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する また, 鉄道貨物輸送は, 様々な貨物列車を利用して行 われるため, 個別の貨物列車の輸送実態を把握し評価す ることが必要となる そのために, 本研究では, 既存輸 送情報データを用いて鉄道貨物版の地理情報システム (Rail Freight Geographic Information Sys

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(1)

鉄道貨物輸送の経済性・効率性評価手法の開発

厲  国権

An Evaluation Approach to Railway Freight Transport based on the Economic Efficiency

Guoquan LI

 Facing the global warming problem and the coming low birthrate & aging society, railway freight transport

is expected to play a more important role in the provision of reasonable solutions as an eco-friendly transport means. In this paper, a synthetic evaluation approach to railway freight transport based on multiple respects and corresponding indices is studied to improve freight transport efficiency. Firstly, an evaluating model with an ana-lytical and hierarchical process is built, using the shippers’ consciousness data for making the decision of freight

transport. And then, a rail freight geographic information system (RF-GIS) is developed to analyze the actual sit-uations of rail freight train on the corridors. Finally, through a case study, a comparative evaluation between rail container and truck transport is performed, using the developed approach, and the effectiveness of the relevant measures in improving rail freight is investigated.

キーワード:貨物輸送,評価手法,階層体系,鉄道貨物版の地理情報システム,ケーススタディ * 信号・情報技術研究部

1.はじめに

 地球温暖化や少子高齢化などの社会問題への対応に は,旅客輸送に加え,貨物輸送の効率向上も大きく寄与 することが期待されている。本研究では,荷主企業など の物流関係者の専門的な知見による貨物輸送に関する評 価指標の体系化と,輸送実態評価用の鉄道貨物版地理情 報システム(GIS)の構築を行い,貨物輸送の経済的効 果や効率性などを総合的に評価するモデルと貨物列車の 輸送実態を可視化するシステムを組み合わせた鉄道貨物 輸送の評価手法を提案する。この手法により,鉄道貨物 輸送とトラック輸送などとの対比・評価を行い,鉄道貨 物輸送の課題を明らかにし,改善策を適用した場合の鉄 道輸送効率の改善効果を分析推定する。

2.鉄道貨物輸送に対する評価の基本的考え方

 鉄道ネットワーク上には,旅客列車のみならず貨物列 車も走行しており,鉄道交通の評価は,旅客輸送だけで なく,貨物輸送も考慮する必要がある。  一方,地球温暖化の進行を抑えるためには,環境に優 しい鉄道輸送のシェアを高めることが期待されている。 また,少子高齢化の進展による労働人口の減少や内外の 経済情勢の変化に対して,現状で中長距離の陸上貨物輸 送の大多数を占めるトラック輸送は,今後ドライバー不 足に直面することが予想される。よって,今後,貨物鉄 道に対して求められる役割は,単にモーダルシフトだけ ではなく,貨物輸送全体の効率化である。  従って,貨物輸送においては,鉄道を利用する場合に 期待される効果と役割を客観的かつ総合的に評価するこ とが必要不可欠である。即ち,荷主企業の貨物輸送を行 う際の意思決定プロセスを体系化することにより,各々 の輸送手段や輸送計画案に存在する長所・短所を明確に した上で,輸送効率化のための改善対策を講ずる必要が ある。  そのために,本研究では,貨物輸送の効率向上に向 け,図1に示すような鉄道貨物輸送の評価手法の開発 を行う。  まずは,荷主企業が貨物輸送を行う際に考慮した複数 の評価基準要素・指標項目を体系化することを検討し, それに対して輸送手段や輸送計画案などを決定する際に 荷主企業の判断意識データなどを,WEBアンケート調 査によって取得する。次に,これら意識データを用いて 各評価項目を重み付けした貨物輸送の評価モデルを構築 図1 鉄道貨物輸送評価手法の構成 ・荷主の判断意識調査 ・貨物輸送の評価モデル 鉄道貨物の輸送実態を把握, 評価する可視化システム ・輸送実態に応じて,トラック輸送との 対比・評価による鉄道貨物輸送の 改善点の抽出 ・対策案を適用した場合の効果分析

