公開講演会等要旨
社 会 関連会 計 ・ 環 境 会計 の現 状 と課 題
高 瀬 智 章 柳 田 仁
日本 社 会 関 連 会 計 学 会(会 長 ・野 村 健 太 郎 氏)第14回 全 国 大 会(準 備 委 員 長 ・柳 田 仁 氏)は ・2001年10月12日(JR平 塚 駅 前MNビ ル11階 ・ひ らつ か ス カ イ プ ラザ 会 議 室)、 同13日(神 奈 川 大 学 湘 南 ひ らつ か キ ャ ンパ ス)に て 開 催 さ れ た
。 今 回 の 大 会 は 「21世紀 に お け る 社 会 と会 計 」 を テ ー マ と し、 様 々 な 側 面 か ら 同 テ ー マ に 対 す
る講 演 ・報 告 が な され た 。
大 会 初 日は 、 研 究 者 と実 務 家 の 双 方 に よ る 公 開 講 演 会 が 行 わ れ た。 二 日 目 は 、 自 由 論 題 報 告 ・統 ・論 題 報 告 に て 、 上記 の テ ー マ に 関 す る 報 告 者 諸 氏 の 報 告 が 行 わ れ た 。
(1)公 開 講 演会 の講 演要 旨
公 開講 演 会 は神 奈川 大学 国際 経営 研 究 所 の後 援 を受 け 、高 瀬 の 司会 にて行 わ れ た。
講演 会 は準備 委員 長 の 柳 田仁 氏 の講 演 会 開催 の挨 拶 、 地 元 平塚 商工 会 議所 会頭 ・松 上 茂 氏 に よる挨 拶 の後 、 山上達 人氏(奈 良 産 業 大 学教 授 ・大 阪 市 立 大 学 名 誉 教 授)
と鴨 志 田元 考 氏(㈱ ト0キ ン専 務 取 締役 、工 学博 士)の 公 開講 演 とい う順 序 で行 わ れ た。
山上 氏 の講 演 タ イ トル は 「社 会 関 連 会 計 ・環境 会 計 の現 状 と課 題 一一一一21世紀 にお け る 『社 会 と会計 』 につ い て一 」・ 鴨 志 田氏 の 講 演 タ イ トル は 「企 業経 営 と社 会 貢 献一 環 境 問 題対 応 を中心 と して」 で あ る。
山上 氏 は 講演 にあ た って 、 「社 会 の根 底 に は まず 人 あ りき」 とい う考 え方 を 強調 した。 そ の上 で、 同氏 が これ まで研 究対 象 と して きた生 産 性 会 計、社 会 関連 会 計 、 そ して環 境 会 計 の 内容 を述 べ て い る。 山上 氏 は 自 らの研 究 領域 の いず れ もが、 「人」
を単 な る労働 力 ・企業 の 部 品 と して捉 え るの で は な く、 人格 を持 っ た個 人 と して尊
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重 してい る点 を指摘 して い る。
これ は 、 会計 が営 利 主 体 の 利 益追 求 ツー ルか ら脱却 し、 広 く社 会 に有 益 な情 報 を 提 供 す る こ と、 そ して 、組 織 等 が 会計 を通 じた情 報 開示 に よって 、社 会 責 任 を果 た す こ との 重 要性 の 指摘 で もあ る。 さ らに同氏 は 、 企業 に属 す る立 場 と して の 「人 」
とい うだ けで な く、 「人」 が社 会 の構 成 員 で あ る こ とを念 頭 に お い た上 で 、 企 業 や 会 計 とい う領 域 に取 り組 む こ との 重要 性 を強調 してい る。
前述 の諸 点 を述 べ た 上 で 、特 に環 境 会計 につ い て、 環 境 会 計 の多 様 性 を指摘 し、
環境 会 計 の 分類 と今 後 の展 望 を述 べ てい る。山上 氏 の提 示 した環境 会 計 の分 類 とは、
既 存 の 会計 システ ム との 関連性 を考 慮 した 、貨 幣 数値 化 とい う基準 に基 づ く分 類 で あ る。
