定 の 要 件 を満 たす 権 利 金 の 所 得 類 型 に関 す る最 高 裁 昭 和45年 判 決 を 引 用 ・検 討 す る こ とな く,判 断 ㈲. 金 子 宏 教 授 は 「この 判 例 は,『 経 済 的 ・実 質 的 に は』 とか,類 推 解 釈 とい う表 現 を 用 い て お り, そ の 意 味 す る と こ ろ は 明 らか で は な い が,所 得 税 法33条1項 に い う資 産 の 概 念 は 固 有 概 念 で あ り,土 地 所 有 権 の 一 部 で あ る使 用 ・収 益 権 も,流 通 性 を 与 え られ た 場 合 には,上 土 権 と して 資 産 に含 まれ る と解 す れ ば,そ れ で 十 分 で は な い か と考 え る。」 と され る(金 子 宏 「総 説 譲 渡 所 得 の 意 義 と範 囲 」 『譲 渡 所 得 の 課 税 』 日税 研 論 集50巻(2002年)10頁)。. ⑳. 谷 口勢 津 夫 教 授 は こ れ を 「 部 分 的 譲 渡」 と評 さ れ て い る(谷 口 勢 津 夫 『税 法 基 本 講 義[第2 版]」(弘 文 堂 ・2011年)240頁)。 ⑳ 金 子 ・前 掲(注(1))220頁 。 一121(121)一.
(14) 第58巻. 第1号. を下 して い る点 につ いて は問 題 が あ る と思 わ れ る。 以 下 で は,控 訴 審 判 決 の 論 理 を 検 討 す る。 ①. 「余 剰 容 積 利 用 権 」 の 「資 産 の譲 渡 」 非 該 当性 「余 剰 容 積 利 用 権 」 につ い て,第 一 審 判 決 は,「 私 法 上,… … 新 た な 権 利 を 創 設 した もの で はな い」,「有 形 固 定 資 産 に 当 た る と は いえ な い」 と判 示 して い る こ とか ら,そ も そ も,譲 渡 所 得 の 基 因 とな る 「資 産 」 に該 当す る余 地 が な い と考 え て い る よ う に思 わ れ る。 こ れ に 対 して,控 訴 審 判 決 は,「 土 地 所 有 権 か ら淵 源 す る敷 地 利 用 権 能(経 済 的 利 益)で. あ って,敷 地 利 用 権 と離 れ て 独 立 に処 分 可 能 な 財 産 と い う こ と は困 難 で. あ る」 とす る もの の,契 約 に よ って は 「法 的 権 利 と して 確 立 した もの と いえ な くて も … … 譲 渡 対 象 資 産 に該 当す る場 合 が あ る」 と判 示 し,譲 渡 所 得 の 基 因 とな る資 産 に該 当す る余 地 を 残 して い る よ う に思 わ れ る。 譲 渡 所 得 の 基 因 とな る 「資 産 」 は,譲 渡 性 の あ る財 産 権 を す べ て 含 む 概 念 で,一 般 に その 経 済 的 価 値 が 認 め られ て 取 引 の 対 象 と され る資 産 を 含 む もの で あ る(所 得 税 基 本 通 達33-1)か. ら,こ の点 は 正 当 と思 わ れ る。 そ うす る と,結 局,譲 渡 所 得 該 当 性. の 判 断 は本 件 契 約 内容 が 「譲 渡 」 に該 当す るか ど うか と い う こ と に帰 着 す る。 そ こ で,「 譲 渡 」 該 当性 の検 討 が さ れ る。 