• 検索結果がありません。

第 38 回岡山県臨床細胞学会のご案内 ( 第 1 次 ) 第 38 回岡山県臨床細胞学会を下記の通り開催いたしますので, ご案内申し上げます. 記 1. 期日 : 平成 30 年 7 月 7 日 ( 土 ) 2. 会場 : 岡山大学医学部臨床講義棟 2F 第 1 講義室 3. 学会事務局 : 70

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第 38 回岡山県臨床細胞学会のご案内 ( 第 1 次 ) 第 38 回岡山県臨床細胞学会を下記の通り開催いたしますので, ご案内申し上げます. 記 1. 期日 : 平成 30 年 7 月 7 日 ( 土 ) 2. 会場 : 岡山大学医学部臨床講義棟 2F 第 1 講義室 3. 学会事務局 : 70"

Copied!
63
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

会     告

第37回岡山県臨床細胞学会学術集会プログラム 1

巻  頭  言 総     説

 尿細胞診:The Paris Systemと標本の見方を中心に 大谷  博 7 症     例  EUS-FNAで経験した膵neuroendocrine carcinomaの一例 中村 香織 15  MTX関連リンパ増殖性疾患の2例 濵田 香菜 21  気管支に発生した粘表皮癌の一例 日野 寛子 25  高度のリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例 菅沼 和義 29  細胞形態と免疫染色結果が診断のピットフォールとなった   悪性中皮腫の1例 佐藤 正和 37  子宮頚部擦過標本にて小細胞癌との鑑別に苦慮した

  basaloid squamous cell carcinoma の1例 有安 早苗 41  尿管癌術後,胸水細胞診にTTF-1陽性異型細胞が出現した1例 平本 直美 45  診断に苦慮した肺定型カルチノイドの1例 成富 真理 49 会     則 54 議  事  録 56 会 計 報 告 58 役 員 名 簿 59 編 集 後 記 59 事務局よりお知らせ 60 目     次

岡山県臨床細胞学会誌

ISSN 0289−0984

VOL. 36 2017

岡 山 細 胞 学 会 誌

発行者

発行日  

岡山県臨床細胞学会

平 成 29 年 12 月 1 日

(2)

第38回岡山県臨床細胞学会を下記の通り開催いたしますので,ご案内申し上げます. 記 1.期   日:  平成30年7月7日(土) 2.会   場:  岡山大学医学部 臨床講義棟2F 第1講義室 3.学会事務局:  〒700-8558 岡山市北区鹿田町2-5-1       岡山大学病院病理診断科内       第38回岡山県臨床細胞学会学術集会事務局       事務局担当:那須 篤子       TEL:086-235-7760       FAX:086-235-7756       E-mail:[email protected] 4.プログラム:  1)一般演題       2)要望講演,会長講演:各1題       3)特別講演:「口腔と舌可動域における腫瘍性病変の細胞診」       岡山大学大学院医歯薬学総合研究科口腔病理学分野 准教授        中野 敬介 先生 5.一般演題応募: 平成30年5月下旬ごろ締切り        第38回岡山県臨床細胞学会学術集会        会長  藤田  勝

(3)

第 37 回岡山県臨床細胞学会・学術集会

プログラム

日 時 平成 29 年 7 月 22 日(土) 8:55〜11:30

会 場 川崎医科大学 現代医学教育博物館2階

(〒701-0192 岡山県倉敷市松島 577)

会 ⻑ 柳井 広之 (岡山大学病院 病理診断科)

【参加者の皆様へ】

・会場へはできるだけ公共交通機関を利用してお越しください。車でのお越

しの際は外来駐車場をご利用ください。なお、料金は各自でお願いします。

・受付開始は、8時30分です。

・参加費として、当日500円を申し受けます。

・年会費の納付受付は行いませんので、ご承知ください。

*年会費納付は振り込みのみとさせていただいております。

・カジュアルな服装でお越しください。

・細胞診専門医、細胞検査士の資格更新クレジットを申請しております。

【演者の皆様へ】

・1 演題 7 分とし、発表 5 分、質疑応答 2 分で進めます。

【役員の皆様へ】

・当日8時30分より川崎医科大学現代医学教育博物館3階にて役員会を開

催します。

1

(4)

プログラム

8:55〜9:00 開会挨拶 学術集会 会⻑・柳井 広之(岡山大学病院)

9:00〜9:14 《一般演題1》 座⻑ 林 敦志(岡山赤十字病院)

1. EUS-FNA で経験した膵 neuroendocrine carcinoma の一例

公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院

臨床検査技術部 病理検査室

1)

同 病理診断科

2)

○中村 香織(CT)

1)

,原田 美香(CT)

1)

,香田 浩美(CT)

1)

,小寺 明美(CT)

1)

實平 悦子(CT)

1)

,山口 大介(CT)

1)

,板倉 淳哉(MD)

2)

,内野かおり(MD)

2)

2. MTX 関連リンパ増殖性疾患の 2 例

岡山大学病院 病理部

○濵田 香菜(CT),那須 篤子(CT),本山由紀子(MT),原田 和恵(CT),

井上 博文(CT),今井みどり(CT),松岡 博美(CT),藤田 勝(CT),

田中 顕之(MD),田中 健大(MD),柳井 広之(MD)

9:14〜9:28 《一般演題2》 座⻑ 舟田 和幸(岡⼭市⺠病院)

3. 気管支に発生した粘表皮癌の一例

川崎医科大学総合医療センター 病理部

1)

神⼾常磐⼤学

2)

○日野 寛子(CT)

1)

,高須賀博久(CT)

1)

,成富 真理(CT)

1)

,畠 榮(CT )

2)

物部 泰昌(MD)

1)

4. 高度なリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例

独立行政法人 労働者健康安全機構 岡山労災病院 中央検査部

1)

同 病理診断科

2)

,同 胸部外科

3)

○菅沼 和義(CT)

1)

,園部 宏(MD)

2)

,岩佐 貴仁(CT)

1)

,妹尾 純江(CT)

1)

藤木 正昭(CT)

1)

,横谷 幸男(CT)

1)

,河合 央(MD)

3)

9:28〜9:49 《一般演題3》 座⻑ 田村麻衣子(岡山赤十字病院)

5. 細胞形態と免疫染色結果が診断のピットフォールとなった悪性中皮腫の 1 例

国立病院機構岩国医療センター

○佐藤 正和(CT)

6. 子宮頚部擦過標本にて小細胞癌との鑑別に苦慮した basaloid squamous cell

carcinoma の 1 例

国立病院機構福山医療センター

1)

,岡山大学病院

2)

,岡山労災病院

3)

○有安 早苗(CT)

1)

,柳井 広之(MD)

2)

,園部 宏(MD)

3)

7. 尿管癌術後,胸水細胞診に TTF-1 陽性異型細胞が出現した1例

国立病院機構岡山医療センター 臨床検査科

1)

,岡山大学病院 病理診断科

2)

○平本 直美(CT)

1)

,福田 智(CT)

1)

,原田侑香里(CT)

1)

,神農 陽子(MD)

1)

谷口 香(MD)

2)

9:49〜10:00 休憩

10:00〜10:30 岡山県臨床細胞学会 総会

10:30〜11:30 《特別講演》 座⻑ 柳井 広之(岡山大学病院)

「尿細胞診:The Paris System と標本の見方を中心に」

社会医療法人白十字会 白十字病院臨床検査科

大谷 博 先生

プログラム

8:55〜9:00 開会挨拶 学術集会 会⻑・柳井 広之(岡山大学病院)

9:00〜9:14 《一般演題1》 座⻑ 林 敦志(岡山赤十字病院)

1. EUS-FNA で経験した膵 neuroendocrine carcinoma の一例

公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院

臨床検査技術部 病理検査室

1)

同 病理診断科

2)

○中村 香織(CT)

1)

,原田 美香(CT)

1)

,香田 浩美(CT)

1)

,小寺 明美(CT)

1)

實平 悦子(CT)

1)

,山口 大介(CT)

1)

,板倉 淳哉(MD)

2)

,内野かおり(MD)

2)

2. MTX 関連リンパ増殖性疾患の 2 例

岡山大学病院 病理部

○濵田 香菜(CT),那須 篤子(CT),本山由紀子(MT),原田 和恵(CT),

井上 博文(CT),今井みどり(CT),松岡 博美(CT),藤田 勝(CT),

田中 顕之(MD),田中 健大(MD),柳井 広之(MD)