具体 的 に は、環 境 会計 を 「『環 境 』 会 計 」 と、 「環 境 『会計 』」 とに分類 す る とい う言 い 方 で 説 明 して い る。 前 者 の 「『環 境 』 会計 」 とは 、環 境 関連 情 報 を積 極 的 に 包 含 して い くとい う方 向性 を重 視 し、貨 幣 数値 化 が 困難 も し くは不可 能 な、 定量 ・ 定性 的 な情 報 も積 極 的 に取 り込 んで い く環 境 会 計 を指 す 。 一一方 の 「環 境 『会 計 』」
とは、既 存 の会計 シス テ ム を重 視 し、 環境 関連 で も貨 幣数 値 化可 能 な情報 を扱 うこ とを前提 と した環 境 会 計 で あ る。 後 者 の 「環 境 『会 計 』」 は、既 存 の会 計 シス テ ム の枠 組 み の 中で構 築 ・実 施 され る とい う こ とが前 提 となる。
山 上氏 は これ まで に提 唱 ・実 施 され て きた 多 用 な環境 会 計技 法 を、上 記 の 「『環 境 』 会 計 」 と 「環境 『会 計 』」 とに、 厳密 に区 分 す る こ との必 要 性 を 強調 した。 そ して 、 そ の上 で さ らに両 者 の い ず れ の 方向性 へ 進 む こ とが正 しい ・誤 って い る とい う論 議 を行 うの で は な く、 今後 の 環境 会 計 はそ れ ぞ れ の方 向性 へ 発展 して い くこ と が望 ま しい と指 摘 して 、発 表 を締 め く くった。
山上氏 の発 表 の 中 で示 された環 境 会 計 の 分類 は、 今 後 の環 境 会計 の方 向性 を示 す 重 要 な指 摘 で あ る。 そ して 、現 在 の 多用 な技 法 が 混 在 す る環 境 会 計 領 域 にお い て 、
一つ の明確 な分 類 基準 を示 した とい う、 きわめ て重 要 な報 告 で もあ っ た。
鴨志 田氏 は企業 の環 境 問 題へ の取 り組 み を、 実務 家 の視 点 か ら様 々 な資料 を も と に述 べ た。 また、 鴨志 田氏 が 述べ た、 環 境保 全 活 動 へ の取 り組 み に よっ て生 じる担 当者 の苦悩 は 、環 境 保全 活 動 を実 施す る組 織 にお い て 共通 す る問題 と して、 非 常 に 興 味 深 い もの で あ った。
鴨志 田氏 は まず 、㈱ トー キ ンの環 境 保 全活 動 に 関 して 、原 材 料等 の調 達 か ら製 造 過 程 、 廃 棄 に至 る まで 、 あ らゆ る角 度か ら環境 問題 へ 取 り組 ん でい る こ とを、 資料 を も とに具体 的 に示 した 。 同社 の 環境 問題 へ の 取 り組 み は製 造 工程 等 の経 営 活動 に
公開講演会要 旨●社会関連会計 環 境会計の現状 と課題 直結 す る部 分 だ け で な く、周 辺 地 域 にお け るボ ラ ンテ ィア活動 や環 境教 育 とい
った 面 に まで 及 ん で い る こ と を述 べ ・ 職 問題 解 決 に は関連 領 域 の 教 育 ・啓 蒙 が 聾 で あ る こ とを指摘 して い る。
また、 鴨志 田氏 は㈱ トー キ ンにお け る環境 会計 に関 して 、 同社 の 環境 会計 は環 境 コス トの 詳細 な計 算 が 中心 であ り、 そ の反 面 で効 果 に 関す る諸 情 報 は貨 幣数 値 化 が 確 実 に行 え る もの の み を計 上 して い る とい うこ と を述 べ てい る。 同氏 は具体 的 に過 去 に作 成 され た書 式 を用 いて 、 同社 の 環境 会 計 実 態 を説 明 した
。 そ の説 明 の 中 で 、 同社 の 環境 会 計 は見 込 み額 を一 切用 い て い な い点 を強調 し、 物量 値 等 の形 態 で把 握 して い る効 果 情報 等 を無 理 に貨 幣 数値 化 す る とい う対 応 は採 って い な い こ とを指 摘 して い る。 同社 で は、 貨 幣 数値 化 で きない諸 情 報 に関 して は、 前 年比 等 の増 減 比 率 とい った形 態 で情 報 作 成 ・開示 を行 って い る。
