頭部周辺 頭部周辺 頭部周辺
頭部周辺での での での携帯電話 での 携帯電話 携帯電話による 携帯電話 による による による電磁波放射 電磁波放射 電磁波放射 電磁波放射の の の解析 の 解析 解析 解析
須惠 耕二*1
*1熊本大学工学部技術部
1. 概要概要概要概要
携帯電話の普及に伴い,携行に伴う局所的かつ長時間の電磁波被爆に起因する身体的影響が指摘されているが[1],電磁波 アレルギーの要因とされる電磁波の影響については,「見えない世界」の現象であるため,その検証にあたって視覚化された結果 があれば分かりやすい.また,GHz 帯の携帯電話使用時には,電話機の傍でかけている眼鏡の金属フレームが擬似アンテナとし て電磁波の不要放射を伴う可能性もある.これらより,本研究では高周波3次元電磁界シミュレータ HFSS を用いて
(1) 携帯電話の電磁波を人体頭部そばで放射する際の特性 (2) 金属製眼鏡フレームの有無による電磁波放射特性の差異 を解析し,結果を検証したので報告する.
2. 解析解析解析解析手順手順手順手順
解析にあたって,使用した機器やアプリケーション,解析手順は次の通りである.
(1) 人体頭部および眼鏡フレームのモデリング
3D CAD ソフト 「Alibre Design Express 10.0」 と 「Rhinoceros 4.0 評価版」を 用いて設計した.
(2) 携帯電話周波数帯の電磁波放射特性の解析
Ansoft 製高周波3次元電磁界シミュレータ HFSS Version 10.1 に上記(1) の解 析モデルをインポートした.次に,2GHz 帯の携帯電話機の電磁波放射を擬似的 に表現するため,共振周波数を 2.1GHz に設定したダイポール型アンテナを設 計し,これを頭部モデル横の携帯電話使用位置付近に設置して解析モデルと した(図 1). 人体頭部モデルの比誘電率には,2GHz 時の比誘電率 40.0, 導 電率 1.40[S/m] を採用している[2].
(3) 解析結果の正当性の検証
実際の携帯電話機 SHARP 製 705SH の電磁波出力を,電磁波スモッグメータ TES-92 で測定し,開放空間下の頭部周辺でどのように強弱が出るかを計測した.
3. 結果結果結果結果およびおよびおよびおよび考察考察考察 考察
ダイポール型アンテナの3次元遠方放射パターンは無指向性のドーナツ型である
(図 2). このアンテナを,一般的な携帯電話での通話姿勢となる人体頭部傍 40mm の距離に置くと,人体頭部越しにはアンテナからの放射が全く見られなくなる(図 3).
この時,携帯電話背面側での放射パターンは,アンテナ単体での放射パターンと比 べて大きな差異はない.人体頭部側の放射の様子に注目しても,頭部に電磁波が当っ て反射した形跡は見られず,頭部曲面に沿った形状で放射が消滅している.すなわち,
電磁波は頭部に当って吸収されていることが分かる(図 4).
次に,人体頭部にチタニウム製の眼鏡フレームをかけた場合の放射パターンを示す
(図 5).
図1 設計した解析モデル
図2 ダイポールアンテナの 放射の様子(遠方界)
図3 頭部周辺での放射の様 子(遠方界)
アンテナ傍に置かれた眼鏡フレームのアームの延長線上に電磁波が突き出している 一方,携帯電話背面側の放射強度が弱まっており,電磁波の一部が眼鏡フレームを 伝って放射したように見える.但し,眼鏡フレームを介して頭部の前面にまで回り込む ような放射はこの例では確認されなかった(図 6). この眼鏡フレームがアンテナと同様 の動作をする固有の共振周波数が,今回の周波数帯には存在しなかったためと思わ れる.
シミュレーション結果の検証のため,電磁波が平静な空間(5μW/㎡程度)で実際 の携帯電話発信時の電磁波の強度(電力密度)を計測した(図 7).
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A 点での電力密度は 11.9mW/㎡であったが,頭部が電話機側に入ると 3.60mW/㎡に下がり,さらに眼鏡をかけると 1.86mW/㎡にまで減衰した.
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B 点では 21.6mW/㎡で あったが,眼鏡をかけると 26.2mW/㎡にやや増加した.また,□
C 点では携帯電話のみ で 115.8mW/㎡に対し,頭部を携帯傍につけると 104.3mW/㎡にわずかながら減少した.これらの結果は,いずれもシミュレーションで得られた結果とよく合致する.ちなみに,各 測定値はそれぞれ 10 回ずつ計測した平均値を採用した.
なお,実機の放射指向性は電話機下側に強度のピークが出る等,全周囲に放射する ダイポールアンテナとは違いが見られた.携帯電話アンテナは,筐体内部で緻密な2次 元形状で構成され,指向性も設計されているためである.よって,この測定結果を単純に シミュレーション結果と比較することは出来ないが,頭部を近づけた場合の強弱の傾向は 同じであり,携帯電話からの電磁波は頭部に吸収されていると考えることが出来る.
4. 今後今後今後今後のののの課題課題課題 課題
今回,頭部に吸収された電磁波がその後人体表面のみを伝わって消滅したのか,
頭部内に浸透したのかまでは明らかに出来ていない.800MHz 帯の携帯電話を用いた 生体マウス実験では,頭部に局所的な照射を長時間続けた結果,脳細胞に遺伝子レベ ルでの損傷確認が報告されている[3].より波長が短い GHz 帯での影響について,人体 頭部の内部まで正確に表現したモデルでの解析や,ファントムと呼ばれる人体モデルを 使用した実測を通して,更に綿密な分析を行うことが必要である.
5. 謝辞謝辞謝辞謝辞
本研究は,平成 20 年度熊本大学工学部奨励研究補助費の採択を受けて実施した.
御採択頂いた谷口功 前工学部長(現学長)に,この場を借りて御礼申し上げたい.
また,HFSS は情報電気電子工学科所有の 1 ライセンスのものを優先的に使用させて 頂いた.解析が終わるまで順番待ちしてくれた学生諸氏にも感謝したい.
6. 参考文献参考文献参考文献参考文献
[1] 「人体側頭部の側で使用する携帯電話端末等に対する比吸収率の測定方法の 策定」
電気通信技術審議会答申 2000年11月27日発表, 総務省郵政事業庁
[2] 「人体頭部における比吸収率の測定方法を定める件」
電波法無線設備規則第14条の2第2項, 電波法令集 [3] 「携帯電話 その電磁波は安全か」
Goege Carlo & Martin Schram 著 2001年11月 ISBN4-08-773354-8 集英社
図 6 眼鏡フレームによる 放射の様子(近傍界)
図 4 頭部周辺での放射の 様子(近傍界)
図 5 眼鏡をかけた時の頭 部周辺での放射の様子(近 傍界)
図7 実機による電力密度 測定位置
20cm
30cm
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A□
B□
C20cm 電話機