卸売市場基本方針策定にかかる調査
報告書
平成 25 年 7 月
目 次
1 業務の概要 --- 1
2 成田市場の有用性とその評価 --- 1
(1)取扱数量・取扱量 --- 1
① 長期的な変化 --- 1
② 近年の動向 --- 2
(2)取扱品目 --- 3
① 青 果 --- 3
② 水 産 --- 6
(3)施設・設備状況 --- 9
(4)成田市場の商圏 --- 9
(5)仕入れ状況 --- 10
① 取引額 --- 10
② 仕入れ・集荷形態 --- 10
③ 輸入商材の取扱い --- 10
④ 規格外品の取扱いと加工 --- 11
(6)近隣市場との比較 --- 12
① 成田市場周辺の市場 --- 12
② 近隣市場との比較 --- 13
(7)成田市場の市場流通と販売先 --- 15
① 出荷取扱い状況 --- 15
② 販売出荷先 --- 15
③ 輸出取扱い --- 16
(8)経済効果と雇用効果 --- 16
① 農業 --- 17
② 漁業 --- 19
(9)農業者への貢献 --- 21
(10)商業者への貢献 --- 22
3 成田市場の取扱量に応じた適正規模と将来像 --- 24
(1)SWOT 分析 --- 24
① SWOT 分析の考え方 --- 24
2
③ 仮説の設定 --- 25
④ 内部環境・外部環境の特性分析 --- 27
⑤ タイプごとの SWOT 分析 --- 35
(2)基本戦略検討 --- 40
(3)適正規模と将来像 --- 41
4 成田市場に必要とされる市場機能の検討 --- 46
(1)市場関係者のヒアリング結果 --- 46
①経営状況 --- 46
②今後必要とする機能・取組み --- 46
③既存施設にかかる具体的な施設課題 --- 47
④施設整備等にかかる費用負担 --- 48
⑤施設の老朽化に対する考え方 --- 48
(2)必要機能の分析 --- 49
① 必要機能 --- 49
② 機能的適合性 --- 51
5 施設整備にかかる問題の整理と整備の考え方 --- 53
(1)現有資産の概略・評価 --- 53
① 供用年数 --- 53
② 機能的適合性 --- 54
③ 維持管理コスト --- 54
④ 耐震性評価 --- 55
(2)第9次卸売市場整備方針への取組み --- 62
(3)今後の整備の考え方 --- 64
①施設規模の適正化の視点 --- 64
②ファシリティーマネージメントの視点 --- 64
③衛生管理強化の視点 --- 65
④環境配慮の視点 --- 65
⑤輸出関連企業の誘致の視点 --- 65
⑥借地の取扱いについて --- 65
(4)取扱高(目標数値)に応じた施設規模の検討 --- 66
① 青 果 --- 66
② 水 産 --- 67
③ 共用部 --- 68
(1)整備手法検討条件の整理 --- 70
① 検討ケースの考え方 --- 70
② 土地の購入・売却について --- 70
(2)工事費の試算 --- 70
① 工事概算費試算結果概要 --- 70
② 新地新設整備 --- 71
③ 現地新設整備 --- 73
④ 廃止 --- 75
7 運営上の課題 --- 76
(1)市場会計の分析 --- 76
① 市場会計の現状 --- 76
② 収支改善シミュレーション --- 77
(2)施設使用料等の適正化 --- 78
① 成田市場における施設使用料の規定--- 78
② 施設使用料の検証 --- 79
③ 施設使用料収入の市場会計に対する影響 --- 80
(3)市場関係者の課題 --- 81
① 仲卸業者の経営規模の検証 --- 81
② 施設使用料減免のルールについて --- 82
(4)戦略の実現による経営力強化のための取組み --- 83
(5)民営化管理運営手法の検討 --- 84
① 事例調査 --- 84
1 業務の概要
卸売市場を取り巻く環境は、消費者ニーズの多様化や市場外流通の拡大など、昭和 49 年の開設当時か ら大きく変化している。市場施設についても、コールドチェーンシステムや加工・調整機能などの機能 強化が求められている。
卸売市場は、生鮮食料品の流通を円滑に行うことで安定した消費生活を支援していくことが求められ ている。一方、成田市場は施設の老朽化や取扱量の減少などの課題を有しており、流通事情の変化等に 伴う今後の市場のあり方を見直す時期にきている。このような背景を踏まえ、市場の有用性を基に、適 正な規模や必要とされる機能を調査し、その施設整備にかかる問題を整理し対応することで、効率よく 経済的に地域住民の食の流通を担える様な市場とするための基本調査を実施することが、本業務の目的 である。
上記の目的を踏まえ、本報告書は成田市場の運営の現状と今後のあり方等について調査し、現況及び 課題の整理を行なうことで、市としての方向性を決定していくための基礎資料とするものである。
2 成田市場の有用性とその評価
(1)取扱数量・取扱量
① 長期的な変化
(青果)
取扱量・金額ともに昭和 50 年代前半に増加を見せ、昭和 50 年代後半には取扱数量 25,000 トン以 上、取扱金額 40 億円以上に及んだ。昭和 60 年以降、取扱量は減少を続け、平成 6 年頃には 30 億円 を下回り、平成 14 年 11 月に当時の卸売業者は経営破綻により撤退を余儀なくされた。平成 14 年以 降、取扱量・金額ともに回復をみせたが、その後取扱量は再び減少している。
(水産)
取扱量・金額ともに昭和 62 年まで増加を続け、取扱数量 36,000 トン、取扱金額約 250 億円に及 んだ。平成 14 年まで取扱量約 2 万トン、取扱金額 150~200 億円程度の水準を保っていたが、平成 15 年以降取扱量・金額ともに落ち込み、近年では取扱量 1 万トン程度、取扱金額 100 億円以下の状 況が続いている。
0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000
S49 S51 S53 S55 S57 S59 S61 S63 H2 H4 H6 H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20 H22 取
り 扱 い 金 額
(
千 円
) 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000
取 り 扱 い 数 量
(
ト ン
)
取扱量・取扱金額の経年変化 0 5,000,000 10,000,000 15,000,000 20,000,000 25,000,000 30,000,000
S50 S52 S54 S56 S58 S60 S62 H元 H3 H5 H7 H9 H11 H13 H15 H17 H19 H21 H23 取
り 扱 い 金 額
(
千 円
) 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000
取 り 扱 い 数 量
(
ト ン
)
※
折れ線 ― 取扱金額 棒グラフ ― 取扱量 出典:「年報 平成 23 年度」 (成田市公設地方卸売市場)
② 近年の動向
(青果)
平成 14 年に取扱量・取扱金額ともに大きく落ち込んだ後、平成 16 年には取扱量 10,000 トン、取 扱金額 25 億円の水準まで戻ったが、平成 19 年に取扱金額は半減し、それ以降減少傾向にある。平 成 24 年には卸売業者が替わり、取扱高の増加が期待される。
種類別にみると、平成 16~18 年は果物の取扱金額が野菜をしのいでいたが、平成 19 年に果物の 取扱金額は前年の 1/3 程度になり、それ以降野菜の取扱金額が果物を上回っている。
