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(1)

BulletinofFacultyofEducation,NagasakiUniversity:CurriculumandTeachingNo.48(2008)ll‑22

複式教育における創造性を育む算数科授業の考察 (Ⅰ)

‑ 算数的活動の視点からの授業構成について ‑

平岡 賢治*・宮内 ( 吉田)香織 * *

(2007年10月31日受理)

A studyofarithmeticlessonstoencouragecreativityinafukushiki‑jugyou (combinedclassoftwogrades)(Ⅰ):

Designlnglessonsfrom theviewpointofmathematicalactivities

KenjiHIRAOKA&KaoriYOSHIDA‑MIYAUCHI (ReceivedOctober31,2007)

1.はじめに

昨年度,長崎大学 ・鹿児 島大学 ・琉球大学の三大学で行 った複式学級 に関す る調査 (中山 ・ 八 田,2006)による と,長崎県 を含 む3県では,過疎地域 は もちろん都市近郊 において も 少子化 な どの影響 を受 けて複式学級 を持つ小学校が増加す る傾 向にあ り,いわゆるベテラ ン教師が複式学級 を担任す るケースが多 くなっている また,複式学級 を担任す る先生方 に行 った算数科授業の実態調査では,経験 的に行 っている「わた り」や「ず らし」のや り方 に 悩みが多い ことが明 らかになった。一方,複式学級 を有する小学校がある多 くの地域 は歴 史的に教育熱心であ り,多 くの有能 な人材 を輩 出 してお り,学校教育 に対す る期待 は大 き

い。

そこで筆者 たちはこれ までに,数学的活動の視点 に立 った授業構成の研究 (平 岡,2004), 数学的活動の広が りについての研究 (平 岡 ・今 岡,2004),「授業理解の枠組み」 に関する 研究 (平 岡 ・宮内 (吉 田),2006a,2007b)な ど,算数 ・数学科 の授業構成や授業理解 に関 す る実践的研究 を進めて きている

特 に算数科の複式授業 については,長崎県や鹿児 島県の実態 を調査 し,その課題 を明 ら かに した (佐 々他,2005)。また,昨年度SPP (サ イエ ンス ・パ ー トナーシップ ・プロジェ ク ト)の事業の1つ として,複式学級 をそれぞれ1学級 を有す る長崎県壱岐市立の2つの 小学校 において,複式授業 を含む算数科 の授業理解 に関する実践的研究 を進め,離島にお ける算数科の授業の現状や課題 について考察 した (平 岡 ・宮内 (吉田),2007b)。さらに現 荏では,子 どもたちの学力向上 にとって教 師の授業力向上が不可欠であるとい う観点 に立 ち,長崎県内の壱岐 ・対馬 ・上五島の複式学級 を有す る4つの小学校 の協力 を得て,算数

* 長崎大学教育学部 数理情報講座 (数学教育学)

**長崎大学教育学部 初等教育講座 (数学教育学)

(2)

12 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.48(2008年)

科授業の改善 を目指 した実践的研究 を行 っている 以上 を踏 まえ本稿 では,2・3年生の 複式授業 を算数的活動の視点か ら考察 し,創造性 を育む算数科の授業力向上 を目指 した授 業構成 について検討す ることを目的 とす る 特 に,複式授業 における 「わた り」 と 「ず ら

し」のあ り方,算数科 の 「授業理解 の枠組み」 と複式授業の構成 について検討す る

2.「算数 ・数学的活動の視点に立 った授業理解の枠組み」 と複式授業

長崎県では,複式学級 を30‑ 40才代 で初めて経験す る教 師は年 々増加 の傾 向 にある

複式授業 は,毎時間2学年分の教材研究 と授業準備が必要であ り,複式授業の経験 のない 教 師にとっては戸惑い も多い (平岡 ・佐 々 ・植村,2006) この ような状況 に対応す るため, 長崎県教育セ ンターは昨年度末 に複式授業の手引 き書 『子 どもの学 びを支 える複式授業』

(長崎県教育セ ンター,2007)を発行 した。 この ような実情 を踏 まえ,平 岡・宮内 (2006a) では 「算数 ・数学的活動の視点に立 った授業理解 の枠組み」 を構築 した (図1) これは,

鰹.:S.)