9:14〜9:28 《一般演題2》 座⻑ 舟田 和幸(岡⼭市⺠病院)

3. 気管支に発生した粘表皮癌の一例

川崎医科大学総合医療センター 病理部

1)

神⼾常磐⼤学

2)

○日野 寛子(CT)

1)

,高須賀博久(CT)

1)

,成富 真理(CT)

1)

,畠 榮(CT )

2)

物部 泰昌(MD)

1)

4. 高度なリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例

独立行政法人 労働者健康安全機構 岡山労災病院 中央検査部

1)

同 病理診断科

2)

,同 胸部外科

3)

○菅沼 和義(CT)

1)

,園部 宏(MD)

2)

,岩佐 貴仁(CT)

1)

,妹尾 純江(CT)

1)

藤木 正昭(CT)

1)

,横谷 幸男(CT)

1)

,河合 央(MD)

3)

9:28〜9:49 《一般演題3》 座⻑ 田村麻衣子(岡山赤十字病院)

5. 細胞形態と免疫染色結果が診断のピットフォールとなった悪性中皮腫の 1 例

国立病院機構岩国医療センター

○佐藤 正和(CT)

6. 子宮頚部擦過標本にて小細胞癌との鑑別に苦慮した basaloid squamous cell

carcinoma の 1 例

国立病院機構福山医療センター

1)

,岡山大学病院

2)

,岡山労災病院

3)

○有安 早苗(CT)

1)

,柳井 広之(MD)

2)

,園部 宏(MD)

3)

7. 尿管癌術後,胸水細胞診に TTF-1 陽性異型細胞が出現した1例

国立病院機構岡山医療センター 臨床検査科

1)

,岡山大学病院 病理診断科

2)

○平本 直美(CT)

1)

,福田 智(CT)

1)

,原田侑香里(CT)

1)

,神農 陽子(MD)

1)

谷口 香(MD)

2)

9:49〜10:00 休憩

10:00〜10:30 岡山県臨床細胞学会 総会

10:30〜11:30 《特別講演》 座⻑ 柳井 広之(岡山大学病院)

「尿細胞診:The Paris System と標本の見方を中心に」

社会医療法人白十字会 白十字病院臨床検査科

(5)

プログラム

8:55〜9:00 開会挨拶 学術集会 会⻑・柳井 広之(岡山大学病院)

9:00〜9:14 《一般演題1》 座⻑ 林 敦志(岡山赤十字病院)

1. EUS-FNA で経験した膵 neuroendocrine carcinoma の一例

公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院

臨床検査技術部 病理検査室

1)

同 病理診断科

2)

○中村 香織(CT)

1)

,原田 美香(CT)

1)

,香田 浩美(CT)

1)

,小寺 明美(CT)

1)

實平 悦子(CT)

1)

,山口 大介(CT)

1)

,板倉 淳哉(MD)

2)

,内野かおり(MD)

2)

2. MTX 関連リンパ増殖性疾患の 2 例

岡山大学病院 病理部

○濵田 香菜(CT),那須 篤子(CT),本山由紀子(MT),原田 和恵(CT),

井上 博文(CT),今井みどり(CT),松岡 博美(CT),藤田 勝(CT),

田中 顕之(MD),田中 健大(MD),柳井 広之(MD)

9:14〜9:28 《一般演題2》 座⻑ 舟田 和幸(岡⼭市⺠病院)

3. 気管支に発生した粘表皮癌の一例

川崎医科大学総合医療センター 病理部

1)

神⼾常磐⼤学

2)

○日野 寛子(CT)

1)

,高須賀博久(CT)

1)

,成富 真理(CT)

1)

,畠 榮(CT )

2)

物部 泰昌(MD)

1)

4. 高度なリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例

独立行政法人 労働者健康安全機構 岡山労災病院 中央検査部

1)

同 病理診断科

2)

,同 胸部外科

3)

○菅沼 和義(CT)

1)

,園部 宏(MD)

2)

,岩佐 貴仁(CT)

1)

,妹尾 純江(CT)

1)

藤木 正昭(CT)

1)

,横谷 幸男(CT)

1)

,河合 央(MD)

3)

9:28〜9:49 《一般演題3》 座⻑ 田村麻衣子(岡山赤十字病院)

5. 細胞形態と免疫染色結果が診断のピットフォールとなった悪性中皮腫の 1 例

国立病院機構岩国医療センター

○佐藤 正和(CT)

6. 子宮頚部擦過標本にて小細胞癌との鑑別に苦慮した basaloid squamous cell

carcinoma の 1 例

国立病院機構福山医療センター

1)

,岡山大学病院

2)

,岡山労災病院

3)

○有安 早苗(CT)

1)

,柳井 広之(MD)

2)

,園部 宏(MD)

3)

7. 尿管癌術後,胸水細胞診に TTF-1 陽性異型細胞が出現した1例

国立病院機構岡山医療センター 臨床検査科

1)

,岡山大学病院 病理診断科

2)

○平本 直美(CT)

1)

,福田 智(CT)

1)

,原田侑香里(CT)

1)

,神農 陽子(MD)

1)

谷口 香(MD)

2)

9:49〜10:00 休憩

10:00〜10:30 岡山県臨床細胞学会 総会

10:30〜11:30 《特別講演》 座⻑ 柳井 広之(岡山大学病院)

「尿細胞診:The Paris System と標本の見方を中心に」

社会医療法人白十字会 白十字病院臨床検査科

大谷 博 先生

プログラム

8:55〜9:00 開会挨拶 学術集会 会⻑・柳井 広之(岡山大学病院)

9:00〜9:14 《一般演題1》 座⻑ 林 敦志(岡山赤十字病院)

1. EUS-FNA で経験した膵 neuroendocrine carcinoma の一例

公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院

臨床検査技術部 病理検査室

1)

同 病理診断科

2)

○中村 香織(CT)

1)

,原田 美香(CT)

1)

,香田 浩美(CT)

1)

,小寺 明美(CT)

1)

實平 悦子(CT)

1)

,山口 大介(CT)

1)

,板倉 淳哉(MD)

2)

,内野かおり(MD)

2)

2. MTX 関連リンパ増殖性疾患の 2 例

岡山大学病院 病理部

○濵田 香菜(CT),那須 篤子(CT),本山由紀子(MT),原田 和恵(CT),

井上 博文(CT),今井みどり(CT),松岡 博美(CT),藤田 勝(CT),

田中 顕之(MD),田中 健大(MD),柳井 広之(MD)

9:14〜9:28 《一般演題2》 座⻑ 舟田 和幸(岡⼭市⺠病院)

3. 気管支に発生した粘表皮癌の一例

川崎医科大学総合医療センター 病理部

1)

神⼾常磐⼤学

2)

○日野 寛子(CT)

1)

,高須賀博久(CT)

1)

,成富 真理(CT)

1)

,畠 榮(CT )

2)

物部 泰昌(MD)

1)

4. 高度なリンパ球浸潤を伴った乳癌の一例

独立行政法人 労働者健康安全機構 岡山労災病院 中央検査部

1)

同 病理診断科

2)

,同 胸部外科

3)

○菅沼 和義(CT)

1)

,園部 宏(MD)

2)

,岩佐 貴仁(CT)

1)

,妹尾 純江(CT)

1)

藤木 正昭(CT)

1)

,横谷 幸男(CT)

1)

,河合 央(MD)

3)

9:28〜9:49 《一般演題3》 座⻑ 田村麻衣子(岡山赤十字病院)

5. 細胞形態と免疫染色結果が診断のピットフォールとなった悪性中皮腫の 1 例

国立病院機構岩国医療センター

○佐藤 正和(CT)

6. 子宮頚部擦過標本にて小細胞癌との鑑別に苦慮した basaloid squamous cell

carcinoma の 1 例

国立病院機構福山医療センター

1)

,岡山大学病院

2)

,岡山労災病院

3)

○有安 早苗(CT)

1)

,柳井 広之(MD)

2)

,園部 宏(MD)

3)

7. 尿管癌術後,胸水細胞診に TTF-1 陽性異型細胞が出現した1例

国立病院機構岡山医療センター 臨床検査科

1)

,岡山大学病院 病理診断科

2)

○平本 直美(CT)

1)

,福田 智(CT)

1)

,原田侑香里(CT)

1)

,神農 陽子(MD)

1)

谷口 香(MD)

2)

9:49〜10:00 休憩

10:00〜10:30 岡山県臨床細胞学会 総会

10:30〜11:30 《特別講演》 座⻑ 柳井 広之(岡山大学病院)