〔取扱量〕 〔取扱金額〕
青果取扱量の経年変化 (平成 13~23 年) 青果取扱金額の経年変化 (平成 13~23 年)
出典:「年報」(各年度) (成田市公設地方卸売市場)
(水産)
取扱量・取扱金額ともに 平成 13~21 年にかけて落ち込み、平成 20 年には平成 13 年の約半分に なっている。平成 22 年以降増加の兆しをみせ、取扱量 10,000 トン、取扱金額 80 億円の水準を維持 している。
種類別には、全体に占める鮮魚の割合が低くなる一方で、冷凍魚の取扱いが増えている。
〔取扱量〕 〔取扱金額〕
青果取扱量の経年変化 (平成 13~23 年) 青果取扱金額の経年変化 (平成 13~23 年)
出典:「年報」(各年度) (成田市公設地方卸売市場) 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000
H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 取
り 扱 い 数 量
(
ト ン
)
加工品 果実 野菜
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 取
り 扱 い 金 額
(
百 万 円
)
加工品 果実 野菜
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000
H13 H15 H17 H19 H21 H23 取
り 扱 い 数 量
(
ト ン
)
塩干 冷凍 鮮魚
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 18,000 20,000
H13 H15 H17 H19 H21 H23 取
り 扱 い 金 額
(
百 万 円
)
(2)取扱品目
① 青 果
■ 野 菜
図 取扱量の経年変化 (主要品目)
8.ばれいしょ 3% 9.ねぎ
3% 10.れんこん
2% その他
30%
7.トマト 5% 6.だいこん
6%
5.ほうれんそう 8%
4.きゅうり 8%
3.紅あずま 8% 2.キャベツ
12% 1.にんじん
15%
野菜(取り扱い金額割合)
本市場で取り扱っている野菜は、取扱量では、 にんじん、キャベツ、紅あずまが上位を占めて いる。
取扱金額では、にんじん、キャベツ、紅あず ま、きゅうり、ほうれんそうが上位を占めてい る。
経年的に、取扱高の減少がみられる。 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
H18 H19 H20 H21 H22 H23
にんじん キャベツ だいこん 紅あずま ばれいしょ きゅうり はくさい トマト ほうれんそう 青首だいこん (t) 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0
H18 H19 H20 H21 H22 H23
にんじん キャベツ だいこん 紅あずま ばれいしょ きゅうり はくさい トマト ほうれんそう 青首だいこん (百万円)
取扱量の経年変化(主要品目)
取扱金額の経年変化(主要品目)
平成 23 年
■ 果 物
8.早生うんしゅうみ かん
3% 9.ふじりんご
3% 10.レモン
3% その他
56%
1.バナナ 9%
2.いちご 9%
3.露地西瓜 4% 4.幸水梨
4% 5.ハウスすいか
3% 6.かんせん西瓜
3% 7.豊水梨
3%
果実(取り扱い金額割合)
本市場では、果物のなかでバナナの取扱いが 最も多いが、平成 22 年以降、取扱量・金額とも に半分以下に減少している。
取扱金額では、バナナ、いちごがそれぞれ 9% を占めておりシェアは大きい。
経年的に、バナナのほかにも取扱高の減少が みられる。
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450
H18 H19 H20 H21 H22 H23
バナナ
露地西瓜
早生うんしゅう みかん ハウスすいか
幸水梨
かんせん西瓜
豊水梨 グレープフ ルーツ レモン (t)
いちごは、H19, 20, 21 のデータがないため、 経年変化のグラフには示していない。
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0
H18 H19 H20 H21 H22 H23
バナナ
露地西瓜
早生うんしゅう みかん ハウスすいか
幸水梨
かんせん西瓜
豊水梨
グレープフ ルーツ レモン
(百万円) 取扱量の経年変化(主要品目)
取扱金額の経年変化(主要品目)
■ 加工品
果実ジュース 6%
落花生 8%
乾燥いも 9%
まめもやし 68%
加工品(取り扱い金額割合)
加工品は、まめもやしが取扱量・金額ともに 1位で、取扱金額の 7 割近いシェアを占めてい る。
まめもやしは年間取扱量 120 トン、年間取扱 金額 1,400 万円 程度の水準を保っている。 取扱量の経年変化(主要品目)
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600
H18 H19 H20 H21 H22 H23
まめもやし
乾燥いも
果実ジュース
麺類
こんにゃく
たくあん漬 (100kg)
加工品(取り扱い金額割合) 平成 23 年 0.0
2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0 18.0
H18 H19 H20 H21 H22 H23
まめもやし
乾燥いも
果実ジュース
麺類
こんにゃく
たくあん漬 (百万円)
取扱金額の経年変化(主要品目) 取扱量の経年変化(主要品目)
② 水 産
■ 鮮 魚
図 取扱量の経年変化 (主要品目)
鮮魚類は年によって変動があるものの、例 年、かつお、かんぱち、またいが取扱量・金額 ともに上位を占めている。
平成 23 年度の取扱金額は、かつおが全体の 8%、かんぱち、またいがそれぞれ 7%を占めて いるが、成田市場で特化して多く扱っている鮮 魚は特にない。その他、はまち、さんま、あさ り、はまぐり、まあじなどが扱われている。 取扱量の経年変化(主要品目)
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
H18 H19 H20 H21 H22 H23
かつお かんぱち またい はまち さんま あさり はまぐり まあじ かき しじみ (t)(t) 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 200.0
H18 H19 H20 H21 H22 H23
かつお かんぱち またい はまち さんま あさり はまぐり まあじ かき しじみ (百万円)
取扱量の経年変化(主要品目)
取扱金額の経年変化(主要品目)
まあじ 4% かき
3% しじみ
3% その他
50%
かつお 8%
かんぱち 7%
またい 7%
はまち 5%
さんま 5% あさり
4% はまぐり
4%
鮮魚(取り扱い金額割合)
■ 冷 凍 魚
冷凍魚では、冷凍めばちが取扱量・金額と
もに上位を占め、取扱金額割合のシェアは 2 割 近いが、経年的に減少がみられる。
冷凍めばちに続き、冷凍サケが 1 割近くを占 めている。
0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000
H18 H19 H20 H21 H22 H23
