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新基本方針(第四章) 基本的施策 松本市文化芸術振興基本方針 松本市ホームページ

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(1)

第 4 章

基本的施策

(2)

文化芸術によって

つくりだされる松本市の姿

-20年先、30年先の松本市の姿-

文化芸術で人と人とがつながり、

まちに魅力と活気があふれる

「3ガク都・松本」

基本方針

-上記に近づけるための向こう5年間の取組方針-

誰もが多種多様な文化芸術に

気軽に触れ、ワクワク・ドキドキが

生きがいと新たなうねりにつながる

まちづくり、人づくりを進めます。

文化芸術振興施策の総合的な推進

文化芸術振興に関する総合的な施策を推進し、誰 もが広く文化芸術を楽しめる機会をつくり、人々 の笑顔があふれるまちづくりを進めます。

文化芸術活動の環境の整備・充実

優れた文化芸術に触れる機会が多い特長を活か し、共感と感動が生きがいにつながる環境と仕組 みをつくり、市民による文化芸術活動の裾野を広 げます。

文化芸術を担う人材の養成・確保

「松本らしさ」の継承と創造の源は市民一人ひと

りであるという認識のもと、個性と感性を磨く 「人づくり」を推進します。

文化芸術の振興に関する

連携・交流・活用等重要な事項

市民一人ひとりが豊かに生きていくために欠か せない文化芸術の力で、更に人と人とをつなげ、 地域の元気を生み出していきます。

分野方針

【施策体系図】

基本的施策

施策の展開例

⑴ 総合的な政策・方針の立案

⑶ 文化財の保存活用

① 実態調査等を踏まえた施策の立案・推進 ② 推進体制による総合的な施策の推進

⑴ 活動環境の整備(拠点、機能充実・整備) ① 施設環境・機能の整備・充実

  (利用しやすい施設等の環境整備、各世代に応じた参加のきっかけの提供等) ② 施設のあり方等の検討

⑴ 文化芸術に関心を高めるための子どもたちへの取組み ① 学校を中心とした取組みの実施

② 子どもたちの個性と感性を育む機会づくり

⑵ 活動機会の提供・充実(発表、鑑賞機会) ① 新たな表現の場の創出とその仕組みづくり

  (公共スペース等を活用した表現の場の仕組みづくり) ② 鑑賞につなげる取組みの実施(興味の掘起し等) ③ 鑑賞事業評価の実施(市民モニター制度等)

⑶ 各種文化芸術活動の促進及びそのための支援 ① 主催事業による文化芸術活動の促進

② 文化芸術活動に対する財政支援

  (補助金による活動支援の検証、総合的な文化芸術活動支援制度の研究)

⑷ 情報発信・各種制度等の窓口機能 ① 情報発信方法、内容等の改善

② 文化芸術活動総合窓口の整備

⑸ 関係機関等のネットワーク化、連携 ① 各種ネットワークの構築

② 大学等との連携

⑶ 文化芸術専門職の育成・資質向上 ① 専門性をもった職員の育成

② 市民プロデューサーの育成等

⑹ 評価基準の設定と評価、進行管理等 ① 評価基準の設定

② 施策の進行管理の実施

⑵ 協働・創造発信型事業、総合的な文化芸術振興施策の推進 ① より開かれた事業運営と持続可能な事業展開

② 事業をきっかけとした市民と芸術家との接点・交流づくり ③ 創造的視点による事業協働

⑵ 若手芸術家等への支援、指導者育成 ① 若手芸術家等を地域で育む事業等の実施

  (アートプロジェクト事業、指定無形民俗文化財伝承事業の充実) ② 在住芸術家に関する情報の集積と活用

⑷ 文化ボランティアの育成 ① 文化ボランティアの育成

  (楽しみを広げる機会づくり、リーダーの養成) ② 文化ボランティア・マネジメント機能の充実

⑸ 顕彰 ① 文化芸術表彰の見直し

⑴ 観光・産業等との連携・振興 ① 新たな観光コンテンツの開発

② 産業の活性化と「創造の場」の仕組みづくり ③ 地域再発見事業の実施

⑶ 文化芸術による交流促進 ① シティプロモーションの推進

② 市民レベルの都市間交流の推進

③ 国際交流にアピールできる文化芸術交流プログラムづくり ④ 市民の異文化理解を深める取組み

⑵ 地域活性化、まちづくりとの連携・振興 ① 文化芸術を活用した地域活性化事業の実施

② 文化財の地域活用とまちづくり

⑷ 「くらしの文化」の振興 ① 地区公民館を中心とした講座事業等の実施

② 「くらしの文化」を体感できる事業の充実

⑸ 健康、医療、福祉分野等における文化芸術の活用 ① 地域資源の新たな視点での活用

(3)

文化芸術によって

つくりだされる松本市の姿

-20年先、30年先の松本市の姿-

文化芸術で人と人とがつながり、

まちに魅力と活気があふれる

「3ガク都・松本」

基本方針

-上記に近づけるための向こう5年間の取組方針-

誰もが多種多様な文化芸術に

気軽に触れ、ワクワク・ドキドキが

生きがいと新たなうねりにつながる

まちづくり、人づくりを進めます。

文化芸術振興施策の総合的な推進

文化芸術振興に関する総合的な施策を推進し、誰 もが広く文化芸術を楽しめる機会をつくり、人々 の笑顔があふれるまちづくりを進めます。

文化芸術活動の環境の整備・充実

優れた文化芸術に触れる機会が多い特長を活か し、共感と感動が生きがいにつながる環境と仕組 みをつくり、市民による文化芸術活動の裾野を広 げます。

文化芸術を担う人材の養成・確保

「松本らしさ」の継承と創造の源は市民一人ひと

りであるという認識のもと、個性と感性を磨く 「人づくり」を推進します。

文化芸術の振興に関する

連携・交流・活用等重要な事項

市民一人ひとりが豊かに生きていくために欠か せない文化芸術の力で、更に人と人とをつなげ、 地域の元気を生み出していきます。

分野方針

【施策体系図】

基本的施策

施策の展開例

⑴ 総合的な政策・方針の立案

⑶ 文化財の保存活用

① 実態調査等を踏まえた施策の立案・推進 ② 推進体制による総合的な施策の推進

⑴ 活動環境の整備(拠点、機能充実・整備) ① 施設環境・機能の整備・充実

  (利用しやすい施設等の環境整備、各世代に応じた参加のきっかけの提供等) ② 施設のあり方等の検討

⑴ 文化芸術に関心を高めるための子どもたちへの取組み ① 学校を中心とした取組みの実施

② 子どもたちの個性と感性を育む機会づくり

⑵ 活動機会の提供・充実(発表、鑑賞機会) ① 新たな表現の場の創出とその仕組みづくり

  (公共スペース等を活用した表現の場の仕組みづくり) ② 鑑賞につなげる取組みの実施(興味の掘起し等) ③ 鑑賞事業評価の実施(市民モニター制度等)

