博 士学 位論 文
博 士学 位論 文
博 士学 位論 文
博 士学 位論 文
現代中国語
現代中国語
現代中国語
現代中国語 の
の
の 方位詞
の
方位詞
方位詞
方位詞“
“
“
“ 上
上 ”
上
上
”
”
”と
と
と
と“
“ 里
“
“
里 ”
里
里
”
”
”に
に
に
に 関
関 する
関
関
する
する 研 究
する
研 究
研 究
研 究
寺 澤
寺 澤
寺 澤
寺 澤
知美
知美
知美
知美
名 古 屋 大 学 大学 院
名 古 屋 大 学 大学 院
名 古 屋 大 学 大学 院
名 古 屋 大 学 大学 院
国 際 言 語 文 化研 究科
国 際 言 語 文 化研 究科
国 際 言 語 文 化研 究科
国 際 言 語 文 化研 究科
平 成
平 成
平 成
平 成
25
年
年
年
年
7
月
月
月
月
目 次
目 次
目 次
目 次
序 章
序 章
序 章
序 章
本 研 究
本 研 究
本 研 究
本 研 究 の
の
の
の 目的
目的 と
目的
目的
と
と 構 成
と
構 成
構 成
構 成
………… ……… ………
5
0.1.
本 研究 の 目的 と 対象
… … ………… ……… ………
5
0.2.
本 研究 の 構成
… ……… ……… ……… …………
8
第
第
第
第
1
章
章
章
章
現 代 中 国語
現 代 中 国語 の
現 代 中 国語
現 代 中 国語
の
の 方 位 詞
の
方 位 詞 に
方 位 詞
方 位 詞
に
に
に 関
関
関
関 する
する
する
する 諸 問 題
諸 問 題
諸 問 題
諸 問 題
…………
12
1.0.
は じめ に
… …… ……… ……… ……… …………
12
1.1.
方 位詞 の 用法 に 関す る 先行 研究
… … ……… …………
12
1.1.1.
≪现 代 汉语 八 百 词≫ に よる “上 ”
、
“ 里” の 用法
… …
12
1.1.2.
高桥
1992
によ る“ 里 ”の 用法
… … ……… …………
14
1.1.3.
“上 ”
、
“里 ” が 表す 位 置関 係
… …… ……… ………
17
1.2.
方 位詞 に 関わ る 問題 に つい て
… …… ……… …………
19
1.2.1.
方位 詞 “上 ”
、
“ 里” の 選択
… … …… ……… ………
21
1.2.1.1.
動 詞 によ る 影 響
… … ……… ……… ………
21
1.2.1.2.
方 向 補語 に よ る影 響
… …… ……… ……… ………
24
1.2.2.
方位 詞 “里 ” の 省略
… … ………… ……… …………
25
1.2.2.1.
“
V
进 +
L
” のケ ー ス
… ……… ……… …………
26
1.2.2.2.
小 結
… …… ……… ……… ……… …………
32
1.3.
第
1
章の ま とめ
… ……… ……… ……… …………
33
第
第
第
第
2
章
章
章
章
方 位 詞
方 位 詞 “
方 位 詞
方 位 詞
“ 上
“
“
上
上
上 ”
”
”
”
、
、
、
、
“ 里
“
“
“
里
里 ”
里
”
”
” の
の
の 選 択
の
選 択 に つ い て
選 択
選 択
に つ い て
に つ い て
に つ い て (
(
(
(
1
)
)
)
)
―
―
―
―
具 体的
具 体的
具 体的 な
具 体的
な
な
な 空 間
空 間
空 間 を
空 間
を 表
を
を
表
表
表 す
す
す
す ケ ー ス
ケ ー ス
ケ ー ス
ケ ー ス
…… ……
38
2.0.
は じめ に
… …… ……… ……… ……… …………
38
2.1.
具 体的 な 空間 を 表す “ 上”
… … … ……… ………
39
2.2.
具 体的 な 空間 を 表す “ 里”
… … … ……… ………
41
2.3.
“ 上 ”と“ 里 ”の 選択 に つい て
… … … ……… …………
44
2.3.1.
“上 ” と「 範 囲 」を 表 す“里
2”
… … ……… ………
45
2.3.2.
“里
2” に おけ る形 状 によ る共 起 制 限
… … …… ……
46
2.3.3.
“里
1” と 閉鎖 性に つ いて
… … … ……… …………
49
2.3.4.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
51
2.4.
三 次元 的 特徴 を 持つ 名 詞と 方位 詞 “ 上”
… … …………
52
2.4.1.
乗り 物 と“
on
”
… … ……… ……… ……… ………
53
2.4.2.
乗り 物 と“ 上”
、
“里 ” につ いて
… … ……… ………
54
2.4.3.
“上 ”と「 動き 」の 関係 に つい て
… ……… …………
58
2.4.4.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
62
2.5.
“
N
+ 上 ”と “
N
+里 ” のニ ュア ン ス の違 い につ いて
… …
62
2.5.1.
「平 面 」と 「 立 体」
… … ………… ……… …………
62
2.5.2.
「臨 場 感」 と 「 距離 感 」
… … ……… ……… ………
64
2.6.
第
2
章の ま とめ
… ……… ……… ……… …………
66
第
第
第
第
3
章
章
章
章
方 位 詞
方 位 詞 “
方 位 詞
方 位 詞
“ 上
“
“
上
上
上 ”
”
”
”
、
、
、
、
“ 里
“
“
“
里
里 ”
里
”
”
” の
の
の 選 択
の
選 択 に つ い て
選 択
選 択
に つ い て
に つ い て
に つ い て (
(
(
(
2
)
)
)
)
―
―
―
―
具 体的
具 体的
具 体的 な
具 体的
な
な
な 空 間
空 間
空 間 を
空 間
を 表
を
を
表
表
表 さ な い
さ な い
さ な い
さ な い ケー ス
ケー ス
ケー ス
ケー ス
…… ……
72
3.0.
は じめ に
… … … ……… ……… ……… …………
72
3.1.
文 字情 報 に関 す る名 詞
… …… ……… ……… …………
73
3.1.1.
ケー ス(
1
)―“报 纸 ”
… … … …… ……… …………
74
3.1.2.
ケー ス (
2
)― “书 ”
… … ……… ……… …………
76
3.1.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
79
3.2.
映 像に 関 する 名 詞
… … …… ……… ……… ………
80
3.2.1.
「情 報 伝達 の 道 具」 と 「伝 達さ れ る 情報 」
… … ……
82
3.2.2.
擬似 的 空間 を 生 み出 す“ 镜子 ”
… … ……… …………
85
3.2.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
90
3.3.
音 声に 関 する 名 詞
… … …… ……… ……… ………
91
3.3.1.
「 音 声」 と“里 ”
… … ……… …… ……… …………
91
3.3.2.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
94
3.4.
身 体部 位 名詞
… ……… ……… ……… …………
95
3.4.1.
思考 を つか さ ど る器 官 と“ 里”
、
“ 上 ”
… ………… …
97
3.4.2.
“心 上 ”と “ 心 里” の 違い につ い て
… … ………… …
98
3.4.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
102
3.5.
第
3
章の ま とめ
… ……… ……… ……… …………
102
第
第
第
第
4
章
章
章
章
方 位 詞
方 位 詞 “
方 位 詞
方 位 詞
“ 里
“
“
里
里
里 、
、
、 中
、
中
中
中 、
、 内
、
、
内
内 ”
内
”
” の
”
の
の
の 比較 分 析
比較 分 析 (
比較 分 析
比較 分 析
(
(
(
1
)
)
)
)
―
―
―
―
具 体的 空 間
具 体的 空 間
具 体的 空 間 を
具 体的 空 間
を
を
を 表
表
表 す
表
す 名 詞
す
す
名 詞
名 詞
名 詞 と の
と の
と の
と の 共 起関 係
共 起関 係
共 起関 係
共 起関 係
…………
107
4.0.
は じめ に
… … … ……… ……… ……… …………
107
4.1.
具 体的 空 間を 表 す名 詞 との 共起 関 係
… … ………… ……
109
4.2.
空 間構 成 に関 わ る名 詞 と“ 里”
、
“ 中 ”と の 共起 関係
… …
111
4.2.1.
物質 の 内部 を 指 すケ ー ス
… … ……… ……… ………
112
4.2.2.
閉鎖 空 間の 内 側 を指 す ケー ス
… …… ……… ………
113
4.2.3.