冷めばち
冷さけ
冷いか
冷さば
冷かに 冷たら
冷ぎんだら
冷あかうお
冷インドまぐろ
冷ます (t)
0.0 200.0 400.0 600.0 800.0 1000.0 1200.0 1400.0 1600.0
H18 H19 H20 H21 H22 H23
冷めばち
冷さけ 冷いか
冷さば
冷かに 冷たら
冷ぎんだら
冷あかうお
冷インドまぐろ 冷ます (百万円)
取扱量の経年変化(主要品目)
取扱金額の経年変化(主要品目)
その他 66%
冷インドまぐろ 0% 冷あじ
0% 冷きす
0%
冷あかうお 1% 冷たら
1% 冷かに
1% 冷さば
1% 冷いか
2% 冷さけ
9% 冷めばち
19%
冷凍(取り扱い金額割合)
■ 塩干加工品
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000
H18 H19 H20 H21 H22 H23
かまぼこ
塩さけ
揚物
焼うなぎ
いくら
(t)
塩干加工品は、かまぼこ、塩さけ、揚物が 取扱額の上位を占めている。
取扱量・取扱金額は、焼きうなぎが減少し ている。
かまぼこ 12%
塩さけ 10%
いくら 5% 揚物 5% 焼うなぎ
4% 煮たこ
3% なると その他
58% 0.0
50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 300.0 350.0
H18 H19 H20 H21 H22 H23
かまぼこ
塩さけ
揚物
焼うなぎ
いくら
(百万円)
取扱金額の経年変化(主要品目) 取扱量の経年変化(主要品目)
(3)施設・設備状況
本市場が有している施設は、以下のとおりである。
(4)成田市場の商圏
平成 24 年度に千葉県が実施した消費者購買動向調査によると、成田市は、商業中心都市として位置 づけられ、成田市周辺は「成田商圏」に位置づけられている。
成田商圏は以下の 10 市 7 町を含んでいる。
第一次商圏: 成田市、多古町、芝山町、酒々井町、富里市、栄町、神崎町
第二次商圏: 横芝光町、香取市、八街市、匝瑳市、山武市、佐倉市、東庄町、印西市、旭市 第三次商圏: 銚子市
商圏人口は、937,210 人(平成 18 年度前回調査時より 5.0%増。成田市人口の約 7.2 倍。県人口の
15.1%)、商圏からの吸引人口は 295,902 人 (平成 18 年度前回調査時より 8.6%増。成田市人口の
約 2.3 倍。)である。
成田商圏(食料品) 成田商圏(飲食店) 出典:「千葉県の商圏 平成 24 年度消費者購買動向調査報告書」(千葉県商工労働部, 平成 25 年 3 月) 市場面積 29,424 ㎡
青果部卸売場 3,705 ㎡ 水産物部卸売場 2,233 ㎡ 青果部仲卸売場 645 ㎡ 水産物部仲卸売場 3,082 ㎡ 倉庫 253 ㎡ 便所 36 ㎡ 業者事務所 1,987 ㎡
管理棟(2階建) 333 ㎡ ゴミ集積所 1,556 ㎡ 汚水処理施設 45t/日 駐車場 7,300 ㎡ バナナ発酵室 398 ㎡ 発泡スチロール処理施設 200kg/h 排水処理施設処理能力 700t/日
(5)仕入れ状況
① 取引額
(青果・卸売)
青果物の取引状況は商社等からの仕入れが取引額の約半数を占めており、続いて、農家からの仕 入れが取引額の 40%を占めている。農家からの仕入れの内訳は、市外の農家が 25%、市内の農家が 15%である。
取引の傾向として、市内の生産出荷組合等からの仕入れは減少し、現在では取り扱いはなくなっ ているが、農家との取引、貿易会社・商社等との取引は増加の傾向を見せている。なお、他の卸売 市場からの転送は見られない。
(水産・卸売)
水産物の取引状況は、生産組合からの仕入れが取引額の 65%を占めている。続いて、他市場から の転送が 20%を占めている。
取引の傾向として、貿易会社・商社等及びその他が 15%で、減少の傾向にある。
② 仕入れ・集荷形態
(青果・仲卸)
成田市場を介した取引の割合は、例えばA社は 65%であるのに対しB社は 35%と業者によって異
なっている。仲卸業者が仕入れ先選定の際に重視する点として、以下の点が多く挙げられている (2
社が指摘)。
・安価な価格で売買できる ・注文品が確実に入手できる ・品揃えが豊富である
・特売や企画販売時に強みのある付加価値品(銘柄品など)を多く取り扱っている
(水産・仲卸)
成田市場を介した取引の割合は高く、30 社中 12 社で成田市場経由の取引が 100%を占めている。 また、6 社が 90~99%、2 社が 80~89%、3 社が 70~79%である。
仲卸業者が仕入れ先を選定する際に重視する点として、以下の点が挙げられている (6 社以上
[30 社のうち 1/5] の指摘があったもの)。
・品揃えが豊富である。 ・安価な価格で売買できる ・急な注文にも対応してくれる ・注文品が確実に入手できる
③ 輸入商材の取扱い
(青果・卸売)
(青果・仲卸)
仲卸業者 4 社のうち 2 社が輸入商材を取り扱っている。うち 1 社は、取扱額の 20%を輸入商材が 占め、アスパラ、オクラ、カボチャ、バナナ、パプリカ等を扱っている。これらは貿易会社等から の仕入れが 7 割を占め、成田市場の卸売業者からは 3 割程度である。輸入商材の取扱い上の課題と しては、卸売業者と同様に産品の品質が安定していない点が挙げられている。
(水産・卸売)
輸入商材は取扱額全体の約 1/4 に及び、サーモン、エビ、マグロ等が扱われている。これらは、 貿易会社等からの仕入れが 7 割を占め、他市場からの仕入れが 2 割、その他の仕入れ先が 1 割であ る。輸入商材の取扱い上の課題として、運賃コスト等を踏まえると割高になる点、為替変動が大き いために商品の値段が安定しない点が挙げられている。
(水産・仲卸)
仲卸業者によって輸入商材の取扱い状況は異なり、取扱額の 6~7 割を冷凍品の輸入品が占める業
者から、輸入商材の取扱いは 5%程度の業者まで様々である。
30 社のうち輸入品(冷凍マグロ、サバ、エビ、サーモン等)を扱っているのは 8 社で、そのうち 5 社は輸入商材の 100%近くを成田市場の卸売業者から仕入れている。また、他の 2 社は、成田市場 以外の貿易会社との取引も行っている。輸入商材の取扱い上の課題として、輸入の為替の影響があ
る、運賃コスト等を踏まえると割高になる、産品の品質が安定しないと等の課題が挙げられている。
④ 規格外品の取扱いと加工
1) 規格外品の取扱い
(青果)
卸売業者は、規格外品の取扱いを行っている。仲卸業者も 4 社中 3 社が取り扱っており、1 社 は今後も取り扱う予定はない。規格外品を取扱っている仲卸業者 3 社のうち、2 社はそのまま販 売しており、1 社はそのまま加工業者に販売している。
(水産)
卸売業者は、規格外品の取扱いを行っている。仲卸業者は、30 社中 4 社が取り扱っており、15 社は今後も取り扱う予定もない。また、取り扱っている 4 社のうち 3 社はそのまま販売し、1 社 は加工して販売している。
2) 加工
(青果)
加工を行っている仲卸業者はいない。ただし、上記の規格外品を加工業者へ販売している仲卸 業者を含め、3 社が今後加工を行いたい意向を示している。
(水産)
加工を行っている仲卸業者は 30 社中 12 社、行っていない業者は 13 社。(5 社は回答なし。)加
(6)近隣市場との比較
① 成田市場周辺の市場
