在宅ケアサービスの供給レベル に b ける連携の在り方
小 林 良
67
山 口 春 子
C
1J 分析の枠組み
1
ケアサービスにおける連携問題の背景
具体的な内容に立ち入る前に,本報告の課題である保健福祉サービスをめぐ る連携の問題に関し,その背景となっている事柄について簡単にふれておこ
う
o近年,わが国の福祉サービスの課題として提起されているのは,高齢社会を 目前にして,医療・保健・福祉諸サービス資源の量的確保を図ること,および それらの諸サービスを何等かの原則に基づいて合理的に体系化していくという
ことであろう
Oこれはケアサービスの拡大に伴う当然の成り行きであり,施設 福祉サービス及び在宅福祉サービスの資源をどのように確保し,統合していく かということおよび,保健医療サービスなど他領域との連携をどのように作り 上げていくかということが,理論的にも実践的にも重要な課題となっている
oそこでまず,施設福祉サービスと在宅福祉サービスの現状について,本稿に必 要なかぎりで触れておくことにした L 。 、
( 1 ) 施設福祉サービス
まず,施設福祉サ←ピスについてみると,特別養護老人ホームピ軽費老人ホ
68
在宅ケアサーピスの供給レベルにおける連携の在り方
ーム,老人保健施設などについて,将来かなりの量的整備をはからなければな らないとされているが,特に,従来のわが国の高齢者に対するケアが病院中心 であり, リハビリテーションをふくむ福祉的な介護サービスの重要性が必ずし も十分認識されてこなかったこと,また, 日常行動に障害をもっ人々のための 住宅対策が未発達であったことが指摘されてしる
Oさらに,わが国の施設サービスは,サービスの供給組織からみると,特別養 護老人ホーム,養護老人ホーム,老人病院などいろいろな組織が並立してお り,これらの諸施設相互の連携がないため,それぞれの施設に独自な機能が発 揮できなくなりつつあり,これを補うためにさらに老人保健施設という「中間 施設」の設置を見ていること,また最近で、は,介護サービス付きの有料老人ホ ームが売り出されるようになり,公的責任によるサービスの基本とされている 要介護老人のケアとの関連が問題になっている。さらに,いろいろな施設サー
ピスの費用負担や利用料などをどの様に体系化するのか等の点について混乱が 指摘されている。
(2)
在宅福祉サーピス
次に,在宅福祉サービスについてみても事情は余り変わらない。まず,ホー ムヘルプサービスやデイサービス施設を中心とするサービス資源の量的な整備 を急速にはかる必要のあることが指摘されているが,現状では,公的サービス としての家庭奉仕員の整備が必ずしも捗っておらず,また,家庭奉仕員制度そ のものについても,公的サービスとしての柔軟性の欠如が指摘されていること のほか,次のような問題があるとされている
O第 1は , i ホームヘルプ」の内容が不明確なことで,在宅サービスと一口に いっても在宅医療,在宅介護,家事援助などいろいろなサービス資源が必要 であり,現在のところ,その体系的な整備がきわめて不十分である
O第
2に,在宅サービスに関わるマンパワーについて見てみると,医師,保健 婦,看護婦,家庭奉仕員,家政婦,家事協力者,ボランティアなど,いろいろ な職種や人的資源の関与が必要であるが,だれがどの様な部分を分担し,だれ が全体的な責任を負うべきかということについての明確な基準がなく,地域ご
とにパラベラである。
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方
69第
3に,サービス供給組織について見ると,行政型,認可型,市場型,参加 型のなど,いろいろなタイプのサービス提供組織が登場してきているが,これ ら全てを通じて,公的責任の範囲がどの程度のものであるべきかということが 明確になっていなし、。
以上,施設福祉サービスと在宅福祉サービスに分けて述べたことからもわか るように,わが国の高齢者に対するサービスは,福祉サービスに限らず,保健 医療サービスを含めて,サービス全体を調整する仕組みが欠如しており,これ は特に在宅サービスにおいて顕著である
Oこの場合,その様な調整機能をどの 組織がどのような権限に基づいて行うかということはかなり難しい問題である が,基本的な方向としては,地方自治体を中心とする公的責任体制が打ち出さ れている
Oし か し そ の 具 体 的 な プ ロ セ ス に つ い て は ま だ 具 体 性 を 欠 い て い
るO(3)
連携のタイプ
次に,ここで用いられている分析のレベルについて,予備的な考察を行って おきたい。
在宅ケアサービスにおける保健・福祉サーピスの連携については,かなりの 自治体で何等かの取り組みが見られるようになった。国レベルにおいても,医 療保健サイド,福祉サイド各々について,サービスに関する調整・推進の仕組 みを打ち出してきている。
しかしこれらの「連携体制」は多くの場合,地域諸国体の連絡会議的なも のが多く,必ずしも効果的な調整・推進の仕組みが出来ているとはし、ぃ難し、。
その原因について考えてみると, I 連携
J, I 調整
J, I 推進」などの用語が 必ずしも十分な吟味を経ないままに用いられ, したがって,それらの目的が何 であるかということが明白になっていないことに 1うの原因があるように思わ れる
Oそこで,本稿では,以下のような分析枠組みを設定することにしたい。
A.