前述 の諸 点 を述 べ た上 で 、 鴨志 田氏 は環境 保 全 活 動 を実 施 して い る企 業 が 陥 る ジ レンマ につ いて述 べ て い る。す な わ ち、 企業 等 の組 織 が あ る程 度 以 上 環境 保 全 活 動 を続 け る と、 環境 保 全 効 果 の頭 打 ち状 態 が起 きて しま う とい う問題 で あ る
。
環 境 保 全 活 動 に よっ て、 組 織 が 発 生 させ る環 境 負荷 は 削 減 され て い く。 しか し、
聯 保 全 活動 を繍 す る こ とで ・次 第 に環境 負 荷 の削 減 量 は減 少 して い く.こ の事 自体 は 当初 の環 境 保 全 活動 の 目的 を達成 して い る こ と に他 な らない。 しか し、 や が て は 環境 負 荷 の削 減量 が 一 定 量 を維 持 す るか 、 削 減量 が ゼ ロ も し くはそ れ に極 め て 近 い状 態 とな って しま う。 この ・ い わ ゆ る頭 打 ち の状 態 となっ て しま うこ とが
、 環 境 部 門の担 当 者 とい う実 務 家 の立 場 で は、 問題 で あ る とい う指 摘 であ る。
活動 を継 続 して い る に も係 わ らず 、その 活動 に よって得 られ る効果 が 増 大 しな い
、 あ るい は減 少 して い る。 この事 実 が 既 存 の経 済 的利 益 追 求 の プ ロセ ス と同様 に判 断
され た場 合 、活 動 に対 して得 られ た効果 が不 十 分 と見 な され て し ま うとい う問 題 点 で あ る。 この 点 に対 して鴨 志 田氏 は 実務 家 の 立場 上 、効 果が得 られ な い状 況 を問 題 視す る 内外 の 評価 に どの よ うな対 応 を してい くか が、 今 後 考慮 を必 要 とす る点 で あ る と述べ られ た。
発 表 の後 に は、 活発 な 質疑 応 答 が な され た。 鴨志 田氏 は 質疑 応 答 を通 じて
、 自社 の地 域 社 会 貢 献活 動 や 、 海 外拠 点 に お け る環境 問題 へ の 取 り組 み が
、 …つ の環 境 関 連 教 育 とな っ て い る点 等 につ い て も、 言 及 され た。
(2)自 由論 題 報 告 の報 告 要 旨
大 会二 日 目は神 奈 川 大 学 湘 南 ひ らつ か 校 舎 に会 場 を移 し、研 究 報 告 が 行 わ れ た 。
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午前 中 は 自由論 題 報 告 の 時 間 に 当て られ、2つ の会 場 で そ れ ぞれ3つ の 報告 が行 われ た。 第1会 場 の 司会 は 岩辺 晃 三氏(埼 玉 大学)、 第2会 場 の 司 会 は小 林 麻 理 氏(富 士 短 期 大学)で あ る。
第1会 場 第1報 告 は、 宮 地晃 輔 氏(国 立富 山商 船 高等 専 門学校)の 「環境 会計(実 態 調 査)」 で あ る。宮 地 氏 は環 境 会計 を実 施 して い る先 行 企業 二 十 三社 に対 す るア
ンケー ト調 査 を もとに、現 段 階 にお け る環境 会 計 実 務 に対 す る企 業 の意 識 を把 握 し、
環 境 会 計 情 報 の 開示 を今 後 どの よ う な形 で 展 開 して い くか とい う考 察 を行 って い る0
宮 地 氏 は報 告 の 中で 、企 業 の環 境 会計 に対 す る意 識 が 多様 性 に富 ん で い る こ とを 指摘 した。 そ の上 で、 財 務報 告 書 にお け る環 境 会計 情 報 記 載 に関す る本格 的 な議 論 が 可 能 な土 壌 は、現 時点 にお い て既 に存 在 して い る とい う結 論 を もっ て、 報告 を ま