千葉県内には 2 つの中央卸売市場(千葉、船橋)と、6 つの公設地方卸売市場がある (市川、松 戸 [北、南]、柏、木更津、成田)がある。このうち、中央卸売市場は 2 ヶ所とも平成 26 年 4 月に地 方卸売市場への転換を予定している。
特に県内でも人口が多い北部・北西部には、中央卸売市場及び公設地方卸売市場が多く立地して いる。
卸売市場(消費地市場)の配置
② 近隣市場との比較
●青果物
成田市場の青果物の取扱量・取扱金額ともに、 県内の他の公設市場のなかで最も低い。
取扱規模としては、野菜、果物、青果物合計の いずれも、柏市場、木更津市場の半分程度である。
【果物 取扱量】
【青果物 取扱量 合計】 【野菜 取扱量】
【果物 取扱量】
【青果物 取扱量 合計】
【青果物 取扱金額 合計】
●水産物
(白黒化)
【冷凍魚 取扱量】 【鮮魚 取扱量】
【水産物 取扱金額 合計】 【水産物 取扱量 合計】
鮮魚の取扱量は、各月 100 トン程度で、千葉・ 船橋市場及び柏市場の 1/5 程度、木更津市場とほ ぼ同じ水準にある。
冷凍魚の取扱量は、千葉・船橋市場及び柏市場 とほぼ同水準で、県内で最も取扱量が多い月もあ る。
加工品の取扱量は、千葉市場、柏市場の半分程 度、船橋市場の 2/3 程度の水準である。
取扱量の合計は、月にもよるが概ね 6~11 月は 船橋市場の半分程度、1~3 月は船橋市場の 2/3、 千葉市場の半分程度の水準である。
取扱金額は、12 月を除き各月 5 億円程度である。 他市場と比較すると、概ね船橋市場の半分程度で ある。
【加工品 取扱量】
(トン)
(7)成田市場の市場流通と販売先
① 出荷取扱い状況
(青果)
卸売業者の出荷取引額の割合を見ると、他市場の卸売業者との取引が 6 割を占めている。一方、 市場内の仲卸業者に卸されるのは 2 割、市場内の買参人に販売されるのが 1 割にすぎない。
(水産)
卸売業者の出荷取引額の割合を見ると、市場内の仲卸業者が 約 8 割(77.5%)を占めている。続
いて、市場内の買参人 1 割強(13.9%)、他市場の卸売業者 4.6%、その他 4.0%である。
② 販売出荷先
(青果)
仲卸業者の出荷販売先は、4 社それぞれ特徴がみられる。
1 社は、出荷先の 100%が スーパー。 2 社は、スーパー、専門小売店、飲食店、業務加工業者・ 給食業者等へ出荷しているが、出荷先へのシェアは異なる。また、うち 1 社はコンビニや市場関係 への出荷も行っている。
また別の 1 社は、スーパー、飲食店への出荷は行っておらず、業務用加工業者・給食業者に 6 割 近く出荷している。
(水産)
仲卸業者の出荷販売先は各社で特徴が見られるが、およそ 1/3(11 社)の仲卸業者が、飲食店に 特化した出荷を行っている。さらに、以下のグラフに示すように、飲食店と専門小売店を対象に出 荷を行う業者 (4 社)、専門小売店への出荷に特化した業者 (3 社) と続く。
問9-1 加工取組み状況 (取引額全体に占める割合)
11
3
2
1
4
2
2
1
4
0 15
飲食店に特化
専門小売店に特化
業務用・給食用に特化
スーパーに特化
飲食店+専門小売店
スーパー+飲食店+小売
飲食+小売+その他
飲食店+市場関係(仲買等)
無回答
(単位:%) 0% 20% 40% 60% 80% 100% B社
D社 A社
C社 スーパー専門小売店
飲食店
業務用加工業者・給食業者 その他(コンビニ、市場関係)
③ 輸出取扱い
(青果)
卸売業者は、現在は輸出の取扱を行っていないが、今後取組みたい意向を持っている。
仲卸業者は、4 社のうち 1 社が商社を通じて輸出を行っている。主な取扱品目等は、大葉、メロ ン、わさび、大和菜、万能ネギ等で、主な輸出先は アメリカ合衆国、サイパンなど。輸出額は同社 の取扱額の 8%程度である。但し、計画的に海外を輸出先に設定した戦略的な取組みを行っている わけではなく、商談が入ると対応している状況である。
また、輸出を行っていない 1 社は、輸出の継続・拡大に向けた協力者がいないことを課題として 挙げている。
(水産)
卸売業者は、現在輸出の取扱いを行っておらず、今後輸出の意向もない。
仲卸業者のうち 1 社は、生鮮・魚介類を商社経由で輸出している。但し、取扱上の課題として、 輸出手続き等の負担が大きい点を挙げている。
(8)経済効果と雇用効果
千葉県産業連関表を用いて、流通規模の変化による経済波及効果や雇用創出効果を概算する。
現代の物流においては、卸売市場の存在は必須とは言えない面があるが、市場が存在することで流 通の効率化に寄与し、地域の経済に貢献していると考えられる。
ここでは、現在の取扱量から、市場を介して取引を行っている生産者サイドの経済波及効果として、
① 農業
農業分野では、これまでの経緯から成田市場との取引が縮小しており、現在の取り扱い規模から 見ると地域への経済的な貢献は限定的となっている。特に農業は他の産業に比べ雇用誘発の効果が 低く、青果部門においては大規模な投資に見合う県内経済への十分な波及効果は見込めない状況で あることが確認される。
※参考:産業連関表の基本設定では農産物の県内調達率は約 16%とされているが、成田市場における県内調達割 合を 50%まで高めると雇用誘発の効果も 3 倍程度まで向上する。
流通において卸売市場を必要とする地域の小規模農家との関係改善により県内農産物の取扱高が どの程度改善し、地域経済への貢献度がどの程度向上できるかが、今後の整備における判断材料と なる。
【直接効果】
×就業係数
36 人
3 人 ×雇用係数
×雇用者所得率 59.35百万円 雇用者所得額(直接) 7.17 百万円 ×自給率
【1次波及効果】
×就業係数 ×粗付加価値率
2 人 11.12 百万円
雇用者所得額(1次) 6.47 百万円
2 人 ×雇用係数 ×雇用者所得率
【2次波及効果】
×消費転換率
×民間消費支出の構成比 ×自給率
×就業係数 ×粗付加価値率
0 人 4.29 百万円
雇用者所得額(2次) 1.55 百万円
0 人 ×雇用係数 ×雇用者所得率
就業誘発者数(2次)
雇用誘発者数(2次)
×自給率
×逆行列係数 ×逆行列係数 生産誘発額(1次) 26.29 百万円
生産誘発額(2次) 6.38
就業誘発者数(直接)
雇用誘発者数(直接)
雇用誘発者数(1次)
粗付加価値額(2次)
就業誘発者数(1次)
県内自給額
県内需要増加額(直接効果)
18.43 百万円
雇用者所得額計
百万円
中間投入額 百万円 粗付加価値額(直接)
581.00
36.55
需要増加額(マージン処理・108部門への格付け)
95.93 百万円
13.64 百万円
粗付加価値額(1次)
百万円
消費誘発額 8.26 百万円
県内消費誘発額 5.26 百万円
【経済波及効果測定結果】~平成17年千葉県産業連関表(108部門表)による~ 1 最終需要増加額(初期投資額) (単位:百万円)
需要増加額 581 県内需要額 96
2 分析結果 (単位:百万円)
合計 直接効果 第1次間接効果 第2次間接効果
129 96 26 6 75 59 11 4 雇用者所得誘発額 15 7 6 2
(注)1 四捨五入の関係で、「合計」が、直接効果、第1次間接効果、第2次間接効果の総額と一致しない場合があります。 2 産業連関分析には、波及の中断がないなどの前提条件がありますので御留意ください。
3 波及効果倍率 (単位:倍)
0.22
1.34
4 雇用誘発者数 人 生産誘発額
粗付加価値誘発額
(注) この雇用誘発者数は、上記生産誘発額を満たすために理論上必要となる労働力であり、新たに雇用者を雇わずに時間外労働で対応する場合や機 械の稼働率を上げて対応するなどということは考慮されていないので注意してください。