⑶ 各種文化芸術活動の促進及びそのための支援 ① 主催事業による文化芸術活動の促進

② 文化芸術活動に対する財政支援

  (補助金による活動支援の検証、総合的な文化芸術活動支援制度の研究)

⑷ 情報発信・各種制度等の窓口機能 ① 情報発信方法、内容等の改善

② 文化芸術活動総合窓口の整備

⑸ 関係機関等のネットワーク化、連携 ① 各種ネットワークの構築

② 大学等との連携

⑶ 文化芸術専門職の育成・資質向上 ① 専門性をもった職員の育成

② 市民プロデューサーの育成等

⑹ 評価基準の設定と評価、進行管理等 ① 評価基準の設定

② 施策の進行管理の実施

⑵ 協働・創造発信型事業、総合的な文化芸術振興施策の推進 ① より開かれた事業運営と持続可能な事業展開

② 事業をきっかけとした市民と芸術家との接点・交流づくり ③ 創造的視点による事業協働

⑵ 若手芸術家等への支援、指導者育成 ① 若手芸術家等を地域で育む事業等の実施

  (アートプロジェクト事業、指定無形民俗文化財伝承事業の充実) ② 在住芸術家に関する情報の集積と活用

⑷ 文化ボランティアの育成 ① 文化ボランティアの育成

  (楽しみを広げる機会づくり、リーダーの養成) ② 文化ボランティア・マネジメント機能の充実

⑸ 顕彰 ① 文化芸術表彰の見直し

⑴ 観光・産業等との連携・振興 ① 新たな観光コンテンツの開発

② 産業の活性化と「創造の場」の仕組みづくり ③ 地域再発見事業の実施

⑶ 文化芸術による交流促進 ① シティプロモーションの推進

② 市民レベルの都市間交流の推進

③ 国際交流にアピールできる文化芸術交流プログラムづくり ④ 市民の異文化理解を深める取組み

⑵ 地域活性化、まちづくりとの連携・振興 ① 文化芸術を活用した地域活性化事業の実施

② 文化財の地域活用とまちづくり

⑷ 「くらしの文化」の振興 ① 地区公民館を中心とした講座事業等の実施

② 「くらしの文化」を体感できる事業の充実

⑸ 健康、医療、福祉分野等における文化芸術の活用 ① 地域資源の新たな視点での活用

(4)

今回の改定では、基本的施策を分野方針の次に位置付ける構造で体系化します。また、項目毎に現状と課 題、それを踏まえた取組方針を定め、施策の展開例を示すものとします。

Ⅰ 文化芸術振興施策の総合的な推進に関する方針

文化芸術振興に関する総合的な施策を推進し、誰もが広く文化芸術を楽しめる機会をつ

くり、人々の笑顔があふれるまちづくりを進めます。

⑴ 総合的な政策・方針の立案 [文化スポーツ部・政策部]

ア 現状と課題

ア 私たちの生活は、文化芸術と深く関わって成り立っています。しかしながら、「文化芸術振興」は、 自分とは関係ないものとする意識が広くあり、結果として旧基本方針が浸透したとは言い難い状況 です。

イ 市の文化芸術振興部門は、文化芸術に関する市民調査や実態把握を行っていないことから、この 反省点を踏まえて、施策の推進を図る必要があります。

イ 取組方針

ア 政策・方針の立案に当たっては、企画毎の利用者アンケートに留まらず、今後、文化芸術につい て広く市民から意見を聞き、市民の活動実態等についても把握した上で進めます。

イ 市民に浸透する基本方針を目指すとともに、文化芸術振興審議会、文化芸術振興庁内連絡会議に よる定期的な評価・検証を行いながら、総合的な施策の推進を図ります。

ウ 施策の展開例

ア 実態調査等を踏まえた施策の立案・推進

・市民意向調査、活動実態調査の実施 ・利用者アンケートの実施

イ 推進体制による総合的な施策の推進

・文化芸術振興審議会による事案審議 ・文化芸術振興庁内連絡会議の開催

⑵ 協働・創造発信型事業、総合的な文化芸術振興施策の推進

[文化スポーツ部・教育部・商工観光部・政策部]

ア 現状と課題

(5)

33

章 

美術館」等、優れた文化芸術に触れる機会が多く、音楽・芸術の「楽都」として発展しています。

イ このような事業によって、国内外から松本市に人が集まり、経済効果や松本市の発信力も大きく なっています。このことをきっかけに松本市への愛着が増した、事業開催を誇りに思うと捉える市 民も多くなっています(表 3)。

ウ 市民手づくりで企画運営するクラフトフェアまつもとはもちろんですが、OMF や信州・まつも と大歌舞伎等を市民レベルで盛り上げようという動きは、「観て楽しむ」から「運営する側として 楽しむ」文化ボランティア活動に発展し、市民協働が生まれています。これらの事業に協賛する企 業等によるメセナ貢献*も広く根づいています。この広がりは、松本市独自の市民文化と言えます。

エ これらの事業に対し市は、直接的、間接的な財政支援をしています。更なる市民賛同を得るため にも、この恵まれた環境をもっと多くの市民が楽しめ、身近に感じられる取組みが必要です。

イ 取組方針

ア 事業の目的と事業を松本市で行うことの意義を再構築し、より開かれた事業運営と持続可能な事 業展開を図ります。

イ 優れた文化芸術に触れる機会に恵まれているという環境を積極的に捉え、各事業をきっかけに市 民と芸術家との接点・交流づくりを更に進め、文化芸術活動の楽しさから、人々が笑顔になり、人 と人とがつながる仕組みをつくります。