連携の主体
① 公的機関主導型
これには
2つのタイプが考えられる
O第 1は , 公 的 機 関 や 団 体 を 中 心 と し て , 自 治 体 の 福 祉 部 ( 課 ), 保 健 部
70
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方
(課) ,保健所,医師会,社会福祉協議会等の「代表」が参加する場合で,典 型的な形態は「連絡会議」である
O第 2は,公的機関の職員を中心とし,保健婦,精神相談員,ケースワーカ ー,家庭奉仕員,医師,施設関係職員,社会福祉協議会関係者等の実務家が推 進会議を持つ場合で,典型的な形態は「合同ケース検討会」である
O② 民間団体主導型
これに対して民間諸団体が中心となって「連携体制」を組む場合,次の
2つ のタイプがあるといえよう
O第 1は,社会福祉協議会やボランティア団体が中心となって,サービス提供 に関する調整の仕組みをつくり,行政などの公的機関がこれに加わって事業を 展開する場合である
o第 2は,同様に民間諸団体がイニシアチブを発揮して,小地域レベルでの活 動を展開する場合であり,町内会などの「地域団体」の活動が中心となる
Oま た特に,サービス利用者を中心とした'情報・サービスネットワークが形成され ることヵ:ある。
以上
2つの場合とも,主導権を発揮する組織は,社会福祉協議会,ボランテ ィア団体などの民間団体であり,行政機関を中心とする推進体制とは違った展 開を見せているように思われる。
B.
連携のレベル
次に,連携のレベルについてふれておこう
Oここで「連携のレベル」と呼ん でいるのは,実際の連携が行われた場合に,それがどの程度の機能を発揮する のかということに関わっている。
いろいろな事例を検討してみると, r 連携」の目的としては,一般的な連絡 調整から始まり,情報交換,技術指導などにおける協力体制を意味することも あるが, より進んだ形態をとる場合には連携体制そのものがかなり自立した組 織となり,一般的な連携とは異なる機能を発揮することがあり,今日問題とな
っているのも,このような連携の独自性であると思われる
Oそこで,今回の調査においても,連携ということに強い意味合いを持たせ
て,独自な展開を遂げた場合の連携について考えてみることにしたい。
在宅ケアサ{ピスの供給レベルにおける連携の在り方
71その場合の分析方法はいろいろ考えられるのであるが,今回の調査ではサー ビス全体の流れを考慮して,
① 政策立案(計画〉
② サーピス実施プロセス……把握,判定, フォローアップ
③ 他の関係機関・団体との協力体制
とし、う分析視点を設定することにした。つまり,これらの機能がより多く発揮 されているほど,その連携はレベルが高度で、あると考えることにする
O結論を先取りして言えば,連携のありかたは単なる「協力・連絡」的なもの から,いろいろな機能が集積した「統合」に近いものまで様々な段階が考えら れるのであり,このような連携のレベルを意識した事例の検討が必要であろ
う
OC 連携と資源
最後に,今回の調査におけるもう一つの重要な視点についてふれておきた い。それは,これらの連携体制は一定の展開を経ると,サービス資源の壁につ きあたる傾向があるということである
oもともと「連携」と言う場合,いろい ろなサービス提供に関する調整から出発したと考えられるのであるが,いった んこの様な連携体制ができ上がると,情報の拡大によって住民の新しいニード を堀り起こすことになり,その時に,ニードに対応する資源をどこまで拡充で きるかということが重要な課題になる
O本報告でも,このような「連携」と
「資源」との関係についても関心をはらっていきたい考える。
以上のことを前置きにして.事例の報告に入ることにする
O72
在宅ケアサ{ピスの供給レベルにおける連携の在り方
(2J
在 宅 ケ ア サ ー ピ ス に お け る 連 携 の 事 例
1
東京都武蔵野市老後福祉課
東京都武蔵野市においては,福祉部老後福祉課に設置された家庭奉仕員の役 割を変え
8名の家庭奉仕員のうち
4名を訪問看護婦,他の
4名を「ケアワー カー」として,専門的なサービスや技術指導, コーディネーションの機能を持 たせている。以下この事例について検討する
O( 1 ) 沿革
まず,家事援助サービスに関わる事柄について,経緯を簡単に整理すると,
以下の通りである。
昭和
46年老人の実態調査を行い白書を作成。
昭和
47年 厚生課に老人福祉係を新設。これは,老人医療費無料化,および武 蔵野市福祉手当支給事業実施に伴うものであった。
昭和
48年 家 庭 奉 仕 員 を 増 員 し
3名から
7名とする
O当 時 は , 福 祉 事 務 所 で,施設入所事務と家庭奉仕員派遣事務を担当していた。食事サー
ビス事業開始。ボランティアによる配食サービスとし,ボランティ アと老人の横のつながりによるコミュニティ形成を考えた。東京都 家庭家事援助者雇用費助成事業開始。さらに,友愛訪問事業,福祉 電話事業も開始した。
昭和49 年 周辺
4市長連名で地域ケアセンター設立につき都に補助金申請。
昭和
50年 地域ケア・センター設立(緑寿園,東京老人ホーム,サンメール尚 和)
0食事サービスの充実,施設の機能解放などに取組む。