5
② 漁業
漁業は農業と同様に他の産業に比べ雇用誘発の効果は低いが、現状でも水産部門での取扱量は大
きく、地域経済に対する貢献度は大きくなっている。(雇用環境への寄与としては青果部門の 19 倍
の規模)
【直接効果】
×就業係数
277 人
73 人 ×雇用係数
×雇用者所得率
817.24百万円雇用者所得額(直接) 249.99 百万円
×自給率
【1次波及効果】
×就業係数 ×粗付加価値率
16 人 108.72 百万円
雇用者所得額(1次) 57.82 百万円
13 人 ×雇用係数 ×雇用者所得率
【2次波及効果】
×消費転換率
×民間消費支出の構成比 ×自給率
×就業係数 ×粗付加価値率
10 人 96.82 百万円
雇用者所得額(2次) 34.93 百万円
9 人 ×雇用係数 ×雇用者所得率
就業誘発者数(2次)
雇用誘発者数(2次)
×自給率
×逆行列係数 ×逆行列係数
生産誘発額(1次) 267.12 百万円
生産誘発額(2次) 143.98
就業誘発者数(直接)
雇用誘発者数(直接)
雇用誘発者数(1次)
粗付加価値額(2次)
就業誘発者数(1次)
県内自給額
県内需要増加額(直接効果)
197.68 百万円
雇用者所得額計
百万円
中間投入額 百万円 粗付加価値額(直接)
8,616.00
527.78
需要増加額(マージン処理・108部門への格付け)
1,380.19 百万円
307.81 百万円
粗付加価値額(1次)
百万円 消費誘発額 186.32 百万円
県内消費誘発額 118.58 百万円
【経済波及効果測定結果】~平成17年千葉県産業連関表(108部門表)による~ 1 最終需要増加額(初期投資額) (単位:百万円)
需要増加額 8,616 県内需要額 1,380
2 分析結果 (単位:百万円)
合計 直接効果 第1次間接効果 第2次間接効果
1,791 1,380 267 144 1,023 817 109 97 雇用者所得誘発額 343 250 58 35
(注)1 四捨五入の関係で、「合計」が、直接効果、第1次間接効果、第2次間接効果の総額と一致しない場合があります。 2 産業連関分析には、波及の中断がないなどの前提条件がありますので御留意ください。
3 波及効果倍率 (単位:倍)
0.21
1.30
4 雇用誘発者数 人 生産誘発額
粗付加価値誘発額
(注) この雇用誘発者数は、上記生産誘発額を満たすために理論上必要となる労働力であり、新たに雇用者を雇わずに時間外労働で対応する場合や機 械の稼働率を上げて対応するなどということは考慮されていないので注意してください。
95
(9)農業者への貢献
【市場外流通と生産者の出荷形態】
卸売市場は、生産者に対して販路を確実に提供する役割を担っており、基本的に誰でも出荷品を持 ち込むことができ、そこで公正に価格が形成される場所となっている。しかしながら、近年では卸売 市場を経ない市場外流通も増えている。
成田市場に出荷を行っている生産者でも、意向調査で回答を得た生産者のうち 6 社を例に見ると、 下記のとおり、出荷先は様々である。
生産者A~Dは 主な出荷先が成田市場(8 割以上)である。生産者E は、出荷団体を経由(4 割)、
個人経由(3 割)、直売所(2 割)といくつもの出荷先を持ち、成田市場への出荷は全体の 1 割程度で
ある。また、生産者F はもっぱら産地直送による出荷が主で、成田市場への出荷は生産量全体の 1 割にも満たない。このように生産者の出荷形態は多様である。
成田市場に出荷している生産者の出荷形態(出荷先の割合)[%]
アンケート結果より
【市場と生産者の信頼関係構築が急務】
成田市場では、過去に卸売業者による生産者に対する決済業務の不履行が生じたことにより、多く の生産者が成田市場への出荷を止めた経緯がある。これらの生産者は、出荷先を成田市場から隣接す る卸売市場や農協・生産出荷組合に変えている。その卸売業者が交代してから 10 年以上が経ち、平成 24 年 8 月より入場した卸売業者は、直接産地を訪れて生産者とやりとりを行うなど出荷要請等に取組 んでいる。今後は、本来卸売市場が持つ決済機能の一層の徹底を図り、新しい成田市場として生産者 の信頼を得、生産者からの出荷量を増やしていくことが急務となっている。
【多様な出荷形態と卸売市場】
生産者の現状を見ると、上記のとおりの出荷形態は多様で、農協・生産出荷組合、民間企業等との 契約栽培などいろいろな流通経路で出荷要請がある。また、直売所や自家販売の動きも盛んになって いる。農協・生産出荷組合への出荷や契約農家の場合、出荷の基準や出荷時刻等が細かく定められて いる一方、卸売市場への出荷はいつでも可能であり、特定の基準外の産品や小規模生産者に対して門 戸が開かれている。
【近接性は生産者にとっての大きなメリット】
生産者の声として、例えば、成田市に隣接する芝山町など山武郡市農協にかかる生産者は、集荷先 まで距離があるため、運送費をかけるよりも近くに出荷した方がよいという成田市場の立地の利便性 を指摘する意見もある。実際、地域のすべての生産者が、生産出荷組合や契約栽培等の基準に対応で
成田市場
成田市場以 外の卸売市
場
出荷団体
個人出荷 (小売・量販
店へ)
産地直送 直売所 自家販売 計 生産者A 90 10 100
生産者B 80 20 100
成田市場+個人出荷 生産者C 90 10 100
成田市場+自家販売 生産者D 80 20 100
出荷団体・個人出荷+
直売所+成田市場 生産者E 10 40 30 20 100 産地直送+成田市場 生産者F 5 95 100
生産者
出荷先
出荷形態
きるわけではなく、近距離に位置し誰でも出荷が可能で、ある程度の相場で委託販売をしてくれる安 定した出荷先として、成田市場は地域の小規模農家を支える役割を果たしているといえる。
【ニーズに即した生産への機運】
このような現状のもと、少量の出荷に対してある程度の価格をつけてもらえれば市場が要望する野 菜をつくりたいという声も生産者から上がっており、市場(卸売業者)から生産者に卸売市場に出荷 しやすいかたちを提案することも必要だという意見もある。例えば、市場と生産者との協力によるブ ランドづくりや、生産者にとって出荷したい市場としての魅力が高められていくことも、今後のあり 方のひとつといえる。
【市場の付加価値向上に向けた生産者との協同・連携】
卸売業者は、生産現場の声に耳を傾け、生産者とともに成田市場としての付加価値の高い産品を作 り上げていくことも必要であると考えられる。特に、成田地域は少量多品種栽培の地域で、生産者が それぞれ専門とする品目は異なるため、市場での売れ筋や市場に足りない品目を卸売業者が見つけ、 生産者とのマッチング、生産の要請等をしていくような取組みを行っていくことも考えられる。
(10)商業者への貢献
【地域の商業者にとっての成田市場】
消費者にとっての卸売市場は、地域の需要に応じた生鮮食料品を安定して供給し、豊かな食生活を 支える役割を担っている。成田地域で生鮮食料品を消費者へ届ける商業者 (小売店・飲食店・ホテル・ 業務用加工食品会社等) の意向を把握した結果、回答を得た半分以上(57%)は卸売市場の卸・仲卸 業者から仕入れを行っている。しかし、仕入れの 7 割以上を成田市場に依存している業者は、全体の 2 割 に満たない。
すなわち、地域の商業者の卸売市場に対する期待・依存度の高さが伺われる一方で、成田市場の求 心力は決して高くなく、仕入先が成田市場と他市場との概ね半分ずつという飲食店も見られ、隣接す る卸売市場との間で競争が生じている状況にある。