ウ 育んできた独自の市民文化を大切にしながら、 創造的な視点を持って市民、企業、地域、行政 等が協働する新たな取組みを検討します。

ウ 施策の展開例

ア より開かれた事業運営と持続可能な事業展開

・セイジ・オザワ 松本フェスティバル ・信州・まつもと大歌舞伎

・クラフトフェアまつもと

・創造・発信型事業(まつもと市民芸術館)

メセナ貢献

メセナ (mécénat) とは、フランス語で「文化の擁護」を意味し、日本では主として企業による資金提供による文化芸術活動支援を指す。 表3 SKF、信州・まつもと大歌舞伎 経済的効果、文化的効果調査結果

そう思う やや

そう思う あまりそう 思わない

そう

思わない わからない 合計

⑴SKFが松本で開催されることを誇りに思う市民 86.4 12.3 0.7 0.0 0.5 100.0 ⑵SKFが松本で開かれることを誇らしく思う市民 45.0 29.7 13.5 3.6 8.1 100.0 ⑶(歌舞伎をみて)松本市に対する愛着が増した市民 61.2 28.7 7.9 2.2 0.0 100.0

出所:⑴、⑵ サイトウ・キネン・フェスティバル松本 2014 経済的及び文化的効果算出調査報告書      ⑴ 公演後調査票・返信用封筒配布により回収(2,681 件) うち市内 586 人(21.9 %)の結果      ⑵ SKF を鑑賞した小中学生に対して後日、学校から調査票を配付した回答結果(回収者 223 人)    ⑶ 信州・まつもと大歌舞伎 2014 開催効果調査報告書

     観劇者効果測定アンケート(816 / 906 人、回収率 90.1 %) うち市内 376 人(46.1 %)の結果

単位:%

(6)

イ 事業をきっかけとした市民と芸術家との接点・交流づくり

・各事業における関連事業、市民活動事業等

ウ 創造的視点による事業協働

・官民協働による創造的な事業の検討

⑶ 文化財の保存活用 [教育部]

文化財が、市民にとって「共有の財産」となるよう、松本市総合計画との連動性を保ちながら、松本 市教育振興基本計画に基づく文化財の保存活用を推進します。

⑷ 情報発信・各種制度等の窓口機能 [文化スポーツ部・教育部・商工観光部・地域づくり部]

ア 現状と課題

ア ほとんどの施設では、ホームページ、チラシ等によるイベント等の情報提供を行っていますが、 見る人にとって欲しい情報になかなかたどり着けない、情報の総合化がなされていない等の課題が あります。

イ 市民であっても松本市の文化芸術について知らないことも多いことから、市民向けの情報発信に ついて考慮が必要です。

ウ 市の文化芸術振興部門が、文化芸術活動団体や個人の情報、国、民間等の各種助成制度の情報 等を把握していない状況があります。

イ 取組方針

ア 情報発信について情報の受け手の立場に立った整理と総合化を進め、楽しさを伝えます。併せて、 市民向けの情報発信のあり方について研究します。

イ SNS*を活用し、人脈や口コミからつながっていく広がりを重視します。

ウ 市の文化芸術振興部門に文化芸術活動に関する総合窓口を整え、機能を強化します。

ウ 施策の展開例

ア 情報発信方法、内容等の改善

・文化芸術情報ポータルサイト*の整備 ・市民向けの情報発信方法の研究

・SNS の活用(映像媒体の活用を含む。)

イ 文化芸術活動総合窓口の整備

・活動情報、各種活動支援情報等の集約 ・相談窓口の整備・調整

SNS

ソーシャル・ネットワーキング・サービスのことで、インターネット上で人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型の会員制サービス又はそ のサービスを提供するウェブサイトのこと。主な SNS に Facebook、Google+、LINE、mixi、Twitter、YouTube 等がある。

ポータルサイト

(7)

35

章 

⑸ 関係機関等のネットワーク化、連携 [文化スポーツ部・教育部・政策部]

ア 現状と課題

ア 市内の文化施設や文化芸術団体等のネットワークがほとんどないことから、各施設、団体等で有 意義な事業や活動を行っていても、それらの日程が重複する、単発的な実施となっている等の状況 があります。

イ これまで文化芸術分野での広域連携は一部に留まっています。

イ 取組方針

ア できる部分から文化施設間のネットワークを構築し、情報共有、事業連携・活用、人材交流等を 図り、事業や施設運営上の相乗効果を高めます。

イ ジャンル、拠点施設を越えて文化芸術活動団体の代表者が集まる機会を設け、新たな交流や文 化の創造につなげます。

ウ 大学や他の自治体の文化施設との連携により、「地域の魅力」を更に高め、松本市のみならず長 野県、ひいては日本が、「世界から選ばれる地域」となるよう取組みを進めます。

ウ 施策の展開例

ア 各種ネットワークの構築

・市内文化施設間ネットワークの構築 ・文化芸術活動団体連絡会議の開催

イ 大学等との連携

・大学等との共同研究・共同事業 ・文化施設間広域連携(長野市芸術館・上田市交流文化芸術センター との連携、松本藩領ミュージアム構想等)

⑹ 評価基準の設定と評価、進行管理等 [文化スポーツ部・該当部局]

ア 現状と課題

ア 旧基本方針は、基本的施策の所管部局等が不明確であったことから適切な進行管理ができません でした。

イ 松本市では、平成 14(2002)年度から行政評価制度*を導入し、平成 24(2012)年度からは 原則、全ての事務事業を対象とした評価を実施しています。しかしながら、そこで用いる指標や目 標値は、多くが参加者数、施設稼働率等のアウトプット*となっており、それだけで文化芸術の効

果・成果を測ることは困難なものもあります。ただし、そもそも文化芸術の評価は、効果・成果が 測定しにくく、確立した手法がありません。

イ 取組方針

ア 各事業の戦略目標を明確にし、従来のアウトプット中心の評価から、アウトカム、インパクト* を意識した適切な評価手法について研究し、試行します。

行政評価制度

行政の行う活動を、有効性、効率性等の観点から行政機関が独自で定めた統一的な基準によって評価する仕組みで、行政運営の改善につなげることを目的と しているもの。政策評価とほぼ同義で用いられることも多い。主として行政自らの施策の点検で使用されるが、市民意見を反映する手段としても用いられてい る。日本では、1990 年代から海外の事例を参考に地方自治体で導入する例が出始め、国の「行政機関が行う政策の評価に関する法律」( 平成 13 年法律第 86 号 ) による政策評価につながっている。