昭和
51年 福祉事務所を改組し「老後福祉係」を設置。老人ホーム入所,家庭 奉仕員派遣,その他の在宅サービスを 1係で扱うこととした。これ 以前は,福祉事務所=家庭奉仕員派遣(非課税世席),市福祉係=
介護人派遣(有料〉とし、う分担であったが,老後福祉係で両者を統
在宅ケアサーピスの供給レベルにおける連携の在り方
73ーして運営できるようになり,また,施設サービスと在宅サービス の一本化が可能になった。また, この時の家庭奉仕員
7名の中に
2名の看護婦がおり,主に寝たきり老人を担当させた。同時に,奉仕 員の派遣は, より専門的なものとすることにした。
昭和
52年 、ンルパ一事業団設立にともない、ンルパー奉仕員の検討を開始。
昭和
53年 訪問看護=寝たきり老人調査開始,看護婦
1名増員。
昭和5
4年 看 護 婦
1名増員
昭和
55年 訪問看護(武蔵野市高齢者地域保健福祉事業実施要綱による)開始。
シノレパー奉仕員制度開始により家事援助サービスを量的に拡大。ま たこの年までに看護婦と奉仕員の数を
2 : 5から
3 : 4とし,
56年 には看護婦を増員して
4 4とするとともに,直接の家事援助は,
シルパー奉仕員(高齢者事業団への委託),家事援助者(家政婦協 会に委託〉を導入することとし家庭奉仕員は「ケアワーカー」と
してコーディネーターの機能を持たせることにした
o同年に「武蔵 野市高齢者地域保健福祉事業実施要綱」を定め,医師会正副会長を
「老人相談員」に委嘱。この間,昭和
52‑53年頃,むさしの共立診 療所から,問診療所の行っている訪問看護に対する市からの助成の 要請があった。
昭和
56年 武蔵野市福祉公社設立
昭和
58年 老人家庭奉佐員派遣事業を統一 昭和
59年 第
1回在宅ゲア連絡会
昭和6
1年 看護婦とケアワーカーのベアチームを廃止し,前者は寝たきり老 人,後者は一人暮し老人の担当とする
o昭和62 年 訪問看護をねたきり老人・痴呆性老人に対する地区別担当制とし 訪問看護サービスとともに,家事援助者派遣,ケアセンター給食サ
ービス利用などに繋げる機能を持たせ,直接サービスだけでなく,
サービス利用の相談,提供の判断ができるようにした。
昭和
63年 シルバーネットヲーク推進事業開始
行政機関・民生児童委員・ボランティアなどの福祉関係者,医療,
74
在宅ケアサーピスの供給レベルにおける連携の在り方
保健機関等が相互に理解を深め,地域における高齢者福祉活動を総 合的に推進するためのもの。具体的には,ネットワーク推進会議,
シルパ一実務者担当者会議, シルバーネットワーク事業を展開。
以上の年表を参考にしながら,他の資料によってこれらの動きの要点を整理 してみよう
O武蔵野市福祉部老後福祉課資料「家事援助サービス及び老人家庭奉仕員制度 の業務内容の変更の推移
J(昭和
56年
9月〉およびヒアリングなどの資料によ ると,
50年代に入ってからの武蔵野市における家事援助サービス及び老人家庭 奉仕員制度の業務内容は,次のような変遷を経ている。
A.
昭和
52年段階では家庭奉仕員業務の問題点として,
① 仕事が直接の派遣業務に限られているため,業務の空白時間があること,
② 単純な家事援助サービスでよい世帯にも家庭奉仕員が派遣されており,効 率が悪いこと,
③ 仕事が派遣世帯のみに限られ,一人ぐらし,要援護老人の実態把握の体制 ができていない,
等の点が指摘されている
oこれに対する対応策として,
①
7人いる老人家庭奉仕員の内の一人を面接相談などの内部事務とし,家庭 奉仕員のプール要員としての機能をもたせる,
② 派遣業務の他に,必要に応じて,寝たきり,一人暮らし老人への訪問相談 を行う,
③将来の方向としては,市の内部組織として,保健福祉活動を行うことと し,次のようなステップで老人家庭奉仕員の機能の転換をはかる
O第
1段階では,老人家庭奉仕員にたし、する介護法,健康管理, リハビリテー ションについての研修を強化する,
第
2段階では,嘱託医として整形外科医,理学療法士を非常勤で配置する,
第
3段階では,老人家庭奉仕員が退職等により欠員を生じた場合,保健婦,
看護婦を充て,可能なかぎりその比重を高める,
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方
75第 4段階では, リハビリテーションのニーズに対応するため,理学療法士を 配置(常勤)し,総合的な保健福祉活動チームとする。
なお,単純な家事サービスについては,都の補助事業である家庭家事援助者 (パートタイマーの家政婦〉を積極的に活用する,
と
L、う方針を打ち出している。
この結果,
53年
4月に,家庭奉仕員の欠員が生じた際,看護婦資格所有者を 採用し,寝たきり老人世帯を担当させることになり,
54年
1月には,さらに
1名の看護婦資格所有者を採用,
54年
7月には,東京都の訪問看護事業実施を受 けて,他の自治体で実施されている訪問看護事業等を参考とし, r 武蔵野市老 人保健福祉事業計画」を作成するとともに,病院医師のボランタリーな協力を 得て, リハビリテーションの必要なケースに対する直接指導,および,寝たき
り老人担当の 2名の看護婦にたいする技術指導を依頼した。
B.