「尿細胞診:The Paris System と標本の見方を中心に」

社会医療法人白十字会 白十字病院臨床検査科

大谷 博 先生

(6)

2017年4月より神戸常盤大学保健科学部 医療検査学科の教授として赴任し,神戸 での生活も半年が過ぎ大学の業務にも慣れ,学生と楽しく過ごしています.そこで, 神戸常盤大学細胞検査士養成課程の事を,少し紹介したいと思います. 近畿圏の細胞検査士養成校として長年続いた大阪府立成人病センター(現大阪国際 がんセンター)付設細胞検査士養成コースが休講となり,細胞検査士を養成する施設 がないという状況下,短期大学だった本学は2008年に4年制大学に移行し,保健科学 部医療検査学科の新しいカリキュラムとして,2011年に4年制大卒で臨床検査技師・ 細胞検査士のダブルライセンスを取得できる細胞検査士養成課程が開設されました. 北里大学の服部 学先生をはじめ,多くの養成機関や大阪府立成人病センター細胞検 査士養成コースのシステムを参考とし開設されており,開校当時からご尽力下さった 布引 治先生や覚道 健一先生(当時和歌山県立医科大学教授)の呼びかけで,近畿圏 医学部各分野の教授(細胞診専門医)の協力のもと岩井 重寿先生(当時神戸常盤大 学教授)がカリキュラムの基盤をまとめて下さいました.2011年の開講から2016年ま での6年間で65名の合格者を世に送り出しています. 大学での細胞検査士教育について必要なことは,病理組織学を基礎とし細胞が織り なす形態的変化を認識することと考えています.認識とは基本的には哲学の概念で, 主体あるいは主観が対象を明確に把握することを言い表しています.知識とほぼ同義 語でありますが,日常語の知識と区別され,知識は主に認識によって得られた「成果」 を意味します.認識は成果のみならず対象を把握するに至る「作用」を含む概念と考 えています.形態学的なパターン認識は自然情報処理のひとつで,画像などの多量の データの中から,意味を持つ対象を選別して取り出す処理です.病理・細胞診断にお ける多量の正常細胞の中から,特定の細胞や細胞が織り成すパターンを識別・認識す るなどの行為がパターン認識そのものであります.教育者としてどの様に振舞うかは Aristotelesの言葉にありますように,「Those that know, do. Those that understand, teach.」認識し理解することは,教えることにつながると考えています. 本号は,第37回岡山県臨床細胞学会・学術集会で発表された7例と症例報告1の編 で構成されています.これら8編すべての症例は,病理医指導のもとで細胞検査士が 報告したもので,多岐の分野にわたる症例で構成されています.岡山臨床細胞学会の 前身である日本臨床細胞学会岡山支部会は,若い細胞検査士が学問を発展させるため の場として1981年8月に設立され,この設立を機に学会で発表した症例を論文とし, 業績として残すことを目的に支部会誌が発刊されました.本号で第36巻となり,多く の症例はいずれも実地臨床に即した内容で明日からの診療に応用できるものです.岡 山県臨床細胞学会においても,日本臨床細胞学会の理念である「我が国の細胞診断学 の進歩・発展を図り,細胞診を通じて国民の健康を守ること」を肝に銘じ,その考え が本誌にもしっかりと反映されたものと考えます. 最後になりましたが,現在,本誌は柳井先生をはじめとする編集委員のもとで,電 子ジャーナル化の検討を始めています.電子ジャーナル化は時代のニーズであり,実 現しなくてはならない重要な課題と考えていますので,皆様のご協力をよろしくお願 い申し上げます. 神戸常盤大学 保健科学部 医療検査学科 

畠   榮

巻 頭 言

(7)

7

総  説

 岡山県臨床細胞学会 Ⅰ.は じ め に 尿細胞診は,尿路悪性腫瘍の早期発見及び再発スク リーニングとして非侵襲性,かつ安価な優れた検査で ある.腎移植後等の免疫不全状態におけるBKウイル ス腎症の検出(デコイ細胞)にも用いられ,現在の実 地臨床に広く浸透している.自然尿細胞診では,上部 尿路から下部尿路までの剥離細胞が様々な程度に形態 変化を示して出現するので,初心者には一見難しい領 域と思われる.しかし,いくつかのコツを覚えてしま えば,比較的ストレスなく鏡検できるようになる1) 特に,5種類の細胞像,つまり1)HGUC細胞,2) デコイ細胞,3)LGUC細胞,4)反応性尿路上皮細胞, 5)反応性尿細管上皮細胞の出現パターンとその特徴 を掴めば,特殊な症例を除いた大部分の尿細胞診検体 の診断が可能となる. 尿細胞診の報告書は,各施設や各個人のルールで個 別に運用されてきた.診断カテゴリーに関しても,国 内外を問わず様々な用語,記号が様々な定義で用いら れ,国内ではパパニコローの5段階分類,その細分型 の7段階分類,更に3段階分類,4段階分類などが利 用されてきた2).尿細胞診のレポートを異なる基準や 異なる用語で報告すると,受け取った臨床医が病理医 の意図とは異なった解釈をしてしまうリスクがあり3) それは患者に対する不適切な治療に繋がる危険性を孕 んでいる.更に,国内外を問わず,尿細胞診標本の作 製法は,検体処理法や細胞保存液を含めて施設によっ て多種多様であり,標準化や再現性のハードルとなっ ている.尿細胞診の発展には,報告様式,診断基準及 び標本作製法の3要素の標準化は避けられない重要な 課題である. そのような背景から,日本臨床細胞学会や泌尿器細 胞診カンファレンスにおいて尿細胞診の報告様式を統 一しようという機運が高まっていた.2012年に日本臨 床細胞学会,日本病理学会,日本泌尿器科学会のエキ スパートからなる泌尿器細胞診報告様式統一のための ワーキンググループが発足し,その成果は2015年4月 に日本臨床細胞学会理事会で承認され,泌尿器細胞診 報告様式2015として公開された4) .一方,国際的にも 報告様式統一を試みる動きがあり5~8),本邦からやや 遅れて,米国の病理医主導で欧州を含めた10ヵ国,総 勢49名からなるパリスシステムのワーキンググループ

尿細胞診:The Paris Systemと標本の見方を中心に

大谷  博

社会医療法人白十字会白十字病院臨床検査科   論文別刷請求先 〒819-8511 福岡市西区石丸3-2-1       社会医療法人白十字会       白十字病院臨床検査科       大谷  博

 The Paris System(パリスシステム)は,尿細胞診報告様式の統一を目的として作成された国際 的な報告様式である.2013年にパリで開催されたInternational Academy of Cytology Congressにお いてThe Paris System for Reporting Urinary Cytologyのワーキンググループが発足したことに始ま り,2016年にその集大成としてアトラス本が発刊された.パリスシステムの最大の特徴は,高異型度 尿路上皮癌(HGUC)の検出にターゲットを絞ったことであり,生命予後が良く,尿細胞診の感度が 低い低異型度尿路上皮癌(LGUC)は尿細胞診の主な対象から除外された.  一方,2015年に承認された本邦初の泌尿器細胞診報告様式は,包括的な報告様式であり,パリスシ ステムとの読み替えが可能となるよう配慮された.新しい両報告様式は,社会的背景,診断書式,診 断カテゴリーの定義,および診断基準等に類似点と相違点がある.各施設において新しい報告様式を 導入する際には,両報告様式の特徴を理解することと泌尿器科医を含めた臨床サイドとの情報共有が 不可欠である.  Key Words:尿細胞診,報告様式,パリスシステム,高異型度尿路上皮癌,標準化

(8)