アウトプット、アウトカム、インパクト

(8)

イ 実態調査に当たっては、アウトカム、インパクトを把握するよう努めるとともに、参加者等の関 係者だけの評価とならないよう留意します。

ウ 施策の展開例に挙げた事業を中心に適切な進行管理を行い、文化芸術分野における PDCA サイ クル*を確立します。

ウ 施策の展開例

ア 評価基準の設定

・アウトカム、インパクトを意識した評価基準の設定(評価手法の研究・試行を含む。)

イ 施策の進行管理の実施

・文化芸術分野における PDCA サイクル確立による進行管理

Ⅱ 文化芸術活動の環境の整備及び充実に関する方針

優れた文化芸術に触れる機会が多い特長を活かし、共感と感動が生きがいにつながる環

境と仕組みをつくり、市民による文化芸術活動の裾野を広げます。

⑴ 活動環境の整備(拠点、機能充実・整備) [文化スポーツ部・教育部]

ア 現状と課題

ア 松本市には、公民館、博物館、図書館、美術館、文化ホール等が多くあり、事業等のメニューも 豊富なことから、文化芸術活動を行う環境に恵まれていると言えます(資料編 資料 3)。

イ 一方で、このような恵まれた環境のあることの市民の認知は必ずしも充分ではありません。また、 知っていても時間帯が合わない、周辺環境等への配慮が必要等の理由から活用できないといった状 況も存在します。広く市民に活用される場になるような取組みが必要です。

まつもと市民芸術館 松本市美術館

PDCA サイクル

(9)

37

章 

ウ 市が設置した文化施設の管理運営や事業実施は、現状、市が直接行うものと、一定期間を指定管 理者に委ねているものとが併存しています。指定管理者制度*は導入から 10 年を経て、運用も落 ち着いてきました。今後は、効率的な運営という観点とともに、住民自治や文化芸術の振興にとっ てより効果的な運営を図る観点からの文化施設のあり方の検証が必要です。

イ 取組方針

ア 施設等の運営方式の違いを越えてソフト事業に重点を置き、活動拠点としての機能充実に努めま す。また、各施設の事業や活動団体等の状況、活動参加のきっかけとなる取組みを各世代に応じて 行い、また、発信することにより文化芸術活動の場としての認知を高め、あらゆる世代の市民に広 く親しまれ、活用される場につなげます。

イ ライフスタイルの多様化に伴い市民の生活時間も多様化していること、活動する文化芸術の分野 によっては、周辺環境等への配慮から使用できない施設等の状況があること等を考慮し、誰もが文 化芸術活動を行いやすい環境整備に努めます。

ウ 現在ある市民の文化芸術活動の場は基本的に維持しながら、目的に沿ったものとなっているかを 市民とともに検証し、施設のあり方、相応しい事業実施・施設管理運営方法を研究します。

ウ 施策の展開例

ア 施設環境・機能の整備・充実

・利用しやすい施設等の環境整備(時間帯等を選ばない活動環境等の研究) ・活動情報の発信・オープン化 ・各世代に応じた参加へのきっかけの提供

イ 施設のあり方等の検討

・施設の性格付けの再検討 ・相応しい事業実施・施設管理運営方法の研究

⑵ 活動機会の提供・充実(発表、鑑賞機会) [文化スポーツ部・教育部]

ア 現状と課題

ア 市内では、市民による自主発表会や各種大会への参加を中心に、様々なジャンルで文化芸術活動 の成果を発表する催しがあります。今後は、どのようにして関係者の枠を越え、広く市民が親しめ る展開につなげていくかが課題です。

イ 鑑賞事業の実施施設では、多くの企画によって優れた文化芸術に触れる機会が豊富にあります。 この恵まれた環境を活かして、文化芸術に疎遠な市民をどのように巻き込み、興味を引き出すかが 今後の課題です。

イ 取組方針

ア 引き続き市民による自主企画を推進するとともに、市民による文化芸術活動が、もっと身近にな り、かつ、活動する者にとっても励みや生きがいとなるような仕組みづくりを行います。

イ 地域に根ざした鑑賞事業の展開を図るとともに、各世代に応じた興味の掘起しや行きやすい環境

37 指定管理者制度

(10)

づくり、伝え方の工夫等を進め、鑑賞事業の実施施設が、あらゆる世代にとってワクワク・ドキド キする場面がたくさん詰まった「行きたくなる場所」になるよう取組みを進めます。

ウ 利用者・鑑賞者の反応や鑑賞等に行っていない市民の意見も加味しながら、定性的、中長期的な 評価を行い、効果的な事業展開につなげます。

ウ 施策の展開例

ア 新たな表現の場の創出とその仕組みづくり

・公共スペース等を活用した表現の場の仕組みづくり

イ 鑑賞につなげる取組みの実施

・施設の特性を活かした自主事業の実施と興味の掘起 し(SNS 等を活用した情報発信、アウトリーチ*等各

世代に応じたきっかけづくり事業の充実)

・行きやすい環境づくり(周知の見直しを含む。時間 帯の変更(開館時間帯をシフトする日、従来と異なる 時間帯を選んでの公演実施等)、無料の日、リピーター 等をターゲットにした料金割引、託児等各世代に応じ た環境づくり)

ウ 鑑賞事業評価の実施

・利用者アンケートの実施(定性的・中長期的な評価項目の追加) ・市民モニター制度*の導入による市民意見の拾上げ

⑶ 各種文化芸術活動の促進及びそのための支援

[教育部・文化スポーツ部・地域づくり部・健康福祉部・商工観光部]

ア 現状と課題

ア 市、教育委員会等の主催によって、生涯学習や地域づくりの分野を中心に活動促進につなげる行 事や事業が行われています。

イ 市及び教育委員会では、公益性のある文化芸術活動に対し事業後援をしているほか、補助金等に よる財政支援をするケースがあります。今後は、固定傾向にある財政支援のあり方を検証するとと もに、新たな取組みをしようとする市民の声を取り上げることができる体制づくりも必要です。