次に,老人家庭奉仕員制度の大きな変化があったのは,昭和
55年度であ る 。
この年から「武蔵野市、ンルバー奉仕員制度」が実施されることを踏まえて,
次のような方針を打ち出している
Oまず現状の問題点として,
① 所得制限により,サービスの派遣対象が限定されていること,
② 現状では,在宅看護など専門的ケアができていないこと,
③ 現在の家庭奉仕員制度はコスト高で,人員の量的拡大が困難であるこ と ,
などの点が指摘され,これに対して,
①利用者の所得制限を廃止し所得階層による費用負担を導入する,
② パートタイム,ボランティアを活用する,
③ 家事援助制度の段階的解消をめざす,
④ 在宅看護サービスの充実する,
⑤ 家庭奉仕員をソーシャルワーカー化することとし,
また将来の方向としては,新制度の実施のために,
① 条例を制定して費用負担を制度化する,
76
在宅ケアサーピスの供給レベルにおける連携の在り方
② 家庭奉仕員の職名を変更する,武蔵野市、ンルパー奉仕員制度の実施につ いて,武蔵野市高齢者事業団と十一ピスの委託契約を結ぶ,
③ 看護婦,保健婦を増員する,
等の方針を打ち出した。
この結果,
55年
10月に, シルパー奉仕員制度が発足し,所得階層別の負担制 度が導入され,家庭奉仕員は「ソーシャルワーク」の機能を持つことになっ た。すなわち,家庭奉仕員の名称を「ケアワーカー」としその内容を,
① シルバー奉仕員への指導援助および派遣世帯との連絡調整,
② 心理的・社会的困難ケースへの直接処遇,
③ 独居世帯,老人のみ世帯に対する実態把握,要援護世帯への指導,コミ ュニティケアについての連絡調整, とした。
また,高齢者地域保健福祉事業についても,昭和
56年には新規採用の看護婦 2 名を加えて合計 4名とし,
① 在宅寝たきり老人の看護介護指導,
② 医師
PT,の指導に基づくリハビリテーション指導,
③ 患者と家族のコミュニケーションの指導,等の事業の充実が行われた。
このような制度の変更によって,対象者の範囲が拡大し,また利用者につい ても,家庭奉仕員の実質的増大により,派遣世帯が増加することとなった。
C
第
3の家庭奉仕員制度についての改正は,昭和
58年に行われている
Oこの前年の昭和
57年
10月には,国の老人家庭奉仕員制度が改正され,所得制 限の撤廃に基づく派遣対象の拡大がなされている
O東京都においては昭和
58年 1 月から,老人家庭奉仕員等派遣事業が改正され,費用負担については都の独 自制度が導入された。
武蔵野市においても,これに対応する要綱の改正が行われ,
① それまで市の単独事業として実施していた「、ンルパー奉仕員制度
Jを , 改正された要綱に組み込んだ。
② 費用についての自己負担分を
9時間までは無料とすることとした。こ
れは, シルノミー奉仕員派遣事業では,週
9時間を限度とする派遣であった
が,本人負担はなかったため,この水準を守るとし、う事がその理由であっ
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方
77た 。
この様に,
58年度の改正は,それまで展開してきたマンパワー対策の統合化 であったといえる
O以上の整理からもわかるように,武蔵野市においては昭
48和年頃から地域福 祉サービスの展開が行われており,特に本報告で問題としている家庭奉仕員の 機能の拡大と専門化,それに対応する人的資源の確保については,昭和
50年代
に入って,次のような意味で,本格的な展開を見たと言えよう
O第
1に,まず行政組織面では,昭和
51年 に は 福 祉 事 務 所 を 改 組 し 老 後 福 祉 係を設置することによって,入所措置業務と在宅サービス業務とを一本化し,
高齢者サービスを一体的に運営する可能性を開いたこと
O第
2に,職員配置の面では,家庭奉仕員の機能を直接的な家事援助業務から 切り離すとともに,訪問看護の為の人員を家庭奉仕員の枠内で確保し,在宅に おける専門的介護を可能にするとともに,コーディネーションの機能を導入し ている
O第
3に,このような,公務員による家庭奉仕員事業のレベルアップと専門化 に対応して,直接的な家事援助マンパワー対策として,市の高齢者事業団への 委託事業としてシルノミー奉仕員制度を発足させ,また,家政婦協会への家事援 助委託事業を充実させ,この両者を訪問看護婦とケアワーカーとによって指導 させる体制をとり,公的責任の下に置いている。
要約すると,公的行政組織の権限,サービスの専門性と指導性,マンパワー 対策という
3つのレベルで,従来の体制を変えてきたといってよし、。このよ うな展開は,そのどれを欠いても問題を生じさせるものであり,武蔵野市にお ける展開は実践的にも理論的にも興味深いものといえよう。
(2)
組織体制とコーディネーション
以上検討してきたことを踏まえて,本報告の中心的な課題である「在宅サー ビスにおける連携」について検討を行ってみよう
OA.
