2015(平成27)年度
全学部統一入試
(一般入試S日程)
生物基礎
【第 1 問】 次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 5 )に答えよ。 (解答番号 1 - 10 ) A オオカナダモの細胞を顕微鏡で観察すると、細胞内の葉緑体が一定の方向に動いてい るのがみえる。このような現象を( ア )とよび、植物細胞では、( イ )があるた め細胞自体が大きく変形したり、移動したりすることはない。顕微鏡に接眼ミクロメータ ーと、 1 mm を100等分した目盛りがつけてある対物ミクロメーターを設置し、オオカナ ダモの細胞について葉緑体の動きを観察した。 問 1 文章中の空欄(ア)、(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑦のうち からそれぞれ一つずつ選べ。 ア 1 イ 2 ① 細胞内流動 ② 細胞質流動 ③ 原形質基質流動 ④ 原形質流動 ⑤ 細胞膜 ⑥ 細胞壁 ⑦ 微小繊維
問 2 次の図は、顕微鏡に設置した接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターの目盛りで ある。接眼ミクロメーターの 1 目盛りの長さ(µm)として最も適当なものを、下の ①~⑨のうちから一つ選べ。 3 ① 1.0 ② 1.5 ③ 2.0 ④ 2.5 ⑤ 3.0 ⑥ 3.5 ⑦ 4.0 ⑧ 4.5 ⑨ 5.0 問 3 問 2 の顕微鏡で、オオカナダモの細胞における葉緑体の動きを観察したところ、 5 秒間に接眼ミクロメーター 12目盛り分移動した。この葉緑体の移動速度(µm/ 秒) として最も適当なものを、次の①~⑦のうちから一つ選べ。 4 ① 2.0 ② 3.0 ③ 4.0 ④ 5.0 ⑤ 6.0 図 1 ミクロメーター 接眼ミクロメーターの目盛り 対物ミクロメーターの目盛り
B 生物の細胞は、その種類や部分によって、形や大きさはさまざまである(図 2 )。人 間の体は、約( ウ )兆個の細胞からなっているが、もちろん種々の部位や組織によっ て細胞の形や大きさは異なる。例えば、肝細胞は、長径約30µm の楕円形であるが、長い 突起をもつ坐骨神経の細胞のように、突起の長さが 1 m に達するものもある。 問 4 上の文章中の(ウ)に入る数字として最も適当なものを、次の①~⑨のうちから一 つ選べ。 5 ① 3 ② 6 ③ 9 ④ 12 ⑤ 15 ⑥ 30 ⑦ 45 ⑧ 60 ⑨ 90 問 5 図 2 中の a~e に該当する細胞あるいは構造体として最も適当なものを、次の①~ ⑦のうちからそれぞれ一つずつ選べ。 a 6 b 7 c 8 d 9 e 10 ① 大腸菌 ② カエルの卵 ③ ニワトリの卵 ④ ゾウリムシ ⑤ ヒトの赤血球 ⑥ アオミドロ ⑦ インフルエンザウィルス 図 2 さまざまな細胞の大きさ(細胞以外のものも一部含む) 分解能 肉眼⇒ 光学顕微鏡⇒ 電子顕微鏡⇒ 1m ヒトの 坐骨神経 a b c d e DNA分子 1mm 1µm 1nm 100m 10-1 10-2 10-3 10-4 10-5 10-6 10-7 10-8 10-9 10-10
【第 2 問】 遺伝子とそのはたらきに関する次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 6 )に答えよ。(解答番号 11 - 20 )
A 以下のような DNA を人工的に合成し、試験管内でタンパク質を合成した。DNA は、
一方の鎖の塩基配列のみを示しているが、これに相補的なもう一方の鎖の塩基配列を左か ら書くと( ア )となる。この相補鎖から mRNA が転写されるとすると、この mRNA の塩基配列は( イ )となる。この DNA から合成されるタンパク質は( ウ )個の アミノ酸から構成され、そのアミノ酸は( エ )種類である。 人工 DNA の塩基配列:ATGTGTGTGTGTGTGTGT 問 1 文章中の空欄(ア)、(イ)に入る塩基配列として最も適当なものを、次の①~⑧の うちからそれぞれ一つずつ選べ。 ア 11 イ 12 ① CGTGTGTGTGTGTGTGTG ② GCACACACACACACACAC ③ TACACACACACACACACA ④ ACACACACACACACACAT ⑤ UACACACACACACACACA ⑥ AUGUGUGUGUGUGUGUGU ⑦ UGUGUGUGUGUGUGUGUA ⑧ CGUGUGUGUGUGUGUGUG 問 2 文章中の空欄(ウ)、(エ)に入る数字として最も適当なものを、次の①~⑧のうち からそれぞれ一つずつ選べ。ただし、タンパク質の合成は mRNA の左端の塩基から 順に始まるものとする。 ウ 13 エ 14 ① 1 ② 2 ③ 3 ④ 4 ⑤ 5 ⑥ 6 ⑦ 9 ⑧ 18