が発足した.日本からも7名がcontributing authorと して参加し,2016年に米国からアトラス本が9),2017 年には本邦からその翻訳本が出版された10) 本稿では,まず,パリスシステムの概要を紹介し, 現状での解釈や問題点を述べることで,導入を検討さ れる施設への情報提供としたい.後半では,尿細胞標 本の系統的かつ精度向上に役立つ分かりやすい見方を 本邦報告様式に沿って説明する.日常診断の一助にな れば幸いである. Ⅱ.パリスシステムの特徴と診断カテゴリーの概要 1.パリスシステムの特徴 パリスシステムは,米国細胞診学会と国際細胞診ア カデミーに支持され,2年間に渡るワーキンググルー プの活動により確立された世界初の標準化された尿細 胞診報告様式である.早期治療が必要な高異型度尿路 上皮癌(HGUC)の診断を目的にデザインされ,生命 予 後 が 良 く, 緊 急 性 の 低 い 低 異 型 度 尿 路 上 皮 癌 (LGUC)は尿細胞診の主たる対象から除外された. 腫瘍発生学的にHGUCとLGUCは異なる経路由来であ り,異なる臨床病理像を示すことが一つの根拠となっ ている9).エビデンスが網羅され,診断カテゴリーの 定義や診断基準が厳密に規定されおり,既存の報告様 式とは一線を画したパラダイムシフトの様相を呈して いる.尿管カテーテル尿のような上部尿路検体は対象 ではなく,下部尿路検体を対象としている.泌尿器科 の泌尿器腫瘍に関連した患者が主な対象となる. 2.診断カテゴリーの概要 パリスシステムは,主にHGUCの有無あるいその可 能性の程度を診断するカテゴリー分類となっており, 直接,7種類の組織型あるいは記述診断に分類する方 法を採用している.従来の分類および本邦報告様式と の対比を表1に示す.以下に,カテゴリーの定義,診 断基準と臨床管理を概説するが,実際の細胞形態,細 胞写真を含めた詳細は,アトラス本9, 10)や文献11)を参 照していただきたい. 1)尿検体の適正(Adequacy)カテゴリー 尿細胞標本の妥当性,適正評価に関する基本的な考 え方は本邦報告様式に類似している.エビデンスが乏 しいこともあり,The Paris System's recommendation としてアルゴリズムを提示している.その概略は,悪 性を否定できない異型細胞の有無,自然尿か洗浄尿か, 細胞密度,及び尿量によって適正か不適正かを判定す るよう推奨し,各施設での条件設定に役立てるよう丁 寧に解説されている. 臨床管理:尿細胞診の再検

2) 高 異 型 度 尿 路 上 皮 癌 陰 性(Negative for High-Grade Urothelial Carcinoma,NHGUC)カテゴリー 良性と考えられる細胞からなるもので,HGUCを示 唆する異型細胞が出現していなければNHGUCと診断 する.例えば,LGUCが疑われる異型細胞が出現して いてもNHGUCと診断してコメントにLGUCが疑われ ると記載すればよい.これが本邦報告様式やこれまで の報告様式と根本的に異なる点であり,HGUCが存在 しないというメッセージが強調されて臨床側に伝わる こととなる. 臨床管理:必要がある場合のみ経過観察

3) 異 型 尿 路 上 皮 細 胞(Atypical Urothelial Cells, AUC)カテゴリー 基本的な考え方は本邦の異型細胞カテゴリーと同様 表1 診断カテゴリーの対比表 パリスシステム (TPS) 7段階クラス分類 5段階クラス分類 3段階分類 Adequacy HGUC □HGUC LGUN □LGUC

Other malignancies □Other malignancies 本邦の新報告様式 不適正

陰性

異型細胞

悪性疑い

陰性 陽性 Negative for HGUC classⅡ

classⅡ classⅢa

悪性

classⅣ Suspicious for HGUC

classⅣ

classⅤ classⅤ classⅢ

疑陽性 Atypical urothelial cells classⅢ

classⅢb

classⅠ classⅠ

(9)

9 VOL. 36 2017 であり,異型尿路上皮細胞が出現しているが,HGUC 疑いカテゴリーやHGUCカテゴリーに診断することが できず,かつ,NHGUCカテゴリーにも診断できない ものである.異型扁平上皮細胞などの尿路上皮系以外 の異型細胞が出現している場合の対応については明記 されていない.LGUCが疑われる異型尿路上皮細胞が 出 現 し て い る 場 合 は,AUCカ テ ゴ リ ー で は な く, NHGUCカテゴリーに診断される.N/C比>50%が必 須であり,核クロマチン増加,核膜不整,粗大・凝集 クロマチン等の質的要素を重要視している11).量的基 準はない. 臨 床 管 理: 必 要 が あ る 場 合 の み 経 過 観 察.FISH (fluorescence in situ hybridization)を含めた補助検

査が考慮される.

4)高異型度尿路上皮癌疑い(Suspicious for High-Grade Urothelial Carcinoma,SHGUC)カテゴリー HGUCと考えられる異型尿路上皮細胞が出現してい るが,細胞量(数)が少ない(10個未満)ために HGUCの診断に届かないものに限定して用いられる. つまり,高異型度尿路上皮癌カテゴリーとの質的な差 はなく,量が不足しているものである.質的な基準は, AUCカテゴリーの各基準の程度が強くなったものと 考えるとよい. 臨床管理:膀胱鏡や生検 5) 高 異 型 度 尿 路 上 皮 癌(High-Grade Urothelial Carcinoma,HGUC)カテゴリー HGUCと考えられる異型尿路上皮細胞が5-10個以 上みられ,HGUCと診断できるものである.尿路上皮 系以外の悪性腫瘍はHGUCカテゴリーではなく,その 他の悪性腫瘍のカテゴリーに含まれる. 臨床管理:膀胱鏡や生検,病期の決定など 6) 低 異 型 度 尿 路 上 皮 腫 瘍(Low-Grade Urothelial Neoplasia,LGUN)カテゴリー LGUN(エルガンと読む)は,LGUC,PUNLMP (papillary urothelial neoplasm of low malignant

potential),urothelial papillomaの3種類の乳頭状腫 瘍およびurothelial dysplasiaを包括したカテゴリーで ある.尿細胞診でこれらを厳密に区別することができ ないことが包括された理由の1つである.定義は,尿 路上皮細胞の立体的乳頭状集塊にfibrovascular core (線維血管軸)が見られることが絶対条件であり,線 維 血 管 軸 の な い も の はLGUNと し て は な ら な い (dysplasiaは必然的にLGUNから除外される).経験上, 自然尿では極めて稀である. 臨床管理:生検によるgradeとstageの確認 7)その他の原発性,転移性悪性腫瘍およびその他の 病 変(Other Malignancies Primary and Metastatic and Miscellaneous Lesions)カテゴリー

非尿路上皮系の悪性腫瘍とその他の病変が含まれ, 一般に尿細胞診のみで正確に診断することは困難で, 臨床情報や免疫染色が診断に役立つことがある. 臨床管理:膀胱鏡や生検,病期の決定など 3.パリスシステムの利点と問題点 1)パリスシステムの利点 パリスシステムの特筆すべきポイントは,世界初の 統一された国際的尿細胞診報告様式であることと HGUCの検出に焦点を絞り,LGUCを尿細胞診の主た る対象から除外したことである12).HGUCのみをター ゲットにしたことにより,診断カテゴリーが論理的で 特にがん専門施設の泌尿器科医には理解しやすいもの と思われる.文献を含めたエビデンスが網羅されてい ることから,尿細胞診の自学や研究に役立つ.論文を 国際雑誌に投稿する際には有利である. 2)パリスシステムの問題点 パリスシステムの問題点は,高異型度か低異型度か が不明瞭な場合や非尿路上皮系の異型細胞への対応が 明記されていないこと12),および診断アルゴリズム11) に従った場合,N/C比が50%以下のHGUC細胞が見落 とされる可能性があることが挙げられる.SHGUCカ テゴリーの量的基準が実用的か否か,LGUCが疑われ る細胞をNHGUCカテゴリーに包括することによって 上部尿路のLGUCを見落とすリスクはないか,尿管カ テーテル尿の報告様式はどの報告様式を利用するのか 等の問題も想定される. Ⅲ.泌尿器細胞診報告様式2015に沿った尿細胞標本 の見方 本邦の新報告様式では,HGUC細胞を見落とさない ことが基本である.自然尿細胞診では,上部尿路から 下部尿路までのさまざまな剝離細胞がさまざまな程度 に形態変化を示して出現するので,HGUC細胞の他の 異型細胞と鑑別することは必ずしも容易ではない. 従って,1.各疾患における背景所見を含めた出現パ ターンを認識して鑑別診断を絞り,次に2.細胞形態 を診断する2 段階細胞診断が推奨される(2-step cytodiagnosis)4, 12, 13) 1.パターン認識 鏡検を進めていく上で,まず,背景所見と上皮細胞 の出現パターン等から鑑別診断を絞り,年齢や臨床所 見を考慮して鑑別診断の優先順位を想定する.同時に, 細胞変性の程度と正常細胞の形態,特に核クロマチン の性状(異型細胞と対比するため)を確認しておくと よい.このパターン認識は,一般に,狭い領域に細胞