枠内 を 表す ケ ー ス
… … ……… ……… ………
114
4.2.4.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
121
4.3.
明 確な 範 囲を 持 たな い 名詞 と方 位 詞 との 関 係
… ………
121
4.3.1.
“里 ”
、
“内 ” と の共 起 に求 めら れ る 「範 囲 」
… … ……
122
4.3.2.
空間 に 対す る 「 範囲 」 とし ての 認 識
… … ………… …
124
4.3.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
127
4.4.
第
4
章の ま とめ
… ……… ……… ……… …………
127
第
第
第
第
5
章
章
章
章
方 位 詞
方 位 詞 “
方 位 詞
方 位 詞
“ 里
“
“
里
里
里 、
、
、 中
、
中
中
中 、
、 内
、
、
内
内 ”
内
”
” の
”
の
の
の 比較 分 析
比較 分 析 (
比較 分 析
比較 分 析
(
(
(
2
)
)
)
)
―
―
―
―
身 体部 位 名 詞
身 体部 位 名 詞
身 体部 位 名 詞 と の
身 体部 位 名 詞
と の
と の 共 起 関 係
と の
共 起 関 係
共 起 関 係
共 起 関 係
…… ……
133
5.0.
は じめ に
… … … ……… ……… ……… …………
133
5.1.
「 身体 部位 名 詞+ “中 /内 ”
」 の表 す 意 味
… … …… ……
134
5.2.
文 体的 色 彩が 方 位詞 の 選択 に与 え る 影響
… … …… ……
136
5.2.1.
書面 語 的色 彩 を 帯び る 名詞 の場 合
… ……… ………
137
5.2.2.
口語 的 色彩 を 帯 びる 名 詞の 場合
… … ……… ………
140
5.2.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
142
5.3.
“ 心、 脑 、胸 ” との 共 起関 係
… …… ……… …………
142
5.3.1.
“心 ” のケ ー ス
… … ……… ……… ……… ………
143
5.3.2.
“脑 ”
、
“胸 ” の ケー ス
… …… ……… ……… ………
145
5.3.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
148
5.4.
第
5
章の ま とめ
… ……… ……… ……… …………
149
第
第
第
第
6
章
章
章
章
方 位 詞 “
方 位 詞
方 位 詞
方 位 詞
“
“
“ 上
上
上
上 、
、
、 下
、
下 、
下
下
、
、 前
、
前
前
前 、
、
、
、 后
后 ”
后
后
”
”
” の
の
の
の 時 間 的 用 法
時 間 的 用 法
時 間 的 用 法
時 間 的 用 法
に つ い て
に つ い て
に つ い て
に つ い て
………… ……… ……… ……… …
156
6.0.
は じめ に
… … … ……… ……… ……… …………
156
6.1.
“ 上”
、
“ 下” の 時間 的 用法
… … … ……… ………
157
6.2.
“ 前”
、
“ 后” の 時間 的 用法
… … … ……… ………
160
6.2.1.
「過 ぎ 去っ た 時 間」を表 す“前 ”
… ……… …………
160
6.2.2.
「 ある 時間( 期 間)の 最初 の 時間 」を 表す“ 前”
… …
162
6.2.3.
“后 ” の時 間 的 用法
… … ………… ……… …………
167
6.2.4.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
169
6.3.
「
N
/
V
+“ 前/后 ”+ 数 量詞 表現 」
… … ……… …………
170
6.3.1.
“前 ”の ケ ース
… … ………… …… ……… …………
171
6.3.2.
“后 ”の ケ ース
… … ………… …… ……… …………
175
6.3.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
177
6.4.
「
N/V
+
“ 前/后 ”
」
… … … ……… …… ……… …………
178
6.4.1.
“前 ”の ケ ース
… … ………… …… ……… …………
178
6.4.2.
“后 ”の ケ ース
… … ………… …… ……… …………
180
6.4.3.
小結
… … …… ……… ……… ……… …………
183
6.5.
第
6
章の ま とめ
… ……… ……… ……… …………
183
終 章
終 章
終 章
終 章
結 語
結 語
結 語
結 語
……… ……… ……… ……… ………
188
主要 参 考文 献
… …… ……… ……… ……… ………
192
序 章
序 章
序 章
序 章
本 研 究
本 研 究
本 研 究
本 研 究 の
の
の 目的
の
目的 と
目的
目的
と
と
と 構 成
構 成
構 成
構 成
0.1.
本 研 究
本 研 究
本 研 究 の
本 研 究
の
の
の 目 的
目 的 と
目 的
目 的
と
と 対 象
と
対 象
対 象
対 象
現 代 中 国 語 の 方 位 詞 と は 、 方 向 や 相 対 的 な 位 置 関 係 を 表 す 語 を 指 し 、 そ の 語 構 成 上 の 特 徴 に 基 づ き “ 上 、 下 、 前 、 后 、 里 、 外 、 内 、 中 、 左 、 右 、 东 、 西 、 南 、 北”などの「単純 方位詞 」と、これ らに“边 、面 、头”など の接尾 辞を加 えた「合 成 方 位 詞 」 の 二 種 類 に 分 け ら れ る 。 こ れ ら の 方 位 詞 の 用 法 に つ い て は 、 そ れ ぞ れ の 役 割 分 担 が 明 確 な 場 合 も あ れ ば 、 各 方 位 詞 の 持 つ 機 能 に 重 複 す る 部 分 が 存 在 す る 場 合 も あ る 。 た と え ば 、 方 位 詞 “ 上 ” と “ 里 ” の 場 合 、 先 行 研 究 に お い て も 指 摘される ように、“上”が 二次元的 特徴の顕 著な 対象につ いて用い られ るのに対 し、 “里”は 三次元的 特徴 が顕著な 場合に用 いら れるとい う違いが みら れる。 (1)桌子 上摆着 二十多 盘子菜 1 。( → * 桌子里 ) 2 <CCL语 料库> (李存 葆《高山 下的花环 》) 3 [テーブル の上に は二十 皿あまり の料理が 並べ てある。] (2)果然 是齐虹 在房间 里等她, 满脸的焦 急使 他看上去 苍老了许 多。 (→ * 房间上 ) <CCL语料库> (宗璞《 红豆》) [や は り 斉 虹 は 部 屋 の 中 で 彼 女 を 待 っ て い た 。 顔 中 に 広 が っ た 苛 立 ち の せいで彼 はずいぶ んと 老けてみ えた。] 例 (1) で は 、“ 桌 子 ” と い う 二 次 元 的 特 徴 の 顕 著 な 名 詞 と そ の 上 ( 表 面 ) に 並 べ られた料 理の間に「接 触関係」が存在 するこ とから“ 上”と共起し 、“里”を用い る こ と は で き な い 。 こ れ に 対 し て 、 例 (2) の 場 合 、“ 房 间 ” と い う 三 次 元 的 空 間 の内部に 人が存在 する ことを表 しており 、“上 ”ではなく“里”が用 いられる。し か し な が ら 、 こ れ ら の 例 の よ う に “ 上 ” と “ 里 ” は 常 に 明 確 に 使 い 分 け ら れ る と いうわけ ではなく 、相 互の置き 換えが可 能と なるケー スも少な くな い。 (3)沙漠 里没有 树,一 棵都没有。(→沙 漠上) <CCL语 料库> (鲍昌 《芨芨草》)
