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玉川学園構内に植栽されたジュウガツザクラ(十月桜)の開花特性について―2013年9月~2014年4月,2014年9月~2015年4月の調査から―

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Academic year: 2021

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玉川大学リベラルアーツ学部研究紀要 第 9 号(2016 年 3 月)

1.緒言

 一般的に,バラ科サクラ属に分類されている,いわゆ る観賞樹として認知されているサクラ類は,代表的な落 葉広葉樹であり,早春から晩春にかけて開花することが 知られている.これは,北半球中緯度地域における四季 に適応した典型的な開花様式であり,生育や繁殖に不利 な冬季に休眠に入り,一定期間の低温下にさらされた後 に気温の上昇,日長の延長などの環境変化に伴うバーナ リゼーション(春化)を経ることによってもたらされる 現象である.一口に春咲きと言っても,自生種およびそ れらの自然交雑種あるいは人工交配によって生じた栽培 品種によってその開花期にはバリエーションがある.例 えば,カンヒザクラ(寒緋桜;Prunus campanulata)は 中国南部を中心に台湾,ベトナムに分布する種であり, 日本では石垣島に自生しているが,その開花期間は 1 月 上旬から 2 月上旬であり,これが片親となっていると考 えられている園芸品種のオオカンザクラ(大寒桜)やカ ワヅザクラ(河津桜)は比較的開花期が早い(黒木  2009).一方で,カンザン(関山)やショウゲツ(松月) などの八重咲き系品種は比較的開花期が遅くなる.さら に,栽培される地域によって,緯度が高くなるにつれ, あるいは標高が高くなるにつれて開花期が遅くなる傾向 が見られる.一例として,比較的標高の高い地域に適応 しているタカネザクラ(高嶺桜;Prunus nipponica)に おいて,標高 2,000m 付近に自生するものは開花期が 7 月まで達することが知られている(大原 2012).しか し,開花期の早晩は,種および品種の特性や栽培地域で 幅が認められるものの,基本的に,前述のとおり休眠と 春化による開花調節がなされていることが認識されてい る.  一方で,ジュウガツザクラ(十月桜:Prunus×subhirtella ‘Autumnalis’),シキザクラ(四季桜:Prunus×subhirtella ‘Semperflorens’), コ ブ ク ザ ク ラ( 子 福 桜:Prunus ‘kobuku-zakura’),フユザクラ(冬桜:Prunus×parvifolia ‘Fuyu-zakura’)などは,秋から冬さらに翌春にかけて開 花することが知られているが,その開花メカニズムについ ては未だに明らかにされていない.ジュウガツザクラは, エドヒガンの系列でコヒガンザクラ(小彼岸桜:Prunus subhirtella Miq.)の雑種という説が見受けられ(大場ら  2007,中村ら 2010),その開花期は秋から冬にかけての 年に二度の開花が見られるのが特徴とされている.しか しながら,筆者が行った 2013 年秋∼ 2014 年春の調査によ ると,関東南西部(東京都町田市,学校法人玉川学園構内) に植栽されたジュウガツザクラは 9 月に開花を開始した 後,12 月下旬から翌年 2 月下旬までの厳冬期には開花数 所属:リベラルアーツ学部リベラルアーツ学科

玉川学園構内に植栽されたジュウガツザクラ(十月桜)の

開花特性について

―2013 年 9 月∼ 2014 年 4 月,2014 年 9 月∼ 2015 年 4 月の調査から―

谷本 亮

 サクラ属の多くは観賞用の樹木として古くから高い評価を受けてきた.一般的な概念としてサクラ類は春に開花す ることが認知されているが,ジュウガツザクラ,フユザクラ,シキザクラ,コブクザクラなどは秋に開花する桜とし て知られている.特に,ジュウガツザクラは,関東南西部では秋に開花した後に冬期間を通し,翌春まで継続的に開 花を続けることが確認されている.しかしながら,その開花習性についての情報は未だ不足しており,秋咲きの開花 特性を活かした育種素材としての利用にはさらに詳細な調査が必要である.玉川学園構内に植栽されているジュウガ ツザクラについて 2013 年秋∼ 2014 年春と 2014 年秋∼ 2015 年春にかけての開花過程を調査した結果,厳冬期の開花 の特性について新たな知見を得ることができた.今後の秋冬咲きサクラ類の調査・研究の進展に寄与することが期待 される. キーワード:十月桜,東京西部,開花習性,育種素材

