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Academic year: 2022

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キーワード 超撥水,滑落角,接触角,相互作用エネルギー,型枠,表面気泡

連絡先

135-8530

東京都江東区越中島三丁目

4-17

清水建設株式会社 技術研究所

Tel : 03-3820-8741

滑落角と相互作用エネルギーを用いたコンクリート表面気泡の抑制効果の評価

清水建設㈱ 技術研究所 正会員 ○ 依田 侑也 辻埜 真人 齊藤 亮介 黒田 泰弘 東洋アルミニウム㈱ 先端技術本部 西川 浩之

1.はじめに

著者らは,図-1 に示すようなハスの葉の表面構造 を模した特殊なフラクタル構造を型枠に付与するバイ オミメティクス技術により,接触角が 150°超となる 型枠を開発した.また,既報 1)においてこの型枠を使 用した際の表面気泡の抑制効果について報告した.

本報では,型枠表面の素材を変え,新しい評価指標 として滑落角を用い,コンクリートの表面気泡に及ぼ す影響について検討した結果について報告する.

2.滑落角と相互作用エネルギー

滑落角は図-2 に示すように,ある平面を水平の状 態から傾けていった際に,液滴が動き出す角度であり,

接触角と同様,水と材料表面の相互作用の評価に用い

られ,近年注目されている.その理由は,水と材料の界面における接着の仕事量(付着エネルギーまたは相互 作用エネルギーと呼ばれる)が,滑落角から算出でき,「せん断による滑落性」の評価に有効なためである2)

本技術に関しても,型枠表面に達した気泡が,型枠とペースト界面における付着を引きはがすことにより容 易に上昇し,表面気泡を低減している可能性があるため,滑落角および相互作用エネルギーを用いて評価を行 うことは,材料の選定,配合や施工条件の最適化の観点から有効と考える.

3.実験の概要

(1)使用材料

使用材料を表-1 に示す.No.0 は比較対象とする通常の塗装合板である.No.1 は,塗装合板上に図-1 と同 じ加工を施したものである.No.2~No.9 の水準は,各基材のシート上に,滑落角が変わるように様々な表面加 工およびコートを施し,評価に用いた.

(2)滑落角の測定および相互作用エネルギーの算定

表-1 の素材を,平滑な面を持つ厚さ 5mm の塩化ビニル板に張り付け,協和界面科学社製の DM-501 を用い て滑落角を測定した.液滴の量は 20~40μℓとし,毎秒 1°の速さで水平面から徐々に傾けた.液滴を CCD カ

図-1 ハスの葉の表面構造を模した表面加工

図-2 滑落角の概要

α r

mg sinα

mg

液滴

表-1 使用した材料

No. 基材 コート剤(1 層目) コート剤(2 層目)

0 合板 目止め材 ウレタン系樹脂

1 塗装合板 酢酸ビニル系樹脂 疎水性シリカ

2 ポリエステル 酢酸ビニル系樹脂 -

3 ポリエステル 酢酸ビニル系樹脂 疎水性シリカ

4 ポリエステル 酢酸ビニル系樹脂 フッソ系コート剤

5 絹目加工のポリエチレン - -

6 絹目加工のポリエチレン シリコン系コート剤 -

7 絹目加工のポリエチレン シリコン系コート剤 疎水性シリカ

8 凹凸加工のポリエチレン シリコン系コート剤 -

9 凹凸加工のポリエチレン シリコン+フッ素系コート剤 -

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑379‑

Ⅴ‑190

(2)

メラによって経時的に観測し,液滴が 10 ドット前進した 時の角度を滑落角と定義した.また,重力の傾斜方向成 分と接触円周縁部にはたらく付着力がつり合っていると して,相互作用エネルギーを,式[1]により算出した2)

E mg sin 2

[1]

ここに,E:相互作用エネルギー(mJ/m2),α:滑落角(°),

r:水滴接触面の半径(μm),m:液滴質量(μg),g:重力 加速度(m/s2)

(3)コンクリートの表面気泡率の算定

本実験では既報1)と同じ配合の呼び強度 33 のコンクリ ートを用いた.打込み直前のスランプは 17.5cm,空気量 は 5.0%,温度は 21℃であった.内寸 210×297×50mm の 型枠にコンクリートを打ち込み,材齢 4 日で脱型した.

脱型後 1 週間気中乾燥させ,コンクリート表面の直径 1mm 以上の空気泡を表面気泡と定義して,透明な OHP シート に写し取り,黒白の二値化処理の画像解析から,式[2]

によって表面気泡率を算出した.

Rp RA AA 100

[2]

ここに,Rp:表面気泡率(%),RA:表面気泡部分の面積,

AA:型枠の面積

4.実験結果および考察

(1)滑落角および相互作用エネルギー

図-3 に,それぞれの型枠の滑落角および相互作用エ ネルギーを示す.相互作用エネルギーは滑落角より算定 されるため,同様な傾向を示すが,No.4 や No6 の水準で 違いを生じた.これは主にrの影響である.

(2)表面気泡率と滑落角および相互作用エネルギーの 関係

図-4 にそれぞれの型枠を使用した際の表面気泡率を 示す.また,図-5 に表面気泡率と滑落角の関係,図-6 に表面気泡率と相互作用エネルギーの関係を示す.図-5 より,滑落角が約 20°以下になると表面気泡が減少し始 め,約 10°以下でその影響が顕著となった.また相互作 用エネルギーにおいては約 5mJ/m2以下から,大きく表面 気泡率が減少することが明らかとなった.

5.まとめ

コンクリートの表面気泡率を,滑落角および相互作用 エネルギーを用いて評価できる可能性が示唆された.

参考文献

1)

依田侑也ほか:超撥水機構を有する型枠を用いたコンクリートの表面気泡の抑制効果,土木学会第

70

回年 次学術講演会,pp.563-564,2015.9

2)

村瀬平八:新しい概念によるはっ水表面の形成と滑水機構の考察,色材,73(2),60-66,2000

図-3 滑落角および相互作用エネルギー

図-4 それぞれの型枠における表面気泡率

図-5 表面気泡率と滑落角の関係

図-6 表面気泡率と相互作用エネルギーの関係

0

10 20 30 40 50 60 70 80 90

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

滑落角(°)

0 5 10 15 20 25 30

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

相互作用エネルギ(mJ/m2)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

表面気泡率(%)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0 20 40 60 80 100

滑落角 (°)

表面気泡率(%)

■No.0

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

0 10 20 30

相互作用エネルギー (mJ/m2)

表面気泡率(%)

■No.0

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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