[砂漠には 木がな い。一 本もない 。] (4)我经 常在电 视里看 到他。(→ 电视上 ) <人民网 >(http://hi.people.com.cn/2008/05/05/377411.html) [私はよ くテレビ で彼 を見る。] 例 (3) の “ 沙 漠 ” は 二 次 元 的 特 徴 の 顕 著 な 名 詞 で あ る が 、“ 里 ” と 共 起 す る こ と も可能で ある。同様 に 、例(4)の“电视”に ついても、テ レビの 画 面という 二次 元 的 特 徴 を 持 つ 名 詞 で あ り 、“ 上 ” が 用 い ら れ る こ と が 多 い が 、“ 里 ” を 用 い る こ と も で き る 。「 具 体 的 な 空 間 を 表 す 場 合 」( 例 :“ 沙 漠 ”) と 「 具 体 的 な 空 間 を 表 さ ない場合」( 例:“电视”)において、方 位詞“ 上”、“里”はそ れぞれ どのよう に使 い分けら れるので あろ うか。 また、同 じよう な機能 を 有すると 考えられ る名 詞であっ ても、方位詞“ 上”、“里 ” との共起 状況に違 いが みられる ケースも ある 。たと えば 、日本 語の「 グラウン ド」 と「公園」には 、「屋外 にあり、スポ ーツや ジ ョギング、散 歩など を 楽しむこ との で き る 空 間 を 有 す る 」 と い う 共 通 点 が あ る が 、 中 国 語 の “ 操 场 ”、“ 公 园 ” に 方 位 詞を後置 する場合 には 、用いら れる方位 詞に 違いがみ られる。 (5)我一般 会在幼 儿园 午间活动 的时候去,孩 子们都在 操场上玩,协 调性和运 动能力一 眼就能看 出来 。 <人民网 >(http://zj.people.com.cn/GB//n/2012/0806/c186327-17322963.html) [ 私 は 一 般 に 幼 稚 園 の 昼 休 み の 活 動 の 時 間 に 行 く 。 子 ど も た ち は 皆 グ ラ ウンドで 遊んでお り、 協調性と 運動能力 が一 目で分か る。] (6)老师禁 止我们 在操 场里玩。 < 百度>(http://d.yeshj.com/w/bar) [先生は 私たちが グラ ウンドで 遊ぶのを 禁止 している。] “操场”は二次 元的特 徴が顕著 であるこ とか ら、例(5)のように“ 上”と共 起す ることが 多いもの の、例(6)が 示すよ うに、“里”と の共起 例も存 在する 4 。これ に対して “公园” の場 合、次の 例(7) のよう に“里” としか共 起し ない。 (7)很多 小朋友 下课后 不是马上 回家,而 是在 公园里玩 ,……( → * 公 园上)
<人民网 >(http://edu.people.com.cn/GB/n/2012/0821/c1053-18795120.html) [多くの 子どもが 授業 が終わっ たあとす ぐに 家に帰ら ず、公 園で遊 ぶ …] 以 上 の 例 が 示 す よ う に 、 方 位 詞 の 選 択 に お い て は 、 話 者 が 対 象 と な る 空 間 を ど の よ う に 認 識 し て い る の か と い う 点 が 大 き な 判 断 基 準 の 一 つ と な り 得 る と い え る が 、 中国語母 語話者に とっ て、“操场”と“公园”はどのよ うな特徴 の違 いを持つ 空間 と し て 認 識 さ れ て い る の で あ ろ う か 。 前 述 の よ う に 、 現 代 中 国 語 の 方 位 詞 は 複 数 存 在 す る が 、 本 研 究 で は 、 そ の 中 で も 特 に 使 用 頻 度 の 高 い “ 上 ” と “ 里 ” を 取 り 上 げ 、 前 置 す る 名 詞 の 持 つ 特 徴 が こ れ ら の 方 位 詞 の 選 択 に 与 え る 影 響 を 観 察 す る と と も に 、 意 味 的 ・ 統 語 的 側 面 か ら そ れ ぞ れ の 方 位 詞 の 持 つ 特 徴 を 明 ら か に す る ことを目 的とする 。さら に、方 位詞“上”、“里 ”について の理解を 深め るため、「類 似 」 あ る い は 「 対 比 」 の 関 係 に あ る “ 中 、 内 、 外 、 下 、 前 、 后 ” な ど の 方 位 詞 と の比較分 析も行う 。た とえば、方位詞“里”と“中、内”について は、“上 ”より も 共 通 す る 部 分 が 多 く 、 特 に “ 里 ” と “ 中 ” に つ い て は 置 き 換 え が 可 能 な ケ ー ス が ほ と ん ど で あ る 。 た だ し 、 当 然 の こ と な が ら 両 者 の 機 能 は 全 く 同 じ と い う わ け で は な く 、 こ れ ら の 比 較 分 析 を 通 し て “ 里 ” の 用 法 を よ り 詳 細 に 把 握 す る こ と が 可能であ るといえ る。 さ ら に 、 世 界 の 各 言 語 に み ら れ る よ う に 、 中 国 語 に お い て も 空 間 を 表 す 語 が 時 間を表す 表現に転 用さ れる場合 がある。た と えば、方位詞“ 上”は「位置が高い 」 ことを表 すが、空間的 位 置関係だ けでなく 、“上 半个月”[月の 前半]の よ うに、“ 半” と共起し て「ある時 間(期間)の前 半」を表 すこ とも可能 である。ま た、“上”以外 にも、“下”、“ 前”、“后 ”など複数の 方位詞 が 時間を表 す表現に 用い られるが、こ れらの方 位詞の時 間的 用法につ いても考 察の 対象とす る。 ま た 、 既 述 の よ う に 、 方 位 詞 と は 方 向 や 相 対 的 な 位 置 関 係 を 表 す 語 で あ り 、 陆 俭明・沈阳2004の 指摘 にもある ように、「 空間(場所)」の 範疇に属 す るもので あ る。陆俭明・沈阳2004:312は“空间(处所)”のカテゴリ ーにつ い て、次のよう に述べて いる。 “空间(处 所)”也是 汉 语中一种 重要的语 法意 义,空间(处 所)范畴 在语法 形式上首 先跟方位 处所 名词( 如“( 桌子 )上”)、表示 起点、终点 、定 点的介 词 ( 如 “ 从 ”、“ 到 ”、“ 在 ”) 等 句 法 成 分 有 密 切 的 关 系 ;同 时 因 为 现 实 中 任 何
动 作 行 为 都 发 生 在 一 定 的 空 间 处 所 里 , 因 此 任 何 句 子 ( 特 别 是 陈 述 句 ) 都 必 须 或 可 以 表 达 包 括 事 件 发 生 的 地 点 、 人 和 事 物 存 在 的 地 点 、 运 动 的 起 点 和 终 点等在内 的各种空 间处 所意义, …… [「 空 間 ( 場 所 )」 も 中 国 語 に お い て 重 要 な 文 法 的 意 味 の 一 つ で あ り 、 空 間 ( 場 所 ) の カ テ ゴ リ ー は 文 法 形 式 に お い て 、 ま ず は 方 位 ・ 場 所 名 詞 ( た と えば“(桌 子)上 ”)、起 点、終点 、定点 を表す 介 詞(たと えば“ 从”、“ 到 ”、 “在”)など の統語 成分 と密接な 関係があ る。それと同 時に、現実 に おいて は 如 何 な る 動 作 行 為 も 一 定 の 空 間 ・ 場 所 に お い て 発 生 す る た め 、 ど の よ う な文(とり わけ陳 述文)であって も事柄の 発生 地点、人や 事物の 存在地 点、 運 動 の 起 点 や 終 点 な ど を 含 む 各 種 の 空 間 ・ 場 所 的 意 味 を 必 ず 表 さ な け れ ば ならない 、あるい は表 すことが できる… ] 陆俭明・沈阳2004の 主 張に基づ けば 、方位詞 の問題に ついて考 察す る際には 、事 柄 の 発 生 地 点 、 人 ・ 事 物 の 存 在 地 点 、 運 動 の 起 点 や 終 点 な ど の 複 数 の 要 素 に つ い て 同 時 に 考 慮 す る 必 要 が あ る こ と に な る 。 本 研 究 で は 、 方 位 詞 の 選 択 、 お よ び 省 略 の 可 否 に 影 響 を 及 ぼ す 複 数 の 要 素 の う ち 、 共 起 す る 名 詞 自 体 の 持 つ 特 徴 に よ る 影 響 を 中 心 に 考 察 す る が 、 実 際 に は そ れ 以 外 の 要 素 に よ る 影 響 を 完 全 に 排 除 す る こ と は 困 難 で あ る た め 、 例 文 を 挙 げ る 際 に は 、 名 詞 以 外 の 要 素 に よ る 影 響 を 受 け る可能性 を十分に 考慮 した上で 考察をす すめ ていくこ ととする 。 ま た 、 方 位 詞 に 関 す る 先 行 研 究 は 数 多 く 存 在 し 、 そ れ ぞ れ の 方 位 詞 の 用 法 に つ いてはす でに明ら かに されてい る部分も 少な くないが、“ 上”と“ 里 ”の使い分 け や 省 略 の 可 否 に 関 す る 問 題 を 含 め 、 こ れ ら の 方 位 詞 の 用 法 に は ま だ 曖 昧 な 部 分 が 残 さ れ て い る こ と も 事 実 で あ る 。 本 研 究 で は 、 方 位 詞 の 選 択 に 関 す る 問 題 に 重 点 を 置 き つ つ 、 方 位 詞 “ 上 ” と “ 里 ” の ニ ュ ア ン ス の 違 い 、 お よ び 方 位 詞 の 省 略 の 可否など の問題に も触 れながら、“上 ”、“ 里”の用法を 明らかに する ことを目 的と する。 0.2. 本研 究本研 究 の本研 究本研 究ののの 構 成構 成構 成構 成 本研究は 序章と終 章を 除いて 6 つの 章から 構 成される 。各章の 要旨 は以下の 通 りである 。