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の低下と花の小型化認められたものの翼春まで連続的に 開花を続けることが明らかで,秋咲きと春咲きと言うよう に開花期が明瞭に分かれていないことが示唆された(谷 本・石川 2015).しかし,2014 年 2 月に氷点下の低温を 伴う多量の降雪に見舞われ一時的に開花が停止する状況 が見られた.  この調査結果から,ジュウガツザクラは秋から春かけ て連続した開花期が訪れることが明らとなったが,その 開花の様相は温度環境や降雪などの気象の変動に大きく 左右されることが窺われた.そこで筆者らは,外部環境 に対する影響の程度を見極めることを目的とし,2014 年秋∼ 2015 年春にかけて同様の調査を行った.

2.材料および方法

 調査対象は,前回調査した学校法人玉川学園構内(東 京都町田市)に植栽されているジュウガツザクラ 4 株の うち No. 1 について調査を行った(Fig. 1).  本調査の調査期間は,調査個体が開花を開始した 2014 年 10 月から 2015 年 4 月までとした.  調査内容は,調査個体 No. 1 について,開花開始から 開花中断の有無とそれ以降の開花再開から開花終了まで の開花期間の記録および調査として週ごとに開花状況と 個体の観察および写真撮影を行うと共に,5 ∼ 6 花をラ ンダムに選び開花期間中の花径の変化について測定を 行った.  また,同様に No. 1 について,2013 ∼ 2014 年の調査 と同様の着花枝 3 ヶ所(枝①∼③)について,先端から 幹方向の約 1m 内における開花数と蕾数の調査を同様に 週単位で実施した.また,調査期間中の最低,最高,平 均気温の情報は,町田市市役所庁舎に設置してある観測 機器で得られたデータの提供を受けた.

3.結果および考察

 Fig. 2 に 2013 年 8 月∼ 2014 年 4 月における最高気温, 最 低 気 温, 平 均 気 温 の 推 移 を,Fig. 3 に 2014 年 8 月 ∼ 2015 年 4 月における同様の推移を示した.開花が開始期 を迎えた 9 月は,双方ともに最高気温が 30℃を超える日 も見られたが,経時的に平均気温は 30℃付近から 20℃ 付近へと低下していった.11 月に入ると平均気温は 2013 年では 11℃台へ,2014 年ではそれよりも 1℃高い Fig. 1 玉川学園構内におけるジュウガツザクラ調査株植栽位置