とめて い る。 同氏 の 報告 の結 論 か ら、 宮 地氏 の 考 える環 境 会計 は、既 存 の会 計 シス テ ム に環境 情 報 を包含 す る形 で構 築 ・実 施 され る とい う 「環境 『会計 』」 で あ る こ
とが理 解 され る。
第1会 場 第2報 告 は、 高瀬 智 章 氏(神 奈 川 大 学大 学 院 ・当 時)の 「環境 保 全 活 動 の 評価 」 で あ る。高 瀬 氏 は、組 織 が 実 施 した環 境 保 全活 動 の 良 否 ・優 劣 を判 断 ・評価 す るた め の情 報 を作 成 ・開 示 す るた めの技 法 と しての 環境 会 計 に関す る報 告 を行 っ
た。
高瀬 氏 は、環 境 保 全 活動 の多 様性 を考慮 した 場 合 、環 境 会計 情 報 の 他者 間比 較 に よって 、環 境 保全 活 動 の評価 を行 う こ とは困難 で あ る こ とを示 した。 この 困難 性 の 解 決 策 と して 、 目標 と実績 の比 較 とい う方 法論 を中心 に据 えた報 告 を行 っ てい る。
目標 と実績 の比 較 とい う方 法 論 は、実 施 が 容 易 で あ り、 内外 の情 報 利用 者 に理解 も容 易 とい う考 え方 を同氏 は示 して い る。 そ して、既 存 の 会計技 法 に おい て 同様 の 考 え方 ・方法 論 を有す る標 準 原価 計 算 の概 念 を環 境 会 計 に適用 す る こ とで 、 具体 化
が 図 れ るで あ ろ うとい う結論 を述 べ た。
第1会 場 第3報 告 は 、 大 島 正 克 氏(代 表 ・亜 細 亜 大 学)・ 村 井 秀 樹 氏(日 本 大 学)・ 町 田祥 弘氏(東 京 経 済 大学)、 中野 貴 之氏(流 通 経 済 大学)、 松 田真 弓氏(法 政大 学 大学 院)、 久持 英 司 氏(早 稲 田大 学 大学 院)に よ る、 「環 境 情 報 にか か る ウ ェ
ッブ開 示 の 諸課 題 一 中 間報 告一 」 で あ る。 大 島氏 はwww(worldwideweb)
を用 い た 、非 紙 媒体 に よる企業 の環 境 情 報 開示 に着 目 し、現 状 調 査 の結 果 を報 告 し たQ
大 島氏 の調 査 対 象 は 、 東証 一部 上場 企業 の3月 決 算 企 業 で あ る。 調 査 期 間 は2001
公開講演会要旨●社 会関連会計・環境会計 の現状 と課題 年9月 下 旬 か ら10月 上 旬 で あ り、 当該 期 間 にお い て調 査 対 象 と した企 業 の ホ ー ム ベ ー ジ上 に開示 され た環 境 情 報 の実 態 を調 査 して
い る。
大 島氏 は11200社 近 い対 象 企業 を36業 種 に分 類 し、 業種 ご とに調 査結 果 を報 告 し て い る。 そ して 、 中 間 報 告 と しての 結 論 と して、WWWに よ る環 境 情 報 の 開示 は、
紙 媒 体 に は ない数 々の 利 点 が あ る点 を指摘 した.そ の … 方 で 、諸 利 点 の 存在1こもカ、
か わ らず 、WWWと い う開示 形 態 の 普 及 度 及 び利 用 度 は、 相 当 な業 種 間格 差 が あ る こ とを 強調 して い る。 そ して ・今 後 も調 査 を継 続 す る 旨 を告 げ て報 告 の ま とめ と し た。
第2会 場 第1報 告 は、 朴 恩 芝 氏(名 古 屋 大 学 大 学 院)の 「IMF管 理 体制 以 降 の韓 国 会計 龍 開示 の特 徴一 蝶 期 船 財 務 諸表 の 開示 につ いて一 」 で あ る
.朴 氏1ま韓 国 で用 い られ て い る企 業集 団結 合 財務 諸 表 に 関 して、 そ の特 色 と連結 会 計制 度 との 関連 性 につ い て報 告 を行 っ た。
朴 氏 は韓 国 に お け る蝶 集 団結 合 ・ いわ ゆ る財 閥 の財 務 情 報 開示 にお け る不 透 明 性 と、 そ の資 金 調 達 が 金融 機 関か らの融 資 に偏 重 して きた経 緯 を