(10)

や構造物を重なることなく集めることができるLBC法 標本のメリットが大きい.実臨床では,特殊な症例を 除けば,5種類の細胞像の特徴を理解することにより, ストレスなく尿細胞の診断が可能になると考えてい る.以下にそれら5種類の細胞,つまり1) HGUC細 胞,2) デコイ細胞,3) LGUC細胞,4) 反応性尿 路上皮細胞,5) 反応性尿細管上皮細胞の出現パター ンと細胞像の特徴を概説する. 1)高異型度尿路上皮癌(HGUC)細胞 背景は,主に,①多数の細胞断片とアポトーシス細 胞がみられ、高度になると壊死性になるもの(写真1), ②細胞断片が少なく,大型の孤在性異型細胞が散見さ れる上皮内癌(CIS)パターン(写真2),③高度血 性背景に,少数の異型細胞が見られる(写真3)3パ ターンがある.一般に孤在性異型細胞は必ず出現し, 孤在細胞がない場合あるいは乏しい場合は結石等の可 能性を考慮する.細胞集塊の結合性は緩いことが多く, 核の飛び出しや集塊内に核片(アポトーシス小体)が みられることがある.類円形の孤在細胞のみかあるい は孤在細胞に平面的な小集塊が混在するような場合は CISの可能性を記載しておくとよい.逆に,細長い細 胞からなる大型の重積性集塊が多数みられるような場 合は乳頭状腫瘍の存在が疑われる.細胞形態の特徴は, 後述の2.細胞形態診断を参照していただきたい. 2)デコイ細胞(ウイルス感染細胞) 背景は比較的きれいであることが多く,一般に細胞 断片は見られても少数である.ポリオーマウイルス感 染(デコイ細胞)は,不顕性感染したものが免疫抑制 状態で再活性化されるものであるが,この頻度が高く, アデノウイルス,サイトメガロウイルス,単純ヘルペ スウイルス,パピローマウイルスの感染も知られてい る.背景の比較的きれいなHGUC,特にCISとの鑑別 が難しい場合があり,クロマチンパターンの確認は必 須である.デコイ細胞の核は丸みを持って腫大し,緊 満感がある.核形不整はないものが優勢で,たとえ見 られても軽度である.ウイルス封入体が確認できる場 合の診断は容易である(写真4)が,泥炭状クロマチ ンに核形不整を伴う場合など難しい症例も経験する (写真5).鑑別には,SV-40の免疫染色が役立つが, 感染細胞の多くは尿細管上皮細胞なので14),vimentin 免疫染色で代用することも可能である. 3)低異型度尿路上皮癌(LGUC)細胞 背景は比較的きれいで,細胞断片はあっても少ない. 異型細胞の出現数はHGUCよりも一般に少なく,異型 細胞が標本中に見られないことも稀ではない.小型の 異型細胞が均一な核濃染を示すことが特徴の一つで, 通常,細胞質も濃染する.細胞異型の評価すべき項目 は,基本的にHGUC細胞の項目と同様であるが,各項 写真3 高異型度尿路上皮癌の高度血尿パターン.凝血塊を伴う高度血 性背景に異型尿路上皮細胞が孤在性にごく少数出現している (×40). 写真2 CISの典型的なパターン.少数の好中球と細胞断片を背景に大 型異型尿路上皮細胞が孤在性に少数出現している(×40). 写真1 高異型度尿路上皮癌の典型的なパターン.多数の細胞断片を背 景に大型異型尿路上皮細胞が孤在性およびやや緩い結合性を示 す小集塊で多数出現している(×40).

(11)

11 VOL. 36 2017 目の異型の程度はHGUCよりも軽い.線維血管軸を伴 うような重積性大型集塊もしくは小型異型細胞がびま ん性に出現する場合(写真6)はLGUCの推定診断が 可能であるが,自然尿での出現頻度は低い.細胞集塊 の結合性は比較的強く,結石患者に出現する反応性尿 路上皮細胞の集塊との区別が難しいことがある.一般 に,LGUC細胞集塊に結石でみられるような滑らかな 丸味はないことが多く,辺縁に不整な凹凸がみられる. 孤在性異型細胞がほとんどみられない場合や集塊に好 中球浸潤がみられる場合は,結石の可能性をより疑う. 一方,核密度が高く,クロマチン増量,核偏在性や核 溝15)がみられる場合はLGUCが疑われる.少数の類円 形孤在細胞のみがみられる場合は異形成の可能性も考 慮される.LGUCの予後は良好なので,鑑別が難しい 場合は無理をせず,異型尿路上皮細胞と診断して再検 を依頼するとよい. 4)反応性尿路上皮細胞 反応性尿路上皮細胞で特に問題となるのは尿路結石 患者に出現するものである.背景は,少数の好中球が みられる場合と血性(軽度~高度)の場合がある.尿 路上皮細胞は,辺縁の滑らかな結合性の強い集塊で出 現することが多いが,修復細胞としてシート状に出現 (稀)するときは慎重な鑑別を要する.一般に,ほつ れや集塊からの核のとび出しは見られないが,好中球 浸潤が目立つ集塊には,ほつれが見られることがある. 核密度やN/C比は低く、核クロマチンの増量はみられ ないことが多い.細胞質はLGUC細胞と同じ程度に濃 染する.細胞質内空胞(アンブレラ細胞を除く)や集 塊内好中球浸潤は,結石に関連する反応性尿路上皮細 胞の特徴であり(写真7),LGUCとの鑑別に役立つ. 5)反応性尿細管上皮細胞 尿細管上皮細胞が自然尿に出現することは稀ではな 写真5 ウイルス感染パターン.尿細管上皮細胞を背景に泥炭状クロマ チンと核形不整を示す大型異型細胞が孤在性にみられる(× 100). 写真4 ウイルス感染パターン.好中球を背景に核内封入体を持つ大型 異型細胞が孤在性にみられる(×100). 写真6 低異型度尿路上皮癌の稀なパターン.少数の好中球と細胞断片 を背景に小型異型尿路上皮細胞が孤在性およびやや緩い結合性 を示す小集塊で多数出現している(×40). 写真7 尿路結石(反応性尿路上皮細胞)パターン.少数の好中球を背 景に,辺縁が比較的滑らかな丸みのある重積性細胞集塊がみら れる.集塊内に好中球浸潤がみられる(×100).

(12)

い.腎疾患患者に見られる典型的な背景は,ゴミが散 乱しているような印象で,円柱,顆粒状物質,無構造 物質,赤血球等が無秩序に出現し,変形赤血球がみら れることもある(写真8).反応性尿細管上皮細胞は 放射状,立体的~管状の小集塊で出現し,通常,孤在 細胞も同時にみられる.核は偏在してhobnail細胞の 形態を示す(写真9).細胞質は顆粒状,泡沫状~空 胞状でN/C比は比較的低く,細胞質内にヘモジデリン や好酸性小体がみられることがある.鑑別が難しい場 合は,vimentin免疫染色が有用である16) 2.細胞形態診断 細胞形態診断では,個々の異型細胞の所見と細胞集 塊の所見を評価する必要があるが1, 4, 13),本稿では HGUCの重要な細胞診断基準5項目4, 13, 17)について述 べる(表2).現時点で,絶対的な診断指標は存在せず, 所見の組合せ・程度を総合的に評価する.核クロマチ ン増量と核腫大の判定では,背景にみられる正常の尿 路上皮細胞,中層型の扁平上皮細胞あるいは好中球と の対比は欠かせない.総合判定では,細胞形態保持の 状態,つまり,評価に耐えうる細胞であるか(質)や 細胞数(量)を考慮することが大切である. 1)核クロマチン増量(または核濃染) 同じ標本中にみられる良性の尿路上皮細胞または中 層扁平上皮細胞の核と比較してクロマチン増量(また は核濃染)がみられるものである.好中球の核と同等 あるいはそれ以上に濃いクロマチンは高度増量(また は高度核濃染)とされる.集塊内では細胞の重なり等 によって濃く見える場合があるので,孤在細胞か集塊 からほつれた細胞で評価した方が良い.クロマチンの 性状は,標本作製法や細胞保存状態の影響を受けやす い.核濃縮等による核の濃染は含まない.核濃染(ク ロマチン増量)はHGUC の細胞診断の必須所見であ る.クロマチン凝集も高異型度尿路上皮癌の特徴の一 つで同時に確認することを勧めるが,LBC法では特に 目立たない場合があり,必須所見ではない. 2)核形不整 正常尿路上皮細胞に見られるような平滑な辺縁の円 形~楕円形の核ではなく,核の形が不整(多角形、分 葉状、不整形など)あるいは不整な核縁(凹凸、切れ 込み、鋸歯状など)を呈するものである.核の立体不 整(顕微鏡の焦点を変えたときに核形態が変わる)は 高度の核形不整に含まれる.慣れると,焦点をずらさ なくても核の一部にフォーカスが合わない領域があれ ば立体不整と認識することができる. 3)N/C比大 細胞質(細胞)全体の面積と核面積の比で,一般に 50%以上あればN/C比が高いとされる.70~75%以上 は,高度のN/C比大である.細胞集塊では,細胞境界 を正確に把握できないことが多いので,孤在細胞か集 塊からほつれた細胞で評価した方が良い.尿路上皮細 胞のN/C比は,細胞の短軸方向に封入されると高くな り,長軸方向封入では低くなる傾向があるので,特に 細胞数が少ない場合は過剰評価しない.一般に,目測 値と実測値では,目測値の方が高く見積もってしまう 傾向がある. 写真8 腎疾患パターン.背景には多数の円柱,顆粒状物質や無構造物 が見られ,その中に尿細管上皮細胞が小集塊および孤在性に散 見される(×10). 写真9 腎疾患パターン.円柱と顆粒状物質を背景に,hobnail細胞が 緩い結合性を示す放射状小集塊で出現している(×100). 表2 高異型度尿路上皮癌の診断基準5項目