第 一 審 判 決 は,連 担 建 築 物 設 計 制 度 につ いて は 「その 余 剰 容 積 率 を 隣 地 に建 築 す る建 築 物 に移 転 す る こ とを 可 能 にす る制 度 で あ る」とす る一 方 で,本 件 が連 担 建 築 物 設 計 制 度 に基 づ く内容 で あ る に もか か わ らず, 「余 剰 容 積 利 用 権 とい う権 利 の 移 転 又 は 譲 渡 で は な く,… …不 作 為 の 地 役 権 の設 定 で あ る」 と認 定 した。 本 件 控 訴 審 判 決 で は,そ こ に一 種 の 矛 盾 が 存 す るの で はな いか と い う疑 義 を除 去 す る た め に,第 一 審 判 決 の 内容 を 改 め,こ の 制 度 は 「そ の 余 剰 容 積 を 加 算 した容 積 の 建 築 物 を 同敷 地 内の 別 の 土 地 上 に建 築 す る こ とが 可 能 とな る制 度 で あ る」 と し,意 識 的 に 「移 転 」 と い う用 語 を 避 けて い る こ とが 注 目 され る。 そ して,不 動 産 所 得 と譲 渡 所 得 との 関 係 に お いて,借 地 権 設 定 後 借 地 権 者 が 建 物 を 借 地 権 付 で 第 三 者 に売 却 した場 合 に お いて も,当 初 の 借 地 権 「設 定 」 が 「当 然 に譲 渡 所 得 の対 象 とな る借 地 権 の 『譲 渡(移 転)』 とな る もの で は な い」 こ と と説 示 し,こ れ との 関 連 か ら,連 担 建 築 物 設 計 制 度 に お け る 「同意 に係 る対 価 は不 動 産 を 他 人 に使 用 させ る こ との 対 価 と い う こ と にな るか ら,… … 当然 に譲 渡 所 得 に該 当 す る もの と解 す る こ と はで きな い。」 とす る。 借 地 権 の 設 定 が 当 然 に譲 渡 所 得 の 対 象 とな る も の で は な い こ と は そ の と お りで あ る。 しか し,一 方 で 不 動 産 所 得 は,不 動 産 等 の 貸 付 け(地 上 権 又 は永 小 作 権 の 設 定 そ 一122(122)一.
(15) 余剰容積の移転 と譲渡所得にお ける 「譲渡」(中野) の 他 他 人 に不 動 産 等 を 使 用 させ る こ とを 含 む 。)こ と に よ る所 得 と規 定 さ れ て い る(所 得 税 法26条1項)と. こ ろ,本 件 はXら が 所 有 す る土 地 を 他 人 に利 用 させ て い る もの で. はな いの で あ る。 したが って,自. 己の 土 地 を 使 用 させ る こ とを 内容 とす る借 地 権 の 設. 定 の 問 題 を理 由 と して,本 件 が 「不 動 産 を 他 人 に使 用 させ る こ との 対 価 」 と即 断 す る こ と はで きな い よ う に思 わ れ る。 ま た,こ の こ と は,控 訴 審 判 決 自身 が,わ. ざわ ざ第. 一 審 判 決 が 判 示 した 「連 担 建 築 物 設 計 制 度 は… … 既 存 建 築 物 の 存 在 を 前 提 と して ,そ の 余 剰 容 積 を 隣 地 に建 築 す る建 築 物 に移 転 す る こ とを 可 能 にす る制 度 で あ る」 を 「そ の 余 剰 容 積 を 加 算 した容 積 の 建 築 物 を 同敷 地 内の 別 の 土 地 上 に建 築 す る こ とが 可 能 と な る制 度 で あ る」 と言 い換 え て,利 用 す る土 地 はXら が 所 有 す る不 動 産 で な い こ とを 強 調 して い るの で あ る。 ②. 