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マレーシアの教育政策と学校教育制度

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マレーシアの教育政策と学校教育制度

Educational Policies and Education System in Malaysia

鐘 ヶ 江 弓 子 Yumiko Kanegae 概要 こ の 論 文 の 目 的 は 、 マ レ ー シ ア の 教 育 制 度 が ど の よ う な 政 策 理 念 と 目 標 の も と で 形 成 、 確 立 さ れ て き た か を 明 ら か に す る こ と に あ る 。 独 立 後 の マ レ ー シ ア に と っ て の 最 大 の 政 策 課 題 は 二 つ で あ っ た 。一 つ は 国 民 統 合 の 問 題 で あ り 、も う 一 つ は 貧 困 か ら の 脱 却 で あ っ た 。 こ れ ら の 課 題 を 解 決 す る た め の 重 要 な 手 段 と し て 、 学 校 教 育 の 役 割 が と く に重視されて き た 。 そ し て 、 教 育 政 策 は 、 常 に 国 家 の 開 発 計 画 の 中 に 位 置 付 け ら れ 、 国 家 の 発 展 に 必 要 な 人 材 育 成 に 主 眼 が 置 か れ て き た 。 し か し 、 マ レ ー シ ア の 政 治 的 、 経 済 的 、 社 会 的 事 情 を 反 映 し 、 教 育 政 策 は 極 め て 特 殊 な も の と な っ て い る 。 と り わ け マ レ ー 人 優 先 の 、 い わ ゆ る ブ ミ プ ト ラ 政 策 は 、 教 育 政 策 の 根 幹 を 成 し て お り 、 学 校 教 育 制 度 に 採 り 入 れ ら れ て い る 。 し か し こ の ブ ミ プ ト ラ 政 策 の 推 進 は 、 マ レ ー 人 の 活 力 を か え っ て 低 下 さ せ る と い う 矛 盾 を も た ら し 、 マ レ ー シ ア の 教 育 政 策 は い ま 大 き な 転 換 点 に 差 し か か っ て い る 。 キーワード: マ レ ー シ ア , ブミ プ ト ラ 政 策 , 教 育 制 度 , 教 育 政 策 , 高 等 教 育 Abstract

This thesis is to clarif y the political ideology that brought forth the present education system, its objectives, and how the system was established. When Malaysia became independent, they had two imperative policy tasks of uniting the nation and eradicating poverty.

In Malaysia, school education was regarded as an important means of solving these problems. The educational policies are considered to be a significant part of Malaysia's Development Plans and their princip al aim is to promote the necessary human resource development required for growth of the nation. It is a unique system, which reflects the political, economical and social situations of Malaysia. The Bumiputra policy in which Malays are given priority is one of the fundamental components of Malaysia’s educational policies.

It is ironical, however, that the vitality of Malays has been waning during the promotion of this Bumiputra policy. Thus educational policies in Malaysia are at the turning point.

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目 次 はじめに 1. 教育 の歴史的変遷 1.1 植民統治下の教育 1.2 独 立 後 の 教 育 体 制 の 整 備 と 確 立 1.3 開 発 計 画 と 教 育 制 度 の 再 編 2. 現在 の教育 制度 と教 育内 容 2.1 就 学 前 教 育( 幼 稚園 ) 2.2 初等教育 ( 小 学 校 ) 2.3 中等教育 2.4 高等教育 3. 学 校 教 育 制 度 の 特 色 と 教 育 政 策 転 換 へ の 動 き 3.1 学 校 教 育 の 特 色 3.2 「 ブ ミ プ ト ラ 政 策 」 と 教 育 政 策 3.3 高 等 教 育 重 視 へ の 転 換 と そ の 背 景 おわりに はじめに マ レ ー シ ア は 、 東 南 ア ジ ア の マ レ ー 半 島 南 半 分 ( 半 島 マ レ ー シ ア ま た は 西 マ レ ー シ ア ) と ボ ル ネ オ 島 の 北 部 沿 岸 地 域 ( 東 マ レ ー シ ア ) と の 、 二 つ に 分 か れ た 地 域 か ら な る 。 国 土 面積は、約 33 万平方キロであり、日本の総面積の約 87%に当たる。人口は、約 2,327 万 人(2000 年センサス)で、日本の総人口の 5 分の1にも満たない。 マ レ ー シ ア は 、18 世紀末から長期にわたるイギリスによる植民地統治のもとで、スズと 天 然 ゴ ム を 中 心 と し た 工 業 原 料 を 供 給 す る 基 地 と し て 開 発 が 進 め ら れ て き た た め 、 典 型 的 な モ ノ カ ル チ ャ ー 経 済 構 造 が 形 成 さ れ て き た 。 そ の 過 程 で 、 ス ズ 鉱 山 の 労 働 者 と し て 中 国 か ら 南 下 し て き た 華 僑 労 働 力 に も っ ぱ ら 依 存 し 、 ま た 天 然 ゴ ム プ ラ ン テ ー シ ョ ン に は イ ン ド 人 の 移 民 が 大 量 に 導 入 さ れ た こ と に よ っ て 、 や が て 典 型 的 な 多 民 族 社 会 が 形 成 さ れ る よ う に な っ た 。 植 民 地 経 済 体 制 の 中 で 、 ブ ミ プ ト ラ ( 土 地 の 子 = 先 住 マ レ ー 人 ) お よ び そ の 他 の 先 住 民 は 稲 作 、 漁 業 や 伝 統 的 な 生 業 に 従 事 し た ま ま で 、 商 工 業 な ど の 近 代 的 セ ク タ ー か ら 取 り 残 さ れ た 。 民 族 的 に 経 済 機 能 が 分 化 し 、 そ の 結 果 、 民 族 間 に 経 済 的 格 差 が 生 ず る と い う 社 会 構 造 が 出 来 上 が っ て し ま っ た の で あ る 。1957 年の独立から今日にいたるまで、 こ の 民 族 間 の 経 済 的 格 差 を い か に し て 是 正 す る か が マ レ ー シ ア の 抱 え る 最 大 の 問 題 と な っ て い る 。 因 み に 、 独 立 当 時 の 民 族 間 の 所 得 構 造 を 見 る と 、 マ レ ー 人 家 計 の 平 均 所 得 は 、 華

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人家計の約 40%、移民インド人家計の約 60%に過ぎなかった 1)。 現 在 、 マ レ ー シ ア の 民 族 別 人 口 構 成 は 、 マ レ ー 系 、 そ の 他 先 住 民 が 約66.1%、中華系住 民が25.3%、インド系とその他住民が 8.6%となっている2)。宗教の面においては、憲法に よ り イ ス ラ ム 教 が 国 教 と 定 め ら れ て い る が 、 同 時 に 個 人 の 信 仰 の 自 由 は 保 証 さ れ て い る 。 実 際 、 マ レ ー 系 は イ ス ラム 教 徒 、 中 華 系 は 仏 教 、 イ ン ド 系 は ヒ ン ズ ー 教 徒 、 と 民 族 別 に 大 別 で き る 。 も っ と も 、 中 華 系 に は キ リ ス ト 教 徒 、 イ ン ド 系 に は イ ス ラ ム 教 徒 、 キ リ ス ト 教 徒 も 少 な く な い 。 い ず れ の 宗 教 に お い て も 、 宗 教 内 部 に お い て は 人 々 の 結 び 付 き は 深 く 、 宗 教 は 日 常 生 活 の 様 式 か ら 人 々 の 思 考 ま で を 規 制 し て い る 。 し た が っ て 、 こ れ ら の 民 族 を 束 ね て 民 族 間 の 融 合 を 通 じ た 国 家 統 一 を い か に は か っ て い く か が 、 先 に 触 れ た 民 族 間 の 所 得 格 差 の 是 正 問 題 と 併 せ て 、 マ レ ー シ ア に と っ て の 最 大 の 政 策 課 題 と な っ て い る 。 マ レ ー シ ア が 他 の 途 上 国 と や や 異 な る の は 、 こ の よ う な 二 つ の 問 題の 解 決 を 図 り な が ら 、 経 済 発 展 を 推 し 進 め な け れ ば な ら な い と い う 点 に あ っ た 。 マ レ ー シ ア は 、 経 済 的 に は 、 す で に ア ジ ア の 中 で も い わ ゆ る ア ジ ア ・ ニ ー ズ と 言 わ れ る シ ン ガ ポ ー ル 、 香 港 、 台 湾 、 韓 国 に 次 い で 高 度 の 工 業 化 を 達 成 し 、 一 人 当 た り の 国 内 総 生 産も 1999 年には 3,400 ドルに達している 3)。 マ レ ー シ ア 政 府 も 、「2020 年までにマレー シ ア を 先 進 国 社 会 に す る 」と い う「2020 年ビジョン」を大きな政策目標として立て、現在、 更 な る 発 展 を 目 指 し て い る 。 その際、人口僅か 2,300 万人のマレーシアにとって、産業の高度化を図りつつ、一層の 経 済 発 展 を 遂 げ て い く に は 、 今 後 何 よ り も 優 秀 な 人 材 確 保 が 欠 か せ な い 。 人 的 資 源 の 開 発 こ そ 、 発 展 の 鍵 を 握 る 重 要 な 要 素 で あ る 。 そ し て 教 育 は そ れ を 可 能 と す る 重 要 な 手 段 で あ る。 1957 年の独立以降、マレーシア政府は教育制度をいち早く確立させ、数次にわたる改革 の 下 で 教 育 の 拡 充 ・ 強 化 を 図 り こ ん に ち に 至 っ て い る 。 多 民 族 社 会 と い う 特 殊 な 事 情 を 背 景 に 、 マ レ ー シ ア が ど の よ う な 教 育 を 施 す こ と に よ っ て 人 材 の 教 育 を 行 っ て い る か 、 こ れ ま で の マ レ ー シ ア が た ど っ て き た 教 育 へ の 取 組 み 、 そ の 後 の 経 過 な ら び に 成 果 を 、 主 に 現 行の教育制度や教 育 内 容 を 通 し て 考 察 し 、 併 せ て 今 後 の 課 題 を 明 ら か に し よ う と い う の が 本 稿 の 主 た る 目 的 で あ る 。 1.教 育の歴 史的 変遷 1.1 植 民 統 治 下 の 教 育 イ ギ リ ス 植 民 地 時 代 の 19 世紀初頭から、マラヤにはメソジスト教会、カトリック修道 会 な ど ミ ッ シ ョ ナ リ ー に よ る 宗 教 伝 道 の た め の 英 語 学 校 が 王 侯 貴 族 層 の エ リ ー ト 養 成 の た め に 設 立 さ れ て い た 。 イ ギ リ ス 植 民 地 政 府 も マ レ ー 国 家 に 対 す る 保 護 の 建 前 か ら 、 エ リ ー