1. 核クロマチン増量・核濃染 (Hyperchromasia)

2. 核形不整・立体不整 (Irregular nuclear shape)

3. N/C比大 (High nuclear/cytoplasmic ratio)

4. 核偏在・突出 (Eccentric nuclei)

5. 核腫大 (Enlarged nuclei)

表2  高異型度尿路上皮癌の細胞診断に重要な5項目(日本臨 床細胞学会4)より引用改変).

(13)

13 VOL. 36 2017 4)核偏在 核が細胞膜に接しているように見える場合で,組織 所見の構築(極性)の乱れを反映する所見である.細 胞質内空胞によって核が偏在するものは含まない.核 突出(核偏在により,核が本来の細胞膜の輪郭から外 方に突出しているようにみえる)は高度の核偏在とさ れる.核偏在を示す異型細胞は,反応性尿細管上皮細 胞を除外する必要があり,除外できない細胞は参考程 度にとどめた方がよい. 5)核腫大 同じ標本中にみられる良性の尿路上皮細胞または中 層型扁平上皮細胞の核または好中球と比較して,これ よりも核面積が広いものである.好中球の2倍以上の 核は高度腫大とする.細胞収縮や萎縮により,好中球 と同じ程度の大きさの核面積を示す小型のHGUC細胞 がみられることがあるので,見落とさないようにする. 他方,核腫大のある大型の尿路上皮細胞がみられても, クロマチン増量が全くみられないものは無視してよ い. 一般に,これらの5所見全てが,細胞形態良好の多 数の細胞に明瞭に観察されれば,「悪性,推定組織型: HGUC」と診断することができる.5所見の中でどの 所見がどの程度欠如したら「悪性疑い」または「異型 細胞」の診断カテゴリーにすべきかについては,まだ 十分には検討されていない.この5所見以外の重要な 所見としては,pair cell18),アポトーシス,細胞質異常, intracytoplasmic lumina(ICL)等が挙げられる. Ⅳ.ま と め パリシステムを概説し,泌尿器細胞診報告様式2015 に沿った自然尿細胞診の見方を解説した.新報告様式 の導入に際しては,従来のカテゴリー分類との関連を 含めた臨床側との情報共有が何より大切である.尿細 胞診では,診断基準の統一や標本作製法の標準化など 解決すべき問題は少なくない.標準化された報告様式 と診断基準を用いた尿細胞診断の精度向上が泌尿器疾 患患者の迅速で適切な診断,および治療に役立つもの と確信している.今後の課題としては,パリスシステ ムとの報告様式,診断基準の統合や標本作製法の標準 化が挙げられ,これらは同時に細胞診断業務に献身す る我々の社会的責務でもある. Ⅴ.文献/URL 1) 大谷 博,小出祐子,森 健一,吉田一博,笠間美紀子, 関本哉恵.総説実践尿細胞診断.香臨細胞雑誌2015;27: 3-11 2) 日本臨床細胞学会編.細胞診ガイドライン1婦人科・泌尿 器.東京:金原出版;2015.168-179

3) Powsner SM,Costa J,Homer RJ. Clinicians are from Mars and pathologists are from Venus. Arch Pathol Lab Med 2000;124:1040–1046

4) 日本臨床細胞学会:泌尿器細胞診報告様式 2015 http:// jscc.or.jp/wp-content/themes/jscc/zassi/55-4yp/55-4-06泌 尿器細胞診新報告様式解説書刊行ワーキンググループ.pdf 5) Layfield LJ,Elsheikh TM,Fili A,Nayar R,Shidham V.

Review of the state of the art and recommendations of the Papanicolaou Society of Cytopathology for urinary cytology procedures and reporting : the Papanicolaou Society of Cytopathology Practice Guidelines Task Force. Diagn Cytopathol 2004;20:24-30

6) Owens CL,Vandenbussche CJ,Burroughs FH, Rosenthal DL. A review of reporting systems and terminology for urine cytology. Cancer Cytopathol 2013; 121:9-14

7) Rosenthal DL,Vandenbussche CJ,Burroughs FH, Sathiyamoorthy A,Guan H,Owens C. The Johns Hopkins Hospital template for urologic cytology samples: part I-creating the template. Cancer Cytopathol 2013; 121:15-20

8) VandenBussche CJ,Sathiyamoorthy S,Owens CL, Burroughs FH,Rosenthal DL. The Johns Hopkins Hospital template for urologic cytology samples: parts II and III: improving the predictability of indeterminate results in urinary cytologic samples: an outcomes and cytomorphologic study. Cancer Cytopathol 2013;121: 21-8

9) Rosenthal DL,Wojcik EM,Kurtycz DFI. The Paris System for Reporting Urinary Cytology. Switzerland: Springer International Publishing; 2016

10) Rosenthal DL,Wojcik EM,Kurtycz DFI.都築豊徳監訳. 尿細胞診報告様式パリシステム.東京:丸善出版;2017 11) Barkan GA,Wojcik EM,Nayar R,Savic-Prince S,

Quek ML, Kurtycz DFI,et al. The Paris System for Reporting Urinary Cytology: The Quest to Develop a Standardized Terminology. Acta Cytol 2016;60:185-197 12) 大谷 博,吉田一博,林 洋子.尿細胞診報告書−日本と 世界で何が変わったのか−.臨泌2016;70:776-784 13) 大谷 博:尿細胞診.青笹克之(総編),都築豊徳(専編). 癌診療指針のための病理診断プラクティス−腎・尿路/男 性生殖器腫瘍.2016.230-240

14) Ariyasu S,Yanai H,Sato M,Shinno Y,Taniguchi K, Yamadori I,et al. Simultaneous immunostaining with anti-S100P and anti-SV40 antibodies revealed the origin of BK virus-infected decoy cells in voided urine samples. Cytopathology 2015; 26: 250-255

15) 今井律子,夏目園子,橋本政子,高木里枝,深津俊明,佐 竹立成.尿路上皮細胞に認められる核溝について.日臨細 胞誌 2004;43:311-315

16) Ohsaki H,Hirakawa E,Nakamura M,Norimatsu Y, Kiyomoto H,Haba R. Expression of vimentin and high-molecular-weight cytokeratin(clone 34ßE12) in differentiating reactive renal tubular cells from low-grade

(14)

urothelial carcinoma cells in voided urine. Cytopathology 2011; 22: 247-252 17) 大谷 博,小出祐子,冨川千晶,新飼好広,森 健一,原 田龍二.新しい泌尿器細胞診の報告様式−その概要と運用 の実際.メディカル・テクノロジー2017;45:84-90 18) 金城 満,福島朋子,渡辺寿美子,濱野克彦,鷺山和幸: 尿中細胞診における “Pair cell” の細胞学的および臨床的 意義.日臨細胞誌1999;38:129-135

(15)