験 数 右 筆

場 よ

面 り場 数 Ⅲ面 学 場 具 Ⅰ

面 体

莞慧 政

裏 聖 篭 蒜

笠 苦 置

[壷 ] 寮

< 時 間 ,

導 入 展 開

ま と め

図1:算数 ・数学的活動の視点に立 った 授業理解の枠組み

教 師 と学習者のそれぞれの視 点 を考慮 して作 られ てお り,教 師が算数 ・数学科 における授業 を構 築 した り分析 した りす るの に有効 で あ る (Hiraoka

&Yoshida‑Miyauchi,2007) 以降, この枠組 み を

「授業理解の枠組み」 と記述す る 以下では,算数 科 の複式授業 をこの枠組 みで理解す る際の特長 に ついて述べ る

≪算数・数学的活動の5段階≫(∋数学化の活動具体的な場面における問題の数学化(具体的な事象を数理的に捉える)活動(参定式化(課題の設定)の活動具体的な事象を数学的に定式化(数学的な課題を設定)する活動(哩想化・単純化・理念化ともいえる)③考察・処理の活動既習の知識や数学的な考え方を基にした数学的な考察・処理活動④反省・適用・応用の活動数学的な思考過程や数学的に得られた事柄をより一般的な場面において反省したり(ふり返ったり),適用したり,応用したりする活動(9発展・創造・文化の享受の活動

さらなる数学的な方法の広が りを 導 く発展的 ・創造的な活動,論理 的体系性 をもった数学文化 を享受 す る活動

2, 1 複式授業 における算数的活動

平岡 (2004)では算数的活動 を,具体的教材 とその算数化,算数 を用いた解決,解決 し た結果 を具体的教材 に適応 ・発展 させ ることと捉 えた。それ らを基 に構成 した 「授業理解 の枠組み」(図1)は,算数科 の授業 において以下の事柄 を視覚的に捉 えることがで きると い うよさを もつ :

1.つかむ段 階では,教材 の理解 と算数の 目で考 える [算数化]

(3)

平岡賢治・宮内 (吉田)香織:複式教育における創造性を育む算数科授業の考察 (Ⅰト 算数的活動の視点からの授業構成について‑13

2.繰 り上 げる段 階では, これ まで学習 した算数の考 え方や方法 を用いて解決す る [算数的処理]

3.まとめる段階では,練 り上 げで得 た結果 を導入教材や新 たな題材へ適応す る

[適応 ・発展]

複式授業では2つの学年 を同時に指導す るため,子 どもたちの算数的活動 をある程度予 想す ることが必要 となる そのためには,つかむ段 階,繰 り上 げる

(

「しらべ る

「た しか める」)段 階,まとめる段 階での子 どもたちの算数的活動の視点 に沿 って,教材 や学習のめ あてを考察す ることが重要である つ ま り,「授業理解の枠組み」 を活用す ることにより, 子 どもたちの算数的活動の場や方法,一人調べや コ ミュニケーシ ョンの場 を客観 的に設定 す ることがで きる

2. 2 「わた り」 と 「ず らし」

複式授業では,1単位時間に2学年 を同時に指導す るため,教 師が直接指導 をす る場面 (直接指導)と,教師が もう一方の学年 を指導 しているときに子 どもたちだけで学習す る場 面 (間接指導)の2つの場面が必然的に生 じる そのため,授業では教師が直接指導す る ために2つの学年 を行 き来す る 「わた り」が必要 になる また 「つかむ」‑ 「しらべ る」