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ト 養 成 の た め の 英 語 学 校 、 ま た マ レ ー 系 民 衆 に 対 し て 良 い 政 府 と し て の ポ ー ズ を 示 す 目 的 で マ レ ー 語 学 校 を 設 立 し た 。 マ レ ー 人 の 民 衆 の た め の 教育 は 、 伝 統 的 に 小 規 模 な モ ス ク や ポ ン ド ッ ク と 呼 ば れ る 宗 教 塾 な ど で 、 主 と し て イ ス ラ ム 教 伝 道 の た め に 行 わ れ て き た 。 そ の た め 、 マ レ ー 人 の 多 く は マ レ ー 語 学 校 の 教 育 を 積 極 的 に 受 け よ う と は し な か っ た が 、 カ リ キ ュ ラ ム に 宗 教 教 育 も 取 り 入 れ ら れ る よ う に な り 、 次 第 に 通 う よ う に な っ た 。 その後19 世紀末から 20 世紀にかけて、イギリスはゴム園やスズ鉱山の開発に乗り出し、 ゴ ム 園 プ ラ ン テ ー シ ョ ン に は タ ミ ル 系 イ ン ド 人 、 ス ズ 鉱 山 に は 中 国 人 を 多 数 労 働 者 と し て 移 入 さ せ た 。 彼 ら は 主 に 都 市 部 で 産 業 近 代 化 の 担 い 手 と し て 働 き 、 英 語 学 校 に 多 く の 子 弟 を通 わ せ 、 教 育 上 優 位 に 立 つ こ と に な っ た 。 一 方 マ レ ー 人 は 農 民 と し て 政 府 か ら 保 護 さ れ た た め 、 経 済 面 か ら も 教 育 面 か ら も 取 り 残 さ れ る 結 果 と な っ た 。 こ う し た 現 状 を 危 惧 し た ス ル タ ン は 20 世紀以降、マレー人のためのマレー語学校、カ レ ッ ジ 、 教 員 養 成 カ レ ッ ジ な ど を 設 立 し 、 マ レ ー 人 の 教 育 の 普 及 を 図 っ た 。 教 育 熱 心 な 中 国 人 は 子 弟 教 育 の た め に 数 多 く の 中 国 語 学 校 を 設 立 、 ま た イ ン ド 人 も タ ミ ル 語 学 校 を 設 立 し た 。 こ の よ う に し て 、1920 年頃からは英語学校、中国語学校、タミル語学校、マレー語学校 で 、 そ れ ぞ れ 異 な っ た 教 育 言 語 と カ リ キ ュ ラ ム を 使 用 し て 独 自 の 文 化 を 背 景 に 教 育 が 行 わ れ て い た 。 1.2 独 立 後 の 教 育 体 制 の 整 備 と 確 立 初 代 首 相 の ラ ー マ ン は 、 マ ラ ヤ の 統 一 国 家 実 現 を 図 る た め の 教 育 制 度 が 必 要 で あ る と 考 え て い た 。 そ こ で 、 ラ ザ ク 教 育 大 臣 を 委 員 長 と す る 教 育 委 員 会 に 制 度 の 検 討 を 命 じ た 。 こ のラザク委員会が 1955 年に、マレー語を国語とし、他の民族の言語と文化を維持するこ と を 基 本 と す る 、 初 め て 体 系 的 な 教 育 政 策 を 策 定 し 、 報 告 書 を 作 成 し た 。 こ れ は 「 ラ ザ ク 報告」と呼ばれ、1957 年の独立後最初の教育令(Education Ordinance)として法制化さ れ た 。 こ の ラ ザ ク 報 告 書 の 骨 子 は 、 小 学 校 を マ レ ー 語 学 校 と そ れ 以 外 の 英 語 、 中 国 語 、 タ ミ ル 語 学 校 に 分 け 、 そ れ ぞ れ 標 準 学 校 、 標 準 型 学 校 と 区 別 す る こ と 、 す べ て の 学 校 を マ ラ ヤ 志 向 と す る た め に 共 通 の シ ラ バ ス と 時 間 表 を 導 入 す る こ と 、 お よ び 、 中 等 教 育 に マ レ ー 語 中 等 学 校 を 創 設 し 、 共 通 の 終 了 資 格 試 験 を 課 す こ と な ど で あ る 。 こ の 報 告 書 で 注 目 さ れ る の は 、 教 育 が 国 家 の 統 制 の 本 に お か れ 、 教 育 制 度 が 統 一 的 基 準 に 従 っ て 確 立 さ れ た 点 、 小 ・ 中 等 学 校 で マ レ ー 語 の 使 用 が 強 調 さ れ た 点 な ど で あ る 。 こ う し た 教 育 政 策 の 基 本 理 念 は 今 日 ま で 継 承 さ れ て い る 。 ラザク 報告 に 続 い て 、1957 年の独立直後、マレーシアの国民教育制度樹立を目的とする、 教 育 改 革 の 再 検 討 が な さ れ 、 そ の 結 果 は 「 ラ ー マ ン ・ タ リ ブ 報 告 」 と し て 1960 年に発表 された。この報告にはマレー人に有利な教育政策が提案されており、1961 年に新教育法と

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し て 制 定 さ れ た 。 新 た に 、1)小学校の区分を国民学校と国民型学校に変更すること、2)中 等 学 校 の 教 育 言 語 と 公 的 試 験 は 英 語 と マ レ ー 語 で 行 う こ と 、3)中国語とタミル語学校の生 徒 は 、 中 等 学 校 へ の 進 学 時 に1 年間の移行学級で学習することなどが内容として加えられ た。また、1962 年にはすべての小学校が無償となった。さらに、学校制度が確立され、小 学校6 年、前期中等学校 3 年、後期中等学校 2 年、大学準備課程 2 年、大 学 3 年の 6-3-2-2-3 制になった。 1.3 開 発 計 画 と 教 育 制 度 の 再 編 ゴ ム と ス ズ の 二 大 品 目 の 生 産 と 輸 出 に 依 存 し て き た マ レ ー シ ア は 、 産 業 構 造 の 高 度 化 、 輸 出 商 品 の 多 様 化 を 政 府 の 長 期 経 済 計 画 の 中 心 課 題 に 据 え 、 国 家 開 発 計 画 に 取 り 組 み 始 め た 。 こ れ を 具 体 化 し た の が 、1966 年から始まった第 1 次マレーシア計画(1966∼1970) および第 2 次マレーシア計画( 1971∼1975)である。これらの中で重点目標に掲げられた の は 、 産 業 構 造 の 高 度 化 に 対 処 す る た め に 良 質 の 労 働 力 の 確 保 と そ れ に 必 要 な 中 等 ・ 高 等 教 育 レ ベ ル の 職 業 教 育 と 科 学 技 術 教 育 の 充 実 な ど で あ る 。 この間 1969 年には人種暴動が発生し、政府は国民統一の達成、経済格差の是正、国民 教 育 制 度 の 再 編 の た め の 政 策 、 つ ま り ブ ミ プ ト ラ ( 土 地 の 子 = マ レ ー 人 ) 優 遇 政 策 を 強 力 に 推 進 す る こ と に な っ た 。 特 に 第 2 次マレーシア計画ではマレー語を主要教育言語とし、 各民族間の教育機会の不均等を是正することなどが目標とされた。マレー語(1970 年から マ レ ー シ ア 語 に 改 称)を教育言語とする目的のために、1970 年からは初等・中等教育レベ ル の 英 語 学 校 を 廃 止 し て 順 次 マ レ ー シ ア 語 学 校 に 転 換 す る 計 画 が 始 ま っ た 。 こ れ は 、 マ レ ー シ ア 語 学 校 を 中 心 に し て 国 民 教 育 制 度 の 再 編 成 を 図 ろ う と す る も の で あ り 、 マ レ ー シ ア の 教 育 に お け る マ レ ー シ ア 語 の 役 割 を 著 し く 増 大 さ せ る と と も に 、 マ レ ー 人 の 中 等 ・ 高 等 教 育 へ の 就 学 を 促 進 さ せ る こ と に な っ た 。 1979 年に発表された内閣委員会の教育に関する報告書「マハティール報告」は、その後 の マ レ ー シ ア 教 育 の 基 本 的 方 向 を 決 定 づ け る も の と な っ た 。 国 民 統 合 の 達 成 と 産 業 化 の 促 進を 狙 い と し て 、 さ ら に 教 育 上 、 ブ ミ プ ト ラ 優 遇 政 策 を 推 進 す る こ と と と も に 、 職 業 ・ 技 術 教 育 の 重 視 、 教 育 機 会 の 拡 充 な ど が 提 言 さ れ た 。 こ れ を 受 け て 、 教 育 省 は 初 等 ・ 中 等 教 育 カ リ キ ュ ラ ム の 改 革 に 踏 み 切 っ た 。 教 育 上 の マ レ ー 人 優 遇 措 置 と し て は 、 初 等 ・ 中 等 ・ 高 等 教 育 の 各 段 階 で さ ま ざ ま な プ ロ グ ラ ム が 用 意 さ れ 実 施 さ れ た 。 カ リ キ ュ ラ ム 改 革 に つ い て は 、 小 学 校 で は 1983 年から、 中等学校でも 1988 年から全面的に新しい統合カリキュラムが導入され、今日に至ってい る 。 こ れ は 、 マ レ ー シ ア 人 個 々 の 全 人 的 発 達 、 基 礎 学 力 の 向 上 、 職 業 的 メ ン タ リ テ ィ の習 得などを目的として策定され導入が図られたものである。中等教育では、1992 年から前期 中 等 学 校 ( 中 学 校 ) の 教 育 も 無 償 と な り 、 小 学 校 か ら 9 年間の総合的な教育を受けられる