所 得 税 法 施 行 令79条 の 非 該 当性 控 訴 審 判 決 は,「 本 件 対 価 の 性 質 に は,実 質 的,経 済 的 に み れ ば,本 件 土 地 利 用 権 の 一 部 を半 永 久 的 に譲 渡 す る こ と に よ って,本 件 各 土 地 の 更 地 価 額 の う ち本 件 各 土 地 の 値 上 りに よ って 所 有 者 に帰 属 した増 加 益 が 現 実 化 した と い う側 面 も あ る こ と は否 定 で きな いが,… … 所 得 税 法 及 び 同施 行 令 は,不 動 産 所 得 と譲 渡 所 得 との 実 質 論 の み で は,両 者 の 区 分 が 困 難 で あ る と こ ろか ら,政 令 に お いて 具 体 的 な 判 断 基 準 を 設 けた も の で あ り,… … 当該 基 準 に よ り不 動 産 所 得 に該 当す る場 合 に,さ ら に,実 質 論 を も っ て 譲 渡 所 得 の 範 囲 を 拡 大 す る こ とを 予 定 す る もの で はな い。」 と した上 で,「 本 件 地 役 権 の 設 定 は 同施 行 令79条1項. に列 挙 され た一 定 の 内容 の 地 役 権 に は該 当 しな い」 か ら. 譲 渡 所 得 は該 当 しな い と した。 所 得 税 法 施 行 令79条1項. に列 挙 され た地 上 権 及 び地 役 権 は,所 得 税 法33条1項. かっ. こ書 き に い う 「他 人 に土 地 を 長 期 間 使 用 させ る行 為 」 を 受 けた 規 定 で あ り,都 市 計 画 法 上 の 特 定 街 区 内 に お け る建 造 物 の 設 置 を 制 限 す る もの 以 外 は いず れ も所 有 土 地 自体 を 「長 期 間 使 用 させ る」 形 態 ばか りで あ り,本 件 の よ う に,利 用 す る土 地 が 自己 の 所 有 物 で な い場 合 に は該 当 しな いの は 当然 で あ る。 土 地 の 所 有 権 の 権 能 は,そ の 土 地 の 使 用,収 益 お よ び処 分 を す る権 利(民 法206条) に及 ぶ もの で あ る と こ ろ,本 件 に お いて は,権 能 の 一 部 を 他 に移 転 され た の で あ るか ら,む しろ,正 面 か ら 「譲 渡 」 に該 当す るか を 問 うべ きで あ った と い う指 摘 が 可 能 で あ る。. 本 判 決 につ いて 学 説 は,所 得 税 法 施 行 令79条 の 限 定 列 挙 事 由 に該 当 しな い こ とを 理 由 に 一123(123)一.
(16) 第58巻. 第1号. 不 動 産 所 得 と考 え ざ るを え な い とす る もの が 多 い⑱。 渡 辺 充 教 授 は,最 高 裁 昭 和45年 判 決 と対 比 か ら,本 件 敷 地 利 用 権 は単 な る経 済 的 利 益 で はな く,所 有 権 の 権 能 の 一 部 譲 渡,す な わ ち余 剰 容 積 利 用 権 の 譲 渡 で あ る と考 え るが,所 得 税 法 施 行 令79条 の 課 税 要 件 限 定 列 挙 の 問 題,さ. らに は,本 件 の 原 告 らの 収 受 金 額 の 合 計. 額 が 本 件 各 土 地 の 価 額 の2分 の1に 相 当す る金 額 の10分 の5を 超 え な い と い った 点 か ら, 納 税 者 主 張 の 合 理 性 は支 持 しつ つ も,控 訴 審判 決 が,「上 記 施 行 令 の 対 応 が 不 十 分 で あ る こ と を指 摘 す る意 見 と い う こ と はで き る」 と した判 断 が 限 界 で あ った⑳ と し,結 果 的 に本 判 決 を妥 当 と され る。 