一 般 論 文

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する。

 また,鉄道貨物輸送は,様々な貨物列車を利用して行 われるため,個別の貨物列車の輸送実態を把握し評価す ることが必要となる。そのために,本研究では,既存輸 送情報データを用いて鉄道貨物版の地理情報システム (Rail Freight Geographic Information System: RF-GIS)

を開発し,貨物列車の始発駅から終着駅までの走行経路 ならびに各通過線区における列車の積載状況を地図上に 表示し,視覚的に把握・評価する。  以上の貨物輸送の評価モデルと鉄道貨物版GISを用 いて,分析対象となる貨物列車の輸送実態に対してト ラック輸送と対比・評価することにより,鉄道貨物輸送 の改善点を明らかにし,複数要素を考慮した貨物輸送の 改善対応策を検討する。さらに,ケーススタディを実施 し,改善策が適用された場合の施策の効果を分析する。

3.荷主企業の判断意識データを用いた貨物輸

送の評価モデルの構築

3. 1 貨物輸送に対する意思決定プロセスの体系化  貨物輸送においては,荷主企業が自社の商品(貨物) 輸送を行う際に,経済的効果,社会的効果,物流効率性, 利便性,輸送サービスの優位性などの複数の側面に基づ いて,様々な輸送手段や輸送計画などを比較・評価し, 輸送ニーズに合わせた輸送案を,主観的な判断で決定す る。また,貨物輸送の評価指標には,輸送費用,輸送時 間,二酸化炭素(CO2)排出量,エネルギー消費量,輸 送施設へのアクセシビリティ状況などの定量的指標項目 があり,物流労働力の確保,輸送ネットワークの利用し 易さ,輸送事業者とのつながり状況,輸送体系の分かり 易さ,輸送ロットの適合,輸送品質(定時性,安定性, 温度湿度管理や破損状況など),災害や輸送故障時の対 応そして輸送情報の取りやすさなどの定性的指標項目も 含まれる。  正確な評価モデルを得るうえで,このような荷主企業 の意思決定プロセスにおける主観的判断が,如何に行わ れているかを解明することが重要である。  また,主観的判断による意思決定は,複雑かつ曖昧な 状況のもとで行われることが多いが,米国ピッツバーグ 大学のThomas L. Saaty教授は,階層分析法(AHP)1) 即ち,「最終目的-評価基準-代替選択案」により複雑 な問題を解決する手法を提唱した。この手法は,以下の ような特徴がある。  ①最終目的に向けて,複雑な問題を,評価基準と代替 選択案のような階層構造に分解し,体系化する。  ②経験者や専門家などが同階層における要素・項目間 の一対比較を行って基準要素やその基準要素に基づい た代替選択案を表す指標の相対重要度を付けることによ り,指標に対する総合的な評価の重みを算出する。  ③代替選択案の指標への総合評価の重みとその指標値 を用いて,代替選択案を総合的に評価する。その総合評 価値により,各代替案に対する選択率を決定し,その選 択率の大小による代替選択案の優先順位を付ける。  本研究では,階層分析法の原理に基づいて,荷主企業 の商品輸送における意思決定プロセスに対して,図2に 示すように,貨物輸送案を総合的に評価することを最終 目標(図2のⅠ)として,評価基準要素(図2のⅡ)お よび輸送案を表す指標項目(図2のⅢ)を設定した階層 的な評価構造を体系化した。 図2 貨物輸送の評価体系 貨物輸送の総合評価 経済的効果 社会的効果 物流効率性 利便性 輸送サービスの優位性 Ⅰ: 輸 送 費用 評価 目標 Ⅱ: 二酸化炭素排出量 基準 要素 Ⅲ: 評価 指標 項目 輸 送時 間 物流 労 働力の 確保 エ ネル ギ ー 消費量 輸 送 ネッ ト ワ ー ク の 利用し 易さ 輸 送事 業者 と の つ な が り 輸 送 体系の 分か り 易さ 輸 送 ロ ッ ト の 適合 輸 送 品質 輸 送 障 害時 の 対応 リ ア ル タ イ ム 輸 送 情報 貨物駅 や タ ー ミ ナ ル へ の ア ク セ ス 3. 2 荷主企業の判断意識データの取得  貨物輸送は普段社会の目に触れる機会が少ない。輸 送手段の選択は,あくまでも自社の商品輸送を把握して いる物流担当者の主観的な判断により決定されるもので あるため,様々な荷主企業の物流関係者の経験や勘を活 かした判断意識データを取得することが必要不可欠であ り,図3に示すようなステップで行った。  まずは,荷主企業の中から貨物輸送手段が分かる物流 担当・経験者を抽出し,調査の対象とする。次は,調査 対象へのWEBアンケート調査を行うことにより,判断 意識データを取得し分析する。  ここでは,あるWEB調査会社が保有している数十万 の登録者に対して,まず仕事の担当部門や自社の商品輸 送手段についての知識の予備調査を行った。貨物輸送に 図3 意識データ調査のステップ

