Title 政令指定都市への政策提言 : 行政区の新しい方向(都市提 言 : 政令指定都市の誕生と今後の課題)
Author(s) 佐々木, 信夫
Citation 聖学院大学総合研究所紀要, No.28, 2004.2 : 95-104
URL http://serve.seigakuin-univ.ac.jp/reps/modules/xoonips/de tail.php?item_id=4136
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都市提言
政令指定都市への政策提言
ーー行政区の新しい方向││
佐々木 信
夫
大分︑熱の入った講演の後ですので︑本来なら休憩を
入れたほうが空気としてはいいような感じがしますが︑
﹂の後にディスカッションもございますし準備もありま
すので続けます︒ここで皆さんにお配りしています﹃政
令指定都市への政策提言││行政区の新しい方向﹄とい
う冊子がございますので︑空気を入れかえる意味でも︑
﹂れを一五分程度ご説明を申し上げる形で若干の提言を
申し上げてみたいと思います︒
﹁鉄は熱いうちに打て﹂
という言葉がありますし︑先
ほど森田先生は盛んに実験をすべきだと言ったわけです が︑政令指定都市制度については大分歴史の沿革から統 括的なお話があったように思いますので︑この提言の中 でもその説明はしております︒
端的に言うと︑広域化という︑ いわゆる大都市化現象
に対応する側面と︑もう一つは市民参画という言葉があ
りますように身近なまちづくりについての狭域化︑広が
っていくということと矢印が逆ですが︑狭い単位(範囲)
でいろいろなことを実はやりたいということですね︒広
域化と狭域化という二つの要求について制度的にどう答
えるかが一つの政令指定都市という制度だろうと私は理
解しておりますし︑ そのために一つは大きい一
OO
万規
模の都市を要件にして︑ 一方ではその中に行政区をつく
っているということだろうと思います︒
﹂の広域化という部分については大都市経営として県
からさまざまな権限を委譲し︑ それが可能になるように
やっているはずです︒ 一方︑狭域化という側面について
は行政区をつくって︑なるべく行政区で身近な行政は完
結するようにと︒合併政令市という意味は団体自治とし
ての規模の拡大・強化ということですが︑他方住民自治
政令指定都市の誕生と今後の課題
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としての側面からは規模の細分化・密度の濃さが求めら
れる︒地方自治は団体自治と住民自治を車の両輪としま
すが︑ここでの提案は住民自治をいかに質的に高めるか
というお話に関連したところです︒
これがきれいに制度としてできていれば︑昭和三一年
(一九五六年)
から始まった制度ですが︑相当成熟して
い る
は ず
で す
︒
しかし︑先ほども話がございましたように︑政令指定
都市制度というものはそもそもないわけです︒あくまで
も一般の法律について︑地方自治法を含めて各実定法の
特 例
︑
つまり政令で指定をした都市については︑これは
その市の権限にするという形で積み重ねてきた︒
こんにち
特例を累積した形で今日まで来ているわけですから︑
政令指定都市制度をうまく説明している書物もあるとは
思えませんし︑市民の方々に対して政令指定都市制度と
はこういう制度だときちんと説明できるようにも思わな
いわけです︒この制度がすでに約五 O 年たっていますか
ら︑そろそろ大きい見直しの時期に来ていることも事実
だろうと︒特別市という話もございましたけれども︑す べての二ニの政令指定都市を特別市にという話はないと は思いますし︑この政令指定都市をさらに新しい制度に 変えていくという動きはここ数年のうちに始まりそうな 感じがいたします︒
そ こ
で ︑
せっかく冊子としてまとめさせていただきま
したので︑これを少しぺ 1 ジをめくりながらご説明申し
上げて︑詳しくは後で読んでいただきたいと思います︒
最初にいま森田教授がお話しなさったことを図にまとめ
てあるのが図 1
で す
︒
﹂の図をごらんになりますと︑日本の五 O 万人以上の
都市について︑幾つかの類型がなされております︒先ほ
どは口頭で横浜︑名古屋︑京都︑大阪︑神戸がどうだと
かおっしゃっていましたけれども︑これを図に落としま
す と
︑
さいたま市はいま始まったばかりですが︑少なく
とも一二の政令指定都市は
A グループ︑ B グループ︑
C グループに類型ができる︒
﹂れは先ほどの森田先生も委員会に入った大都市制度
等調査研究委員会の報告書の引用ですけれども︑ そこで
分析したものです︒まず
A
グループは日本をある意味
図 1 規模能力と高次機能からみた大都市類型 人口 50 万人以上都市比較
8 0 . 0 0
7 0 . 0 0 6 0 . 0 0
5 0 . 0 0
3 0 . 0 0
2 0 . 0 0 1 0 . 0 0
0 . 0 0 0 . 0 0 1 0 . 0 0 2 0 . 0 0 3 0 . 0 0 4 0 . 0 0 5 0 . 0 0 6 0 . 0 0 7 0 . 0 0 8 0 . 0 0
高次機能
(資料)大都市制度等調査研究委員会「大都市制度等に関する調査研究報告書
J(2001 年 3 月 , 日本都市センター)に占める割合。
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97 政令指定都市の誕生と今後の課題
からのスタートではないかと思われます︒
こ の
D グループには幾つかの市がございますけれど︑