‑ 「た しかめ る」‑ 「ふかめ る ・まとめ る」の学習過程 の中で,「つかむ」「た しかめる」

場面 において教師の直接指導が多 くな り,教師 はそのそれぞれ を各学年で指導す るため,

「ず らし」といわれる指導時間の操作が行 われる 一方,間接指導では一人調べ だけではな く,子 どもたちだけで授業 を進め られるように 「ガイ ド学習」が行 われることもある そ のためには, ガイ ドの手引 きの作成や ガイ ドリー ダーの育成が必要 になる この ような複 式授業特有の問題点は,複式授業 の実態調査 (佐 々他,2006)で明 らかになった

,

「わた り」

の判断や 「ず らし」 における指導体制 な どに大変苦労 し悩 んでいる教 師の現状 に反映 され ている。 こういった課題 に対 して,「授業理解の枠組み」を用いることで 「わた り」や 「ず らし」の客観的判断 を行 うことがで きる

2. 3 算数科複式授業の構成 ・分析 における 「授業理解の枠組み」の活用

複式授業 を担 当す る教師に とって最 も重要 なことは何であろ う 北海道教育大学‑ き地 研究所所長の村 田文江先生 は,教師の「授業力

」 ,

「教科力」である と述べ ている 教 師の しっ か りとした教材観 ・授業観 ・児童観が基本であ り,単式の授業が しっか りで きる教 師は複 式授業 もしっか りで きる と考 えて よい。

さて長崎県で は,県内の23%余 りの小学校が複式学級 を有 し,毎年複式学級がで きる 学年や完全複式学級 (校 内に単式学級 が1つ もない状態) になる小学校 も多い (村 田他 2006)。複式学級 を有す る学校 では,教 師の定員削減 に よる校務分掌 の増加や複式学級 で

あるが故の授業準備や教材研究が倍増す る

そこで この ような状況 を打破す る方策の1つ として,複式授業 における算数科の授業構 成 ・授業分析 においては 「授業理解 の枠組み」が有効 となる 例 えば 「授業理解 の枠組み」

を活用す ることによ り,授業前の学習指導案の検討会 において,導入で扱 う具体的な事象 の算数的な見方やその広が り,子 どもたちの既習内容 と算数化の方策,一人調べ と算数的 解決の方策,教材の工夫 な どに視点 を当てて協議 を行 うことがで きる す なわち,子 ども

(4)

14 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.48(2008年)

たちの (想定 される)活動 を枠組みに位置づけることにより,授業の構成 について吟味す ることがで きるのである こうして 「授業理解の枠組み」 を活用 しなが ら授業 を的確 に捉 えることによって,直接指導や間接指導の場面 を視覚的 ・客観 的に捉 えられるようになる

さらにこの検討会 を基 に,授業者が新 たに作成 した学習指導案 に基づ き授業実践 を行 い,研究協議の中で再度 「授業理解 の枠組み」 を活用 しなが ら,子 どもたちの算数的活動 の視点か ら授業 を分析す ることになる

3.算数科の複式授業実践の考察 一学習指導案検討会における授業構成

本節 では,2007年 10月に長崎県の離島地区で行 われた算数科 の複式授業 について

,

「授 業理解 の枠組み」 に基づ き考察す る 対象は2 ・3年の複式授業であ り,授業内容 は2年 生が

「 5

の段 の九九」,3年生が 「正方形」であった。

学習指導案 における2年生の学習内容 は,5人ずつ乗 っている車4台分の合計人数 をか け算で立式 しその値 を求めることであ り,授業のね らいは 「車の台数 を増や して5の段 を 作 らせ る」 ことであった。3年生では,前時で長方形の性質 を確認 していたので,本時の 授業のね らいは 「これを活用 して正方形の性質 を理解 させ, さらに方眼紙 に正方形 をか く

ことがで きるようにす る」 ことであった。

授業者 は,今年度初 めて複式学級 を担 当す る40代 のベテラン教 師である 授業者 は稜 式授業 に対 して

「 2

学年あるので難 しい」

,

「子 どもたちのつぶや きを聞 き取れない」

,

「早 く子 どもたちの発表 を理解で きない ときがある」,「ガイ ド学習 における子 どもたちの学習 内容 とその間の考 え方 な ど,間接指導時の活動 を把握で きない ときがある」 といった感想 をもってお り,複式授業 に対する悩みは多い。