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12℃台へと低下した.さらに,厳寒期の 12 月,1 月に入 ると平均気温は 10℃を下回るようになり,2013 ∼ 2014 年では 6.6℃から 4.7℃へと低下し 2 月には 4.4℃と平均気 温の最低値を記録した.それに対し 2014 ∼ 2015 年では 12 月には 5.8℃と前年よりも低い値を示したものの,1 月では 4.9℃と高めの傾向を示し,2 月には 5.3℃と上昇 する傾向を示した.  一方,最低気温の推移をみると両期間共に 1 月から 2 月には最低気温が氷点下まで低下する日が多くみられた が,2014 年では 3 月にも− 1.4℃と氷点下以下であった のに対し,2015 年では 0.8℃とやや温暖な傾向であった. 2014 年 2 月,3 月が低温傾向であったのは,その時期に 相次いで関東南西部では稀有な量の降雪があったことが 影響したものと思われた.  Fig. 4 ∼ 7 に 2013 ∼ 2014 年の蕾数,各枝の開花数, 並びに総蕾数と総開花数の推移を,Fig. 8 ∼ 11 に 2014 ∼ 2015 年の同様の推移を示した.また,Fig. 12 に 2013 ∼ 2014 年 の 開 花 し た 花 の 花 径 の 推 移 を,Fig. 13 に は 2014 ∼ 2015 年の同様の推移を示した.花径は,開花時 の花の最長径と最短径の平均値であり,これにより開花 期間中の花の大きさを評価した.開花期間については, 2013 ∼ 2014 年では 2013 年 9 月 18 日の週に開花が始まっ てから翌春 2014 年 4 月 11 日の週まで連続的に継続する 傾向が見られたが,前述のように本調査期間に二度に渡 り関東平野部では稀有な量の降雪があり,その影響と思 われる開花の中断期間が 3 月 14 日∼ 28 日の週にわたる 3 週間に見られた.一方で,2014 ∼ 2015 年は前年より 約 2 週間遅い 2014 年 10 月 3 日の週から開花が始まり,前 年より約 1 週間遅い 2015 年 4 月 17 日の週まで,同様に継 続的に開花が観察された.双方に開花の開始から終了ま で若干の開花期の違いが生じたが,開花期間そのものは ほぼ同期していたと言える.また,2015 年には目立っ た降雪が無かったにもかかわらず調査対象とした枝にお いて 2015 年 3 月 6 日∼ 20 日の週に渡り 2014 年同様に開 花の中断期間が同様に 3 週間生じた.これは,降雪の有 無にかかわらず開花の停止が生じることを示唆してお り,現時点で考えられるその理由としては,1 ∼ 2 月の 気温が氷点下に達し,蕾の萌芽遅延を招いたことが窺わ れた.すなわち,この温度帯が開花の限界点であること が推察された. Fig. 2 町田市における 2013 年 8 月 1 日∼ 2014 年 4 月 30 日の気温推移

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 開花数の推移は双方共に 10 月にピークを迎えた後, 蕾数の減少に伴い漸減して行き,枝によっては開花の停 滞期間が見られたものの 3 月下旬から 4 月上旬にかけて 再び急激な増加が見られた.また,注目すべき点として 2013 ∼ 2014 年に対して 2014 ∼ 2015 年は開花数が極め て多いことが認められる点である.この理由については 明らかではないが,開花数が多いことはそれ以前の花芽 分化と花芽形成が支配的に関係していると言わざるを得 ない.サクラ類は,春に開花を終えた後に新葉の展開に 伴って光合成が盛んに行われ,それに伴って花芽の分化・ 形成が生じる.その過程に大きく影響を及ぼすのは春か ら盛夏期にかけての温湿度や日照などの環境条件である ことは否めない.また,その個体の前年の開花状況や栄 養状態も大いに関係がある.本調査では,それを検証す る十分なデータを得ていないためその原因についての考 察は困難である.今後の継続的な調査によって解明され ることが期待される.  花径について,2013 ∼ 2014 年と 2014 ∼ 2015 年とで は類似した傾向を見せた.すなわち,10 月の開花数の ピーク時に同様に花径も増大し,その後漸減をしていき, 厳寒期の 1 ∼ 2 月に最低値となりその後再び増大を見せ た.春季のピークは秋季のピークを上回り 30mm を越え る値を示した.花径の大きさは花弁の長さと幅が直接的 に支配することに疑う余地はない.ジュウガツザクラは 花弁数が 11 ∼ 14 枚の八重咲き性であり,厳寒期におい てもその数に変動は見られない.しかし,花弁の長さと 幅については減少する傾向がみられ,特に花弁長の減少 は著しく花径の減少の主たる一因であることが窺える. また,冬季の花の乾物比は寒さが厳しい時期に高く,そ の前後では低い傾向を示したことから,花弁長,幅の減 少は寒さによる水分供給の低下が関与していることが考 えられた(谷本・石川 2015).  これらのことから,玉川学園構内に植栽されている ジュウガツザクラは,9 月中旬から 10 月上旬に開花期を 迎え,10 月上・中旬に開花のピークに達した後,開花数, 花径が著しく低下するものの冬季を通して継続して開花 することが認められた.また,3 月下旬から 4 月上旬に, 開花数はそれほど多くはないものの花径が最大値を示す Fig. 3 町田市における 2014 年 8 月 1 日∼ 2015 年 4 月 30 日の気温推移