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よ う に な っ た 。 高 等 教 育 段 階 で は 、1962 年に創立されたマラヤ大学のほか、1969 年のマレーシア科学 大 学 、1970 年のマレーシア国民大学、1972 年のマレーシア農業大学、マレーシア工科大 学 な ど が 、 マ レ ー シ ア 計 画 で 目 標 と さ れ た 国 家 の 社 会 的 、 経 済 的 発 展 に 役 立 つ 経 営 者 や 科 学 技 術 者 な ど の 人 材 養 成 を 意 図 し て 設 立 さ れ た 。 さ ら に 1983 年に入り、国際イスラ ム大 学 、 経 営 や 経 済 学 科 が 中 心 と な っ て い る マ レ ー シ ア 北 大 学 、 教 員 養 成 カ レ ッ ジ な ど も 設 立 された。 2. 現 在 の 教 育 制 度 と 教 育 内 容 マ レ ー シ ア の 教 育 制 度 、 教 育 内 容 を 見 る 前 に 、 そ の 基 に な っ て い る 学 校 教 育 の 基 本 的 な 理 念 に つ い て 触 れ て お く 必 要 が あ る 。 マ レ ー シ ア に お け る 学 校 教 育 の 基 本 的 な 理 念 は 、 マ レ ー シ ア の 国 是 で あ る 「 ル ク ヌ ガ ラ (Rukunegara)」4 )に 集 約 さ れ て い る 。 こ れ は 1969 年の人種(民族)暴動の翌年にマレー シ ア 国 家 の 統 一 と 発 展 を 目 指 し た 国 造 り の 指 針 と し て 作 成 さ れ た 国 家 理 念 で 、 次 の よ う な 内 容 か ら 成 っ ている。 我々マレーシア国民は以下の 5 つの目的の達成を目指す。 1) 複合社会の統一された国家 2) 法的に選ばれた国会による民主社会 3) すべての者に平等な機会がある自由な社会 4) 多用な文化的伝統を持つ自由な社会 5) 科学と現代技術を志向する進歩的な社会 こ れ ら の 目 的 の 達 成 は 次 の 原 理 原 則 に よ っ て 導 か れ る 。 1) 神への信仰 2) 国王と国家への忠誠 3) 憲法の擁護 4) 法の支配 5) 良識ある行動と道徳 ま た 、 マ レ ー シ ア の 国 民 教 育 制 度 の 全 般 的 な 管 理 と 実 施 に 関 す る 指 針 は 、 上 記 の 「 ル ク ヌガラ」を基に、1988 年に策定された次のような「国家教育原理(NPE)」に明確に規定さ れ て お り 、 次 々 と 行 わ れ て い る 教 育 制 度 の 改 革 は 、 こ れ に 則 っ て 行 わ れ て い る 。 つまり、「 マ レ ー シ ア の 教 育 は 全 体 的 で 、総 合 的 な 個 人 の 潜 在 能 力 を 高 め る こ と を 目 指 し 、 知 的 、 精 神 的 、 情 緒 的 、 身 体 的 な 潜 在 的 可 能 性 を 、 神 へ の 信 仰 と 服 従 を 基 盤 と し て 、 均 衡 の と れ た 調 和 的 な 人 格 を 発 達 さ せ る 継 続 的 な 努 力 で あ る 。 こ う し た 努 力 は 、 見 識 の あ る 規

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律 正 し い 、 責 任 感 の あ る 個 人 の 福 利 を 獲 得 し 、 社 会 と 国 家 の 調 和 と 発 展 に 貢 献 で き る マ レ ー シ ア 国 民 を 形 成 し よ う と す る も の で あ る 。」5)と さ れ て い る 。 と こ ろ で 、 学 校 教 育 制 度 は 、 ど の 国 に お い て も 比 較 的 類 似 の 仕 組 み が と ら れ て い る 。 す なわち、1)教育全般を初等教育、中等教育、高等教育に分け、2)初等教育および前期中等 教 育 は 義 務 教 育 化 さ れ る 国 が 多 い 。 し か し 、 マ レ ー シ ア の 場 合 、 教 育 制 度 は 4 段階からな る教育制度を採用している。つまり、就学前教育、初等教育、中等教育、高等教育である。 こ の 就 学 前 教 育 を 除 く と 、 学 校 制 度 は イ ギ リ ス の そ れ を 基 に し て お り 、 図 1 のように 6-3-2-2-3 制となっている。すなわち、初等教育(小学校)6 年、前期中等教育(中学校) 3 年、後期中等教育(高校)2 年、上級中等教育(大学予備教育課 程)2 年、高等教育(大 学など)3 年のシステムが取られている。各学校段階が終了した時点で共通国家試験を受 験 す る こ と に な っ て お り 、 そ の 成 績 で 進 路 が 決 定 さ れ る 。 マ レ ー シ ア で は 、初等・中等教育は義務教育化されてはいないが、就学率は非常に高く、 小学校では 94.9%、中学校では 84.5%6)を誇っている(1999 年現在)。9 年間の初等および 前 期 中 等 教 育 は 国 家 試 験 の 結 果 に 拘 わ ら ず 自 動 的 に 入 学 が 可 能 で 、 無 償 で 提 供 さ れ る 。 な お 、 教 科 書 は 有 償 で あ り 、 書 店 で 購 入 す る こ と に な る が 、 貧 困 家 庭 の 児 童 に 対 し て は 無 償 で 貸 与 さ れ て い る 。 マ レ ー シ ア で は 、 教 育 省 教 育 企 画 委 員 会 が 、 上 記 の ル ク ヌ ガ ラ の 方 針 に 沿 っ て 、 高 等 教 育 を 除 い た 各 学 校 段 階 に お け る 統 一 カ リ キ ュ ラ ム の 基 本 方 針 を 決 定 し 、 具 体 的 な カ リ キ ュ ラ ム は カ リ キ ュ ラ ム 開 発 セ ン タ ー が 編 成 し て い る 。 そ の 結 果 、 教 育 水 準 の 確 保 が 図 ら れ て い る 。 カ リ キ ュ ラ ム の 改 訂 は 教 育 課 程 委 員 会 に よ っ て 行 わ れ 、 改 訂 が 行 わ れ た 場 合 は 、 学 習 指 導 要 領 と 教 師 用 指 導 書 も カ リ キ ュ ラ ム 開 発 セ ン タ ー に よ っ て 作 成 さ れ る 。 各 教 育 段 階 別 に 見 た 制 度 の 概 要 お よ び 教 育 内 容 は 以 下 の と お り で あ る 。 2.1 就学前 教育 ( 幼 稚園 ) 就 学 前 教 育 は 、1996 年教育法 7)の 制 定 に よ り 、 国 民 教 育 制 度 に 組 み 込 ま れ た 。 こ れ は 、 全 国 に 乱 立 し て い た 幼 稚 園 の 水 準 を 引 き 上 げ 、 質 の 高 い 就 学 前 教 育 を 行 う た め の 措 置 で あ る。 さ ま ざ ま な 政 府 機 関 、社 会 団 体 、 ボ ラ ン テ ィ ア 団 体 な ら び に 民 間 セ ク タ ー に よ っ て 設 立 さ れた幼稚園が 4 歳から 6 歳児を対象として就学前教育を行っている。教育省、農村開発省 な ど の 公 共 機 関 は 都 市 部 と 農 村 部 に 幼 稚 園 を 設 置 し て い る が 、 民 間 セ ク タ ー は 都 市 部 に 数 多 く の 幼 稚 園 を 設 置 し て い る 。 幼 稚 園 は す べ て 教 育 省 に 登 録 を 行 い 、 教 育 省 が 定 め る ガ イ ド ラ イ ン に 従 わ な け れ ば な ら ないが、教 育 言語 と 授 業 ア プ ロ ー チ に つ い て は 幼 稚 園 に か な り の 柔 軟 性 が 与 え ら れ て い る 。

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図 1 マレーシアの学校系統図 出 所 : 文 部 省 大 臣 官 房 調 査 統 計 企 画 課 , 諸 外 国 の 学 校 教 育 ( ア ジ ア ・ オ セ ア ニ ア ・ ア フ リ カ 編 ) 就 学 前 教 育 の カ リ キ ュ ラ ム は 、 教 育 省 を 初 め と し て 民 間 セ ク タ ー も 含 め た 就 学 前 教 育 実 施 の 主 な 関 係 者 が 共 同 で 策 定 し た も の で 、 教 育 省 は そ の カ リ キ ュ ラ ム 指 針 の 実 施 を 各 幼 稚 園に義 務づけ てい る。 内 容 に つ い て は 次 の よ う な9 つの目標と学習経験を規定している(表 1 )。なお、それぞ

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れ の 学 習 経 験 は 個 別 で は な く 、 統 合 さ れ た 形 で 習 得 さ せ る よう に 定 め ら れ て い る 。 表 1 就学前教育のカリキュラム内容 内 容 到 達 目 標 公 民 教 育 「 ル ク ヌ ガ ラ 」( マ レ ー シ ア の 国 是 ) を 知 り 、 国 家 の 法 律 に 従 い 、 愛 国 心 を 養 う こ と イ ス ラ ム 教 育 ( イ ス ラ ム 教 徒 対 象 ) 道 徳 ・ 精 神 教 育 ( 非 イ ス ラ ム 教 徒 対 象 ) 神 の 信 仰 、 協 力 お よ び 合 理 性 を 含 む 価 値 観 を 身 に つ け る こ と マ レ ー 語 ( マ レ ー 語 幼 稚 園 ) ( 非 マ レ ー 語 幼 稚 園 ) マ レ ー 語 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 技 術 マ レ ー 語 に よ る 会 話 英 語 簡 単 な 指 示 や 役 割 の 遂 行 を 含 む 日 常 的 な ヒ ア リ ン グ と 会 話 技 能 体 育 健 康 、 安 全 お よ び 快 適 な 環 境 に お け る 子 供 の 成 長 と 発 育 社 会 ・ 情 緒 育 成 多 用 な 知 能 の 理 論 と 情 緒 的 知 能 の 概 念 を 含 め 、 子 供 に 自 尊 心 を 植 え つ け る こ と 知 育 育 成 観 察 、 予 測 、 推 論 お よ び 分 類 の 技 能 創 造 的 ・ 美 的 能 力 育 成 美 術 、 自 然 お よ び 国 家 遺 産 を 尊 ぶ こ と 出 所 : 海 外 職 業 訓 練 協 会 、 海 外 人 材 養 成 デ ー タ ベ ー ス 「 マ レ ー シ ア 」 2.2 初 等 教 育 ( 小 学 校 ) 初 等 教 育 は 小 学 校 で 実 施 さ れ 、 修 業 年 限 は 6 年間である。ただし、マレーシアの場合、 多 民 族 国 家 で あ る こ と を 反 映 し 、 国 語 で あ る マ レ ー 語 を 教 育 言 語 と す る 国 民 学 校 と 、 中 国 語またはタミル語 を 教 育 言 語 と す る 国 民 型 学 校 の 二 種 類 の 学 校 が 設 置 さ れ て い る 。 ど ち ら の 学 校 を 選 ぶ か の 選 択 に つ い て は 父 母 に 任 さ れ て い る 。 国 内 に は2000 年現在、これらの学 校が合わせて 7,217 校あり、在籍する生徒数は 2,931,190 人である(表 2)。学校数および 教 師 数 が 不 足 し て い る た め 、 多 く の 学 校 が 午 前 と 午 後 の 二 部 制 ( 低 学 年 が 午 後 、 高 学 年 が 午 前 ) を 採 用 し て い る 。 表 2 初等学校数および生徒数(2000 年) 学校のタイプ 学 校 数 生 徒 数 生 徒 数 の 全 体 に 占める割合(%) 国民学校 5,379 2,216,389 75.61 国 民 型 学 校 (中国 系 ) 1,284 622,435 21.24 国 民 型 学 校( イ ン ド 系 ) 520 90,260 3.08 特別学校 28 2,106 0.07 合 計 7,217 2,931,190 100.00 出所:マレーシア教育省 Statistics2000 より作成 マ レ ー 語 は 国 民 型 学 校 に お い て も 必 修 教 科 に な っ て お り 、 英 語 は す べ て の 学 校 で 必 修 教