ま た,水 野 忠恒 教 授 も,「連 担 建 築 物 設 計 制 度 」に よ って新 た な物 権 は創 設 さ れ な くて も, 「連 担 建 築 物 設 計 制 度」 に よ る,判 決 の い う 「不 作 為 の 地 役 権 」 契 約 に よ り生 ず る契 約 上 の 債 権 ・債 務 と い うの は,譲 渡 所 得 に い う と こ ろの 「資 産 」 に は当 た る と して も,資 産 の 譲 渡 が 行 わ れ た もの と は解 され な い と して ⑳,適 正 な 解 釈 で あ る と され る。 伊 川 正 樹 准 教 授 も,本 件 地 役 権 の 設 定 行 為 は,「 不 動 産 の 貸 付 け」 で は な く,本 件 土 地 の 「所 有 権 機 能 の 一 部 の 譲 渡 」 に該 当す る と いえ る余 地 が あ りそ うで あ るが,譲 渡 所 得 に 該 当す るの は 「契 約 に よ り他 人 に土 地 を 長 期 間 使 用 させ る行 為 で 政 令 で 定 め る もの 」 に限 定 され て い る と して,本 件 対 価 は不 動 産 所 得 に該 当す る と解 さ ざ るを 得 な い⑳ と され る。 一 方 ,次 の 記 述 の み で は詳 細 は不 明 で あ るが,金 子 宏 教 授 は 「余 剰 容 積 の 譲 渡 も資 産 の 譲 渡 に あ た る と解 す べ きで あ ろ う。」紛 と され る。 私 見 と して は,本 件 の よ うな 永 久 的 な 余 剰 容 積 の 移 転 は土 地 の 権 能 で あ る使 用 権 ・処 分 権 の 一 部 の 譲 渡,つ. ま り 「部 分 譲 渡 」 と して 譲 渡 所 得 に該 当す る余 地 は十 分 に あ る もの と. 考 え る。 譲 渡 所 得 に お け る 「譲 渡 」 は固 有 概 念 で あ り,そ の 範 囲 は最 高 裁 昭 和50年 判 決 が 判 示 し た 「有 償 無 償 を問 わ ず 資 産 を 移 転 させ る い っ さ いの 行 為 」 よ りも広 い もの で あ る こ と はす で に述 べ た。 ま た,所 得 税 法33条1項. が,「 資 産 の 譲 渡(… … 他 人 に土 地 を長 期 間 使 用 させ る行 為 で. ⑱. 空 中 権 に係 る税 務 上 の 扱 い を 広 く論 じた もの と して,池 田 誠 「空 中 権 を 巡 る税 務 上 の 取 り扱 い 」 税 大 論 叢62号(2009年)253頁 が あ る。 ㈲ 渡 辺 充 「余 剰 容 積 利 用 権 と所 得 区 分 」 明 治 学 院 大 学 法 学 研 究88号(2010年)202頁 。 ㊤ ① 水 野 忠 恒 「い わ ゆ る連 担 建 築 物 設 計 制 度(建 築 基 準 法86条2項)に か か わ る地 役 権 の 設 定 の 対 価 の 性 質 と評 価 の あ りか た 」 税 務 事 例 研 究111号62∼64頁 。 ⑳ 伊 川 ・前 掲(注(6))20∼21頁 。 ⑳ 金 子 宏 『租 税 法[第15版]』(弘 文 堂 ・2010年)211頁 。 た だ し,金 子 ・前 掲(注(1))の 『租 税 法[第16版]」 で は 当 該 記 述 は 削 除 され て い る。 -124(124)一.