15

症  例

 岡山県臨床細胞学会 Ⅰ.は じ め に Neuroendocrine carcinoma(NEC) は 細 胞 学 的 に 神経内分泌分化を示唆する所見を有するが,異型は強 く他の組織型との鑑別に苦慮することも多い.今回膵 臓のEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診)に おいて,組織診ではNECと診断できたものの,細胞 診では他の組織型との鑑別に苦慮した症例を経験した ので細胞像を中心に報告する. Ⅱ.症   例 50歳代男性.腰痛,食欲不振,体重減少を主訴に前 医を受診し,膵体部腫瘤と肝,肺転移を認め当院紹介 となった.組織型確定のため,膵腫瘤のEUS-FNAが 施行された. EUSでは膵体部に39×37 mm大の辺縁がスムース なlow echoic massを認めた.内部は血流が豊富であ り,腫瘍内を血管が貫通している所見も認められた(写 真1). Ⅲ.細 胞 所 見 EUS-FNAにて採取した検体で,直接塗抹標本およ  背景 膵臓のEUS-FNAにおいて,組織診ではneuroendocrine carcinoma(NEC)と診断できたも のの,細胞診では他の組織型との鑑別に苦慮した症例を経験したので,細胞像を中心に報告する.  症例 50歳代男性.腰痛,食欲不振,体重減少を主訴に前医受診.膵体部腫瘤と肝,肺転移を認め 組織型確定のため膵腫瘤のEUS-FNAが施行された.  細胞量は多く,細胞の集簇とともに孤立性の細胞が多数認められた.崩壊し,核線を形成する細胞 も多数見られた.個々の細胞は大型でN/C比が高く,核は偏在傾向を示し,核形不整は著明であった. 核クロマチンは粗顆粒状を示し,小型の核小体が1~数個認められた.ギムザ染色標本では細胞質は 好塩基性で空胞も見られた.以上より非上皮性腫瘍の可能性も否定できずClassⅤ,malignant neoplasmとした.同時に採取された組織標本では核が濃染し,やや大型の異型細胞の増生がみられた. 細胞はやや結合性に乏しいもののシート状に増生していた.免疫染色では神経内分泌マーカー陽性で Ki-67 indexは38.6%でありNECと診断された.  まとめ 異型の強い円形細胞からなる膵腫瘍は,細胞像のみでは鑑別に苦慮する場合もある.形態 的にNECを考えるには,充実性増殖を示唆する豊富な細胞量,強い細胞異型,ロゼット形成や上皮 性結合などの特徴を観察することが重要である.

 Key words: neuroendocrine carcinoma, neuroendocrine tumor, EUS-FNA, Ki-67 index, case report

EUS-FNAで経験した膵neuroendocrine carcinomaの一例

中村 香織(CT)

1)

,原田 美香(CT)

1)

,小寺 明美(CT)

1)

實平 悦子(CT)

1)

,山口 大介(CT)

1)

,香田 浩美(CT)

1)

板倉 淳哉(MD)

2)

,内野 かおり(MD)

2) 公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 臨床検査技術部 病理検査室1),同 病理診断科2)

Kaori NAKAMURA1)C.T., Mika HARADA1)C.T.,I.A.C., Akemi

KODERA1)C.T.,I.A.C., Etsuko SANEHIRA1)C.T.,I.A.C., Daisuke

YAMAGUCHI))C.T.I.A.C., Hiromi KODA1)C.T.,I.A.C., Junya

ITAKURA2)M.D., Kaori UCHINO2)M.D.

Pathology Laboratory, Kurashiki Central Hospital1)

Department of Anatomical Pathology, Kurashiki Central Hospital2)

  論文別刷請求先:〒710-8502 岡山県倉敷市美和1-1-1       公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構       倉敷中央病院 臨床検査技術部 病理検査室       中村 香織

(16)

び穿刺針の洗浄液のオートスメア標本の作製を行っ た.採取細胞量は多く,細胞集簇を示す部分とともに 孤立性の細胞も多数みられた(写真2a, b).これら の細胞の核は崩壊し核線を形成しているものもみられ た(写真2b).個々の細胞は大型でN/C比が高く,核 は偏在傾向を示し,核形不整は著明であった. 写真1 EUS画像

39×37㎜大の辺縁スムースなlow echoic massを認める. a:腫瘍内部は血流豊富. b:腫瘍内部を血管が貫通している.

a

b

写真2 a:Pap染色×20 b:Giemsa染色×20 c:Pap染色×40 d:Giemsa染色×40 a.b:採取細胞量は多く細胞集簇を示す部分とともに多数の孤立性細胞がみられた. b:崩壊し核線を形成する細胞もみられた. c:核クロマチンは粗顆粒状. d:胞体内に空胞を認める.

a

b

d

c

(17)

17 VOL. 36 2017 Ⅴ.考   察 膵神経内分泌腫瘍は膵腫瘍の2~3%であり,その う ち 神 経 内 分 泌 癌(neuroendocrine carcinoma: NEC)は7.5%と比較的稀な腫瘍である1).多くは高齢 者に発症し,性差は見られない.近年EUS-FNAの普 及により日常の検査業務にて遭遇する可能性も高まり つつある.腫瘍は急速に増大し,高率に転移するため 予後は極めて不良である2).浸潤性膵管癌やNETとは 治療方針も異なるため,確実な診断が求められる. NECは組織学的に腫瘍細胞が小型で胞体に乏しい 裸核状のものと,やや大型で淡好酸性の胞体を持つも のとがあるが,いずれも高度の細胞異型を示すといわ れている3).WHO分類(2010)では前者は小細胞型

神経内分泌癌(Small cell NEC)と呼ばれており,後 者は大細胞型神経内分泌癌(Large cell NEC)と呼ば れている.小細胞型は高異型度の裸核様小型細胞の シート状増殖という特徴的な細胞,組織所見から神経 内分泌分化を推測されやすい.一方,大細胞型は神経 内分泌分化に気づきにくく,鑑別を要する疾患も多い 3).本例も大型で異型の強い細胞からなる大細胞型で あり,EUS-FNAの採取時のオンサイトでの鏡検では NECの可能性を指摘することができず,最終的に組 織標本での免疫染色によって診断が可能となった.こ の結果を踏まえて,再度細胞診標本の見直しを行った. 改めて観察してみると,直接塗抹のパパニコロウ標本 において神経内分泌分化を示唆するロゼット形成が見 られた(写真5b).また穿刺針の洗浄液の標本にお いて,多数の孤立性細胞に混在して上皮性結合を示す 細胞集塊が確認できた(写真5a). 膵臓のEUS-FNAにおいてNECと鑑別を要するもの には①solid pseudopapillary neoplasm(SPN),acinar cell carcinoma(ACC),NET(G1.G2)②悪性リンパ 腫③膵管癌が挙げられる.これらの疾患との細胞の鑑 別のポイントについて述べる(表1). ① SPN,ACC,NETとの鑑別ポイント パパニコロウ染色では核クロマチンは粗顆粒状を示 し,小型の核小体が1~数個認められた(写真2c). ギムザ染色では細胞質は好塩基性を示し,空胞もみら れた(写真2d).以上の細胞所見より非上皮性腫瘍 の 可 能 性 も 否 定 で き ず, 細 胞 診 で はClassⅤ, malignant neoplasmと報告した. Ⅳ.組 織 所 見 同時に採取された組織生検では核が濃染し,やや大 型の異型細胞の増生がみられた.細胞はやや結合性に 乏しいもののシート状に増生していた(写真3).免 疫染色ではシナプトフィジンがびまん性に陽性,クロ モグラニンAが一部に陽性,Ki-67 indexは38.6%であ り,NECと診断された(写真4).他の免疫染色結果 はCD10(−),CD3(−),CD20(−),CD30(−), AE1/AE3(+/−),CD56(+),βカテニン(−), トリプシン(−)であった. 写真3 HE染色×10 核が濃染し,やや大型の異型細胞の増生が見られた. 細胞質は顆粒状であった. 細胞はやや結合性に乏しいもののシート状に増生していた. 写真4 免疫組織染色×10 a:シナプトフィジン b:クロモグラニンA c:Ki-67 index 38.6%

a

b

c

(18)