、歴 史 的 な観 点 か ら指 摘 した。 そ して、 企業 集 団結 合 財 務 諸 表 は財 閥 を対 象 と した特 殊 な財 務 諸 表 で あ り、 世 界的 な普 及 が 図 られ て い る連 結 会計 制 度 とは異 な る点 を指 摘 して い る
。 以 上 の 諸 点 を踏 まえ、 朴 氏 は今 後 韓 国 が 制 度 と して 、 企 業 集 団 結 合 財 務 諸 表 と、
世 界 的 に統 一一・化 の 方 向 で適用 されつ つ あ る連 結 会計 制 度 の いず れ を導 入 す る こ とが 適 切 で あ るか につ い て、現 時点 で は解 答 を出せ ない と して い る
。 そ して 、 いず れ を 導 入 すべ きか に関 す る十分 な検 討 を、今 後 も行 って い く必 要 が あ る とい う指 摘 を も っ て、 報 告 の ま とめ と した。
第2会 場 第2報 告 は、 河 野 充央 氏(広 島 県 立大 学)の 「シス テ ム ・ソ リュー シ ョン と戦 略 支 援 管 理 会 計一 イ ンヴ ィジ ブ ルハ ン ドの 世 界 の到 来 に よ る社 会 の変 化 を考 察 しなが ら」 で あ る。 河 野氏 はか つ ての 価格 に基 づ く一 元 的 な イ ン ヴ ィジブ ルハ ン ド の 世 界 で は な く、 情 報 に基 づ く各 人の 需要 に合 わせ た物 の生 産 ・サ ー ビス の提 供 を 行 う産 業 シス テ ムが機 能す る イ ンヴ ィジブ ルハ ン ドの世 界 に対 す る、 需給 双 方か ら の認 識 の あ り方 が 問 わ れ る時代 が 訪 れ てい る こ とを指摘 して い る
。 そ の上 で・1・ システ ム ・ソ リュー シ ョン と ビジ ネス ・プ ロセ ス の進 化
、2.IT革 命 と現 代 市場 の 特 性 お よび価 格 決 定 メ カニ ズム 、3.企 業 の競 争 戦 略 と管理 会 計 の 役 割 一価 格 決 定 をベ ー ス と した 考 察一 、4 .補 完 材 市 場 を例 に した価 格 決定 機 構 の 考 察 とい う内 容 で報 告 を行 っ た。
第2会 場 第3報 告 は・ 吉 野 忠 光 氏(㈱ コマ ツ生 産本 部)・ 宮 崎 修 行氏(国 際 キ リス
国際経営 フ ォー ラムNo.13
ト教 大 学)に よ る 「コ マ ツ の 環 境 会 計 一 ス イ スBUWAL・SR29712に 基 づ くエ コ ・エ フ ィシ ャ ン シ ー 会 計 の 試 み一 」 で あ る 。 吉 野 氏 は実 務 家 の 立 場 か ら、 コ マ ツで 実 施
さ れ て い る環 境 会 計 の 実 態 を 報 告 し た 。
吉 野 氏 は まず 、 コ マ ツ が 「最 小 の 経 済 的 費 用 で 最 大 の エ コ ロ ジ カ ル な 成 果 を 実 現 す る」 た め に 、 異 な る 環 境 負 荷 を 同 一 指 標 に統 合 化 す る こ と を模 索 して き た こ と を 述 べ た 。 そ の 結 果 、 同 社 が ス イ ス で 法 制 化 さ れ て い る 環 境 影 響 評 価 技 法 、
BUWAL・SR29712を ベ ー ス に 、 環 境 負 荷 情 報 を統 合 して い る とい う現 状 を報 告 して い る0
そ して 、 吉 野 氏 は コマ ツ が 前 述 の 技 法 に よ っ て 作 成 さ れ た 指 標 と環 境 会 計 を結 合 し 、 生 産 事 業 所 ご と の 環 境 適 合 度 の 評 価 を行 っ て い る と い う現 状 を報 告 して い る。
な お 、 コマ ツ の 環 境 会 計 の 具 体 的 事 例 と して 、 同 社 の 環 境 報 告 書 上 の 諸 情 報 を用 い て 報 告 を行 っ た 。
(3)統 一論 題 報 告 の報 告 要 旨
二 日目の午 後 は、柳 田仁 氏 の総合 司会 の も とで、統 一論 題 報 告 が行 わ れ た。