授業者が作成 した学習指導案 を 「授業理解の枠組み」で記述 した ものが図2‑1 (2年 坐) と図3‑1 (3年生)である これにより,子 どもたちの学習の状況 を視覚的に捉 え ることがで きる

3. 1 学習指導案検討会 の要点

学習指導案 に基づ き想定 される授業の流れか ら,次の ような問題点が指摘 された。

<2

年生 >

・5人乗 っている車が4台あ り,その合計人数 を求め させ る課題か ら始 まっているが,本 時のめあては5の段 の学習であるので,車の台数 を順次増や し,その合計人数が変化す ることに気付 かせ ることが大切である

・5の段 の値 は,足 し算で計算で きる ・5の段 の性質 を考 えさせ る

<3

年生 >

・長方形の復習ではプリン トによって確認 をしているが,本時は正方形の辺や角の大 きさ な どについて学習す るため,操作 的活動 を取 り入れて確認す ることが大切である

・操作 的活動 を算数の言葉で説明す ることを通 して,長方形の辺の長 さや角の大 きさの理 解 を深めることがで きる

・操作 的活動 を通 して作 図の関係 に気付かせ ることがで きる

(5)

値 を求 め るため に 、絵 や ア レ イ図 を使 って考 えてみ よ う。

‖‖

(.)

● 本 授 業 の ね らい 5の 段 の 九 九 を構 成

し、答 が 5ず つ 増 え て い く こ と に 気 づ く こ と が で き る よ うに す る。

5 4

あるか ら、 これ を

5?al4 C?5 J:I

Ⅲa

自動 車 に 乗 っ て い る 人 の 人 数 は 全 部 、5×4と表 す こ

と が で き 値 を 求 め

の 式 を 立 て て そ の人 数 を 求 め よ

・ 自動 車 の 台 数 が 増 え る と ど の よ うな 値 に な る だ ろ うか ○

1台 か ら 9台 ま で の 場 合 に つ い て 求 め て

@ ::=rrII‑

Ⅲb

5人 乗 っ て い る 自動 車 の 台 数 と人 数 の 合 計 を ま と め て み よ う

か け 算 の 式 とそ の 値 を ま と め て み よ う。

自分 の 考 え を ま とめ て 発 表 し よ う

5の 段 の言 い 方 を練習 し よ う。

時 の 学 習 に つ い て 、感 想 を ま と め て 発 表 し よ う。

′・ 自分 の ホ ウ イ

・ ・ 自動 車 に乗 って い る人 の 人数 は 5のか 、 た ま りが 4つ あ るか ら、5+5+5+5 :

‑ 1 な る. :

: ・ 54回たすか ら、かけ 算 5×4と表す :

; ことが で き る。 ;

l̲・ 5×4の値 は い くつ にな るだ ろ うか O ,' < 時 間 >

導 入 (つ か む )

展 開 (練 り上 げ る)

ま と め (深 め る ) 2‑1 :算数 的活 動 の視点 か ら見 た学 習指導 案 に よる授業 の流 れ

‑2年生

「 5

の段の九九

(叶m)n:=}bfl両)()o)JGo)=)5

(6)

I (.)

● 本 授 業 の ね らい 5の 段 の 九 九 を構 成

し、答 が 5ず つ 増 え て い く こ と に 気 づ く こ と が で き る よ うに す る。

1 に 5人 乗 って い

4 台 通 過 した 葉 や 絵 で 説 み よ

5 自動車 4台 に 何 人 の 人 が い るだ ろ う

1台 に5 っ て い

L ? I::....I.I 5.5 5 5 +

+

L;:;

i

:''Z.:I,:

5,・ ・・とな る。

同 じ数の和 だか ら、

か け算 で も表 す こ とが で きる 。

1台 目、2、3台 、4台 目通 過 し と き の人 数を そ れ れ 式 で表 し、 そ の を 求 めう 。

② ‑1∵

通 過 し自動 車 に 乗 っ て い人 の 数 を 式 に 表 すど うな る だ ろ うか 。

値 を求 め る た め に 、絵 や ア レイ 図 を使 って考 え てみ よ う。

II1‑‑‑‑

Ⅲa

・ 通 過 す る 自動 車 の 台 数 が 増 え る と 、 ど の よ うな こ と が わ か る だ ろ うか 。

1台 か ら9台 ま で の 場 合 に つ い て 求 め て み

よ う。

Ⅱb

・ 5人 乗 っ て い る 自動 車 の 台 数 と 人 数 の 合 計 を ま と め て み よ う

・ か け 算 の 式 と そ の 値 を ま と め てみ よ うo

・ 自 分 の 考 え を ま と め て 発

o 1

Lt

V ,0S 5

ドに

発表し

‑̲̲̲,I . 自動 車 に乗 って い る人 の 人数 は 5の 、 かた ま りが4つ あるか ら、5+5+5+

5とな る。

54回たすか ら、か け算5×4と表 す ことがで きる。

5×4̲̲̲̲の値 は い くつ にな るだ ろ うか 。 ノ̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲̲‑̲I̲̲̲I̲̲̲一

< 時 間 >

導 入 (つかむ)

展 開 (練 り上 げ る) ま と め (深 め る)

図2‑2二算数 的活動 の視点 か ら見 た学 習指 導案 に よ る授 業 の流 れ

‑2年生

「 5

の段の九九」 (修正案)

16

No.48(2008)

(7)

I ()

● 本 授 業 の ね ら い 正 方 形 の 定 義 を 理 解 し、方 眼 用 紙 に 正 方 形 を 作 図 す る こ と が で き る よ う に す る

明 し て み よ

長 方 形 の 性 質 じよ う に 、 も つ の 四 角 形 に て調 べ よ う。

角 の大 き さ、辺 の 長 さ、頂 点の 数 な ど を 調 べ よ う。

これ ら を調 べ る 方

長 方 形 に 似 た 、 も う 1つ の 四 角 形 に つ い て 調 べ よ う

正方 形 を書 くに は 、角 の 大 き さは 直 角、4 つ の辺 の 長 さは 同 じで あ る こ と を使 え ば よ い

方 眼 用 紙 の どん な 性 質 を使 え ば い い の だ ろ

うか ? ̲一 一 一 一

Ⅲa

・ 長 方 形 を使 っ て 正

ヽ ′ ヽ′ ヽ

方 形 を 作 ろ う○

・ 方 眼 用 紙 に 正 方 形

た 図 形 が 正 方 形 る こ と を説 明 し う ○

・.方 眼 用 紙 に 書 い た 正 方 形 を使 っ て 、 よ り 大 き な 正 方 形 や 小 さ な 正 方 形 を書 こ う○

'・ 正 方 形 と 長 方 形 、 角 の 大 き さ は 4つ の 角 の 大 き さ は 直 角

4つ の 辺 の 長 さ は 同 じ

頂 点 の 数 は 4つ 。

正 方 形 の 定 義 を 確 認 す

/ 4 角 の 大 き さは直 角 。向 か

辺 の長 さは 同 じ。

4 つ。

他 に も似 た よ う な 四

るが ・ . .0

す べ て 直 角 で 同

I.那.I''.:1I.(...Li...:.I.

< 時 間 >

導 入 (つ かむ)

展 開 (練 り上 げ る)

ま と め (漠 める) 3‑1 :算 数 的活 動 の視 点 か ら見 た学 習指 導 案 に よ る授 業 の 流 れ

‑3年生 「正方形」

iF(fB)i、慧))o)o)JjLI17

(8)

‖‖ ()

● 本 授 業 の ね らい 正 方 形 の 定 義 を 理 解 し、方 眼 用 紙 に 正 方 形 を 作 図 す る こ と が で き る よ う に す る

調 べ た結 果 を言 葉 で 説 明 して み よ う。

長 方 形 と 同 じ よ うに 、 も う1つの 四 角 形 を 実 際 に 操作 して 、角 の大 き さ、辺 の 長 さ、

頂 点 の 数 な ど を 調 べ よ う。

正 方 形 を書 くには 、角 の 大 き さ は直 角、4つ の辺 の 長 さは 同 じで あ る こ とを使 え ば よい 。

方 眼 用紙 の どん な性 質 を使 え ば い いの だ ろ うか ?