連携体制の前提条件
第
1に,サービスの連携や統合を考えるに当たって,個別サービスの充実が
はかられなければならないということであろう。
78
在宅ケアサ{ピスの供給レベルにおける連携の在り方
この点武蔵野市においては,ボランティアによる食事サービスや,入浴サー ビス,デイケアセンターの開設,緊急通報システムなど福祉諸サービスの開発 に努めてきており,統合的な地域老人福祉サービスの基盤を作り上げてきたと いえよう
O第 2に,このこととの関連で,マンパワー対策への取組が積極的に行われて きたことを指摘できる
O特に, シルパー奉住員の導入,家事援助者の確保によ って,サービス利用者や派遣回数がかなり増加してきていることについては,
表 1に明らかである
Oただ,市の当局者によると,将来的にはシルバー奉住員 はこのままでは先細りになると思われるので,何等かの新しい対応が必要にな るとのことであった。
第
3に市の家事援助サービスに対応する組織体制は昭和
62年現在次のように なっている
O武蔵野市福祉老後福祉課老後福祉係
係長〈老人福祉指導主事) 1 主任(社会福祉主事)
1ケースワーカー(社会福祉主事) 1
事務員
1看護婦 4
ケアワーカー 4
また職務分掌については次のようになっている
O① 係長は
87年
8月
1日開設の北町高齢者センター
(10. 10オープン〉も所 管する
O② インテイク面接は係長が行い,ふりわけを行う
Oまた判定困難ケースに ついても係長が訪問面接を行うが,その他については
施設入所…主任及びケースワーカー ねたきり老人…訪問看護婦
一人暮らし老人…ケアワーカー
の分担とし,それぞれ担当者の判断でサービスの提供ができるようにして
いる。
在宅ケアサ{ピスの供給レベルにおける連携の在り方 79
③ 訪問看護の担当は
4
地区とし,原則として担当を変えなし、。看護婦は直 接の看護にあたるほか,地域の福祉資源の紹介も行う O ま た 一 定 の 範 囲 で, シルバー奉仕員や家事援助者の介護指導も行っているO 臥床手当支給 調査も看護婦が担当するo④ ケアワーカーは老人世帯の調査,フォロー・アップを行い,一人暮らし 老 人 と の 日 常 的 な 連 絡 ・ 相 談 に 応 じ る 他 , 家 事 援 助 者 の 派 遣 回 数 を 決 定 し,また,利用者と家事援助者との調整も行っているO 給 食 サ ー ビ ス の 決 定も担当。
⑤ 主任及びケースワーカーは老人ホーム入所決定を行うが,できるだけ地 域資源を動員して在宅で対応する方針にしてし、るO
⑥
したがって機能的には,ケースワーカー,看護婦, ケアワーカーは対等 な立場に立ち,三者が機能的に重なる形になっているOB.連携の状況について
以上のことを前提にして,武蔵野市における老人家事援助サービスの連携の 問題を考えてみようO ヒアリングなどによると,こうした体制の効果として次 の点が指摘されているO
a 訪問看護婦について
① 住民が福祉サービスを身近に感じるようになったこと:
訪問看護婦,ケアワーカーが対象別・地区別担当制をとることによって,
住民を頻繁に訪問し相談ができるようになったことで
r
顕在的ニード」だけでなく,
r
潜在的ニード」まで把握できるようになった。住民がサー ビスを利用するには,行政職員への信頼感が大切であり,サービスに「つ なげていくJ
ことが可能になった。② 訪問看護を老後福祉課に設置することの意義:
老後福祉課担当の臥床老人手当は,寝たきり老人の把握を行い,家族と接 触して介護指導を行い福祉サービスの利用を勧める好い機会であり,ここ
に看護婦が配置された意義は大きし、。また,家族に対する訪問 H指導"だ けでなく,清拭,足裕,導尿,体位交換,食事介助等の実施を通して,家 族の側での受け入れがスムーズになっている。これによってひどい祷療が
80
在宅ケアサーピスの供給レベノレにおける連携の在り方 半年で癒った例など効果をあげている
Oなお,訪問看護婦が,家事援助者・シルバー奉仕員を指導して,寝たき り老人の介護に当たってもらうケースもある
O③ さらに最近では,窓口相談や開業医からの連絡が増加しており,比較的 早い時期から看護婦が関与し必要な場合デイケアセンターなどの他機 関・施設に紹介する体制ができつつあり,寝たきりの予防に役立ってい る 。
在宅の寝たきり老人の介護には,この様に保健指導,地域の諸医療機関 との連携が必要であるが,まだ十分だとはいえなし、。また痴呆性老人の診 断・援助には精神科医の協力が必要である
Oなおリハビリテーションにつ いては,障害者福祉センターの
P Tや,訪問リハを紹介しているという
O④ 医療機関の継続ケアとの関係:
武蔵野日赤病院(医療社会事業部),むさしの共立診療所で在宅訪問看護を 実施しており,老後福祉課の訪問看護と競合する場合は医療機関の訪問看 護事業を優先しているが,相互に調整して協力し合っている
Oまた,梶痛 で手に負えないときは外科医に依頼して処置を行った場合もあり,医師会 側との間で発足当初は摩擦があったが,最近では訪問看護に理解を示すよ
うになってきた。
なお,保健所保健婦との間で連絡会を持っているが直接の協力関係はな い。保健所保健婦は痴呆,精神障害患者を中心にしており,寝たきり老人 については,老後福祉課が中心になって対応しているとし、う
Ob.
ケアワーカーについて
ケアワーカーは家事援助者, シルノくー奉仕員と利用者の聞にたって調整を行 う
Oケースによっては直接にケアワーカーが援助を行う場合もあるが,次第に 家事援助者, シルバー奉仕員に仕事を委ね専門性を高めてきている
Oケアワー カーは,家事援助者, シルバー奉仕員派遣世帯についても,時々訪問して状況 を把握しているため,老人の身体上の変化についても迅速な対応が可能になっ ている
O寝たきりの状態になったも場合には,看護婦に担当を代わってもらうこ
とになっている。
在宅ケアサーピスの供給レベルにおける連携の在り方
81以上見てきたように,武蔵野市においては,行政サービスの枠内において,
一方で家事援助サービスのマンパワーを確保しつつ,行政職員としての家庭奉 仕員のコーディネーター化を図ってきたといえよう
Oさらに,そのヨーディネ ーターも,主に寝たきり老人に対する保健・看護面と,独居老人に対する社会 的・心理的なものとの
2つに分けられている。
いずれにしても,このような措置によって,個別ケースへの直接的対応だけ でなく,サービス利用者と家事援助者との間の調整など,いろいろなサービス の紹介や他の機関への照会,連携が可能になったといえよう
O武蔵野市老人福祉関係統計
I 58年 度 │ 畔 度 I60年 度 │ 畔 度 I6Z年度│臼年/回
① 老 人 人 口
12,
605 12,
921 13,
453 13,
970 14,
357 114(乱)独居老人
977 914 914 9321 .