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科 で あ る 。 第6 学年終了時には UPSR(小学校成績評価テスト)が実施され、生徒の基本 的能力 の修得 評価 がな さ れ る 。 こ の 結 果 に 関 係 な く 、 小 学 校 卒 業 生 は す べ て 前 期 中 等 教 育 第1 学年に入学できる。しかし、国民型学校で学んだ生徒については、マレーシア語を十 分 に 習 得 さ せ る た め 、 進 学 す る 前 に 1 年 間 「 移 行 学 級 」 で の 学 習 が 義 務 付 け ら れ て い る 。 ま た 、 特 別 に 成 績 優 秀 で 才 能 豊 か な 生 徒 は 小 学 校3 年生終了時に試験を受け、好成績を 収 め れ ば 飛 び 級 制 度 に よ り 、5 年間で小学校を卒業する制度もある。 先のUPSR は中等学校への入学試験ではなく、初等教育課程の理解度を確認するテスト の 位 置 付 け で あ る 。 し か し 、 こ の 結 果 を も と に 、 マ レ ー 系 の エ リ ー ト を 養 成 する全寮制中 学 校 の 入 学 者 が 選 抜 さ れ て い る た め 、 事 実 上 の 入 学 試 験 と し て の 役 割 も 果 た し て い る こ と になる。 近 年 、 初 等 教 育 段 階 に お い て 注 目 さ れ る の は 、1995 年 8 月に教育大臣によって発表さ れた言語別小学校の統合計画「ビジョン・スクール」プログラムの実施である 8)。この「ビ ジョン・スクール」とは、マレー語、中国語、タミル語の各小学校を同一校地内にまとめ、 生 徒 や 教 職 員 の 交 流 を 図 る こ と で 民 族 間 の 相 互 理 解 や 融 和 の 精 神 を 培 う と い う も の で あ る 。 す で に 国 内 の 各 地 で 試 験 的 に 設 置 さ れ 始 め て い る 。 初等教 育の カ リ キ ュ ラ ム面で は 、1983 年から小学校統合カリキュラムが導入され、1988 年 に は 小 学 校 の 全 学 級 で 実 施 が 義 務 付 け ら れ る よ う に な っ た 。 授 業 で は 各 教 科 間 の 統 合 を 十分にし、特に、基礎学力向上のために読み、書き、算数(3R )が重視されているのが特 徴 で あ る 。 第3 表に示すように、各教科を「コミュニケーション」「人間と環境」「自己開 発」の 3 主要分野に分けて教育している。フェーズⅠ(第 1∼3 学年)の週間授業時間は 1 時 限 (30 分)の授業が 45 時限行われ、計 1,350 分である。マレー語を教育言語とする国 民 学 校 で は マ レ ー 語 が 週 に 15 時限、英語は週に 8 時 限となっている。中国語/タミル語 を 教 育 言 語 と す る 国 民 型 学 校 で も 、マ レ ー 語 が 必 修 の た め 週 に9 時限授業が行われている。 フェーズⅡ(第 4∼6 学年)の週間授業時間は 1 時限(30 分)の授業が 48 時限行われ、 計1,440 分である。そのうち、英語は週に 7 時限となっている。 表3 初等教育統合カリキュラム 領 域 フェーズⅠ(1∼3 年) フェーズⅡ(4∼6 年) コミュニケーション マ レ ー 語 / 中 国 語 / タ ミ ル 語 英 語 、 算 数 マ レ ー 語 / 中 国 語 / タ ミ ル 語 英 語 、 算 数 人 間 と 環 境 イスラム教育(イスラム教徒対象) /道徳教育(非イスラム教徒対象) イスラム教育(イスラム教徒対象)/道徳教 育(非イスラム教徒対象)、理科、地域学習 自己開発 音 楽、美 術 、保健 体 育 音 楽 、 美 術 、 保 健 体 育 、 生活技術 出 所 : マ レ ー シ ア 日 本 人 商 工 会 議 所 『 マ レ ー シ ア ハ ン ド ブ ッ ク 2001』2002, p.38

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非 イ ス ラ ム 教 徒 を 対 象 と す る 道 徳 教 育 に 関 し て は 、16 の価値、すなわち良心、自立、高徳、 尊 敬 、 慈 愛 、 正 義 、 自 由 、 勇 気 、 心 身 の 清 さ 、 誠 実 、 協 力 、 質 素 、 感 謝 、 理 性 、 社 会 精 神 が 取 り 上 げ ら れ て い る 。 こ う し た 価 値 は 、 マ レ ー シ ア の 各 グ ル ー プ の 宗 教 、 伝 統 、 慣 習 に 基 づ く と と も に 、 普 遍 的 な 純 粋 価 値 お よ び 国 家 原 理 に 即 し て 選 び 出 さ れ た も の で 、 イ ス ラ ム の 価 値 を 普 遍 化 さ せ よ う と す る も の で あ る 。 2.3 中等教育 中 等 教 育 は(1)前期中等教育 、(2)後期中等教育、および (3)上級中等教育の 3 段階に分 類 で き る 。 前 期 中 等 教 育 ( 中 学 校 ) は 修 業 年 限 が 3 年間であり、マレー語を教育言語とす る 学 校 の み が 置 か れ て い る 。 し た が っ て 、UPSR テストにおけるマレー語の成績優秀者以 外 の 国 民 型 学 校 の 卒 業 生 は 、1 年間の移行学級を経なければ中学校に進学することができ な い 。 先 に も 説 明 し た よ う に 、UPSR テ ストで特に優秀な成績を収めた ブミプトラ子弟の 国民学校生は 5 年制の全寮制中学校への入学が許可される。なお、第 3 学年の終了時には PMR(前期中等教育成績評価)の受験が義務付けられている。 後期中等教育(高校)は修業年限が2 年間で、PMR の成績と適性により、普通学校(文 系 、 理 系 )、 全 寮 制 学 校 、 技 術 学 校 、 宗 教 学 校 、 職 業 学 校 、 特 殊 学 校 に 振 り 分 け ら れ る 。 政 府は技術指向型の教育を受ける学生の割合を増やす目的で、第 7 次マレーシア計画の目標 に 沿 っ て 、 す べ て の 職 業 学 校 を 技 術 学 校 へ と す る 改 編 作 業 を 行 っ て い る 。 職 業 学 校 数 が 少 なくなっ ているのはそのためである。全中等学校の合計は、2000 年現在 1,641 校で、生徒 数は2,000,256 人である(表 4)。 表 4 中等学校数および生徒数(2000 年) 学校のタイプ 学 校 数 生 徒 数 生 徒 数 の 全 体 に 占める割合(%) 普通学校 1,464 1,905,274 95.25 全 寮 制 学 校 40 23,377 1.17 技術学校 77 35,946 1.80 宗教学校 53 34,565 1.73 職業学校 4 611 0.03 特殊学校 3 483 0.02 合 計 1,641 2,000,256 100.00 出所:マレーシア教育省 Statistics2000 より作成

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一 般 的 に 、 中 学 校 と 高 校 は 1 校に纏められて 5 年制の課程をとっているところが多い。 中 学 校 第1 学年から順に FORM1~5 と呼ばれ、第 5 学年を終了した段階で SPM(後期中 等教育 成績評 価) 試験 9)を 受 け る 。 こ の 成 績 は 就 職 の 際 に 参 考 に さ れ る ほ ど 重 要 な も の と なっている。 中 等 教 育 カ リ キ ュ ラ ム と し て は 、 小 学 校 統 合 カ リ キ ュ ラ ム の 延 長 線 上 に 位 置 す る も の と し て 中 等 学 校 統 合 カ リ キ ュ ラ ム が 策 定 さ れ 、1988 年から導入されている。中等教育は知識、 洞 察 力 、 そ し て 技 術 の 習 得 を 手 助 け す る こ と に よ り 、 生 徒 た ち の 持 つ 全 般 的 な 能 力 の 開 発 を 目 指 し て お り 、 最 終 的 に は 生 涯 教 育 の た め の 土 台 作 り を 目 標 と し て い る 。 前 期 中 等 教 育 レ ベ ル(第 1∼3 学年)である中学校からは第 5 表に示されているように、 必 修 教 科 の ほ か に 追 加 教 科 が 置 か れ て お り 、 授 業 時 間 は 40 分が1時限に相当する。小学 校 と 同 様 英 語 は 第 二 言 語 と し て す べ て の 学 校 で 必 修 教 科 と な っ て い る 。 表 5 前期中等教育カリキュラム 必 修 教 科 追 加 教 科 マ レ ー 語 、 英 語 イ ス ラ ム 教 育( イ ス ラ ム 教 徒 対 象 )/ 道徳教育( 非 イ ス ラ ム 教 徒 対 象 )、 数 学 、 理 科 、 歴 史 、 保 健 体 育 、 美 術 、 生 活 技 術 中 国 語 タミル語 ア ラ ビ ア 語 出 所 : マ レ ー シ ア 日 本 人 商 工 会 議 所 『 マ レ ー シ ア ハ ン ド ブ ッ ク 2001』2002, p.39. 必 修 教 科 の う ち 、「生活技術」は独立的、創造的、革新的で、科学技術と経済にも精通した 個 人 の 育 成 を 目 指 し て 導 入 さ れ た も の で 、その内容には操作技能、ビジネス技能、家政技能 の 習 得 な ど が 含 ま れ て い る 。 後 期 中 等 教 育 ( 高 校 ) の 第 4∼5 学年のカリキュラムでは、一般的な教育科目に加え、 科 学 、技 術 、 職 業 も し く は 宗 教 な ど の 専 門 教 育 が 加 わ っ て く る 。こ れ ら の 学 校 に は 、普通科、 技 術 、 職 業 、 宗 教 の 各 コ ー ス が あ る 。 ① 普通学校 ほ と ん ど の 高 校 は 普 通 科 の 課 程 に 科 学 や 技 術 コ ー ス を 加 え た 普 通 科 学 校 で あ る 。 第6 表(普通課程)に示されているように、必修教科と追加教科に加えて選択教科の履 修 も 可 能 に な っ て お り 、 授 業 時 間 は 40 分が 1 時限に相当する。