第1報 告 は、 野 口 晃弘 氏(名 古屋 大 学)に よる 、 「独 立行 政 法 人 会計 基準 の検 討 」、
コ メ ンテ ー ター は井 上良 二氏(千 葉 大 学)で あ る。 野 口氏 は独 立 行政 法 人会計 基準 に関 して 、独 立 行 政 法 人 の意 義 、独 立行 政 法 人 会 計基 準 の 概要 、社 会 的 成 果計 算書 の必 要性 、 日本 版GASBと い う流 れ で 報告 を行 った。
野 口氏 は営 利 を 目的 とせ ず 、独 立 採 算性 を前 提 と しない 公共 的 な性 格 を有 す る独 立 行 政 法 人 に適 用 され る独 立 行 政 法 人 会計 基 準 の概 要 と して 、 そ の構 成 や 関連 科 目
の 会計 処 理 等 を述 べ た 。 そ して独 立 行 政 法 人 会 計 基 準 が 有 す る、2つ の課 題 を挙 げ て い る。す な わ ち、 基準 設定.ヒの課 題 と、 行 政 サ ー ビ ス実 施 コ ス ト計算 書 の課 題 で あ る。 この2つ の 課 題 を指 摘 す る こ とで、 野 口氏 は今 後 の独 立行 政 法 人会 計 基 準 の 方 向性 を示 した。
第2報 告 は 須 田…幸 氏(神 戸 大 学)に よ る、 「環 境 会計 情 報 と資 本 コス ト」、 コ メ ンテ ー ター は松 尾 章 正氏(関 西 大 学)で あ る。須 田氏 は米 国 にお け る制 度 会計 と し て の環 境 会 計 、 そ の 中で も特 に汚 染 土壌 の浄 化 費用 と して計.ヒされ る環 境 負 債 を対 象 と し、財 務 諸 表 に示 され た環境 会計 情 報 が 資 本 コス トに及 ぼす 影響 を分 析 して い る0
須 田 氏 は資 本 コ ス トとデ ィス ク ロ ー ジ ャー につ い て、 「会計 情 報 を任 意 開示 す る 企業 は、 単 に情 報 の非 対 称性 を緩 和 し資本 コス トの 引 き下 げ を 目的 に して い るの で
公開講演会要 旨●社会関連会計 環 境会計の現状 と課題 は な く、 そ の後 の 直接 金 融 を念 頭 に置 い て い る」 と し、 「環 境 会 計情 報 の 開 示 は 資 本 コス トを引 き下 げ・ 有利 な資 金 調達 を可 能 にす る」 とい う仮 説 を立 て て い る
。 こ の 仮 説 に対 して 、 環境 情 報 と株 価 変 動 、 環 境 負 債 の不 確 実 性 が株 価 に与 え る影響、 不 確 実性 の低 減が 株 価 に与 える影 響 を、 諸研 究 者 の示 した事 例 研 究 ・数 式等 を通 じ て考 察 して い る。
そ の上 で、 須 田氏 は 「環 境 会 計情 報 の積極 的 な開示 は資 本 コス トを引 き下 げ
、環 境 問題 が 発生 した とき株 価 の 下 落幅 を小 さ くす る」 とい う結 論 を導 き出 して い る
。 第3報 告 は勝 山進 氏(日 本 大 学)に よる、 「学校 法 人 会 計 基 準 の 見 直 し」
、 コ メ ン テ ー ター は飯 田修 三氏(兵 庫 大 学)で あ っ た。勝 山氏 は大 学 を と りま く環境 の急 激 な変 化 、 大 学 経 営 に影 響 を 与 え る諸 要 因 を挙 げ た上 で、 「学 校 法 人 会計 基 準 」 に焦 点 を絞 った考 察 を行 っ て い る。
勝 山氏 は学 校 法 人 会計 基 準 の 現状 を明 らか にす る と共 に、 同・基準 に 内在 す る問題 点 を抽 出 して い る。 そ して、 同基 準 が ア カ ウ ンタ ビ リテ ィを解 除 す る上 で 有効 に機 能 す るた め の、 基準 改 正 に関 す る諸 点 を指 摘 して い る。