荷主の物流担当経験者に関する

情報収集

経験者より判断意識データ

の取得

意識データの分析

(3)

関するアンケートの予備調査に応じたサンプル数は約1 万で,登録者全体の数パーセントである。その中で,自 社の商品輸送手段(トラック,鉄道,船舶,航空機等) について「よく知っている」か「まあ知っている」と回 答した物流担当・経験者は,約6千人である。その中から, 貨物輸送の評価を目的として,荷主企業が輸送手段を決 定するにあたっての判断意識データを取得するため,単 純作業員などを除いた貨物輸送に関するWEBアンケー ト調査対象を1555名抽出した。  表1は,2013年2月に実施したWEBアンケート本 調査の概要を示す。予備調査で抽出した1555名の対象 者数に対して,有効回答数は1032で,回収率は66.4% である。 表1 WEBアンケート調査概要 調査区分 商品輸送に関するWEBアンケート調査 調査期間 2013/02/01~2013/02/04 集計閲覧期間 2013/02/04 0:00:00~2013/8/23 10:00:00 調査対象 自社の商品輸送(トラック、鉄道、船舶、航空機等) について知っている会社 依頼数 1555 調査依頼した対象者数 有効回答数 1032 集計対象とする有効回答の対象者数 回収率 66.4% 有効回答数/依頼数  図2に示す階層的な評価体系には,基準要素間そして 指標項目間の相対重要性に差異が存在するから,WEB アンケート調査では,貨物輸送における輸送手段を評価 する基準要素・指標項目間におけるマトリクスの一対比 較を荷主企業の物流担当・経験者に行ってもらう。具体 的には,図4に示すように,要素・項目の相対的な重要 性を判断し・回答することにより,荷主企業の判断意識 データを取得する。 図4 判断意識データの取得 A1 A2 A3 A4 A2 A3 A4 A5 要素・項目Ai 要素・項目Aj 要素・項目Ai/要素・項目Ajの一対比較に関する調査 aij 要素・ 項目 Ai: ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ 要素・ 項目 Aj: Aiが Ajよ り絶 対に 重要 Aiが Ajよ り非 常に 重要 Aiが Ajよ りか なり 重要 Aiが Ajよ り少 し重 要 Aiが Ajよ 同じ くら い Ajが Aiよ り少 し重 要 Ajが Aiよ りか なり 重要 Ajが Aiよ り非 常に 重要 Ajが Aiよ り絶 対に 重要 3. 3 評価基準要素・指標項目の評価重みの算出  貨物輸送の評価モデルを構築するにあたっては,AHP 手法の計算原理により,WEBアンケート調査で取得し た荷主企業の判断意識データを用いて,図2に示す各評 価基準要素・指標項目が評価体系の全体に占める評価重 みを算出する。  その結果として,各基準要素の重要性の度合い(評価 重み)は,経済的効果が0.301,利便性が0.199,物流 効率性が0.199,そして輸送サービスの優位性が0.167, 社会的効果が0.134となった。  また,各評価基準要素のもとにおける評価指標項目の 重要性の度合い(評価重み)が同様の方法で算出され, 各評価基準要素ならびにそれに対応した指標項目の評価 重みの結果を利用して各指標項目の総合評価の重みを求 めた。その結果を,図5に示す。各々の総合評価の重み において,輸送費用が0.144,輸送時間が0.114,二酸 化炭素(CO2)排出量が0.042,物流労働力の確保が0.048, エネルギー消費量が0.048,輸送ネットワークの利用し 易さが0.032,輸送事業者との繋がりが0.029,輸送体 系のわかり易さが0.028,輸送ロットの適合が0.090, 輸送品質(定時性,安定性,温度湿度管理や破損状況な ど)が0.134,災害や輸送故障時の対応が0.117,輸送 情報の取りやすさが0.094,輸送施設へのアクセシビリ ティ状況が0.079である。  以上より,貨物輸送に対する荷主企業の貨物輸送を行 う際の主観的判断では,経済的効果の重要性度合いが高 くなっていることから,経済的な側面を重視しているこ とが明らかになった。また,各指標項目の評価重みをみ ると,貨物輸送の基本判断要件は,輸送費用,輸送品質, 輸送障害時の対応,輸送時間(いずれも重みが0.1以上 を有する)であることがわかった。さらに,輸送情報, 輸送ロットの適合そして貨物駅やターミナルへのアクセ スなどの状況も重視され,物流労働力の確保と,貨物輸 送に伴うCO2排出量やエネルギー消費量などの影響も 一定程度,考慮されることが判明した。 図5 指標項目の評価重み [1] トータル輸送費用 [2] トータル輸送時間 [3] 二酸化炭素(CO2)排出量 [4] 物流労働力の確保 [5] エネルギー消費量 [6] 輸送ネットワークの利用し易さ [7] 輸送事業者とのつながり [8] 輸送体系のわかり易さ [9] 輸送ロットの適合 [10] 輸送品質 [11] 輸送障害時の対応 [12] リアルタイム輸送情報 [13] 貨物駅やターミナルへのアクセス 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 総合評価の重み 0.16

