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トランスポーターを介したD-luciferinの細胞膜透過機構の解明とその生物発光イメージングへの応用に関する研究

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Academic year: 2021

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有 機 ア ニ オ ン 化 合 物 を 細 胞 内 に 濃 縮 的 に 取 り 込 む こ と が で き る 主 要 な ト ラ ン ス ポ ー タ ー 群 と し て 、 SLC22A family と SLCO family が 知 ら れ て い る 。 こ れ ら ト ラ ン ス ポ ー タ ー は 、基 質 認 識 性 が 広 く 、内 因 性 化 合 物 や そ の 代 謝 産 物 等 を 基 質 と す る だ け で な く 、 生 体 外 異 物 で あ る 薬 物 も 基 質 と し て 認 識 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 。そ こ で 本 章 で は 、 こ れ ら 有 機 ア ニ オ ン ト ラ ン ス ポ ー タ ー が 濃 縮 的 な D-luc の 細 胞 内 に 取 り 込 み を 促 進 す る こ と に よ り 、 D-luc–eLuc 反 応 が 促 進 さ れ る と 仮 定 し 、 HEK/eLuc 細 胞 に 各 種 ヒ ト 有 機 ア ニ オ ン 性 ト ラ ン ス ポ ー タ ー を 一 過 性 発 現 さ せ 、D-luc–eLuc 反 応 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し た 。 各 種 ヒ ト 有 機 ア ニ オ ン 性 ト ラ ン ス ポ ー タ ー を HEK/eLuc 細 胞 に 一 過 性 発 現 さ せ た と こ ろ 、 OAT1 お よ び OAT3 で 有 意 な 発 光 強 度 の 増 大 が 確 認 さ れ た 。 最 も 活 性 の 高 か っ た OAT1 を HEK293 細 胞 に 一 過 性 発 現 さ せ 、D-luc の 細 胞 内 取 り 込 み を 直 接 評 価 し た と こ ろ 、 OAT1 を 介 し た D-luc の 顕 著 な 細 胞 内 集 積 が 認 め ら れ た 。 速 度 論 的 解 析 よ り 、

OAT1 に よ る D-luc 輸 送 は 飽 和 性 を 示 し 、Km値 は 0.23 µM で あ っ た 。ま た 、こ の 値 は 、

HEK/eLuc/OAT1 細 胞 に お け る OAT1 を 介 し た 6-carboxyfluorescein 取 り 込 み に 対 す る

D-luc の Ki値 と 同 等 で あ っ た 。し た が っ て 、OAT1 は D-luc を 良 好 な 基 質 と し て 認 識 し 、

細 胞 内 へ 濃 縮 的 に 輸 送 す る こ と で 、 D-luc– eLuc 反 応 を 増 強 す る こ と が 示 唆 さ れ た 。 さ ら に 、OAT1 が 安 定 発 現 す る HEK/eLuc/OAT1 細 胞 に お け る 発 光 強 度 の 解 析 よ り 、定

常 状 態 に お け る 生 物 発 光 反 応 の 見 か け の Km値 が 0.36 µM と 算 出 さ れ 、eLuc に 対 す る

D-luc の Km値 (80 µM) よ り も 、上 記 の OAT1 に 対 す る Km値 に 近 い た め 、そ の 反 応 に

お け る 律 速 段 階 は 、 D-luc の 酸 化 反 応 で は な く 、 OAT1 に よ る D-luc の 取 り 込 み 過 程 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。ま た 、OAT1 安 定 発 現 株 で あ る HEK/eLuc/OAT1 細 胞 を 用 い て 、 マ ウ ス お よ び ラ ッ ト に お け る 生 物 発 光 イ メ ー ジ ン グ を 行 っ た 結 果 、 い ず れ の 動 物 種 に お い て も 、 OAT1 を 利 用 す る こ と に よ り 、 従 来 の 方 法 に 比 較 し 、 高 感 度 に イ メ ー ジ ン グ で き る こ と に 成 功 し た 。

Fi g. 1 (A) A rep r esen ta ti v e i ma ge of i n vi vo b i olu min esc en c e i n a li vin g mou se 3 0 min a ft er ad mi ni st ra ti on of D-luc (20 mg /k g, i .p . ). (B ) A r ep resen t at i ve ima ge of in vi vo b i olu min esc en c e i n a li vin g rat 3 0 min a ft er ad mini st rat i on of D-lu c (20 mg/k g, i .p ., n = 3 ). HE K29 3/ e Lu c / OAT1 c ells (r ed ) and HEK29 3/ e Lu c c ells (b lu e) were su bc ut an eou sl y i mp la nt ed .