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表6 後期中等教育カリキュラム(普通課程) 必 修 教 科 追 加 教 科 マ レ ー シ ア 語 、 英 語 イスラム教育( イ ス ラ ム 教 徒 対 象 )/ 道徳教育( 非 イ ス ラ ム 教 徒 対 象 ) 数 学 、 理 科 、 歴 史 、 保 健 体 育 中 国 語 タミル語 ア ラ ビ ア 語 選 択 教 科 第1 群(人文) 第 2 群(職業・技術) 第 3 群(理科) 第 4 群( イ ス ラ ム 学 習 ) マ レ ー 文 学 英 文 学 地理 美術 ア ラ ビ ア 語 会 計 原 理 、 経 済 基 礎 商 業 、 農 業 科 学 家政学、上級数学 電 気 ・ 電 子 工 学 土 木 工 学 、 機 械 工 学 工 業 技 術 、 工 業 製 図 実験科学 物理 化学 生物 イ ス ラ ム ・ タ サ ウ フ コ ー ラ ン ・ ス ン ナ学習 シャリア学習 出 所 : マ レ ー シ ア 日 本 人 商 工 会 議 所 『 マ レ ー シ ア ハ ン ド ブ ッ ク 2001』2002, p.39. ② 中等技術学校 中 等 技 術 学 校 で は 、 基 礎 的 な 工 学 に 関 す る 分 野 は も ち ろ ん 、 数 学 や 科 学 分 野 に 優 れ た 学 生を社会に輩出することを使命としている。学習内容は、普通科と同様、上級中等学校カリ キュラムの必修教科に加え、技術系の設立目的を反映し、第 6 表の選択科目第 2 群から科 学 や 工 学 な ど に 関 す る 科 目 を 履 修 す る こ と に な っ て い る 。 技 術 学 校 へ の 入 学 は PMR の結 果 に 基 づ き 教 育 省 が 決 定 し て お り 、 数 学 や 科 学 に 極 め て 優 秀 な 生 徒 に つ い て は 、 特 別 に 選 抜され る制度 もあ る。 ③ 中等職業学校 中等職 業学 校 に は 、 技 術・職 業 課程と 技 能 訓 練 課 程 の 二 つ の 課 程 が あ る 。 技 術 ・ 職 業 課 程 の カ リ キ ュ ラ ム に は ポ リ テ ク ニ ッ ク や そ の 他 の 高 等 教 育 機 関 に 進 学 す る た め に 必 要 な 基 礎 学 力 を 身 に つ け る 一 般 科 目 や 技 術 科 目 に 重 点 を 置 い て い る 。 し た が っ て 、 必 修 教 科 と し て 普 通 課 程 と 同 じ も の も 取 り 入 れ ら れ て い る 。 表7 後期中等教育カリキュラム(技術・職業課程) 出 所 : 海 外 職 業 訓 練 協 会 、 海 外 人 材 養 成 デ ー タ ベ ー ス 「 マ レ ー シ ア 」 工 学 家 政 学 商 業 農 業 ●電気 ●電 子 ●機械 ●溶 接 ●自 動 車 技 術 ●冷 蔵 ・ 空 調 ●建築 ●調理 ●ファッションデザイン ・ドレスメーキング ●美容 ●保 育 ●製パン・製菓 ●オフィス・マネジメント ●ビジネス・マネジメント ●観 葉 園 芸 ・ 造 園 ●農業機械 ●農場経営

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技 能 訓 練 課 程 で は 、 卒 業 後 関 係 産 業 で 準 専 門 労 働 者 と し て 要 求 さ れ る よ う な 技 術 的 能 力 を 伸 ば す た め に 、 実 践 的 な 作 業 訓 練 に 重 点 が 置 か れ て い る 。 生 徒 た ち は 表8 に示されてい

る 分 野 で 、「マレーシア技能証明書」の取得を目指した技能訓練教育を受けている。この技

能 証 明 書 は 、 人 的 資 源 省 の 国 家 職 業 訓 練 審 議 会(National Vocational Training Council: NVTC)が技能基準を設定し、技能証明制度を取り入れ、認定センターを通して授与してい るものである 10 ) 表 8 技能訓練課程の授業科目 冷 蔵 ・ 空 調 整 備 ( 国 内 )、 冷 蔵 ・ 空 調 整 備 ( 販 売 )、 自 動 二 輪 整 備 、 自 動 車 整 備 、 ア ー ク ・ ガ ラ ス 溶 接 、 一 般 機 械 製 作 工 、 一 般 機 械 整 備 工 、 建 築 、 大 工 ・ 建 具 、 家 具 製 造 、 ラ ジ オ ・ テ レ ビ 修 理 、 電 気 技 術 、 農 業 機 械 整 備 、 洋 裁 、 美 容 師 、 エ ス テ 、 食 品 加 工 、 食 品 サ ー ビ ス 出 所 : 海 外 職 業 訓 練 協 会 、 海 外 人 材 養 成 デ ー タ ベ ー ス 「 マ レ ー シ ア 」 上 級 中 等 教 育 ( 大 学 予 備 教 育 課 程 ) は 、 後 期 中 等 教 育 終 了 後 、 国 内 あ る いは 国 外 へ の 大 学 、 そ の 他 の 高 等 教 育 機 関 へ の 進 学 準 備 を 行 う 教 育 課 程 の こ と で あ る 。 大 学 の 学 位 課 程 に 進 学 す る に は 高 校 卒 業 後 フ ォ ー ム シ ッ ク ス(Form Six)と呼ばれる 2 年制の課程に進学し、 国 家 試 験 で あ る 高 等 教 育 資 格 証 明 書 試 験 (STPM ) の 合 格 を 目 指 す の が 一 般 的 で あ る 。 STPM に合格すると国内および全世界のほとんどの大学などへの入学資格を得られる。こ こ で は 大 学 進 学 に 必 要 な 一 般 教 養 、 技 術 、 宗 教 な ど の 教 育 が 行 わ れ る 。 ま た 、1∼2 年間の大学予科の教育課程に進学する道もある。この大学予科課程は大学や 中 高 一 貫 教 育 を 行 っ て いる 全 寮 制 中 等 学 校 に 附 設 さ れ て お り 、 特 定 大 学 へ の 入 学 を 目 指 す 1 年あるいは 2 年の教育プログラムで、修了試験に合格すれば入学することができるもの で あ る 。 し か し 、 こ の コ ー ス は 基 本 的 に ブ ミ プ ト ラ の 子 弟 に し か 認 め ら れ て い な い 。 2.4 高等教育 マレーシアにおける高等教育は、公立、私立の高等教育機関、主としてカレッジ(高等専 門学校)、ポリテクニック(技術短期大学)並びに大学等によって行なわれており、修了証、 学 位 、 あ る い は こ れ と 同 等 の も の の 授 与 に つ な が る 教 育 を 行 な っ て い る 。 高 等 教 育 の 狙 い は 、 国 家 の 必 要 と す る 人 材 需 要 に見 合 う 準 専 門 家 お よ び 専 門 家 の 育 成 と 、 研 究 の た め の 施 設 提 供 に あ る こ と が 明 ら か に さ れ て い る 。 高 等 教 育 機 関 の 一 つ で あ る カ レ ッ ジ は 、 修 業 年 限 が2∼3 年で、商業、 経営、行政、科 学 技 術 、 情 報 ・ 通 信 技 術 等 、 多 種 多 様 な 課 程 が 開 講 さ れ て い る 。 各 分 野 で 証 明 書 、 修 了 証 お よ び 上 級 修 了 証 レ ベ ル の 専 門 、準 専 門 課 程 が 実 施 さ れ て お り 、専 門 、 準 専 門 資 格 が 授 与 さ れ る が 、 そ の 他 に 専 門 資 格 免 許 ( デ ィ プ ロ マ ) 取 得 コ ー ス な ど も 設 け ら れ て い る 。2001

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年 現 在 、 国 立 カ レ ッ ジ ( 教 員 養 成 カ レ ッ ジ ) が 27 校、私立カレッジが 652 校で、就学者 数 は 、 そ れ ぞ れ23,740 人、と 209,000 人に及んでいる 1 1) ポ リ テ ク ニ ッ ク で は 、 主 に 商 工 業 部 門 で 活 躍 で き る ビ ジ ネ ス マ ン や 技 術 者 の 養 成 が 行 な わ れ て い る 。 こ こ で の 教 育 を 受 け る こ と に よ り 、 商 業 ・ サ ー ビ ス 部 門 の 中 間 管 理 職 や 、 工 学 分 野 の 技 術 助 手 、 あ る い は 技 術 者 を 目 指 す こ と も で き る 。 ポ リ テ ク ニ ッ ク に は 2 年 制 の 終了証 書取得 コー スと 3 年制の専門資格免許(ディプロマ)取得コースの二つが置かれて い る 。 両 コ ー ス と も に 、 カ リ キ ュ ラ ム に 一 定 期 間 の 企 業 研 修 が 組 み 込 ま れ て お り 、 商 工 業 界 の 現 実 や 生 き た ビ ジ ネ ス 経 験 を 学 生 に 積 ま せ る と い う 特 色 が 盛ら れ て い る 。 国 立 の ポ リ テ ク ニ ッ ク で は 商 業 、 土 木 工 学 、 機 械 工 学 、 電 気 工 学 等 の 主 要 学 部 が 置 か れ て い る 。2001 年時点 で国立 のポ リテ クニ ック は 13 校である。 大 学 教 育 で は 、 修 学 年 限 が 、 文 科 系 で 大 部 分 が3 年間、理科系で 4 年間、医科・歯科系 で 5∼6 年間となっている。最近まで国内の大学は国立に限定されていたため、大学の数 も 就 学 者 数 も ご く 僅 か で あ っ た 。 し か し 1996 年の私立教育機関法の制定によって、国公 立 以 外 に 初 め て 私 立 大 学 並 び に 大 学 併 設 校 、外 国 大 学 の 分 校 の 設 置 等 が 認 め ら れ た こ と で 、 近 年 急 速 に 改 善 さ れ つ つ あ る 。 第 9 表 と 第 10 表に掲げてあるように、2001 年現在、国立 大学が15 校12 )、私立大学が 14 校となっている。政府は、高等教育の重要性に鑑み、大学、 ポ リ テ ク ニ ッ ク 、 カ レ ッ ジ 等 の 高 等 教 育 へ の 進 学 率 を 、1999 年時点の 23%から、2010 年 には40%に、さらに最終目標年である 2020 年には 50%へ向上させることを目指している 13) 表 9 国立大学の概要 国 立 大 学 ( 略 称 ) 設 立 年 所 在 地 備 考 マ ラ ヤ 大 学(UM) マ レ ー シ ア 科 学 大 学(USM) マ レ ー シ ア 国 民 大 学(UKM) マ レ ー シ ア ・ プ ト ラ 大 学(UPM) マ レ ー シ ア 工 科 大 学(UTM) マ レ ー シ ア 北 大 学(UUM) マ レ ー シ ア ・ サ ラ ワ ク 大 学(UNIMAS) マ レ ー シ ア ・ サ バ 大 学(UMS) ス ル タ ン ・ イ ド リ ス 教 育 大 学(UPSI) マ レ ー シ ア ・ イ ス ラ ム 大 学(KUIM) マ ラ 工 科 大 学(UiTM) マレーシア・科学工科大学(KUSTEM) トゥン・フセイン・オン工科大学(KUiTTHO) 国 立 マ レ ー シ ア 技 術 大 学(KUTKM) 国 際 イ ス ラ ム 大 学(IIUM) 1962 1969 1970 1971 1972 1984 1992 1994 1997 1998 1999 1999 2000 2000 1983 ク ア ラ ル ン プ ー ル ス ラ ン ゴ ー ル 州 ス ラ ン ゴ ー ル 州 ス ラ ン ゴ ー ル 州 ジ ョ ホ ー ル 州 ケ ダ 州 サ ラ ワ ク 州 サ バ 州 ペ ラ 州 ク ア ラ ル ン プ ー ル ス ラ ン ゴ ー ル 州 ト レ ン ガ ヌ 州 ジ ョ ホ ー ル 州 マ ラ ッ カ 州 ス ラ ン ゴ ー ル 州 マ レ ー シ ア 最 古 の 大 学 農業高専とマラヤ大農学部合併 経 営 関 連 教 育 に 重 点 を 置 く 東 マ レ ー シ ア で 最 初 の 大 学 教 員 養 成 大 学 * 出 所 :2001 Education Guide Malaysia, p.215