4.貨物輸送実態の可視化システム

 3章で構築した評価モデルの目的の1つは,鉄道貨物 輸送の実態に対する荷主企業の評価を反映し,輸送効率

(4)

を改善することである。そのために,貨物列車の輸送実 態を明確に把握することが必要となるため,貨物輸送実 態の可視化システムを開発した。 4. 1 鉄道貨物版の地理情報システムについて  情報化社会の進展により,地理情報システムは,地理 的位置を手がかりに,位置に関する情報を持ったデータ (空間データ)を総合的に管理・加工し,視覚的に表示 し,高度な分析や迅速な判断を可能にする技術2) とし て,様々な分野で研究開発や基盤整備などが活発に進め られ,広範に利用されている3)4)5) 。  貨物輸送は,普段社会の目に触れる機会が少ないため, 輸送実態が分かりにくく,適切に評価することが困難で ある。このような状況に対して,鉄道貨物に関連する様々 な既存データを加工・分析することによって,輸送実態 を,鉄道路線を基盤とする地図データ上に視覚的にわか りやすい形で表示することで,利用者や事業者が,有効 かつ明瞭な判断情報を把握でき,輸送実態を迅速に把握・ 分析し,適切に評価することが可能となる。また,輸送 実態の評価を可視化することは,輸送効率化・サービス 水準の向上などの輸送改善対策の策定に対して大きな効 果があると考えられる。  鉄道貨物版の地理情報システム(RF-GIS)は,図6 に示すように貨物輸送実態を評価するため,貨物交通の 評価システムにおける重要な構成内容として,貨物列車 の運転計画や荷積みの貨物データなどを入力し,各線区 を通過した時の貨物列車の積載状況を地図上で表示する ものである。 図6 鉄道貨物版の地理情報システム(RF-GIS) 鉄道路線などの空間 データの活用機能 貨物ベースの情報 データを,貨物列 車ベースの情報 データに整合する 鉄道貨物輸送に関連する 既存データの加工機能 鉄道路線データに,鉄道貨物 施設データを加え,鉄道貨物 輸送の空間データを整備する 貨物列車の輸送 実態の計測と統計 分析に関する機能 通過線区 に対する 地理的位 置に列車 の輸送実 態を表示 する機能 地図上で輸送 ・既存データの収集とファイル化・既存GIS処理システムの導入データ 輸送実態の計測・分析に よる貨物列車の積載率分 布グラフを作成する 国土地理院から公表された 実態を可視化 1 駅 2 駅 i 駅 i+1 駅 n-1 駅 n 通過線区における 列車の輸送実態 積載率 発生率 ● ● ● ● ● ● 4. 2 貨物列車の輸送実態の把握・評価  鉄道貨物版の地理情報システムによって,貨物列車が, 各線区を通過するときの輸送実態が地理的位置に表示さ れる。これにより,鉄道輸送事業者は,貨物列車の運行 効率を定量的かつ視覚的に把握・評価し,そして輸送効 率向上の改善策を検討する際の有効な情報を得ることが できる。一方,荷主企業に対しては,鉄道に適した潜在 的輸送ニーズを顕在化させるような意思決定を支援する 有益な情報を提供する。 4. 2. 1 鉄道貨物輸送の空間データの整備  鉄道貨物輸送を可視化するにあたっては,まず国土地 理院に公表された既存のGIS基盤データと旅客鉄道会 社が保有する鉄道路線データをベースにして,貨物駅や 貨物専用路線などの施設データを加えることにより,鉄 道貨物輸送の空間データを整備し,地図上で表示する鉄 道貨物輸送ネットワークを構築する(図7)。  それに基づいて,地図上で貨物列車を運行する鉄道路 線および貨物取扱駅,地域営業支社の表示,地図の拡大・ 縮小等の調整,通過線区における分析対象貨物列車の選 択などを行うことが可能となる。 