長 方 形 を 使 っ て 正 方 形 を 作 ろ う。

方 眼 用 紙 に 正 方 形 を 書 こ う。

薮 早 ヽヽ、ヽ、\

・ 長 方 形 に 似 た 、 も う 1つ の 四 角 形 に つ い て 調 べ よ うo

T@ ‑::::,‑㌔ ̲ 廿 も

・ 4 つ の 角 の 大 き さ は 直 o

・ 4つ の 辺 の 長 さ は 同 じ○

・ 頂 点 の 数 は 4つ ○

・ 正 方 形 の 定 義 を 確 認 す

で あ る こ と を説明 し う o

・ 方眼 用 紙 に か い た 正 形 を使 っ て 、 よ り大

な 正 方 形 や 小 さな

正 方 形 と長 方 形 は 、 角 の 大 き さ は す べ て 直 角 で 同 じで あ る。

正 方 形 は 辺 の 長 さが す べ て 同 じ で あ る が 、 長 方 形 は 向 か い 合 う辺 の 長 さが 同 じ で あ る。

② ‑:::::一一一一、了 ‑さ蒜 高言嘉一 i‑三言 =";‑L):A‑‑i‑i‑妄言

古壷

C

角 で あ る こ とが 確 認 で きる 。

向 か い合 う辺 を重 ね 合 わ せ て 、 向 か い合 う辺 の 長 さは 同 じで あ る ことが 確 認 で き る 。

頂 点 は4つ 。

長 方 形 の他 に も似 た よ うな 四角 形 が あるが 日 ・

<′時 間 >

導 入 (つ かむ)

展 開 (練 り上 げ る ) ま と め (漠 め る ) 3‑2:算数 的活 動 の視 点 か ら見 た学 習指 導 案 に よ る授 業 の 流 れ

‑3年生 「正方形」 (修正案)

,葦No.48(2008)

(9)

平岡賢治・宮内 (吉田)香織:複式教育における創造性を育む算数科授業の考察 (Ⅰ)一算数的活動の視点からの授業構成について‑19

3. 2 算数的活動お よび 「わた り」 と 「ず らし」の検討 に基づ く授業構成

学習指導案検討会での問題点 を踏 まえ,教材 の もつ算数的内容 と広が り,子 どもたちの 算数的活動 に視点 をあてなが ら新 しく以下の ように授業構成 を行 った。 さらにこれ を 「授 業理解の枠組み」 に位置づ けた ものが図2‑2 (2年生) と図3‑2 (3年生)である

2年生の授業 は5の段 の学習である 5の段 を考 えさせ るには,車の台数 を "変化 させ る" ことが重要 になる これは5人乗 っている車が "通過す る状況 を設定"す ることで対 応で きる

「4台 目までは何人か」を問い,その後の変化 を捉 えさせ ることによ り,5の段 の九九 を構 成す ることがで きるようになる さらに,変化 の様子 を 「車1台あた り5人」

とい う九九の基本的な考 え方 に帰着 させて説明す ることがで きる 車 とい う具体物か らア レイ図 とい う半具体物へ,そ して5の段 の墨へ と考 える対象 を変化 させてい くことで,算 数の授業の よさを実感 させ ることがで きる

授業の導入課題 を5×4と表す ことは前時 までの学習内容である この値 を足 し算 で求 めることも既習である そ こで子 どもたちの算数的活動 を促すためには,5×4だけでな く,台数 を変化 させ ることで,1台 目,2台 冒,3台 目がそれぞれ通過 した時の人数の変 化 に着 目させ ることがで きる この段 階は間接指導で対応で き, 3年生へ 「わたる」 こと が可能 になる また,この しらべ る場面が終わる頃に,3年生か ら2年生 に 「わた り」,た しかめる場面が始 まる この ように,授業 に教師が直接 関わる場面 と子 どもたちの一人調 べ の場面の位置づけが明確 になる