【商業者が成田市場に期待していることとは】
商業者が仕入先を選定する際に重視する点として、以下の点が挙げられている。そのうち、「注文品
が確実に入手できる」「品揃えが豊富である」は、成田市場で不足している点としても指摘されている。
・注文品が確実に入手できる (*)
・品揃えが豊富である(*) (*)成田市場で不足している点 ・安価な価格で売買できる
・少量販売に対応してくれる
サービス・品揃えについて、独自の仕入れルートを持っている市内の量販店が卸売市場と比べて価 格・品揃えの面でさほど変わらないという声もあり、今後、卸売市場として、地域の商業者・消費者 のニーズ・動向を把握しながら、量販店等との差別化を図っていく必要があると考えられる。そのた
めにも、卸売業者の集荷力の向上、買参人のニーズに対応した販売方法の工夫(加工等)、直接消費者
【商業者から寄せられた声】
◎ サービス・品揃え
・価格では、問屋には追いつかないので、問屋ができないようなサービス・品揃えの充実を。(業務用加工
食品)
・品数が少ない。野菜など新鮮ではない時が多く、スーパーの方が新鮮な物が多い。値段も安い。正品、 規格外品両方そろえてもいいと思う。(飲食店・鰻)
・鮮魚を踏まえ全体的に品物が揃ってはいないと思う。もう少し目新しい商品を望みたい。(飲食店・鮨)
・野菜の取扱い品目が少ない。築地と比べると、商品の品揃い、品質、接客グレードが低い。(飲食店・鰻)
・変わった食材や珍しい食材などが少ない。面白味がない。いつも品物が同じ様な物ばかり。一般客向け の品物が多い。(飲食店)
・商品の規格は市場の方が揃っているが、価格は差がなく、細かく購入出来るので大型スーパーも便利で ある。時間的制約もない。市場においては特に生鮮品に重点をおいて、小売店(飲食店含む)に利用さ れるような仕様になってほしい。 (飲食店)
◎ 新鮮・安全
・新鮮な食材を安く安全に提供していただきたい。 (ホテル)
◎ 施設関係
3 成田市場の取扱量に応じた適正規模と将来像
今後の成田市場の可能性を探るため、SWOT分析により成田市場の外部環境、内部環境を分析し、 成田市場において展開することが有効と考えられる戦略を検討する。
これにより、今後の整備に当たっての適正規模と将来の市場のあり方を検討する
(1)SWOT 分析
SWOT 分析による検討の流れは、以下のとおりである。
① SWOT 分析の考え方
「強み」Strength
・市場の経営に積極的に活用していくことができる要素 (既に獲得している資源や技術)
「弱み」Weakness
・市場の経営に向けて修正・改善していく必要がある要素 (不足している、不十分な点)
「機会」Opportunity
・今後の経営にプラスの影響を与えると考えられる外部環境の変化 (経営を支援していく働きをする、市場をとりまく環境・資源) 「脅威」Threat
・今後の経営にマイナスの影響を与えることが考えられる外部環境の変化 (経営・活動を阻害していく恐れがある、市場をとりまく環境・資源)
② SWOT 分析を活用した戦略分析の視点
「強み」「弱み」「機会」「脅威」の組み合わせにより、4 つの視点から戦略を検討する。
【積極的攻勢戦略】 (強み×機会)
・今後の経営にプラスの影響を与える機会をとらえ、市場の経営に積極的に活用できる 要素を活かして、機会を逃さず積極的に攻勢をかけていく戦略。
【段階的戦略】 (弱み×機会)
・今後の経営にプラスの影響を与える機会があるが、市場の内部に強みが無い場合に、 投資の妥当性を判断しながら段階的に対応していく戦略。
【差別化戦略】 (強み×脅威)
・今後の経営にマイナスの影響を与えることが考えられる変化に対し、市場の経営に積 極的に活用できる要素を活かすことで、従来のサービスとの差別化を図りながら対応 していく戦略。
【防衛又は撤退戦略】 (弱み×脅威)
③ 仮説の設定
成田市場の取扱量に応じた適正規模と将来像の検討にあたり、本市場の現況及び市場をとりまく 環境やニーズ等から、市場がどのような強み・弱みを持ち、機会・脅威に直面しているかを分析す る。
分析にあたり、成田市場が地域の生産者及び消費者・商業者に必要とされ、今後、取扱量が増え、 成田地域の卸売市場として必要とされ続け、さらに存在価値が高まっていく将来像を目指し、戦略 の <仮説> を設定する。
戦略仮説として以下の 5 つのタイプの考え方を主要な柱とし、それぞれについて SWOT 分析で検 討を行った。
〖戦略の仮説〗
1.【地産地消タイプ】
⇒ 地域の生産者、消費者への直接的な貢献を目指す。
○ 流通の流れ: 成田地域 [生産地]
→
成田地域 [消費地]2.【常設販売により新たなマーケット開拓を図るタイプ】
⇒ 消費者、生産者への貢献とともに、市場の自立的経営を目指す戦略。 来場者への PR を通じて、生産者の販路拡大を支援。
テストマーケティングの場として活用。
○ 流通の流れ: 成田市場の常設販売による販路拡大
3.【地域から海外への輸出を図るタイプ】
⇒ 地域生産者への貢献。TPP 等貿易のグローバル化を見据えた新たなマーケット開拓。
○ 流通の流れ: 成田地域 [生産地]
→
国内消費地 海外消費地4.【国内農水産の輸出拠点化を図るタイプ】
⇒ 成田空港を活用した国内 1 次生産者への貢献。農業政策上の意義とともに、市場の独 立採算を目指す。
○ 流通の流れ: 国内生産地
→
国内消費地 海外消費地5.【海外から成田地域へ輸入を促進するタイプ】
⇒ 地域消費者への貢献。TPP 参加後輸入農産物が増えた場合、生産者にとってはマイナ スの戦略だが、外部変化を受け止め消費者にとっての貢献を追求する戦略。
○ 流通の流れ: 国内生産地 海外生産地
→
成田地域 [消費地]国内生産地
成田地域 生産地 成田地域 消費地
国内生産地 海外生産地
国内消費地 海外消費地
戦略の仮説と流通の流れのモデル
1.地産地消タイプ
2.常設販売により新たなマーケット開拓
を図るタイプ
3.地域から海外への輸出を図るタイプ
4.国内農水産の輸出拠点化を図るタイプ
5.海外から成田地域へ輸入を促進するタ イプ
2
3
4
5
※ 各戦略仮説の流通の流れを示しています。 詳細は下記のとおりです。
5 つの仮説から、以下の 5 つの戦略仮説を設定する。
このうち、戦略 1, 2, 3 を実現性・優位性の高い戦略とする。
戦略 4, 5 については、今後の経済圏の拡大等を視野に入れると有望な戦略と考えられるが、青果卸業者が入場1年目という状況に代表されるように、現在の市場の状況からは時期尚早と考えられるため、実行性が高いと考えられる戦略 1, 2, 3 を進
めていくなかで、成田市場の物流量の確保等を図った後、市場をとりまく状況を勘案しながら将来的に展開をしていくこととする。
戦略仮説 3
新鮮な地元産品を、立地を活かして海外 へ
戦略仮説 4
立地を活かした、国内の農水産品の輸出 拠点化
戦略仮説 5
立地を活かした海外産品の輸入と成田発 ブランドの発信
青果 水産 青果 水産 青果 青果・水産 青果・水産
成田空港に近接した立地と卸売市場の目 利き・集荷力を活かし、海外での需要が見 込まれる成田地域の特産品や加工品の 輸出を図る。
成田空港に近接した立地と卸売市場の目 利き・集荷力を活かし、国内の農水産品の 輸出拠点として機能強化を図り、取扱量 の増加を図る。
成田空港の「海外」「非日常」、成田山の 「特別」のイメージを活かすことで、付加価 値的商材の発信基地化を図る。
