13851 13851 31880
18479
上り線(先行トンネル) 下り線(後行トンネル)
トンネル中心 道路中心
SL
トンネル中心 暫定道路中心
避難連絡坑延長 19870
表-1 早期閉合トンネルの支保構造仕様
吹付けコンクリート f'ck=36N/mm2,t=25cm 鋼アーチ支保工 H-200(SS400),σa=210N/mm2
ロックボルト L=6m,290KN,17本
変形余裕量 10cm
構造部材 上・下半と同様
構造半径比R3/R1 2.00
早期閉合距離Lf 9~12m
閉合部材 上・下半 支保部材
表-2 計測 B の設置箇所
名称 設置箇所 測点
計測B① 早期閉合を開始した位置(設計した支保の検証) TD.717
計測B② 断層破砕帯部(F断層) TD.1160
図-1 双設トンネルの位置関係
キーワード:山岳トンネル,押出し性地山,双設影響,早期閉合,変形余裕量,高速道路 連絡先:
441-1325
愛知県新城市長篠字今銭前16 Tel.050-3532-5310 Fax.0536-32-0257
押出し性地山における早期閉合双設トンネルの設計検証
中日本高速道路㈱ 豊川工事事務所 大嶋健二
清水建設㈱ 名古屋支店 正会員 ○石川俊明 児玉泰樹 清水建設㈱ 地下空間統括部 正会員 楠本太
1. はじめに
地山強度比が
0.5
を下まわる押出し性地山のトンネ ル掘削では,自立安定は困難であり,断面閉合なしで のトンネル支保構造は不安定になりやすく,過大な変 位や支保工の変状・破壊が発生するようになる.この ような強度不足に起因する押出し性地山では,上半切 羽から1D
(D
:掘削幅)以内で支保構造体を早期閉合 部材で断面閉合して,これの内圧力Pi
で土圧Po
を保持 する早期閉合が,最も有効な安定化方法と考えられ,施工事例が増えてきている.
新東名高速道路・鳳来トンネルは,押出し性の地質 を有し,脆弱で自立度の低い断層破砕帯を通過する双 設トンネル(壁面離隔
1.4D,図-1)である.湧水量は
全線にわたって比較的少ない.延長約2.5km
のうちTD.600m
~1330m
付近において,地山強度比が0.3
と小 さく,掘削時に過大な変位や支保の変状が発生したた め,上述の安定化方法に基づき高耐力のトンネル支保 構造を設計し,早期閉合で施工した1)2)
.本報では,鳳来トンネルにおける地山強度比
0.3
の押 出し性地山にて採用した早期閉合トンネルの設計につ いて,計測工の結果に基づき,その妥当性を検証する.2. 設計概要
西村らがまとめた早期閉合トンネルの施工事例
3)
で は,地山強度比0.3
程度の粘土質の断層破砕帯や大規模 な地質不良部における吹付けコンクリートには,土かぶり高で
H=60m
相当の土圧が作用することが推定される
3)
.鳳来トンネルでは,標準支保パターンで掘削中に 過大な変位や支保の変状が発生したため,土かぶり高H=60m
相当の土圧作用を想定し,厚肉円筒理論4)
を用いて必要支保耐力を算出し,高耐力の早期閉合トンネ ルを設計した.設計した早期閉合トンネルの支保構造 仕様を表-1に示す.
3. 設計の妥当性の検証
設計した支保の妥当性を確認するため,変位計測に 加え,早期閉合を開始した位置と断層破砕帯に遭遇し た位置の
2
断面で計測B
(吹付けコンクリート軸応力測 定,鋼アーチ支保工縁応力測定)を実施した(表-2).設計の妥当性について,以下を整理して検証する.
① 先行上り線のトンネル変位について,先行後と双 設後の変位量が変形余裕量
(100mm)
以下で収束し ていることを確認する.② 先行上り線の計測
B
の結果をもとに,支保に作用 する先行後と双設後の応力を分析し,支保の健全 性を確認する.③ 計測
B
の結果を用いて作用土圧Po
を推定し,土か ぶり相当高を求め,設計時の土かぶり高(H=60m) の妥当性を確認する.作用土圧Po
の推定は,計測B
の吹付けコンクリート軸力Nc
の最大値を支保構 造半径r
で除して概算する.土かぶり相当高H
は,この土圧
Po
を単位体積重量γで除して算定する.土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)
‑85‑
Ⅵ‑043
-39
-11 -12
-27 -30
-45
-12 -14
-31
-35
-39 -35
-55 -57
-45 -39
-39
-60 -58
-40
-6
-1 -2 -4 -5
-10 0 10 20 30 40 50 60 70
-80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0
天端沈下 左脚部沈下 右脚部沈下 上半内空変位 下半内空変位
増加分=双設後-先行後
沈下量・内空変位量(mm)
計測A(先行後)
計測A(双設後)
最大値(先行後)
最大値(双設後)
計測A増加分
計測点
図-2 トンネル変位量
23
7 11
24 26
9
16 15
9 6
9 1.0
1.1 1.3
1.2 1.3
1.1 0.9
1.2 1.0
0.5
-0.3 0.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5
0 6 12 18 24 30 36
Inv左 SL下 SL上 左肩 天端 右肩 SL上 SL下 Inv右 Inv中
応力増分比(=双設後/先行後)
吹付けコンクリート軸応力(N/mm2)
測定位置 先行後 双設後 増分比
(+:圧縮)
(←下り線側)
図-3(1) 吹付けコンクリート軸応力(計測 B①)
0
24 31
0 9
32
4 14