3年生 の場合 も同様 に考 えることがで き,授業 をどち らか ら進めるかによって

,

ず らし」

が発生す る 今 回の授業では, 3年生 において前時の学習内容である長方形の性質 につい て操作 を しなが ら確認す る活動 を導入時 に設定す ることで 「ず らし」が生 じ,2年生か ら 授業 (直接指導)を始めることがで きる この ように2年生 と3年生の授業 において

,

「つ かむ

「しらべ る

「た しかめる

「ふ りかえる (ふかめる

) 」

の場面 を 「ず らす」 ことによ り,教 師が2つの学年 を 「わたる」場面 を設定す ることが可能 になる この ように算数的 活動 を考 えるとき,複式 も単式の授業 とあ ま り区別 はない と考 えることがで きるが,重要

なのは教 師の教材観であ り, これが授業構成 に大 きく影響 を及ぼすであろう

4.算数科の複式授業実践の考察 一授業研究会 における授業分析

研究授業 で重要 なのは,授業研 究会の存在 である 授業後 に行 われた授業研 究会 では, 授業者か ら複式授業 の難 しさやガイ ド学習のあ り方 について悩 んでい ることが話 された。

以下は,授業研究会での協議の要点である

<教材 について>

・本時はかけ算 の意味の学習 と考 え られる 本時で扱 った5ゝ×4は1台 に5人乗 っている 車が 4台ある時の合計人数 とい う具体例 は考 えやすい。 しか し,子 どもたちに とって式 を作 る段階や これ を計算 によって求める段階はかな り飛躍があるようだ。絵や図を措 く 段階,半具体物 を用いる段 階が必要である

・子 どもたちは,言葉,数字,絵,操作 な どを通 して,言葉で よ く表現で きていた。

・かけ算の場面では問題づ くりを通 して学習 させている 時間はかかるがおは じきや タイ ル, さらには念頭操作 によって考 えさせ ることが大切である

(10)

20 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.48(2008年)

<ガイ ド学習 について>

・授業者か ら,「現在授業 はガイ ド学習 を行 っている ガイ ドリー ダーは全員が順番 に担 当 してお り,みんなで協力 して授業 を進めている。 しか し,授業者 としては,なかなか 子 どもたちの声 を拾 い きれない ことも多 く,戸惑い を感 じなが ら授業 を進めている」 と の説明があった。

・ガイ ドリーダーにはガイ ドの手引 きを渡 している。形式的な場面での学習 はいいが,算 数的活動の場面では思考の深 ま りが難 しい。子 どもたちの豊かな発想 を くみ取 りなが ら 授業 を進めることは難 しい。

<教師の関わ りについて>

・1単位時間 (45分 間)の中で,各学年 に直接指導で きるのは20分余 りである そのた め,複式授業ではヒン トコーナーの充実 を目標 に日々の授業 を行 っている

・ヒン トコーナーの充実では,学習の手引 きの作成,見通 しを持 たせ ること‑の指導,敬 科書 のページな どで 日々蓄積 を している

・教科書 をみてか ら考 える習慣化, ノー ト指導, ガイ ドリーダーの育成, ヒン トコーナー の充実 などいろいろ試みているが時間がかか り,実際 には大変難 しい。

・ワークシー トの充実 に努めている

・算数の授業 は,子 どもたちにとってつかむ段 階で見通 しを立てやすい。 しか し,国語や 理科ではワークシー トに沿 って進めることが多 く,重要な役割 を果た している