イ 取組方針

ア 市及び教育委員会は、活動のきっかけとなる取組みを引き続き行い、市民の主体的な文化芸術活 動につなげます。

イ 市が補助金等で財政支援する場合、活動自体の自主性、創造性を損なわないよう配慮するととも に、透明性を高め、支援の目的とその結果どのような成果や変化が起きたのかを検証し、必要に応 じて支援のあり方を見直します。

アウトリーチ

施設から飛び出して、出張して講座や事業等を行うこと。身近で文化芸術に触れあう機会をもつことで文化芸術への関心を高める効果があるとともに、アー ティスト等にとっても地域との交流や新たな創造の展開が開ける等のメリットがあるとされる。

市民モニター制度

これまでの鑑賞者等のアンケートでは捕捉できていない「行かない市民」、「関心の薄い市民」の意見を加味する鑑賞事業評価の一つの手法。一定期間のモニ ターを市民に委嘱し、効果的な事業展開を検討するもの

(11)

39

章 

ウ 新たな取組みをしようとする市民の声を取り上げられるよう体制整備を行うとともに、市民ニー ズを踏まえ、メリハリのある総合的な文化芸術活動支援制度について、松本市芸術文化振興基金の 活用を含めて研究します。

ウ 施策の展開例

ア 主催事業による文化芸術活動の促進

・文化芸術活動のきっかけとなる事業の実施 (公民館研究集会、図書館まつり等)

イ 文化芸術活動に対する財政支援(適正化   を含む。)

・補助金による活動支援の検証 ・市民ニー ズを踏まえた総合的な文化芸術活動支援制度 の研究

Ⅲ 文化芸術を担う人材の養成及び確保に関する方針

「松本らしさ」の継承と創造の源は市民一人ひとりであるという認識のもと、個性と感性

を磨く「人づくり」を推進します。

⑴ 文化芸術に関心を高めるための子どもたちへの取組み [文化スポーツ部・教育部・こども部]

ア 現状と課題

ア 松本市では、子どもたちの感性や創造性を育むため、幼少期から文化芸術に触れる機会づくりを 行っています(美術館、博物館、松本城等で学ぶことの楽しさを体験する事業、文化ホールの公演 に併せた楽器講習会、出前コンサート等)。また、保育園、小中学校で実施する文化事業を財政的 に支援する取組みもあり、教育を重視した施策が多く行われています。

イ 子どもたちの関心を高めるためには、子どもたちの好奇心に刺激を与えられる人材をいかに確保 していくかという視点も大切です。

イ 取組方針

ア 子どもたちへの取組みを行う前提として、 各世代における文化芸術活動の担い手の育 成に努めます。また、大人、とりわけ子ど もと接する機会の多い教職員が、子どもの 好奇心に刺激を与えられる存在となるよう 資質の向上を図ります。

図書館まつり(ミニおはなし会)

(12)

イ 学校での文化芸術活動に、活動が盛んな シニア層の市民の力を活かせる展開を推進 します。

ウ 美術館、博物館、文化ホール等で子ども たちの好奇心をくすぐる機会を積極的につ くり、次世代を担う子どもたちの感性や創 造性を育みます。また、事業等の情報発信 についても工夫していきます。

ウ 施策の展開例

ア 学校を中心とした取組みの実施

・教職員の資質向上 

・学校サポート事業(部活動等、シニア層の市民力の活用を含む。)

イ 子どもたちの個性と感性を育む機会づくり

・OMF 子どものための音楽会 ・ブックスタート事業 ・未来の学都を支える子どもの育成事業(美術館)

⑵ 若手芸術家等への支援、指導者育成 [文化スポーツ部・教育部・商工観光部・政策部]

ア 現状と課題

ア 現在、松本市では、まつもと市民芸術館による若手俳優の養成や市民参加の演劇等の開催、松本 市音楽文化ホールによる新人演奏会等の事業を行っていますが、若手芸術家等の感性や創造性を地 域の活性化につなげる発想はこれまでありませんでした。

イ 文化芸術のもつ創造的な力を地域の活性化につなげるためには、芸術家にとって居心地の良い環 境をどのようにつくるかが大切です。また、在住の芸術家を把握することで、人と人とのつながり づくりに寄与することができます。

イ 取組方針

ア 新たな交流や地域の活性化という公共目 的を実現する手法として、若手芸術家等の 感性や創造性に注目した取組みを行い、地 域の元気につなげます。また、地域に残る 指定無形民俗文化財(資料編 資料 4)の 担い手を育成するための事業を充実します。

イ 芸術家の在住・活動状況の把握に努め、 文化芸術による人と人とのつながりづくり に活かします。

未来の学都を支える子どもの育成事業(探検 ! びじゅつかん)

内田のササラ踊りの伝承活動の様子

アートプロジェクト事業

(13)

41

章 

ウ 施策の展開例

ア 若手芸術家等を地域で育む事業等の実施

・文化芸術活動拠点としての空き家等の活用によるアートプロジェクト事業*

・指定無形民俗文化財の伝承事業の充実

イ 在住芸術家に関する情報の集積と活用

・アーティストバンク*の整備及び活用

⑶ 文化芸術専門職の育成・資質向上 [文化スポーツ部・教育部]

ア 現状と課題

ア 市民による文化芸術活動を支え、施設や地域の特性を活かした事業の展開を図るためには、各施 設でいかに職員の専門性を確保するか、育成していくかが重要です。

イ 一般市民を対象とした文化芸術に関わる人材養成事業はほとんどありません。

イ 取組方針

ア 各施設においては、優秀な専門職員の採用に努めるとともに、大学等と連携して総合力のある職 員を育成します。

イ 進展する超少子高齢型人口減少社会にあっても元気な地域であり続けるために、人や活動をつな げていく「市民プロデューサー」*を大学等と連携して育成し、協働します。

ウ 施策の展開例

ア 専門性をもった職員の育成

・大学等と連携したプロデュース力をもった職員の育成

イ 市民プロデューサーの育成等

・市民プロデューサーの育成 ・市民プロデュース企画による地域活性化

⑷ 文化ボランティアの育成 [文化スポーツ部・教育部・商工観光部・地域づくり部]