(17) 余剰容積の移転 と譲渡所得にお ける 「譲渡」(中野) 政 令 で定 あ る もの を含 む。)に よ る所 得 」 と規 定 し,所 得 税 法 施 行 令79条1項1号. で は,. ① 特 別 高 圧 架 空 電 線 の架 設,② 特 別 高 圧 地 中電 線 の 敷 設 若 し くは 高 圧 ガ ス の 通 導 管 の 敷 設,③ 飛 行 場 の 設 置,④ 懸 垂 式 鉄 道 若 し くは跨 座 式 鉄 道 の 敷 設,⑤ 砂 防 設 備 で あ る導 流 堤 その 他 財 務 省 令 で 定 め る これ に類 す る もの の 設 置,⑥ 都 市 計 画 法4条14項 施 設 の 設 置,⑦ 都 市 計 画 法8条1項4号. に規 定 す る公 共. の 特 別 街 区 内 に お け る建 築 物 の 設 置 を 制 限 す る も. の を列 挙 して い る と こ ろ,同 項 の 規 定 を 注 意 深 く見 る と,他 人 に土 地 を 長 期 間 使 用 させ る 行 為 と して の 政 令 列 挙 事 由 は,資 産 の 移 転 が な い もの を 「譲 渡 」 とみ な して い るの で はな く,資 産 の 移 転 を 伴 わ な い もの も元 々 「譲 渡 」 の 範 囲 に含 まれ て い る と理 解 す る こ と も可 能 で あ る。 さ らに,所 得 税 法 施 行 令79条 の 制 定 に先 立 ち,最 高 裁 昭 和45年 判 決 は類 推 解 釈 を して 借 地 権 等 の 設 定 に伴 って 一 定 の 要 件 を 満 たす 権 利 金 は譲 渡 所 得 に 当た る と した の で あ るが, 同判 決 に お いて 類 推 解 釈 が いか な る意 味 を 指 す の か を 置 くと して も,租 税 法 律 主 義 の 観 点 か らは原 則 と して 類 推 解 釈 は認 め られ な い租 税 法 規 に あ って,類 推 解 釈 を して まで も一 定 の 要 件 を充 たす 権 利 金 の 収 入 を 譲 渡 所 得 に分 類 したの は,長 期 間 保 有 して いた 期 間 に発 生 して い た資 産 の 価 値 の 増 加 益 の 一 部 が 所 得 と して 実 現 した こ とを 「譲 渡 」 と捉 え た か ら に ほか な らな いQ 以 上 を踏 まえ て,本 件 の 余 剰 容 積 の 移 転 が 「譲 渡 」 の 範 囲 に含 まれ るの か を 検 討 して み る。 確 か に,所 得 税 法 施 行 令79条 の 列 挙 事 由 に は該 当 しな い。 本 判 決 や 多 くの 学 説 は,所 令79条 の 列 挙 事 由 に該 当 しな いか ら譲 渡 所 得 で はな く,特 別 の 検 討 な しに不 動 産 所 得 で あ る とす るが,不 動 産 所 得 該 当性 につ いて も詳 細 に検 討 す べ きで あ ろ う。 しか し,範 囲 の 広 い概 念 で あ る 「譲 渡 」 に該 当す る可 能 性 は まだ 残 され て い る よ う に思 わ れ る。 な ぜ な ら,資 産 の 消 滅 も資 産 の 譲 渡 に 当 た る と した東 京 地 裁 昭 和51年 判 決 の 「譲 渡 所 得 は,資 産 の値 上 りに よ る含 み益 が 処 分 に よ っ て 実 現 した も の で あ るか ら,処 分 に よ って 含 み 益 が 実 現 しさえ す れ ば足 りる」 との 判 示 や 東 京 高 裁 昭 和52年 判 決 の 「資 産 の 所 有 者 に と って,相 手 方 の た め に有 償 で 資 産 を 消 滅 させ るの と,有 償 で そ れ を 譲 渡 す るの と で は,経 済 的 効 果 に差 異 はな い」 との 判 示,さ. らに,借 地 権 設 定 を 土 地 の 一 部 の 権 能 の 移. 転 と して 「譲 渡 」 と捉 え た 最 高 裁 昭 和45年 判 決 か ら考 え る と,資 産 の 一 部 の 価 値 が 永 久 的 に減 少 して い る本 件 につ いて も,余 剰 容 積 移 転 部 分 に対 す る最 後 の 課 税 の 機 会 で あ る 「譲 渡 」 と して,す な わ ち,「 部 分 譲 渡 」 と考 え る可 能 性 もあ った よ うに思 わ れ る の で あ る。 最 後 に,資 産 の 価 値 の 増 加 益 を 捉 え る譲 渡 所 得 の 収 入 金 額 と取 得 費 との 関 係 につ いて 検 討 して み る。 余 剰 容 積 の 移 転 を 受 け た側 に と って は,余 剰 容 積 の 移 転 に係 る対 価 を 支 出 し 一125(125)一.