第 1 章では、 現代中 国 語の方位 詞に関す る諸 問題を概 観する。 方位 詞に関連 す る 問 題 に は 、 大 き く 分 け て 、 複 数 あ る 方 位 詞 の う ち の ど の 方 位 詞 を 選 ぶ の か と い う 「 方 位 詞 の 選 択 」 に 関 わ る 問 題 と 、 方 位 詞 を 付 加 す る 必 要 が あ る か 否 か と い う 「 方 位 詞 の 付 加 」 に 関 わ る 問 題 の 二 つ が 挙 げ ら れ る 。 本 研 究 で は 、 前 者 の 「 方 位 詞の選択 」に関す る問 題を中心 に考察す るが 、第 1 章では方 位詞“ 上”、“里 ”の 用法をよ り多角的 に捉 えるため に、「方 位詞の 付加」に ついて、“V进+L”(V:動 詞、L:場 所を 表す 語句 ) 5 の 形式 を取 り上げ て 検討す る。 また 、共 起 する動 詞や 方 向 補 語 な ど 、 本 研 究 の 主 な 視 点 で あ る 「 名 詞 自 体 の 持 つ 特 徴 」 以 外 の 要 素 が 方 位詞の選 択に与え る影 響につい ても言及 する 。 第2章、第3章では、方位詞“ 上”、“里”の 選択に関 わる問題 につ いて、「 具体 的 な 空 間 を 表 す ケ ー ス 」 と 「 具 体 的 な 空 間 を 表 さ な い ケ ー ス 」 の 二 つ に 分 け て 考 察する。第 2 章 では、“ 操场”[グ ラウン ド]、“ 公园”[公 園]など の具 体的な空 間 を 表 す 名 詞 と 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” の 共 起 状 況 か ら 、 そ れ ぞ れ の 方 位 詞 が 選 択 さ れ る 際 の 条 件 、 お よ び 各 方 位 詞 の 用 法 を 明 ら か に す る 。 な お 、 こ こ で 取 り 上 げ る 名 詞 の 中 に は 、“ 公 园 ” の よ う に “ 里 ” と し か 共 起 し な い も の や 、“ 马 路 ” [道 路 ]の ように“ 上”としか共 起しない ものもみ られ るが、“ 沙漠”、“操场”、“草地 ”など のように、“ 上”、“里 ”のいずれ とも共起 でき るものの 方が多く 存在 する。第2章 で は 、 こ の よ う な 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” の 置 き 換 え が 可 能 な 場 合 に 生 じ る ニ ュ ア ン スの違い を明らか にす るととも に、“ 上”、“里 ”の持 つ特徴 が方位詞 の選択に 及ぼ す影響に ついて論 じる。そして第3章では、第2章での考 察結果を もと に、“报纸” [新 聞 ]、“ 电 视 ” [テ レ ビ ]、“ 电 话 ” [電 話 ]な ど の 文 字 、 映 像 、 音 声 と い っ た 様 々 な方式に よる情報 媒体 を例に取 り、「具体的 な 空間を表 さないケ ース 」を対象に検 討を行う 。さら に、“ 上 ”、“里 ”は“ 心”のよ うな物理 的なかた ちを 持たない もの と共起す ることも 可能 であるが 、第 3 章では “胸、脑 ”と共に 「思 考をつか さど る名詞」 として取 り上 げ、“上”、“里” との共 起状況を 明らかに する 。 第4章、第5章では、方位詞“ 里”の用法に ついて、“里”と類似 す る機能を 有 す る “ 中 、 内 ” と の 比 較 を 通 し て 考 察 す る 。 方 位 詞 “ 里 、 中 、 内 ” 、 特 に “ 里 ” と“中” について はそ の用法に 似通った 部分 が多く、 先行研究 にお いても、“ 里”
と “ 中 ” は 同 等 に 扱 わ れ る こ と が 少 な く な い 。 し か し な が ら 、 実 際 に は “ 里 ” が 口語的な 場面に多 用さ れるのに 対し、“中 、内 ”は書 面語に 多く用い られる傾 向が あ る な ど 、 文 体 の 違 い を 始 め と し た い く つ か の 相 違 点 が 存 在 す る 。 こ れ ら の 方 位 詞につい て、第 4 章で は主に“ 里”と“ 中” の違いが 顕著に表 れる 「空間構 成に 関 わ る 名 詞 」(“ 窗 ” [窓 ]、“ 墙 ” [壁 、 塀 ]な ど )、 お よ び “ 里 ” と “ 内 ” の 違 い が 顕 著 に 表 れ る 「 明 確 な 範 囲 を 持 た な い 名 詞 」(“ 天 空 ” [大 空 、 天 空 ]、“ 田 野 ” [田 野、野原]など )を取り 上げて考 察する 。そして 、第5章では方 位詞“ 里 、中、内 ” と 「 身 体 部 位 名 詞 」 と の 共 起 関 係 を 例 に 挙 げ て 、 文 体 的 特 徴 と 方 位 詞 選 択 と の 関 連性につ いて検討 する 。 第 6 章では、 方位詞 が 時間表現 に用いら れる ケースに ついて論 じる 。中国語 の 方 位 詞 の 中 に は 、 本 研 究 の 主 な 考 察 対 象 の 一 つ で あ る “ 上 ” の よ う に 、 空 間 的 位 置関係を 表す場合 (例 :“桌子上 ”[机の 上]) だけでな く、時間 を表 す表現( 例: “ 上 ( 个 ) 星 期 ” [先 週 ]) に も 用 い ら れ る も の が 存 在 す る 。 本 研 究 で は 、 方 位 詞 “ 上 ”、 お よ び 時 間 表 現 に 多 用 さ れ る “ 前 ”、 そ し て こ れ ら と 対 を な す “ 下 、 后 ” を取り上 げて分析 する 。なお 、こ れらの方 位詞 のうち、“前 、后 ”につ いては 、[+ 過 程 ] の 特 徴 を 持 つ 語 と 共 起 す る 場 合 に 多 義 が 生 じ る こ と が 先 行 研 究 で 指 摘 さ れ て い る 。 し か し 実 際 に は 、 前 置 さ れ る 要 素 に よ っ て は ど ち ら か 一 方 の 意 味 と し て 用 い ら れ や す く な る ケ ー ス も あ り 、 こ の 問 題 に つ い て は さ ら な る 見 当 の 余 地 が あ ると思わ れる。以 上の 点をふま え、第 6 章で は、方位 詞“上、 下”、 および“ 前、 后 ” の 持 つ 時 間 的 用 法 に つ い て 、 統 語 的 お よ び 意 味 的 観 点 か ら の 分 析 を 通 し て 考 察する。 最 後 の 終 章 で は 、 本 研 究 の 分 析 結 果 を 要 約 す る と と も に 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” の用法に ついて総 括す る。
< < < < 序 章序 章序 章 序 章 注 釈注 釈 >注 釈注 釈>>> 1) 例 文 中 の 分 析 対 象 と な る 部 分 を 下 線 で 示 す 。 以 降 、 特 に 指 摘 の な い 場 合 、 例 文中の下 線は引用 者に よるもの とする。 2) 例 文 末 尾 の 括 弧 内 の 表 示 は 、 例 文 中 の 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” の 置 き 換 え の 可 否 を 表 し て い る 。 た と えば 例 (1) の 末 尾 の ( → * 桌 子 里 ) は 、 例 文 中 の“ 桌 子 上”を“桌子 里”に置 き 換えた場 合に非文 とな ることを 意味する。同様 に、(→ ○○里/上 )は 置き換え が可能な こと、(→ ? ○ ○ 里/上)は不適 切な表現 である こと、(→ ?? ○○ 里/上)はさらに 容認度が 劣る ことを示 す。なお 、こ れらの置 き 換 え の 可 否 に つ い て の 判 断 は 、 い ず れ も 中 国 語 母 語 話 者 に 確 認 を 行 っ た 上 で提示し ている。 3) 例(1)に 示した よ うに、北京 大学汉 语语 言学研究 中心のコ ーパ スによる 例文 について は、<CCL语 料库>と 表記した 上で、引用され た小説の タイ トル(お よび作者 )や雑誌 名、 新聞名等 の情報を 提示 する。 4) “ 操 场 ” の 場 合 、“ 上 ” と 共 起 す る こ と が 多 く 、“ 里 ” の 使 用 に は 個 人 差 が み ら れ る 。 な お 、 具 体 的 に ど の よ う な ケ ー ス に “ 操 场 ” が “ 里 ” と 共 起 す る か について は、第2章で 考察する 。 5) ここ で、本研 究で 用いる記 号の凡例 を示 しておく 。 N:名詞 、 V:動詞 、 L:場 所を表す 語句、 NP: 名詞フ レーズ
第
第
第
第
1
章
章
章
章
現 代 中 国語
現 代 中 国語
現 代 中 国語
現 代 中 国語 の
の
の
の 方 位 詞
方 位 詞 に
方 位 詞
方 位 詞
に
に
に 関
関
関 する
関
する
する
する 諸 問 題
諸 問 題
諸 問 題
諸 問 題
1.0.