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4月 9日 4月 2日 3月 26日 3月 19日 3月 12日 3月 5日 2月 26日 2月 19日 2月 12日 2月 5日 1月 29日 1月 22日 1月 15日 1月 8日 1月 1日 12月 25日 12月 18日 12月 11日 12月 4日 11月 27日 11月 20日 11月 13日 11月 6日 10月 30日 10月 23日 10月 16日 10月 9日 10月 2日 9月 25日 9月 18日 No.1 No.2 No.3 Fig. 4 ジュウガツザクラ各調査枝の蕾数の推移(2013 ∼ 2014) 4月 9日 4月 2日 3月 26日 3月 19日 3月 12日 3月 5日 2月 26日 2月 19日 2月 12日 2月 5日 1月 29日 1月 22日 1月 15日 1月 8日 1月 1日 12月 25日 12月 18日 12月 11日 12月 4日 11月 27日 11月 20日 11月 13日 11月 6日 10月 30日 10月 23日 10月 16日 10月 9日 10月 2日 9月 25日 9月 18日 No.1 No.2 No.3 Fig. 5 ジュウガツザクラ各調査株の開花数の推移(2013 ∼ 2014)

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4月 11日 4月 4日 3月 28日 3月 21日 3月 14日 3月 7日 2月 28日 2月 19日 2月 12日 2月 6日 1月 30日 1月 23日 1月 15日 1月 8日 1月 1日 12月 25日 12月 20日 12月 12日 12月 5日 11月 28日 11月 21日 11月 14日 11月 6日 10月 30日 10月 23日 10月 17日 10月 10日 10月 3日 9月 26日 9月 18日 Fig. 6 ジュウガツザクラの蕾合計の推移(2013 ∼ 2014) 4月 11日 4月 4日 3月 28日 3月 21日 3月 14日 3月 7日 2月 28日 2月 19日 2月 12日 2月 6日 1月 30日 1月 23日 1月 15日 1月 8日 1月 1日 12月 25日 12月 20日 12月 12日 12月 5日 11月 28日 11月 21日 11月 14日 11月 6日 10月 30日 10月 23日 10月 17日 10月 10日 10月 3日 9月 26日 9月 18日 Fig. 7 ジュウガツザクラの開花合計の推移(2013 ∼ 2014)

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No.1 No.2 No.3 4月 17日 4月 10日 4月 3日 3月 27日 3月 20日 3月 13日 3月 6日 2月 28日 2月 21日 2月 13日 2月 7日 1月 31日 1月 23日 1月 16日 1月 9日 1月 2日 12月 26日 12月 19日 12月 12日 12月 5日 11月 21日 11月 14日 11月 7日 10月 30日 10月 24日 10月 17日 10月 10日 10月 3日 Fig. 8 ジュウガツザクラの蕾数の推移(2014 ∼ 2015) 4月 17日 4月 10日 4月 3日 3月 27日 3月 20日 3月 13日 3月 6日 2月 28日 2月 21日 2月 13日 2月 7日 1月 31日 1月 23日 1月 16日 1月 9日 1月 2日 12月 26日 12月 19日 12月 12日 12月 5日 11月 21日 11月 14日 11月 7日 10月 30日 10月 24日 10月 17日 10月 10日 10月 3日 No.1 No.2 No.3 Fig. 9 ジュウガツザクラの開花数の推移(2014 ∼ 2015)