新たな商材が常に求められるため、輸入 による多品種確保により他市場との差別 化を図る。1次的には地域消費者に豊か な食文化を提供する市場、2次的には「成 田発ブランド化」により全国の飲食業界に 頼られ、独立採算を実現する市場を目指 す。
・市場の集荷力・販売力を高める。 ・地元生産者から産物を集荷し、地 域の消費者に提供する物流をより 円滑にするため、集荷・配送システ ムの強化を図る。
・地域の公共性の高い食品需要、業 務用加工品需要に対応した設備の 充実を図る。
・市場の集荷力・販売力を高める。 ・全国から産物を集荷し、地域の消 費者に提供する物流をより円滑にす るため、集荷・配送システムの強化 を図る。
・地域の公共性の高い食品需要、業 務用加工品需要に対応した設備の 充実を図る。
・成田地域の特産品のブランド力の向上を 図る。
・海外市場進出に向けた体制づくりと市場 調査。
・成田空港を活用した地元産品の輸出。
生産者
⇒ まとまった量の青果物を供給 ルートに乗せ、地元地域の消費者に 提供することができる。
―
⇒ 地元産品のブランド力向上、販路拡 大。
小売業者 ― ― ―
消費者
(在住者・観光客)
⇒ 信頼できる地元産の食材を入手 することができる。
⇒ 信頼できる地元産 (千葉県産)
の食材を入手することができる。 ―
⇒ 市場ならではの生鮮食料品を手に入れることができる。 ⇒ 要望に応じた量の食材の購入が一ヶ所で可能になる。
⇒ 市場ならではの生鮮食料品を手に入れることができる。 ⇒ 要望に応じた量の食材の購入が一ヶ所で可能になる。 戦略仮説 1
信頼できる地元の食材を、地域に暮らす人々に提供
戦略仮説 2
新鮮な食材の提供を目的とした常設販売・業務用市の開催
受 益 者 部門
買い物弱者や病院・学校の給食など地域で求められている公共性の高い 食のニーズに対し、信頼できる食材を提供する。
常設販売を開設することで、より多くの小売業者・飲食業者、一般消費者 の集客を図り、市場の目利きを活かした新鮮な食材を提供する。
戦略のねらい
戦略の内容 ・地域の小売業者・飲食業者を対象とした業務用市を開催する。 ・沿道の立地、駅からの近接性を活かし、一般消費者向けの販売所を開 設する。
⇒ 小売業者・飲食業者等に向けて、競争力強化につながる産品を提供 できる。
⇒ 一般消費者・飲食業者等に向けて、地場産品等をプロモーションでき る。
⇒ 一般消費者・飲食業者等に向けて、地盤産品等のテストマーケティン グを行うことで、消費者ニーズを捉えることができる。
海外市場のニーズを捉えられた 場合に、可能性はあるが、卸売業 者の集荷力等を総合的に見て、 現段階で取り組むには時期尚早 と考えられる。
優位性が高い他の戦略を推し進 めることにより、成田市場の物流 量を確保した後、海外市場や国際 的な物流の状況を踏まえながら、 展開を図っていくこととする。
輸入食材と地域でのニーズがうま くあった場合に可能性はあるが、 卸売業者の輸入品取扱いの意向 等を踏まえると、現段階で取り組 むには時期尚早と考えられる。
出典:「第 5 期成田市介護保険事業計画」 (平成 24 年 3 月)
成田市福祉部高齢者福祉課 による
出典:「成田市統計書」 (平成 24 年)
平成20 平成21 平成22 平成23
延配食数 51,832 53,257 60,625 68,626
実人数 343 371 429 491
各年増加数 (食数) 1,425 7,368 8,001
各年増加数 (人数) 28 58 62
平成20 平成21 平成22 平成23
中学校生徒数 3,518 3,555 3,563 3,606
小学校生徒数 7,014 7,043 7,140 7,329
計 10,532 10,598 10,703 10,935
各年増加人数 66 105 232
④ 内部環境・外部環境の特性分析
1) 外部環境の把握
当市場の外部に、どのような機会(当市場に対するニーズや要請)があり、どのような脅威(当 市場の利益を圧縮する要因)があるのかを把握した。
【人口の増加と高齢化】
・成田市の人口は増加傾向。
・高齢化率も上昇。高齢化人口も増加の見込み。
・平成 21 年 ⇒ 平成 29 年 高齢者人口 22,310 人 ⇒ 26,522 人 (約 4,300 人の増加) 65~74 歳人口 1.24 倍、 75 歳人口 1.13 倍。
成田市の人口は増加しており、人口推 計によると、平成 29 年には平成 21 年の 人口(129,302 人)より約 5,000 人多い 134,726 人の市民を抱えることが見込ま れている。
一方、高齢者人口も増えることが見込 まれており、平成 21 年から平成 29 年に かけて 65~74 歳の人口は 1.24 倍に、75 歳以上の人口は 1.13 倍に増加すること
が予測されている。(平成 29 年の 65 歳
以上の人口 26,522 人 高齢化率 20%)
【公のニーズ】
・高齢者世帯を対象とした配食サービス: 5 万食以上(平成 19 年)
平成 17 年以降 延配食数は増加傾向。 ・高齢者人口の増加とともに、今後の需要増が見込まれる。
・小中学校の給食も、継続的な需要増が見込まれる。
(高齢者向け 配食サービス)
市では、概ね 65 歳以上の高齢者世帯
を対象に配食サービスを実施している
が、平成 17 年以降延配食数は増加傾向
にあり、平成 19 年には延配食数は 5 万食を上回っている。今後、高齢者人 口の増加が想定されるなかで、配食サ ービスに対する需要も高まっていくこ とが見込まれる。
(学校給食)
10,000 15,000 20,000 25,000 30,000
平
成
元
年
平
成
5
年
平
成
1 0
年
平
成
1 5
年
平
成
1 8
年
平
成
1 9
年
平
成
2 0
年
平
成
2 1
年
青果 水産 億円
地方卸売市場の取扱金額の推移(全国) 出典:卸売市場をめぐる情勢について
(平成 24 年 9 月、農林水産省食料産業局) 8000
9000 10000 11000 12000
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (千トン)
(平成年)
魚介類国内消費仕向量の推移
出典:平成22年版 食料・農業・農村白書参考統計表
【消費者の動向】
・買い物の多頻度小口化・地域分散化。⇒ 買い物弱者問題 (全国的に) ・市民の地元産品の購入意向 7 割。
地元農産物購入可能場所の情報の提供、学校給食での地場物利用 を期待。 ・全国的に、高齢化、人口減少や魚食離れ等の傾向も。
近年の消費者の動向として、買い物の多頻度小 口化・地域分散化等が見られる。その結果、小売 店の減少等とも相まって買い物弱者の問題が生じ ている地域もあり、小回りのきいた小売の対応が 期待されている。
一方、安全意識の高まりや商品情報を求める消 費者も増え、食育に対する注目も高まっている。 平成 21 年度に市が実施した 「成田市食育に関す るアンケート調査」 の結果では、市民が地元産品 を購入する意向が7割と高く、市民の「地産地消」 に対する意識の高さが確認された。さらに同調査
の結果では、市に期待する食育に関する施策として、
「直売所など地元農産物を購入できる場所の情報を
発信する」、「学校給食で地元農産物の利用を促進す
る」 が上位に上がっている。
また、地場物志向・健康意識・安全意識に基づい た購買行動、ご当地グルメ・お取り寄せグルメブー ムが見られる一方、高齢化、人口減少による消費行 動の変化や魚食離れなどの傾向も見られる。
【卸売市場の動向】