そ れ らの指 摘 を踏 まえ 、勝 山氏 は今 後 の大 学 経 営 に関 して、 「生 き残 りか ら飛 躍 へ」 と題 して解 決 すべ き課 題 を、 内在 的 課 題 と外 在 的 課 題 に 分 け て提 示 した。 そ し て 、 「学 校 法 人 会計 基 準 の更 な る検 討 課 題」 と して 、 基 本 金 の 名 目性 、 財 産 目録 の 導 入 、 デ ィス ク ロー ジ ャー の拡 大 等 を挙 げ てい る。
さ らに 同氏 は、 自 らが 挙 げ た前 述 の3つ の検 討 課 題 に対 して、 特 に着 目す べ き点 を指 摘 して ま とめ と して い る。 基 本 金 の 名 目性 に 関 して は 、 その 取 り崩 しに 関す る 条 項 が 厳格 す ぎる点 を強調 した。 厳 格 す ぎるが ゆ え に、 実 態 と乖 離 して い る とい う 指摘 で あ る。 財 産 目録 の導 入 に関 して は、 再 調 達時 価 評 価 の 導 入 の必 要性 を強調 し た。 デ ィス ク ロー ジ ャーの 拡 大 に 関 して は、学 内報 や ウ ェ ブサ イ ト等 を用 い た 内外 へ の情 報 開示 に加 え、監 査 報告 書 の 開示 を行 って い く必 要性 を述 べ て い る。
第4報 告 は野 村 健 太郎 氏(大 分 大 学)に よる 「エ イ ジ レス社 会 と病 医 院経 営 ・会 計 」、 コ メ ンテー ター は中 島 照雄 氏(群 馬 大学)で あ った 。 野村 氏 は 「エ イ ジ レス 社 会 とは、 人 間… 般 の 願 望 で あ り、 健康 で 長寿 の 人 生 を送 る こ とが で きる社 会 で あ る」 と し、 「社 会 的 に コス ト負 担 をか けず 、 医 療 費 上 昇 に伴 い 国 家財 政 を圧 迫 させ る こ とが な く、 豊 か な 国造 りを可 能 にす る基 盤 を もた らす」 た め の経 営 ・会計 的側 面 か らの 考 察 を行 い、 これ を報告 した。
具 体 的 には、 一 人 当た りの 医療 費、 国民 健 康 保 険 、介 護 保 険 、 在 宅 介護 と病 医 院 経 営 との 関係 、 包 括 的 医療(全 人的 医療)、 医 療 分 野 の グロ ーバ ル化 へ の対 応、 保
国際経営 フォーラムNo.13
険 会社 主 導 の病 医 院経 営 とい っ た、 病 医 院経 営 に関す る幅 広 い 関連 分 野 の デ ー タが 提 示 され た。 そ の 上 で野 村 氏 は、今 後 あ るべ き病 医 院 経営 の形 態 につ い て言 及 して
い る0
特 に経 営 ・会 計 的側 面 にお い て は、 日本 にお け る国民 所 得 の伸 びが 期待 で きな く な って い る 中、 診療 報 酬 単価 の増 大 が 困 難 にな る一 方 で 、検 査 料 ・薬 価 収 入 の伸 び も期 待 で き ない とい う、病 医 院 経営 の 問題 を指摘 して い る。 そ れ ゆ え に、病 医 院 の 健 全か つ 合 理 的 な経 営 が 必 要 で あ る こ とを強 調 し、 今後 の病 医 院経 営 に対 して社 会 関 連 会 計 は、 「サ ー ビス 業 の 一 環 と して把 握 し、 医療 産 業 の 自由化 、 会計 情 報 の透 明 化 、病 医 院経 営 の 実態 開示 要 請 」 を行 って い くこ とが 必 要 で あ る とい う 自 らの 考
え を述 べ て 、報 告 の ま とめ と して い る。
統 一論 題 報 告 の 後 、 同会 場 にて報 告 終 了 ・閉 会 の辞 が 準備 委 員 長 の柳 田氏 に よっ て述 べ られ、 日本 社 会 関連 会計 学 会 第14回 全 国大 会 は、無 事 閉会 した。
(付記)日 本社 会 関連 会 計学 会 第14回 全 国大 会 の 一環 と して開 か れ た公 開 講演 会 は、
国際 経 営研 究 所 の後 援 の もとに行 われ た。
(た かせ と もあ き/城 西 大 学 等兼 任 講 師) (や な ぎた ひ と し/経 営 学 部教 授)