は じ め に
は じ め に
は じ め に
は じ め に
現 代 中 国 語 の 方 位 詞 に 関 し て は 、 こ れ ま で に 複 数 の 研 究 者 に よ っ て 様 々 な 視 点 から研究 がなされ てき た。たと えば、吕 叔湘 1965、史有 为 1997、邹韶 华 2001 な ど は コ ー パ ス を 用 い た 統 計 的 手 法 に よ り 方 位 詞 の 使 用 状 況 に つ い て 分 析 し て お り 、 沈家煊1999は中 英対照 という観 点から中 国語 における 空間認知 、お よ びその表 現 形 式 の 特 徴 を 明 ら か に し て い る 。 認 知 言 語 学 的 な ア プ ロ ー チ に よ る 研 究 に つ い て は、この 沈家煊1999以 外にも廖 秋忠1983、1989、刘宁生1994、 周烈 婷2000、葛 婷2004、童 盛强2006、吕 兆格・郭 晓沛2006など 多数みら れる。また 、方 经民1987a、 bは“方位 参照 ” 1 の理論 を提唱し 、方 位詞を 含む 空間表現 に関する 一連 の研究(方 经民1993、1997、1999a~c、2000など )を行 っ ている。 一方、個別の 方位詞 の 研究につ いては、“ 上”と“里”の用法 に関す るものが 最 も多く、高橋1988、高 桥1992、保 坂・郭2000、周烈婷2000、西槇2004、葛婷 2004 などが挙 げられる。そ の他、“里”類の 方位詞(“里”、“中”、“内 ”)に関する 研究 (罗日新1987、邢福义1996、西槇2005)、“ 上”、“下”に関する 研究(缑 瑞隆 2004、 白丽芳2006) なども み られる。 本 章 で は 、 方 位 詞 の 中 で も と り わ け 使 用 頻 度 の 高 い “ 上 ”、“ 里 ” の 用 法 に つ い て の 先 行 研 究 を 紹 介 す る と と も に 、 方 位 詞 に 関 わ る い く つ か の 問 題 を 取 り 上 げ て 検討する 。
1.1.
方 位 詞
方 位 詞 の
方 位 詞
方 位 詞
の
の
の 用 法
用 法
用 法 に
用 法
に 関
に
に
関
関 す る
関
す る
す る
す る 先 行 研 究
先 行 研 究
先 行 研 究
先 行 研 究
1.1.1.
1.1.1.
1.1.1.
1.1.1.
≪
≪
≪
≪ 现
现
现
现 代
代
代 汉 语
代
汉 语 八百
汉 语
汉 语
八百
八百
八百 词
词
词
词 ≫
≫
≫ に よ る
≫
に よ る
に よ る
に よ る “
“ 上
“
“
上
上
上 ”
”
”
”
、
、
、
、
“ 里
“
“
“
里
里
里 ”
”
”
” の
の
の
の 用 法
用 法
用 法
用 法
《 现 代 汉 语 八 百 词 》( 以 下 、《 八 百 词 》 と 略 す ) で は 、“ 上 ”、“ 里 ” の 用 法 に つ い て、以下 のように 記述 されてい る(“上”:415-416頁、“里 ”:322-323頁) 2 。①“上”【 方位詞】:位 置が高い 。 名詞+“上 ” a) 物体の 最上部あ るい は表面を 指す。 例:山上[山、山 の頂上 ]、脸上[顔、顔の 表面]、桌子上[机の上] b) 範囲を 示す。 例:书上[本、本 の中]、报上[新 聞紙上]、世 界上[世界 におい て] c) 方面を 指す。 例 : 他 在 音 韵 研 究 上 下 了 很 大 功 夫 [彼 は 音 韻 研 究 に お い て 大 変 な 努 力 を払った] ②“里”【 方位詞】:一 定の範囲 内。 名詞+“里 ” a) 場所を 示す。 例:城里[市内]、树林 里[林の中 ]、房间 里有 人[部屋の 中に人 がいる ] b) 時間を 示す。 例 : 夜 里 [ 夜 中 ] 、 假 期 里 [休 暇 中 ] 、 上 个 月 里 他 来 过 一 次 [先 月 彼 は 一 度来た] c) 範囲を 示す。 例 : 话 里 有 话 [話 に 言 外 の 意 味 が あ る ]、 主 席 团 成 员 里 有 老 周 [議 長 団 のメンバ ーの中に は周 さんがい る] d) 機関・機構を 表す単 音節の名 詞に付く とき は、機関・機構を 指す場 合と、 その所在 地を指す 場合 とがある 。 例:向县 里(指机 构)汇 报情况[県 (機関を 指す)に状況を 報告する ]、从 县里(指处 所)来[県(場 所を指す)から来 る] e) 人体の 部分を表 す若 干の名詞 につく。具体 的な部分 を指す場 合と 、抽象 的なもの を指す場 合と がある。 例:手里 拿着一封 信(实 指)[手 に 1 通の手 紙を 持ってい る(具体 的)]、 手 里 收 集 了 一 些 材 料 ( 虚 指 )[ 手 元 に 少 し ば か り 資 料 を 集 め た ( 抽
象的)] 上 記 の 《 八 百 词 》 の 記 述 に 基 づ き 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” に そ れ ぞ れ ど の よ う な 用 法 が あ る の か を あ る 程 度 把 握 す る こ と は 可 能 で あ る 。 し か し な が ら 、 具 体 的 な 用 例 に つ い て 詳 し い 分 析 を 行 う に は 十 分 で あ る と は 言 い 難 い 。 た と え ば 、 以 下 の 例 (1)、(2)につ いて、上記の分 類にした がっ て分析し た場合、“ 里”はいずれ のケ ースにお いても「 場所 を示す」 用法とし て用 いられて いること にな る。 (1)湖里 有一条 很大的 鱼。(→ * 湖上 ) [湖に一匹 の大き な魚が いる。] (2)湖里 有一条 很大的 船。(→湖 上) [湖に一艘 の大き な船が 浮かんで いる。] (例(1)、(2)は 高桥1992:54) 上の例か ら明らか なよ うに、同 じ「場所 を示 す」用法 の“里” であ っても、“ 上” に 置 き 換 え る こ と が で き な い ケ ー ス ( 例 (1)) も あ れ ば 、 置 き 換 え が 可 能 な ケ ー ス ( 例 (2)) も 存 在 す る 。 次 に 、“ 里 ” の 分 類 の も う 一 つ の 例 と し て 、 高 桥 1992 の分類を みてみる 。
1.1.2.
