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報
丈
固体電解コンデンサにおける二酸化マンガン層について
lA Stuay on the Manganese1)ioxiae Coating on the SolidElectro】yteCapacitor
白鳥 一*,森屋尚衛**
H&lime SHIRAToRI,Hisae MoRIYA1.緒
円 従来,固体乾式電解コンデンサのタンタル陽極の製造 に際しては,陽極酸化皮膜を生成きせた面に,イオン電 導体としての二酸化マンガンの薄い層を被覆せしめるの に,化成を行なった陽極基体を硝酸第一マンガンの水溶 液中に浸せきしたのち,4れを焼成して熱分解的に二酸 化マンガン:に転移することが行なわれている1).しかし ながらこのような方法に1ホるときは,陽極酸化皮膜がき わめて疎液性であるために,酸化皮膜面が硝酸第一マン ガン溶液に一様にぬれないばかりでなく,焼成によって 生成した二酸化マンガンも酸化皮膜面に一様に付きがた い.このように二酸化マンガンが一様に被覆きれていな い場合,酸化皮膜そのものの抵抗がきわめて小きいので 2),後段の処理によって陰極としての炭素皮膜を被着せ しめたときに,陰極と陽極とが短絡する危険性があり, またこの際の二酸化マンガン層は多孔質で,機械的にも ぜい(脆)弱であり,脱落しやすい.また従来は硝酸第 一マンガン溶液への浸せき,後段の焼成,再化成の三段 階を7ないし8回は繰り返す必要があった. 著者らは,上記のような従来の固体乾式電解コンデン サの陽極製造方法の欠点を除くため,硝酸第一マンガン の水溶液中に二酸化マンガンの微粉末を懸濁せしめた溶 液の中に,あらかじめ陽極酸化皮膜を生成せしめた陽極 基体を浸せきし,次いでこれを燃成することによって, 二酸化マンガンの均一な層を陽極酸化皮膜面の上に1回 の操作で形成せしめる二とに成功した3). 固体乾式電解コンデンサ陽極の製造に関して,著者ら が確立した陽極基体の懸濁液浸せき法に使用きれる懸濁 物質としては,コンデンサ特性を考慮するとき,硫酸マ ンガン溶液の電解によって造られる電解二酸化マンガン が最も適している. 著者らは,懸濁物質として電解二酸化マンガンを用い たときの最適焼成条件を決定したので,このことについ て述べる.2.実験装置
試料約!50mgを小型白金製ルツボに入れ,図1に示 目 動 温 度 記 録 計 ず、 銅スプリ コ 一 一 曽 冊 r 一 一 一 齢 } 白金 白金ルツボ 縦形炉 カセトメーター図1実験装置
したように,これを白金線をもって大気ふんい気の縦形 炉内につるし,白金線の上端はきらに銅線をラセン状に 巻いたスプリングに連なる.測定は電解二酸化マンガン が50。C,硝酸第一マンガンが25。C上昇ごとの重量変化 をスプリングの回復縮みとして,縮みの度合をカセトメ ータで観測した. 炉内の温度記録には自動記録計を使用し,Pt−PtRh熱 電対をルッボのごく近傍に置くことによって,記録温度 と試料の温度との均一化をはかった.炉の温度上昇速度 は電解二酸化マンガン4。C/mih,硝酸第一マンガン2。C /m五nが時間的にも精度の点からも適当であり,しかも 再現性もよく測ることができた. 3.電解二酸化マンガン(飾MnO、) の熱分解 実験に用いた試料の電解二酸化マンガン***は平均1 ミクロンの微粉末である.粉末の粒子が大きすぎると, 4。C/minの温度上昇速度では精度が悪くなるので注意を 要する.↓
蟹 嘱 弼 2,24γ一MnO2 2.12 β一MnO22.0
1。66 γ曹Mn203 α一Mn2031,5辿.38