ア 現状と課題

ア 松本市音楽文化ホールのボランティア組織の活動がきっかけとなり、松本市には、「観て楽しむ」 から「運営する側として楽しむ」という独自の市民文化が生まれ、後の OMF や信州・まつもと大 歌舞伎等の文化ボランティア活動に発展しました。現在では、ホール運営補助、音楽、演劇等の フェスティバル運営補助、関連事業実施等の文化ボランティア活動を始め、観光名所等のガイドボ ランティアや美術館、博物館、図書館等で行う体験学習の企画運営、調査・展示等に携わるボラン ティア、独立して事業を企画、実演するアート NPO*等様々な分野で多くの文化ボランティア活動 が展開されており、松本市独自の市民文化を育んでいます。

イ その一方で、ボランティアをする側、受け入れる側ともにリーダーシップを持ち、マネジメント

アーティストバンク

市内で文化芸術活動を行う個人、団体等の情報について公開することを前提に情報の集積を行い、市民が文化芸術に気軽に触れる機会づくりや文化芸術活動 を行う個人、団体等をつなげ活動の場を広げるために活用するもの

市民プロデューサー

地域資源に着目し、その地域や人々との調整をとりながら、文化芸術の作り手と受け手をつなぐプロデュース能力をもつ仕掛け人のこと。

アート NPO

(14)

できる人材の養成が今後の課題です。

イ 取組方針

ア 文化ボランティアを更に各地区、市民に浸透させ、地域の 文化の一翼を担うよう活動の輪を広げます。

イ 文化ボランティアをする側、受け入れる側ともに互いに尊 重しながら協働のあり方について再構築を図り、人材を育む 環境づくりを行います。

ウ 施策の展開例

ア 文化ボランティアの育成

・文化ボランティアの楽しみを広める機会づくり ・文化ボランティアリーダーの養成

 (市民活動サポートセンター等とのタイアップ等)

イ 文化ボランティア・マネジメント機能*の充実

・受け入れる側での文化ボランティア・マネジメント機能の充実

⑸ 顕彰 [文化スポーツ部]

ア 現状と課題

ア 松本市では、平成 19(2007)年に文化芸術分野に特化した表彰制度を創設し、文化芸術の振興 を図っています(資料編 資料 5)。

イ 今後は、これまでの運用を踏まえ、文化芸術に関わる人たちのモチベーションにつながる戦略的 な見直しが必要です。

イ 取組方針

文化芸術の範囲を広く捉えるとともに、市民への広がりと文化芸術の振興に寄与することを重点に 置き、文化芸術表彰の顕彰方法を見直します。

ウ 施策の展開例

文化芸術表彰の見直し

・文化芸術大賞の顕彰方法等の見直し

文化ボランティア・マネジメント機能

文化ボランティアを受け入れる側で、ボランティアという人的資源をマネジメントする機能のこと。ボランティア自体の個性を尊重してその持ち味を組織の 中で最大限に発揮できるように、また、組織にとってもボランティアが組織の使命(ミッション)に寄与し、組織の可能性を広げるような効率的で効果的な活 用となるようマネジメントを行うもの

(15)

43

章 

Ⅳ 文化芸術の振興に関する連携・交流・活用等重要な事項の方針

市民一人ひとりが豊かに生きていくために欠かせない文化芸術の力で、更に人と人とを

つなげ、地域の元気を生み出していきます。

⑴ 観光・産業等との連携・振興 [商工観光部・文化スポーツ部・政策部・教育部・農林部]

ア 現状と課題

ア 松本市の観光は、国宝松本城や上高地等の観光スポットを巡るものやイベントが中心となってい ます。今後、合併地区を含めた地域の文化財や、伝統文化、お祭り、食等に注目し、内容をもっと 豊かにする発想をもつことで新たな広がりができます。更に、文化の視点をもつことで海外にア ピールできる原石が発見できます。

イ 松本市は、城下町として発展した歴史や「民藝運動」が行われた歴史をもつことから、現在でも 工芸作家や職人が比較的多く暮らしています。また、第 3 次産業比率が圧倒的に高いものの、第 1 次産業、第 2 次産業も一定規模あることから(表4)、新たな地域内産業連関によって高い付加価 値を生み出すものづくりに結びつく可能性

や、芸術家とのコラボレーションによって新 たな産業の創造につながる可能性がありま す。

ウ しかしながら、私たちの多くはこのような 地域の強みに気付かず、また、たくさんの コンテンツを活かしきれていないのが現状 です。今後は、これらを見つめ直し、新た な視点で捉え、つなぎ合わせ、新たな魅力 づくりや創造につなげる取組みが必要です。

イ 取組方針

ア 従来の観光コンテンツに磨きをかけるとともに、市民にとっては普通すぎて気付いていない素材 や一般に知られていない素材にも注目し、新たな観光コンテンツを開発します。また、文化の視点 を入れた体験型企画の開発を進め、全国・海外に向けて発信し、観光誘客につなげます。

イ 文化芸術の盛んな土壌から、新たな創造、イノベーションが生まれるという発想をもって、産業 の創造や地域の活性化等の新たなうねりにつながる取組みを行います。当面は、特定産業等を視野 に入れることではなく、個人の創造性が発揮できる場の雰囲気と人々との交流からワクワク・ドキ ドキが生み出され、そこから新しい価値の創造へとつながる展開を目指し、「創造の場*」の仕組み づくりを行います。

ウ 私たち自身が、地域にある様々な素材を見つめ直すために、市民向けの地域再発見事業を実施し、 市民意識を高めます。

表4 松本市の産業別事業所数と従事者数 事業所数 構成比 従事者数 構成比

H21 第 1 次産業 74 0.5% 1,083 0.8% 第 2 次産業 2,200 15.1% 25,901 19.0% 第 3 次産業 12,259 84.4% 109,491 80.2%

14,533 136,475 H26 第 1 次産業 62 0.5% 725 0.6%

第 2 次産業 1,943 14.3% 24,045 18.5% 第 3 次産業 11,594 85.2% 104,796 80.9%

13,599 129,566

出所:総務省統計局 「経済センサス基礎調査」(平成 21 年、平成 26 年)   (1) 民営及び公営事業所の合計数値のわかるものを使用   (2) 各数値は現在の市域に合わせて組替え

創造の場

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ウ 施策の展開例

ア 新たな観光コンテンツの開発

・文化財、伝統文化、祭り、食文化、山岳文化、里山文化等地域の魅力発見による観光コンテンツ、文化 体験型企画の開発・発信(ロゲイニング*等)