高
高 桥
高
高
桥
桥
桥
1992
に よ る
に よ る “
に よ る
に よ る
“ 里
“
“
里
里
里 ”
”
” の
”
の
の
の 用 法
用 法
用 法
用 法
高桥 1992:50-51 に よ る“里” の分類は 、《八 百词》の 分類とは 大き く異なっ ている 3 。 “ “ “ “ 里里里 ”里””” 4 1)) 表 示 体积 内))表 示 体积 内表 示 体积 内表 示 体积 内 [体積内を表す] ::: : 具体的な 空間内部 を表 す用法で あり、原則 的 に“上”に置 き換える ことはで きない。 a. 她猛地 想起来 了,从 衣兜里掏 出这月的 工资 。
(→ * 衣兜上 ) [彼女は急 に思い 出して 、服のポケ ットか ら今月 の賃金 を取り出 した。] 2)) 表 示 框框 内))表 示 框框 内表 示 框框 内 [枠内を表す] :表 示 框框 内 ::: 外界との 間に明確 な境 界の存在 する場合 を表 す。この 用法に 該当す る“里”に ついて は、“ 上”に置き 換える こと のできる 場合(例c) とできな い場合(例b) がある。 b. 索桂云 的眼睛 里发潮 了。(→ * 眼睛 上) [索桂雲の 目が潤 んだ。 ] c. 嗨 , 其 实 , 不 过 是 因 为 她 们 班 里 的 几 位 同 学 结 伴 秋 游 , 没有叫上 她。(→ 班上) [ねえ、実のと ころ、彼 女のクラ スの何人 かの クラスメ ー ト が 連 れ 立 っ て 秋 の 遠 足 に 行 く の に 、 彼 女 が 呼 ば れ なかった からとい うだ けのこと だ。] 3)))) 表 示 周围表 示 周围表 示 周围 [周囲を表 す] :表 示 周围 ::: あるもの の周りが 全て 他のもの である場 合。た とえば次 の例dのよ うに、本 のページ に挟 まれた「 花」の周 囲は すべて「 本のペー ジ」 で埋めら れており、空 間は存在 しない。こ の ような用 法を“表示 周 围”と いう 。なお 、同様 の用法は“上 ”には 存 在しない ため、置き 換えるこ とはでき ない 。 d. 她那忧 郁的、满是皱 纹的脸,让 我想起 我早 年夹在书 页 里的那些 已经枯萎 了的 花。(→ * 书页 上) [彼 女 の そ の 憂 鬱 で し わ だ ら け の 顔 は 、 私 に 昔 、 本 の ページに 挟んだ枯 れし ぼんだ花 を思い起 こさ せた。] 4)))) 表 示 总和表 示 总和表 示 总和表 示 总和 [全体を表 す] 5 : : : : “里”がな い場合、前 に くる名詞 は単数、複 数 のいずれ も表すこ と ができる が、“里 ”が あ る場合、複数の みを表 す。“上 ”につ いては このよう な用法は ない ため、置 き換える こと はできな い。
e. 从到 过我 家的 客人里 ,我看 不出 任何迹 象, 他究竟 是谁 呢?(→ * 客人 上) [ 私 の 家 に 来 た こ と の あ る お 客 の 中 に 、 私 は い か な る 形跡も見 出すこと がで きなかっ た。彼は一 体 誰なのだ ろうか。] 以上の高桥 1992 の分 類 によれば、“表示 框框内 ”のケー スのみに “上 ”への置 き 換えの可 能性が生 じる といえる 。先 の例(1)、(2)の“里 ”に ついて も、高桥1992 の 分 類 に 基 づ い て 解 釈 す れ ば 、 両 者 の “ 上 ” へ の 置 き 換 え の 可 否 に 差 異 が 生 じ る 理由が明 らかとな る( ここでは 例(3)、(4) として再 掲)。 (3)湖里 有一条 很大的 鱼。(→ * 湖上 ) (4)湖里 有一条 很大的 船。(→湖 上) ( 例(1)、(2) 再掲) 高桥1992:54は 、例(3)、(4) の“里” はそ れぞれ“ 表示周围 ”、“ 表示框框 内” の 用 法 に 該 当 す る と し て い る 。 こ こ で の 参 照 物 体 は い ず れ も “ 湖 ” と い う 同 一 の 名 詞 で あ る も の の 、 指 示 物 体 が “ 鱼 ” で あ る の か 、 そ れ と も “ 船 ” で あ る の か に よ っ て 用 い ら れ る “ 里 ” の 用 法 に 差 異 が 生 じ る こ と に な る 。 す な わ ち 、 指 示 物 体 自 体 の 持 つ 特 徴 に よ っ て 、 前 者 は 「 湖 ( 水 ) の 中 に い る 」、 後 者 は 「( 湖 と い う ) 一つの範 囲内に浮 かん でいる」という 異なる 位 置関係を 表してい ると 認識され る。 なお、“上”への置き 換 えが可能 となるの は、高桥1992が指摘 するよ うに、“表示 框框内”として 用いら れている 後者のケ ース のみであ る。こ の場合、“船”は“湖 ” という一 つの「 範囲内 」に浮か んでい るとい うだけで なく、“ 湖”の「表面 」に浮 かんでい ると捉え るこ ともでき ることか ら、“ 上”への置き 換えが 可 能となる と考 えられる 。 以 上 の こ と か ら 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” の 選 択 に お い て は 、 話 し 手 が 指 示 物 体 と 参 照 物 体 の 位 置 関 係 を ど の よ う に 捉 え て い る の か と い う 点 が 最 も 重 要 な ポ イ ン ト の 一 つ と な る と い え る 。 次 に 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” が 表 す 位 置 関 係 を 図 式 化 し た
葛婷2004の研究 をみて みる。
1.1.3.
“ 上
“
“
“
上
上
上 ”
”
”
”
、
、
、
、
“
“
“
“ 里
里 ”
里
里
”
” が
”
が
が 表
が
表 す
表
表
す
す
す 位 置 関 係
位 置 関 係
位 置 関 係
位 置 関 係
葛婷2004:60は、方 位 詞“上”、“里”に よっ て表され る指示物 体と 参照物体 の 位置関係 について 、以 下のよう な図を用 いて 説明して いる(“ 上”は 【図1】~【図 5】、“里” は【図 6】~【図9】)。 “ ““ “ 上上上上 ”””” 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 【 図5】 “ “ “ “ 里里里里 ”””” 【図6】 【図7】 【 図8】 【 図9】 上 の 各 図 が 示 す よ う に 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” と の 共 起 に よ っ て 表 さ れ る 物 体 の 位 置 関 係 に は 様 々 な ケ ー ス が 存 在 す る が 、 こ こ で 重 要 と な る の は 、 ど の よ う な ケ ー
ス に “ 上 ” の み が 用 い ら れ 、 ど の よ う な ケ ー ス に “ 里 ” の み が 用 い ら れ る の か と いう点で ある。葛婷2004:60は、“里 ”の用 法を 示す【図6】~【図9】の うち、“ 外” との対立 を表す【図6】を除くす べてにお いて“上”との 置き換 えの可 能性があ る と指摘し 、そのう ちの 【図7】を表 す例とし て 次のよう なものを 挙げ ている。 (5)火车 上/里的 人很 多,站也 没有地方 。 [電車の 中には人 がた くさんい て、立っ てい る場所も ない。] (葛婷2004:60) 例(5)では参照 物体「 電車」と指示 物体「人 」の位置関係 が表さ れ ている。この 場 合 に つ い て は 、 確 か に “ 上 ” と “ 里 ” の い ず れ も 用 い る こ と が で き る が 、 次 の 例 (6)、(7) が 示 す よ う に 、 三 次 元 的 特 徴 の 顕 著 な 名 詞 の 場 合 に は 通 常 “ 里 ” が 用いられ ることが 多い 。 (6)配 殿里有个 隔出来 的小房间 ,房间 里有张 桌子,桌 子上堆 着写在 旧稿纸上 的手稿。(→ * 配殿 上、 * 房间上) <CCL语 料库>( 王晓波《万寿 寺 》) [配 殿 ( 本 殿 の 左 右 の 建 物 ) に は 仕 切 ら れ た 小 さ な 部 屋 が あ る 。 部 屋 の 中には机 があり、机の 上には古 い原稿用 紙に 書かれた 肉筆の原 稿が 積ん である。] (7)小学 生从书 包里翻 出铅笔盒 ,她自己 挑出 一支圆珠 笔交给我 。 (→ * 书包上 ) <CCL语料库 >(王朔 ≪过把 瘾就死≫ ) [小学生は かばん の中を かき回し て筆箱を 出す と、彼女 は自分で ボー ル ペンを一 本選んで 私に 渡した。] 例(6)の“配殿 ”や“ 房间”、例(7)の“书 包”は いずれも 三次元 的特徴が 顕著 であり、これ らの立 体 空間の内 部を表す 場合 には“里”が付 加され、“上”を用い ることは できない 。つ まり、先の 例(5)の“ 火车”のよ うに“ 上”との共起 が可 能となる のは例外 的な ケースで あるとい える 6 。どの ような条 件を満 た した場合 に
“上”と“里”の 置き 換えが可 能となる ので あろうか。ま た、葛婷2004にも一部 指 摘 さ れ て い る よ う に 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” は 以 上 の よ う な 具 体 的 な 空 間 を 表 す ケースだ けでなく 、“心 上/心里”[心の中]のよ うな具体 的な空間 を表 さないケ ース に も 用 い ら れ る 。 本 研 究 で は 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” に 前 置 さ れ る 名 詞 を 「 具 体 的 な 空 間 を 表 す ケ ー ス 」 と 「 具 体 的 な 空 間 を 表 さ な い ケ ー ス 」 に 分 け 、 そ れ ぞ れ の ケ ー ス に お け る “ 上 ”、“ 里 ” と の 共 起 状 況 の 分 析 を 通 し て 、 方 位 詞 “ 上 ”、“ 里 ” の持つ特 徴を明ら かに すること を試みる 。
1.2.