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第 3 章 生 物 発 光 イ メ ー ジ ン グ を 利 用 し た OAT1 を 介 し た 薬 物 間 相 互 作 用 の 評 価

第 2 章 の 検 討 に よ り 、HEK/eLuc 細 胞 に OAT1 を 発 現 さ せ る こ と に よ り 、細 胞 内 D-luc 濃 度 が 上 昇 し 、 発 光 強 度 が 顕 著 に 増 大 す る こ と を 明 ら か に し た 。 本 章 で は 、 こ の 成 果 を 、 OAT1 を 介 し た 薬 物 間 相 互 作 用 の 評 価 系 と し て 応 用 利 用 で き る 可 能 性 を 考 え 、 in vitro に お け る OAT1 を 介 し た 生 物 発 光 の イ メ ー ジ ン グ と 、そ の 画 像 解 析 に 基 づ く 各 種 阻 害 剤 に よ る 生 物 発 光 の 阻 害 効 果 に つ い て 検 討 を 行 っ た 。 HEK/eLuc/OAT1 細 胞 に お け る 生 物 発 光 は IVIS を 使 用 す る こ と に よ っ て 容 易 に イ メ ー ジ ン グ 可 能 で あ り 、 各 種 OAT1 阻 害 剤 の 添 加 に よ る 阻 害 効 果 も 同 様 に イ メ ー ジ ン グ で き 、画 像 解 析 の 結 果 か ら IC5 0値 を 算 出 す る こ と が で き た 。さ ら に 、そ の IC5 0値 は 報 告 値 と ほ ぼ 一 致 し た こ と か ら 、 こ の 生 物 発 光 に よ る 評 価 系 を 用 い れ ば 、 簡 便 に OAT1 を 介 し た 薬 物 間 相 互 作 用 を 評 価 で き る と 考 え ら れ る 。 す な わ ち 、 D-luc を 含 む 取 り 込 み 緩 衝 液 に 被 験 薬 を 加 え 、 OAT1 と eLuc を 発 現 す る 細 胞 に 添 加 す る だ け で 、 OAT1 に 対 す る 被 験 薬 の 効 果 を 数 秒 以 内 に 評 価 す る こ と が 可 能 で あ る 。 本 法 は 、 現 在 ま で に 報 告 さ れ て い る 薬 物 ト ラ ン ス ポ ー タ ー の 機 能 評 価 法 の 中 で 、 ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ が 極 め て 大 き く 、 最 も 簡 便 か つ 迅 速 な 評 価 方 法 と 位 置 付 け ら れ る 。 以 上 よ り 、 ト ラ ン ス ポ ー タ ー 介 在 性 の D-luc-eLuc 反 応 に 基 づ く 発 光 強 度 の 評 価 は 、OAT1( あ る い は 同 様 に D-luc 輸 送 活 性 を 有 す る OAT3) を 介 し た 薬 物 間 相 互 作 用 を 評 価 す る た め の 高 感 度 か つ 迅 速 な 非 侵 襲 性 の ハ イ ス ル ー プ ッ ト ス ク リ ー ニ ン グ シ ス テ ム の 開 発 に も 役 立 つ こ と が 期 待 さ れ る 。

Fi g. 2 In hi bi t or y eff ec t of sp ec i fi c OAT1 inh ib it ors on th e B L. ( A) A r ep resen t at i ve i ma ge of B L i n th e pres enc e of va ri ed D-lu c c onc e nt rat i on s (0 .1 –2 µM ) (B ) A r ep resen t at i ve i ma ge of B L in t h e pres enc e of va ri ed c on c ent ra ti on s of in hib i t ors. (C ) Th e IC5 0 va lu es for p rob en eci d, mefen a mi c a cid , a nd t elmi sa rta n were 1 3. 9 ± 2 .8 , 5 .4 3 ± 0 .82 , a nd 0. 89 ± 0 .16 µ M, resp ec ti ve l y. Dat a a re p resen t ed a s t h e mean ± S. E. (n = 3). B L i nt en sit i es i n (C ) – (E) were mea su r ed b y usin g IV IS s yst em.

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そ の 結 果 、 ト ラ ン ス ポ ー タ ー を 利 用 す る こ と に よ り 、 D-luc-eLuc 反 応 を よ り 効 率 的 に 行 う こ と が で き 、 生 物 発 光 イ メ ー ジ ン グ の 感 度 お よ び 精 度 を 格 段 に 向 上 さ せ る こ と に 成 功 し た 。 こ れ に よ り 、 従 来 で は 困 難 で あ っ た 生 体 深 部 や 体 積 が 大 き な 動 物 個 体 で イ メ ー ジ ン グ を 行 え る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 今 後 、 本 手 法 を 応 用 す る こ と で 、 ト ラ ン ス ポ ー タ ー を 介 し た 医 薬 品 相 互 作 用 の 高 感 度 か つ 迅 速 な 評 価 が 可 能 と な り 、 医 薬 品 開 発 の 初 期 段 階 に お い て 薬 物 間 相 互 作 用 の 回 避 が 可 能 と な る こ と が 期 待 さ れ る と と も に 、 近 未 来 に 登 場 す る で あ ろ う iPS 細 胞 な ど の 細 胞 医 薬 品 等 の 追 跡 や 体 内 動 態 の リ ア ル タ イ ム 解 析 が 可 能 に な る こ と が 期 待 さ れ る 。 【 研 究 結 果 の 掲 載 誌 】

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参照

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