イ 産業の活性化と「創造の場」の仕組みづくり

・松本ものづくり伝承塾事業等の充実(工芸、民藝等の産業としての活性化を含む。)  ・空き家等の活用 ・創造のためのマッチング機会の増大

ウ 地域再発見事業の実施

・松本検定 ・市民を対象とした地域資源再発見講座、ツアー

⑵ 地域活性化、まちづくりとの連携・振興 [商工観光部・文化スポーツ部・教育部・建設部]

ア 現状と課題

ア 松本市では、上杉謙信の義塩伝説にちなんだ「松本あめ市」や、まつもと市民芸術館を飛び出し て新たな文化芸術を発信する「信州・まつもと大歌舞伎関連事業」、「まつもと街なか大道芸」、ク ラフトフェアまつもとが行われる 5 月に博物館、民間ギャラリー等を巻き込んで工芸企画展を行う 「工芸の五月」等、多くの催しが中心市街地で行われ、賑わいの創出に一定の効果を上げています。

イ 文化財の保存活用は、単体として捉える従来の考え方から周辺環境や地域の行事、伝承を含む群 として捉えるように変わってきており、それを住民主体で地区ごとに捉え直す作業が始まっていま す。また、歴史的風致*や文化的景観といった概念が重視されてきており、この展開により、まち づくりにつながる新たな動きが起きています。

ウ 国宝松本城を世界遺産*にしようとする取組みが行われていますが、そのことを知らない市民も

多く、市民挙げての運動には至っていません。

ロゲイニング

地図とコンパスを使い、山野に設置されたチェックポイントを制限時間内にまわり、得られた得点を競うスポーツ。チェックポイントは場所等の難易度によ り点数が異なり、回る順番は自由。チェックポイントには文化財、標識等特徴的な目印が採用されることが多い。

歴史的風致

地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律 ( 平成 20 年法律第 40 号、略称は歴史まちづくり法 ) で使われている概念で、「地域におけるその固有 の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となって形成してきた良好な市街地の環 境」を指す。

文化的景観

(17)

45

章 

イ 取組方針

ア 文化芸術を活用した地域活性化事業について、街の賑わい創出の目的だけではなく、参加する人、 携わる人がワクワク・ドキドキするような事業に組立て直し、そこで生まれた人と人とのつながり を地域やコミュニティの維持、活性化の原動力につなげていきます。

イ 松本市の歴史的風致や地域の文化財の価値を住民が共有することで、将来にわたって歴史的風 致や文化財、文化財群を地域で保護、活用していく気運を醸成し、その力をハード、ソフトの両面 でまちづくりに活かしていきます。

ウ 国宝松本城の世界遺産登録を目指し、地域との連携を一層深め、市民挙げての展開となるよう推 進します。

ウ 施策の展開例

ア 文化芸術を活用した地域活性化事業の実施

・松本あめ市 ・信州・まつもと大歌舞伎関 連事業 ・まつもと街なか大道芸 ・工芸の 五月 ・松本ぼんぼん

イ 文化財の地域活用とまちづくり

・歴史文化基本構想*の策定及び推進

・歴史的風致維持向上計画の推進 ・松本城世界遺産推進事業

⑶ 文化芸術による交流促進 [政策部・文化スポーツ部・教育部・農林部・総務部]

ア 現状と課題

ア 松本市は、都市ブランド力の向上や誘客、定住促進のためのシティプロモーションを展開してい ます。

世界遺産

昭和 47(1972)年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて世界遺産リストに登録された遺跡、景観、 自然等人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」をもつ有形の不動産のこと。内容によって文化遺産、自然遺産、複合遺産の 3 種類に分かれる。登録には、まず、 条約締結国内で世界遺産候補物件リスト ( 暫定リスト ) への記載が必要であり、その中から条件の整ったものがユネスコの世界遺産委員会に推薦され、専門機 関による調査を経て、登録の採否が決定される。

歴史文化基本構想

地域における歴史的風致の維持及び向上に関する基本的な方針並びに地域における歴史的風致維持及び向上に関する法律運用指針に登場する概念で、地域の 文化財を、指定や登録の有無に関わらず幅広くとらえて把握し、文化財をその周辺環境まで含めて総合的に保存・活用するとともに、文化財を核とした地域の 魅力を今後のまちづくりに活かすことを目的に、文化財保護のマスタープランとして地方公共団体に策定することが望ましいとされる構想

あめ市恒例塩取り合戦

(18)

イ 従来からある姉妹都市(藤沢市、姫路市、高山市)との交流に加え、文化・観光面での交流都市 協定を結んだ金沢市、札幌市、鹿児島市との都市間交流が進んでいます。また、国際交流も、姉 妹・友好提携を結ぶソルトレイクシティ、カトマンズ市、廊坊市、グリンデルワルト村を中心に交 流事業を行っています。今後は、一過性の取組みから、市民レベルの交流、経済・文化交流へ進め るための戦略的な展開が必要です。

ウ 今後一段と進む国際交流を円滑に行うためには、異文化理解への取組みとともに自身の文化(日 本の文化、松本の文化)への理解と発信が求められます。

イ 取組方針

ア 活用されていない文化コンテンツやスポーツ等のイベントにも注目したシティプロモーションを 推進します。

イ 都市間交流は、文化の視点を取り入れた仕組みづくりを行い、市民レベルの交流等につなげます。

ウ 国際交流は、民間を交えながら、互恵関係の構築できる分野の 1 つとして、文化芸術の交流プロ グラムづくりを進めます。

エ 異文化理解のきっかけとして、留学生と市民との接点を拡大し、人種や宗教、思想、関心等の違 いを越え、多種多様な文化を認め合う文化を醸成するとともに、私たち自身の文化の理解を深める 取組みについても行います。

ウ 施策の展開例

ア シティプロモーションの推進

・シティプロモーション素材の開拓 ・プロスポーツを通じた地域交流

イ 市民レベルの都市間交流の推進

・市民レベルの都市間交流へつなげる取組み ・クラインガルテン*を通じた地域交流

ウ 国際交流にアピールできる文化芸術交流プログラムづくり

エ 市民の異文化理解を深める取組み

・多文化共生*施策推進事業 ・単独学級講座事業(多文化、人権等の分野)

⑷ 「くらしの文化」*の振興 [教育部・健康福祉部・農林部]