図7 地図上で表示する鉄道貨物ネットワーク ・国土地 理院に公 表された 鉄道路線 の空間 データ 盤データ ・鉄道貨 物施設に 関する既 存データ ・GISの基 鉄道貨物輸送の空間 データの整備 駅 25 駅 26 駅 27 駅 28 駅 32 駅 34 駅 40 駅 45 駅 29 駅 31 駅 41 駅 39 駅 35 駅 48 駅 47 駅 46 駅 43 駅 49 駅 30 駅 37 駅 44 駅 42 駅 36 駅 38 駅 33 駅 53 駅 51 駅 52 駅 54 駅 50 駅 55 駅 18 駅 22 駅 24 駅 19 駅 20 駅 21 駅 23 駅 4 駅 5 駅 6 駅 7 駅 8 駅 10 駅 11 駅 13 駅 14 駅 1 駅 2 駅 3 駅 9 駅 15 駅 16 駅 17 駅 12 4. 2. 2 線区ごとに列車輸送実態の計測と統計分析  鉄道貨物輸送では,様々な貨物関係データや貨物列車 関係データそして輸送実績データなどが存在する。 RF-GISでは,それらのデータを統合的に管理し,加工する ことによって,貨物ベースの情報データを,列車ベース の情報データに整合させる。  貨物列車は,始発駅から終着駅までの途中で,荷役作 業(コンテナを,列車から卸したり,列車に積み込んだ りする作業),入換え作業(貨車を,列車から解放したり, 列車に連結したりする作業)などの様々な作業があるた め,同じ線区を通過する貨物列車でも列車ごとに地理的 位置によって輸送条件などの状況が異なる。貨物列車の 始発駅から終着駅までの走行経路において,途中駅で荷 役作業や入換え作業などがない直行列車の積載状況は, 始発駅からの荷積みやフィーダー貨物列車からの積替え などの状況などによって統計的に分析する。一方,途中 駅で荷役作業や入換え作業などの列車作業がある貨物列 車の積載状況は,作業が発生する駅と駅の区間ごとに統 計分析を行う。  その統計分析の結果は,通過線区に対する地図上の地

(5)

理的位置に,貨物列車の積載率やコンテナ占有率などの 分布状況が表示される(図8)。それによって,貨物列 車の輸送実態を視覚的に把握し評価することができる。 4. 3 貨物輸送シミュレーション  貨物列車を利用する荷主企業は,陸上輸送において, 図9に示すように鉄道輸送かトラック輸送を選択する。 鉄道輸送とトラック輸送との比較を行うため,3章で示 した評価モデルにおける各指標項目の指標値を取得する ことが必要となる。  そのために,貨物輸送実態の可視化システムにおいて, 次のような貨物交通に関する基本データを整備する。  ①運賃料金,②道路ネットワーク,③フェリー接続, ④荷主企業の出荷地から貨物駅/ターミナルや高速道路 インターチェンジまでのアクセス,⑤輸送に関する法律 規制,⑥その他など  それに基づいて,荷主企業の輸送ニーズに関する情報 データ,例えば,貨物の出荷地,目的地そして出荷時刻, 輸送トン数などを入力することで,貨物の発送地から到 着地までのトラック輸送と利用可能な貨物列車の輸送経 路を設定することができる。次に,それらの輸送ニーズ に対する輸送シミュレーションを行うことによって,鉄 道輸送の場合とトラック輸送の場合における以下に示す ような定量的な指標項目の指標値が得られる。  ①輸送費用・料金,②輸送時間,③二酸化炭素排出 量,④貨物輸送に関わるエネルギー消費量,⑤貨物の発 送地および到着地(発・着荷主企業の所在地)から貨物 図8 通過線区における貨物列車の輸送実態 発 生 率 50% 40% 30% 20% 10% 0 0 貨物列車の 輸送実態の表示 積 載 率 線区 1 駅 1 100% 80% 60% 40% 20% 線区 i 駅 n 線区 n 図9 鉄道輸送とトラック輸送の比較 I.C I.C ② 貨物列車 ①トラック 集貨輸送 ③トラック 配達輸送 貨物の 発送地 貨物の 到着地 注: I.C:高速道路のインターチェンジ (2) 鉄道コンテナ輸送の場合:トラック 集配輸送と貨物列車の結合による インターモーダル輸送 (1) トラック直接輸送 貨物 駅 貨物 駅 駅或いは高速道路インターチェンジまでのアクセス状況 など。