いずれも充実性増殖を示す膵腫瘍であり,血流豊富 で画像的には類似した像を示す4).SPNではN/C比の

高い小型類円形異型細胞が間質を軸とした偽乳頭状あ るいは孤立散在性に出現し,間質粘液球を取り囲むよ うに異型細胞が出現するといわれている5).高度悪性

転化(high grade malignant transformation)といわ れるSPN のまれな亜型では,強い細胞異型を示し, NECとの鑑別が必要となる場合もある.このような 場合は免疫染色において,ビメンチン陽性,CD10陽性, βカテニン核内陽性などの確認が必須となる6).ACC では好酸性胞体を有する類円形細胞が腺房様構造を形 成すると言われており,免疫染色ではトリプシンが陽 性となる.いずれも単調な腫瘍細胞が類円型核を有す る点では,低グレードのNETと類似しているものの, 本例のような強い細胞異型を示すことはまれであり, 細胞形態的にはNECとの鑑別は比較的容易であると 思われる. NETとNECの鑑別は,WHO分類(2010)では核分 裂数とKi-67 indexにおいて分類される.形態的には NETでは神経内分泌腫瘍の特徴を示し,核は類円形 ~楕円形で“salt-and-pepper pattern”と呼ばれる粗 いクロマチンが核内に分布する核所見を有する7).そ れに対してNECでは上記のような特徴所見に乏しく, 強い核異型や多形性を示す. ② 悪性リンパ腫との鑑別ポイント

EUS-FNAに お い て 経 験 し たdiffuse large B cell lymphoma,follicular lymphoma症例との比較を行っ た.悪性リンパ腫症例は,両者ともに細胞採取量は多 く,パパニコロウ染色標本において核網は繊細であり 細胞質が乏しいのに対し(写真6c, d),NECでは核 クロマチンは粗顆粒状であり顆粒状の明瞭な細胞質が 見られる点,孤立性細胞の中に混在して,少数でも上 皮性結合を示す細胞集塊が見られる点が鑑別のポイン トになると思われた.ギムザ染色標本では,悪性リン パ腫の細胞の集簇と本例の緩い上皮性結合を見誤ると 鑑別が難しいと思われた(写真6a, b).また本例では, 悪性リンパ腫細胞に多くみられるとされる空胞もみら れ8),これらの症例と類似しており,鑑別に苦慮した. EUS-FNAの採取現場においてはギムザ染色での判断 が求められるため,ギムザ染色所見も重要であるが, 鑑別にはパパニコロウ染色所見も踏まえた総合的な観 察が必須である. ③ 膵管癌との鑑別ポイント 膵管癌は充実性に増殖することはまれであるが,頻 度と細胞異型からは鑑別に挙げておく必要がある.膵 管癌では異型は強くても,腺癌の特徴である明るい細 胞質や不規則重積性の腺腔構造が見られる点や,孤立 性癌細胞がほとんど見られない点9)で鑑別可能と思わ れる.しかし,まれではあるものの肝様腺癌hepatoid carcinomaでは充実性増殖を示し,異型も強いため鑑 別の対象となりうる. Ⅵ.ま と め 膵腫瘍のEUS-FNAにおいて,充実性増殖を示唆す る豊富な細胞量,強い細胞異型,神経内分泌分化を示 唆するロゼット形成や上皮性結合などの特徴を示す細 胞に遭遇したら,NECの可能性を考える.NECを含 む類円形腫瘍の確定診断には組織での免疫染色が必須 であり,細胞診のみでは診断に至らない場合もある. その可能性を念頭に置き,病理組織診断を確実に行う ためには,採取現場に出向き,確実に診断可能な標本 を採取することが臨床検査技師としての責務である. また,細胞診断の精度を保つためにも,病理診断結果 を細胞診診断にフィードバックする日頃の精度管理が 重要であり,診断精度の向上に寄与すると考えられる. 写真5 Pap染色×40 a:洗浄液標本の上皮性結合 b:ロゼット形成所見が見られた.

a

b

(19)

19

VOL. 36 2017

表 1 膵富細胞性腫瘍の

EUS-FNA における鑑別ポイント(細胞像を中心に)

NEC(本症例) SPN ACC NET(G1.G2) 悪性リンパ腫 膵管癌

細胞量 多 少~多 出現形態 孤立性>集塊 ロゼット形成 偽乳頭状 小集塊状 弧在性 ~緩い結合 腺房様 ロゼット形成 緩い結合性 索状 敷石状 リボン状 ロゼット形成 孤立散在性 孤立性<集塊 不規則重積性 結合性 強弱 (+/-)~(+) (+/-)~(+) (+/-)~(+) (+/-)~(+) (-) (+)~(++) 細胞の 大小不同性 著明 乏しい 乏しい 乏しい 乏しい~多 高 分 化 型 で は 乏しい クロマチンパターン 粗顆粒状 微細 ~細顆粒状 細~粗顆粒状 ごま塩状 細顆粒状 不規則凝集 融解状 核形 不整 円形~類円形 核溝 円形~不整 円形~類円形 円形~不整 不整 N/C 比 高 中~高 中~高 中~高 高 低~中 核小体 小型 小型 大型 小型~大型 大型 大型 細胞質 顆粒状 突起状 顆粒状 突起状 粗顆粒状 (~泡沫状) 好酸性胞体 微細顆粒状 Pap 染色で乏し く不明瞭 広く明瞭 淡明 免疫組織化学 シナプトフィジン クロモグラニン A Ki-67 ビメンチン CD10 βカテニン(核内) トリプシン シナプトフィジン クロモグラニン A Ki-67 CD45(LCA) CD3 CD20

NEC:neuroendocrine carcinoma,SPN:solid pseudopapillary neoplasm

ACC:acinar cell carcinoma ,NET:neuroendocrine tumor

(20)

文 献 1) 伊藤鉄英,三木正美,安永浩平,宮ヶ原 典,野崎哲史, 安森 翔.ほか.消化管神経内分泌腫瘍におけるNET/ NECの部位別頻度.消化器内視鏡 2016.28:1728-1732. 2) 大池信之 神経内分泌癌の特徴.消化器内視鏡 2016.28: 1872-1874. 3) 川内 洋 消化器内分泌細胞腫瘍の病理診断.消化器内視 鏡 2016.28:1734-1743. 4) 松本慎平,肱岡 範,水野伸匡,奥野のぞみ,平山貴視, 渋谷 仁 ほか 膵NET/NECの診断:US,EUS,EUS-FNA を中心に.消化器内視鏡 2016.28:1848-1862. 5) 實平悦子,香田浩美,原田美香,小寺明美,藤澤真義,能 登原憲司.ほかEUS-FNAで経験した高齢男性の膵Solid Pseudopapillary Neoplasmの1例.日本臨床細胞学会岡山 県支部会誌 2014.33:31-35. 6) 山口 厚,飯尾澄夫,壺井章克,山下 賢,森 豪,保田 和 毅. ほ か  急 速 に 進 行 し た 膵Solid Pseudopapillary Neoplasm の1例.膵臓 2015.30:233-242. 7)笠島敦子,笹野公伸 膵・消化管神経内分泌腫瘍の病理組 織像と最近の話題.内分泌甲状腺外会誌 2014.31(4): 284-289. 8)今井宏樹,仲村 武,岸本浩次,野崎真仁,牧野 純,小 山剛司.ほか 悪性リンパ腫のギムザ染色における細胞質 内空胞の検討.日本臨床細胞学会雑誌 2016.55:215-223. 9)香田浩美,原田美香,小寺明美,實平悦子,和仁洋治,能 登原憲司.ほか 膵神経内分泌腫瘍の3症例.日本臨床細 胞学会岡山県支部会誌 2012.31:38-42.

a

c

b

d

写真6

a:diffuse large B cell lymphoma Giemsa染色×40 b:follicular lymphoma Giemsa染色×40

c:diffuse large B cell lymphoma Pap染色×40 d:follicular lymphoma Pap染色×40

a,b:Giemsa染色においてはN/Cが極めて高い細胞が集簇を示している. c,d:Pap染色において核網繊細であり,細胞質が乏しい.結合性も見られない.

表 1  膵富細胞性腫瘍の EUS-FNA における鑑別ポイント(細胞像を中心に)

参照

関連したドキュメント

<第 1 会場> 総合研究棟 III 132L 9 月 7 日(水)13:30 〜 16:24..

24日 札幌市立大学講義 上田会長 26日 打合せ会議 上田会長ほか 28日 総会・学会会場打合せ 事務局 5月9日

棘皮動物 物 箒虫・腕足動物 軟体動物 脊索動物. 節足動物

第1回 平成27年6月11日 第2回 平成28年4月26日 第3回 平成28年6月24日 第4回 平成28年8月29日

日 時:5 月 30 日(水) 15:30~16:55 場 所:福岡女学院大学ギール記念講堂

VVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVVV 5月15日~5月17日の3日間、館山市におい