・子 どもたちには基礎学力 をつける時間帯 を設定 している

この ように,授業研究会では授業内容だけでな く,複式授業のあ り方全般 に話が及 び教 師の抱 えている日ごろの悩みや対応が出 されることが多い。 この ような状況 に対 して本稿 では,授業作 りの 1つの方策 を提示 し,算数科 の授業 を視覚的に捉 えるよさと子 どもたち の算数的活動 を設定す るよさについて提示 している

5.おわりに

複式授業では,教師はガイ ドリーダーの育成, ガイ ドマニュアルの作成, ヒン トカー ド の作成, ノー ト指導, ワークシー トの作成 な どの準備 に多 くの時間 を割かれ る そ して, 子 どもたちが 自分達の言葉でガイ ド学習がで きるようにな り,学習規範や学ぶ力 を高める

ことが教 師の願 いである 子 どもたちが分か らない こと,分か りたい こと,なぜ とい う疑 問 を持つ こと,などの発想 を持つ ことを大切 に育てたい。 この ように複式教育 に関わる教 師は大変 に篤い思い を持 っている

これ らの願いや思い を算数科の授業 に具現化す るためには,やは り教材 に対す る考 えを 深 めることが必要である 教 師が子 どもたちと同 じように 「なぜ ?

とい う疑問 を持 ち,

「どうして ?」とい うことを考 えることが重要である また,本稿 で提示 している 「授業理 解 の枠組み」 に自分の授業 を当てはめてみて,子 どもたちの視点 に立 った発想で教材 を考

えると,算数の授業 と日常での算数の活用の関係 を考 えることがで きるであろう

おわ りに,本研究 にご協力頂いている対馬市,壱岐市,上五 島町の4つの小学校 の先生 方 に感謝 を申 し上げ,複式授業 による算数科 の授業 に少 しで も寄与で きれば と考 えている

現在行 っている学習指導案の検討,その実践授業,授業研究会 について授業分析 ・検討 を

(11)

平岡賢治・宮内 (吉田)香織:複式教育における創造性を育む算数科授業の考察 (ト 算数的活動の視点からの授業構成について‑21

行 い,複式教 育 にお ける算数科授業 のあ り方 につ いて研 究 を進 めてい きたい。

附記 :本研 究 は,平成 19年度科学研 究費補助金 (基盤研 究 (C))『複 式教育 にお ける創造 性 を育 む算 数科 の 「授業構 成」の研 究』 (代 表者 :平 岡賢治,19530831)の支援 を受 けて行 われた研 究成果 の一部 であ る

また,長崎大学学長裁量経 費 (新任教員研究支援 プログラム経 費)か ら一部支援 を受 け た (受給者 :宮 内香織 )。

引用 ・参考文献

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佐 々祐 之 ・植村哲郎 ・平 岡賢治 ・湯揮秀文 (2006).複式学級 にお ける算数科指導 の改善 に 関す る研 究.南太平洋海域調査研 究報告,45 (pp.39‑46).

長崎県教 育 セ ンター (2007).子 どもの学 び を支 える複式授業 .

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平 岡賢治 ・宮 内 (吉 田)香織 .(2006b).複式教 育 にお ける算 数指導 の改善 を 目指 した実践 的研 究 一創 造性 を伸 ばす授 業 力 の育 成 ‑. 日本教 科 教 育 学 会 全 国大 会 論 文 集,32, 197‑8.

平 岡賢治 ・宮 内香織 (2007a).創 造性 を育 む授業力 向上 のための支援 プログラム ー離 島 に お け る算 数指導 の改善 を 目指 して 一平成18年度サ イエ ンス ・パ ー トナー シ ップ ・プロ ジェク ト (教員研修)実施報告書 . (未刊行)

平 岡賢治 ・宮 内 (吉 田)香織 (2007b).算 数 的活動 の視 点か らみ た複式授業 にお ける 「わた り」の考察 ‑サ イエ ンス ・パ ー トナー シ ップ ・プロジェク トにお ける取 り組 みか ら‑.

長崎大学教 育学部紀要 一教科教育 ‑,47,1‑12.

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22 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.48(2008年)

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式教育の実情.南太平洋海域調査研究報告,45(pp.21‑25).

参照

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