率東京芝浦電気株式会社マツダ研究所(神奈川県川崎市堀川町72) 鵜東京電器株式会社,現在東京芝浦電気株式会社マヅダ研究所駐在 図2 1002003004005006007008009α)1,000 1,IOO1,200 温 度 (。C) 電解二酸化マンガン(7−MnO2)の加熱重量変化曲線 牌* 井金属鉱業KK288 白鳥,森屋:固体電解コンデンサにおける二酸化マンガン層について 昭和36年 温度に対する電解二酸化マンガンの重量変化を図2に 示す.この図から明らかなように重量変化はいくつかの 段階を経る.すなわち (1)常温∼250。C 含有水の離脱のように思われる が明らかでない. (2)250。C∼400。C 400℃処理試料のX線分析結果 はASTM Data card No.4−0779と一致し,明ら かにたMnO、である.この温度範囲内の加熱重量 減はH204),0、などの放出のように思われるが, 現段階ではわからない. (3)425。C付近 7−MnO2からβ一MnO2へ転移を 起す6)温度 (4)450・C∼550。C β一MnO2の安定領域500。C処 理試料のX線分析結果はASTM Data card No,3 −0551と一致する. (5)600。C
付近 7−
Mn203の領
域 (6) 750。C ∼950C。 α一Mn203の安定領
域,X線分
析にかけた試料は600
。Cおよび
800。Cで処 理したもの であって, とも1こRln203には間
違いのないところで
あるが,ASTM
Data card No.2−0896 に相当する ラインのほ 力擁こ男11のラ インがあっ て,確定的 な結論を出 すことがで きなかっ 図3 400。C処理試料(黒色) 7−MnO2 図4 600。C処理試料(黒紫色) 7−Mn203 00C処理試料(,、、。色) α一Mn203た.しかし
ながら,熱
分解曲線を Brenetら5)の実験結果
と照合する ことによ り,600。C付近がた
図6 1,000。C処理試料(黄かっ色)Mn203シ750
Mn30‘
∼950。Cの領域がα一
Mn203で
あることを 認めた. (7) 1,000。C∼一
Mn304の
安定領域, 1,000。Cな 図7 1,200。C処理試料(紫色) らびに Mn30る 1,200。C処理試料のX線分析結果はASTM Data card No.8−17と一致し,明らかにMn304である ことを確認した. 図には450。∼550。Cにあるβ型MnO2の化学量論的 組成が正確にMnO2である*とし,また750。∼9500C にあるα型二酸化マンガンが正規の組成を有するMn203 であるとして,便宣上Hを無視して加熱による減量はすべて0によるとしたMnO。の諾の値を書き入れ
てある. 別に各温度で処理した試料について,電子顕微鏡写真 (倍率5,400)をとって検討を行なった結果,各安定温 度領域の生成物間に相異が見られ,また同一安定温度領 域内であっても温度が高くなるほど(たとえば1,000。C と1,200。C)粒子の集合状態が変わり,大きな粒子にな る傾向のあることを認めた. 4。硝酸第一マンガンの熱分解 蔀Brenetらによろとβ一MnO2はほとんど加熱減量を示さない ((Mn・ll8⊇c−Mn・脚) 硝酸第一マンガンの熱分解によって生成せられる二酸 化マンガンの結晶構造がβ一MnO、であることは周知の ところであり,またこのβ一MnO2の熱処理による組成 変化についてもかなり明らかにきれている5).しかしな がら温度上昇に伴うβ一MnO,の熱分解過程を硝酸第一 マンガンから求めた例がなく,β一MnO,の生成が始まる 温度,β一MnO,の安定温度範囲などが明らかでない. そこで著者らはききに示した実験装置により,電解二酸 化マンガン微粉体の場合とまったく同様の実験を行なっ た.この際著者らの実験目的が低温側にあり,また高温電気化学 第29巻 白鳥,森屋:固体電解コソデンサにおける二酸化マソガン層について 289
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賢 闘 糊 100 300 500 温 度 (。C) 図8 硝酸第一マンガンの加熱重量減変化曲線 側はすでに明らかにされているので除いた。 さて温度に対する硝酸第一マンガン*の重量変化を図 8に示す.図8から明らかなように分解は120。C付近 で起る.事実120。C空気恒温ソウ中に試料を24h放置 することにより,完全に硝酸第一マンガンを二酸化マン ガンに転移することができた.ただし本実験の場合のよ うに2。C/minの温度上昇速度によるときは,300。Cに 至るまで分解が連続的に行なわれる.その後400。C付近 までは温度に無関係なβ一MnO,の安定領域になる,き らに400℃をこえると徐々に重量が減りはじめ,550。C 付近で大きな重量の減少が認められた.5.考