004 103 (b)臥床老人
263 321 321 392 457 174老人人口率
(9.4) (9.6) (9.9) (10.2) 00.5)奉仕員派遣
②
派遣世帯
129 132 235 275 266 206派遣回数
8,
815 9,
620 10,
279 12,
535 13,
998 159訪問看護
③
訪問世帯
207 385 457 220訪問回数 1 .
899 2,
935 2,
645 139施設入所
④特養入所者
111 147 163 155 155 140⑤養護入所者
55 33 35 31 30 55⑦特養待機者
27 14 22 22 41 152⑧養護待機者
11 6 3 1 7 64 福祉公社⑥
利用世帯
131 131 149 186 214 163 ゆ ⑥ )/ ① │
‑ h u n u 戸b 円δ円 ︒ 向 ︒
門i d吐 FD 凸δヴ4 156
82
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方
2
枚方市老人ケア合同連絡協議会
大阪府枚方市では,市社会福祉協議会によって,ひとり暮し老人やねたきり 老人を抱える家族や父子家庭などの組織化がすすめられ,これらの当事者組織 を中心にした地域福祉活動が展開されている
Oここで検討する「枚方市老人ケ ア合同連絡協議会
Jは,当事者組織とそれを援助するボランティア組織を基礎 にして形成された,在宅ケアサービス供給機関の連携組織である
O( 1 ) 沿革
昭 和
57年
6月 市社協が,地域福祉活動においてとり組むべき課題として,ね たきり老人介護者・家族への援助をとりあげ,組織化を前提に
「ねたきり老人介護者実態調査」を実施した。調査対象は,大 阪府在宅ねたきり老人見舞金受給者
(313世帯〉である
O有効 回答は
169世帯, うち入会希望者は
45世帯であった。
11
月
45世帯によびかけ, r 介護者のつどし、」を開催した。在宅寝た きり老人の介護者・家族
13名の他,市社協職員など計
39名が参 加した。この場で当事者組織結成準備委員が選出された。
昭 和
58年3月 当事者組織「枚方市寝たきり老人介護者(家族〉の会
Jが結成 された。
7
月 当事者組織から,ボランティア活動への希望や期待がだされた ため,社協は市広報紙を活用して「ボランティア活動を通して 寝たきり老人問題をともに考え援助する」ボランティアを募集 した。その結果, 主婦層
22名からなるボランティアクーループ
「コスモス」が誕生した。
9月 ボランティア活動のなかで,入浴介助,樗磨の手当やカテーテ ルの挿入まで求められることが「コスモス」の例会で検討され,
看護については専門家に委ねるよう当事者組織に申し入れた。
このことを契機に,社協は,保健婦,看護婦,作業療法士など からなる専門家ボランティアグループ「たちばな」を組織した。
昭 和
59年
4月 介護講習会の実施に際して,ボランティアグループ「たちば
在宅ケアサービスの供給レベノレにおける連携の在り方
83な」が保健所,市の保健婦に援助,協力を求め,この後介護講 習会は,実質的に共同事業として行われるようになる
O社協は,医師会,保健所,市(保健予防諜,老人福祉課)に呼 びかけて「保健,医療,福祉関係者の懇談会」を開催した。
9
月 「保健,医療,福祉関係者の懇談会」を契機に,老人保健法の 保健事業について,保健所と市の保健婦の合同会議が初めても たれた。
「保健,医療,福祉関係者の懇談会」は, r
5者会議」として 定例開催されることとなったが,その後「枚方市老人ケア合同 連絡協議会」に発展解消した。
昭和6
0年6月 「枚方市老人ケア合同連絡協議会」の内部に,実務担当者によ るケース検討会議が設置された。
以上の経緯は,市社協地域福祉課からのヒアリングと全社協「地域福祉活動 最前線一社協活動事例集
‑J (1987)からまとめた。これらの動きの要点を整 理してみよう
OA.
まず,市社協のイニシアチプのもとに,当事者組織「ねたきり老人介護 者(家族〉の会」が結成された。
B.
次に,やはり市社協のインシアチプで,この当事者組織を専門に援助す るボランティアグループが組織された。 r コスモス」や「たちばな」が, r ね たきり老人介護者(家族〉の会」を専門に援助するボランティアグループとし て組織されたのは,ボランティアが在宅で援助活動する場合に人間関係から発 生しがちなトラブルを回避して,当事者組織とボランティアク、、ループ双方の理 解と信頼が形成されるように,両者の日常的交流を重視するとし、う市社協の方 針に基づいている
Oさらに同様の理由から,当事者とボランティアは,援助内 容,方法等について,個別に交渉,決定するのではなく,それぞれの組織を通
じて相互に組織的に対応するのが原則とされている点が特徴的である。
C.