*これは国際大学で、マ レーシアの他、イスラム圏諸国の政府機関・組織を代表する 理 事 会 が 所 有 す る 法 人 と な っ て い る 。

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表10 私立大学の概要 私 立 大 学 名(略称) 設 立 年 所 在 地 備 考 国 際 医 科 大 学(IMU) ペ ト ロ ナ ス 工 業 大 学(UTP) マ ル チ メ デ ィ ア 大 学(MMU) テ ナ ガ ・ ナ シ ョ ナ ル 大 学(UNITEN) トゥン・アブドル・ラザク大学(UNITAR) オ ー プ ン ・ ユ ニ バ ー シ テ ィ(UNITEM) ス ラ ン ゴ ー ル 産 業 大 学(UNISEL) ア ジ ア 医 療 科 学 技 術 大 学(AIMST) マ レ ー シ ア 科 学 技 術 大 学(MUST) マ レ ー シ ア 経 営 工 科 大 学(KUTPM) [外国の大学の分校] モ ナ シ ュ 大 学 サ ン ウ ェ イ 校 カ ー テ ィ ン 工 業 大 学 サ ラ ワ ク 校 ノ ッ テ ィ ン ガ ム 大 学 マ レ ー シ ア 校 FTMS-ドゥモンフォール大学マレーシア校 1993 1997 1999 1997 1997 1999 1999 2000 2000 2000 1998 1998 1999 2000 クアラ・ルンプール ペ ラ 州 マラッカ・サイバージャヤ スランゴール・パハン ス ラ ン ゴ ー ル 州 クアラ・ルンプール ス ラ ン ゴ ー ル 州 ケ ダ 州 ス ラ ン ゴ ー ル 州 ス ラ ン ゴ ー ル 州 ス ラ ン ゴ ー ル 州 サ ラ ワ ク 州 クアラ・ルンプール クアラ・ルンプール 初 の 私 立 医 科 大 学 ペ ト ロ ナ ス ( 国 営 石 油 会 社 ) 前 身 は テ レ コ ム 大 学(1997) テ ナ ガ ・ ナ シ ョ ナ ル 社 が 出 資 バ ー チ ャ ル 大 学 放 送 大 学 オ ー ス ト ラ リ ア の 大 学 オ ー ス ト ラ リ ア の 大 学 英 国 の 大 学 英 国 の 大 学

出所:2001 Education Guide Malaysia および Malaysia Centre of Educational Excellence, 2001 より作成 な お 、 マ レ ー シ ア で は 、 教 育 言 語 に つ い て は 、 国 公 立 大 学 で は 原 則 と し て マ レ ー シ ア 語 を 使 用 す る こ と に な っ て お り 、 私 立 高 等 教 育 機 関 で も そ れ が 義 務 付 け ら れ て い る 。 但 し 、 教 育 大 臣 の 承 認 に よ り 変 更 す る こ と も 可 能 で あ り 、 医 学 、 工 学 、IT など理系分野関しては 英語による授業も認められている。また、高等教育機関のカリキュラムで特徴的な点は、専 攻 分 野 の 如 何 に 拘 わ ら ず 、 学 生 は 国 語 で あ る マ レ ー シ ア 語 、 マ レ ー シ ア 研 究 、 イ ス ラ ム 研 究 ( イ ス ラ ム 教 徒 の 学 生 が 対 象 ) ま た は 道 徳 研 究 ( 非 イ ス ラ ム 教 徒 の 学 生 が 対 象 ) が 必 修 科 目 と し て 置 か れ 、 履 修 が 義 務 付 け ら れ て い る こ と で あ る 。 3 . 学 校 教 育 制 度 の 特 色 と 教 育 政 策 転 換 へ の 動き 3.1 学 校 教 育 の 特 色 こ れ ま で 、 マ レ ー シ ア の 国 民 教 育 制 度 の 成 立 、 確 立 過 程 を 概 説 し 、 数 次 の 改 革 を 経 て こ ん に ち に 至 っ た 経 緯 や 、 現 行 の 教 育 制 度 並 び に 教 育 内 容 に つ い て や や 詳 し く 見 て き た 。 す で に 明 ら か な よ う に 、マ レ ー シ ア の 学 校 教 育 制 度 に は 幾 つ か の 際 立 っ た 特 色 が 観 察 さ れ る 。 ここでは、その主な特質について述べ、併 せ て そ の 背 景 に つ い て 説 明 し て お き た い 。なお、 高 等 教 育 に つ い て は 後 述 す る 。 初 等 ・ 中 等 教 育 制 度 の 主 な 特 色 を 列 挙 す れ ば 以 下 の 点 に 集 約 さ れ よ う 。 つ ま り 、1) 初

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等 教 育 前 の 幼 児 教 育 が 学 校 教 育 制 度 の 中 に 組 み 込 ま れ て い る こと 、2 )初等教育には、教 育 言 語 を 異 に す る 二 つ の タ イ プ ( マ レ ー 語 と 非 マ レ ー 語 ) の 国 民 学 校 が 並 存 す る こ と 、3) 初 等 ・ 中 等 教 育 課 程 、 高 等 教 育 課 程 に 至 る ま で 、 言 語 、 宗 教 、 道 徳 等 の 教 育 に 力 点 が 置 か れ て い る こ と 。4)マレー系優先の教育で貫かれていることなどである。 マ レ ー シ ア で は 、 小 学 校 へ の 入 学 準 備 段 階 と は い え 、4 才から 5 才という日本の幼稚園 児 に 相 当 す る 児 童 に た い し 、 国 が 予 め カ リ キ ュ ラ ム 指 針 を 提 示 し 、 そ れ に 沿 っ た 教 育 が 義 務 付 け ら れ て い る 。九つの学習項目が置かれており、その中には、公民教育、宗教と道徳、 な ど が 含 まれ て い る が 、 こ れ は 、 幼 児 の 性 格 形 成 期 に 愛 国 心 や 宗 教 心 を と く に 植 え 付 け さ せ る 狙 い が あ る も の と 思 わ れ 、 興 味 深 い 点 で あ る 。 ま た 国 語 以 外 の 言 語 と し て 英 語 の 会 話 技 能 が 含 ま れ て い る こ と も 注 目 さ れ る 。 初 等 教 育 に お け る 二 つ の 学 校 タ イ プ 、 つ ま り 国 民 学 校 と 国 民 型 学 校 の 並 存 は 、 多 民 族 社 会 を 反 映 し た マ レ ー シ ア 固 有 の 制 度 で あ る 。 そ の 区 分 は 、 教 育 言 語 と し て 、 前 者 で は マ レ ー 語 を 、 後 者 で は 中 国 語 、 ま た は タ ミ ル 語 を 使 用 し て い る と い う 違 い に よ る も の で あ る 。 言 語 と 宗 教 の 科 目 を 除 け ば 、 い ず れ の 学 校 も 統 一 さ れ た 共 通 の カ リ キ ュ ラ ム の 下 で 授 業 が 行 な われ て い る が 、 こ れ は 、 そ れ ぞ れ の 民 族 の 伝 統 、 文 化 、 慣 習 な ど の 維 持 に 配 慮 し て い るためであろう。 初等・中等教育課程におけるカリキュラム編成で最も注目されるのが、言語教育、宗教・ 道 徳 教 育 に 多 く の 時 間 が 割 か れ て い る こ と で あ る 。 第 11 表でも分るとおり、とくに初等 教育においては、週当たり総授業時間数でみると、1∼3 年次で 51.1%、4∼6 年次で 37.6% が 国 語 で あ る マ レ ー 語 と 外 国 語 で あ る 英 語 学 習 に 当 て ら れ て い る 。 ま た イ ス ラ ム 教 育 に も それぞれ 13.3%と 12.5%が振り向けられている。初等教育の狙いが読み、書き、算術の基 本的技能(3R)の提供に置かれている一方で、宗教的、道徳的、社会的価値観の醸成を通 し て 、 子 供 の 能 力 の 育 成 を 図 っ て い る こ と が 伺 え る 。 も っ と も 、 こ の よ う な 言 語 学 習 と 宗 教 ・ 道 徳 教 育 を 重 視 す る 背 景 に は 、 一 方 で 、 そ れ ぞ れ の 民 族 内 部 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 促 進 や 各 民 族 固 有 の 伝 統 、 文 化 の 維 持 、 発 展 を 奨 励 し つ つ も 、 究 極 的 に は 民 族 の 違 い を 超 越 し た マ レ ー シ ア 人 と し て の ア イ デ ン テ ィ テ ィ ー を 共 有 で き る よ う な 国 家 を 政 府 が 目 指 し て い る と い う 事 情 が あ る 。 マ レ ー シ ア の 学 校 教 育 で も っ と も 際 立 っ た 特 色 は 、 独 立 以 降 、 と り わ け 1970 年代から 今日 に 至 る ま で 、 マ レ ー 系 優 先 の 教 育 制 度 が 一 貫 し て 採 ら れ て き た こ と で あ る 。 い わ ゆ る 「 ブ ミ プ ト ラ 政 策 」 の 教 育 政 策 へ の 適 応 で あ る が 、 こ の 点 に 関 し て は 次 節 で 詳 述 し た い 。