察 β一MnO2を活性化して7型に転移せしめた二酸化マ ンガンの熱分解に関するBrenetらの実験結果**による と,常温から520℃までは連続的重量減を示し,600∼ 780。Cで安定な7−Mn203となり,920。C付近にα一 Mn,0、の温度範囲のきわめて狭い領域があるとしてい るが,図2から明らかなように,著者らの実験結果では α一Mn203の安定領域は広く,700。Cから950。Cまでの 広範囲にわたって重量減がなく非常に安定のようであ る.また著者らの実験では常温から550。Cまでの間にか なりはっきりした段階が見受けられ,電解二酸化マンガ ンのβ一MnO2への転移温度を確認することができたが, Brenetらの実験結果にはその徴候が見られない.これ はたとえば試料の製造条件,実験条件が違うためであろ う. 一方,Brenetらによるβ一MnO2の熱分解に関する実 験結果によると,400℃から格子の崩壊なしに酸素が失 われるようになり,520。C付近で初めて格子がこわれる としているが,硝酸第一マンガンの熱分解によって生じ たβ一MnO,の分解が起るのは550。C付近のようであ る. きて電解二酸化マンガンの場合,熱分解せずに7−Mn O,の形で存在するのは常温から400℃付近までであ り,また硝酸第一マンガンを熱分解してβ一MnO2を生 成せしめる場合は,生成開始温度が120。C付近にあウ て,この温度付近では分解に要する時間がきわめて長く。 また生成したβ一MnO2は400。Cをこえると格子の崩壊 なしに酸素の放出が始まることから,固体乾式電解コン デンサ陽極の製造に関して著者らが新たに確立した懸濁 液を使用する二酸化マンガン付着法では,工業上350∼ 400。Cが最も適当であり,この温度範囲では10∼15m依 で焼成が完了する. 硝酸第一マンガンからβ一MnO2を生成するには,温 度条件としては120∼400。Cということになるが,温度 が低いほど長時間を要するので従来の硝酸第一マンガン 溶液のみによる方法に依存する際も高温側がよいと考え られる.ちなみに米国ウエスターン社の日本特許1)に記 載せられている,硝酸マンガン溶液を用いる単純溶液法 の焼成温度条件は200。∼300℃であって,この温度範 囲で焼成するときは1∼3hを要する, 次に電解土酸化マンガンの微粉末および硝酸第一マン ガンを,熱分解することによってあらかじめ造ったρ MnO2の微粉末を,それぞれ硝酸第一マンガン溶液中に 分散せしめた懸濁液および上記の単純溶液を用いて作成 したタンタル固体電解コンデンサの特性の比較を表1に 示した.ここで用いた試料はあらかじめエッチングを施 した厚き0.05mm,直径8mmの円形のタンタル板を1彩 酢酸アンモン溶液中で8V化成し,板の片面にこれら の浸せき液を塗布したのち,375。C,10minで焼成した ものである.コンデンサ特性の測定条件は周波数12α 表1 各種浸せき液とコンデンサ特性 一 1 浸セキ液(塗布液)臓概雛畿書1
一(N 溶液轡
r−MnO2粉末 十 Mn(No3)2溶液 串6水塩(Mn(NO3)2・6H20) 騨電解二酸化マンガンの熱分解に関する実験結果は二れに非常によく似 ているとしている. β一MnO2粉末 十 Mn(NO3)2溶液 1 7−MnO2†βMnO2 損失 (Ω・μF〉圏!ll
1 1.49 1.87 β一MnO2 0、98 0.72 180 196 1,095 760 事塗布,焼成,再化成の3つの処理をもつて1回とする・290 水野:ω一・アミノ酸とそのラクタムの電解酸化 昭和36年 ・c/s,印加電圧1v,20。Cである.表から明らかなよう に,電解二酸化マンガンの微粉末を懸濁せしめた溶液に よる場合は,コンデンサ特性において他にすぐれるばか りでなく,従来の単純溶液を用いる場合に比較して塗布 回数が減るので工業的にきわめて有利である.