ア 現状と課題

ア 松本市の公民館活動には、住民による自主サークル活動の他、各地区の地域性に応じた趣味・教 養、食文化・食育、地域文化に関するもの等の暮らしに密着した講座が多くあり、また、住民主体 で地区行事が行われています。このような活動によって市民が積極的に地域活動に関わる素地がつ くられてきました。

イ 一方で、公民館活動に参加している人は一部の限られた人であり、活動の中身が見えにくいと いった意見もあります。また、地域の伝統行事は、このまま推移すると自然消滅する可能性のある 地区も見受けられ、今後どのように次世代に引き継いでいくかが課題です。

クラインガルテン

ドイツ語で 19 世紀初めに自給自足のために作られた小作農園が始まりと言われる市民農園のこと。「小さな庭」の意味。日本では、都市部から週末等に人が 訪れ、ラウベと呼ばれる休憩小屋に滞在して食事や宿泊をしながら野菜や花等の栽培を楽しむ長期滞在型市民農園のことを言う。松本市内には四賀地区と奈川 地区にあり、地元住民がボランティアで「田舎の親戚」となって栽培のサポートをする仕組みにより、都市と農村との住民交流が実現している。

多文化共生

(19)

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章 

イ 取組方針

ア 公民館の行う各種講座事業については、引き続き地域課題やニーズに沿った事業展開を図るとと もに、今後、活動の中身や楽しさについて地区を越え、各世代の市民が広く共有できるよう発信方 法等を見直し、活動の輪を広げます。

イ 地域の伝統行事等を継承するため、地域・家庭・学校が連携した取組みを一層進め、それらが持 つ歴史的意義やおもしろさを次世代に正しく伝え、世代を越えた地域づくりにつなげます。

ウ 公民館事業以外にも「くらしの文化」を体感できる事業の充実を図ります。

ウ 施策の展開例

ア 地区公民館を中心とした講座事業等の実施

・単独学級講座事業(趣味・教養、食文化・食育、地域文化等の分野)の実施と発信方法の見直し ・学校サポート事業(郷土に関わる学習)の取組みの強化

イ 「くらしの文化」を体感できる事業の充実

・地産地消・食育推進事業 ・伝統文化・技術の体験講座事業(博物館)

⑸ 健康、医療、福祉分野等における文化芸術の活用 [商工観光部・教育部・健康福祉部・病院局]

ア 現状と課題

ア 福祉施設や医療機関等では、文化芸術を「生活の質」の向上や心のケアの手段として多く活用し ています。

イ 従来からある事業や素材に文化の視点を加えることで、新たな広がりが芽生えてきているものも あります。

イ 取組方針

ア 音楽、演劇等に留まらず、松本市の自然や文化財、温泉といった地域資源を新たな視点で活用し、

くらしの文化

国の第 4 次基本方針で使用されている用語の一つ。衣食住に係る文化をはじめ我が国の生活に根ざした「くらしの文化」といった文脈で用いられている。こ れは、社会教育法第 20 条の公民館の設置目的の一つ「生活文化の振興」で用いられている「生活文化」に近い概念と言える。文化芸術振興基本法でも「生活 文化」という用語を用いているが、「茶道、華道、書道、その他生活に係る文化」と捉えており、その範囲は「くらしの文化」より狭い。

(20)

健康、医療、福祉分野等へ波及させます。

イ 既存の事業に文化の視点を加えることで、 内容を豊かにし、文化芸術の新たな活用を 進めます。

ウ 施策の展開例

ア 地域資源の新たな視点での活用

・ヘルスツーリズム*事業

イ 文化の視点を入れた事業の展開

・文化財を巡るウォーキング

文化財を巡るウォーキングの様子

ヘルスツーリズム

医学的な根拠に基づく健康回復や維持、増進につながる観光のこと。地域資源を活用した新たな観光資源開発の一つとして全国的に取組みが始まっており、 温泉療法や森林療法等と結び付けた事例等がある。

松本市の文化芸術を語る上で重要な用語を「まつもと文芸キーワード」としてまとめてみました。 皆さんはどんな認識をお持ちですか?どれだけご存知ですか?

松本藩領ミュージアム構想

現在、私たちの暮らしに受け継がれている伝承文化は、松本地方が 260 年間にわたり松本藩領となっていた江戸時 代に形成されたものが多い。あめ(初)市を開く、小正月の火祭りを三九郎と呼ぶ、七夕に人形を飾る、年取りに鰤を 食べる家が多い、男女二神の道祖神像が多い等は、この地方共通の文化と言える。こうした歴史的につながりが深い 塩尻地域から東筑摩、大北地域までを一つの文化圏と見立て、博物館施設の連携を図りながら、縄文時代から現代ま で続く文化や伝統を学び合おうとする博物館連携構想をこのように呼んでいる。

松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)

昭和 60(1985)年に開館した「音文(おんぶん)」の略称で親しまれているクラシック専用ホール。市制施行 80 周年の昭和 62(1987)年に県内の公共ホールとしては唯一のパイプオルガンが設置され、専属オルガニストの公演の 他、クラシックを中心とした主催公演や市民の音楽活動に利用されている。地方の公共ホールとしては、稼働率、集客 率ともに高く、集客率は主催公演で 70 %を超える。この背景には、地域に根ざした公演を活発に行っていることとと もにハーモニーメイトというボランティア組織の存在があり、市民による音楽芸術の盛り上げの一翼を担い、後の SKF(現在の OMF)、信州・まつもと大歌舞伎等の文化ボランティア活動の礎となった。

松本ぼんぼん

8 月第 1 土曜日に中心市街地を歩行者天国にして実行委員会方式で行われる夏祭り。名前は、古くから伝わる女の 子の行事「ぼんぼん」に由来し、昭和 50(1975)年に始まった。サンバ調の軽快なテンポに合わせて踊り、参加は一 般公募により行われ、子どもから大人まで約 300 のグループ、約 25,000 人が参加する県内最大規模の夏祭りとなっ ている。

松本七夕人形

松本では、七夕行事(月遅れの 8 月)に板製、紙製等の男女対になった人形を軒先につるして飾る風習が江戸時代 から伝わっている。戦後ほとんど見られなくなったが、昭和 50 年代頃から復活の動きがあり、現在では商店街や通り に七夕人形が飾られるなど松本の夏の風物詩として定着している。

参照

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