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表11 マレー語国民学校の週当たり時間数 ( 言 語 科 目 、 イ ス ラ ム 教 育 お よ び 算 数 ) 単 位 : 分 、( ) 内 は 総 時 間 数 に 占 め る 割 合 学年 マレー語 英 語 イスラム教育 算 数 総時間数 1 450 (33.3) 240 (17.8) 180 (13.3) 210 (15.6) 1350 2 450 (33.3) 240 (17.8) 180 (13.3) 210 (15.6) 1350 3 450 (33.3) 240 (17.8) 180 (13.3) 210 (15.6) 1350 4 330 (23.0) 210 (14.6) 180 (12.5) 210 (14.6) 1440 5 330 (23.0) 210 (14.6) 180 (12.5) 210 (14.6) 1440 6 330 (23.0) 210 (14.6) 180 (12.5) 210 (14.6) 1440 出 所 : 村 田 翼 夫 編 , 東 南 ア ジ ア 諸 国 の 国 民 統 合 と 教 育 , 東 信 堂 ,2001, p.78 3.2 「 ブ ミ プ ト ラ 政 策 」 と 教 育 政 策 独 立 後 の マ レ ー シ ア に と っ て の 最 大 の 政 治 的 、 経 済 的 政 策 課 題 は 、 マ レ ー 系 、 華 人 系 、 イ ン ド 系 の 三 つ の 主 要 な 民 族 間 の 融 和 を 図 り な が ら 、 い か に し て 国 民 統 合 を 果 た し て い く か 、 ま た 同 時 に 、 植 民 地 時 代 に 形 成 さ れ た 歪 な 民 族 間 の 経 済 的 地 位 や 格 差 を い か に 是 正 し な が ら 貧 困 状 態 か ら 脱 却 し 経 済 の 近 代 化 と 所 得 の 向 上 を 図 っ て い く か 、 こ の 二 点 に あ っ た こ と は 、 本 稿 の 冒 頭 で も 述 べ た と お り で あ る 。 こ れ ら 二 つ の 政 策 課 題 に 取 組 む た め の 政 策 手 段 と し て 採 ら れ て い る の が 、 い わ ゆ る 「 ブ ミ プ ト ラ 政策 」 で あ る 。“ブミプトラ”とは、マレー語で“土地の子”つまり先住民族であ る マ レ ー 系 を 指 し て お り 、 移 民 し て き た 華 人 系 、 イ ン ド 系 民 族 と を 区 別 す る の に 使 用 さ れ ている。「 ブ ミ プ ト ラ 政 策 」 は 、1969 年の反華人暴動がきっかけとなって導入されたマレ ー 人 優 先 政 策 で 、 具 体 的 に は 1971 年に登場した「新経済政策」(NEP=New Economic Policy )の中で「貧困の撲滅」と「社会構造の再編」の二つをその政策目標として掲げた もので ある。「 貧 困 の 撲 滅 」は、国 民 所 得 水 準 を 引 き 上 げ 、雇 用 機 会 を 増 や す こ と に よ っ て 、 民 族 を 問 わず 貧 困 の 撲 滅 を 図 っ て い こ う と す る も の で あ り 14 )、ま た「 社 会 構 造 の 再 編 」は、 伝 統 的 な 農 村 社 会 に 縛 ら れ 、 近 代 部 門 へ の 進 出 比 率 の 最 も 低 い マ レ ー 人 の 地 位 を 引 き 上 げ る こ と を 狙 い と す る も の で あ る 。 こ こ で は 農 村 の 近 代 化 を 図 る だ け で な く 都 市 に お け る 経 済 活 動 が 拡 大 す る 中 で マ レ ー 人 に よ る 商 業 、工 業 部 門 へ の 参 加 を 促 す こ と が 重 要 と さ れ た 。 な お 、 具 体 的 な 目 標 で は 、 製 造 業 を 含 む 第 二 次 産 業 部 門 の 雇 用 に お い て マ レ ー 人 の 比 率 を 30.8%から 1990 年には 51.9%まで高めること、さらに職業別にもマレー人の比率を高め、 管理・経営職種における 雇 用 比 率 を 1970 年の 24.9%から 1990 年の 49.3%に引き上げるこ と と さ れ た 。「 貧 困 の 撲 滅 」 は 、 民 族 の い か ん を 問 わ ず と な っ て い る が 、 実 質 的 に は 80% 以 上 が 農 村 に い る マ レ ー 人 が 対 象 で あ る 。 こ の よ う に 、「新経済政策」は、経済全般におけ

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る マ レ ー 人 の 地 位 の 改 善 を 第 一 の 目 標 と し て お り 、「 ブ ミ プ ト ラ 政 策 」と 呼 ば れ る 所 以 で あ る。 こ の 「 ブ ミ プ ト ラ 政 策 」 は 、 当 然 の こ と な が ら 、 国 家 の 教 育 政 策 に も 色 濃 く 反 映 さ れ て い る 。 む し ろ 反 映 さ れ て い る と い う よ り も 、 現 実 に は 教 育 政 策 の 根 幹 を な す も の と 言 う べ き か も し れ な い 。 も っ と も 、 独 立当 初 に お け る 教 育 政 策 は 、 統 一 国 家 の 実 現 に 重 点 が 置 か れ て い た 。 そ こ で は 教 育 言 語 は マ レ ー 語 を 中 心 と し 、 教 育 内 容 を 統 一 す る と い う も の で あ っ た が 、 必 ず し も 強 力 に マ レ ー 人 優 先 政 策 が 先 行 し て い た わ け で は な く 、 従 来 、 民 族 間 で バ ラ バ ラ で あ っ た 教 育 制 度 を 統 一 的 、 か つ 体 系 的 に 整 備 す る こ と に よ っ て 、 国 民 的 統 合 を 図 ろ う と し た も の で あ っ た 。 し か し 、「新経済政策」の導入とともに、さまざまな特権や教育機会への特別な地位が教 育 面 で マ レ ー 人 に 対 し て 付 与 さ れ る よ う に な っ た 。 前 に も 触 れ た 、 全 寮 制 中 学 校 へ の 入 学 制 度 な ど は 、 そ の 最 も 顕 著 な 例 で あ る 。 マ レ ー シ ア で は 国 策 と し て 同 国 の 将 来 を 担 う エ リ ー ト を 養 成 し て お り 、 実 質 的 な 養 成 期 間 の 役 割 を 果 た し て い る の が こ の 全 寮 制 中 学 校 で あ る。入学者は小学校 6 年次に受験する UPSR(小学校成績評価テスト)の結果をもとに教 育 省 が 選 抜 し た 生 徒 に 限 ら れ て お り 、 現 在 、 全 国 40 校に在籍する生徒数の合計は 23,377 人 で 中 等 学 校 に 通 う マ レ ー シ ア 国 内 全 生 徒 数 の わ ず か 1.17%( 表 4)に過ぎない。しかし こ の 学 校 に 通 う こ と が で き る の は ブ ミ プ ト ラ の 子 弟 の み で あ る 。 明 ら か に マ レ ー 人 に の み 与 え ら れ た 特 権 で あ る 。 ま た 、 経 済 面 で の 特 別 優 遇 措 置 も と ら れ て い る 。 教 育 関 係 の 国 家 予 算 を 見 る と 、 こ の 全 寮 制 中 学 校 の 生 徒 一 人 当 た り に 対 す る 予 算 配 分 は 、 通 常 の 中 等 学 校 課程のそれの約 3 倍にも及んでいる15 )。家庭の収入が少ない生徒のためには授業料や寮経 費 を 十 分 カ バ ー す る た め の 奨 学 金 制 度 も 完 備 さ れ て い る 。 こ れ に は 連 邦 政 府 奨 学 金 と ペ ト ロナス奨学金の 2 種類があり、一旦この受給が決まるとほとんどは奨学金だけで中等教育 を 受 け ら れ る よ う に な っ て い る 。 こ の よ う な 優 遇 措 置 は 、 高 等 教 育 段 階 に お い て も み る こ と が で き る 。 例 え ば 、 大 学 予 備 教 育 課 程 で 、 進 学 を 希 望 す る 大 学 な ど に 附 設 さ れ て い る 大 学 予 科 教 育 課 程 へ の 入 学 は 、 基 本 的 に は ブ ミ プ ト ラ の 子 弟 に し か 認 め ら れ て い な い 。 大 学 の 他 、 全 寮 制 中 学 校 に も こ の 教 育 課 程 が 開 設 さ れ て い る た め 、 ブ ミ プ ト ラ に と っ て マ ラ ヤ 大 学 な ど 特 定 の 大 学 へ の 進 学 が 極めて容易になる。また各国立大学では、ブミプトラに有利な定員枠16 )( 民 族 別 の 割 当 制 ) を 設 け て い る た め 、 ブ ミ プ ト ラ と 非 ブ ミ プ ト ラ の 大 学 入 学 に 対 す る 難 易 度 の 差 は 歴 然 と し て い る 。 そ の た め 、 中 国 系 ・ イ ン ド 系 の 子 弟 は フ ォ ー ム ・ シ ッ ク ス 課 程 に 進 学 し て 大 学 を 目 指 す か 、 も し く は 海 外 留 学 を 目 指 す こ と に な る 。 こ の よ う に 、 マ レ ー シ ア では 、 学 校 教 育 に お い て も 「 ブ ミ プ ト ラ 政 策 」 が 制 度 的 に 組 み 込 ま れ て お り 、 教 育 政 策 の 重 要 な 柱 と な っ て い る 。