5.鉄道輸送改善効果の定量的な評価

 本研究で開発した貨物交通の評価モデルと鉄道貨物版 GISを用いて,貨物列車の輸送実態に対する改善効果の 定量的評価のケーススタディを行った。  図10の実線は,KK地域からKT地域までの分析対 象貨物列車の輸送実態を平均積載率分布として示す。同 列車の現状における平均積載率は72%であるが,同列 車の積載状況をさらに向上する可能性があるかを検討し てみる。  まず評価モデルに基づいてトラック輸送との対比・評 価を行う。評価モデルにおける定量的指標項目の指標 値は,各々の荷主企業の輸送ニーズに対する輸送シミュ レーションによって取得したが,定性的な指標項目の指 標値は,荷主企業に対するアンケート調査で,貨物列車 を利用する荷主企業の物流担当者からスコアをつけても らった。取得した指標値を,評価モデルに入力すると, 指標項目ごとに評価値が算出される。  その結果は,図11に示すように,分析対象貨物列車 の総合評価(棒グラフの各項目評価値の合計)は,0.469 で,トラック輸送の評価値(0.531)より低くなっている。 また,評価項目別でみると,トラック輸送に比べて,鉄 道輸送における大きな課題は,輸送費用,輸送時間,貨 物駅やターミナル施設などへのアクセス,輸送品質,輸 送障害時の対応であることが判明した。  次に,既存の施設条件をベースに,以下の鉄道輸送の 改善対策案をトラック輸送と対比して検討する。  ① 構内留置サービスの活用や柔軟な運賃料金6) の 設定による荷主企業のロジスティクスコストの低 減  ② 駅構内発着作業効率向上などによるオンレール輸 図10 改善対策案による貨物列車の輸送状態 発生率 現状の輸送実態 改善対策案に応 じた輸送状態 ■駅27 ■駅28 通過線区における貨物列車の輸送実態(積載率分布) 貨物列車の走行経路と選択した 線区の輸送実態を表示する 貨物列車の積載率 25% 20% 15% 10% 5% 0% ■駅29 ■駅31 ■駅35 ■駅37 ■駅40 ■駅38 0% 100% 80% 60% 40% 20% KK地域 KT地域 平均積載率 現状:72% 改善:76%

(6)

図12 改善策を適応した鉄道輸送とトラック輸送との 対比・評価 送時間の短縮  ③ 既存施設などの活用による貨物列車へのアクセス 改善  同改善対策案による指標項目の指標値を評価モデル に再入力し,鉄道輸送の総合評価値を算出した結果,図 12に示すように,0.493と高くなった。また,鉄道輸送 における「輸送費用」,「輸送時間」や「アクセス」など の指標項目の評価値が大きく向上したことがわかった。 その改善案に応じた貨物列車の積載状況は,図10の点 線に示すように平均積載率が76%まで向上し,これら の方策による鉄道輸送効率の向上の効果が推定された。 :鉄道輸送 :トラック輸送 0.08 0.06 0.04 0.02 0.00 指標項目評 価 値 [ 13] [ 12] [ 11] [ 10] [ 9 ] [ 8 ] [ 7 ] [ 6 ] [ 5 ] [ 4 ] [ 3 ] [ 2 ] [ 1 ] 送 費用 二酸化炭素排出量 輸 送時 間 物流 労 働力の 確保 エ ネル ギ ー 消費量 輸 送 ネッ ト ワ ー ク の 利用し 易さ 輸 送事 業者 と の つ な が り 輸 送 体系の 分か り 易さ 輸 送 ロ ッ ト の 適合 輸 送 品質 輸 送 障 害時 の 対応 リ ア ル タ イ ム 輸 送 情報 貨物駅 や タ ー ミ ナ ル な ど へ の ア ク セ ス 総合評価値 鉄 道:0.493 トラック:0.507