問 3 実際に合成されたタンパク質を調べたところ、 2 種類のアミノ酸のみから構成され ていた。この原因に関する人工 DNA の記述として誤っているものを、次の①~⑦の うちから二つ選べ。ただし、タンパク質の合成は mRNA の左端の塩基から順に始ま り、 1 つのアミノ酸を指定する塩基数が不足した場合は、その部位でタンパク質合成 が止まるものとする。 15 16 (順不同) ① 左端の A がなかった。 ② 左から 1 、 2 番目の AT がなかった。 ③ 左から 1 ~ 3 番目の ATG がなかった。 ④ 左から 2 番目の T がなかった。 ⑤ 左から 2 、 3 番目の TG がなかった。 ⑥ T がすべてなかった。 ⑦ G がすべてなかった。 B 肺炎双球菌には、肺炎を起こす S 型菌と肺炎を起こさない R 型菌とがある。イギリス の( オ )は、加熱して死滅させた S 型菌を R 型菌に混ぜてネズミに注射すると、ネ ズミが肺炎を起こすことを見出した。アメリカの( カ )らは、S 型菌をすりつぶして 得た成分を R 型菌に混ぜると、R 型菌が S 型菌に変化することを見出した。このような 遺伝的性質の変化を( キ )という。 問 4 文章中の空欄(オ)、(カ)に入る人名として最も適当なものを、次の①~⑧のうち からそれぞれ一つずつ選べ。 オ 17 カ 18 ① メンデル ② ミーシャ ③ モーガン ④ グリフィス ⑤ エイブリー ⑥ ハーシーとチェイス ⑦ ウィルキンスとフランクリン ⑧ ワトソンとクリック
問 5 文章中の空欄(キ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑧のうちから一 つ選べ。 19 ① 形質変化 ② 形質転化 ③ 形質転換 ④ 形質変換 ⑤ 表現型変化 ⑥ 表現型転化 ⑦ 表現型転換 ⑧ 表現型変換 問 6 加熱して死滅させた R 型菌を、S 型菌に混ぜてネズミに注射した場合、これによっ て得られる結果に関する記述として最も適当なものを、次の①~⑥のうちから一つ選 べ。 20 ① R 型菌のタンパク質が S 型菌に取り込まれるため、ネズミは肺炎を起こさなかっ た。 ② R 型菌の DNA が S 型菌に取り込まれるため、ネズミは肺炎を起こさなかった。 ③ R 型菌の外側のさやを S 型菌が利用するため、ネズミは肺炎を起こした。 ④ 死滅させた R 型菌の影響を受けるのは一部の S 型菌であるため、ネズミは肺炎 を起こした。 ⑤ R 型菌のタンパク質が S 型菌を死滅させるため、ネズミは肺炎を起こさなかっ た。 ⑥ R 型菌の DNA が S 型菌を死滅させるため、ネズミは肺炎を起こさなかった。
【第 3 問】 次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 6 )に答えよ。 (解答番号 21 - 30 ) A 哺乳類の赤血球は、血液の有形成分のうちのひとつであり、( ア )でつくられ、 肝臓や( イ )で破壊される。赤血球には、ヘモグロビンというタンパク質が含まれて いる。ヘモグロビンは、酸素が( ウ )、二酸化炭素が( エ )のところでは、酸素 と結合して酸素ヘモグロビンになり、酸素が( オ )、二酸化炭素が( カ )のとこ ろでは、酸素を離してもとのヘモグロビンに戻る性質がある。このヘモグロビンの性質に よって、赤血球は酸素を呼吸器官から組織に運んでいる。 問 1 文章中の空欄(ア)、(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうち からそれぞれ一つずつ選べ。 ア 21 イ 22 ① すい臓 ② 脊椎 ③ ひ臓 ④ 脊髄 ⑤ 骨髄 問 2 文章中の空欄(ウ)、(エ)の組み合わせとして最も適当なものを、次の①~④のう ちから一つ選べ。 23 ウ エ ① 高濃度 低濃度 ② 高濃度 高濃度 ③ 低濃度 高濃度 ④ 低濃度 低濃度 問 3 文章中の空欄(オ)、(カ)の組み合わせとして最も適当なものを、次の①~④のう ちから一つ選べ。 24 オ カ ① 高濃度 低濃度 ② 高濃度 高濃度 ③ 低濃度 高濃度 ④ 低濃度 低濃度