(18) 第58巻. 第1号. て 自 己 が 所 有 す る土 地 の価 値 を永 久 に 高 め る こ と に な るの で 当該 対 価 は取 得 費 に加 算 さ れ,将 来 の 譲 渡 所 得 の 収 入 金 額 に対 応 す る こ と にな るで あ ろ う。 しか し,仮 に原 告 が 余 剰 容 積 を移 転 した直 後 に その 所 有 土 地 を 第 三 者 に譲 渡 した場 合 に は当 然,当 該 土 地 の 譲 渡 対 価 は余 剰 容 積 の 移 転 前 の 対 価 を 下 回 るで あ ろ うが,そ れ に対 応 す る取 得 費 につ いて は,余 剰 容 積 の 移 転 に係 る取 得 費 調 整 は行 わ れ な い㈱ こ とか ら当該 土 地 の 当 初 の 取 得 費 そ の ま ま が 対 応 す る こ と にな るで あ ろ う圃。 この 結 果,「 所 有 者 の 意 思 に よ らな い外 部 的 条 件 の 変 化 に起 因」㈱ しな い資 産 価 値 の 減 少 分 が 譲 渡 所 得 の 計 算 に混 入 され て しま う。 こ の不 整 合 の 原 因 はや は り,土 地 の 一 部 につ いて 譲 渡 所 得 課 税 の 最 後 の 機 会 を 逸 して しま って い るか ら に ほか な らな い。 な お,当 事 者 の 契 約 書 の タ イ トル は,「 地 役 権 設 定 契 約 書 」 とな って い る もの の,そ の 内容 は,建 築 基 準 法86条2項. に定 め る連 担 建 築 物 設 計 制 度 の 認 定 に基 づ き,余 剰 容 積 の 移. 転(本 件 契 約 書1条1項)お. よ び一 定 の 容 積 率 を 超 え る建 物 を 建 設 しな い 旨の 不 作 為 の 地. 役 権 の 設 定 に よ り余 剰 容 積 の 利 用 権 の 取 得(本 契 約 書1条2項)で な わ ち,地 役 権 の 設 定 行 為 で も あ るが,そ. あ る と され て い る。 す. も そ も 当事 者 間 で は余 剰 容 積 の 移 転 契 約 との 認. 定 も可 能 で あ っ たで あ ろ う と思 わ れ る。. 6お. わ. り. に. 本 稿 は 「譲 渡 」 の 意 義 及 び範 囲 に絞 って 検 討 を 行 っ た もの で あ るが,譲 渡 所 得 の 課 税 の 趣 旨 を清 算 課 税 説 と して 捉 え た場 合,「譲 渡 」が 譲 渡 所 得 と して 課 税 す る最 後 の 機 会 で あ る 機 能 を有 し,そ の 範 囲 は 「資 産 を 移 転 させ る い っ さ いの 行 為 」 よ りも広 い幅 を 持 って い る こ と を明 らか に した。 そ して,余 剰 容 積 の 移 転 と い う行 為 が 「部 分 譲 渡 」 と して,そ の 広 範 な 幅 を持 つ 「譲 渡 」 の 範 囲 に含 まれ る可 能 性 が 十 分 に あ る こ とを 指 摘 した 。 しか し,余 剰 容 積 自体 が 譲 渡 所 得 課 税 に お け る 「資 産 」 に該 当す るか につ いて は十 分 な 検 討 が で きて いな い と思 わ れ るの で,こ の 点 につ いて は別 稿 に譲 りた い。. ㈱. 所 令79条1項 の 規 定 に基 づ き借 地 権 等 が 設 定 され た 場 合 の 取 得 費 の 計 算 は,借 地 権 等 に 係 る部 分 と底 地 にか か る部 分 と に按 分 す る(同 令174条,175条)。 ⑱ の 実 務 上,権 利 金 を 取 得 せ ず,土 地 を 賃 貸 した 場 合 に も同 様 の こ とが 生 じ る。 ㈲ 金 子 ・前 掲(注(1))223頁 。 岡 村 忠 生 ・渡 邊 徹 也 ・高 橋 祐 介 『ベ ー シ ック税 法 〔 第6版 〕」(有 斐 閣 ・2011年)145頁 も参 照 。 -126(126)一.