r 枚方市老人ケア合同連絡協議会
Jは,これらの当事者組織さ:ボランテ
ィアクゃループの活動をベースにした地域福祉活動の展開過程で、形成された,在
宅ゲアサービス供給機関の連携形態で、ある。
84 在宅ケアザ{ピスの供給レベルにおける連携の在り方
D. これを図示すると次のようになるO
I
M1l. (ー を 抱 え た 人 々 )孤 立 分散 未組織
同扇石町
結成準備委員会の組織化 当事者・社協・ボランティア・行政 民生委員・医師会の関係機関
ι
│ 当 事 者 の 組 織 化 │
4
(当事者組織)
↓要望活動 ↓自助活動
lJ!政施策の要望
II
当事者の相互扶助│l ‑ │
↑ │1 ↓
1行 政 に よ 元 蚕 説 記 │ ボ ラ ン テ ィ ア 等 の 援 助 │ 関係機関の
家庭代替的
II
専 門 的 サーピス II十一ピス「コスモスJI I
I
たちばな」ボ ラ ン テ ィ ア グ ル ー プ
ス
件 ﹂
( 討 担 検 分 の と 策 合 施 的 統 度 率 制 効
(民間的寸ーピス socialaction
│ 社会への問題提起 一一一正しい意識の普及
枚方市社会福祉協議会「当事者組織と在宅福祉のネットワーク」より
(2) 当 事 者 組 織 , ボ ラ ン テ ィ ア グ ル ー プ の 活 動
A. 当 事 者 組 織 「 寝 た き り 老 人 介 護 者 〈 家 族 〉 の 会 」 の 活 動
当 事 者 組 織 の 会 員 数 は , 昭 和62年 3月31日現在で 151名 ( 延 べ220名〉であ るo 昭 和62年度総会資料によると,月 1回の定例役員会の他以下の活動を行っ ている。
⑧ . 紙 お む つ な ど 介 護 用 品 の 共 同 購 入 。 葉 書 に よ る メ ー カ ー か ら の 直 接 購 入,あるいは会の発行するチケットで地域の薬局,薬庖から購入。
⑥ . 相 談 活 動 。 社 協 の 「 ね た き り 老 人 相 談 員 設 置 事 業 」 の 相 談 員13名 が , 会 の役員に委嘱されている。相談件数24件。
@.介護用具等貸与事業。
総 保 有 台 数 昭 和61年 度 新 規 貸 与 件 数 ギ ャ ッ ジ ベ ッ ド 17台 15件
車 イ ス 7台 10件
エアーマット
25
台28
件⑥.介護講習会。医師会,保健所,市,専門ボラ、ジティア「たちばな」の協
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方
85力で開催。
⑥.機関紙「介護者だより」の発行。年
4回,部数
1,
000部。
⑦.市に対する要望行動。
⑧.会員相互の親睦を図るための会員懇談会,会の事業に対する会員調査,
バザー
OB.
ポランティグループ「コスモス
Ji たちばな」の活動 市社協の昭和
61年度事業報告によると
⑧.ボランティアク、、ループ「コスモス」のメンバーは
17名。当事者組織会員 からボランティアの要請があると,訪問調査を実施した後,例会で決定する
O但し緊急の場合は, リーダー,サブリーダーが決定する
O活動内容は,老人の 話相手,介護者の話相手,炊事,洗濯,病院への薬の受け取り,入浴時の衣服 着脱介助,毎月 1回の電話訪問など。
⑥.ボランティアグ、ループ「たちばな」のメンバーは,保健婦,看護婦,作 業療法土など
10名。年
2回 (
1回が週
1回
5日間〉開催される介護講習会の講 師として活動。
C.
在宅ケアサーピス供給機関の連携「枚方市老人ケア合同連絡協議会
Jを 検討する前に,市のおもな在宅ケアサービスをみておこう。
⑧.家庭奉仕員派遣事業(社協委託〉
10
名の家庭奉仕員が,老人および障害者世帯計
43世 帯 に 派 遣 さ れ て い る
Oうち
23世帯が老人世帯である
O有料派遣はまだ実施されていない。
⑥.デイサービス事業(枚方デイサービスセンタ一昭和
59年
3月開設〉
入浴,食事, リハビリテーション,医療, レクリエーション,相談,送 迎サーピスを提供している ο この他独自に訪問ヘルノミー 1名とケースワー
カー 1名を設置している
Oヘルパーは,登録者を訪問して介護,緊急時の 対応をする
Oケースワーカーは,登録未利用者を訪問し,相談,助言を行
う
Oセンター登録者数
230名
1日平均利用者数
25名。
@.保健婦の訪問指導(保健所,市保健予防課〉
保健所保健婦
18名,市保健婦
6名,市看護婦
5名。
④. ショートステイ事業
86 在宅ケアサーピスの供給レベルにおける連携の在り方
(3)
I 枚方市老人ケア合同連絡協議会
J(以下「協議会
J)の形態と活動
A.連携の形態
⑧. I 協議会」は「枚方市老人ケア合同連絡協議会設置要綱」に基づいて設 置された,在宅ケアサービス供給機関の連携組織である
O⑥.市医師会,保健所,市役所(老人福祉課,保健予防課),市社協で構成 され,課長レベル以上が参加している
O@.在宅ケアサーピスの推進を図るため,①在宅ねたきり老人とその家族に 関すること,②保健,医療,福祉の各機関の役割および援助体制のあり方,
③厚生機関相互の連携に関することを協議する
O⑥.会議は
2か月に
1回開催される。
⑥.庶務は,市保健予防課で処理されるが,会議進行役は持回り制にしてい る
o①.ケース検討会議は,保健所,市役所(老人福祉課,保健予防課),デイ サービスセンターで構成され,実務担当者が参加する
o必要に応じて老人ホー ムにも呼びかける。困難ケースの情報交換,役割分担など検討する
O会議は,
毎月第
3金曜日の午後開催する。当番は持ちまわり制。開催通知は,老人福祉 課が行う
O⑧.以上を図示すると次のようになる。
枚 方 硝 人 吋 同 連 絡 協 議 会
│
……ーくケース検討会議〉一‑‑‑
地域医療懇談会 医師会 歯科医師会 薬剤師会
枚方市社会福祉協議会「当事者組織と在宅福祉のネットワーク」より デイ セ ン タ ー
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方 87
B.