問 4 ヒトの赤血球の特徴に関する記述として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから 一つ選べ。 25 ① 細胞は不定形で核をもたない。 ② 血液 1 mm3あたり4000~8000個程度存在する。 ③ 血液の有形成分の中で最も多い血球である。 ④ 細胞内に異物を取り込んで分解する。 ⑤ 直径 2 ~ 4 µm 程度の大きさである。 B 酸素ヘモグロビンの割合と酸素濃度の関係をあらわしたグラフを酸素解離曲線とよ ぶ。次の図は、ヒトの血液の酸素解離曲線である。 問 5 図において、肺胞における酸素濃度が100、組織における酸素濃度が20のとき、肺 胞において酸素と結合したヘモグロビンのうち、組織に酸素を供給するヘモグロビン は何%か。最も適当な数字を、 0 ~ 9 のうちから一つずつ選べ。ただし、小数第一位 を四捨五入し、一の位まで求めよ。 十の位 26 一の位 27 酸素ヘモグロビンの割合 〔 % 〕 100 20 40 60 80 0 CO2濃度:低い 0 20 40 60 80 100 酸素濃度(相対値) CO2濃度:高い 図 酸素解離曲線
問 6 図において、肺胞における酸素濃度が100、組織における酸素濃度が20のとき、肺 胞における血液中のヘモグロビンが100 mL 中に10 g 存在し、 1 g のヘモグロビンは 1.8 mL の酸素と結合できるものとする。組織で解離される酸素は血液100 mL あたり 何 mL か。最も適当な数字を、 0 ~ 9 のうちから選べ。ただし、小数第二位を切り捨 て小数第一位まで求めよ。 十の位 28 一の位 29 小数第一位 30
【第 4 問】 バイオームに関する次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 4 )に 答えよ。(解答番号 31 - 40 ) A 地球上のどの地域にどのようなバイオームが分布するかは、その地域の年平均気温、 年降水量、季節変化のようす、土壌などが関係している。 陸上の植生は、森林や草原、荒原などに分けられ、さらに森林は、その相観から熱帯多 雨林や夏緑樹林、針葉樹林などに分類される。バイオームは、植生のこの相観とそこに生 息する動物などを含めた生物の大きな集団のことをさす。 次の表は、陸上のバイオームの一部についてまとめたものである。 問 1 表中の空欄 (ア)~(ウ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のう ちからそれぞれ一つずつ選べ。 ア 31 イ 32 ウ 33 ① 熱帯や温帯で年降水量が非常に少ない ② 多雨で熱帯よりもやや低温の時期がある ③ 温帯南部(暖温帯)で夏季に降水量が多い ④ 年間を通して高温多湿 ⑤ 熱帯で雨季と乾季がある地域 ⑥ 温帯や亜熱帯で降水量が年中少ない 相観 バイオーム 気候 優占種の生活形など 主な植物 森林 雨緑樹林 熱帯や亜熱帯で雨季と乾季がある ( エ ) チーク 照葉樹林 ( ア ) クチクラ層の発達した 葉をもつ常緑広葉樹 ( キ ) クスノキ 夏緑樹林 温帯北部(冷温帯)で冬季は寒冷、 夏季は温暖 ( オ ) ブナ ミズナラ 草原 サバンナ ( イ ) ( カ ) ( ク ) 荒原 砂漠 ( ウ ) 多肉植物 サボテン 表
問 2 表中の空欄 (エ)~(カ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑦のう ちからそれぞれ一つずつ選べ。 エ 34 オ 35 カ 36 ① 常緑広葉樹の巨大高木、つる植物、着生植物 ② 乾季に落葉する落葉広葉樹 ③ 地衣類、コケ類 ④ イネ科草本類とまばらな木本類 ⑤ 耐寒性の常緑広葉樹や落葉針葉樹 ⑥ 冬季に落葉し、夏季に葉をつける落葉広葉樹 ⑦ 常緑硬葉の高木や低木 問 3 表中の空欄 (キ)、(ク)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑧のうち からそれぞれ一つずつ選べ。 キ 37 ク 38 ① アカシア ② イスノキ ③ コケモモ ④ タブノキ ⑤ ハナゴケ ⑥ ハネガヤ ⑦ ヘゴ ⑧ マルハチ