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4月 17日 4月 10日 4月 3日 3月 27日 3月 20日 3月 13日 3月 6日 2月 28日 2月 21日 2月 13日 2月 7日 1月 31日 1月 23日 1月 16日 1月 9日 1月 2日 12月 26日 12月 19日 12月 12日 12月 5日 11月 21日 11月 14日 11月 7日 10月 30日 10月 24日 10月 17日 10月 10日 10月 3日 Fig. 10 ジュウガツザクラの蕾合計の推移(2014 ∼ 2015) 4月 17日 4月 10日 4月 3日 3月 27日 3月 20日 3月 13日 3月 6日 2月 28日 2月 21日 2月 13日 2月 7日 1月 31日 1月 23日 1月 16日 1月 9日 1月 2日 12月 26日 12月 19日 12月 12日 12月 5日 11月 21日 11月 14日 11月 7日 10月 30日 10月 24日 10月 17日 10月 10日 10月 3日 Fig. 11 ジュウガツザクラの開花合計の推移(2014 ∼ 2015)

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4月 9日 4月 2日 3月 26日 3月 19日 3月 12日 3月 5日 2月 26日 2月 19日 2月 12日 2月 5日 1月 29日 1月 22日 1月 15日 1月 8日 1月 1日 12月 25日 12月 18日 12月 11日 12月 4日 11月 27日 11月 20日 11月 13日 11月 6日 10月 30日 10月 23日 10月 16日 10月 9日 10月 2日 9月 25日 9月 18日 Fig. 12 ジュウガツザクラの花径平均の推移(2013 ∼ 2014) 4月 17日 4月 10日 4月 3日 3月 27日 3月 20日 3月 13日 3月 6日 2月 28日 2月 21日 2月 13日 2月 7日 1月 31日 1月 23日 1月 16日 1月 9日 1月 2日 12月 26日 12月 19日 12月 12日 12月 5日 11月 27日 11月 21日 11月 14日 11月 7日 10月 30日 10月 24日 10月 17日 10月 10日 10月 3日 Fig. 13 ジュウガツザクラの花径平均の推移(2014 ∼ 2015)

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開花のピークを再び迎えることが明らかとなった.前述 のように秋冬咲きのサクラ品種はいくつか散見される が,フユザクラが 10 ∼ 12 月・4 月上旬∼中旬,シキザ クラが 10 ∼ 12 月・4 月上旬,コブクザクラでは 10 月上 旬∼ 1 月・3 月下旬∼ 4 月上旬とされているように,厳 寒期には一時的に開花が停滞する傾向が強い(大場ら  2007).このようなジュウガツザクラを含めた秋冬咲き 系サクラ品種の開花習性については,サクラ類の原種と 指摘されているヒマラヤザクラ(Cerasus cerasoides)に 由来するとする主張もあるが(染郷 2006),その遺伝 的な確証を得るには未だ至っていない.今後,遺伝的裏 付けを得ると共に,育種素材としての特性についてさら に理解を深めることは極めて有意義である.

4.謝辞

 本試験を執行するに当たり,気象データを提供して頂 いた町田市役所財務部庁舎活用課課長 河合孝敏氏に深 く御礼を申し上げます。また,データの取りまとめに対 して熱心に協力をして頂いたリベラルアーツ学部リベラ ルアーツ学科 4 年生 井上大樹君に心より謝意を表しま す.

5.引用文献

勝木俊雄.2009.増補改訂フィールドベスト図鑑 vol. 10 日 本の桜.学習研究社.東京.pp. 120―121, 124―125. 中村輝子・石川晶生・浅田信行・永田 洋.2010.さくら百 科.丸善出版.東京.p. 304. 大場秀章・川崎哲也・田中秀明.2007.新日本の桜.山と渓 谷社.東京.p. 205. 大原隆明.2012.サクラハンドブック.文一総合出版.東京. pp. 20―21. 染郷正孝.2006.特別寄稿 サクラの来た道 How it became SAKURA in Japan.J. HTSJ, Vol. 45, No. 191.

谷本 亮・石川晶生.2015.関東南西部におけるジュウガツ ザクラ(十月桜)のフェノロジー―特に開花期における開 花数の推移と花の形質変化について―.櫻の科学.19:3―8 (たにもと あきら)

参照

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