活動
⑧.まず「協議会」構成機関の業務内容について相互交流が行われた。それ によって,在宅ケアサービスにおける各機関の役割や,供給サービスの内容に 関する相互理解が深められた。
⑥. r 協議会」を構成する各機関およびデイケアセンターの把握する在宅ね たきり老人名簿を整理して,ねたきり老人統一名簿が作成された。名簿には,
主治医,係わっている機関,利用サービス等が掲載され,老人福祉課で保管さ れている
Oまた毎年見直しが行われている
O@.
r 協議会」がまとめた「枚方市における在宅ねたきり老人〈者〉の実態
(86年1
2月)
Jによると,ねたきり老人の機関別把握では,医師会が全体の約
7割を把握している
o86年度に新たに把握した者については,ねたきり期間
6か月
'"'‑'1年の者が約
4割を占めている
Oまた
6か月未満の早期把握者の把握率 は,医師会,市保健予防諜,保健所の順に高し、。在宅ねたきり老人の早期把握 の面で,医師会が参加した連携の効果があらわれているといえるであろう
O⑥.保健婦によるねたきり老人訪問は,昭和55 年当時から,福祉見舞金対象 者名簿をもとに実施されていたが, r 協議会」による統一名簿作成以降,訪問 に優先順位
(1'"4)がつけられた。この順位に従って,保健所と市の保健婦 が情報交換し連絡調整しながら訪問し,主治医の紹介,サービスの紹介が行 われた。
1.医師会名簿の要訪問ケース
(46人 〉
2.
医師会アンケートによる主治医なしケース
(43人 〉
3.車いす貸出し者(1
7人 〉
4.
デイサーピス新規登録未利用者
(99人 〉
⑥.在宅ねたきり老人の把握がひろがるに伴い,あるし、はケース検討会議で の検討を重ねるにつれ,サービス資源の不足,サービス利用手続き上の問題,
資源の有効活用の問題などが,課題として共通に認識されてきている。
⑦. r 協議会」には独自予算が組まれていない。 r 協議会」のスタッフはお
らず,独自事業も行われていなし、。また実務者会議での役割分担の了解事項
が,所属機関に持ちかえった時否定される事態が生じることがあるという
Oこ
88
在宅ケアサーピスの供給レベルにおける連携の在り方 れはいわば権限面からの機能の限界といえるであろう
O以上みてきたように,枚方市の在宅ケアサービス供給機関の連携は, I 協議 会
Jという組織形態をとってしる
Oこの「協議会」は,市社会福祉協議会のイ
ニシアティプのもとで,当事者組織を基礎にした地域福祉活動が展開していく 過程で組織化された。
I協議会」の活動で,対象者のニード把握が進められた が,これに伴いサービス資源不足が問題として共通に認識されてきている
Oこ のため「協議会」では政策課題の整理と検討が行われてし、る
O第
3節 寝屋川市民たすけあいの会(寝屋川ボランティア・
ビュー口一)
最後に,民間団体,特にボランティア団体が中心になってサービスの連携組 織を展開している事例として大阪府下の「寝屋川市民たすけあいの会
J(以下
「たすけあいの会」とする〉の事例を検討してみよう。
( 1 ) 沿 革
ここでもまず,本報告に関係のある限りで,設立以降現在までの経緯を簡単 に整理しておく
O‑・・・・・.. . . . . . . . . . . . . . . . . .・・.・・・・・・・・・・・・・・.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・........・.. . . . . . .. ..
昭和
51年
1月 大阪府寝屋川保健所より,大阪ボランティア協会ヘボランティ ア派遣の依頼があり重度身体障害児家族への訪問を開始
O昭和
52年
2月 「寝屋川地域ボランティア・グループ」発足
昭和
52年 8月 大阪ボランティア協会が寝屋川における活動推進のため「地域 ケア開拓プロジェクト構想」を出す
昭和
53年
3月 「寝屋川市民たすけあいの会」と改称 昭和
53年3月 事務所「たすけあいホーム」開設 昭和
53年
12月 親の会への行事援助開始
昭和
54年
4月 「エルダーサロンねやがわ」活動開始
昭和
54年
5月 絵画教室「びっくりおもちゃ箱」活動開始
昭和
55年
4月 第
1回実習生受入
在宅ケアサービスの供給レベルにおける連携の在り方
89昭和
59年
6月 第
1期ケア講座開催
昭和
59年
9月 英会話教室開講
昭和
60年
4月 在宅療養者交流会の開催 昭和
61年
1月 「ぼちぼちの会」開催
昭和
61年
8月 京阪神需給調整担当者会議主催
(2)
現在の活動内容
次に,昭和
61年度における活動報告,及び, ヒアリングによると現在の活動 内容は次のようになっている
OA.
地域活動
① 在宅サービス活動:一人暮らし寝たきり老人家庭,難病患者家庭にた いする話相手,掃除,買物等の活動,及び障害児者の家庭に対する遊び相 手,通園・通院のつきそいなどの活動。昭和
51年から開始。昭和
61年度ニ
ーズは
56件で対応は
45件であった。
② 交流活動
。びっくりおもちゃ箱:障害児の社会的ふれあいの場づくりとして昭和
54年から開始。現在は月
1回,年
12回,児童会館にて開催。
。在宅療養者交流会:在宅寝たきり老人・障害者・難病患者の家族,及び ボランティアの交流の場づくりとして昭和
59年から開始。年
2回開催。
。福祉施設への訪問活動:特別養護老人ホーム寝屋川十字の園を訪問し て,清掃,お年寄りの話相手,代筆などの活動をする
O昭和
53年から開 始,年
12回 。
③ 行事援助活動
o
当事者団体への協力…年
4回
o