(19) 余 剰 容 積 の 移 転 と譲 渡 所 得 に お け る 「譲 渡 」(中 野). 参. 考. 文. 献. ・伊 川 正 樹 「譲 渡 所 得 課 税 にお け る 「資 産 の 譲 渡 」」(税 法 学561号 ・2009年) ・池 田誠 「空 中 権 を 巡 る税 務 上 の 取 り扱 い」(税 大 論 叢62号 ・2009年) ・宇 都 宮 光 夫 『空 間 所 有 権 の 実 現 形 態 」(大 成 出版 社 ・1987年) ・岡 村 忠 生 ・渡 邊 徹 也 ・高 橋 祐 介 『ベ ー シ ック税 法 〔 第6版 〕』(有 斐 閣 ・2011年) ・金 子 宏 「総 説 一 譲 渡 所 得 の 意 義 と範 囲 」 「譲 渡 所 得 の 課 税 」(日 税 研 論 集50巻 ・2002年) ・金 子 宏 「ボ ー リス ・ビ トカー の 『包 括 的 課 税 べ 一 ス 」 批 判 論 の 検 討 」 『所 得 概 念 の 研 究 』(有 斐 閣 ・ 1995年 〔 初 出1990年 〕) ・金 子 宏 『租 税 法 〔 第15版 〕」(弘 文 堂 ・2010年) ・金 子 宏 『租 税 法 〔 第16版 〕」(弘 文 堂 ・2011年) ・亀 田健 二 「移 転 可 能 な 開 発 権 」(産 大 法 学20巻2・3号 ・建 設 省 空 中 権 調 査 研 究 会 『空 中 権. ・1986年). そ の 理 論 と運 用 」(ぎ ょ うせ い ・1985年). ・佐 藤 英 明 「ス タ ン ダー ド所 得 税 法 〔 補 正 版 〕』(弘 文 堂 ・2010年) ・神 野 直 彦 「所 得 概 念 論 」 金 子 宏 編 著 『所 得 税 の 理 論 と課 題 〔 二 訂 版 〕』(税 務 経 理 協 会 ・2001年) ・谷 口勢 津 夫 『税 法 基 本 講 義 〔 第2版 〕」(弘 文 堂 ・2011年) ・土 地 評 価 理 論 研 究 会 『特 殊 な 権 利 と鑑 定 評 価 』(清 文 社 ・2001年) ・肥 後 治 樹 編 『平 成22年 版 財 産 評 価 基 本 通 達 逐 条 解 説 」(大 蔵 財 務 協 会 ・2010年) ・福 田幸 弘 「シ ャ ウ プの 税 制 勧 告 」(霞 出 版 社 ・1985年) ・水 野 忠 恒 「い わ ゆ る連 担 建 築 物 設 計 制 度(建 築 基 準 法86条2項)に. か か わ る地 役 権 の 設 定 の 対 価 の. 性 質 と評 価 の あ りか た 」(税 務 事 例 研 究111号 ・2009年) ・水 野 忠 恒 「租 税 法 〔 第5版 〕』(有 斐 閣 ・2011年) ・水 本 浩 ・戸 田修 三 ・下 山瑛 二 「不 動 産 法 制 概 説 」(青 林 書 院 ・1993年) ・水 本 浩 ほか 『民 法(2)物権 〔 第4版 増 補 版 〕」(有 斐 閣 ・2003年) ・南 博 方 「空 間 開 発 権 の 移 転 契 約. 開 発 と環 境 の 調 和 の 手 法. 」 小 室 直 人 ・本 間 輝 雄 ・小 瀬 村 邦 夫 編. 集 代 表 「西 原 寛 一 先 生 追 悼 論 文 集 企 業 と法(下)」(有 斐 閣 ・1995年) ・渡 辺 充 「余 剰 容 積 利 用 権 と所 得 区 分 」(明 治 学 院 大 学 法 学 研 究88号 ・2010年). 一127(127)一.
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