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学 位 授 与 年 月 日

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Academic year: 2021

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氏 名 二宮 一史 学 位 の 種 類 博士(理学)

報 告 番 号

乙第352号

学 位 授 与 年 月 日

2020年9月19日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則(昭和28年4月1日文部省令第9号) 第4条2項該当

学 位 論 文 題 目

Short-Range Test of the Universality of Gravitational Constant G at the Millimeter Scale Using a Digital Image Sensor

画像処理型変位計を用いた近距離における万有引力定数の物 質依存性の検証

審 査 委 員 (主査) 栗田 和好(立教大学教授)

小林 努(立教大学教授)

中野 祐司(立教大学准教授)

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1

Ⅰ.論文の内容の要旨

(1)論文の構成

本論文は万有引力の物質依存性の検証について述べられている。第1章「序章」

ではテーマの背景と着想にいたった経緯が述べられ、第2章「測定の原理」では 実験の原理と実験手法が詳述されている。第3章「モニターシステム」では本研 究の特徴となる画像処理による変位計の技術的な側面およびデータ収集に関す る説明がなされている。第4章「実験」では実際に用いられた実験装置の説明と 校正データが記述され,第5章「結果」では得られたデータから万有引力の物質 依存性の検証につなげる解析法とその結果が示されている。第6章「議論」では 実験結果を他の実験や理論モデルと比較することでその位置づけが議論されて いる。第7章「結論」では、万有引力の物質依存性の検証結果について結論付け られている。

(2)論文の内容要旨

重力定数Gの物質依存性をmmスケールで測ることにより弱い等価原理の検 証を行った。弱い等価原理はディラトン交換力などの湯川型相互作用を通して 破られる可能性があるためである。

ねじれ秤に2本の同形同質量のタングステン円柱標的を吊り合わせ,その周 りを回転台の上に対称におかれた銅柱とアルミ柱の引力源が取り巻く形で標的 に引力を及ぼす。回転によるトルクの変化を画像処理型の位置センサーで追っ た。

その結果,万有引力の物質依存性の指標の値が得られた。測定時,円柱型の標 的と引力源の中心と中心の間の距離は 1.7 cm,最近接時の表面どうしの距離は

4.5 mm であった。この結果は万有引力定数が物質に依存しない,つまり弱い等

価原理が 1 cm 付近の近距離で検証されたことを示している。

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Ⅱ.論文審査の結果の要旨

(1)論文の特徴

我々の時空は4次元であると信じられているが,より高次(5次元以上)の時 空を表す理論物理学の概念に余剰次元がある。既知の4次元にさらに次元を導 入することで、4つの基本的な力を統一しようという理論である。その理論によ ると,物理の基本的な4つの力のうち,なぜ重力がとりわけ弱いのかを説明でき るとされている。その理論によればニュートンの万有引力の法則が小さな距離 でほころびを生じる可能性が示唆されており,センチメートル以下の小さなス ケールでの重力の検証実験が余剰次元理論の正当性に対して大きなヒントとな ることが期待される。

本論文はそのような着眼点から開始された実験の成果の一部であり,センチ メートル程度のスケールでの万有引力の物質依存性が無いことを世界に先駆け て直接的に示している。ねじれ秤に2本の同形同質量のタングステン円柱標的 を吊り合わせ,その周りを回転台の上に対称におかれた銅柱とアルミ柱の引力 源が取り巻く形で標的に引力を及ぼす。回転によるトルクの変化を画像処理型 の位置センサーで追い,万有引力の逆二乗則からのずれを探索したところ,誤差 範囲で予測値からのずれが無いことを示した。

(2)論文の評価

逆二乗則は空間が3次元であるという仮定から導かれる。余剰次元の拡がり の外側では重力は万有引力の法則に従う一方で、その内側では重力は強まり万 有引力の法則から逸脱すると考えられる。そのため、余剰次元の探索をするには その拡がりの程度まで物体同士を近づけて重力を観測する必要がある。

本論文はそのような背景から出発しており,キャベンディッシュが最初に重 力定数を測定するときに使ったねじれ秤を用いるという古典的実験手法とは対 照的に,斬新な視点に基づいている。

また,ねじれ秤の運動を画像処理により測定する新たな技術を開発し,FPGA を 利用したデータ収集系の高速化や系統誤差の詳細な検討などを成し遂げた申請 者の技量は高く評価できる。

結果的に世界に先駆けてセンチメートル近傍で逆二乗則が物質に依存せずに

成り立つことを 10

-2

オーダーの誤差で直接検証することに成功し,弱い等価原

理の破れについて上限値を設定したことは,先駆的な成果であると認められる。

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