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3.3 高 等 教 育 重 視 へ の 転 換 と そ の 背 景 1991 年、マハティール首相は、マレーシアが 2020 年までに経済面のみならず社会的公 正 、 政 治 的 安 定 、 国 民 の 誇 り や 自 信 等 の 面 で も 真 の 意 味 で の 先 進 工 業 国 に な る こ と を 目 指 した「ビジョン2020」を提唱し、21 世紀に向けた国家開発構想を発表した。これを受け、 第 1 次 長 期 総 合 計 画 (1971∼1990)に続く新たな長期総合計画(1991∼2000)の策定が 行 な わ れ た 。 計 画 策 定 に 当 た っ て は 、 引 き 続 き 従 来 か ら の プ リ ブ ミ ( マ レ ー 人 ) 企 業 の 育 成 を 踏 襲 し つ つ 、 人 的 資 源 開 発 、 イ ン フ ラ 整 備 な ど 経 済 成 長 の 基 盤 整 備 を 進 め 、 民 間 主 導 型 経 済 へ の 展 開 を 図 る こ と が 課 題 と さ れ た 。 「 第 7 次 マ レ ー シ ア 計 画 」(1996∼2000)では、人的資源開発に関わる教育分野で次の よ う な 施 策 が 掲 げ ら れ た 。 す な わ ち 、1)特に科学技術分野における教育機関の新設・拡 充、2 )内外の教育機関の連携の下での研究・開発機能の強化、3)理科系への就学促進、 4)高等教育における英語能力の向上並びに教授用語としての国語使用の強化、5 )教師不 足を 補 う た め の 退 職 教 師 の 再 雇 用 促 進 、6)教育に対する民間投資の促進、7)初等教育段 階 に お け る 僻 地 教 育 お よ び 小 規 模 校 の 改 良 で あ る 。 これらの施策の実現に向けて、政府は、1995 年以降、高等教育制度の大胆な見直しと新 た な 制 度 改 革 の 実 施 に 踏 み 切 っ た 。1996 年には「私立高等教育機関法」と「大学改正法」 等 を 制 定 し 、 そ の 結 果 今 日 ま で 、 次 の よ う な 高 等 教 育 の 面 で 具 体 的 な 進 展 が 見 ら れ た 。 つ ま り 、 私 立 大 学 設 置 の 認 可 、 私 立 カ レ ッ ジ の 大 学 へ の 昇 格 、 国 内 の カ レ ッ ジ に 対 す る 外 国 大 学 の 学 位 プ ロ グ ラ ム の 許 可 、 さ ら に 外 国 大 学 の マ レ ー シ ア 国 内 で の 分 校設 置 の認 可 等、 である。 こ れ ら の う ち 、私 立大学 に ついて は 、1997 年に設立されたペトロナス工業大学を含めて、 これまで合計 14 校が設置された(表 10)。また、政府は 1998 年に国内 17 校の私立カレ ッ ジ に 対 し 、 外 国 大 学 学 位 プ ロ グ ラ ム ( 通 称 3+0)の実施を認めた。このプログラムは国 内 の 学 生 が 海 外 に 留 学 せ ず に 、3 年間の学位課程を修了することができるものである。こ の 制 度 を 利 用 す る こ と に よ っ て 、 オ ー ス ト ラ リ ア 、 英 国 、 米 国 な ど の 大 学 の 学 位 を マ レ ー シ ア で 取 得 で き る た め 、 海 外 か ら の 留 学 生 を 呼 び 込 む 要 因 と も な っ て い る 。 当初 17 校で こ の プ ロ グ ラ ム の 実 施 が 認 可 さ れ た が 、2001 年時点では 30 校にまで増えている17)但し、 各カレッジの認可は 5 年間の期限付きとなっており、その後見直しが行なわれる予定であ る 。 も っ と も 、 人 気 の あ る こ の プ ロ グ ラ ム も 、 受 講 で き る 課 程 が 限 ら れ て お り 、 海 外 で の 文 化 的 接 触 や 経 験 が 得 ら れ な い と い う 懸 念 や 質 的 保 証 の 問 題 な ど 、 い く つ か の 課 題 が 残 さ れてい るよう であ る。 また、ツイニング・プログラム 18)も 実 施 さ れ て い る 。 こ の 制 度 に は1+2、2+1、2+2 と い っ た プ ロ グ ラ ム が あ り 、 外 国 大 学 の 履 修 課 程 の 一 部 を そ れ ぞ れ 1 年間あるいは 2 年間、 国内の提携カレッジで学び、その後 1 年間あるいは 2 年間、外国の大学本校に留学して学

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位 を 取 得 す る も の で あ る 。 こ の プ ロ グ ラ ム は 、2001 年時点で 34 校が実施している 19)。 外 国 大 学 の マ レ ー シ ア 国 内 で の 分 校 設 置 に つ い て は 、 政 府 は 、 オ ー ス ト ラ リ ア の モ ナ シ ュ大学(1998 年)とカーティン工科大学、および英国のノッティンガム大学(1999 年) とFTMS ドゥ・モンフォール大学(2000 年)にそれぞれ許可を与えている。 こ の よ う に し て マ レ ー シ ア で は 、90 年代半ば以降、教育の自由化を通して、相次ぐ高等 教 育 機 関 の 創 設 や 多 様 化 を 進 め て き た が 、 こ う し た 動 き の 背 景 に は 、 近 年 と み に 高 ま っ て い る 高 等 教 育 需 要 に 応 え る と と も に 、 政 府 が 目 指 し て い る 地 域 の 教 育 拠 点 と し て の 基 盤 作 り を 進 め る と い う 狙 い が あ る 。 高 等 教 育 機 関 の 拡 充 の 中 に あ っ て と く に 注 目 さ れ る の は 、 マ ル チ メ デ ィ ア 大 学 ( 前 身 の テレコム・マレーシア大学を改組)、テナガ・ナショナル大学、ペトロナス工科大学などの 創 設 に 見 ら れ る よ う に 、 技 術 科 学 系 の 大 学 や 学 部 が 拡 充 、 強 化 さ れ て き た こ と で あ る 。 政 府 は 大 卒 者 の う ち 技 術 科 学 系 の 比 率 を 95 年の 38%から 2000 年には 43%とする目標を立 て て い る が 、 こ れ は 、 マ レ ー シ ア 経 済 を 、 こ れ ま で の 資 源 集 約 型 や 労 働 集 約 型 か ら 脱 却 さ せ 、 国 内 資 本 に よ る 競 争 力 を も っ た 知 識 集 約 型 (K-エコノミー)経済へと移行させるとい う 政 府 の 目 標 達 成 に 沿 っ た 人 材 育 成 計 画 に よ る も の で あ る 。 ま た 、 政 府 は 、「 第 8 次マレーシア計画」において、公共・民間を問わずあらゆるセク タ ー で 情 報 通 信 技 術 (ICT)を活用し、効率化、高度化を図り知識集約型経済を実現させ ることを大きな政策の柱として位置づけている。具体的には、マルチメディア・スーパー・ コリドー(MSC)構想に代表される事業を今後 も推進し、第 8 次計画期間中にマレーシア を 情 報 通 信 技 術 お よ び マ ル チ メ デ ィ ア の 主 要 な ハ ブ と し て 成 長 さ せ る こ と 、 ま た 、 地 方 部 に お け る 情 報 通 信 イ ン フ ラ の 整 備 も 進 め 、 デ ジ タ ル ・ デ バ イ ド の 解 消 も 併 せ て 実 施 す る こ とを示している。 マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)構想の主な内容は、首都クアラルンプー ルから 新国際 空港 を包 括す る南 北 50 キロ、東西 15 キロのエリアに最新鋭の通信インフラ を整備し、ハイテク関連産業を誘致する20)と い う 壮 大 な も の で あ る 。世界規模のR&D(研 究開発)、生産・マーケティング拠点としての機能は もちろん、小・中学校教育におけるス マート ・スク ール 構想 21)の 実 現 、 電 子 政 府 の 推 進 、 遠 隔 医 療 サ ー ビ ス の 充 実 な ど を 目 指 したものである。すでに新行政首都「プトラジャヤ」、先端情報技術都市「サイバージャヤ」 が ほ ぼ 完 成 し 機 能 し 始 め て い る 。 し か し 、 こ の 壮 大 な 構 想 実 現 の 成 否 は 、 ひ と え に IT 技 術 者 を 始 め と す る 高 度 な 技 術 者 の 確 保 い か ん に か か っ て お り 、 そ の た め の 人 材 養 成 は 政 府 に と っ て 、 現 在 、 喫 緊 の 課 題 と な っ て い る 。 か つ て は ど ち ら か と 言 う と エ リ ー ト 養 成 の 伝 統 教 育 を 行 な っ て き た マ レ ー シ ア は 、1970 年 代 以 降 、 教 育 を 常 に 国 家 開 発 政 策 の 重 要 な 柱 と し て 位 置 づ け 、 し か も ブ ミ プ ト ラ 政 策 の も と で 初 等 、 中 等 教 育 の 拡 充 、 強 化 に 努 め て き た 。 し か し こ れ ま で 見 て き た よ う に 、1990

図 1  マ レ ー シ ア の 学 校 系 統 図  出 所 : 文 部 省 大 臣 官 房 調 査 統 計 企 画 課 , 諸 外 国 の 学 校 教 育  ( ア ジ ア ・ オ セ ア ニ ア ・ ア フ リ カ 編 )      就 学 前 教 育 の カ リ キ ュ ラ ム は 、 教 育 省 を 初 め と し て 民 間 セ ク タ ー も 含 め た 就 学 前 教 育 実 施 の 主 な 関 係 者 が 共 同 で 策 定 し た も の で 、 教 育 省 は そ の カ リ キ ュ
表 6  後 期 中 等 教 育 カ リ キ ュ ラ ム ( 普 通 課 程 ) 必  修   教  科  追  加  教  科  マ レ ー シ ア 語 、 英 語  イスラム教育 ( イ ス ラ ム 教 徒 対 象 ) / 道徳教育 ( 非 イ ス ラ ム 教 徒 対 象 ) 数 学 、 理 科 、 歴 史 、 保 健 体 育  中 国 語  タミル語 ア ラ ビ ア 語              選   択   教   科  第 1 群(人文)  第 2 群(職業・技術) 第 3 群(理科) 第 4
表 10  私 立 大 学 の 概 要 私  立  大  学  名 ( 略 称 )  設 立 年  所 在 地  備   考  国 際 医 科 大 学(IMU)  ペ ト ロ ナ ス 工 業 大 学(UTP)  マ ル チ メ デ ィ ア 大 学(MMU)  テ ナ ガ ・ ナ シ ョ ナ ル 大 学(UNITEN)  トゥン・アブドル・ラザク大学 (UNITAR)  オ ー プ ン ・ ユ ニ バ ー シ テ ィ (UNITEM)  ス ラ ン ゴ ー ル 産 業 大 学 (UNISEL)  ア ジ ア
表 11   マ レ ー 語 国 民 学 校 の 週 当 た り 時 間 数  ( 言 語 科 目 、 イ ス ラ ム 教 育 お よ び 算 数 ) 単 位 : 分 、 ( ) 内 は 総 時 間 数 に 占 め る 割 合  学年  マレー語 英  語  イスラム教育  算  数  総時間数 1  450 (33.3)  240 (17.8)  180 (13.3)  210 (15.6)  1350  2  450 (33.3)  240 (17.8)  180 (13.3)  210 (15.6)

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