方 位 詞
方 位 詞 に
方 位 詞
方 位 詞
に
に
に 関
関 わ る
関
関
わ る
わ る
わ る 問 題
問 題
問 題 に つ い て
問 題
に つ い て
に つ い て
に つ い て
前 述 の よ う に 、 方 位 詞 に 関 連 す る 問 題 と し て は 、 主 に 「 方 位 詞 選 択 に 関 す る 問 題 」 と 「 方 位 詞 の 付 加 に 関 す る 問 題 」 の 二 つ が 存 在 す る 。 前 者 は ( 複 数 の 方 位 詞 の う ち の ) ど の 方 位 詞 が 用 い ら れ る の か が 問 わ れ る の に 対 し 、 後 者 は 方 位 詞 そ の ものが必 要とされ るか 否かが問 題となる 。方 位 詞はどの ような場 合に 用いられ て、 どのよう な場合に 用い られない のか。た とえ ば、吕叔湘1942/1944:195で“白话 里面用方 所词,除 地名 外,大率 加用方位 词,以「里」、「 上」、「下 」为最 普通。”[口 語 に お い て 方 位 詞 が 用 い ら れ る と き 、 地 名 を 除 い て 、 た い て い 方 位 詞 が 併 せ て 用 い ら れ る 。“ 里 ”、“ 上 ”、“ 下 ” が 最 も 一 般 的 で あ る 。 ]と 指 摘 さ れ て い る よ う に 、 地 名 な ど の 固 有 名 詞 の 後 に は 方 位 詞 が 用 い ら れ な い と い う 記 述 は 、 他 の 先 行 研 究 において もよくみ られ る(文錬1959、Li & Thompson1981、 藤堂・相 原1985、刘 月华2001など)。 また、藤 堂・相原 1985 は、「名詞 には, それ自 身場所性 を持って いる ものとそ うでない ものがあ り」(83 頁)、 場所性 を持っ て いるもの は直接“ 到、 在、往” の 客 語 に な れ る が 、 場 所 性 を 持 た な い も の は 、 後 に “ 里 ”、“ 上 ” な ど の 方 位 詞 が 必 要となる としてい る。 方位詞“ 里”、“上 ”の 使用につ いて、藤 堂・ 相原 1985:83 -84の記述に 基づい て 分類した 場合、以 下の 三つのケ ースに分 けら れる 7 。 I)“ 里”、“ 上”を用 いる ことがで きないケ ース 8 → 日本、 中国、 北京、 上海、南 京路…
例:他在 北京学习 。→ * 他在北京 里/上 9 学习。 [彼は北 京で勉強 して いる。] II)“里 ”、“上 ”を付 加 してもし なくても よい ケース → 图书馆 、邮局 、办公 室、宿舍 、学校、 百货 大楼、车 站… 例:他在 学校里工 作。 →他在学 校工作。 [彼は学 校で仕事 をし ている。] III)“里”、“上” が必要 となるケ ース → 椅子、 桌子、 书架、 床、炕、 书、岗位 、职 位、手… 例a:他把书放 在桌子 上 了。→ * 他把 书放在 桌子 了。 [彼は本 を机の上 に置 いた。] 例b:请拿在 手里仔细 看 吧。→ * 请拿 在手仔 细看 吧。 [手にとっ てよく ご覧。 ] 藤堂・相 原 1985:83-84 は、I) 類は地 名や国 名などの 場所指示 性が 強い固有 名 詞であり、II)類はそ れ 自身のう ちに場所 を表 す意味を 含んでい るも のであり、日 常 生 活 の 中 で 「 あ る 確 定 し た 場 所 」 を 指 す 働 き が 強 く 、III) 類 は 固 有 性 、 場 所 性 が共にう すい一般 名詞 や抽象名 詞である と述 べている 。 以 上 の よ う に 、 方 位 詞 “ 里 ”、“ 上 ” の 付 加 に 関 す る 問 題 に つ い て は 、 先 行 研 究 において すでに明 らか にされて いる部分 が少 なくない 。ただし 、次の 例のよう に、 場所性が 低い語で あっ ても方位 詞の省略 が可 能となる ケースも みら れる。 (8)…… ,连孩 子们也 会用稚嫩 的小手将 母亲 削掉的果 皮放进垃 圾箱 。 (→垃圾 箱里) <CCL语 料库>(《 人民日 报》1996) [ … 子 ど も た ち で さ え 、 幼 い 小 さ な 手 で 母 親 の 剥 い た 果 物 の 皮 を ゴ ミ 箱 に入れる。] 例(8)の “垃圾 箱”[ごみ箱]は 、上記 の藤堂 ・相原1985の分類 の III)類に該 当 し、 固有 性 や場 所性 が 高い とは い えな いが 、 原文 のよ う に“V 进” の目 的語 とな
る 場 合 に は 方 位 詞 “ 里 ” の 省 略 が 可 能 と な る 。 こ の よ う な 例 は 、 名 詞 自 体 の 持 つ 場 所 性 は 方 位 詞 の 省 略 の 可 否 を 判 断 す る 際 の 基 準 の 一 つ と な り 得 る が 、 絶 対 的 な 基 準 で は な い こ と を 示 唆 し て い る と い え よ う 。 既 述 の よ う に 、 方 位 詞 と は 方 向 や 相対的な 位置関係 を表 す語であ り、ど のよう な 方位詞が 用いられ るか について は、 前 置 さ れ る 名 詞 自 体 が 持 つ 特 徴 だ け で な く 、 共 起 す る 動 詞 や 方 向 補 語 、 構 文 、 話 者 の 視 点 、 文 脈 な ど 様 々 な 要 素 に よ る 影 響 を 受 け る 。 こ れ は 方 位 詞 の 付 加 の 問 題 に も 当 て は ま り 、 場 所 性 の 低 い 名 詞 で あ っ て も 、 他 の 要 素 に よ っ て 位 置 関 係 が 明 白 な 場 合 に は 、 方 位 詞 の 省 略 が 可 能 と な る ケ ー ス も あ る と 考 え ら れ る 。 本 研 究 で は 、 方 位 詞 の 選 択 や 省 略 の 可 否 に 影 響 を 与 え る 複 数 の 要 素 の う ち 、 方 位 詞 に 前 置 さ れ る 名 詞 自 体 の 持 つ 特 徴 を 主 な 考 察 対 象 と す る が 、 実 際 に は こ れ 以 外 の 要 素 に よる影響 を完全に 切り 離して考 察するこ とは 難しい。以下の1.2.1.で は、名詞以外 の 要 素 に よ る 影 響 の 一 例 と し て 、 動 詞 及 び 方 向 補 語 が 方 位 詞 の 選 択 に 与 え る 影 響 を取り上 げて検討 する 。
1.2.1.
方 位 詞
方 位 詞 “
方 位 詞
方 位 詞
“
“
“ 上
上
上 ”
上
”
”
”
、
、
、
、
“
“ 里
“
“
里
里 ”
里
” の
”
”
の
の 選 択
の
選 択
選 択
選 択
1.2.1.1.