・卸売市場の取扱量・金額の減少は、市場外流通の増加や景気低迷に伴い、全国の地方卸売 市場で見られる。
卸売市場の取扱量・金額の減少は、市場外流通の増 加や景気低迷に伴う取扱数量の減少等により、全国の 地方卸売市場で見られる。
平成 11 年、16 年に卸売市場法の一部が改正され、 商物一致規制緩和、卸売り手数料の弾力化、第三者販 売などの規制緩和が施され、経年的な変化はそれまで よりも緩やかになってきたものの、減少の傾向は変わ らず、ピーク時を大きく下回っている。
また、卸売市場は生鮮食料品等の流通の基幹的なイ ンフラとしての役割を果たしており、青果、水産物の 6割程度が卸売市場を経由している(国産青果物では
■調理冷凍食品(輸入)
■冷凍野菜(輸入)
■冷凍食品国内生産
平成 20 平成元
成田市の農家人口・農業従事者の変化 出典:成田市農政課 HP
資料:資料(世界)農(林)業センサス、 千葉県農業基本調査
※ 農家従事者数は、「販売農家」のみの数値。 (販売農家とは、経営耕地面積が 30a以上
または 農産物販売金額が 50 万円以上の農家。)
0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000
平
成
元
年
平
成
2
年
平
成
3
年
平
成
4
年
平
成
5
年
平
成
6
年
平
成
7
年
平
成
8
年
平
成
1
0
年
平
成
1
2
年
平
成
1
7
年
平
成
2
2
年
農業従事者 農家人口 人
【流通動向】
・冷凍食品や加工品の需要の高まりがみられる。 ・量販店の独自ルートも増加。
・市場経由率は 6 割程度(国産青果物は約 9 割)。
卸売市場をとりまく流通形態も変化を見せている。消費者の嗜好やライフスタイルの変化等 により冷凍食品や加工品に対する需要が高まり、加工される生鮮食品の需要が増加してきた。 また小規模小売店の減少や大手量販店の増加等に伴い、量販店の独自ルートによる卸売市場を 通さない食品流通も増加している。
青果、水産物の 6 割(国産青果物の約 9 割)は卸売市場を経由している。市場経由率を見る と、水産物は緩やかに減少、青果は下げ止まりの傾向を見せている。
【生産者の動向】
・農業従事者は経年的に減少している。
・過去の成田市場の経営悪化以降、地域の生産者には成田市場ばなれが見られる。
・地域の生産者の出荷先は、JA、生産組合、直売、スーパー等との出荷契約等、様々。 ・新たに成田市場へ出荷する生産者(生産出荷組合等)も見られる。
全国的にも農業従事者の減少が見られるなか、成田市
の農業従事者数も減少を続けてきた。平成 17 年は市町村
合併により統計上数値が高くなっているが、平成 22 年に
は著しく減少している。
成田市及び周辺の生産者のなかには、過去に成田市場 が経営悪化に陥った後に成田市場への出荷を止め、現在 は、八日市場などの隣接する卸売市場、JA、生産組合へ 出荷している生産者も少なくない。また近年では、直売 所や大手スーパー、生協等と出荷契約を結んでいる生産 者も多いのが現状である。
一方、平成 24 年に入場した青果卸売業者は、信頼回復 と新たな生産者開拓に向けて生産地へ足を運ぶ取組みを 進めており、今後の市場への出荷量にその成果が期待さ れる。
成田市場の地元産品の集荷圏域は広く銚子・飯岡方面 も含む千葉県北部にも及ぶが、いずれの地域でも農業従 事者数は減少しており、多様な流通の動向を踏まえなが ら、生産者の信頼を取り戻し、集荷量の増加に向けた取 組みを展開していくことが急務となっている。
冷凍食品輸入量・国内生産量の推移 出典:社会実情データ図録
農林水産物・食品の輸出額の推移
出典:「農林水産物・食品の輸出促進対策の概要」
平成 24 年 5 月 (農林水産省食料産業局輸出促進グループ) 資料:貿易統計
中国の生鮮野菜の輸入量(トン)
出典:「平成 23 年度 中国における生鮮食品等マーケット調査」
2012 年 3 月(日本貿易振興機構農林水産・ 食品部青島
事務所) 資料:中国国家統計局
【生鮮食品の海外需要】
・農林水産物・食品輸出は増加し、輸出額 5 千億円水準を推移。 原発事故等の影響を受け、輸出額は下がったが、4 千 5 百億円程度。
・海外における生鮮食料品の需要も高まり。 例)中国の生鮮野菜輸入量の急増。
わが国では平成 32 年までに輸出額1兆円水準 を目指す目標を掲げ、農産物の輸出拡大に向けた 取組みを進めている。近年の輸出は、景気の影響 を受けつつも増加傾向を示してきたが、円高や原 発事故の影響で大きな落ち込みが生じた。また、 各国で原発の影響による日本産品の輸入規制が強 化されたが、政府一体となった働きかけの結果、 日本産品は安全性の信頼回復が進み、最近では 徐々に規制緩和・撤廃の動きも見られる。
農林水産物・食品の輸出額を輸出先の国・地域
別でみると、アジアが 73%、北米が 16%を占める。
国・地域別には 1位香港、2位米国、3位台湾、 4位韓国、5位中国 で東アジアが多い。農林水産 物・食品の輸出額を品目別でみると、水産物が約4 割、加工食品が約3割を占める。
海外における生鮮食料品の需要の例として、中国 における生鮮食料品の需要
は著しく、最近 5 年間の生鮮野菜輸入量は 10 倍以
上になっている。
2) 内部環境の把握
当市場が競合相手と比較して、どのような点が強みであり、どのような点が弱みであるかを把 握した。
【産地としての成田の地域特性】
・北総台地は、県内有数の農業地帯。
・サツマイモ、ゴボウ、ダイコン、レンコン、ニンジン、サトイモなどの土物
スイカ、トマトなどの果菜類、キャベツ、ホウレンソウなどの葉菜類の生産が盛ん。 ・九十九里に近接。
北総台地は県内有数の農業地帯で、平坦な畑地帯ではサツマイモ、ゴボウ、ダイコン、レン コン、ニンジン、サトイモなどの土物、スイカ、トマトなどの果菜類、キャベツ、ホウレンソ ウなどの葉菜類の生産が行われている。
成田市の中心的な農産物として、「金時」や「ベニアズマ」を中心とするサツマイモは作付面
積の約9割を占め、特に大栄地区はサツマイモの収穫高が全国でもトップクラスでる。また、 クリームスイカの全国的な産地として有名で、年間およそ 1,500 トンが栽培され、広く東北、 近畿まで広く出荷されている。レンコン、ダイコン、ニンジンなども成田市の特産品である。 成田市場の集荷圏域としては、隣接市町村のみならず銚子方面にも及んでおり、千葉県北東部 唯一の公設地方卸売市場として、産地市場の重要な役割を担っている。
一方、水産業からみた成田の産地特性として銚子・九十九里との距離も近いことが挙げられ る。仲卸業者のなかには、系列の事業所を九十九里方面においているものもみられるが、取扱 い水産物として特に九十九里産が多いわけではなく、水産物が全国から集まっている。
【立地特性】
・成田商圏(商圏人口 93 万 7 千人)の商業中心都市
・取引先は、香取・銚子、波崎・鹿島方面まで 房総半島北部~茨城県南部まで。 ・成田空港に近接。
・鉄道駅・高速道路にも近接しており、利便性大。
成田市は、商圏人口約 93 万 7 千人(成田市人口の約 7.2 倍、千葉県人口の 15.1%)を擁す る「成田商圏」の商業中心都市として位置づけられている(平成 24 年度消費者購買動向調査
による)。特に成田市場周辺では新たな住宅地の開発が進んでおり、商圏人口は平成 18 年調査
時より 4 万人近く増加している。
仲卸業者の取引先(商業者)は、香取・銚子方面から茨城の波崎・鹿島方面まで広がってお り、北総台地から茨城県南部・利根川下流沿川一帯の供給市場としての役割を果たしている。