6.まとめ

 本研究では,貨物輸送の評価モデルと輸送実態の可視 化システムを組み合わせた貨物輸送の効率向上に向けた 鉄道貨物輸送の評価手法を開発した。  貨物輸送の評価については,荷主企業などの物流関係 者の専門的な知見を踏まえて,経済的効果や物流効率性 などの複数側面を考慮した5種類の評価基準要素と13 種類の評価指標項目を体系化し,各指標項目を重み付け した評価モデルを構築した。輸送実態の可視化システム については,貨物列車の運転計画や荷積みの輸送計画な どを入力とし,始発駅から終着駅までの走行経路と貨物 の積載状況などを把握,評価できる鉄道貨物版の地理情 報システム(RF-GIS)を開発した。  これを使用して,鉄道輸送とトラック輸送との対比・ 評価を行うことにより,貨物列車の輸送実態に対する鉄 道貨物のメリットや改善点を明らかにし,輸送効率を向 上させる改善対策案の効果を定量的に評価することがで きた。  これは,荷主企業や輸送事業者などに対するあらゆる 輸送計画案を策定し評価する有効な手法として,貨物輸 送全体の効率化に寄与できると考えられる。

文 献

1) T. L. Saaty: The Analytical Hierarchy Process,McGraw-Hill,1980.

2) 国土地理院:http://www.gsi.go.jp/(参照日:2014.4.1)

3) 柴崎亮介,村山裕司:GIS の技術,朝倉書店,2009

4)) Carol A. Johnston: Geographic Information System in Ecol- Carol A. Johnston: Geographic Information System in Ecol-ogy,Blackwell Science Limited, Oxford England, 1998(小

山修平,橘淳治:GIS の応用,森北出版株式会社,2005) 5) 増田悦夫:物流における GIS 活用の現状と今後の課題,日 本物流学会,第13 号,pp.191-198, 2005 6) 厲国権,武藤雅威:中長距離陸上貨物輸送の鉄道利用に よる物流費用の低減効果,鉄道総研報告,Vol.22, No.6, pp.41-46,2008 図11 鉄道輸送とトラック輸送との対比・評価 [ 13] [ 12] [ 11] [ 10] [ 9 ] [ 8 ] [ 7 ] [ 6 ] [ 5 ] [ 4 ] [ 3 ] [ 2 ] [ 1 ] 0.08 0.06 0.04 0.02 0.00 指標項目評 価 値 :鉄道輸送 :トラック輸送 輸 送 費用 二酸化炭素排出量 輸 送時 間 物流 労 働力の 確保 エ ネル ギ ー 消費量 輸 送 ネッ ト ワ ー ク の 利用し 易さ 輸 送事 業者 と の つ な が り 輸 送 体系の 分か り 易さ 輸 送 ロ ッ ト の 適合 輸 送 品質 輸 送 障 害時 の 対応 リ ア ル タ イ ム 輸 送 情報 貨物駅 や タ ー ミ ナ ル な ど へ の ア ク セ ス 総合評価値 鉄 道:0.469 トラック:0.531

図 12  改善策を適応した鉄道輸送とトラック輸送との 対比・評価 送時間の短縮 ③ 既存施設などの活用による貨物列車へのアクセス改善 同改善対策案による指標項目の指標値を評価モデルに再入力し,鉄道輸送の総合評価値を算出した結果,図12に示すように,0.493と高くなった。また,鉄道輸送における「輸送費用」,「輸送時間」や「アクセス」など の指標項目の評価値が大きく向上したことがわかった。その改善案に応じた貨物列車の積載状況は,図10の点線に示すように平均積載率が76%まで向上し,これらの方策による鉄道輸送

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