5 28
21 24 1.2
1.0 1.1
1.3 1.4
1.0 1.5
1.1 1.2
-0.3 0.0 0.3 0.6 0.9 1.2 1.5
0 6 12 18 24 30 36
Inv左 SL下 SL上 左肩 天端 右肩 SL上 SL下 Inv右 Inv中
応力増分比(=双設後/先行後)
吹付けコンクリート軸応力(N/mm2)
測定位置
先行後 双設後
(+:圧縮) 増分比
(←下り線側)
図-3(2) 吹付けコンクリート軸応力(計測 B②)
-247 -143
-370 -333 -385
-546 -496 -31
-132
-495 -136
-227 -343
-89
-334
-239 -190 -263
1.4 1.6
1.4 1.3
1.1 1.6
2.3
1.0
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0
-1,000 -750 -500 -250 0
Inv左 SL下 SL上 左肩 天端 右肩 SL上 SL下 Inv右 Inv中
縁応力In増分比(=双設後/先行後)
鋼アーチ支保工縁応力(N/mm2)
測定位置
先行後In 先行後Out 双設後In 双設後Out In増分比
(-:圧縮)
(←下り線側)
図-4(1) 鋼アーチ支保工縁応力(計測 B①)
-231 -331
-432
-693 -269
-430
-759 -277
-65 -175
-572 -519 -312
-520 -149
-705
-386 -327 -329
-235 1.7
1.4 1.3
1.1 1.1
0.9 1.0 1.2
1.0 1.1
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
-1,000 -750 -500 -250 0
Inv左 SL下 SL上 左肩 天端 右肩 SL上 SL下 Inv右 Inv中
縁応力In増分比(=双設後/先行後)
鋼アーチ支保工縁応力(N/mm2)
測定位置
先行後In 先行後Out 双設後In 双設後Out In増分比
(-:圧縮)
(←下り線側)
図-4(2) 鋼アーチ支保工縁応力(計測 B②)
44 45
57
66
0 20 40 60 80
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
土かぶり相当高H(m)
作用土圧Po(N/mm2),増分比
測点番号 先行後Po 双設後Po 増分比 先行後H 双設後H
計測B① 計測B②
Po=吹付けコンクリート軸力Nc/トンネル半径r H=Po/単位体積重量
増分比=双設後/先行後
図-5 作用土圧 Po と土かぶり相当高 H 3-1.トンネル変位
トンネル変位を図-2 に示す.図-2 に示す計測値は,
代 表 測 点 と し て , 天 端 沈 下 量 が 最 大 で あ っ た 測 点
(TD.1188m)の変位量と,各測線の変位の最大値を示す.
代表測点の沈下量のなかで,天端沈下
V 1
が最も大き く,先行後-39mm
,双設後に-45mm
沈下する.内空変 位量のなかでは,下半H 2
が大きく先行後-30mm,双設後に
-35mm
内空側に変位する.代表測点を含め,計測A
を実施した全ての測点において,トンネル変位はい ずれも変形余裕量(100mm)以下で収束する.3-2.支保の健全性
吹付けコンクリート軸応力と鋼製支保工縁応力をそ れぞれ図-3,図-4に示す.
吹付けコンクリート軸応力は,計測
B①において,最
大で先行後23N/mm 2
,双設後26N/mm 2
の圧縮となり,設計基準強度
f’ ck
の約72
%で収束する.計測B
②におい て,最大で先行後24N/mm 2
,双設後32N/mm 2
の圧縮と なり,設計基準強度f’ ck
の約89
%で収束する.鋼アーチ支保工縁応力は,ほとんどの側線で許容応力 度σ
a
を上回り,双設後において最大で約760N/mm 2
の 圧縮がIN
側で発生し(同位置OUT
側で約390N/mm 2
の圧縮),高い曲げ応力が発生する.しかしながら,吹 付けコンクリートによる変位拘束を受け,支保の変状 はなく,支保部材としての健全性は確保できている.3-3.土かぶり相当高
土かぶり相当高を図-5に示す.
双設後の土かぶり相当高
H
が,計測B①で H=57m,
計測
B
②でH=66m
となり,設計で想定した土かぶり高H=60m
は定量的に概ね妥当であったと考えられる.4. まとめ
地山強度比が
0.3
の押出し性地山に対し,厚肉円筒理論 を用いて早期閉合のトンネル支保構造を設計し,計測工の 結果に基づいて,その妥当性を検証した.その結果,想定 した土かぶり高相当の土圧を,設計した支保構造がその健 全性を確保した状態で支持し,トンネル変位を抑制してい ることが確認され,本設計の妥当性が示された.【参考文献】
1)桐山・大嶋・神澤・浅野:三波川帯低強度地山を早期閉合などの工夫で
効率的に施工,トンネルと地下,Vol.42,no.10,2011.102)桐山・大嶋・浅野・楠本:押出し性地山における早期閉合双設トンネル
の地山挙動,トンネル工学報告集,第21
巻, 2011.113)西村・城間・楠本:早期閉合トンネル力学パラメータに関する考察,土
木学会第66
回年次学術講演会,第Ⅵ部門,2011.4)楠本・恩田・上岡:押出し性地山における大断面トンネルの力学パラメ
ータに関する考察,土木学会第60
回年次学術講演会,第Ⅲ部門,2005.土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)