動 詞
動 詞 に よ る
動 詞
動 詞
に よ る
に よ る 影 響
に よ る
影 響
影 響
影 響
方 位 詞 の 選 択 に お い て 重 要 と な る の は 指 示 物 体 と 参 照 物 体 の 位 置 関 係 で あ り 、 話 者 が そ れ を ど の よ う に 認 識 し て い る か に よ っ て 用 い ら れ る 方 位 詞 が 決 定 さ れ る 。 先 の 例 (1)、(2) の よ う に 、 指 示 物 体 と な る 名 詞 の 持 つ 特 徴 が 参 照 物 体 と の 位 置 関 係 を 決 定 づ け る 最 大 の 要 素 と な る ケ ー ス だ け で な く 、 共 起 す る 動 詞 に よ っ て 両 者の関係 が明らか にさ れるケー スも少な くな い。 (9)【土 葬】处 理死人遗 体的一种 方法,一般是把 尸体装进 棺材,再埋在地 里(区 别于“火 葬、水葬 ”等)。 (《现 代汉语 词典 第5版》1382頁) [【土葬】遺体を 処理す る方法の 一種で 、一般 に、死体 を棺桶 の中に 入れ てから地 中に埋め る(「 火葬、水 葬」等と 区別 される)。] 動詞“埋”は物 体間に「内包」の関係 が存在 すること を表すこ とか ら、例(9)では“里” が用いら れて いる。储 泽祥 1997a は 、相対的 位置関係 を有 する“本 体” と“客体” 10 に おいて は 、動詞につ いてもそ の形 式と合致 するもの を要 求すると し た 上 で 、 動 詞 を そ の 特 性 に 基 づ き 以 下 の 四 種 類 に 分 類 し て い る 。 以 下 は 、 储 泽 祥 1997a:264-267の分 類 をまとめ なおした もの である。 (一 )V[+ 接触 ]:“本 体” と“ 客体 ” の相 対 的位 置関 係に “ 接触 性 ”が ある 場 合、「接 触」の 意味を 有 する動詞 を要求す る。このタイ プの 組 み 合 わ せ に お い て は 、 そ れ と 関 係 す る 名 詞 に 付 け る 方 位 詞として “上”が 用い られやす い。 例:“盖 ”[覆う]、“挂 ”[掛ける]、“贴”[貼る]、“写”[書 く]など (二 )V[+ 容入 ]:“本 体” と“ 客体 ” の相 対 的位 置関 係に “ 容入 性 ”が ある 場 合、「容 れる」の意味 を 有する動 詞を要求 する 。このタ イプ の 組 み 合 わ せ に お い て は 、 そ れ と 関 係 す る 名 詞 に 付 け る 方 位詞とし て“里” が用 いられや すい。 例:“包”[包む]、“ 插 ”[挿す]、“ 藏”[隠 す]、“埋”[埋 める]など (三 )V[+ 离析 ]:“本 体” と“ 客体 ” の相 対 的位 置関 係に “ 离析 性 ”が ある 場 合、「離 れる」の意味 を 有する動 詞を要求 する 。このタ イプ の組み合 わせにお いて は“里” はあまり 用い られない 。 例:“飞” [飛ぶ]、“追 ”[追う]など (四)V[+接触 ]/[+ 容 入]: 動詞の中 には、“ 接触性 ”、“容入 性”の両 方の 意味を持 つも のがある。しかし、“本 体”と“客体 ”の相対 的位置関 係の 相 違 に よ り 、 動 詞 の 意 味 に つ い て も 違 い が 生 じ る 。 し た が っ て 、 [ + 接 触 ] 、 [ + 容 入 ] の 二 種 類 の 特 性 を 持 つ 動 詞 で あ っ て も 、 具 体 的 な 文 に お い て は 、 基 本 的 に は ど ち ら か 一 つ の意味し か表され ない 。
例:“放”[置く、入れ る]、“睡”[眠 る]、“躺 ”[横にな る]、“坐 ”[座る]、“跑 ”[走る]など 上のよう な分類は 、先 の例(9)の ケースか ら も明らか なように 、方 位詞選択 の基 準の一つ となり得 ると いえる。ただし、(四)類の動詞 について は、[+接触]と [+ 容入]の両 方を表 す可能 性がある とされて いる ように、常に動 詞の特 性 のみによ っ て共起す る方位詞 を決 定するこ とができ ると いうわけ ではない 。 (10)桌 上放着一 本书 。 [机の上に 一冊の 本が置 いてある 。] (11)抽屉里 放着一 本 书。 [引き出し の中に 一冊の 本が入っ ている。 ] (例(10)、(11)は 储 泽祥1997a:266) 储泽祥1997a:266が指 摘するよ うに、動 詞“ 放”は「 接触関 係」を 表す場合 には “上”と 共起し(例(10))、「内包 関係」を表す場 合には“ 里”と 共起する(例(11))。 つ ま り 、 動 詞 “ 放 ” だ け で は “ 上 ” と 共 起 す る の か 、 そ れ と も “ 里 ” と 共 起 す る のかを判 断するこ とが できない ことにな る。さ らに、(二 )類に 該当す る動詞“ 插” について も、“上 ”と共 起するケ ースもみ られ る。 (12)… …,大大 的生 日蛋糕上 插着10根蜡烛 。(→ ?? 蛋 糕里) <人民网 >(http://minzu.people.com.cn/GB/166721/12529700.html) […大きな 誕生日 ケーキ に10本のロウ ソクが挿 してある 。] 例(12)の 場合 、[+ 容 入]を表す 動詞“插 ”が 用いられ ているに もか かわらず“上” と 共 起 し て お り 、 こ こ で は “ 里 ” を 用 い る と 不 自 然 な 文 と な る 。 そ の 理 由 の 一 つ と し て 考 え ら れ る の は 、 焦 点 の 問 題 で あ る 。 誕 生 日 ケ ー キ の ロ ウ ソ ク は 火 を 灯 す た め に 挿 さ れ る の で あ り 、 そ の 焦 点 は ケ ー キ に 埋 ま っ て い る 部 分 で は な く 、 外 に
出 て い る 部 分 に 置 か れ る 。 つ ま り 、 例 (12) で は 動 詞 “ 插 ” が 用 い ら れ て は い る ものの、その 焦点は「 内包関係」に は置か れ ていない ことから 、“里 ”は用いられ にくいと 考えらえ る。 以 上 の よ う な こ と か ら 、 共 起 す る 動 詞 の 持 つ 特 徴 は 、 方 位 詞 選 択 の 一 つ の 目 安 にはなり 得るが、 決定 的な要素 であると は言 い難い。
1.2.1.2.
方 向 補 語
方 向 補 語 に よ る
方 向 補 語
方 向 補 語
に よ る
に よ る 影 響
に よ る
影 響
影 響
影 響
1.2.1.1.で み た よ う に 、 動 詞 だ け で は 物 体 間 の 位 置 的 関 係 を 確 定 す る こ と が で き な い ケ ー ス が 存 在 す る が 、 方 向 補 語 を 用 い る こ と に よ っ て そ の 関 係 が 明 ら か と な る場合が ある。た とえ ば、動詞 “跑”は 、储 泽祥 1997a の分 類では (四)類 の[+ 接触]にも [+容入]にも なり得る 動詞に該 当し 、次の例(13)、(14)のように“上 ” と共起す るケース 、“里 ”と共起 するケー スの いずれの パターン もみ られる。 (13)在 海口,在 三亚 ,街道上 跑着各省 市车 牌的豪车 。 <人民网 >(http://pic.people.com.cn/GB/31655/10920851.html) [海口や三 亜では 、大通 りを各省 市のナン バー プレート を付けた 高級 車 が走って いる。] (14)庙 可大了, 我小 时候还经 常在庙里 跑着 玩呢…… <人民网 >(http://art.people.com.cn/GB/205643/206277/13716810.html) [寺はとて も大き くて、 私は幼い 頃よく寺 の中 で走って 遊んでい た…] し か し 、 次 の 例 の よ う に “ 跑 进 ” の 形 で 用 い ら れ る 場 合 に は “ 里 ” と し か 共 起 し ない。 (15) 夫 妇 俩 又 埋 头 嘟 嘟 哝 哝 地 学 英 语 , 小 女 孩 跑 进 草 地 里 专 心 致 志 地 逗 弄 蝴 蝶。(→ * 草 地上) ( 高橋1988:159) [夫婦はま たぼそ ぼそと 英語の勉 強に没頭 し、少 女は草地 に走り込 んで わき目も 振らずに 蝶と 戯れてい る。]例(15)の“ 跑”は 補 語を伴っ た“跑 进”の 形で用い られてお り、“ 草地”と“小 女孩”の間に「 内包関 係」が存在す ること が 明らかと なること から 、方位詞“上” を用いる ことはで きな い。なお、“V 进+L” の形式は 、方位詞 の選 択の問題 だけ で な く 、 方 位 詞 の 省 略 の 可 否 に も 影 響 を 与 え 得 る 。 こ の 点 に つ い て は 、1.2.2.1.に おいて改 めて述べ る。