B 日本では、成立するバイオームと月平均気温から求められる暖かさの指数がよく対応 している。 問 4 次の表は、ある年の富山市と青森市の月平均気温である。暖かさの指数を用いて、 富山市と青森市のバイオームとして最も適当なものを、以下の①~⑥のうちからそれ ぞれ一つずつ選べ。 富山市 39 青森市 40 ① 熱帯多雨林(暖かさの指数 240以上) ② 亜熱帯多雨林(暖かさの指数 180以上240未満) ③ 照葉樹林(暖かさの指数 85以上180未満) ④ 夏緑樹林(暖かさの指数 45以上85未満) ⑤ 針葉樹林(暖かさの指数 15以上45未満) ⑥ 高山帯(暖かさの指数 15未満) 月 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10月 11月 12月 富山市 2.7 3.0 6.3 12.1 17.0 20.9 24.9 26.6 22.3 16.4 10.8 5.7 青森市 -1.8 -1.7 1.3 7.5 12.9 16.8 20.9 22.5 18.1 11.9 6.2 0.8 表 月平均気温(℃)
【第 5 問】 生態系の保全に関する次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 8 ) に答えよ。(解答番号 41 - 50 ) A 本来は分布していなかった場所に、人の活動を通して入り込んできた生物のことを ( ア )という。日本では( イ )に施行された( ウ )によって、生態系・人の 身体・農林水産業などに被害を与えるとともに、( エ )を低下させる可能性のあるも の を、( オ ) に 指 定 し て い る。 ま た、 こ の( ウ ) に も と づ き、( オ ) の ( カ )・( キ )・( ク )・運搬・輸入などの取り扱いが規制され、( オ )の駆 除や侵入を防ぐ活動が行われている。 問 1 文章中の空欄(ア)に入る語句として最も適当なものを、次の①~④のうちから一 つ選べ。 41 ① 在来生物 ② 外来生物 ③ 侵入生物 ④ 移動生物 問 2 文章中の空欄(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一 つ選べ。 42 ① 1965年 ② 1975年 ③ 1985年 ④ 1995年 ⑤ 2005年 問 3 文章中の空欄(ウ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一 つ選べ。 43 ① 外来生物法 ② 在来生物法 ③ 侵入生物法 ④ 移動生物法 ⑤ 特定生物法
問 4 文章中の空欄(エ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~④のうちから一 つ選べ。 44 ① 生物特殊性 ② 生物多様性 ③ 農業多様性 ④ 生態持続性 問 5 文章中の空欄(オ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうちから一 つ選べ。 45 ① 特別外来生物 ② 特殊外来生物 ③ 特定外来生物 ④ 特別在来生物 ⑤ 特殊在来生物 ⑥ 特定在来生物 問 6 文章中の空欄(カ)~(ク)に入る語句として適当なものを、次の①~⑨のうちか ら三つ選べ。 46 47 48 (順不同) ① 飼育 ② 栽培 ③ 登録 ④ 増殖 ⑤ 維持 ⑥ 検査 ⑦ 保管 ⑧ 保護 ⑨ 検閲
B 絶滅の危険性が高いと認められた種を( ケ )という。その個体数を回復させるさ まざまな取り組みが行われている。日本では、伊豆諸島の鳥島で( コ )の増殖事業な どが行われている。 問 7 文章中の空欄(ケ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~④のうちから一 つ選べ。 49 ① 絶滅種 ② 特別絶滅種 ③ 特別危惧種 ④ 絶滅危惧種 問 8 文章中の空欄(コ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうちから一 つ選べ。 50 ① ニホンウナギ ② セグロカモメ ③ ヤンバルクイナ ④ ムツゴロウ ⑤ アホウドリ ⑥ シマフクロウ