いろいろ見ていっても C グループに入れるかどうか︒
まり︑浦和︑大宮という四五万都市が合併しただけです
から︑現実に長い歴史を持った七 O 万都市︑八 O 万都市
規模と比べますと︑まだまだ高次機能も規模能力も低い
のではないか︒これが実態です︒
そ こ
で ︑
それを何も悲観する必要はないわけで︑実態
はここからのスタートですが︑今後どういう大都市に育
てていくのかは大変大事なことですし︑ その説明が十分
市民の方々と合意を得られていればいいわけですが︑も
う一つそれが見えないのではないのかと︒この研究報告
では︑例えば新都心という言葉を盛んに使っているわけ
ですが︑大都市の新都心という以上はどういう機能を埋
め込むべきか︑新都心とは全体としてどういう領域をカ
パーするのか︒ ﹂ういうことを最後のぺ l
ジのほうに
一次から五次までの提言のリストが載っておりますけれ
ど も
︑ 我々としては比較的早い段階で一九九八年の第
一次提言でこの都心づくりということをお願いしたはず
で す
﹂れについては今後の課題ですが︑少し内容を先に急 ︒
つ
ぎますと︑政令指定都市の位置づけとか行政区の形が︑
それぞれの市によって規模も面積も違いますので︑
そ の
表が八ページに少し整理してございます︒ さいたま市も
﹂こでは掲載しておりますのでごらんいただきたいと思
うのですが︑特徴的には面積が比較的狭く︑人口規模が
一 O 万人単位で比較的よくくくられているとか︑他の政
令市に比べて比較的設計されたイメージが見えるところ
だろうと思います︒
そこで一一ページに飛びますが︑行政区のお話があり
まして︑広域化と狭域化に対応する︒これは多分ディス
カッションでは両方の議論をしてみたいのですが︑我々
この第六次提言はとりわけ狭域化に対応する行政区をテ
ーマにしているわけですが︑この行政区を図であらわし
ますと︑図 2 が一一ページに載っておりますが︑これま
でのさいたま市を除く一二政令指定都市の区役所は︑端
的に申し上げますと︑本庁の支所だったのが現実であろ
うと思います︒
これからの市役所イメージ 図 2
規模の経済性 集権性
範囲の経済性
予算編成権があるわけでもありませんし︑ そこでまち
づくりの単位として︑例えば区が長期計画をつくる仕組
みもなかった︒本庁の各局がすべての予算編成について
も計画についても現実には編成しているのが︑川崎市の
例をその後に掲載しておりますけれども︑現実だったと
思 い
ま す
︒
そういう意味では︑集権性と規模の経済性というあま
り使いなれない表現かもしれませんが︑本庁にすべての
権限を集めて︑ それの執行機関として身近な区役所を置
自治性
一種の支所であるというのがこれまでの区役所であ
ったと思いますが︑これからの行政区はそうあってはな
ら な
い ︒
一つは自己完結性を持った行政をやる単位でなければ
いけない︒もう一つは住民と協働できる体制︑協働とは
ともに働くという意味ですが︑役所だけがまちづくりを
やる形ではなく市民参画の拠点でなければいけない︒こ
の二つの機能を埋め込まなければいけないと思います︒
﹂れからの区役所については︑自治性と範囲の経済性
という聞きなれない言葉を使っておりますが︑自治的な
政令指定都市の誕生と今後の課題
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要素を強めていかなければいけない︒と同時に︑範囲の
経済性とは︑要するに手ごたえのある規模でなければい
けない︑あるいは住民の声の届く規模でなければいけな
し=
つまり市役所の便宜上単純にくくられた区役所であ
つ て は い け な い ︒ そういう意味では各区に個性もなけれ
ばいけないだろうし︑風格という意味では大都市全体の
風格も必要でしょうけれども各区の風格も︑問題になる
時代ではないか︒
﹂れはもう既に五 O 年たっている制度ですから︑制度
疲労の部分も相当あり︑大きくスクラップ・アンド・ビ
ルドをしなければならないという意味では︑ 一三番目の
指定都市はある意味では一番目の実験をやるところであ
っていいのではないかと思います︒
最後に︑これからの区役所について一七ページをごら
ん く
だ さ
い ︒
いま口頭で申し上げましたけれども︑まず
小回りのきく行政区であるべきだと︒中身は何かといえ
ば︑もっと本庁からきちんと権限を与えられた区役所で
なければいけない︒
これはいま始まったばかりですから︑現実には職員の 方にも何も見えないだろうと思いますし︑市民の方は区 役所が新しく建物としてできたところもあれば︑もとの 建物を区役所だと言って使っているところもありますけ れ
ど も
︑
一体どういう組織で一体何をやるのかが見えて
いないのが現実です︒今こういう話を申し上げてみても
なかなか理解していただけないと思うんですが︑小回り
のきく︑ある意味ではワンストップサービス化と言って
いますけれども︑完結性の高い︑ある意味では市の中に
市役所をつくるのも変な話ですけれども︑ 一定の市役所
的なイメージでなければいけないのではないか︒
もう一つ一八ページに﹁協働拠点としての行政区﹂と
書きました︒先ほど相川市長は区民会議を設置するのだ
という話をなさっていました︒大変いい提案だと思いま
すし︑ぜひそうするべきだと思います︒ さらに各区に
億円を配分する︒川崎市などもそういう方向にあるよう
で す
が ︑
一体その一億円をだれが議論して決めるのか が問題で︑各区に予算編成権を与えるかどうかが問題
で す
各区に一億円を渡すのはいいと思います︒ ︐
‑avp・ ︑ ︒
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